前号の「人類最強の敵=新型コロナウィルス(56)」を掲載したのは2022年11月28日、【再エネ、危機下で急浸透 「自国産」で安保価値向上】の題名で28日早朝の日経ニュースメールから、再生可能エネルギーの価値が急浸透していることを報じた、と書いた。その後、これに類する記事はあまり見られない。
11月28日夕方の日経速報メールは「岸田首相「防衛費GDP2%、27年度に」 財源は年内決着」として次のように伝えた。
岸田首相は28日、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額するよう関係閣僚に指示した。科学技術費などの国防に有益な費用を合算し、省庁横断の防衛費と位置づける。装備品を含む向こう5年間の予算規模と財源確保を年内に同時決着させ、戦後の安全保障政策の転換に道筋をつける。
首相が防衛費の具体的な水準を明言するのは初めて。自民党内には安倍派を中心に防衛費を賄うための増税に慎重な意見もある。長期にわたる防衛費増を可能にするための安定財源確保にメドをつけられるかが問われる。
首相が28日、首相官邸に浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相を呼び防衛費増額に関する方針を指示した。GDP比で2%との基準を示したうえで、年末に①23~27年度の中期防衛力整備計画(中期防)の規模、②27年度に向けての歳出・歳入両面での財源確保――を一体的に決定すると伝えた。浜田氏が面会後に記者団に明らかにした。
日本の防衛費は1976年の三木武夫内閣以来、おおむね1%以内を目安としてきた。ウクライナ侵攻を踏まえ北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が相次ぎ国防費を2%にすると表明し、自民党が2%への増額論を唱えていた。
防衛省の予算は2022年度当初で5兆4000億円ほどだ。GDPで2%とするのは防衛省の予算を増額した上で、防衛に有益な他の経費を含める。公共インフラや科学技術研究、サイバー、海上保安庁といった他省庁予算も加える。防衛省だけの縦割り体質から脱却し、安全保障を政府全体で担う体制に移行する。現在のGDPを前提とすると新たな防衛費はおよそ11兆円に達する。
柱となるのは相手のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」の保有だ。ミサイルの長射程化や米国製巡航ミサイル「トマホーク」を導入する。不足している弾薬の購入量を増やすなどして継戦能力も強化する。
財源に関する年内決着も指示した。「まずは歳出改革」と指摘したうえで、歳入面で「安定的に支えるためのしっかりした財源措置は不可欠だ」と伝達した。政府の防衛費増額に関する有識者会議は財源を「幅広い税目による国民負担が必要」とする提言をまとめていた。政府内では法人税に加えて所得税、たばこ税などの増税で賄うべきだとの意見がある。
一方で政府関係者によると26年度までは財源確保のための一時的な赤字国債発行を容認するという。自民党側の意見に配慮した措置とみられる。首相は両閣僚に歳出改革なども含め財源捻出を工夫するよう求めた。28日の衆院予算委員会では防衛費の財源に関して余った新型コロナウイルス対策予算の活用を検討すると明らかにした。
【10日間で「白紙革命」を鎮圧せよ 習近平氏が恐れる悪夢】
30日の日経ニュースメールは次のように報じた。
何も書いていないA4の白紙を皆が手に持って高く掲げる「白紙革命」「白紙運動」が、中国共産党大会の最高指導部人事で完勝したばかりの極権・習近平(党総書記・国家主席、69)を直撃している。
新型コロナウイルスを徹底して封じ込める「ゼロコロナ」政策の撤廃要求が主眼だ。だが、上海や北京では「独裁者を罷免せよ」「続投に反対する」と習近平辞任を求めるスローガンまで公然と叫ばれている。2012年の習指導部の発足以来、最大の危機であるのは間違いない。
習の母校である北京の名門、清華大学でも抗議する学生集会が開かれたのは注目に値する。15年まで清華大校長だった陳吉寧(58)は今回、党政治局入りした。さらに次期首相として有力な李強(63)の後任として、上海トップに抜てきされた。清華大での抗議は、肩で風切る「清華閥」のメンツに関わる事態だ。
事態の深刻さを意識した当局は、清華大など北京市内にある大学宿舎に住む学生らが自分の故郷に帰るためのバスを手配し始めた。学内で発生したコロナへの対策が理由だが、事実上、学生が学内や北京の街頭での抗議活動に参加するのを阻止する措置であるのは間違いない。当面、対面での授業ができない可能性もある。大ごとだ。
これは、1989年6月4日、民主化を求める学生運動の武力弾圧で多数が犠牲になった天安門事件の頃、当局がとった北京の学生を田舎に強制的に帰す対応に似ている。33年ぶりとなるデモ対策としての大々的な措置からは、習政権が学生の動きに神経をとがらせている様子が手に取るようにわかる。
反ゼロコロナ運動はたった数日間であっという間に各地に広がった。中国当局がよく宣伝に使う「外国勢力の介入」などありえない。学生らは、後に責任を問われないように、様々な創意工夫を凝らす。暗闇で白紙を掲げ、それで顔を隠す。習への辞任要求は声だけで、個人を特定されないよう細心の注意を払っている。
レベルの高い理系学生の一部は、白紙の代わりに、自らが学ぶ標準ビッグバンモデルの宇宙膨張に関する「フリードマンの方程式」を書いた紙を掲げた。英語表記が、フリーダム(自由)に近いからだという。「上に政策あれば、下に対策あり」。まさに共産党の独裁政権下での学生運動を象徴するエピソードである。
清華大での抗議活動のように男子学生よりも、女子学生がより積極的に正論を吐く様子からは、中国社会の大きな変化も感じられる。3期目入りした習指導部の24人の政治局委員から女性が消滅した時代錯誤の人事とは対照的だ。
「『白紙革命』は、あと10日間で断固、阻止する。(共産党上層部は)世界人権デー(中国語表記は世界人権日)の12月10日に向けて最大級の警戒態勢を敷いている。上層部内に異なる意見はないし、今後も割れない。それが、あの大きな事件との違いだ」
内情を知る立場にある人物によれば、党上層部は白紙革命の「鎮圧」に自信を示しているという。これとは別の共産党上層部の周辺からは「党の末端での執政能力、危機コントロール能力をみくびらないほうがよい」という声も聞こえてくる。
「鎮圧」の手法は、力任せの拘束など暴力的なものだけではない。得意のビッグデータを駆使した危険人物の特定、追跡、制御といった危機管理も含まれる。これは19年の香港デモ後の運動家弾圧にも用いられた。
今回の全国的な抗議活動の伏線は、党大会直前の10月13日、たった1人の勇気ある人物の行動だ。学生も多い北京・四通橋に「ゼロコロナは要らない、飯をくわせろ」「領袖は要らない、選挙が必要だ」「奴隷にはならない、公民になる」などと書いた横断幕が掲げられた。極権に至った習体制下の政治問題全てを突いたのが特徴だ。
このうち感染者が出た地域を丸ごと封鎖する人権無視、非人間的な政策は既に限界にきていた。党大会の戒厳状態が緩んだ後、人々の怒りが爆発するのに時間はかからなかった。
不満はまず中国経済を支えてきた外資の工場で爆発した。河南省鄭州にある台湾企業の世界最大級のiPhone(アイフォーン)組み立て工場で、ゼロコロナも絡む待遇問題から抗議活動が起きた。
続いて11月24日、新疆ウイグル自治区ウルムチで10人が死亡したとされる火災が発生。交流サイト(SNS)で「都市封鎖の影響から消火活動が遅れた」との情報が拡散し、抗議活動が勃発する。
デモは形を変えながら燎原(りょうげん)の火のごとく広がり、上海や北京に波及する。落書き、小規模なもみ合いを含めれば、抗議活動がない大都市を探すのが困難なくらいだ。
当局が警戒する世界人権デーに関わる大事件とは、1989年の天安門事件そのものではない。その3年前、86年12月の世界人権デー前後に盛り上がった学生運動を巡る政治的な闘いである。
安徽省の中国科学技術大学の副学長だった物理学者、方励之による民主化提唱がきっかけになった学生運動は、内陸部の安徽省から上海、北京にまで極めて短期間で波及した。今回、新疆での事件が上海、北京に伝播(でんぱ)した流れに似ている。
86年民主化運動では「対処の甘さ」を問われた当時の党総書記、胡耀邦が87年1月に解任された。大事件の裏には、新旧交代を主導した胡耀邦を陥れようとする長老らと、胡耀邦を重用してきた当時の最高実力者、鄧小平が絡む複雑な権力闘争があった。
86~87年の政治劇には、くしくも習の父で、長老の1人だった習仲勲も大きな役割を果たした。鄧小平が最終決断を下した胡耀邦の解任に、習仲勲が体を張って抵抗したのである。
党内闘争は89年の天安門事件で一層、深刻化する。胡耀邦の解任後、鄧小平によって総書記に抜てきされた趙紫陽が学生運動に同情する姿勢を示し、党内分裂の様相を呈する。
48年12月10日、国連総会での世界人権宣言採択を記念する世界人権デーに関しては、中国で後にもう一つ、事件が加わった。2008年の人権宣言採択60周年に合わせて、劉暁波や人権活動家らが用意した「08憲章」の発表日として選ばれたのだ。
2年後、劉暁波は、栄えあるノーベル平和賞を受賞する。だが、獄中にあり、授賞式には出席できなかった。式典での空席の椅子は、中国の人権状況の深刻さの象徴として歴史に刻まれた。劉暁波は拘束されたまま「獄死」した。
今回の反ゼロコロナ運動は、突然の封鎖措置で身動きがとれなくなる基本的人権の問題のほか、民生、経済も関係が深いだけに、学生ばかりではなく、多くの一般人も加わった。対処は極めて難しい。問題は1989年以降の33年間、当局が、場所を問わず中国各地で起きる本格的な大規模デモに直面した経験がないことだ。例えば2012年9月、今回と同じ北京市朝陽区で行われた大規模反日デモは、基本的に当局シナリオに沿った「官製デモ」にすぎなかった。
【中国の江沢民元国家主席が死去、96歳】
30日、日経速報メール【北京=羽田野主】によると、中国の江沢民元国家主席が30日、上海で死去した。96歳。死因は白血病と多臓器不全の合併症だった。中国国営の新華社通信が伝えた。
江氏は1926年8月、江蘇省生まれ。上海交通大を卒業後、旧ソ連や長春などの工場でエンジニアとして勤務した。
85年に上海市長に、87年に上海市トップの市共産党委員会書記に就いた。89年の民主化を求める運動への強硬な対応が当時の最高指導者、鄧小平に評価された。天安門事件で失脚した趙紫陽に代わって党トップの総書記に就いた。
経済成長と軍の近代化を進め、97年の香港返還も平穏に乗り切った。外交面では米国など国際社会との安定した関係の構築に努めた。
日本との関係では98年の訪日時に歴史問題に固執し、日本国内の対中感情を悪化させた。中国国内で反日的な愛国教育を推し進めた。
総書記を胡錦濤に引き継いだ2002年の党大会では、自らが提唱した「三つの代表」思想を指導理念として党規約に盛り込んだ。かつて労働者と農民の党だった共産党に、多くの民間企業家が参加する道を開いた。
総書記引退後も、党の中央軍事委員会主席には04年9月までとどまり、強い影響力を維持し続けた。胡錦濤政権下では、引退してなお、胡氏に次ぐ事実上の党内序列2位の扱いを受けた。
江氏は、上海時代の人脈で築いた「上海閥」を権力基盤とした。同じ上海閥の曽慶紅・元国家副主席とともに、党老幹部の子弟ら「太子党」の後見役となり、習近平や失脚した元重慶市トップの薄熙来らを抜てきした。
習氏が党トップに就任後は江氏に連なる党幹部や軍人を反腐敗運動で次々と摘発し、江氏の影響力はそがれた。最後に公に姿が確認されたのは19年10月の建国70年の式典。天安門に立ち軍事パレードを眺めた。
【都心10億円マンション、現金一括で 海外の個人投資拡大】
12月1日の日経速報メールは次のように報じた。
海外のファンドだけでなく、富裕層も日本の不動産購入に動いている。日本の住宅用物件などを扱う仲介会社には台湾や香港、シンガポールなどアジアに住む個人からの問い合わせが急増。海外通貨に比べて円の割安感が続いていることもあり、個人の資金が流れ込んでいる。
米不動産サービス大手ジョーンズラングラサール(JLL)によると、2022年4~9月の海外勢投資家による日本の不動産への投資額は5000億円強と前年同期比8割増加した。日本への不動産投資全体に占める海外勢の比率は7~9月に49%とほぼ半分にのぼる。これまでファンドなどによる日本の不動産の購入が目立っていたが、円安を受けて個人の存在感も増してきている。
「六本木あたりに物件ありませんか?」。不動産仲介「INVASE」を運営するMFS(東京・千代田)には今春以降、海外個人客からの問い合わせが増えている。担当者は「ローンを組まずに現金ですぐに買いたいというアジアの客からの問い合わせが多い」と話す。
台湾不動産仲介大手の日本法人、信義房屋不動産(東京・渋谷)では台湾や香港、シンガポールなどの個人からの日本の物件の照会が急増。1~9月の成約件数は前年比56%増加した。7~9月だけでみると9割増で、足元でも引き合いが強い。金額ベースでは22年前半に200億円を超え、過去最高になったという。
何偉宏社長は「円安が一番大きな要因だ。投資用やセカンドハウスなどに加え、台湾と中国との緊張が強まったことで資産を逃がすための需要も増えた」と話す。
中華圏などの個人向けに日本の物件を紹介するボーンマーク(東京・中央)の桂小川社長も「円安がほぼ唯一の増加要因だ」と語る。同社では円相場の急落が始まった3月以降、中国などからの物件の問い合わせが急増。海外勢への案内件数は過去最高水準だという。同社が扱う物件で中国人から人気があるのは港区など一等地のタワーマンションの一室だ。
不動産仲介会社によれば、中国人は日本でローンを組む手段が限られることもあり、十数億円の物件の現金一括払いも珍しくないという。ある国内銀行は「投資用不動産向けの融資ニーズはアジアなどの外国人から強い。ただ中国人は、中国本土の法制度の問題から返済が滞ったときに強制執行できるか不透明で、実際に融資するのは難しいのではないか」と明かす。
円安だけでなく、取引のしやすさも魅力という。「日本は取引の透明性と安全性が高い」(信義房屋不動産)ほか、「流動性が高く、売りたい時に売りやすい」(ボーンマーク)のも投資が増えている理由のようだ。
国土交通省が公表する全国のマンション価格の指数は22年7月に前年同月比1割伸びた。一方、円相場は同期間に2割近く下落している。
海外機関投資家の関心も高い。JLLの内藤康二リサーチディレクターは「海外で利上げが進む中、日本は金利が据え置かれているため、借り入れコストが低い」と話す。利上げが続く韓国など「これまで対日投資をしてこなかった国の投資家も日本に関心を持ち始めている」という。
もっとも、海外の金利低下などで急激に円高に振れた場合、海外個人による日本の不動産買いは鈍る可能性がある。ボーンマークの桂社長は「日本の不動産そのものは安くなく、安いのは円だけ。円高になればブームが去るのは早いだろう」と話している。
【日本、スペイン破り16強 逆転勝利で再び世界驚かす】
2日の日経速報メール【ドーハ=岸名章友】によると、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会第12日は1日、1次リーグE組最終戦が行われ、日本がスペインを2-1で破り、同組1位で16チームで争う決勝トーナメント進出を果たした。
2大会連続の16強入りは初めて。5日午後6時(日本時間6日午前0時)からの決勝トーナメント1回戦で初の8強入りを懸け、F組2位で前回準優勝のクロアチアと当たる。
日本は前半に1点を先制されたが、後半の立ち上がりに堂安律(フライブルク)、田中碧(デュッセルドルフ)が立て続けにゴールを決めて2-1とひっくり返した。苦戦が見込まれたE組で勝ち点を6とし、2002年日韓大会以来となる首位通過を果たした。
試合後、日本の森保一監督は「アジアにとっても、ドイツ、スペインという世界最高峰の国に勝てたことは大きな自信につながる。まだ学ばなければいけないことはあるが、アジア、日本のサッカーは世界に勝てると、自信を持って喜びを分かち合いたい」と語った。
【出生急減、22年80万人割れへ 人口1億人未満早まる恐れ】
2日の日経ニュースメールは日本の出生数が急減している、として次にように報じた。2022年の出生数は初めて80万人を下回る公算が大きい。少子化が進むと年金や医療など現役世代が支える社会保障制度が揺らぐ。労働投入も減り経済の成長力が下がる。子どもを産み育てやすい環境整備が急務だ。
出生数は21年に過去最少の81.1万人となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で結婚や妊娠が減った。22年もコロナ禍が続き、出生減に歯止めがかからない。
厚生労働省の人口動態統計によると、過去1年の出生数(日本人のみ)は10月公表の5月時点(21年6月~22年5月)が79万8561人と、遡れる範囲で初めて80万人を割った。
