人類の敵=新型コロナウィルス(55)
この連載「人類最強の敵=新型コロナウィルス」は55回目になる。前回の(54)は2202年9月27日の安倍元首相の国葬で終え、末尾で次のように述べた。「反対を叫ぶグループと参列する人たちが静かに並存する東京都心部の映像が世界の人たちの目にどう写ったのだろうか。ロシアによるウクライナ侵攻の映像を見慣れた人たちには、意見の違うグループの静かな並存は驚くべき光景であったに違いない。「国民の分断を招いた国葬」(朝日新聞夜ニュースレター)ではなく、多様性の表れと見る方が現実に近いのではないか。」
27日の日経新聞によれば、岸田首相は追悼の辞で安倍氏の死を「まだまだ長く生きてもらわなければならない人だった。痛恨の極みだ」と悼んだ。安倍氏の外交戦略について「重層的な外交は世界のどの地域とも良好な関係を築いた」と評価した。「あなたが敷いた土台の上に持続的で全ての人が輝く包摂的な日本をつくっていくことを誓う」と述べた。
菅義偉前首相は友人代表として追悼の辞を読み「悲しみと怒りを交互に感じながらこの日を迎えた」と話した。「安倍総理、あなたは日本にとって真のリーダーだった」と語りかけた。官房長官として安倍氏を支えた日々を振り返り「首相官邸でともに過ごし、あらゆる苦楽をともにした7年8カ月は本当に幸せだった」と振り返った。
【日立とGE、三菱重工業も新型原子炉を開発へ 政策転換追い風】
29日の日経新聞は、次のように伝えた。日立製作所とゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社の日立GEニュークリア・エナジーは、安全性が高い「革新軽水炉」と呼ぶ新型原子炉を開発する。手掛ける沸騰水型軽水炉(BWR)は、2011年に事故のあった福島第1原子力発電所で使われていた。事故を踏まえた安全機能を高める。
三菱重工業も29日、関西電力など電力4社と新型原子炉を開発すると発表した。次世代型原発の開発・建設の検討に入った政府の方針転換が追い風となる。
既存のBWRを基に改良する。電源がなくても液体の温度差を用いて、核燃料を冷やす冷却水が対流する仕組みを採用する。11年の事故では津波で電源が喪失し、冷却水を注入できなくなった。排気口に放射性物質を多く含む希ガスを除去するフィルターを設置し、水蒸気を逃がす「ベント」を円滑に進められるようにする。事故では格納容器の圧力が高まった際にベントに手間取り、水素爆発を招いた。
実用化の時期は30年代半ばだが、将来のBWRを用いている原発の新増設に備え、技術開発を進める。
【日本と中国、友好と摩擦の半世紀 国交正常化50年】
29日の日経新聞は次のように伝えた。
日本と中国の国交が正常化して29日で50年を迎えた。「日中友好」の名の下に日本が中国の経済発展に協力してきた雰囲気は薄れた。近年は中国が経済と軍事の両面で台頭し、日本は米国と連携してどう抑止するかに腐心する。経済面では地理的に近い中国と簡単に関係を切り離せないという難しさもある。
日本が中国と国交を正常化するきっかけは米中の接近だった。1971年7月、当時のニクソン米大統領は国交正常化を話し合うため翌年訪中すると電撃発表した。直前には米大統領補佐官のキッシンジャー氏が訪中していた。
東西冷戦下で米国と歩調を合わせていた日本は頭越しの米中接近に驚いた。田中角栄氏は72年7月に首相に就くと、米国より先に中国と国交を結ぶことを目指し、9月25日に北京を訪れて周恩来首相らと連日協議し、29日に人民大会堂で日中共同声明に署名した。大平正芳外相らも同行した。
中国はこのとき対日戦後賠償を放棄した。日本が79年度に始めた対中政府開発援助(ODA)にはその見返りの意味があるとの指摘は多い。対中ODAはインフラ整備など中国の経済発展を下支えした。2021年度に終了させるまで、総額およそ3兆6000億円が投じられた。
【プーチン大統領、ウクライナ4州の一方的「併合」宣言】
30日の日経新聞は次のように伝えた。
ロシアのプーチン大統領は30日、モスクワで演説し、ウクライナ東・南部の4州を一方的に併合すると宣言した。強行した住民投票で編入賛成が多数だったと主張し、「編入条約」に署名した。2014年3月のクリミア半島併合を再現しようとするが、4州の併合によってウクライナを支援する西側諸国との分断は決定的になる。
プーチン氏は演説後、クレムリン(ロシア大統領府)で、ウクライナ4州(東部のルガンスク、ドネツク、南部のザポロジエ、ヘルソン各州)の一部を占領する親ロシア派武装勢力代表との間で編入の「条約」に署名した。議会での批准や関連法案の採択を経て、来週半ばにも手続きを終える。
議員や政府幹部らを前に行ったクレムリンでの演説で、プーチン氏は4州の住民が「明確な選択をした」と述べ、「我々の国民になる、永遠にだ」と表明した。さらに「停戦し、すべての作戦を止め、交渉のテーブルに戻るようウクライナ側に呼びかけている」と述べた。4州の併合問題は協議の対象ではないと語った。
プーチン氏は演説で「歴史的な大ロシアのための戦いが起きている」とも述べ、ウクライナ東・南部の併合を正当化しようとした。「すべての手段を使用し(国土を)守る」と核兵器使用の可能性を示唆し、「米国は広島、長崎に原爆を使用した唯一の国であり、前例を作った」と主張した。
演説の半分以上を米欧批判が占め、対決姿勢を鮮明にした。欧米が「ロシアを崩壊させようとしている」と批判。「米国は事実上、いまでもドイツと日本、韓国さらに他の国々も占領している」「アングロサクソンが(欧州向けのガス管である)ノルドストリームの爆破をしかけた」などと語った。
ロシアの一方的併合に対し、国際社会は非難を強めている。バイデン米大統領は29日、「ロシアの主張を決して認めない」と表明した。根拠とする住民投票に関し「結果はでっち上げだ」と断じた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、「命よりも戦争を望む人物を止めなければならない」とプーチン氏を非難した。国連のグテレス事務総長も同日、「法的価値を持たない」と批判した。欧米などは直ちに厳しい対ロシア追加制裁を科す方針で、ウクライナへの軍事、経済支援の拡大も急ぐ。
ロシアは2月24日、ウクライナへの軍事侵攻を開始し、4州の一部で、同国全土の約14%に当たる地域を占領した。9月23~27日には占領地域で銃剣の下、ロシア編入を問う住民投票を強行し、87~99%が賛成だったと主張した。併合地域は今後、クリミア半島も含めてウクライナ全土の2割近くに達することになる。
プーチン政権は30日夕、署名式と演説に続いて、モスクワ中心部の赤の広場で、併合を支持する集会を開いた。クリミア半島併合時のように、国民の愛国心を鼓舞して、侵攻と政権への支持を固める狙いだ。ほぼ、死傷者を出さなかったクリミア併合後には、プーチン氏の支持率が8割を大きく超えた。
ただ、国民の間で当時の熱狂は見えない。21日に一部予備兵を招集する「部分動員令」が出された。職業軍人だけでなく一般の国民の命が失われる事態に直面し、プーチン政権への不満が広がりつつある。街頭デモが各地で起き、拘束者は2000人を超えた。招集を逃れ、外国に逃げる人も急増している。
ロシアの独立系調査機関レバダセンターは28日、9月のプーチン大統領の支持率が前月比6ポイント減の77%に落ち込んだと発表した。今回の侵攻後の調査では、支持率は初めて8割を切った。調査は22~28日にかけて実施され、部分動員令の発令が大統領支持率にも打撃を与えている。
プーチン政権にとっては、侵攻の長期化が誤算になった。兵士や武器が不足し、欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍の反転攻勢を受けた。9月中旬までに占領していたハリコフ州の一部地域から撤退を強いられ、部分動員の発令だけでなく、併合計画の前倒しも迫られた。
30日の演説でプーチン氏は、和平交渉を呼びかけながらも、ウクライナ侵攻を続行する強硬な姿勢を示した。ゼレンスキー氏は同日、北大西洋条約機構(NATO)加盟を正式申請すると表明。ビデオ演説で「平和を回復するには全領土から占領者を追い出すしかない」と現段階での停戦を否定した。「ロシアと交渉する用意はあるが、この(プーチン)大統領とは不可能だ」とはね付けた。停戦の糸口を探る西側諸国の期待に反し、戦闘が一段と長期化するのは避けられない。
【ロシア、ウクライナ「併合」強行 1930年代と酷似】
10月1日の日経新聞は、欧州総局長 赤川省吾の見解として次のように述べた。
ロシアのプーチン大統領が30日、ウクライナ東・南部4州の併合を宣言した。国際法に違反し、戦後秩序を根底から覆す一方的な併合。勢力圏とみなす地域を力ずくで従わせようとする「プーチン・ドクトリン」は1930年代の欧州と酷似する。
国際秩序の安定に責任を持つべき国連安全保障理事会の常任理事国。それが「ロシア系住民の保護」を口実に隣国を侵略し、領土の割譲を迫る。
1938年、ナチス・ドイツがチェコのズデーテン地方を併合した際、「弾圧されたドイツ系住民の保護」を大義名分に掲げた。英仏は戦争を回避するため、併合を認めたものの、ドイツは翌年ポーランドに侵攻し、世界を戦火に巻き込んだ。
一方、ソ連の指導者スターリンはナチスと一時的に手を組み、東欧分割に動く。1940年、「現地の自発的な意思」があったとしてバルト3国を強制併合した。
欧州は全体主義に覆われていた時代に戻ったかのようだ。国連のグテレス事務総長は29日、ロシアのウクライナ領併合は「国連憲章と国際法に反する」との声明を出したが、プーチン大統領は動じない。30日の演説で「(併合地域の)住民は我々と同じ未来を進むことを決めた」として併合を正当化した。
ロシアの展望が開けるわけではない。「併合」でウクライナの東西分断を固定化するには停戦が不可欠だが、ウクライナのゼレンスキー大統領は29日の演説で「クレムリン(ロシア大統領府)が望むようなことにはならないだろう」と語った。併合地域への攻撃を緩めないというメッセージだ。
いまのところウクライナに欧米諸国は寄り添う。「我々はプーチン氏が戦争で負けることを保証する」。30日、トラス英首相は声明を出した。ドイツ与党・社会民主党のシュミート連邦議会議員(外交担当)も日本経済新聞に対し、「ウクライナへの人道・経済・軍事支援を続ける」と答えた。戦争の長期化は避けられない。
【インドネシア、サッカー場で観客が暴動 125人死亡】
10月2日の日経新聞【ジャカルタ=地曳航也】によれば、インドネシアの東ジャワ州マラン県のカンジュルハン競技場で1日夜、プロサッカーリーグの試合の後、一部の観客が暴動を起こし、警察官を含む125人が死亡した。国家警察が明らかにした。300人以上が負傷したという地元メディアの報道がある。
同州政府は一時、死者が174人に達したと表明するなど、犠牲者の確認をめぐり混乱した。同競技場では1日、地元のアレマFCとアウェーのペルセバヤ・スラバヤの試合があり、ペルセバヤが勝つと、敗戦に激高したアレマFCのサポーターが競技場のピッチになだれこんだ。
事態を収拾しようと、警備に当たっていた地元警察が催涙弾を発砲したところ、観客がパニックになって出入り口に殺到し、圧死や窒息死する人が多数出た。当時、競技場では4万人の観客が試合を観戦していた。地元メディアは日本人選手2人も出場していたと報じた。
在インドネシア日本大使館によると、日本人の死傷者は確認されていない。ジョコ大統領は2日、国家警察長官に事故の経緯を徹底して解明するよう指示した。事故を起こしたプロサッカーの1部リーグの試合を当面見合わせることを同国サッカー協会に求めた。
なおFIFA(国際サッカー連盟)のスタジアムでの保安・警備規則は「小銃や催涙ガスは所持も使用もしてはならない」と定めており、今回の警察の行為はこれに明らかに違反している。
【ウクライナ、「併合」地域の要衝リマン奪還 ドネツク州】
10月2日の日経新聞によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、東部ドネツク州の要衝リマンをロシア軍から奪還したと表明した。リマンは東部ルガンスク州に近い交通の拠点で、同州の奪還にも前進となる。ロシアは9月30日にドネツク、ルガンスクをふくむウクライナ東・南部4州の「併合」を宣言したばかりで、プーチン政権に大きな打撃となる。
ロシア国防省も1日、ウクライナ軍の包囲を避けるため、リマンから部隊が撤退したと認めた。
リマンはドネツク州北部の都市で、ルガンスク州の要衝であるセベロドネツクやリシチャンスクにも近い。ロシア軍は7月初旬までに両都市を制圧し、ルガンスク州の支配を固めていたが、ウクライナ軍による奪還の動きが加速する可能性がある。
ロシア内部では政権や軍部への批判が強まりそうだ。英国防省は2日、リマンからの撤退は「大きな政治的な挫折を意味する」と分析。さらなる領土の損失は、政府への批判や軍部への圧力の高まりにつながるとした。
