野鳥たちの現在

 横浜市内の各所で開催される写真や映像に関連した45のイベント事業「フォト・ヨコハマ」の一環として、2月28日(火)から 3月6日(月)まで、「高円宮妃殿下写真展-鳥たちの煌き(きらめき)Ⅲ-」が、三溪園の鶴翔閣で開かれている。昨年、一昨年に次ぐ3回目である。

 高円宮妃殿下は、イギリスに本部のある国際環境NGOの野鳥保護団体「バードライフ・インターナショナル」(1922年創設、世界122カ国/地域に280万人の会員)の名誉総裁を務められるなど、野鳥を通じた自然環境の保護に取り組まれている。

 2月28日のオープニングセレモニーには、撮影者の高円宮妃殿下・ご令室・ご母堂、また9カ国の駐日大使夫妻をはじめ45名の方々を、林文子横浜市長ほか「フォト・ヨコハマ」の主催者が出迎えた。

 よく晴れた朝で、正門を入ると市長が「あっ、シラサギ…」と声をあげた。蓮池の奥のネムノキに、ふだんはアオサギがとまっているのに今日はシラサギで、シラサギを見たのは初めてである。バードウオッチャーでもある市長が、昔、川岸で餌をじっと待つシラサギの忍耐力に感銘を受けて以来、「…シラサギは私の守り鳥…」と言われたので、とても驚いた。

 私は市長に「…鳥取(妃殿下の旧姓)の名の由来は、口のきけない皇子が白い鳥を見て言葉を発したことに由来する(『日本書紀』)と聞いているので、妃殿下に今の話をお伝えください…」と言った。

 10時から市長の歓迎の挨拶、妃殿下の挨拶、来賓の紹介があり、みなで写真展を観覧した。全部で54点の写真は、展示方法も斬新で、外の庭にも小竹で組んだ三脚に支えられた5羽の鳥の写真がある。

 観覧しつつ妃殿下が撮影時の鳥たちの表情をにこやかに話され、同好の士である市長との対話も活発で、その後のレセプションでも自然保護やヒトと野鳥との関係をめぐり会話が弾んだ。

 解散後、大使夫妻を園内散策に誘い、臨春閣等へ案内する機会があり、事業課長の吉川利一さんが担当した。

 この三溪園に、いま野鳥たちは何種類いるのか。「かながわの探鳥地50選」は、「水辺に住む鳥」、「海辺に住む鳥」、「人里に住む鳥」、「山地に住む鳥」、「丘陵地に住む鳥」の5つに分類、三溪園は「人里に住む鳥」の探鳥地である。だが具体的な鳥の名前は記載がない。

 昨年開催の「高円宮妃殿下写真展-鳥たちの煌きⅡ-」のため、高円宮妃殿下が三溪園へ撮影に来られた際、随行したバードライフ・インターナショナル東京のプログラム・オフィサー澤祐介さんに目視した三溪園の野鳥の種類を教えてもらった。

 (1)2015年12月10日の3時間(午前7時半~10時半)という限られた時間内で、キンクロハジロ、ホシハジロ、マガモ、カルガモ、オオバン、アオサギ、カワセミ、ハクセキレイ、アオジ、スズメ、シメ、ヒヨドリ、メジロ、シジュウカラ、エナガ、ハシブトガラス、トビ、コゲラ、キジバト、ウグイスの20種を観察、これが最新の記録である。  

 これ以前に記録はないかと探ると、三溪園参事の川幡留司さんが収集保管している「三溪園所蔵資料」の中に「三溪園の野鳥」と題して以下の3種の観察記録が入っていた。これらが三溪園の野鳥たちの現在を知る全資料である。

(2)は昭和50(1975)年頃の数年にわたる調査とあるから、春夏秋冬を通じて数年にわたる調査と思われ、計60種の野鳥の名称が掲がる。

(3)は昭和57(1982)年~平成14(2002)年の20年にわたる観察であるが、季節等の記載がない。全部で93種を数える。以上の2つを以下に再掲し、参考に供したい。なお(2)と(3)の野鳥の表記はひらがなを使っている。

 なお(4)の観察記録は、野鳥の種類と数を挙げる上掲の2つと異なり、平成10(1998)年と12(2000)年、それに平成15(2003)年と16(2004)年の冬の1日のもの、越冬のために飛来するマガモやキンクロハジロ等5種の野鳥の数の増減を記録、うちキンクロハジロが急速に数を伸ばしていることを示す。