22年1~6月の出生数は36万7232人と前年同期比で5.0%減った。外国人を含む速報値でみても、1~9月の累計は59.9万人と前年同期を4.9%下回った。過去10年の平均減少率は年2.5%ほどで、ペースは2倍に加速している。
【中国、ゼロコロナ「出口」に苦慮 浮かぶ段階的緩和】
2日晩の日経速報メールは次のように伝えた。
中国政府が新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策の「出口」を模索している。習近平指導部の威信を傷つけぬよう、段階的な緩和に動くシナリオが浮かぶが、全面解除なら感染爆発で200万人以上が死亡するとの試算もあり、道のりは容易ではない。
「ようやく営業を再開できた」。広東省広州市で飲食店を営む女性は喜ぶ。大半の地域で11月後半から店内飲食が禁じられていたが、市政府が緩和を決め1日から中心部で多くの飲食店が営業を再開した。車の交通量も目立って増えた。
中心部では多くの建物でそれまで求めていたPCR検査の陰性証明も不要になり、大半の検査所が撤去された。北京市でも1日、大型商業施設が相次ぎ営業再開を表明した。重慶市でも2日、高リスク地区以外の住民の外出を認め陰性証明なしでスーパーで買い物ができるようになった。
コロナ対応を担う孫春蘭副首相は1日、衛生当局での座談会で「(変異型ウイルス)オミクロン型の病原性の弱まりなどから、予防・抑制措置のさらなる適正化の条件が整った」と述べた。ゼロコロナ政策には一切言及しなかった。
衛生当局は11月11日に「20条措置」と呼ばれる緩和策を発表したばかりだが、現場レベルでの実行が遅れていた。26日以降には都市封鎖(ロックダウン)などへの不満を示す抗議活動が全国に広がり、一部は習近平国家主席の退陣や政治的自由の拡大まで求めた。
欧州連合(EU)高官によると、習氏は1日のミシェルEU大統領との会談で、抗議活動の理由を3年に及ぶコロナ禍で大学生らがストレスをためているためとの見解を示したという。習氏から政策見直しを直接意味する発言はなかったが、緩和の方向に向かうとの印象を得たという。
抗議活動が政権の安定を揺るがしかねず、習指導部はゼロコロナの軌道修正を探らざるを得ない状況にある。
ゼロコロナの全面解除には国産ワクチンの有効性と接種率の低さという壁が立ちはだかる。中国は国産ワクチンにこだわり、米欧製を調達していない。
世界保健機関(WHO)の専門家らは7月、有効性を比較した論文を発表。2回接種した香港の60歳以上の患者で重症・死亡を防ぐのに、米ファイザー・独ビオンテック製の有効性は約89%、中国のシノバック製は約70%と約20ポイントの差が出た。
高齢者のワクチン接種率も低い。中国国家衛生健康委員会によると、2回接種した人は60歳以上で約86%、80歳以上で約66%にとどまり、日米よりも低水準だ。
英医療調査会社エアフィニティは11月28日の報告書で「中国がゼロコロナを解除すると130万~210万人が死亡するリスクがある」との推計を示した。中国政府も4月、ゼロコロナを緩和した場合に「200万人の死者が出る」との試算値を公表した。
習指導部がゼロコロナに固執してきたのは徹底的な隔離で感染や死亡を抑え込み、プラス成長を維持した初期の成功体験があったためだ。目算が狂ったのは感染力の強いオミクロン型の流行だ。
【大学10兆円ファンド争奪戦に 44校応募検討、選定は数校】
3日朝の日経ニュースメールは次のように報じた。
政府が創設した10兆円の「大学ファンド」による支援獲得を巡る競争が激しくなりそうだ。日本経済新聞の調査に回答した157大学の3割に当たる44大学が申請を検討していると答えた。近く始まる公募で数校が選ばれる。国内大学は海外と比べ資金力で劣り国際競争力は低下している。ファンドの支援で教育・研究基盤の抜本強化を図る。
政府が創設した大学ファンドは「国際卓越研究大学」に選んだ数校を運用益で支援する。運用益の目標は年3000億円で、仮に5校に分配すれば年間支援額は1校で600億円になる。12月中に文部科学省が公募を始め、2023年秋ごろに最初の認定校が決まる。
日経新聞が9~11月、調査対象の大学の学長へのアンケートで卓越大への申請の意向を尋ねたところ、東北大、東洋大、名古屋大、早稲田大など9大学が「意向がある」と回答した。
また大阪大、慶応大、東京大、24年度中をめどに統合する東京工業大と東京医科歯科大など35大学が「申請を検討中」とした。国内の大学総数は約780校で、申請を検討する大学はさらに多い可能性がある。
助成の使途は優秀な研究者を招く人件費やスーパーコンピューターといった最新機器への投資、大学発スタートアップ支援などが想定される。申請を検討する国立大学の学長は「世界トップクラスの人材が集まる研究拠点を新たに整備したい」と語る。
対象校に認定された場合に期待される効果については「研究環境の改善」(40大学)、「国際競争力強化」(32大学)を挙げる大学が多かった。「国際的評価の向上で、より優秀な学生や教員を集められる」(早稲田大)といった声もあった。
【OPECプラス、原油減産維持を決定 日量200万バレル】
4日晩の日経ニュースメール【カイロ=久門武史】によれば、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は4日、現行の協調減産を維持すると再確認した。中国など世界の景気減速による原油需要の鈍化を警戒し、11月に始めた日量200万バレルの減産を今後も継続する。
5日にロシア産原油の輸入価格に上限を設ける主要7カ国(G7)の制裁が発動する。ロシア産の流通が滞る可能性があるが、今回OPECは増産で補う姿勢をとらなかった。対ロ制裁の効果を疑う見方もあり、供給や原油相場への影響を見極める構えだ。G7と欧州連合(EU)、オーストラリアは2日、1バレル60ドルの価格設定で合意している。
OPECプラスはオンラインで開いた閣僚協議後の声明で「必要があれば市場安定のため直ちに追加措置をとる」と強調した。次回の閣僚級会合を来年6月4日に開くとした。
OPECを主導するサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は11月21日「現行の日量200万バレルの減産は2023年末まで続く」と改めて表明していた。そのうえで「需給均衡のため減産のさらなる措置が必要な場合、常に準備はできている」と含みを持たせている。
国際エネルギー機関(IEA)は11月15日、G7のロシア産原油への価格上限設定について「多くの不確実性と物流上の課題」に懸念を表明した。OPECも11月の月報で「ロシアの生産に相当な不確実性が残る」としたが、かねて西側の対ロ制裁の帳尻合わせはしない立場をとってきた。
市場への影響力を高めるためOPECがロシアと協調する姿勢は鮮明で、サウジはバイデン米政権の増産要請にも応じてこなかった。ロシア大統領府によるとプーチン大統領は11月24日、OPEC主要国イラクのスダニ首相との電話で、ロシア産原油への価格上限について「市場の原理と矛盾し、エネルギー市場に深刻な結果をもたらす」と強調した。
今OPECが警戒を強めるのは、世界の原油需要の減速だ。OPECは11月、22年と23年の需要見通しを日量10万バレルずつ引き下げ、中国のゼロコロナ政策や欧州経済への逆風を理由に挙げた。
国際指標の北海ブレント原油先物は1バレル85ドル前後と3月の高値より4割安く、11カ月ぶり安値圏にある。最大の原油輸入国、中国で新型コロナ規制のため経済活動が再び停滞し、エネルギー消費が冷え込むとの見方が強まった。世界景気の減速による需要減への警戒もくすぶる。
市場は供給過剰に神経をとがらせている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが11月21日にサウジが増産を検討していると報じると、相場が急落し10カ月ぶり安値をつける場面があった。サウジは直後にこの報道を明確に否定した。
OPECプラスは10月の前回会合で、11月以降の原油生産を日量200万バレル減らすと決めた。世界需要の2%に当たる。大幅減産で世界景気減速への懸念から弱含む原油相場の下支えを狙ったが、インフレを警戒しロシアの戦費調達を阻みたい米国が強く反発した経緯がある。
【NHK会長に日銀元理事・稲葉延雄氏】
5日昼の日経速報メールは次にように報じた。
NHKの経営委員会は5日、2023年1月に任期満了となる前田晃伸会長(77)の後任に、日銀元理事の稲葉延雄氏(72)を選出した。同日午後に発表する見通し。前田氏は懸案だった受信料の引き下げに取り組んだものの、NHKはなお肥大化の懸念がある組織のスリム化や、受信料収入の減少への対応などの課題を抱える。稲葉氏は前田氏が進めたNHK改革を引き継ぐことになる。
稲葉氏は日銀のシステム情報局長などを経て04年に理事に就いた。08年に退任後、リコー特別顧問に転じ、同社の取締役会議長を経て現在はリコー経済社会研究所参与を務めている。
前田会長は23年1月24日の任期満了をもって退任する。NHK会長は経済界からの登用が続き、稲葉氏で外部出身の会長が08年以来6代続くことになる。
経営委員会(森下俊三委員長)は外部の有識者12人で構成する。経営委は7月に次期会長の指名部会を立ち上げ、選任基準や後任候補について協議を進めてきた。放送法は会長の選任には経営委員12人中9人以上の合意が必要と定めている。
前田氏はみずほフィナンシャルグループ(FG)社長としてメガバンクの経営を担った経験が評価され、20年からNHK会長に就任した。総務省から求められていた既存業務の効率化と受信料引き下げ、ガバナンスの三位一体の改革に取り組んだ。人事制度にメスを入れ、女性や若手管理職の登用を推進した。
稲葉延雄氏(いなば・のぶお) 1974年(昭和49年)東大経卒、日銀入行。2004年理事。08年リコー特別顧問。17年取締役会議長。現在はリコー経済社会研究所参与。静岡県出身。72歳。
【防衛費「5年で43兆円」、岸田首相指示 23年度から。年内に財源確保策、税制措置含め与党と調整へ】
5日午後の日経速報メールは次のように報じた。
岸田文雄首相は5日、2023年度から5年間の防衛費の総額を43兆円とするよう指示した。首相官邸で浜田靖一防衛相、鈴木俊一財務相に伝えた。現行の中期防衛力整備計画の5年総額27兆4700億円から5割以上増える。相手のミサイル発射拠点をたたく反撃能力の整備などにあてる。
「(防衛力の)抜本的な強化を進めるための必要な内容をしっかり確保するため与党とも協議しつつ積み上げで43兆円程度とする」と表明した。浜田氏が会談後に記者団に明らかにした。
首相は増額の財源を年内に確保することも求めた。歳出改革や剰余金・税外収入の活用、税制措置など歳出・歳入両面の具体的措置を年末に一体的に決めるよう要請した。
財源に関して首相は23~27年度だけでなく、その後も防衛力を安定的に維持するために必要だと説いた。鈴木氏は増税を検討する具体的な税目を記者団に問われると「ご指摘の内容も含めて与党と相談しながら年末に決定すべく調整を進めたい」と答えた。
法人税や所得税などが候補に挙がる。政府の有識者会議は11月22日に公表した報告書で「幅広い税目による負担」を指摘した。自民、公明両党はそれぞれの党税制調査会を中心に議論する。
浜田氏は5年で43兆円の規模について「防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準だ」と話した。
政府は月内に策定する「防衛力整備計画」に防衛費の総額を明記する。防衛省は当初「5年で48兆円ほど」を主張し、財務省などとの調整を経て43兆円を要求していた。
【サッカー日本、W杯8強逃す PK戦でクロアチアに敗れる】
6日の日経速報メール【アルワクラ=武智幸徳】によると、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会第16日は5日、ドーハ近郊アルワクラのアルジャヌーブ競技場などで決勝トーナメント1回戦が行われ、世界ランキング24位の日本は目標に掲げた初の8強入りを逃して敗退した。同12位で前回準優勝のクロアチアに、延長を終えて1-1からのPK戦で1-3で屈した。
日本は43分に前田大然(セルティック)が先制点を奪って前半を1-0で折り返したが、55分に追い付かれた。その後は両チームともに得点できないまま、延長戦でも決着しなかった。迎えたPK戦では1人目で失敗した南野拓実(モナコ)ら3人が相手GKに止められた。
日本は7大会連続7度目のW杯出場で、16強による決勝トーナメント1回戦で敗退するのは2002年、10年、18年大会に続いて4度目。
試合後、森保一監督は「(8強の壁は)今回も乗り越えられなかったが、選手は新時代を見せてくれた。これから先、日本のサッカーが最高の景色を願い続ければ、乗り越えられると強く思います」と語った。
【東芝の非公開化、国内連合が2.2兆円軸に買収提案】
7日夜の日経速報メールは次のように報じた。
東芝の再編案を巡り、優先交渉権を得ている国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が正式な買収提案を出したことが7日、分かった。日本企業十数社が出資し、足元の株価をもとにした2兆2000億円程度で全株を買い取って非公開化することが軸となる。東芝は再編案を検討する特別委員会で提案を受け入れるかを決める。
JIPは10月に優先交渉権を得て、詳細な資産査定をしながら提案の詳細を詰めていた。買収額は現状の時価総額(2兆2000億円)を軸とすることが盛り込まれているもようだ。
株式を買い取るTOB(株式公開買い付け)は、株価にある程度価格を上乗せして応募を促すことが多い。ただ東芝の株価は再編を織り込む形で、すでに高値で推移している。稼ぐ力という実力面でも半導体事業の先行きに不透明感がでており、足元の株価をわずかに上回る程度の提案になったとみられる。
円安下ではドル建ての価値は目減りする。上乗せがわずかなTOBに海外ファンドなどの株主が応募するかといった懸念はある。一方でこの価格を上回り、規制面で有利な日本勢中心の別の提案が短期間で出てくるかは不透明だ。JIP案以外に大株主の売却機会があるかなど、様々な要素を考慮しながらの検討となる。
買収資金については1兆円程度を日本企業から出資してもらう。中部電力やオリックスのほか、JIPも自ら1000億円を拠出する。十数社から出資する意向を取り付けた。複数の外資系ファンドは投資効果が低いとして参画を見送ったようだ。
残りは議決権を持たない形での出資や、金融機関からの融資で賄う。金融機関から融資を確約する「コミットメントレター」は7日時点で得られていないようだ。ただ今回の条件での非公開化を東芝が受け入れれば、月内に融資の手続きを完了できるように詰めの交渉をしている。
東芝は4月に設立した再編案を検討する特別委員会でJIPの正式提案を受け入れるか協議する。特別委員会は7人の社外取締役で構成されている。大株主であるアクティビスト(物言う株主)の幹部2人も含まれており、株主に推奨できる提案かを議論する。
非公開化によって企業価値向上につながるかだけでなく、財務や法務上の要件を満たしているか、改正外為法や各国の競争法といった規制に絡む実現可能性などが評価の基準となるとみられる。
東芝の株価は2021年春にCVCキャピタル・パートナーズが非公開化の初期提案をして以降、再編期待から高値で推移している。アクティビストが大株主となった、東芝の17年の第三者割当増資の発行価格は1株あたり2628円だ。
QUICK・ファクトセットによると大株主の米ファラロン・キャピタル・マネジメントの平均取得価格は約27ドル(約4100円)。3Dインベストメント・パートナーズは約32ドルで、簿価が変わっていないとすると現状の株価(7日終値で5118円)でも取得価格は上回る。
東芝は4月に株式非公開化を含む再編案の公募を始めた。JIPは官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)との連合で7月、2次入札に進んでいた。JICとはその後、連合を解消し、個別で応札していた。JICは7日時点での正式な提案は見送り、検討を継続する。
【日本電産・永守会長「価格と技術で中国勢に負けない」 世界経営者会議】
8日の日経速報メールは次のように報じた。
第24回日経フォーラム「世界経営者会議」(主催=日本経済新聞社、スイスのビジネススクールIMD、米ハーバード・ビジネス・スクール)が8日、東京都内の帝国ホテル東京で開幕した。日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は今後新規参入で競争が激しくなる電気自動車(EV)などの分野について「価格と技術で中国勢には負けない」と話した。