【ヤクルト・村上宗隆が三冠王達成 「王超え」56号も放つ】
3日の日経新聞は以下のように報じた。
プロ野球ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が3日、神宮球場で行われたDeNAとの今季レギュラーシーズン最終戦に出場し、打率3割1分8厘、56本塁打、134打点と主要打撃3部門でセ・リーグトップが確定、史上8人目の三冠王を達成した。
「4番・三塁」で先発出場した村上は三回に左前に適時打を放ち、七回には右翼に日本選手シーズン単独最多となる56号ソロ本塁打を放った。この日4打数2安打とし、既に3割1分4厘で今季を終えていた大島洋平(中日)に4厘差をつけての首位打者が確定した。本塁打王は39本を放った2021年に続いての獲得で、首位打者と打点王は初。
三冠王は04年の松中信彦(ダイエー)以来。ほかに中島治康(巨人)、野村克也(南海)、ブーマー(阪急)、王貞治(巨人)とバース(阪神)が各2度、落合博満(ロッテ)が3度達成している。
村上は18年、熊本・九州学院高からドラフト1位でヤクルトに入団。2年目の19年に36本塁打、96打点、20年は初の打率3割(3割7厘)をマークし、21年は39本塁打で岡本和真(巨人)とともにタイトルを獲得した。今季は夏場にプロ野球初の5打席連続本塁打を放つなどアーチを量産した。8月に自身初のシーズン40号、9月には日本選手では02年の松井秀喜(巨人)以来となる50号にそれぞれ史上最年少で到達。9月13日には1964年の王に並ぶ日本選手シーズン最多の55号本塁打を放った。
【北朝鮮が弾道ミサイル、東北上空通過 EEZ外に落下】
4日の日経新聞は次のように報じた。
政府は4日午前7時22分ごろ、北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたと発表した。東北地方上空を通過し、排他的経済水域(EEZ)外の太平洋に落下した。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2017年9月15日以来、5年ぶりとなる。
松野博一官房長官は記者会見で、ミサイルが午前7時44分ごろに日本のEEZ外に落下したと説明した。現時点で航空機や船舶の被害は確認されていないと述べた。
全国瞬時警報システム(Jアラート)は弾道ミサイルが日本上空を通過したとみられると公表した。「不審な物を発見した場合には決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡してください」と言及した。北海道と青森県を対象地域に指定した。
防衛省によると22年に入ってから北朝鮮による弾道ミサイル発射は20回目で少なくとも36発にのぼる。19年の25発を上回り、すでに年間発射数で過去最多を更新している。
続伸によれば、最高高度は1000キロで過去最長の4600キロ飛行したとみられる。東北地方上空を通過して排他的経済水域(EEZ)外の太平洋に落下した。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2017年9月15日以来、5年ぶりとなる。
【OPECプラス、200万バレル減産で合意 米欧の反発必至】
6日の日経新聞【カイロ=久門武史、ワシントン=中村亮】によれば、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は5日、ウィーンで閣僚級会合を開き、11月に日量200万バレル減産することで合意した。産油国の財政圧迫を招く原油価格下落に歯止めをかける。エネルギー高に苦しむ米欧の反発は必至で、米ホワイトハウスは「バイデン大統領は失望している」との声明を出した。
OPECプラスは新型コロナウイルス禍の2020年5月、世界需要の1割に当たる日量970万バレルの協調減産に踏み切った。その後生産を増やしてきたが景気減速などで需要が減るとの見方が強まり、前回の9月会合で10月に日量10万バレル減産することを決めた。今回の200万バレル減産は世界需要の2%に当たり、20年以来の規模感になる。
米ホワイトハウスは5日の声明で大幅減産について「バイデン大統領は目先のことしか見えていない決定に失望している」と言及した。「この決定はエネルギー価格上昇ですでに混乱している低所得・中所得国に最も大きな負の影響をもたらす」とも指摘した。米議会と連携し、OPECの価格支配を弱めるための措置を検討するとした。
【地方の鉄道・バス、広域連携支援 国交省が複数年で補助】
7日の日経新聞はつぎのように伝えた。
「利用者が減り経営が厳しい地方の公共交通機関を再構築する取り組みが始まる。国土交通省は鉄道やバス、タクシーなどを地域一体で運営する計画に複数年で補助する制度を2023年度にも設ける。事実上の赤字補塡は縮小し、デジタル技術の導入など事業見直しの支援に軸足を移す。将来像を描けない路線の淘汰につながる可能性もある。
人口が減る地方の公共交通は存続が危うい。中小民鉄や第三セクターは特に厳しく、国交省によると20年度は95社のうち93社が経常赤字だ。国交省の有識者会議は7月末、いわゆるローカル鉄道の赤字区間は輸送密度が1000人未満などの条件で、自治体や事業者による協議会を設置するとの提言をまとめた。自治体には協議が廃線ありきで進むことへの警戒感がある。」
【クリミア橋で謎の爆発 ロシアの実効支配の象徴】
8日の毎日新聞は次のように報じた。
「ロシアが2014年に一方的に「併合」したウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の橋「クリミア大橋」で8日、爆発が起きた。ロイター通信などによると、貨物列車の燃料タンクに引火して炎上し、橋の一部が崩落。3人が死亡した。橋は通行止めになっており、ロイターは、ウクライナ南部に侵攻するロシア軍の「重要な補給路に打撃を与えた」と報じた。
ウクライナは同半島の奪還を目指している。ウクライナ国防省は8日、ツイッターで、4月に沈没したロシア黒海艦隊旗艦の巡洋艦「モスクワ」とクリミア大橋に触れ「クリミア半島での悪名高いロシアの権力の象徴が2つ沈んだ。次は何だ?」と投稿した。
ポドリャク大統領府長官顧問も同日、ツイッターでクリミアの橋に言及し「盗まれたものはすべてウクライナに返されなければならない」と書き込んだ。一部が崩落した橋の写真も添えており、同日の爆発に関する投稿とみられる。プーチン政権が激しく反発するのは必至だ。
橋はプーチン氏肝いりで建設された。18年の開通時にはプーチン氏が自らトラックを運転するパフォーマンスも見せており、クリミア「併合」の象徴と言える。ウクライナ南部のロシア軍に兵器や物資を輸送するルートに使われており、軍事上の要衝でもある。通行止めが続けば補給に影響を及ぼす可能性がある。露国防省は8日、陸海のルートを通じて必要な物資を補給できていると強調した。
橋には車道と線路があり、長さ19キロ。ロシア国家テロ対策委員会は、橋のロシア側で8日午前6時過ぎにトラックが爆発し、クリミア半島へ向かう貨物列車の七つの燃料タンクに引火したとしている。「自動車爆弾」だったとの情報もある。プーチン氏は8日、原因を調査する委員会を設立するよう指示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は8月、同半島の奪還と再統合に向けた諮問会議を設立する大統領令に署名している。」
【危機の時代、私はSNSをやめた】
8日の朝日新聞デジタルは、<朝日地球会議2022>の一つとして次ぎのように報じた。
「新型コロナのパンデミックと、ロシアのウクライナ侵攻で、今までの民主主義と資本主義のあり方が根底から問い直されている。国家という存在をどうとらえればいいのか。「倫理的な資本主義」はいかに可能なのか。ドイツの気鋭の哲学者、マルクス・ガブリエル氏に聞いた。
日本の国境閉鎖は「ナショナリズムの表出」
――コロナ禍で主要国はマスクやワクチンを奪い合い、自国の利益を最優先にしました。主権国家の優位性という概念が復活したのでしょうか。
「パンデミックによって、私たちは、結局のところ国民国家が存在することを認識したのです。医療制度は国家単位のものです。私たちの社会は、基本的にまだ国民国家の論理で動いていて、その点では19世紀と同じです。純粋に経済的な意味でのグローバル化である、モノの交換だけでは、倫理的な問題を解決できない。それが教訓だと思います」
【日産、ロシア撤退へ 1ユーロで売却し特別損失1000億円】
11日の日経新聞は、次のように報じた。
「日産自動車は11日、ロシア市場から撤退すると発表した。ロシア事業を手がける子会社の株式を自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に1ユーロで売却する。売却にともない約1000億円の特別損失がでる見通し。
日産と企業連合を組む三菱自動車なども撤退の検討に入った。国内車大手ではトヨタ自動車が撤退方針を発表している。ロシアのウクライナ侵攻を受けた日本車の事業撤退の動きが広がっている。
完成車の製造を手がける子会社の「ロシア日産自動車製造会社」の全株式を売却する。ロシア北西部のサンクトペテルブルクにある完成車工場は2009年に稼働を始めた。ウクライナ侵攻を受けた供給網の混乱で、22年3月から生産を停止している。日産のロシア唯一の完成車工場として、多目的スポーツ車(SUV)「エクストレイル」や「キャシュカイ」などを生産している。
同国での従業員は約2000人にのぼるが、雇用への影響は最小限に抑える。完成車の在庫がなくなり次第販売は終了し、すでに販売した車の保守サービスのみ当面続ける。」
【東芝、国内連合に優先交渉権 中部電力やオリックス参画】
11日の日経新聞は、次のように報じた。
「東芝が再編案について国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に優先交渉権を与えたことが11日、わかった。今後、買収価格などの詳細な条件の協議を始める。JIP案では中部電力やオリックスなど日本企業が出資する計画。株価が再編を織り込む形ですでに高値で推移するなか、株主が合意できる価格を提示し、2兆円台半ばともみられる資金を調達できるかが焦点となる。
東芝は9月30日、2次入札に進んでいた複数の候補から、法的拘束力のあるものも含めて詳細な意向表明書を受け取ったと発表していた。そのうちJIPと先行して交渉に入ることにした。」
【円下落、一時148円台後半 32年ぶり】
14日の日経新聞によると、「14日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=148円台後半を付けた。148円台は1990年8月以来32年ぶりの円安・ドル高水準。14日に発表した米経済指標が市場予想を上回り、円売り・ドル買いが膨らんだ。米連邦準備理事会(FRB)がインフレを抑えるために急激な利上げを続けるとの見方もドル全面高を後押ししている。…政府・日銀は9月22日に1ドル=145円90銭を付けた後に円買い・ドル売りの為替介入に踏み切っている。市場では円安の加速を受けて再び大規模な円買い為替介入もあり得るとの警戒感も強まっている。」と報じた。
17日には、ニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下落し、1ドル=149円台を付けた。14日に付けた32年ぶりの安値(148円86銭)を更新した。米長期金利が再び4%台に乗せたことで日米の金利差拡大に注目して円売り・ドル買いの動きが加速した。18日午前の東京外国為替市場でも一時149円台を付けた。
【旧統一教会、政府調査へ 宗教法人法「質問権」を初適用】
15日の日経新聞は次のように報じた。
「政府は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り宗教法人法に基づく「質問権」の規定を活用する方針だ。関係省庁などが教団に質問し、業務や管理運営に関して報告を求める。法令違反などの解散命令の要件に該当する疑いがあると判断した。
宗教法人法で規定する質問権を使った調査は解散命令の前段階で、違法行為を防ぐ狙いで設けている。これまでこの権限を使った事例はない。結果次第では教団の解散命令の請求につながる可能性もある。
同法に基づく解散命令の要件は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」などがある。質問や報告要求はその疑いがある場合などに発動できる。
政府が9月5日に開設した旧統一教会に関する電話窓口への相談は同月28日までで2200件超にのぼった。解散命令を発動する要件に該当の疑いがあるとして質問権の行使を文部科学省の宗教法人審議会に諮問する方向で調整する。
