人類最強の敵=新型コナウィルス(53)
7月25日掲載の本ブログ連載「人類最強の敵=新型コロナウィルス(52)」で、オミクロン株のBA-5が20日現在、全国でおよそ15万2000人、21日は18万6000人、22日は19万5000人、23日は20万超と連日、過去最高を更新している、と述べた。
その後もさらに増加しており、8月4日には24万9000人、その後も高止まりしている。のち、お盆の帰省で移動が増えたためか、18日に過去最高の25万人超、19日に26万人超と増え続けている。医療機関の負担が大きいたためコロナ患者の全数調査を撤廃する動きも出ている(後述)。
【米陸軍、アジアに新部隊配置検討 サイバーや防空強化】
7月27日の日経新聞【ワシントン=中村亮】によると、米陸軍がミサイルや電子、サイバーといった能力を一体的に扱う作戦部隊をアジアに配置する案を検討していることが分かった。電子やサイバー領域の能力を生かし、効果的な作戦を迅速に実行する。台湾海峡や南シナ海をめぐり中国の抑止を目指す。アジア配置を検討しているのは「マルチドメイン・タスクフォース(多領域部隊)」と呼ばれる陸軍部隊。
2017年に創設され、一般的に①ミサイル②防空③電磁波・サイバー・情報収集④後方支援――の能力を持つ4つのグループで編成する。合計で数千人で構成し、現在は米西部ワシントン州とドイツの基地にそれぞれ配置している。
陸軍は23年以降に正式に立ち上げる3つ目の多領域部隊をハワイにまず置く見通しを示している。日本経済新聞の取材に応じた、チャールズ・フリン太平洋陸軍司令官は日本やフィリピンなど、より中国に近いインド太平洋地域の同盟国に配置する可能性について、「選択肢として議論の俎上(そじょう)にある」と検討を認めた。
多領域部隊は平時に電子やサイバー、宇宙能力を使って情報収集を実施。敵国の行動パターンや弱点を把握して有事に備える。戦闘が始まった場合には電子やサイバー攻撃で通信網を無力化して敵国の指揮統制をかく乱。事前に得た情報も使い、敵の艦船や施設をミサイルで攻撃する。多彩な攻撃を同時に実施して敵国を追い詰めていく。
米陸軍は複数のミサイル開発を進めるが射程は数千キロメートルとみられ、ハワイからは中国や中国近海に届かない。米軍は沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線にミサイル地上部隊を分散配置する構想を掲げており、その一部に多領域部隊をあてる考えだ。
地上部隊は小回りがきき、中国のミサイル攻撃を回避しやすい。米軍の艦船や戦闘機が第1列島線に近づく環境を整える役割を担う。
焦点はアジア諸国が多領域部隊の配置を受け入れるかどうかだ。部隊が配置される地域は中国軍の標的になるリスクが高まる。中国が配置を認めた国や自治体が攻撃対象になると警告し、各国に部隊を受け入れないように強く促す可能性がある。
【行動制限なき第7波、政府の対策に手詰まり感】
29日の朝日新聞デジタルは、「行動制限なき第7波、政府の対策に手詰まり感「医療現場との温度差」」の見出しで次のように報じた。
医療の逼迫(ひっぱく)が現実となっている新型コロナウイルスの「第7波」で、政府は29日、新たに都道府県への支援策を打ち出した。行動制限をかけず、社会経済活動を維持する狙いだ。しかし、内容は繰り返し呼びかけてきた基本的対策の羅列にとどまり、手詰まり感が否めない。医療現場からは「第6波以降、政府は必要な準備をしてこなかった」との声が上がる。
第7波による感染が急拡大してからも、政府は一貫して行動制限を避けている。その姿勢を象徴するように、岸田文雄首相は毎晩、政治家や財界人と会食を重ねている。ただ、感染者を減らすための具体策は「打つ手なし」(首相周辺)という状態。さらに、厚生労働省にコロナ対策を助言する専門家組織(アドバイザリーボード)からも「『行動制限は必要ない』と連呼するより、個人での感染対策をやらないといけない」と注文がついていた。
政府に厳しい目が向けられる中、新たに飛び出したのが「BA.5対策強化宣言」だ。都道府県の知事が宣言を出せば、国が職員の派遣や対策の助言をするという。幹部官僚の一人は、その狙いを「知事が対策強化に取り組みやすくするメッセージだ」とする。従来、国が行動制限に踏み切らないと都道府県は対策を強化しづらい面があった。国が「お墨付き」を与えることで、新たな対策を呼びかける際に地元の市町村を説得しやすくなったり、他県の取り組みを採り入れやすくなったりするという。
ただ、宣言後に住民に要請できる内容として国が示したのは、3密の回避、ワクチン接種の促進、混雑した場所の回避など、すでに何度も国民にお願いしたものばかり。政権内にも「(宣言は)ただの呼びかけで、意義はあまりない」と冷めた見方がある。
同じ日、厚労省からも、医療逼迫を避けるための策が発表された。病床の確保、入院対象の絞り込みなど、医療資源を重症患者に集中させるためのものだ。いずれもすでに取り組んでいるが、感染拡大のスピードが速すぎてうまく対応できていない。象徴的なのが発熱外来の負担を軽減するための検査キットの配布。
急激な外来の逼迫を受けて、22日に外来での無料配布を発表したが、その時点でいつ現場にキットが届くかは確定していなかった。さらに、医療現場からは「対応に人手を取られたら診療に支障がでる」と反発の声が相次いだ。結果、当初は「感染の疑いがある人が来るのは無理でしょ」(厚労省幹部)と慎重だったはずの公共施設や薬局での配布を急きょ表明した。ただ、これもいつ配布が始まるかは見通せていない。(阿部彰芳、市野塊、枝松佑樹)
第7波を行動制限なしに乗り切れるのか。オミクロン株の亜系統BA.5が主流になり、ワクチン接種済みや過去に感染した人の感染もみられる。感染は医療現場にも広がり、休職するスタッフも増えている。軽症の受診者を減らし、重症者対応の医療を確保できるか、がかぎになる。
「行動制限をかけないとする政府の方針は理解しないわけではないが、現時点では医療現場との温度差が非常にある」。埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授はそう話す。病院は29日時点で40床中31床が埋まり、重症者は4人で第6波の数を上回った。出勤できないスタッフも多く、病床の稼働は限界に近いという。
感染症対策の見直しの方向性は理解するとしながらも、「医療従事者への4回目接種や、濃厚接触者の待機短縮など必要な対応をあらかじめ決めなかった。今回は圧倒的に準備不足だ」と話す。
大阪大の忽那賢志教授(感染制御学)は、今の重症化割合は第6波より低いとみる。だがさらに感染者が増えれば、6波の頃のように全国で1日に200人超が亡くなる事態になる可能性はあると指摘。「1日200人の死者を許容するのか、考える必要がある」と話す。
忽那教授は「行動制限はしないですむならば、しないほうがよい」としながらも、「長期的には制限緩和に向かうべきだと思うが、そんなにすぐにコロナから自由にはなれない。場合によっては、行動制限をするという選択肢を残しておくべきだ」と語る。(熊井洋美、辻外記子)
【米中首脳が電話協議 習氏「火遊びは身を焦がす」けん制】
28日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】によれば、バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は米東部時間28日午前(日本時間同日午後)、電話協議した。台湾問題やロシアによるウクライナ侵攻などを巡り意見を交わしたとみられる。ペロシ米下院議長が8月に計画する訪台を巡って中国は強く反発しており、両国間の新たな火種になりつつある。米ホワイトハウスによると、協議時間は約2時間20分。両首脳の協議はバイデン米政権発足以来5回目で、3月にテレビ会議形式で1時間50分ほど話して以来となる。
中国国営の新華社によると、両首脳は中米関係や双方の関心について率直に話し合った。習氏は台湾問題への干渉に「断固として反対する」としたうえで「火遊びは必ず身を焦がす」と強くけん制したという。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は27日の記者会見で「バイデン氏は習氏との意思疎通を常にオープンにしておきたいと考えている」と述べた。「中国とは協力できる問題もあれば、摩擦や緊張をはらむ問題もある」と認めた。
米中は6月以降、外相や国防相など高官による協議を重ねてきた。台湾を含む東・南シナ海で示威行動を強める中国の姿勢に懸念を示しつつ、軍事衝突を避けるため対話を維持する重要性を確認してきた。
秋には米国で中間選挙、中国で共産党大会という重要な政治イベントが予定される。歴史的なインフレを抑えたいバイデン政権は中国製品への制裁関税の一部引き下げ案を検討している。経済をテコ入れしたい習氏との思惑は一致し、足元では緊張緩和を探っていた。
その矢先にペロシ氏の訪台案が浮上した。26日には習氏側近で知られる秦剛中国駐米大使が米政府関係者らを前に「台湾を中国から分裂させようとすれば、中国人民解放軍は必ず断固たる強力な措置をとり、国家主権と領土を守る」と表明し、中止を迫った。米軍もペロシ氏の訪問が台湾海峡の軍事緊張を高めかねないと懸念している。首脳協議では習氏の出方が焦点になる。
バイデン氏は習氏との協議で、中国本土と台湾が不可分だとする中国の立場に異を唱えないが、台湾の安全保障にも関与する米国の「一つの中国」政策を堅持する方針を伝える見通しだ。対中関税を巡っては「主要議題にはならない」(カービー氏)とみられる。
【日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点】
29日の日経新聞は、「日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点 経済版2プラス2で調整 台湾有事にらみ供給網」見出しで、次のように報じた。
「日米両政府は量子コンピューターなどに使う次世代半導体の量産に向けた共同研究を始める。日本が米国との窓口になる研究開発拠点を年内に新設し、試験的な製造ラインを置く。2025年にも国内に量産態勢を整備できるようめざす。台湾有事をにらみ経済安全保障上の重要性が増す半導体の安定供給につなげる。

ワシントンで29日に初開催する外務・経済閣僚協議「経済版2プラス2」で、サプライチェーン(供給網)強化に関する協力を共同文書に盛り込む。萩生田光一経済産業相とレモンド商務長官が5月に半導体に関する連携を打ち出し、その後の首脳会談での合意を踏まえて具体策を詰めた。
【出生率反転、波乗れぬ日本 先進国の8割上昇】
31日の日経新聞は、「チャートは語る」で次のように報じた。
「先進国の8割で2021年の出生率が前年に比べて上昇した。新型コロナウイルス禍で出産を取り巻く状況がまだ厳しい中での反転である。ただ国の間の差も鮮明に現れた。男女が平等に子育てをする環境を整えてきた北欧などで回復の兆しが見えた一方、後れを取る日本や韓国は流れを変えられていない。
経済協力開発機構(OECD)に加盟する高所得国のうち、直近のデータが取得可能な23カ国の21年の合計特殊出生率を調べると、19カ国が20年を上回った。過去10年間に低下傾向にあった多くの国が足元で反転した格好だ。
21年の出生率に反映されるのは20年春から21年初にかけての子づくりの結果だ。まだ デンのウプサラ大学の奥山陽子助教授は「出産を控える条件がそろい、21年の出産は減ると予想していた。それでも北欧などでは産むと決めた人が増えた」と話す。」
【ウクライナから穀物船出航 輸出再開第1号、レバノンへ】
8月1日午後の日経新聞【イスタンブール=木寺もも子】によれば、ウクライナ産穀物を積んだ貨物船が1日、南部オデッサの港から出航した。ウクライナとトルコがそれぞれ明らかにした。ロシアによる侵攻で輸送が止まった黒海への回廊設置で関係国が合意してから初めての輸出再開となる。
第1号の船はシエラレオネ船籍の貨物船で、トウモロコシ2万6千トンを積みレバノンのトリポリ港に向かうという。2日に黒海の出入り口にあたるトルコのイスタンブールに到着後、新たに設置した共同管理センターが積み荷などを検査する。ウクライナのクブラコフ・インフラ相はフェイスブックへの投稿で、さらに16隻が出航待機中だと明らかにした。輸出再開で少なくとも10億ドル(約1300億円)の外貨収入が見込めるという。
国連のグテレス事務総長は声明を出し「合意に基づき多くの商船が動き出す最初(の事例)となり、世界の食糧安全保障に求められていた安定と救済をもたらすことを希望する」などと述べた。
【最低賃金31円上げ961円 全国平均、物価高で上げ幅最大】
同じ1日の日経新聞は、労使間の合意が得られず延期していた<最低賃金>について次のように報じた。
「中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は1日、2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円にすると決めた。前年度比の上げ幅は31円と過去最大で、伸び率は3.3%になった。足元で進む物価上昇などを反映し大きな伸び率となる。企業は賃上げに必要な利益をあげるために、生産性の向上を迫られる。現在の全国平均は930円。今後、各都道府県の審議会が目安額を基に実額を決める。改定額は10月ごろに適用される。」
【<サハリン2>について】
2日の日経新聞は、<サハリン2>について、次のように報じた。
「三井物産と三菱商事は2日、権益を持つ極東ロシアの資源開発事業「サハリン2」の資産価値を6月末に3月末比で合計約2000億円減額したと発表した。サハリン2を巡ってはロシア政府が大統領令で、新設する別会社に権利などを移す方針を掲げる。両社は3月末にも減額しているが、四半期ごとに資産価値の見直しを迫られるほど不安定な事業環境となっている。