日本電産はモーターを中核に積極的なM&A(合併・買収)を進めており、特にEV向け駆動モーターシステムの開発に力を入れる。永守氏は「EVは価格は下がり、家電のように広がっていく。2025年が大きな分岐点となる」との見方を示した。
ホンダとEV事業を進めるソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長は「モビリティーの概念が変化する中、車載センサーなどIT(情報技術)やエンターテインメントで貢献したい」と述べ、EVを成長の柱と位置付ける方針を明確にした。
新型コロナウイルス禍からの回復途上にあるが、各企業は地政学リスクやサプライチェーン(供給網)の混乱、原料高や急激な為替変動、二酸化炭素(CO2)の削減など経営課題が山積している。
星野佳路・星野リゾート代表は「訪日外国人(インバウンド)に頼るだけではなく、日本人観光客にも目を向ける必要がある」と述べ、国内市場にはビジネスチャンスが眠っているとの意見を述べた。今後、「スモールマスマーケティング」と呼ばれる、若年層など一定の消費者がいる区分に異なる施策を打ち出していく考えを示した。
旭化成の工藤幸四郎社長は地球温暖化の原因であるCO2を活用する事業に取り組んでおり、「CO2を原料として活用する技術を磨き、サプライチェーン全体の温暖化ガスの削減に貢献したい」と話した。
【米中間選挙開票始まる 上院接戦、下院は共和優勢】
9日の日経速報メール【ワシントン=坂口幸裕】によれば、米中間選挙は8日夜(日本時間9日午前)、開票が各州で順次始まった。連邦議会下院は野党・共和党が4年ぶりに多数派を奪還する公算が大きく、上院は激戦になっている。与党・民主党が議会で多数派を失えば、任期が残り2年あるバイデン大統領は厳しい政権運営を迫られる。
中間選挙は4年に1度ある大統領選の2年後に実施される。任期2年の下院435議席すべてと、任期6年の上院100議席のうちおよそ3分の1にあたる35議席が改選対象だ。現在は上下両院で民主が多数派を握る。全米50州のうち36州で知事選も実施した。
AP通信の出口調査によると、東部時間8日午後10時半(日本時間9日午後12時半)時点で、下院の当選確実は民主55、共和95になっている。現時点で過半数の218には届いていないが、共和が優位に進めているもようだ。下院は現在、民主が220議席、共和が212議席を持つ。
上院の当選確実は民主が6、共和が12で、非改選議席を含めると民主が42議席、共和が41議席を確保した。米政治サイト、リアル・クリア・ポリティクス(RCP)の分析では、与野党が激しく競る東部ペンシルベニアや南部ジョージア、西部のアリゾナ、ネバダなど8州の勝敗が多数派の行方を左右する見通しだ。
現在の上院の構成は与野党が50対50で、上院議長を兼ねるハリス副大統領が1票を投じることができるため、かろうじて多数派を維持している状況。
選挙結果は2021年1月に就任したバイデン氏への事実上の審判の位置づけになる。24年の次期大統領選への再出馬に意欲を示すバイデン氏が率いる民主が上下両院で多数派を失えば、党内で遠心力が働く可能性がある。バイデン氏は8日、自身のツイッターで「あなたの声を届けよう。投票しよう」と呼びかけた。
経済に対する有権者の関心が高く、40年ぶりの歴史的な高インフレのさなかの選挙戦はバイデン氏が率いる民主に逆風となった。7日時点の政党支持率は民主が45.5%、共和が48.0%。9月下旬に共和が民主を逆転して以降は差が次第に広がった。
AP通信が6~8日に実施した出口調査によると、投票した有権者に米国が直面する最も重要な問題を聞いたところ、経済・雇用が47%と最多。次いで人工妊娠中絶、移民、気候変動がそれぞれ9%だった。
民主が議会の多数派を失えば政権運営は「より難しくなる」(バイデン氏)。予算や政策にかかわる法案成立に共和の協力が欠かせなくなり、大統領選をにらむ与野党の対立が一段と激しくなると想定されるため政策が滞るリスクが高まる。
共和からはロシアが侵攻するウクライナへの支援縮小論が出た。物価高などで生活が厳しくなった米有権者から多額の予算が同国に向かう現状への不満がくすぶるためだ。中間選挙に多数の推薦候補を送ったトランプ前大統領が掲げる「米国第一」とも共振し、バイデン政権が議会から対ロシア政策の再考を迫られるおそれがある。
郵便投票を含む期日前投票の利用者が過去最高を更新する見通しだ。米調査会社ターゲットスマートの調べでは、集計した8日午後時点で4300万人を超え、前回18年選挙の同時期より8%増えた。郵便投票などの集計に時間がかかり、大勢判明までに時間を要する事態も想定される。
【セブン、米ファンド・ヨドバシ連合にそごう・西武売却へ】
9日晩の日経速報メールは次のように報じた。
セブン&アイ・ホールディングスは百貨店子会社のそごう・西武を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する最終調整に入った。売却額は2000億円を超えるもよう。家電量販店大手のヨドバシホールディングスはフォートレスと連携し、東京・池袋や千葉にある百貨店内に出店するとともに、店舗不動産の取得などを通じて資金拠出する方向だ。セブン&アイは日米を軸にしたコンビニエンスストア事業に経営資源を集中する。
近く決定する見通し。セブン&アイはそごう・西武の全株式をフォートレスに売却する一方、そごう・西武子会社の生活雑貨店、ロフトはグループ内にとどめる。
関係者によると、フォートレスは西武池袋本店(東京・豊島)やそごう千葉店(千葉市)などの主要店舗にヨドバシを誘致する。ヨドバシは店舗不動産の一部を取得して営業するもようだ。
セブン&アイは年初からそごう・西武の売却手続きを進め、2次入札を経て優先交渉権を与えたフォートレスと条件を詰めてきた。フォートレスはソフトバンクグループ傘下の投資ファンドで、不動産会社のレオパレス21や国内ゴルフ場最大手のアコーディア・ゴルフ・グループへの投資実績がある。
セブン&アイは2006年に2000億円超でミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を子会社化した。専門店や電子商取引(EC)企業に顧客を奪われ、そごう・西武の店舗数は07年2月期の28店舗から10店舗に減った。22年2月期まで3期連続の最終赤字と業績低迷が続いている。豊富な品ぞろえで集客力のあるヨドバシを誘致することで、都心にある主要店のテコ入れにつなげたい考えだ。
ただ、西武池袋本店は現経営体制で改装計画が進んでいる。ヨドバシの出店に向けて、テナントの入れ替えや改装に伴う費用が発生する可能性がある。フォートレス・ヨドバシ連合によるそごう・西武再建は関係者との調整が今後も続く見通しだ。
セブン&アイは06年以降、ニッセンホールディングスやバーニーズジャパンを買収するなど総合小売り路線を進めてきた。ただ、最近はアクティビスト(物言う株主)がそごう・西武の株式売却を求めるなど、総合小売り路線の修正が課題となっていた。セブン&アイは懸案だったそごう・西武売却にめどを付け、今後は主力のコンビニ事業への投資を一層集中させる。
すでに21年5月には約2兆円を投じて米ガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」を買収しており、23年2月期決算では米コンビニの好調を受けて日本の小売業で初めて売上高が10兆円を超える見込みだ。
【ロシア国防相、ヘルソン州西岸からの撤退を命令】
10日昼の日経速報メールは次のように報じた。
ロシアのショイグ国防相は9日、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州のドニエプル川西岸からの軍の撤退を命じた。西岸地域にはロシアが2月の侵攻開始以来、唯一占領した州都であるヘルソンがあるが、攻勢を強めていたウクライナ軍に奪還される。ロシアは軍事的にも政治的にも大きな打撃を受ける。
タス通信によると、ショイグ氏は9日、軍事侵攻を指揮するスロビキン司令官に対し「軍撤退に着手し、兵員や武器などを安全に川の向こう(東岸)に移動させるようすべての措置を講じるよう」命じた。
これに対して、スロビキン司令官はショイグ氏に、できるだけ早く撤退を完了すると答えたうえで、ドニエプル川東岸で守備体制を固めると述べた。
欧米の支援を受けるウクライナ軍は10月下旬、ヘルソン州で多数の集落を奪還したと発表するなど、軍事攻勢を強めていた。9月中旬には東部ハリコフ州で占領されていた地域の奪還に成功しており、ドニエプル川西岸も奪還すれば、大きな戦果となる。
【旧統一教会の被害者救済新法成立 不当な寄付勧誘に罰則】
10日夕方の日経速報メールは次のように報じた。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者の救済に向けた新法や改正消費者契約法などが10日の参院本会議で可決、成立した。与党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成した。
宗教団体などの法人を対象に不当な寄付の勧誘を禁止し、違反を繰り返せば1年以下の懲役や100万円以下の罰金といった刑事罰を科す。
岸田文雄首相は10日、臨時国会の閉幕を受けた記者会見で「被害者が制度を利用しやすい環境を早急に整備する」と述べた。
与党が野党の修正要求の一部を受け入れ、10日の会期末までの成立にこぎ着けた。参院事務局によると本会議を土曜に開くのは前日から日付をまたいで審議した例を除き細川護熙政権の1994年1月以来。
新法は宗教法人などの団体が勧誘する際に「個人の自由な意思を抑圧しない」といった3つの「配慮義務」を定めた。配慮義務を怠った宗教法人などには行政機関が勧告し、従わなければ法人名を公表できる。
不当な勧誘による寄付に関し、最長10年間は取り消しを認める規定を設けた。子どもや配偶者が本人に代わって取り戻しやすくする。過去の被害額のほか子どもや配偶者が将来受けるべき生活費や養育費などを請求できる。
首相は国会答弁でマインドコントロール下にある人による寄付は「取り消し対象になる」と明言した。
同時に成立した霊感商法の被害を救済するための改正消費者契約法では霊感商法による契約を取り消せる期間を延長した。契約締結から5年、被害に気づいてから1年という規定をそれぞれ10年、3年に延ばした。
改正前の規定に基づく時効が成立していない契約は取り消し期間の延長を遡及して適用する。取り消せる霊感商法の範囲はこれまでの「不安をあおる」場合だけでなく「不安を抱いている」ことに乗じた手法に広げた。
【サイバー防衛で法整備、平時から攻撃元監視 防衛3文書】
11日早朝の日経速報メールは次のように報じた。
政府はサイバー攻撃を未然に防ぐための法整備に乗り出す。有事にならなければ対応できない現行法を改め、兆候段階でも攻撃元に監視、侵入などで対処する「能動的サイバー防御」を実現する。海外では平時から不審なアクセスをしてくるシステムの内部に侵入し必要ならデータを破壊している。経済活動への影響が大きくなっているのを踏まえ日本も対策を急ぐ。
憲法9条の専守防衛や21条の通信の秘密に沿って限定的だった日本のサイバー政策の転換点となる。電力や金融といった民間インフラの防御にも国が関与できる体制づくりを進める。
政府が10日に与党に示した国家安全保障戦略など防衛3文書の概要で明記した。3文書は月内に改定を閣議決定する。
新たな法整備は有事になる前に相手側のシステムの監視、侵入を可能にすることを念頭に置く。反撃して攻撃を無力化するといった行為に道を開く可能性がある。
2023年初めから与党で関連法改正や新法の議論を始める。国家安保戦略の骨子に「新たな取り組み実現のために法制度の整備、運用の強化を図る」と盛り込んだ。サイバー安保の対応力を「米欧主要国並みに強化」するとも言及した。
いまは日本が武力攻撃を受け自衛隊に防衛出動などが発令されない限り、攻撃の兆候だけを理由に相手のシステムを監視や侵入、反撃するのは難しい。
不正アクセス禁止法は攻撃元の組織のシステムに侵入してデータを消去したり取り返したりすることを違法とする。他人のIDやパスワードを入手し、本来は利用権限がない情報機器を動かすことなども禁じる。
ウイルスなどの作成を制限する刑法の規定に抵触する恐れがある。
ロシアによるウクライナ侵攻では政府機関や民間インフラを狙ったサイバー攻撃が相次いだ。日本の現体制では防げないとの見方が多い。
米欧のサイバー防衛は攻撃を未然に防ぐ「アクティブディフェンス(積極的防御)」を標準戦術とする。相手のネットワークやシステムへの侵入やデータやファイルの破壊を禁止していない。
骨子には「武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラなどに対する安全保障上の懸念を生じさせる攻撃の恐れがある場合」を想定し、被害が発生する前に悪意のあるソフトウエアを停止させることを含む「能動的サイバー防御」の導入を記した。
サイバー防御を指揮する司令塔機能を担う組織の新設に向け、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を発展的に改組する。
現在、事業者に委ねているインフラ施設の防護については「サイバー攻撃を受けた場合、政府から民間事業者への対処調整・支援の取り組みを強化する」と盛った。国際法に違反しないよう監視や反撃などで政府が動ける範囲を慎重に見極める。
国家安保戦略は台湾有事の可能性などを踏まえ、日本が自立した防衛体制をとれるよう13年12月の策定以来、初めて改定する。
政府は23~27年度の防衛費の総額を43兆円まで増やす。27年度には公共インフラや科学技術研究費なども含め現在の国内総生産(GDP)比で2%を達成する目標を持つ。
相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」を保有し、行使には米軍と協力する。米国に打撃力の役割を任せてきた戦後の安保政策を転換する。専守防衛を堅持し「必要最小限度の自衛措置」と位置づける。
反撃能力の手段として相手のミサイル基地へ届く長射程のミサイルを保持する。5年間で5兆円の予算を確保する。あらゆる空からの脅威に反撃も含めて対処する「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」への転換も掲げる。
中国の情勢認識は国家安保戦略で「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置づけ、中国の軍事行動を「深刻な懸念事項」とする案がある。自民党は自衛隊の作戦基盤となる「国家防衛戦略」に「脅威」と書き込むよう求めており与党で調整を続ける。
政府は国家安保戦略を実現するための「防衛力整備計画」に陸海空3自衛隊の部隊を一元的に指揮する「常設統合司令部」を創設する方針を書き込む。有事に指揮に専念する組織を設け、備えを万全にする狙いがある。統合司令部のトップになる司令官は米軍との調整役を担う。日米の一体運用を進める。
【防衛増税の財源に「復興所得税」案 政府・与党、法人・たばこ税も】
12日の朝日新聞夜ニュースレターは次のように報じた。
防衛費増額の財源について、政府は27年度には増税で年1兆1千億~1兆2千億円を確保する方針だ。増税の開始時期は24年度以降とし、27年度に向けて段階的に増税する。
特に議論を呼びそうなのが所得税だ。復興財源として税額に2・1%を上乗せしている「復興特別所得税」の仕組みを転用する方針。13~37年の25年間で約7・5兆円を確保する予定だ。この期間を延長した上で復興にあてる税率を引き下げ、その分を防衛財源として使えるようにする案が出ている。
岸田首相は「現下の家計を取り巻く状況に配慮し、個人の所得税の負担が増加するような措置は行わない」と明言し、追加の負担は生じないと説明する。ただ、実際は増税にほかならない。また、復興にあてる財源は期間延長によって減らさないとはいえ、被災地支援のために負担していた税の一部が実質的に防衛費増額に使われることに対しての反発もある。
大部分の負担を求める法人税の21年度の税収は約13兆円。仮に6%の上乗せを課すと単純計算で約8千億円になる。与党内は、中小企業の負担を減らす措置を求める声がある。ただ、6割の企業は欠損金(赤字)が生じており、もともと法人税を納めていない。
たばこ税は国税と地方税の2区分があり、国税分の税収は約1兆円。紙巻きたばこより割安となっている加熱式たばこの税額を引き上げる案がある。
防衛の財源をめぐって岸田首相は10日の記者会見で「5年後も安定した財源が不可欠。この点まで国債(借金)でというのは、未来の世代に対する責任として取りえない」と語った。
防衛のために国債を発行しないともとれるが、自民党の萩生田光一政調会長は「(今後の)5年間、財源はあらゆる選択肢を排除しない」と述べ、国債も視野にあることを強調した。
【ローカル線利用者「値上げやむなし」8割超 1万人調査】
