公立大学学長会議

 公立大学は今年度も3校増えて計86校となり、国立大学の数と並んだ。その86公立大学の加盟する大学団体が、一般社団法人公立大学協会(公大協と略称)である。公大協では、全学長が揃い協議と意見交換を行う場として、5月下旬の定期総会(東京)と秋と冬の学長会議を開催する。今秋は兵庫県立大学で10月11日(土曜日)に開かれ(2日目の市内視察は自由参加)、私も参加した。
 公立大学の特性は、各校が個性的な教育目的と学部学科等の構成を持ち、公立大学全体としては多様性に富む点にある。たとえば(1)都道府県立・市立・事務組合立・県市共同立があり、(2)法人化大学(自治体等が設立した公立大学法人の設置する大学)と自治体等の直営大学が並存、(3)法人化大学に理事長と学長の一体型と別置型の2つがあること等が挙げられる(浅田尚紀「公立大学の評価と質保証」『大学マネジメント』誌2014年8月号)。
 個性的で多様性に富む大学団体のため、それぞれの主張が異なるのは当然であるが、可能な限りの意見交換を通じて、共通の認識を持ち、必要に応じて共同行動をとる、この慣習を築く努力を始めて10年余(公立大学協会『公立大学協会創立60周年記念誌』2010年を参照)が経過し、一定の成果が出ている。
 今回の学長会議は、木苗会長と主幹校の清原学長の挨拶に始まり、「Ⅰ 報告とパネルディスカッション<地域の未来と公立大学の役割>」、「Ⅱ 課題別分科会」、「Ⅲ 全体協議」、「Ⅳ 情報交換会」が行われた。
 折しも「地方創生」がホットイッシュ-のため、「Ⅰ 報告とパネルディスカッション」では文科省大学振興課の里見朋香課長と総務省財務調査課の村田崇理事官の政策報告を受け、8月に始まった「公立大学の力を活かした地域活性化研究会」(総務省、文科省、公大協、公設協の4者と有識者で構成)の事務局報告があり、パネルディスカッション「地域の未来と公立大学の役割」ではパネリストとフロアーから活発な意見が出された。
 昼食後の「Ⅱ 課題別分科会」は、4つの分科会に分かれて協議した。第1分科会「地域活性化の課題と公立大学の存在意義」、第2分科会「地域社会が求める人材育成を支える方策~教育の質保証とIR」、第3分科会「大学ガバナンスの課題~公立大学の多様性を踏まえ」、第4分科会「医療・介護制度改革のインパクトと公立大学のイニシアチブ」である。
 ⅠとⅡを受けて、「Ⅲ 全体協議」があり、4分科会の議長が要旨の報告を行い、共通認識を深めた。また「大学ポートレート」の経費負担について文科省課長の報告を受けたが、算定根拠が不明等の批判的意見が多く出された。
これら一連の報告と協議の成果は、近く公大協のホームページに掲載される。
 学長会議と並行して学生大会(教職員も参加)とパネル展示が開かれるようになって3年目になるが、その参加者数は45名、81名、104名と増え、来年の第4回の開催も決めたという。その学生大会の中間発表を聞いて、会場をパネル展示のある学生ホールに移し、「Ⅳ 情報交換会」で老若交えての意見交換。国立大学協会や私大連、私学協会等にはない仕組みであろう。
 重要議題が多数あったが、参加者は課題の焦点に直截に入り込み、協議を通じて共通認識を深め、大きな成果を得たように思う。その一因として挙げられるのが、少数精鋭「縁の下の力持ち」の事務局の懸命の努力である。なかでも運営会議(会長・副会長等で構成)の命を受け、事務局作成の「プログラム全体の流れと各協議の進め方について」を、数日前に全参加者へメール送信する態勢を組んだことが奏功したのではないだろうか。
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プロフィール

Author:加藤 祐三
日本の歴史学者

横浜 市立大学名誉教授

国指定名勝・三渓園(横浜)
園長

・前都留文科大学長
(2010~2014)

・元横浜市立大学長
(1998~2002)

主な著書
「イギリスとアジア」
         (1980年)
「黒船前後の世界」(1985年)
「東アジアの近代」(1985年)
「地球文明の場へ」(1992年)
「幕末外交と開国」(2012年)
蒋豊訳「黒船異変」(2014年)
蒋豊訳「東亜近代史」
         (2015年)

 など

専門
・近代アジア史
・文明史

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