岸田首相が近く旧統一教会の被害者救済について方針を表明する見通しだ。霊感商法での高額寄付を取り消しやすくする消費者契約法の改正、相談体制の強化と合わせた柱とする。」
【習氏、台湾問題「武力行使を放棄せず」 中国共産党大会】
16日の日経新聞【北京=羽田野主】によると、中国共産党の幹部人事を決める5年に1度の第20回党大会が16日、北京の人民大会堂で開幕した。習近平総書記は過去5年間の成果と今後の方針を示す活動報告で台湾統一方針を巡り、「決して武力行使の放棄を約束しない。必要なあらゆる措置をとる選択肢を持ち続ける」と強調。
台湾問題に介入を深めるバイデン米政権や台湾の蔡英文政権を威嚇した。習氏は「台湾問題は中国人自身のことであり、中国人が自分で決めなくてはいけない」と主張。「祖国の完全な統一は必ず実現しなくてはならず、また必ず実現できる」と訴えた。「平和統一の見通しを得るために最大限の努力をする」とも述べた。
中国共産党には、党トップの総書記は2期10年との慣習がある。習氏は党大会後、この慣習を破って異例の3期目に入る見通しだ。
習氏は「これからの5年間は、社会主義現代化国家の全面的な建設が始まる重要な時期だ」と述べ、異例の3期目入りに向けた正当性を強調した。「最悪の事態も想定した思考を堅持しなくてはいけない」とも話し、習氏の指導のもとでの結束を訴えた。
翌17日、習氏は今後5年間の重要目標として、海外に依存しないハイテク技術の開発を加速させることを掲げ、技術力を持つ中小零細企業の成長を促し、優秀なエンジニアなど高度人材の育成でも国際的に優位にたてる「製造強国」を目指すと述べた。
米インターナショナル・ビジネス・ストラテジーズの推計によると、中国の半導体自給率は2022年時点で26%だった。この10年間で20ポイント近く高まったとはいえ、当面は海外の技術への依存は続く。
科学技術の強化にまい進するのは、覇権争いを挑む米国の存在が大きい。米国を中心に、半導体などのサプライチェーン(供給網)で中国排除の動きが進む。米国は今月7日、スーパーコンピューターなどに照準を定めて中国への輸出規制を強めた。
こうした包囲網に立ち向かうため、自国だけでまかなえる技術力の強化が欠かせず、供給網の整備などで強国を急がざるを得ない。取り組みが遅れれば、その分、中国の劣勢は強まることになる。
【米国への留学、インドが中国を逆転 米中関係緊張を反映】
17日の日経新聞【ニューヨーク=弓真名】によると、米国で留学生の出身国が大きく変わってきた。中国人への学生ビザの発給数は2022年度(21年10月~22年9月)の7月までで前年同期と比べて3割減った一方、インドが6割増え、中国を抜いてインドが首位になった。米中間の政治的な緊張の高まりを反映したほか、中国の「ゼロコロナ」政策も響いた。
【米国、台湾と武器共同生産へ協議 中国抑止へ提供前倒し】
19日の日経新聞【ワシントン=中村亮】によると、バイデン米政権が米国製の武器を台湾と共同生産する案を検討していることが分かった。関係者3人が日本経済新聞の取材で明らかにした。携行型の防空システムや弾薬を念頭に置く。台湾有事に備えて協力して生産能力を高める。武器提供を早めて中国抑止を急ぐ。
ブリンケン米国務長官は17日、西部カリフォルニア州で開いたイベントで「中国は以前に比べてかなり早い時間軸で(台湾との)再統一を目指すと決意した」と指摘した。22日まで開く第20回共産党大会で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は異例の3期目を決めるとみられ、台湾への軍事的圧力をさらに強める可能性がある。
米台の共同生産をめぐって、関係者の一人は初期段階の協議が始まったと認めた。米国の防衛企業が技術供与をして台湾で武器を製造したり、台湾でつくった部品を使って米国で生産したりする案がある。別の関係者は「2023年を通して詳細を詰めることになるだろう」と語った。
米大手防衛企業が加盟する米国・台湾ビジネス評議会は「米国の弾薬や(戦闘機や艦船などの)プラットフォームについて米国と台湾が共同生産したことはない」とコメントした。米国の歴代政権は機密情報が漏れるリスクを懸念し、米国製武器の共同生産に慎重だったとみられる。
バイデン政権が共同生産を検討するのは、引き渡しを早めるためだ。一般的に米政府が武器売却を承認してから引き渡しが完了するまで数年から10年程度を要するケースが多い。一方で米軍は中国が27年までに台湾侵攻能力を取得すると分析しており、台湾の自衛力向上に残された時間は限られる。
【ロシアの動員、悲惨な実態 「これはやばいよ」新兵SNSで訴え次々】
ウクライナ侵攻を続けるロシアで、9月に始まった「部分的動員」の実態を伝えるSNSの投稿が相次いでいます。訓練なく戦場に送られ、防弾チョッキも自分でそろえるように言われた。「止血用」に生理用品も入手するように求められた……。戦地に赴く人が自ら投稿したとみられる写真や映像からは、切羽詰まった不安や、どうしようもない苦しさが伝わってきます。プーチン大統領は、国民の動揺や不安がここまで広がるとは予想しなかったのでしょうか。大きな犠牲を払いながらもナチス・ドイツと戦った「大祖国戦争」の記憶があったのでしょうか。「ナビゲーターが選ぶ1本」でご紹介する、インタビュー「『国家の戦争』から『個人の戦争』へ プーチン氏は変化を見落とした」とあわせてお読み下さい。
穴の開いた防弾チョッキやさびた自動小銃――。ウクライナへの侵攻を続けるロシアで、9月に始まった部分的動員の悲惨な現状を伝えるSNSの投稿が続いている。「(配置前の)訓練はないと告げられた」と涙ながらに訴える人までいる。プーチン政権は動員で侵攻の劣勢を覆す考えだが、早くも動員による戦死者が出ており、士気の低下は深刻だ。
戦地に赴く人が自ら投稿したとみられる写真や映像からは、切羽詰まった不安や、どうしようもない苦しさが伝わってきます。プーチン大統領は、国民の動揺や不安がここまで広がるとは予想しなかったのでしょうか。大きな犠牲を払いながらもナチス・ドイツと戦った「大祖国戦争」の記憶があったのでしょうか。「ナビゲーターが選ぶ1本」でご紹介する、インタビュー「『国家の戦争』から『個人の戦争』へ プーチン氏は変化を見落とした」とあわせてお読み下さい。
動員を免除されるはずの学生や病気の人にまで招集令状が届いたほか、「誘拐まがい」の例も伝えられている。モスクワに働きに来た建設作業員5人が、宿泊先にきた警官に拘束された例もあった。その後徴兵事務所で書類への署名を強制され、訓練施設に連れて行かれたという。
動員を免除されるはずの学生や病気の人にまで招集令状が届いたほか、「誘拐まがい」の例も伝えられている。モスクワに働きに来た建設作業員5人が、宿泊先にきた動員発表から1カ月も経たない中、戦死者の報告も続く。
中部チェリャビンスク州の当局は13日、動員された地元出身の5人が死亡したことを明らかにした。英BBCは、親族や友人の話として、5人が訓練を受けないままウクライナ南部ヘルソン州に送られた、と伝えた。ウクライナ軍が奪還をめざす激戦地だ。
プーチン政権は、動員されれば訓練を受けた後に戦地へ送られると説明してきた。 だが、モスクワ市の28歳の公務員は戦闘経験がないのに数日で前線に送られて戦死した。サンクトペテルブルク出身の弁護士も従軍経験があったとはいえ、動員後、わずか3日間の訓練で戦地へ派遣され亡くなったと報じられた。
英国防省は9月26日、「招集された部隊の多くが、動員を急いで極めて少ない準備で前線に配備されるとみられ、高い割合で消耗することになりそうだ」と分析した。
【トラス英首相が辞任表明、経済混乱で引責 就任44日】
20日の日経新聞【ロンドン=中島裕介】によると、英国のトラス首相は20日、「保守党から選出された任務を果たすことができない」と辞任を表明した。9月下旬に打ち出した大規模減税策が金融市場を混乱させ、経済対策の大半は撤回に追い込まれた。辞任はその引責とみられる。9月6日の政権発足から44日という異例の短命政権となった。
【円が急騰、一時146円台 安値から5円上昇 介入観測も】
22日の日経新聞は次のように報じた。
「21日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで急騰し、一時1ドル=146円台を付けた。上昇前は151円台で推移しており、わずか1時間ほどで5円以上上昇した。円相場は32年ぶりに1ドル=150円を超えて円安が進んだ後、極めて荒い値動きとなっている。市場関係者の間では、政府・日銀が円買い介入に踏み切ったとの観測も出ている。
外国為替市場では日本時間21日夜に円安・ドル高が進み、一時1ドル=151円90銭台と1990年7月以来32年ぶりの安値を更新した。27~28日に日銀の金融政策決定会合を控え、改めて日米金融政策の方向性の違いを意識した円売り・ドル買いが膨らんだ。米長期金利が14年ぶりに4.2%台を付けたことも、ドル買いにつながった。
ところが日本時間の21日深夜になって突然、流れが変わった。円相場は151円台から一気に円高に転じ、断続的に水準を切り上げた。
政府・日銀は9月22日に24年ぶりに円買い・ドル売り介入に動いた。市場では円安にブレーキがかからない中、当局が再び大規模な介入に動くとの警戒感が強まっていた。当局者は今回の円急騰について、介入の実施の有無を明らかにしていないが、ある外銀関係者は「介入の可能性がある」と話す。
この日の午後、政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったと関係者が22日未明、明らかにした。21日に一時1ドル=151円90銭台となり、32年ぶりの安値を更新していた。通貨当局として過度な動きを阻止する姿勢を改めて示した。政府・日銀は9月22日にも約24年ぶりに円買い介入を実施していた。
24日の日経新聞によれば、外国為替市場で政府・日銀と投機筋の攻防が激しさを増している。1ドル=151円台後半で大規模介入に踏み切った21日に続き、24日にも政府・日銀が2営業日連続で介入を実施したとの観測が市場で広がっている。21日の介入規模は9月を上回る5.5兆円規模との見方がある。市場では150円が政府・日銀の防衛ラインとして意識され、極めて荒い値動きが続いている。
24日の東京外国為替市場に再び衝撃が走った。午前8時半すぎ、じりじりと下落していた円相場が149円70銭と節目の150円に接近すると、突然、大量の円買い注文が入った。円相場は一気に4円以上も上昇し、1ドル=145円台前半を付けた。
これは21日深夜の円買い介入をなぞるかのような値動きで、市場では今回も政府・日銀による為替介入だとの観測が広がった。シティグループ証券の高島修氏は「24日にも介入を実施したとすれば完全にサプライズ。投機の抑制に向けて当局は心理戦をしかけており、当面は1ドル=150円が円の底値として意識される」と指摘する。
24日朝の円相場の急伸直後、財務省の神田真人財務官は記者団に「24時間365日、過度な変動に対しては適切な対応をとる。それをこれからもずっと続けていく」と強調した。相場が急伸する前には鈴木俊一財務相が「市場を通じて投機筋と厳しく対峙している」と険しい表情で述べていた。
政府・日銀は21日に円買い介入を実施し、円相場を32年ぶり円安水準となる151円台後半から144円台半ばへと7円も押し上げた。24日も介入を実施していたとすると、政府・日銀は150円よりも円安に進むことを認めない強い姿勢を市場に示したことになる。
【習近平氏の3期目入り確定 中国新指導部、23日立ち上げ】
22日の日経新聞【北京=羽田野主】によると、中国共産党の習近平総書記が第20回党大会で党序列約200位以内の中央委員に選ばれ、続投が確定した。中国国営の新華社が伝えた。習氏は異例の3期目に入る。
党幹部は党大会時に68歳以上ならば引退する慣例があるが、69歳の習氏はこれを破って続投を決めた。
新たな中央委員は23日に北京市で第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、政治局委員を決める。政治局委員の中から最高指導部に相当する政治局常務委員を選出し、さらに政治局常務委員の中から総書記を選ぶ流れで、総書記には習氏が再任されるのが確実な情勢だ。
候補者名簿は事前調整で決められ、実態は形式的な手続きとされる。再任されれば、習氏は23日に新指導部を立ち上げる。
党トップの総書記は近年、2期10年との慣習があった。習氏は2012年の党大会後に総書記に就任し、17年に再任されていた。
中国の李克強首相が共産党の最高指導部を指す政治局常務委員から退任することが22日、決まった。同日閉幕した第20回党大会で、党序列約200位以内の中央委員に選出されなかった。7人いる最高指導部のうち、李氏を含め計4人が退任する。
【中国最高指導部、「習派」8割に 政治リスク増大懸念】