13日の日経ニュースメール(地域再生エディター 桜井佑介)は次のように伝えた。
赤字路線「維持」87%、「廃止」12% 路線維持に理解
利用路線の赤字経営が続いている場合の存廃について聞いたところ、「(どちらかと言えば)維持すべきだ」は計87.7%に達した。一方、「(どちらかと言えば)廃止すべきだ」は計12.3%で、理由(複数回答)は「赤字が膨らめば公費負担を増やす懸念がある」(45.6%)が最多。「他の交通手段(マイカー含む)で間に合う」(42.9%)が続いた。
2022年はローカル線の存廃問題が大きく動いた。JR西日本、JR東日本が夏までに個別区間の赤字額を初めて公表し、JR東海を除く旅客5社が足並みをそろえた。国土交通省の有識者検討会は「輸送密度(1キロメートルあたりの1日平均利用者数)1000人未満」などの目安を示し、利用の少ない路線は存廃の協議に入るよう求めた。
今回の調査対象とした95社の多くが、JRなら存廃協議入りの目安とされた水準を下回る区間を抱えるとみられる。人口減の定着に新型コロナウイルス禍で拡大した在宅勤務も追い打ちをかけ、多くのローカル線は利用拡大に展望を開けていない。大多数の利用者による存続の支持が明らかになり、値上げを含めて経営の選択肢も増える。
「値上げなら廃線」2%どまり 経営難が広く浸透
利用するローカル線の運賃値上げに賛否を聞いたところ、計85.5%が「やむを得ない」と答えた。「初乗り50円未満の値上げなら」(35.3%)を筆頭に、「混雑時など特定の時間帯なら」(23.3%)が続き、初乗り50円以上の値上げ容認も計26%に達した。「値上げするなら利用をやめる、または利用頻度を減らす」は11.2%、「値上げをするくらいなら廃線にすべきだ」は2.0%にとどまった。
2022年は遠州鉄道(静岡県)などが運賃を引き上げ、23年以降の計画表明も相次ぐ。1987年の国鉄民営化後はJRが5回、私鉄大手が16回(消費増税分含む)にとどまっている値上げの環境は一変している。ローカル線経営の悪化が広く浸透し、値上げへの拒否反応が薄れた背景もある。
国交省の有識者委員会は、鉄道各社が柔軟な運賃体系を導入できる制度の検討も提言した。赤字が続く鉄道会社には経営改善のための自助努力を求める一方、人口減の現実を正面から受け止めて国が経営支援に本腰を入れる機運は小さい。ローカル線への国の政策については「非常に不満」「不満」が計4割を超え、最多の「どちらとも言えない・わからない」(47.3%)に迫った。
【核融合でエネルギー純増 米政府が「画期的成果」発表】
14日未明の日経ニュースメールは次のように報じた。
次世代のエネルギー技術として2040年代以降の実用化が期待される核融合の研究で飛躍的な進歩があった。米エネルギー省が13日、実験で核融合を起こすために投入した分を上回るエネルギーを取り出せたと発表した。脱炭素につながる夢の技術の重要な一歩になる。
核融合は太陽と同じ反応を地上で再現することから「地上の太陽」と呼ばれる。水素の仲間同士の原子核が融合する際に発生する大きなエネルギーを熱として発電などに有効利用する。理論上は1グラムの燃料から石油8トン分のエネルギーが出る。脱炭素の切り札になると期待の声が高い。
水素燃料の粒子をレーザーで照射する実験で、発生したエネルギーが投入量を上回る「純増」を初めて達成した。2.05メガジュールのエネルギーを供給したところ、1.5倍の3.15 メガジュールの出力が得られたという。21年夏時点では、得られたエネルギーは70%止まりだった。研究が加速している。
米エネルギー省のグランホルム長官は記者会見で「歴史に残る画期的な成果だ」と強調した。研究を重ねてきたローレンス・リバモア国立研究所のブディル所長は「核融合の実現の追求は最も重要な科学的課題のひとつだった。これは科学や工学、人類の勝利だ」と述べた。
まだ基礎的な実験の成功にとどまり、商用化がなお遠いことは変わらない。一時的な「点火」に成功しても、発電や熱利用には核融合反応を継続する必要がある。商用化には数十年かかるとみられている。グランホルム氏は「商用化を目指す野心的な10年戦略を立案する」と述べた。
核融合は大きく二つの方式がある。これまで日欧を中心に進めてきたのは、核融合に必要なプラズマ状態を磁場コイルでつくる「トカマク型」の研究開発だ。日米欧のほか中国やインドも参加する国際熱核融合実験炉(ITER)でも採用している。核融合の燃料になる水素の一種「トリチウム」を使ってエネルギーを取り出すには至っていない。
米国が発表したのはレーザー技術という別の方式だ。大阪大学でレーザー核融合を研究する重森啓介教授は「ITERのような国際プロジェクトはないが、個々の研究機関やスタートアップ企業との連携が盛ん。今回の成果で投資が集まり実用化が早まることもあり得る」と話す。
日本が原子力政策に盛り込んでいる核融合の実用化はITERの技術を前提にしている。米主導でレーザー型が先行すれば戦略の見直しを迫られる可能性もある。
核融合も放射性廃棄物が出る点は通常の原発と変わらない。世界では東京電力福島第1原子力発電所事故の後、原子力技術へ懐疑的な見方が強まった。電力源としての安全性や経済合理性は、再生可能エネルギーや蓄電池の技術とも競争になる。核融合の商用化へ乗り越えるべき課題はなお多い。
【NISA投資枠が年360万円に拡大、貯蓄からシフト加速】
13日未明の日経ニュースメールは次のように報じた。
少額投資非課税制度(NISA)の投資枠が2024年から合計360万円に広がる。政府・与党はつみたて型の年間枠を現行の3倍の120万円、一般型は2倍の240万円に拡大する。制度の恒久化と非課税期間の無期限化とあわせ、貯蓄から投資の流れを加速する。
政府はつみたてNISAと一般NISAの投資額を今後5年で合計56兆円に倍増させる目標を掲げた。口座数も2倍の3400万をめざす。制度の恒久化に加え、配当金などに税金がかからずに投資できる期間の無期限化、投資枠の拡大で後押しする。
つみたてNISAの現行の年間枠は40万円で、毎月の上限額は3万3333円だ。インターネット証券会社などからは「より多く投資したいという顧客ニーズに応えられていない」という声が出ていた。
一般NISAを衣替えする「成長投資枠(仮称)」の年間枠も現在の120万円から240万円に引き上げる。退職金などまとまったお金を投資に回しやすいようにする。
一般型は23年末に廃止し、つみたて投資した人だけが個別株に投資できる「2階建て」制度に移行する予定だった。複雑な制度が普及を阻みかねないため、この計画を撤回する。成長投資枠とつみたて型に同時に投資でき、使い勝手は良くなる。
自民党税制調査会には一般NISAの拡充に否定的な意見もあった。損失リスクの高い株式への投資に使われているとの指摘のほか、販売手数料目当ての証券会社による顧客の勧誘を問題視する声があった。リスクが高い監理銘柄や整理銘柄、償還までの期間が短い投資信託は対象から除外する。
非課税の生涯投資枠は1800万円とし、このうち成長投資枠は1200万円までとする方向で調整している。成長投資枠に300万円投資した人の場合、つみたて型は1500万円が上限となる。
株の配当金や投信の分配金などから得る資産所得は米欧に見劣りする。ニッセイ基礎研究所によると、日本の1人あたりの資産所得(19年)は1800ドル(約25万円)と7900ドルの米国の4分の1にとどまり、ユーロ圏の2600ドルも下回った。
投資を促す税制優遇の違いが大きい。米国や英国は家計金融資産のうち税制優遇制度を通して保有する資産が約2割あるが、日本は2%だ。
NISAが手本とした英国のISA制度は年間投資枠を2万ポンド(約330万円)としており、日本が上回る。
【見えてきたTSMC熊本新工場 主要4棟、投資1兆円】
13日午前、日経速報メールは次のように伝えた。
半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の日本への工場進出が決まってから1年あまり。熊本県菊陽町ではおよそ1兆円を投じる工場の建設が2024年12月の出荷開始に向け、急ピッチで進んでいる。巨大工場の全容が徐々に見え始めてきた中、地域の経済や雇用の底上げへの期待も膨らんでいる。
「工場の建設工事は非常に順調に進んでいる」。TSMC子会社で新工場を運営するJASM(熊本市)の堀田祐一社長は10月、建設現場を訪れた西村康稔経済産業相にこう説明した。通常なら3年くらいかかるような作業などを、1年半程度で済ませるとしている。
2022年春に着工したTSMCの新工場は敷地面積が約21.3ヘクタールと、東京ドーム4.5個分に相当する広さがある。このほど明らかになった工場の完成イメージによると、広大な敷地には4つの棟とガスヤード、従業員らが使用する駐車場などの施設ができる。
まずはJASMの本社機能などが入る「オフィス棟」がある。同社は現在、熊本市内に本社を置いているが、工場完成後は同棟に移る計画だ。「FAB棟」は工場を意味し、広大な敷地内でも最大規模の施設となる。クリーンルームをはじめ半導体製造を担うさままざな設備が入る生産現場となる。
【思わぬ転倒事故】
14日(水曜)の6時ころだったか、夕方の散歩の帰り、自宅マンション入口の小さな段差に足をとられて前のめりに転び、顔面を打った。若い頃に習った柔道のおかげで咄嗟に受け身を取ったものの、床に顔面を痛打した。
幸運が重なり、たまたま通りかかった世田谷区管内の救急車で近所の日本医科大学付属病院へ救急搬送され、治療と検査に4時間ほどかかり、右目の上と口内を3か所縫合して、釈放された。抜糸は1週間後、念のためとホルター式心電図の装着と検査を行い、2週間後の12月29日(木)に総合結果を聞きに行った。
これで平常の生活に戻れるかと思い尋ねると、「1ヵ月はかかるでしょう。……お年を考えてください」と宣告され、ハッと我が身に帰った。以降、ブログ記事に乱れや欠落等があるのは、このためである。
【トヨタ、愛知の工場で風力発電 自家消費型で国内最大級】
14日の日経ニュースメールは次のように報じた。
トヨタ自動車は2023年に愛知県の工場で風力発電の設備を稼働させる。高級車「レクサス」を生産する田原工場(愛知県田原市)に出力21.5メガワットの設備を整備する。工場内の電力消費に特化した「自家消費型」の風力発電としては国内最大級となる。トヨタが目指す35年までに世界にある全工場のカーボンニュートラル(温暖化ガスの実質排出ゼロ)を達成するための足がかりにする。
直径120メートル、高さで最高145メートルの風車を5基設置する。これらの設備を通じ、工場で消費する電力の15%以上をまかなう。年換算した発電量はおよそ43ギガワット時と、一般家庭約1万世帯分の電力使用量に相当する。
トヨタは15年ごろから計画の構想を始め、工場周辺の住民や鳥類に配慮する環境影響の評価を経つつ、仕様を固めてきた。当初は21年ごろの稼働を目指していたが、新型コロナウイルスの影響により工事が遅れていた。
田原工場の発電設備は国内の陸上風力発電所と比べても中規模のレベルとなる。「国内では、外部への売電を目的とせず、自前の工場向けに風力発電をする時点で珍しい。同様の事例では最大級の規模」(日本風力発電協会)という。
【ウクライナ攻撃ドローン部品に「メイド・イン・ジャパン」 なぜ転用】
15日の朝日新聞朝ニュースレターは次にように報じた。
ウクライナを攻撃するのに使われたドローン(無人航空機)の実物があるという。特別に取材できないか。ウクライナ軍から、取材に応じると連絡があったのは11月下旬だった。
ドローンは、首都キーウ中心部から離れた軍情報局の施設に保管されていた。ウクライナを攻撃するのに使われたドローン(無人航空機)の実物があるという。特別に取材できないか。ウクライナ軍から、取材に応じると連絡があったのは11月下旬だった。
ドローンは、首都キーウ中心部から離れた軍情報局の施設に保管されていた。
施設内の木の床に、大人の背丈ほどの白いドローンが転がっている。ある機体は先端が破壊され、ぱっくりと欠けていた。
別の機体は、エンジン部分に直径5センチほどの穴が開いていた。
目出し帽をかぶった軍情報局員が説明した。「ドローンはイラン製だ」とも付け加えた。目出し帽の男性は同局のドローン専門家という。
ロシアによるウクライナ侵攻で使われたドローンのうち、ウクライナ軍は、撃ち落とすなどして原形をとどめたものを保管し分析を進めている。
施設内の木の床に、大人の背丈ほどの白いドローンが転がっている。ある機体は先端が破壊され、ぱっくりと欠けていた。
別の機体は、エンジン部分に直径5センチほどの穴が開いていた。
目出し帽をかぶった軍情報局員が説明した。「ドローンはイラン製だ」とも付け加えた。目出し帽の男性は同局のドローン専門家という。
ロシアによるウクライナ侵攻で使われたドローンのうち、ウクライナ軍は、撃ち落とすなどして原形をとどめたものを保管し分析を進めている。
【ソニー、熊本に半導体新工場 数千億円投資】
15日晩の日経速報メールは次のように報じた。
ソニーグループは熊本県内に半導体の新工場を建設する検討を始めた。数千億円を投じてスマートフォン向けの画像センサー工場を建設し2025年度以降に稼働させる。世界的に画像センサーの需要が高まっているため、半導体の自国生産を強化する。ソニーは熊本に進出する台湾積体電路製造(TSMC)からセンサーに使う半導体を供給してもらう計画。近隣に工場を新設することで、センサー生産の一貫体制を構築する。
複数のサプライヤーや地元関係者に新工場建設の意向を伝えた。半導体事業会社のソニーセミコンダクタソリューションズの熊本工場(熊本県菊陽町)の近くで同県合志市が計画する新しい工業団地内を候補地として検討する。
早ければ24年に着工し25年度以降の稼働を想定する。世界的な景気後退への懸念から、ソニーは建設時期や投資の規模を慎重に見極める方針だ。
熊本の既存工場の近くでは半導体受託生産の世界最大手TSMCの製造子会社でソニーとデンソーも出資するJASM(熊本市)が新工場を建設中だ。同工場は24年末に稼働し、画像センサーに必要なデータを演算処理するロジック半導体を生産する。ソニーは25年から本格的にTSMCの新工場からロジック半導体の供給を受ける体制が整うことを踏まえて自社の新工場を設ける。
ソニーの熊本工場は画像センサーの主力拠点の一つでスマホや車載、産業向けのあらゆるセンサーをつくる。22年4月時点の従業員数は約3300人でソニーの半導体工場で最大規模だ。13日には米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が来訪するなど技術面での国際的な関心が高い。
ソニーはスマホのカメラや自動車の車載センサーなどに使われるCMOS(相補性金属酸化膜半導体)画像センサーの世界首位。
英オムディアによれば21年の金額ベースの世界シェアは44%と韓国サムスン電子(18%)を上回る。
スマホの出荷台数は成長が頭打ちながら高級機種向けではセンサーが大型になり搭載数も増える。人物やその動きを3次元(3D)データ化して自由な視点から見る新技術「ボリュメトリック映像」のほか、車向けの自動運転や省人化のニーズで工場など産業向けでも画像センサーの需要は増える。米ICインサイツは26年のCMOS画像センサーの世界市場が21年比3割増の269億ドル(約3兆6千億円)になると予測する。
【反撃能力保有を閣議決定 防衛3文書、戦後安保を転換】
16日午後の日経ニュースメールは次のように報じた。
政府は16日、国家安全保障戦略など新たな防衛3文書を閣議決定した。相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」を保有し、防衛費を国内総生産(GDP)比で2%に倍増する方針を打ち出した。国際情勢はウクライナ侵攻や台湾有事のリスクで急変した。戦後の安保政策を転換し自立した防衛体制を構築する。米国との統合抑止で東アジアの脅威への対処力を高める。
外交・防衛の基本方針となる安保戦略を2013年の策定以来初めて改定した。新たな国家防衛戦略と防衛力整備計画も決定した。岸田文雄首相は16日の記者会見で「現在の自衛隊の能力で日本に対する脅威を抑止し国を守り抜けるのか。十分ではない」と語った。
安保戦略は日本の環境を「戦後最も厳しい」と位置づけた。ミサイル発射を繰り返す北朝鮮や中国の軍事的な脅威にさらされており「最悪の事態も見据えた備えを盤石にする」と明記した。
米国は国際秩序を乱す動きに同盟国と一丸で対処する「統合抑止」を掲げる。自衛隊は今まで以上に米軍との一体運用が求められ、安保戦略で実現の道筋を示した。
反撃能力の保有は3文書改定の柱だ。「敵基地への攻撃手段を保持しない」と説明してきた政府方針を転換した。首相は16日「抑止力となる反撃能力は今後不可欠となる」と訴えた。
反撃能力の行使は「必要最小限度の自衛措置」と定め、対象はミサイル基地など「軍事目標」に限定する。国産ミサイルの射程をのばすほか、米国製巡航ミサイル「トマホーク」も購入する。