サハリン2の運営会社サハリン・エナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資している。三菱商事はロシアによるウクライナ侵攻前の21年12月末に約1930億円あった資産価値を22年3月末に1433億円に減額し、6月末には622億円まで減らした。野内雄三最高財務責任者(CFO)は「大統領令の発出によるサハリン2の(事業継続の)不確実性の高まりを受け、複数シナリオに基づいて価値を評価した」と述べた。
三井物産は資産価値の減額幅しか明らかにしていないが、3月末に441億円減らし、さらに6月末に1366億円減額した。これにより資産価値の総額は侵攻前の半分以下になったとみられる。「大統領令が出たことで将来得られる見込みの配当について不確実性が高まった。資産評価を保守的に見積もった」(重田哲也CFO)。
日本はサハリン2から年間約600万トンのLNGを輸入する。日本のLNG輸入量の約10%を占め、重要な調達拠点の1つだ。ロシアのプーチン大統領は6月末、サハリン2について、新たにロシア企業を設立してサハリン・エナジーの権利・義務を移管する大統領令を出した。
三井物産と三菱商事は新会社設立後、1カ月以内に同じ持ち分で移ることに同意するか判断を迫られる。同意するにはロシア側の条件に従う必要があるが、現時点でどんな条件なのかわかっていない。
萩生田経済産業相は2日の閣議後の記者会見で「現時点で新会社が設立されたとの情報はなく、引き続き注視したい」と語った。ワシントンで開いた外務・経済担当閣僚協議「経済版2プラス2」の初会合でもサハリン2に言及したといい「権益を維持したいと説明し、日本の立場を理解してもらった」と強調した。
【ペロシ米下院議長、台北に到着】
2日深夜、日経新聞【台北=龍元秀明、ワシントン=坂口幸裕】によると、ペロシ米下院議長は2日夜、台北に到着した。台湾の蔡英文総統と会談する。米大統領の継承順位2位の要職である下院議長の台湾訪問は25年ぶりで、米国の台湾への強い支持を示す。
ペロシ氏は2日夜に台北の松山空港に到着し、3日朝に台湾の立法院(国会)を訪問した。午前中に台北市内の総統府で蔡総統と会談する予定。ペロシ氏は到着後に発表した声明で、「訪台は台湾の民主主義を支援する米国の揺るぎない関与を示すものだ」と強調した。中国を念頭に「米国は一方的な現状変更の試みに反対し続ける」と記した。
ペロシ氏は2日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)への寄稿でも、自らの台湾訪問について説明した。軍事的威圧を続ける中国が「近年、台湾との緊張を劇的に高めている」と非難した。「中国共産党が台湾と民主主義を脅かしているのを座視できない」と訴えた。
米国で1979年に制定した台湾関係法は米国が台湾の自衛力強化を支援すると定める。寄稿では同法に関し「民主主義と自由、人権などの共通の利益と価値観に根ざした深い友好関係を育むものだ」と指摘。今回の訪問は歴代米政権が踏襲してきた「一つの中国」政策と矛盾しないと記した。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は2日の記者会見で、ペロシ氏の訪台について「長年の米国の政策に沿ったものだ」と述べた。中国が反発していることについて「緊張を高めたり、危機や紛争を引き起こしたりする口実にする理由はない」と批判した。米中関係に関し「今後数日から数週間の間に中国がどう振る舞うかによるだろう」と指摘。「緊張が高まっているときに意思疎通のラインをオープンにしておくことが重要だ」と強調した。
台湾の外交部(外務省)は「訪問を心から歓迎する。米国の台湾に対する揺るぎない支持が再確認された」との声明を発表した。呉釗燮・外交部長(外相)が空港でペロシ氏を出迎えた。台北のランドマークとして知られる超高層ビル「台北101」はペロシ氏の訪台にあわせライトアップされ、「民主主義の友に感謝」「米台友好は永遠」などと歓迎の言葉を表示した。
ペロシ氏の訪台を巡っては、7月28日の米中首脳電話協議で、習近平国家主席が「火遊びは身を焦がす」と強い表現で警告を発していた。「越えてはならないレッドライン」(王毅国務委員兼外相)とも表明してきただけに、米中の対立激化は必至だ。
中国と関係が深いロシアや北朝鮮もペロシ氏の訪台を非難した。ロシア外務省は2日の声明で、台湾問題をめぐり「中国は必要な措置をとる権利がある」と主張、訪台は「明らかな挑発」と米国を批判した。北朝鮮の朝鮮中央通信も3日、外務省報道官がペロシ氏の訪台を「米国の破廉恥な内政干渉」と非難した。
【中国、台湾取り囲む軍事演習 実弾使い大規模に】
3日昼の日経新聞【北京=羽田野主】によれば、中国人民解放軍はペロシ米下院議長の台湾訪問に反発し、2日夜から軍事演習を始めた。実弾を使った射撃も実施した。4日から台湾を取り囲むように6カ所で訓練する。ペロシ氏が台湾を離れても演習を続け、民進党の蔡英文政権に軍事圧力を強める。
2日夜にペロシ氏の台湾到着が伝えられる直前、中国官製メディアは中国の戦闘機「スホイ35」が台湾海峡を横断したと一斉に速報した。同機はロシアから輸入した最新鋭の戦闘機、日米の主力戦闘機とも渡り合える能力を持つとされる。
台湾の国防部は2日、中国軍機21機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。
台湾を担当する東部戦区はすでに台湾北部、西南、東南の海空域で軍事訓練を始めた。台湾海峡で長距離ロケット弾を実弾射撃し、台湾東部海域ではミサイルを試射した。東部戦区の報道官は「米国が台湾問題をエスカレートさせたことへの威嚇であり、台湾独立勢力への厳重な警告だ」とコメントした。
解放軍は4日から台湾周辺の6カ所での軍事演習に切り替える。7日まで船舶や航空機の進入を禁止した。複数の水域が台湾の領海と重なっているとの指摘があり、中台間で軍事的な緊張が高まるのは必至だ。偶発的な衝突を懸念する声も出ている。
王毅国務委員兼外相は3日、談話を発表、「米国の一部政治家は中米関係のトラブルメーカーに成り下がった」と非難した。「中国の平和的台頭をぶち壊すことは完全に徒労で、必ず頭を打ち付けて血を流す」と主張した。
中国外務省は謝鋒外務次官が2日深夜に米国のニコラス・バーンズ駐中国大使を呼び、ペロシ氏訪台に「強烈な抗議」をしたと発表した。
中国税関総署は3日、台湾からかんきつ類の果物や太刀魚など魚類を輸入するのを同日から止めると発表。検疫の問題としているが、台湾への圧力を示す狙いとみられる。商務省も同日、台湾向けの天然砂の輸出を止めると発表した。
【王毅外相が日中外相会談の実施を正式発表】
同じ3日のテレ朝ニュースは、次のように報じた。
「中国外務省は王毅外相が3日に始まるASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会合に合わせてカンボジアを訪問し、林外務大臣と就任後に初めて対面で会談すると発表した。
中国外務省は2日の会見で日中外相会談の実施を正式に発表、「日本が中国とともに関係の促進に努め、健全で安定した発展を実現するよう望む」と表明。
また、国際情勢は複雑だという認識を示したうえで「両国は重要な隣国として地域の平和と安定に前向きな努力をすべきだ」としています。さらに、今回の外相会談では両国関係の改善や発展に向けて「重要で前向きな合意を実現することを望む」と期待感を示した。
なお、この日中外相会談は、4日になって中国側から延期が発表された。
【ペロシ米下院議長が日本到着 5日に岸田首相を表敬】
アジア歴訪中のペロシ米下院議長が4日夜、日本に到着した。5日に岸田文雄首相を表敬訪問する。日米関係に加え、台湾や北朝鮮をめぐる動向などを意見交換するとみられる。
ペロシ氏を含む議員団は4日午後10時ごろ、都内の米軍横田基地に到着した。小田原潔外務副大臣、エマニュエル駐日米大使らが出迎えた。ペロシ氏は5日に細田博之衆院議長とも会談する。ペロシ氏は1日にシンガポールに到着後、マレーシアと台湾、韓国を訪れた。日本が最後の訪問先となる。5日に日本をたつ予定である。
【中国の弾道ミサイル、5発が日本のEEZ内落下 岸防衛相】
4日晩の日経新聞によれば、岸防衛相は4日夜、中国が同日に発射した弾道ミサイルのうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したもようだと明らかにした。「日本の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題で強く非難する」と強調した。防衛省で記者団に語った。
中国が撃った弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてだという。「情報収集と分析、警戒監視などに全力をあげる」と述べた。中国の軍事演習について「非常に威圧的だ」と話した。政府は4日午後3時ごろから4時すぎにかけて9発の発射を確認した。
外務省の森健良次官は同日、中国の孔鉉佑駐日大使に電話し、ミサイル発射に抗議した。軍事訓練を即刻中止するよう求めた。
【南部へルソンのロシア軍司令部、州都から移動か…ウクライナ軍反撃で補給路攻撃】
16日の読売新聞【リビウ(ウクライナ西部)=笹子美奈子】によれば、ウクライナ南部ヘルソン州の制圧を宣言しているロシア軍が、州都ヘルソンに置く司令部を移動させたとの見方が出ている。ウクライナ軍の反撃で補給路が被害を受けたためとみられる。
ウクライナ軍南部方面の報道官らは14日、地元メディアに対し、露軍が司令部をドニプロ川西岸の州都ヘルソンから東岸に移したと指摘した。ウクライナ軍が、露軍の補給路となっていたアントノフ大橋を含む計3本の橋を攻撃し、使用不能にしたことが影響している模様だ。
一方、ロシアのプーチン大統領は15日、モスクワ郊外で開かれた国内最大級の兵器展示会で演説し、「ロシアの兵器は競合国よりも何年も先を行っている」と述べ、自国兵器の性能の高さを誇示した。欧米の対露制裁に同調しない南米やアジア、アフリカの国々と緊密な関係にあることを強調し、最新の露製兵器を供給する用意があると主張した。ウクライナ軍の抵抗により一部で苦戦が伝えられており、国内外の不信感を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。今年の展示会への参加は72か国で、昨年の117か国から激減した。
【深まる分断、消える500兆円 逆回転するグローバル化】
22日の日経新聞によると、2月24日のロシアのウクライナ侵攻から半年たち、国際社会の風景は様変わりした。民主と強権という国家観の隔たりがあらわになり、経済・政治の両面で分断が進む。「ウクライナ」後の世界はどこへ向かうのか。
7月下旬。直前まで日本にいたイエレン米財務長官が韓国ソウルのLGグループの施設にいた。強調したのは「フレンドショアリング」の発想。「信頼できるパートナーと深く多様な関係を築き、供給網を多様にし、互いの経済へのリスクを減らしたい」。親しみを込めて語りかけた。
生産拠点などを国外に移す「オフショアリング」や国内に戻す「リショアリング」に対し、フレンドショアリングは文字通り友好国への移転を意味する。イエレン氏が友人と寄り添う意義を語る背景には信頼できない国の増勢がある。
武力による現状変更へ動いたロシア。侵攻直前の2月上旬にロシアとの「無制限の友好」をうたった中国。両国に代表される権 威主義国家はその存在感を増し、世界の国内総生産(GDP)に占める割合は1980年代の2割程度から33%へと高まった。
第2次大戦後のグローバリズムは西側の民主主義国が団結する形で進んだ。冷戦後の第2幕は思想の違いを超えて旧東側諸国を巻き込み、経済面で参加国に恩恵をもたらした。だが、ウクライナ侵攻は民主と強権の間の溝を決定的にした。
米欧は半導体をはじめとするハイテク技術がロシアのミサイルや戦闘機に使われるのを恐れ、輸出を禁じるなどの制裁を強める。対するロシアはエネルギーや資源、食糧の供給を絞る報復に動く。リーマン危機後の世界を救った20カ国・地域(G20)はこの半年、集まることすら怪しい機能不全に陥った。
足元で起きているのはいわばグローバリゼーションの逆回転。企業がグローバルに築いてきた相互依存は皮肉にも、双方を攻撃し合う「武器」として使われている。国境を越えた水平分業や最適地生産を追求できなくなるコストは重い。国際社会がブロックに割れ、サプライチェーンが機能しなくなると、世界の生産額の5%が失われる。世界貿易機関(WTO)はそう警告した。ざっと4兆ドル(約540兆円)と日本経済の規模に匹敵する額が消える計算だ。
私たちの暮らしにも影を落とす。たとえば米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」。部品の調達先は6大陸の四十数カ国に及ぶ。すべての生産を米国に移すと製品価格が2.5倍に跳ね上がるともいわれている。エネルギー高とインフレはロシアなき経済のツケだ。
「資源配分は今や経済でなく、政治やイデオロギーで決まる。戦争を想定した生存と自給自足が大事になり、効率性は脇に追いやられた」。著名ファンド創業者で歴史家の顔ももつレイ・ダリオ氏は言う。
日本も無縁であり得ない。バイデン政権は5月に日米やインド、東南アジアなど14カ国で「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を創設。日米とインドにオーストラリアが加わる「Quad(クアッド)」も仲間を固めるフレンドショアリングの中核。
もちろん、日本に特有の難しさはある。典型がロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」への対応だ。三菱商事の中西勝也社長は17日、経済産業省で西村康稔経産相と膝を突き合わせた。政府はロシア主導のサハリン2新会社への参画を日本企業に求め、エネルギー確保の安定を託す。だが、日本が事業に関与し続けたとしても、天然ガス供給はロシアの胸三寸という危うさをはらむ。