24日の日経新聞【北京=多部田俊輔】によると、3期目となる新たな習近平指導部が23日に発足した。習氏に近いとされる「習派」は最高指導部を指す政治局常務委員で7人中6人を占めた。序列24位以内の政治局員でも約7割とみられ、権力集中がいっそう進んだ。習氏と距離があるとされる胡春華氏が降格したほか、年上の「重し」役も去り、政治リスクはより強まっている。
新たな最高指導部をみると、習氏「1強」が色濃くなった。序列2位で次期首相候補となる李強氏は浙江省出身。習氏の浙江省トップ時代に秘書長として働いた。同4位の蔡奇氏も習氏が福建・浙江の両省にいた時代に仕え、習氏の信頼が厚いといわれる。
留任した趙楽際氏、汚職摘発を担う規律検査委員会のトップとなった李希氏は、ともに習氏や父の習仲勲・元副首相とゆかりがあり、習氏が厚い信頼を寄せるとされる。同6位の丁薛祥氏は日本の官房長官に相当する党中央弁公庁主任を務め、習氏を支えてきた側近中の側近だ。
残る同4位の王滬寧氏は、習氏や江沢民氏、胡錦濤氏の3代にわたる総書記に仕え「三代帝師」との異名を持つ。習派には該当しないが、習氏に忠誠は尽くしている。
一方、李克強首相を輩出した共産党の青年組織「共産主義青年団(共青団)」、江氏らを柱とする「上海閥」といった習氏と距離があるとされる勢力は一掃された。
【英首相にスナク氏、無投票選出 アジア系初・最年少42歳】
24日の日経新聞【ロンドン=中島裕介】によると、20日に辞意を表明した英国のトラス首相の後任に、リシ・スナク元財務相(42)が就任することが24日固まった。与党・保守党の党首選に出馬を表明していたモーダント下院院内総務が撤退し、無投票で選出された。トラス政権が失墜させた経済政策の信頼回復や財政再建、党勢の回復に取り組む。
アフリカから移住したインド系の両親のもと英国で生まれ育ったスナク氏は、同国史上初めてのアジア系の首相となる。43歳で首相となったキャメロン、ブレア元首相を抜き、過去200年あまりで最年少の首相となる。
スナク氏は党首選出後の国民向け演説で「私たちは深刻な経済的課題に直面している」と語った。財政危機や物価高騰などの課題克服のため「安定と団結が必要だ。私は保守党と英国を一つにする」と訴えた。
【台湾統一に習近平氏「37年の計」】
25日の日経新聞は、「大中国の時代 共産党大会編 習氏の兵法 ①」を掲載して表題の特集を組み、「兵貴神速」(兵は神速を貴ぶ)のキーワードを掲げ、(1)習政権、台湾統一を3期目の「公約」に、(2)37年前の福建着任から台湾取り込みに腐心、(3)有事には軍民を糾合して一気に動く構え、の3点を強調した。
この連載「大中国の時代 共産党大会編 習氏の兵法」の②は、26日掲載の「習近平氏、後継明かさず、忠臣競わせる 集団指導と決別」であり、27日掲載の③は「経済リスクを黙らせろ、不良債権マグマ 規制と成長 天秤」であろ、さらに28日掲載の③は「ハイテク兵糧戦 備えよ、半導体囲い込み」であり、さらにつづくと思われる。
【経財相に後藤前厚労相 山際氏の後任】
25日の日経新聞は、次のように報じた。
岸田文雄首相は事実上更迭した山際大志郎経済財政・再生相の後任に後藤茂之前厚労相を起用する。25日午後に皇居での認証式を経て就任する見通し。後藤氏は経財相として政府が月内にまとめる総合経済対策や新型コロナウイルス対策を担う。
首相は後藤氏の厚労相時代の国会答弁の安定性などを踏まえた。自民党が9月に公表した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐる調査で後藤氏の名前はなかった。首相は教団との過去の接点も考慮したとみられる。
後藤氏は厚労相として新型コロナ対策を推進した。旧大蔵省(現財務省)出身で自民党の税制調査会の幹部も務めてきた。経済財政政策や厚労行政に精通する。
松野博一官房長官は25日の記者会見で、政府の総合経済対策に関し「予定通り月内にとりまとめたい」と述べた。
自民党の茂木敏充幹事長は25日の記者会見で、山際氏の辞任について「本人から申し出があったことで致し方ない」と語った。経済財政運営や新型コロナ対策など担当が幅広い経財相に関し「説明能力が高い人が就任することを期待したい」と話した。
【ECB、0.75%利上げ決定 物価高騰の抑制へ2会合連続】
27日の日経新聞【フランクフルト=南毅郎】によると欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で、政策金利を0.75%引き上げると決めた。通常の3倍となる大幅利上げは、前回9月から2会合連続。ウクライナ危機に伴う資源高などの影響でユーロ圏の物価上昇率が過去最高の10%近くとなり、インフレに歯止めがかからない。景気後退のリスクが差し迫るなか苦渋の決断に動いた。
ECBは7月に11年ぶりの利上げを実施した。7月の0.5%利上げに続き、9月には利上げ幅を過去最大の0.75%に広げた。今回の追加利上げでは主要政策金利を1.25%から2.00%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)を0.75%から1.50%に引き上げる。主要政策金利は2009年以来13年ぶりの高さとなる。
【米GDP、7~9月2.6%増 3四半期ぶりプラスも消費は減速】
同じ27日の日経新聞【ワシントン=高見浩輔】によると、米商務省が27日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比の年率換算で2.6%増だった。3四半期ぶりのプラス成長だが、個人消費は減速した。米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げが景気を下押ししており、高インフレが和らぐかが焦点となる。米景気の停滞は世界経済の失速リスクを高める。
事前の市場予測は2.3%増で、公表値はこれを上回った。1~3月は1.6%減、4~6月は0.6%減だった。7~9月は輸出の伸びが拡大し成長に寄与した一方、GDPから差し引く輸入が6.9%減った。輸入が前期を下回ったのは20年4~6月以来。
【東京都区部物価3.4%上昇 10月、40年ぶり伸び】
28日の日経新聞は次のように伝えた。
総務省が28日発表した東京都区部の10月の消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.2で前年同月比3.4%上がった。消費税の影響を除くと1982年6月以来、40年4カ月ぶりの大幅な伸びとなった。資源高や円安の影響で、エネルギーや食料など生活に欠かせない品目を中心に値上がりが続く。上昇率は生鮮食品を含む総合で3.5%に達した。生鮮食品とエネルギーを除くと2.2%だった。
品目別にみると食料は6.1%で、物価全体を1.55ポイント押し上げた。メーカーの値上げが相次ぐ食用油は37.9%、調理食品は6.6%、外食は5.6%だった。サケ(27.6%)はロシアのウクライナ侵攻による輸送ルートの変更でコストがかさんでいる。全体に原料高を円安が増幅している構図もある。
エネルギー関連は24.2%で、全体を1.20ポイント押し上げた。電気代は26.9%、都市ガス代は29.3%上がった。ガソリンは価格抑制の補助金の効果もあって2.0%と、前月の5.8%から縮小した。
前月にマイナス14.4%だった携帯電話通信料は1.8%のプラスに転じた。前年の値下げの影響がなくなった。
全国の消費者物価指数は東京都区部よりエネルギーの比重が大きく、上昇率は9月に既に3.0%に達している。10月はインフレが一段と加速する公算が大きい。
【経済対策の補正29.1兆円 電気代軽減など、政府28日決定】
27日の日経新聞は次のように報じた。
政府は28日、物価上昇などに対応する総合経済対策を決める。電気・ガス代の抑制策や子育て支援拡大などを盛り込む。財源の裏付けとなる2022年度第2次補正予算案の一般会計は29.1兆円程度、民間投資などを含めた事業規模は71.6兆円ほどとする方針だ。
地方支出や財政投融資を入れた財政支出総額はおよそ39兆円になる。岸田文雄首相は同日、記者会見を開いて説明する。
政府は電気・ガスの支援を23年1月以降早期に始める。平均的な世帯のエネルギー関連費は石油元売りへの補助金でガソリン価格を抑える効果を含めて月5000円ほど軽減されると見込む。家計や企業の負担を減らす目的だが、需給に基づく価格決定メカニズムをゆがめる面がある。効果を検証して「賢い支出」につなげる必要がある。
電気は家庭向けの「低圧」契約で1キロワット時7円補助し、およそ2割安くする。企業向けの「高圧」契約は1キロワット時3.5円を支援する。22年1~3月の販売電力量に基づく単純計算で3カ月の支出額は1兆円に迫る。企業向けは再生可能エネルギー普及のために電気料金へ上乗せする「固定価格買い取り制度(FIT)」の賦課金分を政府が実質的に肩代わりする金額だ。長期化すれば再生エネの促進を支える財源が曖昧になる。都市ガスの補助は1立方メートルあたり30円。平均的な世帯で月900円ほどの軽減になる。
ウクライナ情勢に起因する影響へ迅速に対処するための1兆円規模の予備費も創設する。賃上げ促進に向けたリスキリング(学び直し)の支援拡充や妊娠した女性への助成拡大も入れる。
この間、下記の録画を視聴することができた。(1)報道1930「[窮地のプーチン氏] ロシア正規軍崩壊か。「予備役動員」で国内動揺」9月26日。 (2)報道1930「改めて問う 国葬の意味、岸田総理の深謀と誤算」27日。 (3)報道1930「[旧統一教会は変われるか]元信者は「国葬」をどう見た?」28日。 (4)NHKスペシャル「中流危機を越えて」29日。 (5)報道1930「“日中逆転“の50年、世界制覇狙う強権習氏、停滞日本とどう向き合う」29日。 (6)報道1930「追いつめられるプーチン氏 支持率急落 動員への反発」30日。 (7)週刊ワールドニュース(9月26日~30日)「ロシア国内抗議デモ 国外脱出、住民投票の実態」10月1日。 (8)TV朝日 朝までテレビ「激論! 国交正常化50年~ド~する日中関係~」1日。 (9)BSプレミアム 日中2000年「戦火を越えて「後編 周恩来の決断”民を以て官を促す」1日。 (10)NHKスペシャル「新型コロナ病棟 いのちを見つめた900日」1日。 (11)BS朝日 日曜スクープ「ロシアが4州併合を表明 ”部分的動員”で国内動揺」2日。 (12)NHKスペシャル「安倍元首銃撃事件と旧統一教会」2日。 (13)報道1930「旧統一教会問題と国葬で失速する岸田政権 国会での起死回生策は」3日。 (14)報道1930「頻発する北朝鮮ミサイル発射 狙いは」4日。 (15)BS世界のドキュメンタリー「エネルギーを我らの手で~欧州の挑戦~」4日。 (16)BS世界のドキュメンタリー「リチウムを獲得せよ 欧州エネルギー安全保障と新秩序」5日。 (17)報道1930「窮地プーチン氏の命運 語られ始めた“命運”のシナリオとは」5日。 (18)報道1930「旧統一教会改革と実態 与野党に問う 被害救済、解散請求はばむ壁は」5日。 (19)NHKスペシャル(選)「追跡・謎の中国船~“海底覇権”をめぐる攻防」5日。 (20)報道1930「領土奪還ウクライナ 最前線兵士が語る要衝マリン奪還作戦部隊裏」7日。 (21)週刊ワールドニュース(10月3日~7日)8日。 (22)NHKスペシャル「食の革命 10年後 私たちは何を食べている?」8日。 (23)BS朝日 日曜スクープ「戦況激化でロシア国防相に批判…政権内部で何が!?」9日。 (24)報道1930「「ICBMや核実験も? 北朝鮮狙いと代償 韓国で”核武装論”再浮上」10日。 (25)報道1930「【旧統一教会と北朝鮮】 反共なのにナゼ金王朝に接近?」12日。 (26)報道1930「報復攻撃 プーチン氏の苦境と劣勢は露軍の本音?」13日。 (27)報道1930「四面楚歌のプーチン氏 旧ソ連諸国とすきま風で戦争継続困難に?」14日。 (28)週刊ワールドニュース(10月10日~14日)15日。 (29)BS朝日 日曜スクープ「ロシアがミサイル攻撃 戦況悪化。習近平氏 3選確実」16日。 (30)報道1930「習近平氏に絶対的地位 強まる権力の一局集中 <後継候補>は不在か」17日。 (31)BS1映像の世紀バタフライエフェクト「ジェノサイド 虐殺と黙殺」17日。 (32)報道1930「最悪の選択<ロシアの核>戦争拡大のシナリオとプーチン氏の停戦条件」18日。 (33)BS8プライムニュース「欧州ウクライナ軍事支援で苦境プーチン氏は…」18日。 (34)報道1930「苦境のロシア軍 兵器・兵力不足で戦術変化か」19日。 (35)報道1930「岸田政権は万事休す? 旧統一教会問題・円安・物価高に打つ手なしか」20日。 (36)報道1930「【4州に戒厳令】プーチン氏の真の狙いは戦闘効率アップか」21日。 (37)BS朝日 日曜スクープ「ロシアが4州に戒厳令&ヘルソン攻防」23日。 (38)報道1930「習近平氏4期目視野か “後継候補”不在?」24日。 (39)報道1930「ロシア国民に不安急増…戦況悪化で動揺の大義なき戦争の出口は」25日。 (40)報道1930「要衝ヘルソン攻防戦」26日。 (41)報道1930「ウクライナ命運握る巨大衛星通信網の実力 ヘルソン市街戦も」27日。