日米同盟のもと日本は「盾」、米国は「矛」の役割分担で反撃能力を米軍に頼ってきた。自衛隊のこれからの戦略は、迎撃中心のミサイル防衛体制から米軍と協力し反撃も可能な「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」に移行する。
サイバー防衛は兆候段階でも攻撃元に監視・侵入などで対処する「能動的サイバー防御」に言及し、法整備の必要性に触れた。日本のサイバー防衛は攻撃を受けた後の対応に重点を置く。米欧のような反撃の仕組みも整っていない。
3文書は陸海空の自衛隊と米軍との調整を担う「常設統合司令部」の創設を初めて盛り込んだ。中国を意識し自衛隊の「継戦能力」の強化も提起した。防衛装備品の部品や弾薬などの調達費を現行予算から2倍に増やす。
自衛隊の組織は沖縄方面の旅団を格上げする。台湾有事で重要となる空と海の自衛隊員を増やすため、陸上自衛隊から人員を2000人振り替える。宇宙防衛を強化する目的で航空自衛隊は「航空宇宙自衛隊」に組織改編する。
中国の現状認識を巡っては安保戦略に「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記した。沖縄県・尖閣諸島周辺での領海侵入などを踏まえ、現行戦略の「国際社会の懸念」から書きぶりを強めた。米欧の戦略と表現をそろえた。
防衛費は23~27年度の5年間の総額で43兆円に増やす。現行計画の1.5倍に相当する。27年度には公共インフラや科学技術研究費など国防に資する予算を含めて現在のGDP比で2%に近づける。
日本の防衛費は1976年に当時の三木武夫政権で国民総生産(GNP)比で1%の上限を設けた。それ以降はほとんど1%を超えてこなかった。米欧と同水準まで規模を広げて防衛力強化を対外的に示す。
日本政府は冷戦期の緊張緩和(デタント)を背景に76年に初めて「防衛計画の大綱」をつくった。当時掲げた均衡の取れた最小限の防衛力整備をめざす「基盤的防衛力構想」からの脱却をはかる。
首相は2023年1月に米国訪問を調整している。バイデン米大統領との会談で日本の防衛力強化の内容を直接伝える見通し。
【岸田首相「防衛力強化が外交の説得力に」 記者会見】
16日晩の日経ニュースメールは次のように報じた。
岸田文雄首相は16日、首相官邸で記者会見した。閣議決定した国家安全保障戦略など防衛3文書について説明した。「防衛3文書とそれに基づく安全保障政策は戦後の安全保障政策を大きく転換するものだ」と述べた。
「日米同盟を基軸とし、積極的な外交をさらに強化する」と訴えた。「日本に好ましい国際環境を実現するにはまず外交力だ。外交での説得力にもつながると考えて防衛力を整備している」と説いた。
「近年、国と国の対立、むき出しの国益の競争が顕著になった」と指摘し「グローバル化の中での分断が激しくなっている。分断が最も激しく表れたのがロシアによるウクライナ侵略という暴挙だ」と語った。
3文書は相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」の保有や、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比で2%まで増やす方針を盛り込んだ。
「27年度には抜本的に強化された防衛力と、それを補完する取り組みをあわせてGDPの2%の予算を確保する。そのための安定した財源を確保する」と話した。
財源に関して「今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきと考えた」と言及した。「戦闘機やミサイルの購入を借金でまかなうのが本当に良いのか、自問自答を重ねた。やはり安定的な財源を確保すべきと考えた」と、増税への理解を求めた。
「将来、国民に負担をいただくのが明らかであるのにもかかわらず、それを今年示さないのは説明責任を果たしたことにならない」とも説明した。
増税には法人、所得、たばこの3税を充てる方針を示した。法人税は本来の税率を変えず、納税額に特例分を足す「付加税」方式をとると説き「税率に換算すると1%程度だ」と強調した。中小企業に配慮し、対象は全法人の6%弱にとどまると触れた。法人税の増税は「余力のあるところにはできるだけ協力いただきたい」と呼びかけた。
同時に「来年から実施するわけではない。複数年にかけて段階的に実施し、開始時期などの詳細はさら 与党で議論を続け、来年決定する」と述べた。
東日本大震災の復興特別所得税については税率を1%下げて期間を延長する方針を示し「復興財源の総額は確実に確保する」と約束した。「息の長い支援を続けなければならない」と主張した。
GDP比2%の水準を巡っては「数字ありきの議論をしてきたことはない。総合的な防衛体制を強化するための経費を積み上げた。積み上げの考え方が大前提だ」と訴えた。
一方で「北大西洋条約機構(NATO)をはじめ、各国は安保環境を維持するために経済力に相応の国防費を支出する姿勢だ。国際社会の平和と安定を守る上で、国際社会の協力が重要だ」とも語った。
東日本大震災の復興特別所得税については税率を1%下げて期間を延長する方針を示し「復興財源の総額は確実に確保する」と約束した。「息の長い支援を続けなければならない」と主張した。
GDP比2%の水準を巡っては「数字ありきの議論をしてきたことはない。総合的な防衛体制を強化するための経費を積み上げた。積み上げの考え方が大前提だ」と訴えた。
一方で「北大西洋条約機構(NATO)をはじめ、各国は安保環境を維持するために経済力に相応の国防費を支出する姿勢だ。国際社会の平和と安定を守る上で、国際社会の協力が重要だ」とも語った。
防衛戦略の転換を憲法の範囲内で進める意向も示した。「非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての日本の歩みは今後とも不変だ」と明言した。
「我々一人一人が主体的に国を守るという意識を持つことの大切さはウクライナの粘り強さがよく示している」と強調した。「未来の世代に責任を果たすために国民の皆様のご協力をお願いする」と協力を求めた。
政府・与党の決定過程に関しては「3文書、防衛力の抜本強化は1年以上にわたる丁寧なプロセスがあり、問題があったとは思っていない」と振り返った。「財源は考え方を示した上で、自民、公明両党の税制調査会に結論を出してもらった。それに基づいて閣議決定した」と説いた。
日米ガイドラインの変更を巡っては「現時点で何ら決まっていることはない。日米間のあらゆるレベルで緊密な協議を進める」と述べるにとどめた。
首相は自衛隊の能力について「率直に言って現状は十分ではない」「防衛体制が質・量ともに十分なのかという点が議論の背景にあった」と紹介した。「脅威が現実となったときに、現在の自衛隊の能力でこの国を守り抜けるのか。極めて現実的なシミュレーションをした」と言及した。
北朝鮮による相次ぐミサイル発射などを挙げ「相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる反撃能力は不可欠となる能力だ」と力説した。「歴史の転換期を前にしても国家、国民を守り抜くとの首相としての使命を断固として果たしていく」と訴えた。
反撃能力の行使に関して「相手からのミサイル攻撃を受けた場合という定義付けか」との質問が挙がった。首相は「安全保障の機微に触れる」と回答しなかった。
政府は今後5年間の防衛費を現行計画のおよそ1.5倍の43兆円程度に増やす。首相は防衛力の強化で「武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる」と明言した。
南西諸島を守る自衛隊の部隊を倍増し、輸送機や船舶を増強すると表明した。「有事の際の国民保護の観点から重要だ」と説明した。海上保安能力の向上などで「総合的な国力を活用し、日本を全方位でシームレスに守っていく」と唱えた。
中国の軍事動向について「国際秩序を強化する上での挑戦と認識している」と指摘した。日中が安定的で建設的な関係を構築することが「国際社会の平和と安定に不可欠だ」と話した。
防衛装備品の輸出促進も訴えた。「重要な政策ツールだ。防衛産業の基盤の維持・強化にも効果的だ。移転三原則、運用指針をはじめとする制度の見直しは与党と調整して結論を出さなければならない」と主張した。
防衛力強化の意義を「円滑な経済活動に直接資する」とも表現した。シーレーンの確保やサプライチェーン(供給網)の維持のほか、抑止力の強化で市場のかく乱リスクが減ると例示した。
防衛装備品の輸出促進も訴えた。「重要な政策ツールだ。防衛産業の基盤の維持・強化にも効果的だ。移転三原則、運用指針をはじめとする制度の見直しは与党と調整して結論を出さなければならない」と主張した。
防衛力強化の意義を「円滑な経済活動に直接資する」とも表現した。シーレーンの確保やサプライチェーン(供給網)の維持のほか、抑止力の強化で市場のかく乱リスクが減ると例示した。
自民党が防衛増税を巡る首相発言を修正したことについて、実際には「今を生きるわれわれが未来の世代に責任を果たすためにご協力をお願いしたい」と発言していたと主張した。
党は当初「今を生きる国民が自らの責任として、しっかりその重みを背負って対応すべきだ」との発言を紹介していた。
首相秘書官が訂正を要請した経緯を巡っては「事務的なミスが原因だ」と語った。発言の趣旨については「私たちの世代が責任を果たしていくことの大切さを訴えた」と説明した。
経済政策に関して国内への民間投資を増やす策を問われると「22年度第2次補正予算で7兆円規模の戦略的な投資支援を盛り込んだ」と紹介した。経済安保やサプライチェーンの安定性などの面で「投資先としての日本の魅力は高まっている」との認識を示した。
「今議論しているのは、国民の命、暮らし、事業を守るために日本の防衛能力を抜本強化する、こうした話だ」と語った。「賃上げや設備投資は岸田政権の経済政策の最重要課題だ」と、経済界に理解を求めた。
【安保政策転換、問われる優先度 防衛3文書に映る課題】
17日午後の日経ニュースメールは次のように伝えた。
政府は防衛3文書に新装備の導入や自衛隊の体制拡充を盛り込んだ。サイバー防衛の具体策を詰めるのは2023年以降で、反撃能力の手段である長射程ミサイルの配備は最短で26年度になる。北朝鮮など現実的な危機が迫るなかで、政策の優先度と実行力が問われる。
岸田文雄首相は16日の記者会見で3文書改定の重要項目として反撃能力やサイバーなど新領域への対応を挙げた。「日本の能力を量・質両面で強化する」と説明した。
3文書はサイバー空間で攻撃兆候の探知や発信元の特定をして事前対処する「能動的サイバー防御」に初めて触れ、導入を明記した。
政府はこれから①攻撃を受けた民間企業による政府への情報共有②通信事業者が持つ情報の活用③相手システムに侵入する権限の付与――の3点を検討する。
実現には憲法21条の「通信の秘密」との整理や法改正が不可欠だ。
事業者が保有する通信網の情報を使えば攻撃元が探知しやすくなる。相手システムへの攻撃も可能になれば重大な被害を未然に防げる。
米欧の主要国はサイバー防衛で先行する。重要インフラの停止など脅威度が増すサイバー攻撃への対応は優先度が高いと考えるためだ。
政府は23年にも内閣官房にサイバー防衛の司令塔を新設し、どこまで情報の活用が可能か議論に入る。慶大の神保謙教授は「能動的サイバー防御の導入方針は画期的だが、法整備に数年はかかるだろう」と語った。
人員の確保も課題だ。自衛隊は27年度までに専門人材を現在の4倍以上の4000人規模に増員する。民間からの登用には情報の保秘体制や報酬の面で壁がある。優秀な人材は民間企業との奪い合いになる。
新防衛3文書が「最優先課題」に掲げたのは戦闘機や艦艇の修理などに使う部品と弾薬の備蓄拡大だ。自衛隊は部品不足が常態化し、装備の稼働率は5割強しかない。
他の機体向けに部品を流用する「共食い」整備は航空自衛隊だけで年3400件もある。防衛省は23~27年度に投じる単体予算43兆円のうち9兆円をかけて5年以内にこうした状況を解消する。
弾薬は中長期の戦闘に十分な量に足りていない。備蓄の7割は北海道に偏在し、台湾有事で影響が避けられない南西諸島の防衛に不安が残る。
「有事になれば戦えずに負ける」との声さえあがる状況の是正が急務だが、火薬庫を新設するための地元自治体との調整は難航しがちだ。
能力強化を巡っても課題は山積する。代表例は相手の脅威圏外から撃つ長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」。相手のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力の手段にもなる。
中国やロシア、北朝鮮が力を入れる極超音速ミサイルを遠方で迎え撃つ技術は現時点でない。
地上に落下する局面では最新鋭の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)や迎撃ミサイル「SM6」などで撃ち落とせるが、防御範囲は限られている。
大気圏外を放物線を描いて飛ぶ弾道ミサイルと異なり、高度100キロメートル以下を方向を変えながら飛ぶ極超音速弾に対処する迎撃弾がなければ、抑止力は十分といえない。
通常の弾道ミサイルも同時に多数を撃ち込まれればすべてを撃ち落とすのは難しい。迎撃一辺倒では守り切れなくなった現実を踏まえ、日本へ撃てば反撃を受けると認識させて攻撃をためらわせる抑止力を早期に備える必要がある。
反撃能力、配備は2026年度
反撃能力の保有は「時間との戦い」ともいわれる。戦闘で使われた実績がある米国製巡航ミサイル「トマホーク」を購入しても護衛艦への配備は早くて26年度だ。しばらくは抑止力に穴がある状態が続く。台湾有事のリスクが高まるとされる24年の台湾総統選後には間に合わない。
中長期の抑止力は極超音速ミサイルの開発が左右する。米国も未開発の段階で、日本が国産の「極超音速誘導弾」を完成させるのは30年代になる想定だ。
ロシアはすでに極超音速滑空兵器(HGV)を配備し、中国もHGV搭載可能な弾道ミサイル「東風(DF)17」の運用を始めたとされる。
北朝鮮も極超音速ミサイルと称し発射を繰り返す。新型ミサイルに限れば東アジアの軍事バランスはすでに崩れた。
限られた予算の中で抑止力強化に効果的な装備や分野を厳選する「賢い支出」という視点は欠かせない。
防衛力に完全はなく、体制拡充を求めればキリがない。現実の脅威に対処する方策を見定めつつ、費用対効果を同時に検証する作業が求められている。
【ゼロコロナ転換の中国、感染急拡大 息を潜める北京】
18日午後の日経ニュースメールは次のように伝えた。
新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を大幅に緩和した中国では、首都北京などが感染爆発の様相を呈している。オフィスの出勤者や繁華街の人出は激減し、まだ感染していない市民は外出を控えている。専門家は「来年1~2月に感染のピークを迎える」と予測、医療資源の不足もあり混乱は当面続きそうだ。
「家にこもり、在宅勤務をする生活が3週間も続いている」。北京の女性会社員、李さん(34)は嘆く。「多くの知人がすでに感染したが、自分はまだ。外出するのがとにかく怖い」と不安を語った。
普段は観光客や買い物客でごった返す北京の代表的な繁華街「王府井大街」は17日、通行人はまばらで、商業施設は閑散としていた。「北京オフィスの従業員のうち半分以上がコロナに感染しているか、感染の疑いがある」(日系製造業幹部)。出社する従業員は全体の2割以下という。
中国政府は7日にゼロコロナの大幅な緩和策を発表し、流行地域での全住民を対象としたPCR検査を停止、集合住宅などの封鎖も大幅に減らした。14日には、無症状感染者の人数公表を取りやめた。
共産党系メディア環球時報の元編集長、胡錫進氏は15日「非公式の推定値では、北京は10日間ほどで数百万人が感染した」とSNS(交流サイト)に投稿した。北京の総人口は約2200万人で、少なくとも1割以上が感染した計算だ。
中国政府の公式統計では12月4日以降、コロナ関連の死者はゼロだが、水面下で高齢者を中心に増えている可能性がある。北京のある葬儀場は16日、日本経済新聞の取材に「以前よりも葬儀の件数が増え、順番待ちの状態だ。早くとも26日になる」と答えた。
広州にある葬儀場の関係者も「ゼロコロナの緩和前、搬送される遺体は多くても1日50人だったが、最近は毎日100人を超える」と話した。取材に訪れると、約30あるホールのほぼすべてが利用中か準備中だった。遺族とみられる人たちや、青い防護服を着た係員の姿が目立った。
ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するライアン氏は14日、中国では7日の政策転換前から感染の急拡大が進んでいたとの見方を示した。
最大の経済都市、上海の市当局は19日から小中学校と高校で大半の授業をオンラインとすることを決めた。幼稚園や保育所も同日から受け入れを停止する。