【富士通、国産量子計算機を初の実用化へ 理研と共同】
22日の日経新聞によれば、富士通は理化学研究所と共同で次世代の高速計算機である量子コンピューターの実用化に向け、2023年度に企業への提供を始める。金融市場の予測、新素材や薬の開発への活用を見込む。米グーグルなど海外勢が開発を主導しており、幅広い分野の計算ができる汎用型を国内企業が手掛けるのは初めてになる。産業競争力や安全保障を左右する次世代技術開発の起爆剤になる可能性がある。
富士通は21年4月に埼玉県和光市に理研との連携センターを設置し、約20人の研究者が参加して量子コンピューターを開発してきた。23年度に実機をつくり、企業に公開して研究に生かしてもらう。
量子コンピューターはスーパーコンピューターに比べて計算速度が飛躍的に速い。素材開発などに革新をもたらす可能性を秘めており、化学や製薬、自動車、金融など幅広い産業の競争力を左右する見通しだ。富士通は4月から富士フイルムと材料設計に関する共同研究を始めた。連携先を広げ、協力して将来の活用に向けた知見を蓄える。
【習近平氏が岸田首相にお見舞い電 日中「新時代の関係構築」に意欲】
22日の朝日新聞デジタルは次のように報じた。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、習近平国家主席は22日、新型コロナウイルスに感染した岸田文雄首相あてにお見舞いの電報を送った。
習氏は電報で、岸田首相に対し「一日も早い回復を祈っている」としたうえで、「今年は中日国交正常化50周年であり、私はあなたとともに新時代の要請にあう中日関係の構築を進めていきたいと考えている」と伝えた。李克強(リーコーチアン)首相も同様の電報を送ったという。
日中関係を巡っては、今月4日の外相会談が中国側の意向で直前でキャンセルされたものの、17日に秋葉剛男国家安全保障局長と楊潔篪・共産党政治局員が天津で約7時間にわたって会談。双方が関係改善への動きを強めている。日中関係筋によると、両国首脳間のオンライン会談か電話協議の実現へ、水面下の調整が始まっているという。(北京=冨名腰隆)
【ウクライナ侵攻半年、砲撃は南部2州が4割超 衛星分析】
23日の日経新聞は、次のように伝えた。
「ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して24日で半年がたつ。ウクライナ側が奪還を急ぐ南部で戦闘が激化、米航空宇宙局(NASA)の衛星データによると南部2州が爆撃や砲撃の4割超を占める。戦火はロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島にも広がった。戦局は消耗戦の様相を深めている。
衛星データを使い、地表面の温度が常温よりも明らかに高温の「熱異常」を調べることで、爆撃や砲撃の標的となっている地域を検証した。
侵攻直後の3月は首都キーウ周辺に集中していたが、7月以降は検知地点がロシアが制圧を狙う東部ドネツク州やウクライナが奪還を目指す南部のザポロジエ、ヘルソン州などに移った。2州が全体の4割超を占めており、戦闘の激化を裏付ける。
9日以降、ロシア軍施設の爆発が相次いでいるのが南部クリミア半島だ。16日には弾薬庫で、20日には黒海艦隊の司令部で爆発が起きた。ウクライナは公式には攻撃を認めていないが、補給混乱などを狙い破壊工作を強めているとみられる。
ゼレンスキー大統領は占領された地域が残ったままでは停戦には応じない構えだ。ウクライナ政府は23日、クリミア返還を目指す国際協力の枠組み「クリミア・プラットフォーム」の首脳会議をオンラインで開いた。演説したゼレンスキー氏は「ロシアの侵略との戦いに勝利し、クリミアを占領から解放することが必要だ」と強調した。」
一方、岸田首相は「侵略は欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ」とロシアを非難、ウクライナ支援を続けるとのビデオメッセージを寄せた。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長はロシアによるクリミアの「違法な併合は決して認めない」と述べた。ドイツのショルツ首相はウクライナの復興会議を10月に開催する方針を示した。「国際社会はウクライナの長期にわたる復興に積極的に携わるべきだ」と連帯を呼びかけた。
24日はウクライナが1991年にソ連からの独立を宣言した記念日に当たる。ロシア軍が攻撃を激化させる恐れがあるとして、北東部ハリコフ州が23日夜から25日朝にかけて住民の外出を禁じるなど各地で警戒が高まる。
欧州最大級のザポリージャ原子力発電所周辺では8月に入り砲撃が相次ぎ、放射性物質が漏れ出るリスクが高まっている。 国際原子力機関(IAEA)は調査団派遣へロシアやウクライナと協議するが、両国は現地入りの経路を巡って対立する。のち28日には原子炉に100メートルの至近距離に着弾した。
8月24日はウクライナの独立記念日(1991年、ソ連邦崩壊とともに独立して31年目)であり、奇しくも開戦から半年を迎える。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの統治するクリミヤ半島を含めて解放すると改めて述べると同時に、この日に向けてロシアが全面攻勢をかけてくる可能性を指摘、国民に注意を呼びかけた。なおクリミヤ半島はウクライナに帰属するとトルコのエルドアン大統領も公言している。
一方、ロシアが2014年に併合したクリミヤ半島では、戦闘が激化、16日の段階で毎日新聞は次のように伝えた。
「ロシアが2014年に強制編入したウクライナ南部クリミア半島で16日、ロシア軍の弾薬庫が爆発し、ロシア通信によると、民間人2人が負傷した。ロシア国防省は「破壊工作」を受けたと認めつつ「深刻な死傷者はいない」とした。クリミア半島では9日、ロシアの黒海艦隊の航空部隊が拠点とする航空基地で爆発が起きたばかりで、米メディアはウクライナを支持するパルチザン部隊が関与した可能性を報じていた。ウクライナ軍が何らかの形で爆発に関与した可能性もある。
報道によると、爆発があったのは半島北部ジャンコイの弾薬庫。午前6時15分ごろ発生し、付近の送電線や線路、住宅などが損傷した。ロシア軍は現場から半径5キロ以内を立ち入り禁止とし、約2000人が避難したという。誰が「破壊工作」をしたのかなど、爆発原因の詳細は明らかになっていない。」
【首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働】
24日の日経新聞によれば、岸田首相は24日午後に首相官邸で開くGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で次世代型の原子力発電所の開発・建設を検討するよう指示する。
ロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー市場が混乱していることを踏まえ、原子力の活用が急務だと判断した。「電力需給逼迫という危機克服のためあらゆる施策を総動員する」と訴え、原発の新増設は想定していない東日本大震災以降の方針を転換し、中長期で電力確保を目指す。
また再稼働する原発は、2023年夏以降に最大17基へ増やし、中長期的な電力確保をめざす。
【中国で観測史上最悪の熱波、秋の収穫に「深刻な脅威」】
【8月24日 AFP】によると、中国では記録的な暑さと干ばつが続いており、当局は今年の秋の収穫が「深刻な脅威」にさらされていると警告している。世界第2位の経済大国・中国は今夏、記録的な高温や鉄砲水、干ばつに見舞われている。科学者らは、気候変動の影響で、こうした現象の頻度と激しさが今後は増すとしている。
農業農村省によると、南部では高温と少雨が、60年余り前の観測開始以来、最長となっている。政府は発表で「干ばつの急速な進行に加え、高温と熱による作物の損傷が重なり、秋の収穫に深刻な脅威をもたらしている」と説明した。
中国は、国内で消費するコメ、小麦、トウモロコシの95%以上を自給している。収穫量が減ると輸入が増え、ウクライナ侵攻ですでに影響を受けている世界の食料供給がさらに圧力を受けることになる。
最高気温が45度に達した地域もあり、都市部ではエアコンの使用が増えるなどして電力需要が急増。複数の省で停電が実施された。大都市の上海や重慶では、屋外照明用の電力供給が停止された。四川省当局は、主要な水力発電所の水位が下がったことを受け、産業向け電力供給を制限した。
記録的な暑さで、国内の主要河川である長江(揚子江)も干上がっている。国営通信社の中国新聞社(CNS)は先週、主流の水位が過去5年間の平均より50%下がっていると報じた。
【コロナ対策、「全数把握」を見直す】
24日のNHK報道によれば、新型コロナ対策をめぐり、岸田総理大臣は24日、感染者の「全数把握」を見直す方針を明らかにした。厚生労働省は、早ければ今月中にも運用を開始したいとしている。なぜ見直すのか、見直しで何が変わるのか、そして「負担が増えていた」という医療現場や自治体の受け止めなどについてまとめた。
新規感染者の「全数把握」は医療機関が作成した患者の「発生届」をもとに行われている。感染症法は、新型コロナウイルスを診断した医師に対し、すべての患者の氏名や年齢、連絡先などの情報を、「発生届」(ハーシス HER-SYS)として保健所に提出するよう義務づけているが、「第7波」で感染者が急増し、入力や確認の作業が医療機関や保健所の業務負担となっていた。医療現場からは、コロナ患者対応に集中させてほしいと、見直しを求める声が高まっていた。
今回の見直しでは、自治体の判断で「発生届」が必要とする対象を、高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにした。若者など対象外となった人についても感染者の総数と年代別の人数を把握するとしている。
感染者数の集計は続けられることになるため、感染状況は引き続き把握できるが、「発生届」の対象外の人が自宅療養中に体調が悪化しても気付きにくくなるなどの懸念もある。厚労省は発熱外来や保健所の業務が極めて切迫した地域では、都道府県から届け出があった場合「発生届」の対象を限定する措置を順次、実施可能にするとしている。
おととしから始まった「HER-SYS」のシステムの運用は、開始当初に入力項目はおよそ120あった。入力項目はこれまでに段階的に削減され、現在、最も入力項目が少ない重症化リスクの低い患者については、◇氏名、◇性別、◇生年月日、◇市区町村名、◇電話番号◇医療機関からの報告日、◇症状の有無などといった診断類型の7つの項目まで絞った。
しかし、いわゆる「第7波」で感染拡大が続く中、医療現場や自治体などからさらに見直しを求める声が相次いだ状況を受け、先の内閣改造で新たに就任した加藤厚労大臣と全国知事会の会長を務める鳥取県の平井知事らがオンラインで会談。平井知事は全数把握について「必要性は理解しているが、現場は夜遅くまで入力作業をしなければならない。これまでも入力項目を緩和してもらったが さらに踏み込んでほしい。第7波が終わってからではなくすぐに取り組んでほしい」と直ちに見直すよう要望した。
さらに日本医師会からも同様の要望が寄せられた。これを受けて加藤大臣は、先週の国会審議で「医療機関の負担を減少しながら、全数把握の目的・機能をどのように残していくのか、専門家や医療現場から話を聞きながら検討している状況だ」と述べ、速やかに対応する考えを示していた。
加藤厚労大臣は24日夜、厚労省で開いた記者会見で「届け出た都道府県は、日ごとの感染者数の総数と年代別の総数を毎日公表していただくことを前提に、厚生労働大臣が定める日から届け出の対象を▽65歳以上▽入院を要する方▽重症リスクがありコロナの治療薬の投与や酸素投与が必要と医師が判断する方▽妊婦の方に限定できるようする」と述べた。
そのうえで関係する省令の改正について、24日の厚労省の審議会で了承が得られれば、25日に省令を公布し速やかに都道府県向けの説明会を実施して届け出の受け付けを始める考えを示した。
厚労省は、届け出を受けて事務手続きを進め、早ければ今月中にも運用を開始したいとしている。また加藤大臣は「全国ベースでの見直しについては今後の感染状況の推移などを見極めたうえで検討していきたい」と述べた。
【ソニー半導体製造トップ「TSMCは九州復活のトリガー」】
24日の日経新聞は次のように報じた。「ソニーグループが九州での半導体事業を拡大している。長崎県のカメラ用センサー工場を増強、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町に建設する新工場にも出資した。ソニーの半導体製造部門、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)の山口宜洋社長は、TSMCの九州進出が「サプライチェーンの強靱(きょうじん)化にプラスだ」と期待を示す。」一問一答は以下の通り。
(1)――長崎県諫早市の拠点で工場棟を拡張しました。
「主力商品であるモバイル向けイメージセンサーの需要対応、高付加価値品に向けた対応だ。長崎テクノロジーセンターは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーの基幹生産拠点の一つ。生産設備を拡充、生産体制をさらに強化し、性能進化が進むスマートフォンカメラなどの市場に向け、高画質で高性能なセンサーを供給していく」
(2)――TSMCの新工場建設が熊本の拠点の隣接地で進んでいます。
「TSMCには半導体生産を1980年代後半から委託している。2010年くらいからイメージセンサーに使うロジック、積層型の多くの部分の供給を受けている。TSMCとの関係は深く、そのロジック半導体とソニーのCMOSをつける。TSMC全体から供給を受けていて、隣の新工場から即受けるというのは明らかではないが、近くに拠点ができるのは心理的な安心感がありサプライチェーン強靱化にプラスだ」
