人類最強の敵=新型コロナウィルス(50)
前稿(49)を投稿したのは4月26日(火曜)午後、その最後で「グテーレス事務総長は26日にはロシアのプーチン大統領と会談する予定で、事態を打開するきっかけとなるか注目されている」と述べた。
【オースティン国防長官の発言】
4月25日夕方のAFP通信によれば、米国のロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官はアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官とともに24日に首都キーウを訪れた後、ポーランドで25日、ロシアを二度と侵攻できないよう<弱体化>させる必要があると述べるとともに、ウクライナは適切な装備があれば勝利を収められるとの認識を示した。
【ロシアは欧米の軍事支援に反発】
同じころNHKWebは、「国連事務総長がモスクワ訪問 ロシアは欧米の軍事支援に反発」の見出しで、「ロシアは欧米によるウクライナへの軍事支援に反発を強め、厳しい話し合いになる見通し」とし、「プーチン政権は来月9日、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した記念日に合わせて、マリウポリでロシア側による軍事パレードも計画する等、支配の既成事実化を加速させている。… 一方、首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したアメリカのオースティン国防長官は25日「ロシアがウクライナに侵攻して行ったようなことができなくなる程度まで弱体化することを望んでいる」と述べ、ウクライナへの軍事支援の継続を強調」と報じた。
【欧米側はウクライナに新たな軍事支援】
27日未明のNHKWebは、「ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で26日開かれた会合には、NATO=北大西洋条約機構の加盟国など40か国以上の関係者がオンラインも含めて参加した。
会合後、アメリカのオースティン国防長官が記者会見し、ドイツが自走式の対空砲をウクライナへ提供すると明らかにするなど、各国が相次いで新たな兵器の供与を打ちだしたことを歓迎するとしたうえで、「われわれにはむだにしている時間はない」と述べ、そのうえで「今日、すべてのリーダーはロシアの侵略と残虐行為と戦うウクライナを支援することをさらに決意したと思う」と述べた。
欧米側はウクライナ東部での大規模な攻防戦を見据え、アメリカが大口径の砲弾を大量に撃ち込むりゅう弾砲を供与するなど、ウクライナ側が求める攻撃力の高い兵器の供与を始めているが、ロシア側はこれに強く反発している。
マリウポリの民間人退避、5月1日に100名。グテーレス国連事務総長の功績と見られる。
【ウクライナ高官<5月末にも反転攻勢>】
5月2日の日経新聞【ウィーン=細川倫太郎】発で、「ウクライナ高官<5月末にも反転攻勢> 米欧軍事支援で」と題し、アレストビッチ大統領府長官顧問の単独インタビューを掲載、次のように報じた。
「ロシアの軍事侵攻について、米欧からの武器供与により「ウクライナ軍は5月末から6月半ばには攻勢に転じることができる」と述べた。ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日に向け猛攻撃に出るとの見方もあり、戦闘が一段と激しくなる恐れがある。
2月24日にウクライナに侵攻してきたロシア軍とは、近く東部ドンバス地方をめぐる「決定的な戦闘」(ゼレンスキー大統領)が始まるとみられている。アレストビッチ氏は5月半ば以降に米欧から戦車や長距離砲などが前線に届くと説明、「攻勢に移るための攻撃部隊を整えることができる」と指摘した。
これまでウクライナ軍は防衛に軸を置いてきたが、反転攻勢に出れば戦局は大きな転機になりそうだ。数多くの市民殺害が確認された首都キーウ近郊ブチャの惨事を挙げ、「ロシア軍が領内に一日でも長くとどまれば、それだけ大量殺人の犯罪が増える」と訴え、欧米に侵攻を止めるため武器支援を急ぐよう求めた。
ロシア軍についてはキーウ占領作戦などに失敗し、「すでに戦略的に敗北した。何一つ目標を達成できていない」と述べた。予備役の補充がなく、ソ連時代の旧式武器が多いロシア軍は多大な損失を被って弱体化していると主張した。」
【最先端半導体で日米技術協力】
同じ2日の日経新聞は、「日米、最先端半導体で技術協力 2ナノなど開発・量産」の見出しで、次のように報じた。