河南省鄭州市にある、米アップルのスマートフォン「iPhone」の生産を請け負う台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の鄭州工場。報道によると、感染増加の影響などから同工場で働く従業員数はフル生産時の40~50%程度にとどまる。
複数の関係者によると、主な日系企業では武漢の拠点で従業員の3~4割が、大連でも従業員の2~3割が感染した。
重慶では病院の発熱者向け診療窓口に行列ができている。解熱剤や体温計、自宅で使用する検査キットなどを薬局やネット通販で購入する人が各都市で急増し、品不足の状態が続いている。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト、フイ・シャン氏らは16日のリポートで感染状況は「12月下旬から1月上旬に感染のピークを迎え、1日の感染者数は500万人~1300万人に達する」と推計した。環球時報によると、武漢でコロナ対策にあたった天津中医薬大学の張伯礼名誉校長も16日「来年1~2月に感染のピークを迎える」と述べた。
人口14億人の中国では、人口当たりの医師数や病床数の不足、米欧に比べて低いワクチンの有効性や接種率がかねて不安視されてきた。当局は高齢者を中心にワクチン接種を急いでいる。
香港大の専門家らが14日に発表した論文によると、ワクチン接種が進み治療体制が改善した場合、中国のコロナ死者数は約63万~約70万人、対策が現状維持にとどまる場合は約96万人が死亡すると推計される。
英医療調査会社エアフィニティも11月28日の報告書で「ゼロコロナを解除すると130万~210万人が死亡するリスクがある」との推計を示していた。
国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「これまでに感染して免疫をもった人が少ない状況で対策を緩めたため、一気に広がるのは仕方がない。医療機関の受け入れ態勢が整っておらず、高齢者の重症化率や死亡率が高くなることが懸念される」と話す。
「自主的に接触機会を減らす取り組みは有用だが、行動制限はこれ以上長続きしないだろう。国外のワクチンを受け入れることも検討すべきだ」とも指摘した。
【マスク氏は「トップ退くべき」 Twitter投票で過半に】
19日の日経速報メール【シリコンバレー=白石武志】によると、米ツイッターを買収した起業家のイーロン・マスク氏が同社のSNS(交流サイト)上で実施していた自らの進退に関するアンケートの結果が19日、まとまった。ツイッターの「トップを退くべき」との回答が全体の過半数となった。マスク氏は投票結果に従う意向を示しており、退任すればガバナンス(企業統治)の不透明さが増すことになる。
マスク氏は「ツイッターのトップから退くべきか? 投票結果に従う」と投稿し、「はい」か「いいえ」の二択で回答するよう促すアンケートを実施した。締め切り時間の米西部時間19日午前3時すぎまでに1700万件を超える回答があり「はい」と答えたのが全体の57.5%、「いいえ」は42.5%だった。
大企業のトップが自らの進退をSNSの利用者らの投票によって決めるのは異例だ。マスク氏がツイッターのほぼすべての株式を保有する状況には変わりなく、同氏が最高経営責任者(CEO)を退任することになれば経営の混乱に拍車がかかる可能性もある。
マスク氏は2021年の米連邦議会議事堂襲撃事件を機に永久凍結したトランプ前米大統領のアカウント復活を判断するにあたってもツイッター上でアンケートを実施していた。マスク氏はアンケートによる多数決が「万能」であるかのように語るが、米メディアではSNS上の偏った意見が反映されるなどの課題が指摘されている。
マスク氏は10月27日に総額440億ドル(約6兆円)でツイッターの買収取引を完了し、同社のCEOに就いた。人員削減などで大なたを振るう一方、性急な経営判断を繰り返して混乱を招いていた。
先週には他人の位置情報の共有に関連する規約を変更し、米大手メディアを含む一部のジャーナリストらのアカウントを一時凍結した。マスク氏は「自らの居場所をさらして家族に危険をもたらした」と主張したが、報道の自由を脅かしかねない行為には各国・地域の規制当局からも批判があがっていた。
マスク氏は自らの進退に関するアンケートの実施に先立ち、「今後は大きな指針の変更に際しては投票を実施する」と投稿していた。
【戦争「武力以外が8割」 サイバー防衛、日本は法整備脆弱】
20日朝の日経ニュースメールは次のように報じた。
銃弾やミサイルが飛び交うウクライナ侵攻の裏で、世界はサイバー戦争の脅威に震撼(しんかん)した。日本政府は16日に防衛3文書を改定し、ようやくサイバー防衛を強化する方針を示した。実際に国民を守るには法制度や人材、装備を急いで用意しなければならない。
2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻はその40日ほど前に「開戦」していた。3波に及ぶ大規模なサイバー攻撃だ。まず1月13~14日。「最悪の事態を覚悟せよ」とウクライナの70の政府機関でサイトが書き換えられた。
2月15日は国防省や民間銀行が標的になる。大量のデータを送りつけてサーバーを止める「DDoS攻撃」だった。第3波は侵攻前日の2月23日。政府機関や軍、金融や航空、防衛、通信など官民のインフラ全般が攻撃を受けた。

ロシアには成功体験がある。2014年のクリミア併合だ。侵攻前にウクライナへのサイバー攻撃で通信網を遮断し、官民の重要機関も軍の指揮系統も機能不全にした。ウクライナ軍は実際の侵攻時に対抗できず、短期間でクリミア半島の占拠を許した。
「非軍事的手段と軍事的手段の割合は4対1だ」。いまもロシア軍を指揮するゲラシモフ参謀総長はクリミア併合前の13年に予告した。現代戦はサイバーや外交、経済などの非軍事面が8割を占めるという意味だ。
14年の例を踏まえれば今回もすぐに首都キーウ(キエフ)が陥落しかねなかった。国防費は10倍、陸軍兵力も倍以上とリアルの戦力も大差がある。にもかかわらず泥沼は10カ月も続く。
米欧の武器支援は大きいが、主に春以降だ。序盤にウクライナが持ちこたえたのはゲラシモフ論の「5分の4」に入るサイバーの力が大きい。
ロシアは14年以降もサイバー攻撃を続けていた。15、16年は電力インフラを攻撃し大規模停電を引き起こした。17年は強力なマルウエア「NotPetya」の攻撃がウクライナを通じて米欧にも被害を与えた。
もともとウクライナの通信機器はロシア製が多く「バックドア」と呼ばれる侵入路があった。侵入路から米国に打撃が及ぶと、米政府や米マイクロソフトがウクライナの支援に乗り出した。
防衛策をとる過程でロシア製機器は排除し、米国の盾を獲得した。世界最先端ともいわれたロシアの攻撃に対処し続けた結果、防衛の経験と技術も向上した。今回の3波攻撃が致命傷にならず、ウクライナ軍も機能したのはそのためだ。
「発覚から3時間以内で対処した」。米マイクロソフトは2月末、今回のロシアによるサイバー攻撃について発表した。攻撃前からロシア内の動向を監視しなければ無理な対応といわれる。
同社はロシアが侵攻後に日本を含む40カ国以上のネットワークに侵入を試みた、と6月に公表した。「まず検出能力を養うことだ」と強調した。
日本に力はない。「日米同盟の最大の弱点はサイバー防衛。日本の実力はマイナーリーグ、その中で最低の1Aだ」。デニス・ブレア元米国家情報長官は提唱する。元海将の吉田正紀氏は「サイバーは日米で最も格差がある。日本も能力を急速に上げるべきだ」と語る。
9月には日本政府の「e-Gov」や東京地下鉄(東京メトロ)、JCBなどがDDoS攻撃を受けた。親ロシアのハッカー集団「キルネット」が犯行声明を出した。
折しもロシアは極東で中国などと大規模軍事演習をしていた。仮想敵「東方」から土地を奪還する想定で、サイバーとリアルを連動させたと映る。
中曽根康弘世界平和研究所の大沢淳主任研究員は「日本政府は『ロシアの軍事演習の一環』と分析していなかった」と指摘する。「日本は攻撃者や背景を特定できない」とも話す。サイバーも「専守防衛」で攻撃を感知してから対処する。サイバー防衛は「国の責務」とも規定していない。
世界的には異例だ。各国は海外からの通信を監視して攻撃者を特定し対抗措置をとる。「アクティブ・サイバー・ディフェンス(積極的サイバー防衛)」という。
12月16日に日本政府が決めた国家安全保障戦略には「能動的サイバー防御」が記されたが具体化は23年以降になる。憲法21条は「通信の秘密」を規定する。外国との通信を監視するなら電気通信事業法の改正が要る。
攻撃元の特定には経由したサーバーをさかのぼる「逆侵入」や「探知」が必要だが、不正アクセス禁止法や刑法の改正が前提になる。いまウクライナのような攻撃を受けても盾はない。無防備で国民の安全は守れない。
【送電網、10年で1000万kW増 北海道―本州に海底線新設】
19日の日経ニュースメールは次のように報じた。
政府は今後10年間で原子力発電所10基の容量にあたる約1000万キロワット分の広域送電網を整備する。過去10年の8倍以上のペースに高める。太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電気を無駄にせず、地域間で効率よく融通する体制を整える。脱炭素社会の重要インフラとなるため、事業主体の電力会社の資金調達を支援する法整備も急ぐ。
岸田文雄首相が近くGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で整備計画を表明する。
日本は大手電力会社が地域ブロックごとに事業をほぼ独占し、競争原理が働きにくい状態が続いてきた。2011年の東日本大震災では広域で電力をやりとりする送電網の脆弱さがあらわになった。

大都市圏が夏冬の電力不足に直面する一方、九州では春に太陽光発電の出力を抑えるといった事態が続いている。50年の脱炭素には再生エネの発電に適した北海道や九州の電気を、東京や大阪に送って消費する体制が欠かせない。ウクライナ危機でエネルギーの供給不安も高まった。地域間の連系線の抜本的な強化を急ぐ。
新たに日本海ルートで北海道と本州を結ぶ200万キロワットの海底送電線を設ける。30年度の利用開始をめざす。30年度の発電量のうち、再生エネの割合を36~38%にする政府目標の達成に必要とみている。九州―本州間の送電容量は278万キロワット増やして、556万キロワットにする。
27年度までに東日本と西日本を結ぶ東西連系線は90万キロワット増の300万キロワットに、北海道―東北間は30万キロワット増の120万キロワットに、東北―東京エリア間は455万キロワット増の1028万キロワットに拡大する。
東西連系線については28年度以降、さらに増強する案もある。
過去10年の整備量は東西連系線と北海道―東北間であわせて120万キロワットにとどまっていた。今後10年間は8倍以上に加速させる。
巨額の費用の捻出は課題となる。北海道―本州間の海底送電線は1兆円規模の巨大プロジェクトで、九州―本州間の連系線は約4200億円を要するとみている。
電力会社を後押しするため、資金調達を支援する枠組みを整える。いまの制度では送電線の整備費用を電気料金から回収できるのは、完成して利用が始まってからとなる。
それまでは持ち出しが続くため、投資に及び腰になりかねなかった。必要に応じて着工時点から回収できるように改める。23年の通常国会への関連法案の提出をめざす。
例えば、海底送電線の建設期間中に計数百億円規模の収入を想定する。初期費用の借り入れが少なくて済み、総事業費の圧縮にもつながると期待する。
50年までの長期整備計画「マスタープラン」も22年度内にまとめる。原案では北海道―本州間の海底送電線を3兆円前後で計800万キロワットに、東西連系線は4000億円規模で570万キロワットに増強する。50年までの全国の整備費用はトータルで6兆~7兆円に上ると見込む。
【日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に 事実上の利上げ】
20日昼の日経速報メールは次のように報じた。
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する。20日から適用する。長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げとなる。変動幅の拡大は21年3月に0.2%から0.25%に引き上げて以来となる。
黒田東彦総裁が20日午後に記者会見を開き、決定内容を説明する。
歴史的なインフレで海外の中央銀行が利上げに動くなか、日本の国債金利にも上昇圧力が強まっていた。日銀は金融政策で長期金利を人為的に押さえつけていたが、市場機能の低下が懸念されてきた。
日銀は「こうした状況が続けば企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす」として、従来、0%からプラスマイナス0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%程度に拡大することを決めた。マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)の買い入れ方針、政策金利のフォワードガイダンス(先行き指針)は据え置いた。
日銀は同日、長期国債の購入額を従来の月7.3兆円から月9兆円程度に増額すると発表した。購入予定の金額についてもレンジで示す形式に変更、より弾力的に購入額を決められるようにする。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に毎営業日購入する「連続指し値オペ」の利回りも0.5%に引き上げる。
日銀は黒田総裁就任直後の13年に「2%の物価安定目標を、2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現する」ことを目的に大規模緩和を始めた。日銀が世の中に供給するお金を2倍に増やすことを目的に、国債やETFの保有額を2年間で2倍に拡大する方針を掲げた。
ただ消費増税やエネルギー価格の下落などを要因に、物価安定目標の未達が続いてきた。16年には総括的検証で政策目標をマネタリーベースから金利へと切り替えた。このとき、短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を導入した。
金融緩和をより長く続けるため、政策目標を量の拡大から金利へ戻す狙いがあった。その後、日銀は長期金利の変動許容幅を0.1%から0.25%に段階的に拡大してきた。
インフレを抑制するために欧米が利上げに動くと日本の長期金利にも上昇圧力がかかったが、許容幅の引き上げは「事実上利上げとなり、日本経済にとって好ましくない」として、市場で金利を押さえつけてきた。もっとも、日米の金融政策の方向性の違いを背景に10月には一時、1ドル=151円台まで円安が加速した。
当初、日銀は円安は日本経済にプラスとの立場を示していたが、為替相場の急激な変動が企業活動に及ぼす負の影響も無視できなくなっている。足元の消費者物価の上昇率は3%台半ばに達している。政府・日銀が定める2%の物価安定目標を上回って推移していた。
円安が資源高に拍車をかけ、電力料金や生鮮品など幅広い品目で値上げが進む構図が鮮明になっている。事実上の利上げに踏み切ることで海外との金利差が縮小し、為替相場の急激な変動を抑える効果も期待できる。
【長期金利の上限0.5%に、黒田総裁「利上げではない」】
同じ20日午後の日経ニュースメールは黒田総裁の記者発表を受け、次のように報じた。
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する。20日から適用する。黒田東彦総裁は記者会見で「市場機能の改善をはかる」と修正理由を説明した。
事実上の利上げとなる決定で、市場では長期金利が急上昇した。外国為替市場では円高が進んだ。
歴史的なインフレで海外の中央銀行が利上げに動くなか、日本の国債金利にも上昇圧力が強まっていた。日銀は金融政策で長期金利を人為的に押さえつけていたが「市場機能が大きく損なわれる状況が出てきた」(黒田総裁)と説明した。
日銀は企業の社債発行など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、従来0%からプラスマイナス0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%程度に拡大することにした。賃金上昇を伴った物価上昇は実現できていないとして、マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)の買い入れ方針、政策金利のフォワードガイダンス(先行き指針)は据え置いた。