「TSMCの進出はシリコンアイランド九州復活にとってのトリガーになる。経済産業省主導の人材育成の仕組みも設立され、産官学の動きが始まった。この10年ではなかった動きだ。これを一過性で終わらせず、地域の基盤を支える産業になっていくことを期待しているし、ソニーとしても力添えしたい」
(3)――人材獲得で競合しませんか。
「人材獲得についてボトルネックにはなっていない。今後の採用で競合するかもしれないが、当社はいい刺激をもらっているとプラスに捉えていきたい。採用は全国レベルから九州に集めないと世界とは戦えない。TSMCはグローバルな企業だし、地元というよりも日本の半導体への認識が変わることの変化を期待する。半導体に興味を持っている人が九州に集まってくることも期待している」
(4)――学生ら若い世代の半導体への関心も高まっています。
「エアコンとか車の納期待ちの原因が半導体にあると一般の人にも認識が広がれば(就職先としての)注目も高まるとか、TSMCが九州に来ることがいいタイミングで相乗効果になればとか、いろいろと話を聞く。過去数年で認知度が上がってきて、世間の興味も高まっていると感じる」
(5)――半導体市況に軟化の兆しが出始めているとの指摘もあります。
「半導体市況については情報ソースを持っていないが、在庫局面によりメモリーの一部などデバイスの種類によってはある。TSMCでも軟化するところとそうでないところがあるのではないか。CMOSはもう少し今の(需給が厳しい)局面が続くのではないかと思う」
「CMOS生産は顧客の需要に足りていない。1台あたりの個数が増えると同時に、カメラのサイズを大きくしようと提案している。チップの大きさも大きくなるわけで、半導体の生産量としては数量が出ない。ただ顧客の要求はより感度の高い物、臨場感のある性能への期待が大きい。期待を超える商品をどれだけ出せるかが重要で、開発面の課題でもある。業界の先頭を走るためにも、他社にはないものを開発していく」
(6)――韓国サムスン電子など競合も追い上げてきています。
「サムスンに追い上げられている市場であっても、加工技術で生み出す映像感は人間の感性に訴えるものだ。画素数だけではなく、色味とか人の心に訴えるというか。数値化するのは難しいが、これこそがソニーの原点なので、DNAとしてしっかりあるところで勝負をしていく」
【サハリン2新会社、三井物産につぎ三菱商事も参画意向を通知へ】
25日の日経新聞は、三菱商事が25日、ロシア極東の資源開発事業「サハリン2」の新たな運営会社に参画する通知を出す方針を決めた。ロシアは8月にサハリン2の運営を新会社に移管し、三井物産と三菱商事に出資を続けるかどうか判断を迫っていた。三井物産も参画の意向を通知する方針を決めている。両社ともロシア側の動向を精査しつつ、月内にも意向を伝える見通しだ。
日本政府は権益を維持する方針で出資企業である三井物産と三菱商事に協力を要請していた。政府は両社が新会社に参画すればサハリン2からの液化天然ガス(LNG)を安定的に調達しやすくなると考えており、商社側が応じた格好だ。
三菱商事は同日、「方針を決議したことは事実。慎重な検討を重ね総合的な観点で判断をした。条件は今後確定していくと認識しており、ロシア側と交渉していく」とコメントした。
【警察庁の中村長官が辞職へ、安倍元首相銃撃で引責】
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、警護の問題点を検証していた警察庁は25日、警護計画や現場対応の不備を指摘し、「適切な対応があれば結果を阻止できた可能性が高い」とする報告書をまとめたのを機に、25日の日経新聞は、次のように伝えた。
「警察庁の中村格長官は25日、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を巡り、国家公安委員会に検証結果を報告した後で記者会見し、同委員会に「辞職を願い出た」と明らかにした。「新たな取り組みを開始するにあたり人心を一新し、新たな体制で警護に臨むべきだと考えた」と説明した。事件を防げなかった結果を受けた、事実上の引責辞任となる。」なお後任の警察庁長官には露木康浩次長が就任した。
その直前、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を受け、奈良県警の鬼塚友章・本部長が25日、記者会見し、「多くの方々にご不安、ご心配をおかけし、心よりおわびを申し上げる。重大かつ深刻な事態を招いたことに責任を痛感している」と述べた。警察庁は同日、鬼塚本部長に対する減給100分の10(3カ月)の懲戒処分を発表した。奈良県警も同日、鬼塚本部長が30日付で辞職すると明らかにした。
【NPT会議、最終文書採択できず ロシアが合意拒否】
27日の日経新聞【ニューヨーク=白岩ひおな】によると、ニューヨークの国連本部で約1カ月にわたって開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、最終文書を採択できず決裂した。ロシアが占拠するウクライナの原子力発電所の管理などをめぐる文言に反発し、合意できなかった。ウクライナ侵攻で核使用などのリスクが高まるなか、核軍縮をめぐる国際枠組みの信頼性が大きく揺らぐ結果となった。核軍縮などの履行状況や行動指針を定める最終文書の採択は、全会一致が原則である。中東に非核地帯を設ける構想で対立した2015年に続く採択の失敗となり、2回連続の決裂は1970年の条約発効以来初めて。
26日の会議は予定より約4時間20分遅れて始まった。スラウビネン議長はロシアを念頭に「直前に1カ国の締約国から最終文書案への反対が伝えられた」と明らかにした。さらに「われわれは歴史的瞬間にいる。想像を絶する核戦争の可能性がますます高まるなか、会議が合意に至らなかったのは残念でならない」と述べた。
ロシアの代表は「複数の段落に含まれている露骨に政治的な要素に反対している」として、文書案に合意しない立場を明言した。スラウビネン氏の指摘に対して「一つの代表部だけが反対しているという主張を拒否する。最終文書案に反対する国はわれわれだけではないはずだ」と弁明した。
軍縮外交筋によると、ロシアはウクライナ南部のザポロジエ原発への言及に最後まで反対した。スラウビネン議長は25日、ロシアの懸念に配慮して合意形成に近づけるため、2度にわたり文書案を修正した。最新の文書案では同原発を占拠するロシアを名指しした部分を削除した一方で「ウクライナ当局による管理確保が最も重要だ」とも明記していた。
フランスや英国、米国など55カ国と欧州連合(EU)は共同声明で「ザポロジエ原発の運営への干渉や支配を拡大しようとするロシアの行動を非難する」と発表した。「核保有国のロシアが国際平和と安全、安定を損なっていることを深く憂慮する」との立場を示した。ウクライナ代表はロシアの孤立が浮き彫りになったとしたうえで、「ウクライナが核保有国に攻撃されるなかで我々は一人ではない気持ちにしてくれた」と指摘した。発言後に会場から大きな拍手が起こった。
ロシアは、ウクライナが核放棄をする代わりに米英とロシアが安全を保障した1994年の「ブダペスト覚書」への言及も批判していた。文書案はすべての核保有国が非保有国の安全保障で「既存の義務と約束を完全に順守する重要性を再確認する」と明記していた。ロシアは覚書を順守しているとして反発した。
【中国製電気自動車が逆上陸、日本勢の死角突く】
29日の日経新聞は、次のように報じた。
「京都大学の吉田キャンパス(京都市)から、1台の白い車が滑らかに走り去った。キーンという独特の音を除けば何の変哲もないバンにみえる。京大発スタートアップのフォロフライがつくったEV(電気自動車)バン。生産を担うのは中国・重慶市にある 東風小康汽車の工場で、日本の安全基準をクリアするように改造した。
今は主に京都市内を走って改良を繰り返しているが、すでに1万台もの大量納入が決まっている。導入するのは物流大手SBSホールディングス。きっかけは「和製テスラ」とも呼ばれたGLM(同市)を創業した小間裕康との出会い。
2021年春、SBS創業者の鎌田正彦は小間と話し合う機会があった。「最近は荷主さんからSDGsを求められるけど、EVは高くてねぇ」。鎌田は国連が定める持続可能な開発目標は時代の要請と理解しながら、EV導入のコストに悩んでいた。「良い方法があります。中国の力を使うんです」。こう返した小間には秘策があった。
当時、小間はGLMを離れて香港で投資ファンドを率いていたが、GLM時代に取引があった東風小康なら、ガソリン車に負けない価格で商用EVを量産できるはずと考えた。その年のうちに日本でナンバープレートを取得し、この中国製EVをSBSが大量採用する話が進んだ。小間はフォロフライを創業した。
宅配用の小型バンは、日本企業が絶対的な自信を持つ市場だ。代表格がトヨタ自動車の「ハイエース」。100万キロメートル走ってもガタがこないという評価もある。そんな日本車の牙城の盲点が、出遅れたEVだった。佐川急便も中国製EVの大量導入を決めている。」
この間、以下の録画を視聴した。(1)BS1 Asia Insight 「ゼロコロナ政策の代償~中国 北京~」7月25日。 (2)クローズアップ現代「ウィルスの力を医療へ ▽がん・難病最新治療 ▽免疫細胞 ▽白血病」25日。 (3)BS6報道1930「ウクライナ侵攻5カ月 プーチン氏攻撃意図の変遷をよむ」25日。 (4)BS7日経ニュース プラス9 「倍速利上げに勝つ投資戦略とは?」25日。 (5)BS1 映像の世紀 バタフライエフェクト「難民 命を救う闘い」25日。 (6)BS世界のドキュメンタリー「人体と機械の融合を求めて 生体工学者 ヒュー・ハー」26日。 (7)報道1930「日本の最後のチャンス、中韓に再び敗れるか…”電池覇権”の行方は」26日。 (8)報道1930「支持急落…韓国大統領、早くも危険水域なぜか」27日。 (9)報道1930「【旧統一教会と政治】霊感商法「規制」進まぬ背景 ”政治の力”の影響は」28日。 (10)BS1 クローズアップ現代「バーゲンジャパン 世界に買われる”安い日本”(2)労働力」28日。 (11)BS7 日経ニュース プラス9「FRB 0.75連続大幅利上げ アメリカ経済の憂鬱」28日。 (12)BS7 日経ニュース プラス9「米エネ決着「底力」見せた?」29日。 (13)BS1週間ワールド・ニュース(7月25日~29日)30日。 (14)NSスペシャル「混迷の世紀プロローグ ”プーチンの戦争”世界はどう向かうのか」31日。 (15)NHK総合「安倍元首相は何を残したか」31日。 (16)BS1スペシャル「山本五十六と”開戦”」31日。 (17)報道1930「欧州「中国離れ」加速 台湾へ急接近する欧州の国々の狙いは」8月1日。 (18)BS7 日経ニュースプラス9「経済安定のキーパーソン直撃 半導体確保へ課題は」1日。 (19)報道1930「戦争いつまで? ロシアとウクライナの継戦の”限界”」2日。 (20)クローズアップ現代「”戦争犯罪”は裁けるか ウクライナ検察・知られざる闘い」2日。 (21)BS7日経ニュース「日本の防衛族が見た”台湾有事”の現在地」2日。 (22)BS7日経ニュース「ペロシ氏 台湾訪問強行 メンツ潰された中国 次の一手は」3日。 (23)報道1930「岸田総理 待ち受ける難題「統一教会」「国葬」「第7波」」3日。 (24)報道1930「旧統一教会と議員の関係、「これから」アンケートに見る意識」4日。 (25)BS7日経ニュース「軍事圧力を強める中国に米国は? ペロシ氏訪台の波紋」4日。 (26)NHKスペシャル「原爆が奪った”未来”~中学生8千人 生と死の記録」6日。 (27)NHK地域局発 長崎スペシャル「密着”核禁”ウィーン会議」7日。 (28)BS朝日 日曜スクープ「問われる教団との関係、ペロシ米下院議長台湾訪問」7日。 (29)NHKスペシャル「戦火の放送局~ウクライナ 記者たちの闘い~」7日。 (30)NHKスペシャル「混迷の世紀 第1回 ロシア発 エネルギーショック」9日。 (31)BS世界のドキュメンタリー「灼熱の50℃を生きる」10日。 (32)BS1 カーボンファーミング「気候変動対策で注目の環境再生農業」11日。 (33)報道1930「改造内閣と旧統一教会~関係を断ち切れるか」12日。 (34)報道1930【安倍氏の保守本流】岸田総理は継承するのか」12日。 (35)NHKニュース おはよう日本「三溪園の蓮」12日。 (36)ETV特集「”ナガサキ”の痕跡を生きて~188枚令和”原爆の絵”~」13日。 (37)BS朝日 日曜スクープ「岸田内閣改造 旧統一教会との関係を見直しを厳命」14日。 (38)BS1スペシャル「沖縄戦争孤児」14日。 (39)TB朝日「僕たちは戦争を知らない~1945年を生きた子どもたち~」14日。 (40)BS世界のドキュメンタリー「アウシュビッツに潜入した男」17日。 (41)BS世界のドキュメンタリー「あなたの健康データは大丈夫か~GAFAの欲望~」19日。 (42)NHKスペシャル「ウクライナ侵攻半年~”プーチン戦争”出口はどこに~」20日。 (43)NHK「週刊ワールドニュース(8月15日~19日)」20日。 (44)BS1スペシャル「戦禍のなかの僧侶たち~浄土真宗本願寺派と戦争~」20日。 (45)BS朝日 日曜スクープ「ウクライナ軍がロシア軍施設を攻撃、旧統一教会の政治」21日。 (46)TⅤ東京「池上彰の激動!世界情勢SP 現代の戦争と私たちの今後」21日。 (47)報道1930「ウクライナ侵攻6ヵ月 南部の攻防のゆくえ 併合か「奪還」か」23日。 (48)報道1930「軽症なのに死亡が頻発、第7波本当の怖さとは、期待の治療薬に厚い壁」23日。 (49)報道1930「【台湾統一めざす中国】ペロシ氏訪台を機に強める軍事圧力」24日。 (50)報道1930「最高責任者からひっくり返せ 旧統一教会”政界接近”の手法とは」25日。 (51)BS1「週刊ワールドニュース(8月22日~26日)」27日。 (52)BS5日曜スクープ「ウクライナ南部での攻防激化ほか」28日。