「日米両政府は最先端の半導体の供給網(サプライチェーン)構築で協力する。回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートルより進んだ先端分野での協力や、中国を念頭に置いた技術流出防止の枠組みづくりなどで近く合意する。米中対立を背景に半導体は経済安全保障上の重要性が高まっている。台湾勢などに調達を依存する危機感から日米連携を強化する。
日本は半導体メーカーそのものの競争力は下がったが、半導体製造装置に加え、シリコンウエハーや回路形成に使うレジスト(感光剤)、半導体表面の研磨剤といった要素技術ではなお強みを持つ。
台湾積体電路製造(TSMC)が開発や量産準備で先行する2ナノ品は、米IBMも2021年に試作に成功した。日本では産業技術総合研究所(茨城県つくば市)で東京エレクトロンやキヤノンといった装置メーカーが先端ライン向けの製造技術を開発し、IBMなども参加している。
日米の技術や素材を生かし、安定して最先端の半導体を生産、調達できる体制を整える。
萩生田経済産業相が2日から訪米してレモンド商務長官と会談、半導体分野の協力推進に向けた文書を公表する。先端分野の実用化や量産を視野に入れた協力が柱で、現在の最先端より2世代先の<2ナノ品>以降の技術や、米インテルが持つ<チップレット>の手法が候補になる。」
【欧米のウクライナ軍事支援】
欧米のウクライナ支援、その実態 ポーランドが戦車200台。
アメリカは最初が30億ドル、ついで200億ドルを軍事目標に支援。
ウクライナ軍はトルコ製ドローンでロシア黒海艦隊の艦船を撃沈したのか。
【危ないロシアの中国従属】
6日の日経新聞は、「危ないロシアの中国従属 北朝鮮に劣らぬ核脅迫も」の見出しで、コメンテータ秋田浩之による次のような論考を掲載した。すこし長いが引用する。
「ウクライナへの侵略後、ロシアは西側諸国から重い制裁を浴び、経済の傷は深まっている。経済封鎖が長引けば、国の力は衰えていき、名実ともに大国の座から転落するだろう。米欧はそこまで追い込み、世界秩序を脅かす体力までもロシアから奪おうとしている。必ずしも誤った戦略ではない。そうでもしなければ、プーチン政権による侵略は止まらないだろう。ただ、この路線には大きな盲点もある。ロシアを弱体化した末に待っている世界がバラ色とは限らないという点。
米欧、アジアの要人や識者が集まり、4月25~27日、地政学上の課題を話し合う<レイジナ対話>がニューデリーで開かれた。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長や米政府高官らがロシアへの圧力強化を呼びかけ、開催国のインド側などに重ねて同調を迫った。
(自活できず、不安抱える巨熊)
ところが米欧の参加者らと話すと、別の本音も聞かれた。ざっくりいえば、次のような憂いだ。制裁でロシアは半導体や工作機械の供給を絶たれ、多くの外国企業が去った。このままいけば、ロシアは弱体化していく。そのとき地政学上、大きな危険や混乱をもたらす恐れもある……。
ロシアが窮すれば、経済の対中依存をさらに深めるだろう。事実上、中国に従属する国家に陥っていく可能性がある。両国はすでに、対等とはほど遠い力関係にある。ロシアの国内総生産(GDP)は中国の約10分の1にすぎず、米調査機関のOECによれば、輸出の約15%、輸入の約23%を中国に頼る。
ロシアが中国に従属する筋書きは、世界にとって決して望ましくない。ロシアはさらに凶暴になり、西側諸国への挑発に出る恐れが高まるからだ。ロシアを大きな熊に見立ててみよう。自活できず、不安を抱える巨熊は危ない。いつも周囲を警戒し、いら立ち、ちょっとしたことで暴れかねない。
ロシアが凶暴になれば、当時のブッシュ(第43代)政権が<悪の枢軸>と呼んだ北朝鮮やイラン、イラク(当時のフセイン政権)の比ではない。ロシアは大量の核ミサイルを抱え、サイバーの攻撃力も強い。外交上の影響力も侮れない。4月7日、人権理事会からロシアを追放する国連総会決議では、賛成93カ国に対し、棄権・反対が82カ国にのぼった。
長年、対ロ政策に携わる欧州の政府高官は語る。「中国に従属すれば、ロシアは大国の誇りを傷つけられ、劣等感にさいなまれる。そして、西側への被害妄想も深めるはずだ。反動として西側により好戦的になり、予測できない行動に出るリスクが高まる。…ロシアの中国への従属は、米中の大国競争にも大きな変化をもたらす。中国はユーラシア大陸の東側を影響下に置くことになる。中ロに挟まれた中央アジアや、アフガニスタンも、たちまち中国色に染まるだろう。」