 三溪園の野鳥(2) 昭和50年頃の数年にわたる調査
 神奈川県鳥類保護員 村山健治(ホテルニューグランド勤務)                                                                   
はしぶとからす おなが かけす むくどり あとり しめ かわらひわ うそ ほおじろ あおじ かしらだか めじろ しじゅうから やまがら こさめびたき きびたき おおるり るりびたき じょうびたき うぐいす おおよしきり せっか つぐみ あかはら しろはら もず きれんじゃく ひれんじゃく ひよどり ひばり びんずい たひばり きせきれい せぐろせきれい はくせきれい つばめ あまつばめ ほととぎす かっこう ふくろう あおばずく きじばと あおばと ゆりかもめ こあじさし はましぎ きあししぎ たしぎ たかぶしぎ たしぎ ちゅうしゃくしぎ ばん こじゅけい こがも まがも おながかも しらさぎ ごいさぎ あおさぎ とび さしば のすり かいつぶり     以上60種
                              
三溪園の野鳥 (3)昭和57年~平成14年11月 
ケーブルシティ横浜・本牧センター   カメラ技師 池田真康

はしぶとからす はしぼそからす おなが かけす(S60,H2,14) むくどり すずめ しめ かわらひわ うそ(S62,H5,8,) まひわ(S60,61,63,H4,7,13) あとり(H1,3,9、10),あおじ ほおじろ かしらだか くろじ しろはらほおじろ(H8) みやましとど(H13) のどぐろつぐみ(H11) めじろ えなが(S63、H1,3,5,8,9,11,14) しじゅうから やまがら こがら(S61,62,H10、12) ひがら(S60、63、H2、6、12) こさめびたき せんだいむしくい うぐいす つぐみ しろはら あかはら じょうびたき えぞびたき(S60~63,H3,5,6,9,13) おおよしきり さめびたき(S60~63,H1,3,5,6,10,13) きびたき(S60,62,H2,6,9,11) せっか(S61,H13) るりびたき(S63、H2,8,11) さんこうちょう(S60、H13) とらつぐみ(S62,H2,5,7,11)きれんじゃく(S63、H4,8)もず ひよどり びんずい はくせきれい きせきれい まみじろつめながせきれい(H12) つばめ いわつばめ こげら やつがしら(H5,11) よたか(H4,7,11,12,14) かわせみ あまつばめ あおばづく(S60,63,H10,13) ほととぎす(S62,63,H2,3,10) かっこう(S62、63) きじばと しらこばと(H6~8、10) あおばと(S60、63、H10,13) ちょうげんぼう とび おおたか(H5,8,10~13) はいたか(H11) こちどり(S60,63,H1,8) いかるちどり(S60、62) ばん(S60,63,H1,4,14) くいな(S63,H6,7,11,12) あおさぎ こさぎ ちゅうさぎ だいさぎ ごいさぎ あまさぎ(S60,63,H8,9,11) あかがしらさぎ(H11,14) よしごい(H11、13) まがも こがも かるがも ほしはじろ すずがも おながかも きんくろはじろ こすずかも(H3,12,13) あかはじろ(H8) おしどり(H2) ひどりがも(S60,63,H6~8,10) おかよし(S63、H1,6,8,9,12,13) かいつぶり みみかいつぶり(H7,9,12,14)ゆりかもめ こあじさし かわう(H4~14)    以上  93種

 これら3種の記録は、観察期間が同じではないため、三溪園の野鳥の増減や種類の変化を推し量るのには無理がある。

 来園者のなかには、カメラで撮影する姿や双眼鏡持参でバードウォッチングに興ずる方もおられる。これからも野鳥の定点・定時観測の結果を集めたい。もし本ブログを見られたら、文末の「拍手」欄をクリックし、書き込んでいただきたい。
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プロフィール

Author:加藤 祐三
日本の歴史学者

横浜 市立大学名誉教授

国指定名勝・三渓園(横浜)
園長

・前都留文科大学長
(2010~2014)

・元横浜市立大学長
(1998~2002)

主な著書
「イギリスとアジア」
         (1980年)
「黒船前後の世界」(1985年)
「東アジアの近代」(1985年)
「地球文明の場へ」(1992年)
「幕末外交と開国」(2012年)
蒋豊訳「黒船異変」(2014年)
蒋豊訳「東亜近代史」
         (2015年)

 など

専門
・近代アジア史
・文明史

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