その後もさらに増加しており、8月4日には24万9000人、その後も高止まりしている。のち、お盆の帰省で移動が増えたためか、18日に過去最高の25万人超、19日に26万人超と増え続けている。医療機関の負担が大きいたためコロナ患者の全数調査を撤廃する動きも出ている(後述)。
【米陸軍、アジアに新部隊配置検討 サイバーや防空強化】
7月27日の日経新聞【ワシントン=中村亮】によると、米陸軍がミサイルや電子、サイバーといった能力を一体的に扱う作戦部隊をアジアに配置する案を検討していることが分かった。電子やサイバー領域の能力を生かし、効果的な作戦を迅速に実行する。台湾海峡や南シナ海をめぐり中国の抑止を目指す。アジア配置を検討しているのは「マルチドメイン・タスクフォース(多領域部隊)」と呼ばれる陸軍部隊。
2017年に創設され、一般的に①ミサイル②防空③電磁波・サイバー・情報収集④後方支援――の能力を持つ4つのグループで編成する。合計で数千人で構成し、現在は米西部ワシントン州とドイツの基地にそれぞれ配置している。
陸軍は23年以降に正式に立ち上げる3つ目の多領域部隊をハワイにまず置く見通しを示している。日本経済新聞の取材に応じた、チャールズ・フリン太平洋陸軍司令官は日本やフィリピンなど、より中国に近いインド太平洋地域の同盟国に配置する可能性について、「選択肢として議論の俎上(そじょう)にある」と検討を認めた。
多領域部隊は平時に電子やサイバー、宇宙能力を使って情報収集を実施。敵国の行動パターンや弱点を把握して有事に備える。戦闘が始まった場合には電子やサイバー攻撃で通信網を無力化して敵国の指揮統制をかく乱。事前に得た情報も使い、敵の艦船や施設をミサイルで攻撃する。多彩な攻撃を同時に実施して敵国を追い詰めていく。
米陸軍は複数のミサイル開発を進めるが射程は数千キロメートルとみられ、ハワイからは中国や中国近海に届かない。米軍は沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線にミサイル地上部隊を分散配置する構想を掲げており、その一部に多領域部隊をあてる考えだ。
地上部隊は小回りがきき、中国のミサイル攻撃を回避しやすい。米軍の艦船や戦闘機が第1列島線に近づく環境を整える役割を担う。
焦点はアジア諸国が多領域部隊の配置を受け入れるかどうかだ。部隊が配置される地域は中国軍の標的になるリスクが高まる。中国が配置を認めた国や自治体が攻撃対象になると警告し、各国に部隊を受け入れないように強く促す可能性がある。
【行動制限なき第7波、政府の対策に手詰まり感】
29日の朝日新聞デジタルは、「行動制限なき第7波、政府の対策に手詰まり感「医療現場との温度差」」の見出しで次のように報じた。
医療の逼迫(ひっぱく)が現実となっている新型コロナウイルスの「第7波」で、政府は29日、新たに都道府県への支援策を打ち出した。行動制限をかけず、社会経済活動を維持する狙いだ。しかし、内容は繰り返し呼びかけてきた基本的対策の羅列にとどまり、手詰まり感が否めない。医療現場からは「第6波以降、政府は必要な準備をしてこなかった」との声が上がる。
第7波による感染が急拡大してからも、政府は一貫して行動制限を避けている。その姿勢を象徴するように、岸田文雄首相は毎晩、政治家や財界人と会食を重ねている。ただ、感染者を減らすための具体策は「打つ手なし」(首相周辺)という状態。さらに、厚生労働省にコロナ対策を助言する専門家組織(アドバイザリーボード)からも「『行動制限は必要ない』と連呼するより、個人での感染対策をやらないといけない」と注文がついていた。
政府に厳しい目が向けられる中、新たに飛び出したのが「BA.5対策強化宣言」だ。都道府県の知事が宣言を出せば、国が職員の派遣や対策の助言をするという。幹部官僚の一人は、その狙いを「知事が対策強化に取り組みやすくするメッセージだ」とする。従来、国が行動制限に踏み切らないと都道府県は対策を強化しづらい面があった。国が「お墨付き」を与えることで、新たな対策を呼びかける際に地元の市町村を説得しやすくなったり、他県の取り組みを採り入れやすくなったりするという。
ただ、宣言後に住民に要請できる内容として国が示したのは、3密の回避、ワクチン接種の促進、混雑した場所の回避など、すでに何度も国民にお願いしたものばかり。政権内にも「(宣言は)ただの呼びかけで、意義はあまりない」と冷めた見方がある。
同じ日、厚労省からも、医療逼迫を避けるための策が発表された。病床の確保、入院対象の絞り込みなど、医療資源を重症患者に集中させるためのものだ。いずれもすでに取り組んでいるが、感染拡大のスピードが速すぎてうまく対応できていない。象徴的なのが発熱外来の負担を軽減するための検査キットの配布。
急激な外来の逼迫を受けて、22日に外来での無料配布を発表したが、その時点でいつ現場にキットが届くかは確定していなかった。さらに、医療現場からは「対応に人手を取られたら診療に支障がでる」と反発の声が相次いだ。結果、当初は「感染の疑いがある人が来るのは無理でしょ」(厚労省幹部)と慎重だったはずの公共施設や薬局での配布を急きょ表明した。ただ、これもいつ配布が始まるかは見通せていない。(阿部彰芳、市野塊、枝松佑樹)
第7波を行動制限なしに乗り切れるのか。オミクロン株の亜系統BA.5が主流になり、ワクチン接種済みや過去に感染した人の感染もみられる。感染は医療現場にも広がり、休職するスタッフも増えている。軽症の受診者を減らし、重症者対応の医療を確保できるか、がかぎになる。
「行動制限をかけないとする政府の方針は理解しないわけではないが、現時点では医療現場との温度差が非常にある」。埼玉医科大学総合医療センターの岡秀昭教授はそう話す。病院は29日時点で40床中31床が埋まり、重症者は4人で第6波の数を上回った。出勤できないスタッフも多く、病床の稼働は限界に近いという。
感染症対策の見直しの方向性は理解するとしながらも、「医療従事者への4回目接種や、濃厚接触者の待機短縮など必要な対応をあらかじめ決めなかった。今回は圧倒的に準備不足だ」と話す。
大阪大の忽那賢志教授(感染制御学)は、今の重症化割合は第6波より低いとみる。だがさらに感染者が増えれば、6波の頃のように全国で1日に200人超が亡くなる事態になる可能性はあると指摘。「1日200人の死者を許容するのか、考える必要がある」と話す。
忽那教授は「行動制限はしないですむならば、しないほうがよい」としながらも、「長期的には制限緩和に向かうべきだと思うが、そんなにすぐにコロナから自由にはなれない。場合によっては、行動制限をするという選択肢を残しておくべきだ」と語る。(熊井洋美、辻外記子)
【米中首脳が電話協議 習氏「火遊びは身を焦がす」けん制】
28日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】によれば、バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は米東部時間28日午前(日本時間同日午後)、電話協議した。台湾問題やロシアによるウクライナ侵攻などを巡り意見を交わしたとみられる。ペロシ米下院議長が8月に計画する訪台を巡って中国は強く反発しており、両国間の新たな火種になりつつある。米ホワイトハウスによると、協議時間は約2時間20分。両首脳の協議はバイデン米政権発足以来5回目で、3月にテレビ会議形式で1時間50分ほど話して以来となる。
中国国営の新華社によると、両首脳は中米関係や双方の関心について率直に話し合った。習氏は台湾問題への干渉に「断固として反対する」としたうえで「火遊びは必ず身を焦がす」と強くけん制したという。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は27日の記者会見で「バイデン氏は習氏との意思疎通を常にオープンにしておきたいと考えている」と述べた。「中国とは協力できる問題もあれば、摩擦や緊張をはらむ問題もある」と認めた。
米中は6月以降、外相や国防相など高官による協議を重ねてきた。台湾を含む東・南シナ海で示威行動を強める中国の姿勢に懸念を示しつつ、軍事衝突を避けるため対話を維持する重要性を確認してきた。
秋には米国で中間選挙、中国で共産党大会という重要な政治イベントが予定される。歴史的なインフレを抑えたいバイデン政権は中国製品への制裁関税の一部引き下げ案を検討している。経済をテコ入れしたい習氏との思惑は一致し、足元では緊張緩和を探っていた。
その矢先にペロシ氏の訪台案が浮上した。26日には習氏側近で知られる秦剛中国駐米大使が米政府関係者らを前に「台湾を中国から分裂させようとすれば、中国人民解放軍は必ず断固たる強力な措置をとり、国家主権と領土を守る」と表明し、中止を迫った。米軍もペロシ氏の訪問が台湾海峡の軍事緊張を高めかねないと懸念している。首脳協議では習氏の出方が焦点になる。
バイデン氏は習氏との協議で、中国本土と台湾が不可分だとする中国の立場に異を唱えないが、台湾の安全保障にも関与する米国の「一つの中国」政策を堅持する方針を伝える見通しだ。対中関税を巡っては「主要議題にはならない」(カービー氏)とみられる。
【日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点】
29日の日経新聞は、「日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点 経済版2プラス2で調整 台湾有事にらみ供給網」見出しで、次のように報じた。
「日米両政府は量子コンピューターなどに使う次世代半導体の量産に向けた共同研究を始める。日本が米国との窓口になる研究開発拠点を年内に新設し、試験的な製造ラインを置く。2025年にも国内に量産態勢を整備できるようめざす。台湾有事をにらみ経済安全保障上の重要性が増す半導体の安定供給につなげる。

ワシントンで29日に初開催する外務・経済閣僚協議「経済版2プラス2」で、サプライチェーン(供給網)強化に関する協力を共同文書に盛り込む。萩生田光一経済産業相とレモンド商務長官が5月に半導体に関する連携を打ち出し、その後の首脳会談での合意を踏まえて具体策を詰めた。
【出生率反転、波乗れぬ日本 先進国の8割上昇】
31日の日経新聞は、「チャートは語る」で次のように報じた。
「先進国の8割で2021年の出生率が前年に比べて上昇した。新型コロナウイルス禍で出産を取り巻く状況がまだ厳しい中での反転である。ただ国の間の差も鮮明に現れた。男女が平等に子育てをする環境を整えてきた北欧などで回復の兆しが見えた一方、後れを取る日本や韓国は流れを変えられていない。
経済協力開発機構(OECD)に加盟する高所得国のうち、直近のデータが取得可能な23カ国の21年の合計特殊出生率を調べると、19カ国が20年を上回った。過去10年間に低下傾向にあった多くの国が足元で反転した格好だ。
21年の出生率に反映されるのは20年春から21年初にかけての子づくりの結果だ。まだ デンのウプサラ大学の奥山陽子助教授は「出産を控える条件がそろい、21年の出産は減ると予想していた。それでも北欧などでは産むと決めた人が増えた」と話す。」
【ウクライナから穀物船出航 輸出再開第1号、レバノンへ】
8月1日午後の日経新聞【イスタンブール=木寺もも子】によれば、ウクライナ産穀物を積んだ貨物船が1日、南部オデッサの港から出航した。ウクライナとトルコがそれぞれ明らかにした。ロシアによる侵攻で輸送が止まった黒海への回廊設置で関係国が合意してから初めての輸出再開となる。
第1号の船はシエラレオネ船籍の貨物船で、トウモロコシ2万6千トンを積みレバノンのトリポリ港に向かうという。2日に黒海の出入り口にあたるトルコのイスタンブールに到着後、新たに設置した共同管理センターが積み荷などを検査する。ウクライナのクブラコフ・インフラ相はフェイスブックへの投稿で、さらに16隻が出航待機中だと明らかにした。輸出再開で少なくとも10億ドル(約1300億円)の外貨収入が見込めるという。
国連のグテレス事務総長は声明を出し「合意に基づき多くの商船が動き出す最初(の事例)となり、世界の食糧安全保障に求められていた安定と救済をもたらすことを希望する」などと述べた。
【最低賃金31円上げ961円 全国平均、物価高で上げ幅最大】
同じ1日の日経新聞は、労使間の合意が得られず延期していた<最低賃金>について次のように報じた。
「中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は1日、2022年度の最低賃金の目安を全国平均で時給961円にすると決めた。前年度比の上げ幅は31円と過去最大で、伸び率は3.3%になった。足元で進む物価上昇などを反映し大きな伸び率となる。企業は賃上げに必要な利益をあげるために、生産性の向上を迫られる。現在の全国平均は930円。今後、各都道府県の審議会が目安額を基に実額を決める。改定額は10月ごろに適用される。」
【<サハリン2>について】
2日の日経新聞は、<サハリン2>について、次のように報じた。
「三井物産と三菱商事は2日、権益を持つ極東ロシアの資源開発事業「サハリン2」の資産価値を6月末に3月末比で合計約2000億円減額したと発表した。サハリン2を巡ってはロシア政府が大統領令で、新設する別会社に権利などを移す方針を掲げる。両社は3月末にも減額しているが、四半期ごとに資産価値の見直しを迫られるほど不安定な事業環境となっている。
サハリン2の運営会社サハリン・エナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資している。三菱商事はロシアによるウクライナ侵攻前の21年12月末に約1930億円あった資産価値を22年3月末に1433億円に減額し、6月末には622億円まで減らした。野内雄三最高財務責任者(CFO)は「大統領令の発出によるサハリン2の(事業継続の)不確実性の高まりを受け、複数シナリオに基づいて価値を評価した」と述べた。