(アジア安保への影響大きく)
地政学上の影響は軽視できない。英地政学の大家、マッキンダーは約1世紀前、中央アジア、アフガンをハートランドと呼んだ。ここを支配した国がユーラシア全体を押さえ、世界も支配すると予測した。…19~20世紀初頭、英国とロシアが覇を競ったのもこの地域である。米中に当てはめれば、世界の覇権争いで中国がさらに優位に立つということだ。
アジアだけとっても、安全保障への影響は大きい。例えば、中国は尖閣諸島や台湾などの問題で一層、ロシアに連帯を求めるようになるだろう。…プーチン政権はいままで尖閣諸島や台湾問題をめぐり、「中立な立場に努めてきた」(ロシア外交の専門家)。中国の紛争に巻き込まれ、米国や日本と戦う羽目になるのは嫌だからだ。…だが、中国に従属したロシアが、中立を保つ保証はない。尖閣や台湾海峡の紛争にロシア軍が直接介入することはないにしても、日米をかく乱するなど、中国を利する挙に出る危険が生まれる。日本の安保担当者は「アジア有事の際、ロシア軍の出方をより警戒せざるを得なくなった」と話す。
(個人独裁の色濃いプーチン氏)
ここまでは対外政策の話だが、国家のあり方に目を向けると、プーチン政権は北朝鮮に似てきている。むろん、金正恩(キム・ジョンウン)総書記ほどではないが、プーチン氏は個人独裁の色を濃くしている。…国家の安全保障を核戦力に頼る傾向も、北朝鮮と重なる。通常戦略では米国にかなわないため、核による脅しを連発する。北朝鮮と同じく、この傾向はさらに強まるだろう。
だからといって、侵略を続けるロシアに対し、西側諸国が手心を加えるべきだというわけでは全くない。短期的には最大限の制裁を科し、侵略を失敗に終わらせるべきなのは言うまでもない。
その一方でロシアの中国従属をできるだけ防ぐため、「プーチン後」に対ロ関係を再建できる余地を残しておくことも賢明だ。簡単ではないが、打てる手は皆無ではない。プーチン氏と距離を置く政治家とパイプを保つほか、放送やネットを通じ、ロシア国民に正しい情報を発信する努力を強めることも一案だろう。…プーチン政権を追い詰めることは必要だ。同時に将来、いまよりも暗い地政学図をもたらすことも防がなければならない。
【外国人観光客の入国再開】
同じ6日の日経新聞は、「外国人観光客、6月にも入国再開 まず団体客で政府検討 入国者数の上限引き上げ調整」の見出しで、次のように報じた。
「政府は6月をメドに外国人観光客の新規受け入れを再開する調整に入った。大型連休明け2週間ほどの新型コロナウイルスの感染状況を見極めて判断する。まずは旅行会社などが管理しやすい団体旅行から認める案がある。月内にも方針を決める。
入国者数の上限引き上げも調整する。一案として現在の1日1万人から当面2万人に枠を広げる方法などが浮上する。人数を限るなど一定の条件をつけながら米欧やアジアの観光客を受け入れ始め、新型コロナの感染対策と経済再生の両立を探る。新型コロナによる水際対策は段階的に緩和してきた。ビジネス目的などの外国人の新規入国は3月から受け入れ企業・団体の管理のもとで容認している。」
【<終末の日の飛行機>】
6日の[ロンドン ロイター]によれば、ロシアのプーチン大統領は、第2次世界大戦の対ナチス・ドイツ勝利を祝う5月9日の戦勝記念日に西側諸国に対し「終末の日」を示唆する警告を発すると見込まれている。
対独戦勝記念日では首都モスクワにある赤の広場でプーチン氏が演説する予定。その後、軍隊、戦車、ロケット、大陸間弾道ミサイルなどのパレードが実施される。
ロシア国防省によると、核搭載可能な戦略爆撃機「ツポレフ(TU)160」のほか、空中指揮機「イリューシン(IL)80」などが聖ワシリイ大聖堂の上空を飛行する見通し。IL80の飛行は2010年以降で初めて。IL80は核戦争勃発時に大統領らが乗り込むことから<終末の日の飛行機>と呼ばれる。
西側諸国はウクライナに侵攻したロシアに対し厳しい制裁措置を科しており、世界最大の核保有国であるロシアと米国の対立が激化する恐れが高まっている。
ロシアによるウクライナ侵攻では数千人が死亡、1000万人近くが避難を余儀なくされている。
【マリウポリから50人の民間人が避難】