27日の日経新聞によれば、岸田首相は追悼の辞で安倍氏の死を「まだまだ長く生きてもらわなければならない人だった。痛恨の極みだ」と悼んだ。安倍氏の外交戦略について「重層的な外交は世界のどの地域とも良好な関係を築いた」と評価した。「あなたが敷いた土台の上に持続的で全ての人が輝く包摂的な日本をつくっていくことを誓う」と述べた。
菅義偉前首相は友人代表として追悼の辞を読み「悲しみと怒りを交互に感じながらこの日を迎えた」と話した。「安倍総理、あなたは日本にとって真のリーダーだった」と語りかけた。官房長官として安倍氏を支えた日々を振り返り「首相官邸でともに過ごし、あらゆる苦楽をともにした7年8カ月は本当に幸せだった」と振り返った。
【日立とGE、三菱重工業も新型原子炉を開発へ 政策転換追い風】
29日の日経新聞は、次のように伝えた。日立製作所とゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社の日立GEニュークリア・エナジーは、安全性が高い「革新軽水炉」と呼ぶ新型原子炉を開発する。手掛ける沸騰水型軽水炉(BWR)は、2011年に事故のあった福島第1原子力発電所で使われていた。事故を踏まえた安全機能を高める。
三菱重工業も29日、関西電力など電力4社と新型原子炉を開発すると発表した。次世代型原発の開発・建設の検討に入った政府の方針転換が追い風となる。
既存のBWRを基に改良する。電源がなくても液体の温度差を用いて、核燃料を冷やす冷却水が対流する仕組みを採用する。11年の事故では津波で電源が喪失し、冷却水を注入できなくなった。排気口に放射性物質を多く含む希ガスを除去するフィルターを設置し、水蒸気を逃がす「ベント」を円滑に進められるようにする。事故では格納容器の圧力が高まった際にベントに手間取り、水素爆発を招いた。
実用化の時期は30年代半ばだが、将来のBWRを用いている原発の新増設に備え、技術開発を進める。
【日本と中国、友好と摩擦の半世紀 国交正常化50年】
29日の日経新聞は次のように伝えた。
日本と中国の国交が正常化して29日で50年を迎えた。「日中友好」の名の下に日本が中国の経済発展に協力してきた雰囲気は薄れた。近年は中国が経済と軍事の両面で台頭し、日本は米国と連携してどう抑止するかに腐心する。経済面では地理的に近い中国と簡単に関係を切り離せないという難しさもある。
日本が中国と国交を正常化するきっかけは米中の接近だった。1971年7月、当時のニクソン米大統領は国交正常化を話し合うため翌年訪中すると電撃発表した。直前には米大統領補佐官のキッシンジャー氏が訪中していた。
東西冷戦下で米国と歩調を合わせていた日本は頭越しの米中接近に驚いた。田中角栄氏は72年7月に首相に就くと、米国より先に中国と国交を結ぶことを目指し、9月25日に北京を訪れて周恩来首相らと連日協議し、29日に人民大会堂で日中共同声明に署名した。大平正芳外相らも同行した。
中国はこのとき対日戦後賠償を放棄した。日本が79年度に始めた対中政府開発援助(ODA)にはその見返りの意味があるとの指摘は多い。対中ODAはインフラ整備など中国の経済発展を下支えした。2021年度に終了させるまで、総額およそ3兆6000億円が投じられた。
【プーチン大統領、ウクライナ4州の一方的「併合」宣言】
30日の日経新聞は次のように伝えた。
ロシアのプーチン大統領は30日、モスクワで演説し、ウクライナ東・南部の4州を一方的に併合すると宣言した。強行した住民投票で編入賛成が多数だったと主張し、「編入条約」に署名した。2014年3月のクリミア半島併合を再現しようとするが、4州の併合によってウクライナを支援する西側諸国との分断は決定的になる。
プーチン氏は演説後、クレムリン(ロシア大統領府)で、ウクライナ4州(東部のルガンスク、ドネツク、南部のザポロジエ、ヘルソン各州)の一部を占領する親ロシア派武装勢力代表との間で編入の「条約」に署名した。議会での批准や関連法案の採択を経て、来週半ばにも手続きを終える。
議員や政府幹部らを前に行ったクレムリンでの演説で、プーチン氏は4州の住民が「明確な選択をした」と述べ、「我々の国民になる、永遠にだ」と表明した。さらに「停戦し、すべての作戦を止め、交渉のテーブルに戻るようウクライナ側に呼びかけている」と述べた。4州の併合問題は協議の対象ではないと語った。
プーチン氏は演説で「歴史的な大ロシアのための戦いが起きている」とも述べ、ウクライナ東・南部の併合を正当化しようとした。「すべての手段を使用し(国土を)守る」と核兵器使用の可能性を示唆し、「米国は広島、長崎に原爆を使用した唯一の国であり、前例を作った」と主張した。
演説の半分以上を米欧批判が占め、対決姿勢を鮮明にした。欧米が「ロシアを崩壊させようとしている」と批判。「米国は事実上、いまでもドイツと日本、韓国さらに他の国々も占領している」「アングロサクソンが(欧州向けのガス管である)ノルドストリームの爆破をしかけた」などと語った。
ロシアの一方的併合に対し、国際社会は非難を強めている。バイデン米大統領は29日、「ロシアの主張を決して認めない」と表明した。根拠とする住民投票に関し「結果はでっち上げだ」と断じた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、「命よりも戦争を望む人物を止めなければならない」とプーチン氏を非難した。国連のグテレス事務総長も同日、「法的価値を持たない」と批判した。欧米などは直ちに厳しい対ロシア追加制裁を科す方針で、ウクライナへの軍事、経済支援の拡大も急ぐ。
ロシアは2月24日、ウクライナへの軍事侵攻を開始し、4州の一部で、同国全土の約14%に当たる地域を占領した。9月23~27日には占領地域で銃剣の下、ロシア編入を問う住民投票を強行し、87~99%が賛成だったと主張した。併合地域は今後、クリミア半島も含めてウクライナ全土の2割近くに達することになる。
プーチン政権は30日夕、署名式と演説に続いて、モスクワ中心部の赤の広場で、併合を支持する集会を開いた。クリミア半島併合時のように、国民の愛国心を鼓舞して、侵攻と政権への支持を固める狙いだ。ほぼ、死傷者を出さなかったクリミア併合後には、プーチン氏の支持率が8割を大きく超えた。
ただ、国民の間で当時の熱狂は見えない。21日に一部予備兵を招集する「部分動員令」が出された。職業軍人だけでなく一般の国民の命が失われる事態に直面し、プーチン政権への不満が広がりつつある。街頭デモが各地で起き、拘束者は2000人を超えた。招集を逃れ、外国に逃げる人も急増している。
ロシアの独立系調査機関レバダセンターは28日、9月のプーチン大統領の支持率が前月比6ポイント減の77%に落ち込んだと発表した。今回の侵攻後の調査では、支持率は初めて8割を切った。調査は22~28日にかけて実施され、部分動員令の発令が大統領支持率にも打撃を与えている。
プーチン政権にとっては、侵攻の長期化が誤算になった。兵士や武器が不足し、欧米の軍事支援を受けるウクライナ軍の反転攻勢を受けた。9月中旬までに占領していたハリコフ州の一部地域から撤退を強いられ、部分動員の発令だけでなく、併合計画の前倒しも迫られた。
30日の演説でプーチン氏は、和平交渉を呼びかけながらも、ウクライナ侵攻を続行する強硬な姿勢を示した。ゼレンスキー氏は同日、北大西洋条約機構(NATO)加盟を正式申請すると表明。ビデオ演説で「平和を回復するには全領土から占領者を追い出すしかない」と現段階での停戦を否定した。「ロシアと交渉する用意はあるが、この(プーチン)大統領とは不可能だ」とはね付けた。停戦の糸口を探る西側諸国の期待に反し、戦闘が一段と長期化するのは避けられない。
【ロシア、ウクライナ「併合」強行 1930年代と酷似】
10月1日の日経新聞は、欧州総局長 赤川省吾の見解として次のように述べた。
ロシアのプーチン大統領が30日、ウクライナ東・南部4州の併合を宣言した。国際法に違反し、戦後秩序を根底から覆す一方的な併合。勢力圏とみなす地域を力ずくで従わせようとする「プーチン・ドクトリン」は1930年代の欧州と酷似する。
国際秩序の安定に責任を持つべき国連安全保障理事会の常任理事国。それが「ロシア系住民の保護」を口実に隣国を侵略し、領土の割譲を迫る。
1938年、ナチス・ドイツがチェコのズデーテン地方を併合した際、「弾圧されたドイツ系住民の保護」を大義名分に掲げた。英仏は戦争を回避するため、併合を認めたものの、ドイツは翌年ポーランドに侵攻し、世界を戦火に巻き込んだ。
一方、ソ連の指導者スターリンはナチスと一時的に手を組み、東欧分割に動く。1940年、「現地の自発的な意思」があったとしてバルト3国を強制併合した。
欧州は全体主義に覆われていた時代に戻ったかのようだ。国連のグテレス事務総長は29日、ロシアのウクライナ領併合は「国連憲章と国際法に反する」との声明を出したが、プーチン大統領は動じない。30日の演説で「(併合地域の)住民は我々と同じ未来を進むことを決めた」として併合を正当化した。
ロシアの展望が開けるわけではない。「併合」でウクライナの東西分断を固定化するには停戦が不可欠だが、ウクライナのゼレンスキー大統領は29日の演説で「クレムリン(ロシア大統領府)が望むようなことにはならないだろう」と語った。併合地域への攻撃を緩めないというメッセージだ。
いまのところウクライナに欧米諸国は寄り添う。「我々はプーチン氏が戦争で負けることを保証する」。30日、トラス英首相は声明を出した。ドイツ与党・社会民主党のシュミート連邦議会議員(外交担当)も日本経済新聞に対し、「ウクライナへの人道・経済・軍事支援を続ける」と答えた。戦争の長期化は避けられない。
【インドネシア、サッカー場で観客が暴動 125人死亡】
10月2日の日経新聞【ジャカルタ=地曳航也】によれば、インドネシアの東ジャワ州マラン県のカンジュルハン競技場で1日夜、プロサッカーリーグの試合の後、一部の観客が暴動を起こし、警察官を含む125人が死亡した。国家警察が明らかにした。300人以上が負傷したという地元メディアの報道がある。
同州政府は一時、死者が174人に達したと表明するなど、犠牲者の確認をめぐり混乱した。同競技場では1日、地元のアレマFCとアウェーのペルセバヤ・スラバヤの試合があり、ペルセバヤが勝つと、敗戦に激高したアレマFCのサポーターが競技場のピッチになだれこんだ。
事態を収拾しようと、警備に当たっていた地元警察が催涙弾を発砲したところ、観客がパニックになって出入り口に殺到し、圧死や窒息死する人が多数出た。当時、競技場では4万人の観客が試合を観戦していた。地元メディアは日本人選手2人も出場していたと報じた。
在インドネシア日本大使館によると、日本人の死傷者は確認されていない。ジョコ大統領は2日、国家警察長官に事故の経緯を徹底して解明するよう指示した。事故を起こしたプロサッカーの1部リーグの試合を当面見合わせることを同国サッカー協会に求めた。
なおFIFA(国際サッカー連盟)のスタジアムでの保安・警備規則は「小銃や催涙ガスは所持も使用もしてはならない」と定めており、今回の警察の行為はこれに明らかに違反している。
【ウクライナ、「併合」地域の要衝リマン奪還 ドネツク州】
10月2日の日経新聞によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、東部ドネツク州の要衝リマンをロシア軍から奪還したと表明した。リマンは東部ルガンスク州に近い交通の拠点で、同州の奪還にも前進となる。ロシアは9月30日にドネツク、ルガンスクをふくむウクライナ東・南部4州の「併合」を宣言したばかりで、プーチン政権に大きな打撃となる。
ロシア国防省も1日、ウクライナ軍の包囲を避けるため、リマンから部隊が撤退したと認めた。
リマンはドネツク州北部の都市で、ルガンスク州の要衝であるセベロドネツクやリシチャンスクにも近い。ロシア軍は7月初旬までに両都市を制圧し、ルガンスク州の支配を固めていたが、ウクライナ軍による奪還の動きが加速する可能性がある。
ロシア内部では政権や軍部への批判が強まりそうだ。英国防省は2日、リマンからの撤退は「大きな政治的な挫折を意味する」と分析。さらなる領土の損失は、政府への批判や軍部への圧力の高まりにつながるとした。
【ヤクルト・村上宗隆が三冠王達成 「王超え」56号も放つ】
3日の日経新聞は以下のように報じた。
プロ野球ヤクルトの村上宗隆内野手(22)が3日、神宮球場で行われたDeNAとの今季レギュラーシーズン最終戦に出場し、打率3割1分8厘、56本塁打、134打点と主要打撃3部門でセ・リーグトップが確定、史上8人目の三冠王を達成した。