三井物産は資産価値の減額幅しか明らかにしていないが、3月末に441億円減らし、さらに6月末に1366億円減額した。これにより資産価値の総額は侵攻前の半分以下になったとみられる。「大統領令が出たことで将来得られる見込みの配当について不確実性が高まった。資産評価を保守的に見積もった」(重田哲也CFO)。
日本はサハリン2から年間約600万トンのLNGを輸入する。日本のLNG輸入量の約10%を占め、重要な調達拠点の1つだ。ロシアのプーチン大統領は6月末、サハリン2について、新たにロシア企業を設立してサハリン・エナジーの権利・義務を移管する大統領令を出した。
三井物産と三菱商事は新会社設立後、1カ月以内に同じ持ち分で移ることに同意するか判断を迫られる。同意するにはロシア側の条件に従う必要があるが、現時点でどんな条件なのかわかっていない。
萩生田経済産業相は2日の閣議後の記者会見で「現時点で新会社が設立されたとの情報はなく、引き続き注視したい」と語った。ワシントンで開いた外務・経済担当閣僚協議「経済版2プラス2」の初会合でもサハリン2に言及したといい「権益を維持したいと説明し、日本の立場を理解してもらった」と強調した。
【ペロシ米下院議長、台北に到着】
2日深夜、日経新聞【台北=龍元秀明、ワシントン=坂口幸裕】によると、ペロシ米下院議長は2日夜、台北に到着した。台湾の蔡英文総統と会談する。米大統領の継承順位2位の要職である下院議長の台湾訪問は25年ぶりで、米国の台湾への強い支持を示す。
ペロシ氏は2日夜に台北の松山空港に到着し、3日朝に台湾の立法院(国会)を訪問した。午前中に台北市内の総統府で蔡総統と会談する予定。ペロシ氏は到着後に発表した声明で、「訪台は台湾の民主主義を支援する米国の揺るぎない関与を示すものだ」と強調した。中国を念頭に「米国は一方的な現状変更の試みに反対し続ける」と記した。
ペロシ氏は2日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)への寄稿でも、自らの台湾訪問について説明した。軍事的威圧を続ける中国が「近年、台湾との緊張を劇的に高めている」と非難した。「中国共産党が台湾と民主主義を脅かしているのを座視できない」と訴えた。
米国で1979年に制定した台湾関係法は米国が台湾の自衛力強化を支援すると定める。寄稿では同法に関し「民主主義と自由、人権などの共通の利益と価値観に根ざした深い友好関係を育むものだ」と指摘。今回の訪問は歴代米政権が踏襲してきた「一つの中国」政策と矛盾しないと記した。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は2日の記者会見で、ペロシ氏の訪台について「長年の米国の政策に沿ったものだ」と述べた。中国が反発していることについて「緊張を高めたり、危機や紛争を引き起こしたりする口実にする理由はない」と批判した。米中関係に関し「今後数日から数週間の間に中国がどう振る舞うかによるだろう」と指摘。「緊張が高まっているときに意思疎通のラインをオープンにしておくことが重要だ」と強調した。
台湾の外交部(外務省)は「訪問を心から歓迎する。米国の台湾に対する揺るぎない支持が再確認された」との声明を発表した。呉釗燮・外交部長(外相)が空港でペロシ氏を出迎えた。台北のランドマークとして知られる超高層ビル「台北101」はペロシ氏の訪台にあわせライトアップされ、「民主主義の友に感謝」「米台友好は永遠」などと歓迎の言葉を表示した。
ペロシ氏の訪台を巡っては、7月28日の米中首脳電話協議で、習近平国家主席が「火遊びは身を焦がす」と強い表現で警告を発していた。「越えてはならないレッドライン」(王毅国務委員兼外相)とも表明してきただけに、米中の対立激化は必至だ。
中国と関係が深いロシアや北朝鮮もペロシ氏の訪台を非難した。ロシア外務省は2日の声明で、台湾問題をめぐり「中国は必要な措置をとる権利がある」と主張、訪台は「明らかな挑発」と米国を批判した。北朝鮮の朝鮮中央通信も3日、外務省報道官がペロシ氏の訪台を「米国の破廉恥な内政干渉」と非難した。
【中国、台湾取り囲む軍事演習 実弾使い大規模に】
3日昼の日経新聞【北京=羽田野主】によれば、中国人民解放軍はペロシ米下院議長の台湾訪問に反発し、2日夜から軍事演習を始めた。実弾を使った射撃も実施した。4日から台湾を取り囲むように6カ所で訓練する。ペロシ氏が台湾を離れても演習を続け、民進党の蔡英文政権に軍事圧力を強める。
2日夜にペロシ氏の台湾到着が伝えられる直前、中国官製メディアは中国の戦闘機「スホイ35」が台湾海峡を横断したと一斉に速報した。同機はロシアから輸入した最新鋭の戦闘機、日米の主力戦闘機とも渡り合える能力を持つとされる。
台湾の国防部は2日、中国軍機21機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。
台湾を担当する東部戦区はすでに台湾北部、西南、東南の海空域で軍事訓練を始めた。台湾海峡で長距離ロケット弾を実弾射撃し、台湾東部海域ではミサイルを試射した。東部戦区の報道官は「米国が台湾問題をエスカレートさせたことへの威嚇であり、台湾独立勢力への厳重な警告だ」とコメントした。
解放軍は4日から台湾周辺の6カ所での軍事演習に切り替える。7日まで船舶や航空機の進入を禁止した。複数の水域が台湾の領海と重なっているとの指摘があり、中台間で軍事的な緊張が高まるのは必至だ。偶発的な衝突を懸念する声も出ている。
王毅国務委員兼外相は3日、談話を発表、「米国の一部政治家は中米関係のトラブルメーカーに成り下がった」と非難した。「中国の平和的台頭をぶち壊すことは完全に徒労で、必ず頭を打ち付けて血を流す」と主張した。
中国外務省は謝鋒外務次官が2日深夜に米国のニコラス・バーンズ駐中国大使を呼び、ペロシ氏訪台に「強烈な抗議」をしたと発表した。
中国税関総署は3日、台湾からかんきつ類の果物や太刀魚など魚類を輸入するのを同日から止めると発表。検疫の問題としているが、台湾への圧力を示す狙いとみられる。商務省も同日、台湾向けの天然砂の輸出を止めると発表した。
【王毅外相が日中外相会談の実施を正式発表】
同じ3日のテレ朝ニュースは、次のように報じた。
「中国外務省は王毅外相が3日に始まるASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会合に合わせてカンボジアを訪問し、林外務大臣と就任後に初めて対面で会談すると発表した。
中国外務省は2日の会見で日中外相会談の実施を正式に発表、「日本が中国とともに関係の促進に努め、健全で安定した発展を実現するよう望む」と表明。
また、国際情勢は複雑だという認識を示したうえで「両国は重要な隣国として地域の平和と安定に前向きな努力をすべきだ」としています。さらに、今回の外相会談では両国関係の改善や発展に向けて「重要で前向きな合意を実現することを望む」と期待感を示した。
なお、この日中外相会談は、4日になって中国側から延期が発表された。
【ペロシ米下院議長が日本到着 5日に岸田首相を表敬】
アジア歴訪中のペロシ米下院議長が4日夜、日本に到着した。5日に岸田文雄首相を表敬訪問する。日米関係に加え、台湾や北朝鮮をめぐる動向などを意見交換するとみられる。
ペロシ氏を含む議員団は4日午後10時ごろ、都内の米軍横田基地に到着した。小田原潔外務副大臣、エマニュエル駐日米大使らが出迎えた。ペロシ氏は5日に細田博之衆院議長とも会談する。ペロシ氏は1日にシンガポールに到着後、マレーシアと台湾、韓国を訪れた。日本が最後の訪問先となる。5日に日本をたつ予定である。
【中国の弾道ミサイル、5発が日本のEEZ内落下 岸防衛相】
4日晩の日経新聞によれば、岸防衛相は4日夜、中国が同日に発射した弾道ミサイルのうち5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したもようだと明らかにした。「日本の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題で強く非難する」と強調した。防衛省で記者団に語った。
中国が撃った弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてだという。「情報収集と分析、警戒監視などに全力をあげる」と述べた。中国の軍事演習について「非常に威圧的だ」と話した。政府は4日午後3時ごろから4時すぎにかけて9発の発射を確認した。
外務省の森健良次官は同日、中国の孔鉉佑駐日大使に電話し、ミサイル発射に抗議した。軍事訓練を即刻中止するよう求めた。
【南部へルソンのロシア軍司令部、州都から移動か…ウクライナ軍反撃で補給路攻撃】
16日の読売新聞【リビウ(ウクライナ西部)=笹子美奈子】によれば、ウクライナ南部ヘルソン州の制圧を宣言しているロシア軍が、州都ヘルソンに置く司令部を移動させたとの見方が出ている。ウクライナ軍の反撃で補給路が被害を受けたためとみられる。
ウクライナ軍南部方面の報道官らは14日、地元メディアに対し、露軍が司令部をドニプロ川西岸の州都ヘルソンから東岸に移したと指摘した。ウクライナ軍が、露軍の補給路となっていたアントノフ大橋を含む計3本の橋を攻撃し、使用不能にしたことが影響している模様だ。
一方、ロシアのプーチン大統領は15日、モスクワ郊外で開かれた国内最大級の兵器展示会で演説し、「ロシアの兵器は競合国よりも何年も先を行っている」と述べ、自国兵器の性能の高さを誇示した。欧米の対露制裁に同調しない南米やアジア、アフリカの国々と緊密な関係にあることを強調し、最新の露製兵器を供給する用意があると主張した。ウクライナ軍の抵抗により一部で苦戦が伝えられており、国内外の不信感を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。今年の展示会への参加は72か国で、昨年の117か国から激減した。
【深まる分断、消える500兆円 逆回転するグローバル化】
22日の日経新聞によると、2月24日のロシアのウクライナ侵攻から半年たち、国際社会の風景は様変わりした。民主と強権という国家観の隔たりがあらわになり、経済・政治の両面で分断が進む。「ウクライナ」後の世界はどこへ向かうのか。
7月下旬。直前まで日本にいたイエレン米財務長官が韓国ソウルのLGグループの施設にいた。強調したのは「フレンドショアリング」の発想。「信頼できるパートナーと深く多様な関係を築き、供給網を多様にし、互いの経済へのリスクを減らしたい」。親しみを込めて語りかけた。
生産拠点などを国外に移す「オフショアリング」や国内に戻す「リショアリング」に対し、フレンドショアリングは文字通り友好国への移転を意味する。イエレン氏が友人と寄り添う意義を語る背景には信頼できない国の増勢がある。
武力による現状変更へ動いたロシア。侵攻直前の2月上旬にロシアとの「無制限の友好」をうたった中国。両国に代表される権 威主義国家はその存在感を増し、世界の国内総生産(GDP)に占める割合は1980年代の2割程度から33%へと高まった。
第2次大戦後のグローバリズムは西側の民主主義国が団結する形で進んだ。冷戦後の第2幕は思想の違いを超えて旧東側諸国を巻き込み、経済面で参加国に恩恵をもたらした。だが、ウクライナ侵攻は民主と強権の間の溝を決定的にした。
米欧は半導体をはじめとするハイテク技術がロシアのミサイルや戦闘機に使われるのを恐れ、輸出を禁じるなどの制裁を強める。対するロシアはエネルギーや資源、食糧の供給を絞る報復に動く。リーマン危機後の世界を救った20カ国・地域(G20)はこの半年、集まることすら怪しい機能不全に陥った。
足元で起きているのはいわばグローバリゼーションの逆回転。企業がグローバルに築いてきた相互依存は皮肉にも、双方を攻撃し合う「武器」として使われている。国境を越えた水平分業や最適地生産を追求できなくなるコストは重い。国際社会がブロックに割れ、サプライチェーンが機能しなくなると、世界の生産額の5%が失われる。世界貿易機関(WTO)はそう警告した。ざっと4兆ドル(約540兆円)と日本経済の規模に匹敵する額が消える計算だ。
私たちの暮らしにも影を落とす。たとえば米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」。部品の調達先は6大陸の四十数カ国に及ぶ。すべての生産を米国に移すと製品価格が2.5倍に跳ね上がるともいわれている。エネルギー高とインフレはロシアなき経済のツケだ。
「資源配分は今や経済でなく、政治やイデオロギーで決まる。戦争を想定した生存と自給自足が大事になり、効率性は脇に追いやられた」。著名ファンド創業者で歴史家の顔ももつレイ・ダリオ氏は言う。
日本も無縁であり得ない。バイデン政権は5月に日米やインド、東南アジアなど14カ国で「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を創設。日米とインドにオーストラリアが加わる「Quad(クアッド)」も仲間を固めるフレンドショアリングの中核。
もちろん、日本に特有の難しさはある。典型がロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」への対応だ。三菱商事の中西勝也社長は17日、経済産業省で西村康稔経産相と膝を突き合わせた。政府はロシア主導のサハリン2新会社への参画を日本企業に求め、エネルギー確保の安定を託す。だが、日本が事業に関与し続けたとしても、天然ガス供給はロシアの胸三寸という危うさをはらむ。
【富士通、国産量子計算機を初の実用化へ 理研と共同】
