公大協学長会議(平成27年度第2回)

 2016(平成28)年1月28日(木曜)、1時半~5時、公立大学学長会議(平成27年度第2回)が東京神田錦町の学士会館で開催された。会員校86のうち参加した学長は67名、ほかに理事長、副学長、事務局長等、さらに来賓、公大協の相談役・事務局員を含めて総勢で117名である。
 前回の学長会議は、昨年秋に名古屋市立大学を会場として開かれ、学長らによる貴重な報告と会費改定等を含む議題の審議・採択がなされた(本ブログ2015年10月15日号の「学長会議(平成27年度第1回)」)が、今回の第2回は公立大学に関する行政説明が総務省と文部科学省から計6本、いずれもホットなニュースであり、両省の公大協に寄せる期待の大きさを示した。ついで2本の公大協会務報告、すなわち(ア)公立大学の力を活かした地域活性化研究会及び(イ)公立大学協会の組織及び事業の在り方検討会の報告がなされた。
 まず6本の行政説明のうち、(1)澤田史朗(総務省財務調査課長)「地方大学を活用した雇用創出・若者定着等について」と(2)徳田正一(文科省大臣官房審議官)「<女性の職業生活における活躍の推進に関する法律>に基づく<事業主行動計画>の策定に向けて」の2つを取り上げたい。
 (1)の澤田報告は、標題の課題について①人口減少克服に向けて解決すべき現状の課題、②自律的・積極的な社会創生に向けて地方が取り組むべき対策の方向性、③地方公共団体と大学等との連携による雇用創出・若者定着に向けた取組の促進を述べ、ついで地方独立行政法人法の改正案(現通常国会へ提案)と後述の公大協会務報告にもある「公立大学の力を活かした地域活性化研究会」(座長は辻琢也一橋大学教授)について報告した。
 2003年、「地方独立行政法人法」のなかの第7章「公立大学法人に関する特例」に大学としての特性をどのように盛り込むかを巡って、文科省、総務省、公立大学設置団体協議会(公設協)、公立大学協会(公大協)の四者で真剣な議論が交わされ、現行の法律が制定された(『地域とともにつくる公立大学-公立大学協会創立60周年記念誌』 2010年)。その経験から、公大協にとって大切なのは、これら四者間の絶えざる協議を進めることに他ならないとの教訓を得た。
 公立大学は地方自治体が設置する大学であり、2003年7月に「地方独立行政法人法」(総務省主管)が施行されてからは、その第7章「公立大学法人に関する特例」に基づき公立大学法人への移行が可能となったが、それは各設置自治体の判断によるため、移行時期はまちまちである。
 また公立大学に対する国費は総務省所管の地方交付税交付金(単位費用は学部等により異なる)として支出される。これは設置自治体に対して支出され、そのうち何%がその自治体の公立大学へ来るかは自治体ごとに異なる。
 総務省により現通常国会へ提出された地方独立行政法人法の改正案は、国立大学法人のスキームに即したもので、①公立大学法人による出資、②公立大学法人が行う長期借入、③公立大学法人の余裕金の運用、④公立学校による附属学校の設置の4つである。ここでも四者協議とその連携が生きている。
 (2)徳田正一報告は喫緊の課題であるにもかかわらず大学では意外に関心が深くなかったものである。「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の制定に基づき、大学を含む各事業主がその<行動計画>を策定する問題である。女性活躍推進法が昨年夏に成立、11月に策定指針が制定され、各事業主の行動計画策定の期限が本年度末まで、つまりあと2か月しか残されていない。各公立大学がそれぞれ事業主として急ぎ行動計画を策定するよう督促された。
 さて文科省・総務省・公設協・公大協の四者協議はしばらく開催の機会がなかったが、政府の地域活性化政策の一環として、2年前に「公立大学の力を活かした地域活性化研究会」が発足、その平成27年度(最終年)の報告書ができあがった(本編35ページ、資料編81ページ)。
 委員は総勢9名(途中交代を含む)で、公大協から清原正義会長と近藤倫明副会長、総務省から前掲の澤田史朗課長(同職の原邦彰の後任)、文科省から塩見みづ枝大学振興課長、設置団体から川治勝彦北海道総務部法人局大学法人室長)、山口県総務部長である。また君塚剛(文科省大学振興課課長補佐)、末永正則(山口県総務部学事文書課主査)、中田晃(公大協事務局長)、仁井田興史(総務省財務調査課課長補佐)の4名からなるワーキング・グループを設置。
 平成26年度の中間とりまとめでは、公立大学を活かした地域活性化の取組のなかに地域課題の解決に資するものがあるものの、定量的な効果は十分に示されていないとし、平成27年度は①公立大学法人の評価のあり方及び②職員育成の2点に焦点を当て、一定の成果を得たと報告書にある。
 四者協議の意義について、公大協委員の近藤副会長が包括的な報告を行い、今後の公大協活動においてもいっそう重要となるので、何らかの形で継続したいと総括した。
 2つ目の会務報告(イ)公立大学協会の組織及び事業の在り方検討会は、2回の委員会で次の3点を協議した。昨年秋の学長会議における臨時総会で採択された会費改定を、制度面で補強するための一連の措置である。
① <役員体制の整備>すなわち「公立大学協会に、必要に応じて学長以外の役員を置き、業務執行理事とすることができるよう定款変更を行う」。
② <事務局体制の強化>のため、当面は「平成27年度末までに1名の採用を目途に募集を開始する。募集方法として会員校や関係者から推薦公募方式をとり、能力だけでなく公立大学改革に情熱のある人材の獲得を目指す」。
③ <公立大学政策・評価研究センターの今後の活用>では、平成25年に設立したセンターの3年間の実績・評価を行い、これを踏まえ、政策研究の推進、大学改革・質保証支援の展開の2点を掲げ、平成28年度は「ピア支援プログラム」(仮称)に着手する。
 うち①の定款変更は、来たる平成28年度5月総会において審議・承認を予定していると清原会長が締めくくり、第2回学長会議は定刻通り終了した。 
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プロフィール

Author:加藤 祐三
日本の歴史学者

横浜 市立大学名誉教授

国指定名勝・三渓園(横浜)
園長

・前都留文科大学長
(2010~2014)

・元横浜市立大学長
(1998~2002)

主な著書
「イギリスとアジア」
         (1980年)
「黒船前後の世界」(1985年)
「東アジアの近代」(1985年)
「地球文明の場へ」(1992年)
「幕末外交と開国」(2012年)
蒋豊訳「黒船異変」(2014年)
蒋豊訳「東亜近代史」
         (2015年)

 など

専門
・近代アジア史
・文明史

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