「4番・三塁」で先発出場した村上は三回に左前に適時打を放ち、七回には右翼に日本選手シーズン単独最多となる56号ソロ本塁打を放った。この日4打数2安打とし、既に3割1分4厘で今季を終えていた大島洋平(中日)に4厘差をつけての首位打者が確定した。本塁打王は39本を放った2021年に続いての獲得で、首位打者と打点王は初。
三冠王は04年の松中信彦(ダイエー)以来。ほかに中島治康(巨人)、野村克也(南海)、ブーマー(阪急)、王貞治(巨人)とバース(阪神)が各2度、落合博満(ロッテ)が3度達成している。
村上は18年、熊本・九州学院高からドラフト1位でヤクルトに入団。2年目の19年に36本塁打、96打点、20年は初の打率3割(3割7厘)をマークし、21年は39本塁打で岡本和真(巨人)とともにタイトルを獲得した。今季は夏場にプロ野球初の5打席連続本塁打を放つなどアーチを量産した。8月に自身初のシーズン40号、9月には日本選手では02年の松井秀喜(巨人)以来となる50号にそれぞれ史上最年少で到達。9月13日には1964年の王に並ぶ日本選手シーズン最多の55号本塁打を放った。
【北朝鮮が弾道ミサイル、東北上空通過 EEZ外に落下】
4日の日経新聞は次のように報じた。
政府は4日午前7時22分ごろ、北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたと発表した。東北地方上空を通過し、排他的経済水域(EEZ)外の太平洋に落下した。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2017年9月15日以来、5年ぶりとなる。
松野博一官房長官は記者会見で、ミサイルが午前7時44分ごろに日本のEEZ外に落下したと説明した。現時点で航空機や船舶の被害は確認されていないと述べた。
全国瞬時警報システム(Jアラート)は弾道ミサイルが日本上空を通過したとみられると公表した。「不審な物を発見した場合には決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡してください」と言及した。北海道と青森県を対象地域に指定した。
防衛省によると22年に入ってから北朝鮮による弾道ミサイル発射は20回目で少なくとも36発にのぼる。19年の25発を上回り、すでに年間発射数で過去最多を更新している。
続伸によれば、最高高度は1000キロで過去最長の4600キロ飛行したとみられる。東北地方上空を通過して排他的経済水域(EEZ)外の太平洋に落下した。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するのは2017年9月15日以来、5年ぶりとなる。
【OPECプラス、200万バレル減産で合意 米欧の反発必至】
6日の日経新聞【カイロ=久門武史、ワシントン=中村亮】によれば、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は5日、ウィーンで閣僚級会合を開き、11月に日量200万バレル減産することで合意した。産油国の財政圧迫を招く原油価格下落に歯止めをかける。エネルギー高に苦しむ米欧の反発は必至で、米ホワイトハウスは「バイデン大統領は失望している」との声明を出した。
OPECプラスは新型コロナウイルス禍の2020年5月、世界需要の1割に当たる日量970万バレルの協調減産に踏み切った。その後生産を増やしてきたが景気減速などで需要が減るとの見方が強まり、前回の9月会合で10月に日量10万バレル減産することを決めた。今回の200万バレル減産は世界需要の2%に当たり、20年以来の規模感になる。
米ホワイトハウスは5日の声明で大幅減産について「バイデン大統領は目先のことしか見えていない決定に失望している」と言及した。「この決定はエネルギー価格上昇ですでに混乱している低所得・中所得国に最も大きな負の影響をもたらす」とも指摘した。米議会と連携し、OPECの価格支配を弱めるための措置を検討するとした。
【地方の鉄道・バス、広域連携支援 国交省が複数年で補助】
7日の日経新聞はつぎのように伝えた。
「利用者が減り経営が厳しい地方の公共交通機関を再構築する取り組みが始まる。国土交通省は鉄道やバス、タクシーなどを地域一体で運営する計画に複数年で補助する制度を2023年度にも設ける。事実上の赤字補塡は縮小し、デジタル技術の導入など事業見直しの支援に軸足を移す。将来像を描けない路線の淘汰につながる可能性もある。
人口が減る地方の公共交通は存続が危うい。中小民鉄や第三セクターは特に厳しく、国交省によると20年度は95社のうち93社が経常赤字だ。国交省の有識者会議は7月末、いわゆるローカル鉄道の赤字区間は輸送密度が1000人未満などの条件で、自治体や事業者による協議会を設置するとの提言をまとめた。自治体には協議が廃線ありきで進むことへの警戒感がある。」
【クリミア橋で謎の爆発 ロシアの実効支配の象徴】
8日の毎日新聞は次のように報じた。
「ロシアが2014年に一方的に「併合」したウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の橋「クリミア大橋」で8日、爆発が起きた。ロイター通信などによると、貨物列車の燃料タンクに引火して炎上し、橋の一部が崩落。3人が死亡した。橋は通行止めになっており、ロイターは、ウクライナ南部に侵攻するロシア軍の「重要な補給路に打撃を与えた」と報じた。
ウクライナは同半島の奪還を目指している。ウクライナ国防省は8日、ツイッターで、4月に沈没したロシア黒海艦隊旗艦の巡洋艦「モスクワ」とクリミア大橋に触れ「クリミア半島での悪名高いロシアの権力の象徴が2つ沈んだ。次は何だ?」と投稿した。
ポドリャク大統領府長官顧問も同日、ツイッターでクリミアの橋に言及し「盗まれたものはすべてウクライナに返されなければならない」と書き込んだ。一部が崩落した橋の写真も添えており、同日の爆発に関する投稿とみられる。プーチン政権が激しく反発するのは必至だ。
橋はプーチン氏肝いりで建設された。18年の開通時にはプーチン氏が自らトラックを運転するパフォーマンスも見せており、クリミア「併合」の象徴と言える。ウクライナ南部のロシア軍に兵器や物資を輸送するルートに使われており、軍事上の要衝でもある。通行止めが続けば補給に影響を及ぼす可能性がある。露国防省は8日、陸海のルートを通じて必要な物資を補給できていると強調した。
橋には車道と線路があり、長さ19キロ。ロシア国家テロ対策委員会は、橋のロシア側で8日午前6時過ぎにトラックが爆発し、クリミア半島へ向かう貨物列車の七つの燃料タンクに引火したとしている。「自動車爆弾」だったとの情報もある。プーチン氏は8日、原因を調査する委員会を設立するよう指示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は8月、同半島の奪還と再統合に向けた諮問会議を設立する大統領令に署名している。」
【危機の時代、私はSNSをやめた】
8日の朝日新聞デジタルは、<朝日地球会議2022>の一つとして次ぎのように報じた。
「新型コロナのパンデミックと、ロシアのウクライナ侵攻で、今までの民主主義と資本主義のあり方が根底から問い直されている。国家という存在をどうとらえればいいのか。「倫理的な資本主義」はいかに可能なのか。ドイツの気鋭の哲学者、マルクス・ガブリエル氏に聞いた。
日本の国境閉鎖は「ナショナリズムの表出」
――コロナ禍で主要国はマスクやワクチンを奪い合い、自国の利益を最優先にしました。主権国家の優位性という概念が復活したのでしょうか。
「パンデミックによって、私たちは、結局のところ国民国家が存在することを認識したのです。医療制度は国家単位のものです。私たちの社会は、基本的にまだ国民国家の論理で動いていて、その点では19世紀と同じです。純粋に経済的な意味でのグローバル化である、モノの交換だけでは、倫理的な問題を解決できない。それが教訓だと思います」
【日産、ロシア撤退へ 1ユーロで売却し特別損失1000億円】
11日の日経新聞は、次のように報じた。
「日産自動車は11日、ロシア市場から撤退すると発表した。ロシア事業を手がける子会社の株式を自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に1ユーロで売却する。売却にともない約1000億円の特別損失がでる見通し。
日産と企業連合を組む三菱自動車なども撤退の検討に入った。国内車大手ではトヨタ自動車が撤退方針を発表している。ロシアのウクライナ侵攻を受けた日本車の事業撤退の動きが広がっている。
完成車の製造を手がける子会社の「ロシア日産自動車製造会社」の全株式を売却する。ロシア北西部のサンクトペテルブルクにある完成車工場は2009年に稼働を始めた。ウクライナ侵攻を受けた供給網の混乱で、22年3月から生産を停止している。日産のロシア唯一の完成車工場として、多目的スポーツ車(SUV)「エクストレイル」や「キャシュカイ」などを生産している。
同国での従業員は約2000人にのぼるが、雇用への影響は最小限に抑える。完成車の在庫がなくなり次第販売は終了し、すでに販売した車の保守サービスのみ当面続ける。」
【東芝、国内連合に優先交渉権 中部電力やオリックス参画】
11日の日経新聞は、次のように報じた。
「東芝が再編案について国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に優先交渉権を与えたことが11日、わかった。今後、買収価格などの詳細な条件の協議を始める。JIP案では中部電力やオリックスなど日本企業が出資する計画。株価が再編を織り込む形ですでに高値で推移するなか、株主が合意できる価格を提示し、2兆円台半ばともみられる資金を調達できるかが焦点となる。
東芝は9月30日、2次入札に進んでいた複数の候補から、法的拘束力のあるものも含めて詳細な意向表明書を受け取ったと発表していた。そのうちJIPと先行して交渉に入ることにした。」
【円下落、一時148円台後半 32年ぶり】
14日の日経新聞によると、「14日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=148円台後半を付けた。148円台は1990年8月以来32年ぶりの円安・ドル高水準。14日に発表した米経済指標が市場予想を上回り、円売り・ドル買いが膨らんだ。米連邦準備理事会(FRB)がインフレを抑えるために急激な利上げを続けるとの見方もドル全面高を後押ししている。…政府・日銀は9月22日に1ドル=145円90銭を付けた後に円買い・ドル売りの為替介入に踏み切っている。市場では円安の加速を受けて再び大規模な円買い為替介入もあり得るとの警戒感も強まっている。」と報じた。
17日には、ニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下落し、1ドル=149円台を付けた。14日に付けた32年ぶりの安値(148円86銭)を更新した。米長期金利が再び4%台に乗せたことで日米の金利差拡大に注目して円売り・ドル買いの動きが加速した。18日午前の東京外国為替市場でも一時149円台を付けた。
【旧統一教会、政府調査へ 宗教法人法「質問権」を初適用】
15日の日経新聞は次のように報じた。
「政府は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り宗教法人法に基づく「質問権」の規定を活用する方針だ。関係省庁などが教団に質問し、業務や管理運営に関して報告を求める。法令違反などの解散命令の要件に該当する疑いがあると判断した。
宗教法人法で規定する質問権を使った調査は解散命令の前段階で、違法行為を防ぐ狙いで設けている。これまでこの権限を使った事例はない。結果次第では教団の解散命令の請求につながる可能性もある。
同法に基づく解散命令の要件は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」などがある。質問や報告要求はその疑いがある場合などに発動できる。
政府が9月5日に開設した旧統一教会に関する電話窓口への相談は同月28日までで2200件超にのぼった。解散命令を発動する要件に該当の疑いがあるとして質問権の行使を文部科学省の宗教法人審議会に諮問する方向で調整する。
岸田首相が近く旧統一教会の被害者救済について方針を表明する見通しだ。霊感商法での高額寄付を取り消しやすくする消費者契約法の改正、相談体制の強化と合わせた柱とする。」
【習氏、台湾問題「武力行使を放棄せず」 中国共産党大会】
16日の日経新聞【北京=羽田野主】によると、中国共産党の幹部人事を決める5年に1度の第20回党大会が16日、北京の人民大会堂で開幕した。習近平総書記は過去5年間の成果と今後の方針を示す活動報告で台湾統一方針を巡り、「決して武力行使の放棄を約束しない。必要なあらゆる措置をとる選択肢を持ち続ける」と強調。