22日の日経新聞によれば、富士通は理化学研究所と共同で次世代の高速計算機である量子コンピューターの実用化に向け、2023年度に企業への提供を始める。金融市場の予測、新素材や薬の開発への活用を見込む。米グーグルなど海外勢が開発を主導しており、幅広い分野の計算ができる汎用型を国内企業が手掛けるのは初めてになる。産業競争力や安全保障を左右する次世代技術開発の起爆剤になる可能性がある。
富士通は21年4月に埼玉県和光市に理研との連携センターを設置し、約20人の研究者が参加して量子コンピューターを開発してきた。23年度に実機をつくり、企業に公開して研究に生かしてもらう。
量子コンピューターはスーパーコンピューターに比べて計算速度が飛躍的に速い。素材開発などに革新をもたらす可能性を秘めており、化学や製薬、自動車、金融など幅広い産業の競争力を左右する見通しだ。富士通は4月から富士フイルムと材料設計に関する共同研究を始めた。連携先を広げ、協力して将来の活用に向けた知見を蓄える。
【習近平氏が岸田首相にお見舞い電 日中「新時代の関係構築」に意欲】
22日の朝日新聞デジタルは次のように報じた。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、習近平国家主席は22日、新型コロナウイルスに感染した岸田文雄首相あてにお見舞いの電報を送った。
習氏は電報で、岸田首相に対し「一日も早い回復を祈っている」としたうえで、「今年は中日国交正常化50周年であり、私はあなたとともに新時代の要請にあう中日関係の構築を進めていきたいと考えている」と伝えた。李克強(リーコーチアン)首相も同様の電報を送ったという。
日中関係を巡っては、今月4日の外相会談が中国側の意向で直前でキャンセルされたものの、17日に秋葉剛男国家安全保障局長と楊潔篪・共産党政治局員が天津で約7時間にわたって会談。双方が関係改善への動きを強めている。日中関係筋によると、両国首脳間のオンライン会談か電話協議の実現へ、水面下の調整が始まっているという。(北京=冨名腰隆)
【ウクライナ侵攻半年、砲撃は南部2州が4割超 衛星分析】
23日の日経新聞は、次のように伝えた。
「ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して24日で半年がたつ。ウクライナ側が奪還を急ぐ南部で戦闘が激化、米航空宇宙局(NASA)の衛星データによると南部2州が爆撃や砲撃の4割超を占める。戦火はロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島にも広がった。戦局は消耗戦の様相を深めている。
衛星データを使い、地表面の温度が常温よりも明らかに高温の「熱異常」を調べることで、爆撃や砲撃の標的となっている地域を検証した。
侵攻直後の3月は首都キーウ周辺に集中していたが、7月以降は検知地点がロシアが制圧を狙う東部ドネツク州やウクライナが奪還を目指す南部のザポロジエ、ヘルソン州などに移った。2州が全体の4割超を占めており、戦闘の激化を裏付ける。
9日以降、ロシア軍施設の爆発が相次いでいるのが南部クリミア半島だ。16日には弾薬庫で、20日には黒海艦隊の司令部で爆発が起きた。ウクライナは公式には攻撃を認めていないが、補給混乱などを狙い破壊工作を強めているとみられる。
ゼレンスキー大統領は占領された地域が残ったままでは停戦には応じない構えだ。ウクライナ政府は23日、クリミア返還を目指す国際協力の枠組み「クリミア・プラットフォーム」の首脳会議をオンラインで開いた。演説したゼレンスキー氏は「ロシアの侵略との戦いに勝利し、クリミアを占領から解放することが必要だ」と強調した。」
一方、岸田首相は「侵略は欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ」とロシアを非難、ウクライナ支援を続けるとのビデオメッセージを寄せた。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長はロシアによるクリミアの「違法な併合は決して認めない」と述べた。ドイツのショルツ首相はウクライナの復興会議を10月に開催する方針を示した。「国際社会はウクライナの長期にわたる復興に積極的に携わるべきだ」と連帯を呼びかけた。
24日はウクライナが1991年にソ連からの独立を宣言した記念日に当たる。ロシア軍が攻撃を激化させる恐れがあるとして、北東部ハリコフ州が23日夜から25日朝にかけて住民の外出を禁じるなど各地で警戒が高まる。
欧州最大級のザポリージャ原子力発電所周辺では8月に入り砲撃が相次ぎ、放射性物質が漏れ出るリスクが高まっている。 国際原子力機関(IAEA)は調査団派遣へロシアやウクライナと協議するが、両国は現地入りの経路を巡って対立する。のち28日には原子炉に100メートルの至近距離に着弾した。
8月24日はウクライナの独立記念日(1991年、ソ連邦崩壊とともに独立して31年目)であり、奇しくも開戦から半年を迎える。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの統治するクリミヤ半島を含めて解放すると改めて述べると同時に、この日に向けてロシアが全面攻勢をかけてくる可能性を指摘、国民に注意を呼びかけた。なおクリミヤ半島はウクライナに帰属するとトルコのエルドアン大統領も公言している。
一方、ロシアが2014年に併合したクリミヤ半島では、戦闘が激化、16日の段階で毎日新聞は次のように伝えた。
「ロシアが2014年に強制編入したウクライナ南部クリミア半島で16日、ロシア軍の弾薬庫が爆発し、ロシア通信によると、民間人2人が負傷した。ロシア国防省は「破壊工作」を受けたと認めつつ「深刻な死傷者はいない」とした。クリミア半島では9日、ロシアの黒海艦隊の航空部隊が拠点とする航空基地で爆発が起きたばかりで、米メディアはウクライナを支持するパルチザン部隊が関与した可能性を報じていた。ウクライナ軍が何らかの形で爆発に関与した可能性もある。
報道によると、爆発があったのは半島北部ジャンコイの弾薬庫。午前6時15分ごろ発生し、付近の送電線や線路、住宅などが損傷した。ロシア軍は現場から半径5キロ以内を立ち入り禁止とし、約2000人が避難したという。誰が「破壊工作」をしたのかなど、爆発原因の詳細は明らかになっていない。」
【首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働】
24日の日経新聞によれば、岸田首相は24日午後に首相官邸で開くGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で次世代型の原子力発電所の開発・建設を検討するよう指示する。
ロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー市場が混乱していることを踏まえ、原子力の活用が急務だと判断した。「電力需給逼迫という危機克服のためあらゆる施策を総動員する」と訴え、原発の新増設は想定していない東日本大震災以降の方針を転換し、中長期で電力確保を目指す。
また再稼働する原発は、2023年夏以降に最大17基へ増やし、中長期的な電力確保をめざす。
【中国で観測史上最悪の熱波、秋の収穫に「深刻な脅威」】
【8月24日 AFP】によると、中国では記録的な暑さと干ばつが続いており、当局は今年の秋の収穫が「深刻な脅威」にさらされていると警告している。世界第2位の経済大国・中国は今夏、記録的な高温や鉄砲水、干ばつに見舞われている。科学者らは、気候変動の影響で、こうした現象の頻度と激しさが今後は増すとしている。
農業農村省によると、南部では高温と少雨が、60年余り前の観測開始以来、最長となっている。政府は発表で「干ばつの急速な進行に加え、高温と熱による作物の損傷が重なり、秋の収穫に深刻な脅威をもたらしている」と説明した。
中国は、国内で消費するコメ、小麦、トウモロコシの95%以上を自給している。収穫量が減ると輸入が増え、ウクライナ侵攻ですでに影響を受けている世界の食料供給がさらに圧力を受けることになる。
最高気温が45度に達した地域もあり、都市部ではエアコンの使用が増えるなどして電力需要が急増。複数の省で停電が実施された。大都市の上海や重慶では、屋外照明用の電力供給が停止された。四川省当局は、主要な水力発電所の水位が下がったことを受け、産業向け電力供給を制限した。
記録的な暑さで、国内の主要河川である長江(揚子江)も干上がっている。国営通信社の中国新聞社(CNS)は先週、主流の水位が過去5年間の平均より50%下がっていると報じた。
【コロナ対策、「全数把握」を見直す】
24日のNHK報道によれば、新型コロナ対策をめぐり、岸田総理大臣は24日、感染者の「全数把握」を見直す方針を明らかにした。厚生労働省は、早ければ今月中にも運用を開始したいとしている。なぜ見直すのか、見直しで何が変わるのか、そして「負担が増えていた」という医療現場や自治体の受け止めなどについてまとめた。
新規感染者の「全数把握」は医療機関が作成した患者の「発生届」をもとに行われている。感染症法は、新型コロナウイルスを診断した医師に対し、すべての患者の氏名や年齢、連絡先などの情報を、「発生届」(ハーシス HER-SYS)として保健所に提出するよう義務づけているが、「第7波」で感染者が急増し、入力や確認の作業が医療機関や保健所の業務負担となっていた。医療現場からは、コロナ患者対応に集中させてほしいと、見直しを求める声が高まっていた。
今回の見直しでは、自治体の判断で「発生届」が必要とする対象を、高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにした。若者など対象外となった人についても感染者の総数と年代別の人数を把握するとしている。
感染者数の集計は続けられることになるため、感染状況は引き続き把握できるが、「発生届」の対象外の人が自宅療養中に体調が悪化しても気付きにくくなるなどの懸念もある。厚労省は発熱外来や保健所の業務が極めて切迫した地域では、都道府県から届け出があった場合「発生届」の対象を限定する措置を順次、実施可能にするとしている。
おととしから始まった「HER-SYS」のシステムの運用は、開始当初に入力項目はおよそ120あった。入力項目はこれまでに段階的に削減され、現在、最も入力項目が少ない重症化リスクの低い患者については、◇氏名、◇性別、◇生年月日、◇市区町村名、◇電話番号◇医療機関からの報告日、◇症状の有無などといった診断類型の7つの項目まで絞った。
しかし、いわゆる「第7波」で感染拡大が続く中、医療現場や自治体などからさらに見直しを求める声が相次いだ状況を受け、先の内閣改造で新たに就任した加藤厚労大臣と全国知事会の会長を務める鳥取県の平井知事らがオンラインで会談。平井知事は全数把握について「必要性は理解しているが、現場は夜遅くまで入力作業をしなければならない。これまでも入力項目を緩和してもらったが さらに踏み込んでほしい。第7波が終わってからではなくすぐに取り組んでほしい」と直ちに見直すよう要望した。
さらに日本医師会からも同様の要望が寄せられた。これを受けて加藤大臣は、先週の国会審議で「医療機関の負担を減少しながら、全数把握の目的・機能をどのように残していくのか、専門家や医療現場から話を聞きながら検討している状況だ」と述べ、速やかに対応する考えを示していた。
加藤厚労大臣は24日夜、厚労省で開いた記者会見で「届け出た都道府県は、日ごとの感染者数の総数と年代別の総数を毎日公表していただくことを前提に、厚生労働大臣が定める日から届け出の対象を▽65歳以上▽入院を要する方▽重症リスクがありコロナの治療薬の投与や酸素投与が必要と医師が判断する方▽妊婦の方に限定できるようする」と述べた。
そのうえで関係する省令の改正について、24日の厚労省の審議会で了承が得られれば、25日に省令を公布し速やかに都道府県向けの説明会を実施して届け出の受け付けを始める考えを示した。
厚労省は、届け出を受けて事務手続きを進め、早ければ今月中にも運用を開始したいとしている。また加藤大臣は「全国ベースでの見直しについては今後の感染状況の推移などを見極めたうえで検討していきたい」と述べた。
【ソニー半導体製造トップ「TSMCは九州復活のトリガー」】
24日の日経新聞は次のように報じた。「ソニーグループが九州での半導体事業を拡大している。長崎県のカメラ用センサー工場を増強、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県菊陽町に建設する新工場にも出資した。ソニーの半導体製造部門、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)の山口宜洋社長は、TSMCの九州進出が「サプライチェーンの強靱(きょうじん)化にプラスだ」と期待を示す。」一問一答は以下の通り。
(1)――長崎県諫早市の拠点で工場棟を拡張しました。
「主力商品であるモバイル向けイメージセンサーの需要対応、高付加価値品に向けた対応だ。長崎テクノロジーセンターは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーの基幹生産拠点の一つ。生産設備を拡充、生産体制をさらに強化し、性能進化が進むスマートフォンカメラなどの市場に向け、高画質で高性能なセンサーを供給していく」
(2)――TSMCの新工場建設が熊本の拠点の隣接地で進んでいます。
「TSMCには半導体生産を1980年代後半から委託している。2010年くらいからイメージセンサーに使うロジック、積層型の多くの部分の供給を受けている。TSMCとの関係は深く、そのロジック半導体とソニーのCMOSをつける。TSMC全体から供給を受けていて、隣の新工場から即受けるというのは明らかではないが、近くに拠点ができるのは心理的な安心感がありサプライチェーン強靱化にプラスだ」