市場は今回の決定を事実上の利上げと受け止めている。黒田総裁は「金融緩和の効果をより円滑にするためのもので、利上げではない。金融引き締めではまったくない」と強調。経済の成長や雇用改善、賃上げがより行いやすくなるとして「経済への波及がよりスムーズ・安定的に起こり、景気にはプラスではないか」(黒田総裁)との見解を示した。
大規模緩和の点検や検証する考えがあるかを問われ「出口戦略の一歩ということではない。具体的に論じるのは時期尚早だ」とも述べた。約10年にわたる大規模緩和は「効果が副作用を上回っている」との分析を示し「量的・質的緩和を見直すことは当面考えられない」と重ねて説明した。
今回見直した長期金利の変動許容幅について「さらなる変動幅の拡大は必要ないし、今のところ考えていない」と話した。ウクライナ情勢や欧米の金利引き上げによる経済や金融資本市場への影響が不確実なことを理由として挙げた。
日銀は同日、長期国債の購入額を従来の月7.3兆円から月9兆円程度に増額すると発表した。購入予定の金額についてもレンジで示す形式に変更、より弾力的に購入額を決められるようにする。10年物国債を0.25%の利回りで無制限に毎営業日購入する「連続指し値オペ」の利回りも0.5%に引き上げる。
日銀は黒田総裁就任直後の13年に「2%の物価安定目標を、2年程度の期間を念頭において、できるだけ早期に実現する」ことを目的に大規模緩和を始めた。日銀が世の中に供給するお金を2倍に増やすことを目的に、国債やETFの保有額を2年間で2倍に拡大する方針を掲げた。
ただ消費増税やエネルギー価格の下落などを要因に、物価安定目標の未達が続いてきた。16年には総括的検証で政策目標をマネタリーベースから金利へと切り替えた。このとき、短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標になる10年物国債利回りを0%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を導入した。
足元の消費者物価の上昇率は3%台半ばに達している。政府・日銀が定める2%の物価安定目標を上回って推移していた。円安が資源高に拍車をかけ、電力料金や生鮮品など幅広い品目で値上げが進んでいる。
【ゼレンスキー大統領の米議会での演説要旨】
22日朝の日経ニュースメールは次のように報じた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、米上下両院合同会議で演説した。主な内容は以下の通り。
あらゆる見込みや悲観的なシナリオに反し、ウクライナは陥落しなかった。ウクライナは生きている。戦いは続いており、我々は戦場でこの問題を打ち負かさなければならない。この戦いはウクライナ人の生命、自由、安全のためだけでなく、我々の子供や孫がどんな世界に住むかを規定する。
ウクライナを助けるための米国の努力に感謝する。何も恐れることはない。これは全世界に勇気を与えることだ。米国は自由と国際法を守るため、国際社会を団結させることに成功した。ロシアの暴君は、我々に対する支配力を失っている。
もう一つ重要なことは、ロシア人は心の中でクレムリン(大統領府)を打ち負かしたときにのみ、自由になる機会を得ることができるということだ。
戦いは続いている。これは欧州や同盟国の一部の領土のためだけでなく、ウクライナや米国の民主主義のための戦いでもある。世界のどの国も、守られていると期待して戦争を無視してはならない。世界の結びつきはあまりにも強い。
私はワシントンに来る前の日、ウクライナ東部バフムトの前線にいた。ロシアの軍隊は5月からバフムトに攻撃を仕掛けてきたが、持ちこたえてきた。昨年はバフムトに7万人が住んでいたが、いまは数人の市民しかいない。
ロシアはあらゆる手段を使って我々の美しい町を攻撃しようとしてくる。ロシア軍は我々よりも多くのミサイルや航空機を持っている。それでも我々は持ちこたえてきた。
ロシアの戦略はずさんだ。視界に入った全てを焼き尽くし、破壊してきた。勇敢な米国の軍隊が1944年のクリスマス、ヒトラーの軍隊と戦ったように、ウクライナ人は今年のクリスマスに戦っている。
ウクライナは持ちこたえており、決して投降しない。あなた方の支援は不可欠だ。戦いに耐えるだけでなく、勝利へのターニングポイントにするためだ。
これまでの金融支援にも感謝したい。米国の資金は慈善事業でなく、私たちが最も責任ある方法で使う世界の安全と民主主義への投資なのだ。
ロシアは、その気になれば、侵略を取りやめることができた。国際的な法的秩序が我々の共通の課題だ。私がバイデン米大統領と話し合って設けた(平和構築に向けた)10項目の内容は、これから数十年間、我々の共同安全保障のために実施されるべきだ。
2日後にはクリスマスを祝うが、(ウクライナに)電気はない。ロシアがミサイルでエネルギーインフラを攻撃したためだ。だが我々は文句を言わない。だれの方が楽な生活をしているというような比較はしない。
あなたが幸福でいられるのは、あなたの国の安全保障のおかげだ。独立のための闘争と、多くの勝利の結果だ。我々ウクライナ人もまた、尊厳と成功をもって、独立と自由のための戦いをやり遂げるだろう。
我々は強いウクライナをつくる準備ができている。我々には強い国民、強い軍隊、強い制度がある。ウクライナ、欧州全体、世界のために強靱(きょうじん)な安全保障を作り上げる。これは欧州と世界の民主主義を守る基礎になる。
米国民の皆さんに感謝を申し上げたい。バイデン大統領、上下両院は貴重な援助を与えてくれた。ウクライナ人を受け入れてくれたことに感謝する。
ここに立ったいま、この瞬間にぴったりなフランクリン・ルーズベルト元米大統領の言葉を思い出す。
ウクライナ国民は絶対に勝利するだろう。ウクライナ軍は多くの部分において、世界に頼っている。
バフムトでの演説中、人々が旗を渡してくれた。ウクライナ、欧州、そして世界を命がけで守る人たちの旗だ。
我々は立ち上がり、戦い、そして勝つのだ。ウクライナ、米国、そして自由な世界全体が一つになっているのだから。
軍隊と市民に、神のご加護がありますように。米国を永遠に祝福してくれますように。メリークリスマス。そして勝利の新年を。
【バイデン・ゼレンスキー氏が会談 パトリオット供与伝達】
22日午後の日経ニュースメール【ワシントン=坂口幸裕】によると、バイデン米大統領は21日午後(日本時間22日未明)、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。長距離の地対空ミサイル「パトリオット」を含む追加の軍事支援を伝えた。ゼレンスキー氏は「戦争は終わっていない」と語り、支援の継続を要請した。
バイデン氏は首脳会談後の共同記者会見で「プーチン(ロシア大統領)がこの残酷な戦争をやめるつもりがないとわかっている」と表明。「米国は勇敢なウクライナ国民がロシアの侵略から自国を守り続けられるように可能な限りの支援を約束する。必要なだけあなた方とともにいる」と述べた。
ゼレンスキー氏は「米国は我々の価値と独立を守るために支援してくれるだろう」と強調。米連邦議会で野党・共和党が下院で過半数を奪還したことを念頭に「議会が変化しても超党派で上下両院の支援を得られると信じている」と訴えた。
ゼレンスキー氏の発言は2023年1月に始まる新議会の下院で主導権を握る共和を意識したとみられる。党内には「ウクライナは重要だが白紙の小切手は切らない」(下院共和トップのマッカーシー院内総務)などと巨額予算の見直しを求める声があるためだ。
ゼレンスキー氏は21日昼、米国に到着した。ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日以降、ゼレンスキー氏が外国を訪れるのは初めて。バイデン氏との会談後、米連邦議会の上下両院合同会議で演説した。米国による軍事・経済支援などに謝意を示すとともに、これからも超党派による手厚い支援を継続するよう呼びかけた。
米政府は21日、ウクライナに総額18億5000万ドル(2400億円)規模の追加の軍事支援を発表した。長距離の地対空ミサイル「パトリオット」1基を初めて供与する。発電所などの重要インフラを標的にするロシアのミサイル攻撃に対抗できるように防空体制を強化する。追加の軍事支援では高機動ロケット砲システム「ハイマース」や155ミリりゅう弾砲の弾薬なども拡充する。
ブリンケン米国務長官は21日の声明で「バイデン大統領はロシアによる残忍な攻撃からウクライナを守るため、重要な軍事能力を新たに提供する。防空能力と精密打撃能力を拡充する」と強調。将来的なロシアとの停戦協議を念頭に「時が来れば交渉で最も強い立場に立てるよう必要な限り支援を続ける」と記した。
パトリオットの提供はウクライナがかねて求めてきた。米軍の主力防空システムで、「これまで提供されてきた防空システムよりもはるかに高い高度で巡航ミサイル、短距離弾道ミサイル、航空機を迎撃できる」(ブリンケン氏)。超低高度から高高度の複数目標に同時で対処可能になる。1991年に湾岸戦争で使用された。
ロシアによる侵攻から10カ月が経過し、ウクライナは米欧などで指摘される「支援疲れ」に危機感を強める。ゼレンスキー氏はまず最大の後ろ盾である米国に足を運び、米世論に支援継続を訴える狙いがにじむ。
一方、ロシアのプーチン大統領は21日、国防省の幹部会議で米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)による脅威に言及し、戦略核の強化を進める方針を示した。複数の核弾頭を搭載でき米本土なども攻撃可能な次世代の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」が「近い将来に初めて実戦配備される」と述べ、米国をけん制した。
【23年度予算案、過去最大114兆3812億円 政府決定】
23日夕方の日経速報メールは次のように報じた。
政府は23日、一般会計総額が過去最大の114兆3812億円となる2023年度予算案を決定した。22年度当初予算から6兆7848億円増え、11年連続で過去最大を更新した。110兆円超えは初めて。高齢化による社会保障費の膨張に加え、1兆4192億円の大幅増で6兆7880億円を計上する防衛費が総額を押し上げた。
税収は69兆4400億円と過去最高を見込む。堅調な企業業績や雇用者数の伸びが背景にある。歳出の拡大に追いつかず、35兆6230億円の新規国債を発行して歳入不足を穴埋めする。全体の31.1%を借金に頼る。
政府は今後5年間の防衛費を従来の1.5倍の43兆円程度とする方針。初年度の23年度は前年度から1兆4192億円増やした。伸びは近年の500億~600億円程度から一気に拡大した。
一般会計の3割を占める社会保障費は36兆8889億円計上した。高齢化による医療や介護の費用の自然増で、前年度から6154億円上振れした。地方自治体に配る地方交付税に一般会計から出す額は5166億円増え16兆3992億円とした。国債の元利払いに充てる国債費は、25兆2503億円と9111億円膨らんだ。
新型コロナウイルス禍で始まった巨額の予備費も引き続き計上した。コロナ・物価高対策で4兆円、ウクライナ危機対応で1兆円を盛った。予備費は政府が閣議決定で具体的な使い道を決められる。国会の監視が及びにくいとの批判がある。
【国内損保、ロシア全域で船舶保険停止 LNG輸入に影響か】
24日の日経速報メールは次のように報じた。
国内損害保険各社は2023年1月1日から、ロシアやウクライナの全海域で戦争による船舶の沈没などの被害を補償する保険の提供を停止する。ロシアのウクライナ侵攻から約10カ月が経過するが、戦争が収束するめどはいっこうに立っていない。海外の再保険会社がロシア関連のリスクの引き受けを拒否したことが、今回の判断の背景にある。
東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の3社が23日から船主への通知を始めた。日本企業が参加する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」からの液化天然ガス(LNG)の輸入などに影響する可能性がある。
船舶保険はほぼ全ての船舶が加入している。被害を補償する保険がなければ、航行は極めて難しくなる。今回の措置の対象には、ウクライナに近い黒海やアゾフ海だけでなく、ロシア東部や北極海航路などの全海域が含まれる。
これまでウクライナやロシアの海域を航行する場合、軍事行動に伴う被害でも補償を受けるには、主契約とは別に「船舶戦争保険」に加入する必要があった。航行する際には事前に保険会社に通知して補償条件や保険料を確認し、割増保険料を払うことで補償を受けることができた。今後は保険に加入することができなくなる。
世界最大の保険市場を運営するロイズ保険組合を中心とした英国の委員会は22年2月、ウクライナ周辺を「リスクの高い地域」に指定し、4月には対象をロシア全域に広げた。損保各社は危険海域の拡大にあわせ、沈没リスクなどを補償する船舶保険で高めの保険料を設定する地域を広げてきた。
無保険の状況が続けば、ロシアから日本への資源輸入に影響を与える公算が大きい。損保各社は保険サービスの提供を再開することが可能か、再保険会社との交渉をクリスマス休暇明けから始める見通しだ。だが、再保険会社が再び引き受けに転じるかは不透明な情勢だ。
【岸田内閣、支持率最低35% 「反撃能力」保有は賛成60%】
25日の日経ニュースメールは次のように報じた。
日本経済新聞社とテレビ東京は23~25日に世論調査をした。岸田文雄内閣の支持率は35%で11月調査(37%)から2ポイント低下した。相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」の保有決定は賛成60%、反対31%だった。
内閣支持率は66%だった5月をピークに7カ月連続の低下で、2021年10月に政権が発足してからの最低を更新した。
【中国、1月8日から入国時の強制隔離撤廃 コロナ規制緩和】
27日の日経ニュースメール【北京=羽田野主】によると、中国政府は26日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため海外から中国本土に入る際に義務付けているホテルでの強制隔離を2023年1月8日から撤廃すると発表した。感染症の危険度判断の引き下げも決めた。
現在は海外などからの入国者には、5日間の強制隔離と3日間の自宅隔離が義務付けられている。入国後のPCR検査と強制隔離を取りやめる。
中国では感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を大幅に緩和したことで、感染が急拡大しており、隔離措置は事実上意味を失っていた。海外との往来正常化を進め、低迷する経済のてこ入れを図る。
感染症を危険度順に分けた「甲類」「乙類」「丙類」の3つのカテゴリーのうち、中国当局は、コロナについてはコレラやペストの際に実施する「甲類並みの管理」を求めてきた。
これを1段階引き下げ、エイズや重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ「乙類乙管理」としての扱いを徹底するように求める。地方当局が患者を強制的に施設で隔離したり、地域を封鎖したりするのは難しくなる。ゼロコロナの法的な根拠が事実上なくなる。
中国政府はゼロコロナへの抗議デモが広がった11月下旬以降、市中でのPCR検査や行動履歴の追跡アプリをなくした。
【世界景気「悪化」4割に迫る 社長100人アンケート】
28日の日経速報メールは次のように報じた。
「社長100人アンケート」で世界景気について「悪化」との回答が9月調査に続いて増え、4割に迫った。景況感を示す指標(DI)は新型コロナウイルス禍の初期以来の低さに下落している。コロナ政策で混乱する中国、中央銀行のインフレ抑制策が景気を冷やす米欧と、主要国がそれぞれ難題に直面する状況に経営者は警戒を強めている。
アンケートは国内主要企業の社長(会長などを含む)を対象にほぼ3カ月に1回実施。今回は12月2~16日に行い、145社から回答を得た。
世界景気の現状認識は「悪化」「緩やかに悪化」の合計が36.5%と9月の前回調査(31.1%)から約5ポイント増えた。一方「拡大」「緩やかに拡大」の合計は11.7%で同約4ポイント減った。

「拡大」から「悪化」を引いて指標化したDIはマイナス15と前回調査から6ポイント下落した。コロナ禍初期の2020年6月調査(マイナス71)以来、2年半ぶりの低水準となった。
悪化と答えた経営者に要因(複数回答)を聞くと「資源や原材料価格の上昇・高止まり」が69.8%で最多となった。「中国経済の減速」が66%で続いた。中国は感染を徹底的に押さえ込む「ゼロコロナ政策」が経済活動を停滞させていた。足元では同政策を大幅に緩和したが、今度は感染の急拡大で混乱している。