台湾問題に介入を深めるバイデン米政権や台湾の蔡英文政権を威嚇した。習氏は「台湾問題は中国人自身のことであり、中国人が自分で決めなくてはいけない」と主張。「祖国の完全な統一は必ず実現しなくてはならず、また必ず実現できる」と訴えた。「平和統一の見通しを得るために最大限の努力をする」とも述べた。
中国共産党には、党トップの総書記は2期10年との慣習がある。習氏は党大会後、この慣習を破って異例の3期目に入る見通しだ。
習氏は「これからの5年間は、社会主義現代化国家の全面的な建設が始まる重要な時期だ」と述べ、異例の3期目入りに向けた正当性を強調した。「最悪の事態も想定した思考を堅持しなくてはいけない」とも話し、習氏の指導のもとでの結束を訴えた。
翌17日、習氏は今後5年間の重要目標として、海外に依存しないハイテク技術の開発を加速させることを掲げ、技術力を持つ中小零細企業の成長を促し、優秀なエンジニアなど高度人材の育成でも国際的に優位にたてる「製造強国」を目指すと述べた。
米インターナショナル・ビジネス・ストラテジーズの推計によると、中国の半導体自給率は2022年時点で26%だった。この10年間で20ポイント近く高まったとはいえ、当面は海外の技術への依存は続く。
科学技術の強化にまい進するのは、覇権争いを挑む米国の存在が大きい。米国を中心に、半導体などのサプライチェーン(供給網)で中国排除の動きが進む。米国は今月7日、スーパーコンピューターなどに照準を定めて中国への輸出規制を強めた。
こうした包囲網に立ち向かうため、自国だけでまかなえる技術力の強化が欠かせず、供給網の整備などで強国を急がざるを得ない。取り組みが遅れれば、その分、中国の劣勢は強まることになる。
【米国への留学、インドが中国を逆転 米中関係緊張を反映】
17日の日経新聞【ニューヨーク=弓真名】によると、米国で留学生の出身国が大きく変わってきた。中国人への学生ビザの発給数は2022年度(21年10月~22年9月)の7月までで前年同期と比べて3割減った一方、インドが6割増え、中国を抜いてインドが首位になった。米中間の政治的な緊張の高まりを反映したほか、中国の「ゼロコロナ」政策も響いた。
【米国、台湾と武器共同生産へ協議 中国抑止へ提供前倒し】
19日の日経新聞【ワシントン=中村亮】によると、バイデン米政権が米国製の武器を台湾と共同生産する案を検討していることが分かった。関係者3人が日本経済新聞の取材で明らかにした。携行型の防空システムや弾薬を念頭に置く。台湾有事に備えて協力して生産能力を高める。武器提供を早めて中国抑止を急ぐ。
ブリンケン米国務長官は17日、西部カリフォルニア州で開いたイベントで「中国は以前に比べてかなり早い時間軸で(台湾との)再統一を目指すと決意した」と指摘した。22日まで開く第20回共産党大会で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は異例の3期目を決めるとみられ、台湾への軍事的圧力をさらに強める可能性がある。
米台の共同生産をめぐって、関係者の一人は初期段階の協議が始まったと認めた。米国の防衛企業が技術供与をして台湾で武器を製造したり、台湾でつくった部品を使って米国で生産したりする案がある。別の関係者は「2023年を通して詳細を詰めることになるだろう」と語った。
米大手防衛企業が加盟する米国・台湾ビジネス評議会は「米国の弾薬や(戦闘機や艦船などの)プラットフォームについて米国と台湾が共同生産したことはない」とコメントした。米国の歴代政権は機密情報が漏れるリスクを懸念し、米国製武器の共同生産に慎重だったとみられる。
バイデン政権が共同生産を検討するのは、引き渡しを早めるためだ。一般的に米政府が武器売却を承認してから引き渡しが完了するまで数年から10年程度を要するケースが多い。一方で米軍は中国が27年までに台湾侵攻能力を取得すると分析しており、台湾の自衛力向上に残された時間は限られる。
【ロシアの動員、悲惨な実態 「これはやばいよ」新兵SNSで訴え次々】
ウクライナ侵攻を続けるロシアで、9月に始まった「部分的動員」の実態を伝えるSNSの投稿が相次いでいます。訓練なく戦場に送られ、防弾チョッキも自分でそろえるように言われた。「止血用」に生理用品も入手するように求められた……。戦地に赴く人が自ら投稿したとみられる写真や映像からは、切羽詰まった不安や、どうしようもない苦しさが伝わってきます。プーチン大統領は、国民の動揺や不安がここまで広がるとは予想しなかったのでしょうか。大きな犠牲を払いながらもナチス・ドイツと戦った「大祖国戦争」の記憶があったのでしょうか。「ナビゲーターが選ぶ1本」でご紹介する、インタビュー「『国家の戦争』から『個人の戦争』へ プーチン氏は変化を見落とした」とあわせてお読み下さい。
穴の開いた防弾チョッキやさびた自動小銃――。ウクライナへの侵攻を続けるロシアで、9月に始まった部分的動員の悲惨な現状を伝えるSNSの投稿が続いている。「(配置前の)訓練はないと告げられた」と涙ながらに訴える人までいる。プーチン政権は動員で侵攻の劣勢を覆す考えだが、早くも動員による戦死者が出ており、士気の低下は深刻だ。
戦地に赴く人が自ら投稿したとみられる写真や映像からは、切羽詰まった不安や、どうしようもない苦しさが伝わってきます。プーチン大統領は、国民の動揺や不安がここまで広がるとは予想しなかったのでしょうか。大きな犠牲を払いながらもナチス・ドイツと戦った「大祖国戦争」の記憶があったのでしょうか。「ナビゲーターが選ぶ1本」でご紹介する、インタビュー「『国家の戦争』から『個人の戦争』へ プーチン氏は変化を見落とした」とあわせてお読み下さい。
動員を免除されるはずの学生や病気の人にまで招集令状が届いたほか、「誘拐まがい」の例も伝えられている。モスクワに働きに来た建設作業員5人が、宿泊先にきた警官に拘束された例もあった。その後徴兵事務所で書類への署名を強制され、訓練施設に連れて行かれたという。
動員を免除されるはずの学生や病気の人にまで招集令状が届いたほか、「誘拐まがい」の例も伝えられている。モスクワに働きに来た建設作業員5人が、宿泊先にきた動員発表から1カ月も経たない中、戦死者の報告も続く。
中部チェリャビンスク州の当局は13日、動員された地元出身の5人が死亡したことを明らかにした。英BBCは、親族や友人の話として、5人が訓練を受けないままウクライナ南部ヘルソン州に送られた、と伝えた。ウクライナ軍が奪還をめざす激戦地だ。
プーチン政権は、動員されれば訓練を受けた後に戦地へ送られると説明してきた。 だが、モスクワ市の28歳の公務員は戦闘経験がないのに数日で前線に送られて戦死した。サンクトペテルブルク出身の弁護士も従軍経験があったとはいえ、動員後、わずか3日間の訓練で戦地へ派遣され亡くなったと報じられた。
英国防省は9月26日、「招集された部隊の多くが、動員を急いで極めて少ない準備で前線に配備されるとみられ、高い割合で消耗することになりそうだ」と分析した。
【トラス英首相が辞任表明、経済混乱で引責 就任44日】
20日の日経新聞【ロンドン=中島裕介】によると、英国のトラス首相は20日、「保守党から選出された任務を果たすことができない」と辞任を表明した。9月下旬に打ち出した大規模減税策が金融市場を混乱させ、経済対策の大半は撤回に追い込まれた。辞任はその引責とみられる。9月6日の政権発足から44日という異例の短命政権となった。
【円が急騰、一時146円台 安値から5円上昇 介入観測も】
22日の日経新聞は次のように報じた。
「21日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで急騰し、一時1ドル=146円台を付けた。上昇前は151円台で推移しており、わずか1時間ほどで5円以上上昇した。円相場は32年ぶりに1ドル=150円を超えて円安が進んだ後、極めて荒い値動きとなっている。市場関係者の間では、政府・日銀が円買い介入に踏み切ったとの観測も出ている。
外国為替市場では日本時間21日夜に円安・ドル高が進み、一時1ドル=151円90銭台と1990年7月以来32年ぶりの安値を更新した。27~28日に日銀の金融政策決定会合を控え、改めて日米金融政策の方向性の違いを意識した円売り・ドル買いが膨らんだ。米長期金利が14年ぶりに4.2%台を付けたことも、ドル買いにつながった。
ところが日本時間の21日深夜になって突然、流れが変わった。円相場は151円台から一気に円高に転じ、断続的に水準を切り上げた。
政府・日銀は9月22日に24年ぶりに円買い・ドル売り介入に動いた。市場では円安にブレーキがかからない中、当局が再び大規模な介入に動くとの警戒感が強まっていた。当局者は今回の円急騰について、介入の実施の有無を明らかにしていないが、ある外銀関係者は「介入の可能性がある」と話す。
この日の午後、政府・日銀が円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったと関係者が22日未明、明らかにした。21日に一時1ドル=151円90銭台となり、32年ぶりの安値を更新していた。通貨当局として過度な動きを阻止する姿勢を改めて示した。政府・日銀は9月22日にも約24年ぶりに円買い介入を実施していた。
24日の日経新聞によれば、外国為替市場で政府・日銀と投機筋の攻防が激しさを増している。1ドル=151円台後半で大規模介入に踏み切った21日に続き、24日にも政府・日銀が2営業日連続で介入を実施したとの観測が市場で広がっている。21日の介入規模は9月を上回る5.5兆円規模との見方がある。市場では150円が政府・日銀の防衛ラインとして意識され、極めて荒い値動きが続いている。
24日の東京外国為替市場に再び衝撃が走った。午前8時半すぎ、じりじりと下落していた円相場が149円70銭と節目の150円に接近すると、突然、大量の円買い注文が入った。円相場は一気に4円以上も上昇し、1ドル=145円台前半を付けた。
これは21日深夜の円買い介入をなぞるかのような値動きで、市場では今回も政府・日銀による為替介入だとの観測が広がった。シティグループ証券の高島修氏は「24日にも介入を実施したとすれば完全にサプライズ。投機の抑制に向けて当局は心理戦をしかけており、当面は1ドル=150円が円の底値として意識される」と指摘する。
24日朝の円相場の急伸直後、財務省の神田真人財務官は記者団に「24時間365日、過度な変動に対しては適切な対応をとる。それをこれからもずっと続けていく」と強調した。相場が急伸する前には鈴木俊一財務相が「市場を通じて投機筋と厳しく対峙している」と険しい表情で述べていた。
政府・日銀は21日に円買い介入を実施し、円相場を32年ぶり円安水準となる151円台後半から144円台半ばへと7円も押し上げた。24日も介入を実施していたとすると、政府・日銀は150円よりも円安に進むことを認めない強い姿勢を市場に示したことになる。
【習近平氏の3期目入り確定 中国新指導部、23日立ち上げ】
22日の日経新聞【北京=羽田野主】によると、中国共産党の習近平総書記が第20回党大会で党序列約200位以内の中央委員に選ばれ、続投が確定した。中国国営の新華社が伝えた。習氏は異例の3期目に入る。
党幹部は党大会時に68歳以上ならば引退する慣例があるが、69歳の習氏はこれを破って続投を決めた。
新たな中央委員は23日に北京市で第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、政治局委員を決める。政治局委員の中から最高指導部に相当する政治局常務委員を選出し、さらに政治局常務委員の中から総書記を選ぶ流れで、総書記には習氏が再任されるのが確実な情勢だ。
候補者名簿は事前調整で決められ、実態は形式的な手続きとされる。再任されれば、習氏は23日に新指導部を立ち上げる。
党トップの総書記は近年、2期10年との慣習があった。習氏は2012年の党大会後に総書記に就任し、17年に再任されていた。
中国の李克強首相が共産党の最高指導部を指す政治局常務委員から退任することが22日、決まった。同日閉幕した第20回党大会で、党序列約200位以内の中央委員に選出されなかった。7人いる最高指導部のうち、李氏を含め計4人が退任する。
【中国最高指導部、「習派」8割に 政治リスク増大懸念】
24日の日経新聞【北京=多部田俊輔】によると、3期目となる新たな習近平指導部が23日に発足した。習氏に近いとされる「習派」は最高指導部を指す政治局常務委員で7人中6人を占めた。序列24位以内の政治局員でも約7割とみられ、権力集中がいっそう進んだ。習氏と距離があるとされる胡春華氏が降格したほか、年上の「重し」役も去り、政治リスクはより強まっている。