「TSMCの進出はシリコンアイランド九州復活にとってのトリガーになる。経済産業省主導の人材育成の仕組みも設立され、産官学の動きが始まった。この10年ではなかった動きだ。これを一過性で終わらせず、地域の基盤を支える産業になっていくことを期待しているし、ソニーとしても力添えしたい」
(3)――人材獲得で競合しませんか。
「人材獲得についてボトルネックにはなっていない。今後の採用で競合するかもしれないが、当社はいい刺激をもらっているとプラスに捉えていきたい。採用は全国レベルから九州に集めないと世界とは戦えない。TSMCはグローバルな企業だし、地元というよりも日本の半導体への認識が変わることの変化を期待する。半導体に興味を持っている人が九州に集まってくることも期待している」
(4)――学生ら若い世代の半導体への関心も高まっています。
「エアコンとか車の納期待ちの原因が半導体にあると一般の人にも認識が広がれば(就職先としての)注目も高まるとか、TSMCが九州に来ることがいいタイミングで相乗効果になればとか、いろいろと話を聞く。過去数年で認知度が上がってきて、世間の興味も高まっていると感じる」
(5)――半導体市況に軟化の兆しが出始めているとの指摘もあります。
「半導体市況については情報ソースを持っていないが、在庫局面によりメモリーの一部などデバイスの種類によってはある。TSMCでも軟化するところとそうでないところがあるのではないか。CMOSはもう少し今の(需給が厳しい)局面が続くのではないかと思う」
「CMOS生産は顧客の需要に足りていない。1台あたりの個数が増えると同時に、カメラのサイズを大きくしようと提案している。チップの大きさも大きくなるわけで、半導体の生産量としては数量が出ない。ただ顧客の要求はより感度の高い物、臨場感のある性能への期待が大きい。期待を超える商品をどれだけ出せるかが重要で、開発面の課題でもある。業界の先頭を走るためにも、他社にはないものを開発していく」
(6)――韓国サムスン電子など競合も追い上げてきています。
「サムスンに追い上げられている市場であっても、加工技術で生み出す映像感は人間の感性に訴えるものだ。画素数だけではなく、色味とか人の心に訴えるというか。数値化するのは難しいが、これこそがソニーの原点なので、DNAとしてしっかりあるところで勝負をしていく」
【サハリン2新会社、三井物産につぎ三菱商事も参画意向を通知へ】
25日の日経新聞は、三菱商事が25日、ロシア極東の資源開発事業「サハリン2」の新たな運営会社に参画する通知を出す方針を決めた。ロシアは8月にサハリン2の運営を新会社に移管し、三井物産と三菱商事に出資を続けるかどうか判断を迫っていた。三井物産も参画の意向を通知する方針を決めている。両社ともロシア側の動向を精査しつつ、月内にも意向を伝える見通しだ。
日本政府は権益を維持する方針で出資企業である三井物産と三菱商事に協力を要請していた。政府は両社が新会社に参画すればサハリン2からの液化天然ガス(LNG)を安定的に調達しやすくなると考えており、商社側が応じた格好だ。
三菱商事は同日、「方針を決議したことは事実。慎重な検討を重ね総合的な観点で判断をした。条件は今後確定していくと認識しており、ロシア側と交渉していく」とコメントした。
【警察庁の中村長官が辞職へ、安倍元首相銃撃で引責】
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、警護の問題点を検証していた警察庁は25日、警護計画や現場対応の不備を指摘し、「適切な対応があれば結果を阻止できた可能性が高い」とする報告書をまとめたのを機に、25日の日経新聞は、次のように伝えた。
「警察庁の中村格長官は25日、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を巡り、国家公安委員会に検証結果を報告した後で記者会見し、同委員会に「辞職を願い出た」と明らかにした。「新たな取り組みを開始するにあたり人心を一新し、新たな体制で警護に臨むべきだと考えた」と説明した。事件を防げなかった結果を受けた、事実上の引責辞任となる。」なお後任の警察庁長官には露木康浩次長が就任した。
その直前、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を受け、奈良県警の鬼塚友章・本部長が25日、記者会見し、「多くの方々にご不安、ご心配をおかけし、心よりおわびを申し上げる。重大かつ深刻な事態を招いたことに責任を痛感している」と述べた。警察庁は同日、鬼塚本部長に対する減給100分の10(3カ月)の懲戒処分を発表した。奈良県警も同日、鬼塚本部長が30日付で辞職すると明らかにした。
【NPT会議、最終文書採択できず ロシアが合意拒否】
27日の日経新聞【ニューヨーク=白岩ひおな】によると、ニューヨークの国連本部で約1カ月にわたって開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、最終文書を採択できず決裂した。ロシアが占拠するウクライナの原子力発電所の管理などをめぐる文言に反発し、合意できなかった。ウクライナ侵攻で核使用などのリスクが高まるなか、核軍縮をめぐる国際枠組みの信頼性が大きく揺らぐ結果となった。核軍縮などの履行状況や行動指針を定める最終文書の採択は、全会一致が原則である。中東に非核地帯を設ける構想で対立した2015年に続く採択の失敗となり、2回連続の決裂は1970年の条約発効以来初めて。
26日の会議は予定より約4時間20分遅れて始まった。スラウビネン議長はロシアを念頭に「直前に1カ国の締約国から最終文書案への反対が伝えられた」と明らかにした。さらに「われわれは歴史的瞬間にいる。想像を絶する核戦争の可能性がますます高まるなか、会議が合意に至らなかったのは残念でならない」と述べた。
ロシアの代表は「複数の段落に含まれている露骨に政治的な要素に反対している」として、文書案に合意しない立場を明言した。スラウビネン氏の指摘に対して「一つの代表部だけが反対しているという主張を拒否する。最終文書案に反対する国はわれわれだけではないはずだ」と弁明した。
軍縮外交筋によると、ロシアはウクライナ南部のザポロジエ原発への言及に最後まで反対した。スラウビネン議長は25日、ロシアの懸念に配慮して合意形成に近づけるため、2度にわたり文書案を修正した。最新の文書案では同原発を占拠するロシアを名指しした部分を削除した一方で「ウクライナ当局による管理確保が最も重要だ」とも明記していた。
フランスや英国、米国など55カ国と欧州連合(EU)は共同声明で「ザポロジエ原発の運営への干渉や支配を拡大しようとするロシアの行動を非難する」と発表した。「核保有国のロシアが国際平和と安全、安定を損なっていることを深く憂慮する」との立場を示した。ウクライナ代表はロシアの孤立が浮き彫りになったとしたうえで、「ウクライナが核保有国に攻撃されるなかで我々は一人ではない気持ちにしてくれた」と指摘した。発言後に会場から大きな拍手が起こった。
ロシアは、ウクライナが核放棄をする代わりに米英とロシアが安全を保障した1994年の「ブダペスト覚書」への言及も批判していた。文書案はすべての核保有国が非保有国の安全保障で「既存の義務と約束を完全に順守する重要性を再確認する」と明記していた。ロシアは覚書を順守しているとして反発した。
【中国製電気自動車が逆上陸、日本勢の死角突く】
29日の日経新聞は、次のように報じた。
「京都大学の吉田キャンパス(京都市)から、1台の白い車が滑らかに走り去った。キーンという独特の音を除けば何の変哲もないバンにみえる。京大発スタートアップのフォロフライがつくったEV(電気自動車)バン。生産を担うのは中国・重慶市にある 東風小康汽車の工場で、日本の安全基準をクリアするように改造した。
今は主に京都市内を走って改良を繰り返しているが、すでに1万台もの大量納入が決まっている。導入するのは物流大手SBSホールディングス。きっかけは「和製テスラ」とも呼ばれたGLM(同市)を創業した小間裕康との出会い。
2021年春、SBS創業者の鎌田正彦は小間と話し合う機会があった。「最近は荷主さんからSDGsを求められるけど、EVは高くてねぇ」。鎌田は国連が定める持続可能な開発目標は時代の要請と理解しながら、EV導入のコストに悩んでいた。「良い方法があります。中国の力を使うんです」。こう返した小間には秘策があった。
当時、小間はGLMを離れて香港で投資ファンドを率いていたが、GLM時代に取引があった東風小康なら、ガソリン車に負けない価格で商用EVを量産できるはずと考えた。その年のうちに日本でナンバープレートを取得し、この中国製EVをSBSが大量採用する話が進んだ。小間はフォロフライを創業した。
宅配用の小型バンは、日本企業が絶対的な自信を持つ市場だ。代表格がトヨタ自動車の「ハイエース」。100万キロメートル走ってもガタがこないという評価もある。そんな日本車の牙城の盲点が、出遅れたEVだった。佐川急便も中国製EVの大量導入を決めている。」
この間、以下の録画を視聴した。(1)BS1 Asia Insight 「ゼロコロナ政策の代償~中国 北京~」7月25日。 (2)クローズアップ現代「ウィルスの力を医療へ ▽がん・難病最新治療 ▽免疫細胞 ▽白血病」25日。 (3)BS6報道1930「ウクライナ侵攻5カ月 プーチン氏攻撃意図の変遷をよむ」25日。 (4)BS7日経ニュース プラス9 「倍速利上げに勝つ投資戦略とは?」25日。 (5)BS1 映像の世紀 バタフライエフェクト「難民 命を救う闘い」25日。 (6)BS世界のドキュメンタリー「人体と機械の融合を求めて 生体工学者 ヒュー・ハー」26日。 (7)報道1930「日本の最後のチャンス、中韓に再び敗れるか…”電池覇権”の行方は」26日。 (8)報道1930「支持急落…韓国大統領、早くも危険水域なぜか」27日。 (9)報道1930「【旧統一教会と政治】霊感商法「規制」進まぬ背景 ”政治の力”の影響は」28日。 (10)BS1 クローズアップ現代「バーゲンジャパン 世界に買われる”安い日本”(2)労働力」28日。 (11)BS7 日経ニュース プラス9「FRB 0.75連続大幅利上げ アメリカ経済の憂鬱」28日。 (12)BS7 日経ニュース プラス9「米エネ決着「底力」見せた?」29日。 (13)BS1週間ワールド・ニュース(7月25日~29日)30日。 (14)NSスペシャル「混迷の世紀プロローグ ”プーチンの戦争”世界はどう向かうのか」31日。 (15)NHK総合「安倍元首相は何を残したか」31日。 (16)BS1スペシャル「山本五十六と”開戦”」31日。 (17)報道1930「欧州「中国離れ」加速 台湾へ急接近する欧州の国々の狙いは」8月1日。 (18)BS7 日経ニュースプラス9「経済安定のキーパーソン直撃 半導体確保へ課題は」1日。 (19)報道1930「戦争いつまで? ロシアとウクライナの継戦の”限界”」2日。 (20)クローズアップ現代「”戦争犯罪”は裁けるか ウクライナ検察・知られざる闘い」2日。 (21)BS7日経ニュース「日本の防衛族が見た”台湾有事”の現在地」2日。 (22)BS7日経ニュース「ペロシ氏 台湾訪問強行 メンツ潰された中国 次の一手は」3日。 (23)報道1930「岸田総理 待ち受ける難題「統一教会」「国葬」「第7波」」3日。 (24)報道1930「旧統一教会と議員の関係、「これから」アンケートに見る意識」4日。 (25)BS7日経ニュース「軍事圧力を強める中国に米国は? ペロシ氏訪台の波紋」4日。 (26)NHKスペシャル「原爆が奪った”未来”~中学生8千人 生と死の記録」6日。 (27)NHK地域局発 長崎スペシャル「密着”核禁”ウィーン会議」7日。 (28)BS朝日 日曜スクープ「問われる教団との関係、ペロシ米下院議長台湾訪問」7日。 (29)NHKスペシャル「戦火の放送局~ウクライナ 記者たちの闘い~」7日。 (30)NHKスペシャル「混迷の世紀 第1回 ロシア発 エネルギーショック」9日。 (31)BS世界のドキュメンタリー「灼熱の50℃を生きる」10日。 (32)BS1 カーボンファーミング「気候変動対策で注目の環境再生農業」11日。 (33)報道1930「改造内閣と旧統一教会~関係を断ち切れるか」12日。 (34)報道1930【安倍氏の保守本流】岸田総理は継承するのか」12日。 (35)NHKニュース おはよう日本「三溪園の蓮」12日。 (36)ETV特集「”ナガサキ”の痕跡を生きて~188枚令和”原爆の絵”~」13日。 (37)BS朝日 日曜スクープ「岸田内閣改造 旧統一教会との関係を見直しを厳命」14日。 (38)BS1スペシャル「沖縄戦争孤児」14日。 (39)TB朝日「僕たちは戦争を知らない~1945年を生きた子どもたち~」14日。 (40)BS世界のドキュメンタリー「アウシュビッツに潜入した男」17日。 (41)BS世界のドキュメンタリー「あなたの健康データは大丈夫か~GAFAの欲望~」19日。 (42)NHKスペシャル「ウクライナ侵攻半年~”プーチン戦争”出口はどこに~」20日。 (43)NHK「週刊ワールドニュース(8月15日~19日)」20日。 (44)BS1スペシャル「戦禍のなかの僧侶たち~浄土真宗本願寺派と戦争~」20日。 (45)BS朝日 日曜スクープ「ウクライナ軍がロシア軍施設を攻撃、旧統一教会の政治」21日。 (46)TⅤ東京「池上彰の激動!世界情勢SP 現代の戦争と私たちの今後」21日。 (47)報道1930「ウクライナ侵攻6ヵ月 南部の攻防のゆくえ 併合か「奪還」か」23日。 (48)報道1930「軽症なのに死亡が頻発、第7波本当の怖さとは、期待の治療薬に厚い壁」23日。 (49)報道1930「【台湾統一めざす中国】ペロシ氏訪台を機に強める軍事圧力」24日。 (50)報道1930「最高責任者からひっくり返せ 旧統一教会”政界接近”の手法とは」25日。 (51)BS1「週刊ワールドニュース(8月22日~26日)」27日。 (52)BS5日曜スクープ「ウクライナ南部での攻防激化ほか」28日。
スポンサーサイト