インフレ抑制を狙う米欧中央銀行の金融引き締めによる景気減速懸念も強い。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は「23年もエネルギー高・資源高は収まらず、二大経済大国の米国、中国の減速が目立ち、世界同時不況に陥る可能性もある」と警戒する。
一方で、国内景気は「拡大」「緩やかに拡大」の合計が55.2%を占め、前回(55.8%)並みを維持した。要因(複数回答)は「個人消費の回復」が98.8%で最多だった。行動制限の緩和で小売りや外食が好調なことが大きい。「訪日外国人消費の拡大」も35%で前回比約30ポイントも増えた。
すかいらーくホールディングスの谷真社長は「一時的な全国旅行支援の好影響もある」としつつ「インフレによる個人消費の生活防衛意識は今後さらに高まる」と物価高騰の影響を懸念する。
来春賃上げ「3%台」最多
23年春季労使交渉での方針を聞いたところ、賃上げ率を「3%台」とする企業が34%で最多で、「2%台」が26%で続いた。物価高騰を受けて連合は「5%程度」の要求を掲げているが、「5%台」以上の回答は合計16%だった。経団連の集計では、22年の大手企業の賃上げ率は2.27%。多くの企業は来春の方針は未定で、賃上げの勢いが高まるか注目される。
定期昇給と基本給を底上げするベースアップ(ベア)を合わせた賃上げについて現時点での想定水準を尋ね、50社が回答した。賃上げするとした46社のうちベアを「実施する」は20.9%で「検討中」が67.5%。実施の理由(複数回答)は「物価高に対応」「社員のやる気向上」がともに92.1%で最多だった。
「中長期の方針として消費者物価の上昇を上回る賃上げを実施する意向があるか」を聞くと、「ある」は11.1%で、「わからない」が78.6%を占めた。物価上昇分をカバーできなければ個人消費を冷やす。
塩野義製薬の手代木功社長は「値上げを容認できる空気感を醸成し、値上げから賃上げへと正のスパイラルを構築し、循環させていくことが必要」と指摘する。
【食品の特売、97%で減少 主要150品目の11月調査】
29日の日経ニュースメールは次のように報じた。
食品メーカーの相次ぐ値上げを受けてスーパーの特売が減っている。日経POS(販売時点情報管理)情報で主な食品約150品目を調査したところ、11月は97%の品目で販売数量に占める特売の割合が前年同月を下回った。原材料高が長引き、メーカーや小売りが特売原資を費用負担することが難しくなっている。販売価格が高止まりし、個人の節約志向が一段と強まる可能性がある。
全国の約470店の販売データを集める日経POSでは店舗ごとに通常より安い価格で販売された場合の販売個数を「特売」として集計している。売れ行きの多い主要156品目で特売割合の推移を調べたところ、11月時点では97%にあたる152品目で前年同月よりも特売が減っていた。
11月に特売の割合が大きく低下した品目には、ビールや発泡酒など大手メーカーが10月に一斉に値上げした酒類が並んだ。特売の割合が前年同月よりも10ポイント以上低下した品目は51品目と全体の約3割に上った。

特売の減少はスーパーのチラシからもみてとれる。全国の小売業のチラシ価格を調べているチラシレポート(東京・中央)によると、11月にアサヒビールの「スーパードライ」を特売商品として掲載したのは累計の調査対象店舗の約18%にとどまり、2021年11月の21%から3ポイント減った。日清オイリオグループの「日清キャノーラ油」も4%と21年11月の8%に比べて減った。
日経POSによると今年1月時点で特売が前年同月より減ったのは106品目で、年間を通じて徐々に特売が減少している。特売の値引き原資はメーカー・卸からの販売奨励金などのほか、小売り側が負担する場合もある。
メーカーは原材料の高騰を商品価格に転嫁して対応しようとしているが、コスト高が長引き販売促進のための費用も圧縮せざるを得なくなっている。首都圏の大手食品スーパーも「電気代や物流費の高騰が重荷になっており、過剰な安売りをしていると経営が回らない」と話す。
10月の家計調査で食料支出は実質で3カ月ぶりに減少に転じた。スーパーなどが加盟する日本チェーンストア協会は「値上げラッシュで消費者の節約志向が高まり、買い控えが続いている」と話す。帝国データバンクによると、円安や原料高などを受けて、23年1~4月に食品メーカー上場105社が値上げする食品はすでに7000品目を超え、前年同期より5割多い。特売を減らす動きは今後も続く可能性がある。
【グローバル化は止まらない 世界つなぐ「フェアネス」
Next World 分断の先に 1】
2023年元日の日経ニュースメールは次のように報じた。
米国と中国の対立、ロシアのウクライナ侵攻。分断の嵐が世界を襲い、グローバリゼーションは停滞する。それでも、外とのつながりに豊かさを求める人々の営みは途切れない。試練の先の「Next World(ネクスト・ワールド)」。世界をつなぐのはイデオロギー対立を超えたフェアネス(公正さ)だ。

メキシコのヌエボレオン州から米テキサス州に向かう国境には「TESLA」レーンがある(2022年11月)
不思議な標識だった。メキシコ北部のヌエボレオン州。米国との国境検問所に掲げられるのは「TESLA」。世界の電気自動車(EV)市場をリードするテスラの米工場に向かうトラック専用レーンの目印だ。
トランプ前米大統領は2020年の北米自由貿易協定(NAFTA)見直しでメキシコ産自動車部品に2.5%の関税をかけやすくした。それでも安くて優れたメキシコ部品はEV製造に欠かせない。22年春にできたテスラレーンは両国の相互依存を象徴する。
米国とメキシコの21年の貿易は6600億ドル(約86兆円)と過去最高。来年には米南部テキサス州ラレドの国境に新しい鉄道橋が架かる計画だ。トランプ氏が7年前に公約した「壁」は有名無実と化している。
豊かさを求める願いは国境を越え、人間がつくる壁は続かない。永遠と言われたベルリンの壁も崩壊から33年たち、跡地の一角は駐車スペースになっていた。止まらない融合の奔流と、強まる分断の嵐。私たちは今、どこにいるのだろう。
【円上昇、一時7カ月ぶり129円台 日銀の緩和修正観測で】
3日午前の日経速報メールは次にように報じた。
3日の外国為替市場で円が対ドルで上昇し、一時1ドル=129円台半ばと2022年6月上旬以来7カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。国内のインフレ圧力が想定以上に高まり、日銀が長期金利の変動許容幅の上限の引き上げなど、金融緩和のさらなる修正に迫られるとの見方が台頭。円を買う動きが広がった。
円は22年末に同131円ほどで取引を終えた。そこから1円強、円高・ドル安が進んだ。日銀が事実上の利上げを決めた22年12月20日の130円58銭前後を上回る円高水準となった。ユーロなど幅広い通貨に対しても一時上昇した。
背景にあるのは、日銀の追加政策修正への思惑だ。日銀は22年12月に金融緩和を修正したものの、10年債の利回りが他の年限よりも低く抑えられている状態は変わっていない。不自然な「ゆがみ」が投資家の国債売りを招き、潜在的な金利上昇圧力になっている。
日銀は22年度以降の物価見通しを上方修正する方向で検討している。こうした要因から、日銀が金融緩和の一段の縮小に踏み切るとみる投資家が増えている。
日銀が緩和を縮小すると、日本の長期金利などは上昇する可能性が高い。利上げペースを減速させるとみられている米国との金利差が縮まりやすくなり、円買いにつながった。日本が年始の休み中で取引参加者はまだ少ない。相場が一方向に振れやすくなっている面もある。
【理研、量子計算機をスパコン富岳と連携 25年めど実用化】
3日の日経ニュースメールは次のように報じた。
理化学研究所は量子コンピューターの早期実用化に向け、富士通と共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を連携させる。量子コンピューターはスパコンの1億倍超の速さで計算する可能性を持つが課題も多い。スパコンと組み合わせてより高度な計算を実現する「ハイブリッド型」で従来より前倒しして2025年をめどに実用化する。創薬や新素材開発などで日本企業の技術革新を後押しする。
神戸市にある富岳と量子コンピューターを通信でつなぎ、双方で計算の連携や役割を分担する。量子はスパコンでも難しい原子や電子レベルの精緻なシミュレーション(模擬実験)などで力を発揮すると見込まれており、中核の計算のみを量子に担わせるようにする。
現状の量子コンピューターは動作が不安定で計算エラーが生じやすい。このため計算が断片的になる。スパコンで量子による数多くの断片的な計算結果を整理補強して正しい解に近付ける。
量子コンピューターは19年に米グーグルの試作機がスパコンで1万年かかる計算を3分で実行するなど世界で開発競争が激しい。日本でも理研が国産初号機となる試作機を開発中で22年度内に埼玉県和光市に設置する。
グーグルは問題を克服した「完成形」を29年に実現し本格利用につなげる目標を掲げる。理研は発展途上の量子コンピューターをスパコンとして世界2位の計算速度を誇る富岳と組み合わせて、グーグルに先行する25年ごろの実用化を目指す。

理研はトヨタ自動車や日立製作所、ソニーグループなどで構成する協議会を通じて量子コンピューターとスパコンを融合した計算基盤の活用を企業にも呼びかける。23年度に専門部隊を設けて計算手法などを研究し、量子とスパコン間のデータのやりとりが円滑にできる技術も開発する計画だ。
量子コンピューターは製薬やエネルギー、自動車、金融など幅広い産業の競争力を左右する見通しだ。物質の電子の状態を精緻に予測して新機能の素材を開発したり画期的な電池開発につなげたりする。人工光合成では光を当てたときの変化などを正確に模擬実験でき実用化に向けて前進する。気候変動の問題にも解決をもたらす可能性を秘める。
半導体材料の開発や膨大なデータを扱う人工知能(AI)などの分野でも活用が見込まれる。スパコンや量子コンピューターは経済安全保障上も重要で、自前で技術を保有する必要性が高まっている。国内では米IBM製の量子コンピューターを川崎市に設置した事例があるものの、海外勢に比べ日本としての開発は遅れていた。国内企業では富士通が初めて、23年度に試作機を整備する。
量子コンピューターの早期利用に向け、スパコンと組み合わせる「ハイブリッド型」は世界の潮流となりつつある。欧州連合(EU)は22年10月、独仏伊など域内6カ所に拠点を設け、スパコンと量子を統合した計算基盤を築くと発表した。
仮想空間上に「デジタルツイン」として人体を再現し新薬開発の迅速化に役立てたり、物流網を最適化して燃料費削減につなげたりする利用法を想定する。米国でもアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や半導体大手のエヌビディアが量子と従来コンピューターの連携サービスを通じて実用化を目指す。
ボストン・コンサルティング・グループは量子コンピューターが40年ごろに最大8500億ドル(約110兆円)の経済的価値を生むと予測する。活用が前倒しで進めば市場拡大のペースも速まる可能性がある。
【EV急速充電器の規制緩和 設置容易に、23年めど】
4日の日経ニュースメールは次のように報じた。
政府は小型の電気自動車(EV)を数分で充電できる高出力充電器の普及に乗り出す。出力が高い機器の設置や取り扱いに関して適用している規制を2023年をめどに大きく緩め、低い出力と同じ扱いにして利用しやすくする。日本は充電インフラの乏しさがEV導入の壁となっている。自動車産業の競争力を高めるためにも、国内の環境整備を進める。
日本は世界的に見て「EV途上国」の状況にある。調査会社マークラインズによると、11月の新車販売に占めるEVの比率は日本では2%にとどまる。中国は25%、ドイツは20%、韓国は9%と日本よりはるかに高い。
日本でもEVは他のエコカーより税優遇が手厚く、購入補助もある。それでも消費者が購入をためらう大きな理由の一つが、街角の充電設備が少ないことだ。
国際エネルギー機関(IEA)によると、日本の公共のEV充電器は21年で約2万9000基。日本より狭い韓国には10万7000基ある。IEAが高速と定義する22キロワット超で見ると日本は8000基で、1万5000基の韓国や47万基の中国に及ばない。家庭用では完全に充電するまでに数時間から10時間超かかってしまう。
素早く充電できるインフラの整備を進めるため、政府は23年にも規制を緩和する。ポイントは出力が200キロワット超の充電器も一定の安全性は確保できると判断し、扱いを50キロワット超と同じにすることだ。
日本では現在、20キロワット以下には特段の規制はなく、20キロワット超になると安全のための絶縁性の確保など一定の要件を満たす必要がある。50キロワット超はさらに建築物からの距離などで制約がかかる。
200キロワット超の充電器は「変電設備」となり、高電圧の電流を変圧する設備との想定で厳しい規制がかかる。屋内に設ける場合は壁や天井を不燃材料で区画する必要があり、設備の形式によっては運営者など特定の人しか扱えない。
規制を所管する消防庁が23年中の関係省令の改正を目指す。改正後は200キロワット超の充電器も急速充電設備となり、出力50キロワット超~200キロワットの充電器と同等の扱いで設置しやすくなる。
代表的なEVメーカーであるテスラの「モデル3」は、同社が整備を進める出力250キロワットの急速充電器を使うと5分の充電で120キロの走行が可能だ。高出力の機器は小型車であれば数分でかなりの充電をできる。大型の電池を積むEVトラックやEVバスの普及にも欠かせない。
現状の規制で200キロワット級の充電器を設置するには、数千万円の設置費や年数百万円の運営費がかかるとみられる。国内で急速充電器を整備する東京電力ホールディングス系のイーモビリティパワーは「規制緩和で設置や運営のコストが下がれば、普及しやすくなる」と歓迎する。日本政府は30年までにEV充電器を15万基とし、このうち3万基を急速充電とする目標を持つ。
充電インフラは自動車の開発も左右する。現状のEVは電池やモーターが400ボルトの電圧に対応しているが、200キロワット超に対応するには800ボルトに応じた設計に変更する必要があるとされる。短時間で充電が終わる車種の開発は、商品の魅力向上につながる。
各国は補助や減税による支援に加え、規制の強化を通じてEVを普及しようとしている。欧州や米国の一部の州では、30~40年にハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の販売を禁止とする動きがある。
EVは再生可能エネルギーを使えば温暖化ガスの排出を抑制する効果が高い。50年までの温暖化ガス実質ゼロを実現するためにも、再生エネの拡大と両輪で移動手段の脱炭素化が迫られている。
この間、以下の番組を視聴することができた。(1)報道1930「【台湾統一地方選のゆくえ】蔡英文氏率い与党が苦戦」11月28日。 (2)NHKスペシャル「”紅い思想教育“習近4総書記 三選の礎」11月29日。 (3)報道1930「地面凍結で戦闘変化も 米国が新兵器供与でロシア苦戦は必至か」30日。 (4)【ウクライナ国営軍事企業の実力】電撃攻勢? 実相は?」。 (5)週刊ワールドニュース(11月28日~12月2日)12月2日。 (6)報道1930「東部要衝へ露軍が進撃、ウ軍最前線”」4日。 (7)報道1930「プーチン氏の急所「原油価格上限規制」の実効性は」6日。 (8)報道1930「防衛費“増” 何に使う…自衛隊 知られざる実態と“静かな有事の深刻”」8日。 (9)報道「台湾有事とウクライナ侵攻の相関関係」9日。 (10)週刊ワールドニュース(12月5日~8日)9日。 (11)報道1930「【ウクライナ国営軍事企業の実力】ロシア空軍基地を電撃攻撃? 実相は」12日。 (12)報道1930「中国に弱みを握られる…脱ロシア再エネ戦略が突きつける新たな困難」15日。 (しゅ13)報道1930「【ロシア軍キーウ再追撃計画か?】新年休戦を否定…プーチン氏の真意は?」19日。 (14)報道1930「消えた戦車300台の謎、英米がシナリオを描くウ軍反撃計画とは」21日。 (15)報道1930「日本の安保“大転換”を問う…防衛力強化の裏で外交は置き去りか」24日。 (15)NHKスペシャル混迷の世紀第5回「核兵器“恐怖の均衡”が崩れるとき」21日。 (16)報道1930「習政権を襲う緊急事態、中国感染再爆発の真実 危機の連鎖は世界にも」22日。 (17)報道1930「正恩氏が娘公表の狙い」23日。 (18)週刊ワールドニュース(12月19日~23日)25日。 (19)報道1930「知られざる御所懇談会 上皇上皇后陛下との6度の懇談…胸のうちは」26日。 (20)報道1930「【安倍氏3代と旧統一教会】教団最古参が語る因縁」28日。 (21)NHK「耳をすませば~逆境に負けず自分を貫いて~稲盛和夫 原田泰治~」2023年1月1日。