新たな最高指導部をみると、習氏「1強」が色濃くなった。序列2位で次期首相候補となる李強氏は浙江省出身。習氏の浙江省トップ時代に秘書長として働いた。同4位の蔡奇氏も習氏が福建・浙江の両省にいた時代に仕え、習氏の信頼が厚いといわれる。
留任した趙楽際氏、汚職摘発を担う規律検査委員会のトップとなった李希氏は、ともに習氏や父の習仲勲・元副首相とゆかりがあり、習氏が厚い信頼を寄せるとされる。同6位の丁薛祥氏は日本の官房長官に相当する党中央弁公庁主任を務め、習氏を支えてきた側近中の側近だ。
残る同4位の王滬寧氏は、習氏や江沢民氏、胡錦濤氏の3代にわたる総書記に仕え「三代帝師」との異名を持つ。習派には該当しないが、習氏に忠誠は尽くしている。
一方、李克強首相を輩出した共産党の青年組織「共産主義青年団(共青団)」、江氏らを柱とする「上海閥」といった習氏と距離があるとされる勢力は一掃された。
【英首相にスナク氏、無投票選出 アジア系初・最年少42歳】
24日の日経新聞【ロンドン=中島裕介】によると、20日に辞意を表明した英国のトラス首相の後任に、リシ・スナク元財務相(42)が就任することが24日固まった。与党・保守党の党首選に出馬を表明していたモーダント下院院内総務が撤退し、無投票で選出された。トラス政権が失墜させた経済政策の信頼回復や財政再建、党勢の回復に取り組む。
アフリカから移住したインド系の両親のもと英国で生まれ育ったスナク氏は、同国史上初めてのアジア系の首相となる。43歳で首相となったキャメロン、ブレア元首相を抜き、過去200年あまりで最年少の首相となる。
スナク氏は党首選出後の国民向け演説で「私たちは深刻な経済的課題に直面している」と語った。財政危機や物価高騰などの課題克服のため「安定と団結が必要だ。私は保守党と英国を一つにする」と訴えた。
【台湾統一に習近平氏「37年の計」】
25日の日経新聞は、「大中国の時代 共産党大会編 習氏の兵法 ①」を掲載して表題の特集を組み、「兵貴神速」(兵は神速を貴ぶ)のキーワードを掲げ、(1)習政権、台湾統一を3期目の「公約」に、(2)37年前の福建着任から台湾取り込みに腐心、(3)有事には軍民を糾合して一気に動く構え、の3点を強調した。
この連載「大中国の時代 共産党大会編 習氏の兵法」の②は、26日掲載の「習近平氏、後継明かさず、忠臣競わせる 集団指導と決別」であり、27日掲載の③は「経済リスクを黙らせろ、不良債権マグマ 規制と成長 天秤」であろ、さらに28日掲載の③は「ハイテク兵糧戦 備えよ、半導体囲い込み」であり、さらにつづくと思われる。
【経財相に後藤前厚労相 山際氏の後任】
25日の日経新聞は、次のように報じた。
岸田文雄首相は事実上更迭した山際大志郎経済財政・再生相の後任に後藤茂之前厚労相を起用する。25日午後に皇居での認証式を経て就任する見通し。後藤氏は経財相として政府が月内にまとめる総合経済対策や新型コロナウイルス対策を担う。
首相は後藤氏の厚労相時代の国会答弁の安定性などを踏まえた。自民党が9月に公表した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係をめぐる調査で後藤氏の名前はなかった。首相は教団との過去の接点も考慮したとみられる。
後藤氏は厚労相として新型コロナ対策を推進した。旧大蔵省(現財務省)出身で自民党の税制調査会の幹部も務めてきた。経済財政政策や厚労行政に精通する。
松野博一官房長官は25日の記者会見で、政府の総合経済対策に関し「予定通り月内にとりまとめたい」と述べた。
自民党の茂木敏充幹事長は25日の記者会見で、山際氏の辞任について「本人から申し出があったことで致し方ない」と語った。経済財政運営や新型コロナ対策など担当が幅広い経財相に関し「説明能力が高い人が就任することを期待したい」と話した。
【ECB、0.75%利上げ決定 物価高騰の抑制へ2会合連続】
27日の日経新聞【フランクフルト=南毅郎】によると欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で、政策金利を0.75%引き上げると決めた。通常の3倍となる大幅利上げは、前回9月から2会合連続。ウクライナ危機に伴う資源高などの影響でユーロ圏の物価上昇率が過去最高の10%近くとなり、インフレに歯止めがかからない。景気後退のリスクが差し迫るなか苦渋の決断に動いた。
ECBは7月に11年ぶりの利上げを実施した。7月の0.5%利上げに続き、9月には利上げ幅を過去最大の0.75%に広げた。今回の追加利上げでは主要政策金利を1.25%から2.00%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)を0.75%から1.50%に引き上げる。主要政策金利は2009年以来13年ぶりの高さとなる。
【米GDP、7~9月2.6%増 3四半期ぶりプラスも消費は減速】
同じ27日の日経新聞【ワシントン=高見浩輔】によると、米商務省が27日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比の年率換算で2.6%増だった。3四半期ぶりのプラス成長だが、個人消費は減速した。米連邦準備理事会(FRB)による急速な利上げが景気を下押ししており、高インフレが和らぐかが焦点となる。米景気の停滞は世界経済の失速リスクを高める。
事前の市場予測は2.3%増で、公表値はこれを上回った。1~3月は1.6%減、4~6月は0.6%減だった。7~9月は輸出の伸びが拡大し成長に寄与した一方、GDPから差し引く輸入が6.9%減った。輸入が前期を下回ったのは20年4~6月以来。
【東京都区部物価3.4%上昇 10月、40年ぶり伸び】
28日の日経新聞は次のように伝えた。
総務省が28日発表した東京都区部の10月の消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.2で前年同月比3.4%上がった。消費税の影響を除くと1982年6月以来、40年4カ月ぶりの大幅な伸びとなった。資源高や円安の影響で、エネルギーや食料など生活に欠かせない品目を中心に値上がりが続く。上昇率は生鮮食品を含む総合で3.5%に達した。生鮮食品とエネルギーを除くと2.2%だった。
品目別にみると食料は6.1%で、物価全体を1.55ポイント押し上げた。メーカーの値上げが相次ぐ食用油は37.9%、調理食品は6.6%、外食は5.6%だった。サケ(27.6%)はロシアのウクライナ侵攻による輸送ルートの変更でコストがかさんでいる。全体に原料高を円安が増幅している構図もある。
エネルギー関連は24.2%で、全体を1.20ポイント押し上げた。電気代は26.9%、都市ガス代は29.3%上がった。ガソリンは価格抑制の補助金の効果もあって2.0%と、前月の5.8%から縮小した。
前月にマイナス14.4%だった携帯電話通信料は1.8%のプラスに転じた。前年の値下げの影響がなくなった。
全国の消費者物価指数は東京都区部よりエネルギーの比重が大きく、上昇率は9月に既に3.0%に達している。10月はインフレが一段と加速する公算が大きい。
【経済対策の補正29.1兆円 電気代軽減など、政府28日決定】
27日の日経新聞は次のように報じた。
政府は28日、物価上昇などに対応する総合経済対策を決める。電気・ガス代の抑制策や子育て支援拡大などを盛り込む。財源の裏付けとなる2022年度第2次補正予算案の一般会計は29.1兆円程度、民間投資などを含めた事業規模は71.6兆円ほどとする方針だ。
地方支出や財政投融資を入れた財政支出総額はおよそ39兆円になる。岸田文雄首相は同日、記者会見を開いて説明する。
政府は電気・ガスの支援を23年1月以降早期に始める。平均的な世帯のエネルギー関連費は石油元売りへの補助金でガソリン価格を抑える効果を含めて月5000円ほど軽減されると見込む。家計や企業の負担を減らす目的だが、需給に基づく価格決定メカニズムをゆがめる面がある。効果を検証して「賢い支出」につなげる必要がある。
電気は家庭向けの「低圧」契約で1キロワット時7円補助し、およそ2割安くする。企業向けの「高圧」契約は1キロワット時3.5円を支援する。22年1~3月の販売電力量に基づく単純計算で3カ月の支出額は1兆円に迫る。企業向けは再生可能エネルギー普及のために電気料金へ上乗せする「固定価格買い取り制度(FIT)」の賦課金分を政府が実質的に肩代わりする金額だ。長期化すれば再生エネの促進を支える財源が曖昧になる。都市ガスの補助は1立方メートルあたり30円。平均的な世帯で月900円ほどの軽減になる。
ウクライナ情勢に起因する影響へ迅速に対処するための1兆円規模の予備費も創設する。賃上げ促進に向けたリスキリング(学び直し)の支援拡充や妊娠した女性への助成拡大も入れる。
この間、下記の録画を視聴することができた。(1)報道1930「[窮地のプーチン氏] ロシア正規軍崩壊か。「予備役動員」で国内動揺」9月26日。 (2)報道1930「改めて問う 国葬の意味、岸田総理の深謀と誤算」27日。 (3)報道1930「[旧統一教会は変われるか]元信者は「国葬」をどう見た?」28日。 (4)NHKスペシャル「中流危機を越えて」29日。 (5)報道1930「“日中逆転“の50年、世界制覇狙う強権習氏、停滞日本とどう向き合う」29日。 (6)報道1930「追いつめられるプーチン氏 支持率急落 動員への反発」30日。 (7)週刊ワールドニュース(9月26日~30日)「ロシア国内抗議デモ 国外脱出、住民投票の実態」10月1日。 (8)TV朝日 朝までテレビ「激論! 国交正常化50年~ド~する日中関係~」1日。 (9)BSプレミアム 日中2000年「戦火を越えて「後編 周恩来の決断”民を以て官を促す」1日。 (10)NHKスペシャル「新型コロナ病棟 いのちを見つめた900日」1日。 (11)BS朝日 日曜スクープ「ロシアが4州併合を表明 ”部分的動員”で国内動揺」2日。 (12)NHKスペシャル「安倍元首銃撃事件と旧統一教会」2日。 (13)報道1930「旧統一教会問題と国葬で失速する岸田政権 国会での起死回生策は」3日。 (14)報道1930「頻発する北朝鮮ミサイル発射 狙いは」4日。 (15)BS世界のドキュメンタリー「エネルギーを我らの手で~欧州の挑戦~」4日。 (16)BS世界のドキュメンタリー「リチウムを獲得せよ 欧州エネルギー安全保障と新秩序」5日。 (17)報道1930「窮地プーチン氏の命運 語られ始めた“命運”のシナリオとは」5日。 (18)報道1930「旧統一教会改革と実態 与野党に問う 被害救済、解散請求はばむ壁は」5日。 (19)NHKスペシャル(選)「追跡・謎の中国船~“海底覇権”をめぐる攻防」5日。 (20)報道1930「領土奪還ウクライナ 最前線兵士が語る要衝マリン奪還作戦部隊裏」7日。 (21)週刊ワールドニュース(10月3日~7日)8日。 (22)NHKスペシャル「食の革命 10年後 私たちは何を食べている?」8日。 (23)BS朝日 日曜スクープ「戦況激化でロシア国防相に批判…政権内部で何が!?」9日。 (24)報道1930「「ICBMや核実験も? 北朝鮮狙いと代償 韓国で”核武装論”再浮上」10日。 (25)報道1930「【旧統一教会と北朝鮮】 反共なのにナゼ金王朝に接近?」12日。 (26)報道1930「報復攻撃 プーチン氏の苦境と劣勢は露軍の本音?」13日。 (27)報道1930「四面楚歌のプーチン氏 旧ソ連諸国とすきま風で戦争継続困難に?」14日。 (28)週刊ワールドニュース(10月10日~14日)15日。 (29)BS朝日 日曜スクープ「ロシアがミサイル攻撃 戦況悪化。習近平氏 3選確実」16日。 (30)報道1930「習近平氏に絶対的地位 強まる権力の一局集中 <後継候補>は不在か」17日。 (31)BS1映像の世紀バタフライエフェクト「ジェノサイド 虐殺と黙殺」17日。 (32)報道1930「最悪の選択<ロシアの核>戦争拡大のシナリオとプーチン氏の停戦条件」18日。 (33)BS8プライムニュース「欧州ウクライナ軍事支援で苦境プーチン氏は…」18日。 (34)報道1930「苦境のロシア軍 兵器・兵力不足で戦術変化か」19日。 (35)報道1930「岸田政権は万事休す? 旧統一教会問題・円安・物価高に打つ手なしか」20日。 (36)報道1930「【4州に戒厳令】プーチン氏の真の狙いは戦闘効率アップか」21日。 (37)BS朝日 日曜スクープ「ロシアが4州に戒厳令&ヘルソン攻防」23日。 (38)報道1930「習近平氏4期目視野か “後継候補”不在?」24日。 (39)報道1930「ロシア国民に不安急増…戦況悪化で動揺の大義なき戦争の出口は」25日。 (40)報道1930「要衝ヘルソン攻防戦」26日。 (41)報道1930「ウクライナ命運握る巨大衛星通信網の実力 ヘルソン市街戦も」27日。
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