7日晩のテレ朝ニュースによれば、「ロシア側の兵士たちが視線を送る中、赤十字のスタッフと共にバスに乗り込んでいくのは、マリウポリの市民たちです。6日、ロシア軍に包囲されているマリウポリの製鉄所から50人の民間人が避難したと発表されました。製鉄所内には、まだ、民間人およそ200人が残っているとみられ、避難は難航しています。一方、6日の避難者の半分が連れて来られたのは、製鉄所からロシア方面に約25km移動した街、ベジメンネ。ロシア軍が支配する地域で、現在は青いテントが張られています。そして、このベジメンネは、ロシア側が避難民を身体検査して“反ロシア派”を見つけ出す<選別キャンプ>がある、と指摘されている場所でもある。マリウポリの市長顧問は、この場所から約600m離れた学校が「選別キャンプ」になっているとして、内部映像を公開した。『これは洗面所です。350人が使える蛇口は1つしかありません』 衛生状態が悪いことに加え、ロシア側による「選別」をパスしても、施設を出られない人もいると言う。」
【バイデン氏が約200億円相当の追加軍事支援】
7日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕】によると、バイデン米政権は6日、ロシアが侵攻を続けるウクライナに1億5000万ドル(約200億円)相当の追加の軍事支援を決めたと発表した。長距離火砲の弾薬や対砲兵レーダー、電波妨害装置などを譲渡する。ロシア軍はウクライナ東部の制圧へ攻勢を強めており、同国の防衛態勢を拡充するための武器供与を継続する。
追加するのは4月中旬以降に提供するのを決めた長距離火砲である155ミリりゅう弾砲の弾薬。すでに18万発超の支援を決めており、新たに2万5000発を送って在庫切れを防ぐ。ロシア軍からの砲撃を探知するレーダーも加える。
ウクライナ東部地域は起伏が少ない開けた地形で、米欧は火砲や戦車による全面的な砲撃戦に備えた支援を急ぐ。ロシア軍の電波を妨害する装置もわたす。バイデン米大統領は6日の声明で「ウクライナがこの戦争の次の局面で成功するには米国を含む国際社会の仲間が団結し、絶え間なく武器供給する決意を示し続ける必要がある」と強調した。
バイデン氏は4月下旬、ウクライナを軍事・経済の面で支援するため、2022会計年度(21年10月~22年9月)に計330億ドルの追加予算を計上するよう議会に要請。軍事支援として204億ドルを求めている。6日の声明で安全保障支援について「大統領権限で使える予算はほぼ使い果たした」と訴え、速やかな承認を要請した。
2月24日にロシアが侵攻して以来、米国が決めたウクライナへの軍事支援は6日の発表分を含め38億ドルに達する。ウクライナの2020年国防費の6割超にあたる規模になる。
【5月9日の対独戦勝記念日式典】
7日、モスクワで5月9日の対独戦勝記念日式典のリハーサルが行われ、空の軍事パレードでイリューシン80(核戦争となったときに大統領が搭乗して指揮にあたる)がお目見えした。
9日10時(日本時間4時)からモスクワで対独戦勝記念日の式典が始まり、プーチン大統領の演説があった。この記念日に新たに何を言うかが注目されていた。現在のウクライナ侵攻を<特別軍事作戦>と呼び2か月半になるが、これを改めて<戦争宣言>を出すことにより兵員確保を要医にするのではないかとの憶測があった。
読売新聞によれば、「ロシアのプーチン大統領は9日、第2次世界大戦での旧ソ連による対独戦勝記念日にあわせ、モスクワ<赤の広場>で演説した。プーチン氏は、ロシアのウクライナ侵攻は「時宜にかなった正しい決断だった」と述べ、正当性を強調。演説ではウクライナ侵攻での<戦果>を誇示せず、軍事作戦の今後の見通しについて言及しなかった。露軍に想定以上の犠牲者が出ており、軍事作戦も思うように進んでいない戦況が関係している可能性がある。プーチン氏はウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)を<解放>する名目で派兵されている露軍兵士に関し「祖国のために戦っている」と奮闘をたたえ、軍事作戦を継続する意向を示した。
9日の日経新聞によれば、「ロシアのプーチン大統領は9日、第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日にあわせてモスクワで演説し、ウクライナ侵攻について「唯一の正しい決定だった」と述べた。北大西洋条約機構(NATO)がロシアに脅威を与えていたとの一方的な主張を改めて展開し、侵攻を正当化した。モスクワの「赤の広場」で開かれた軍事パレードに出席し演説した。第2次世界大戦でのソ連のナチス・ドイツへの勝利と、今回の侵攻を重ね合わせて語り、ウクライナ東部のロシア兵らが「祖国や未来のために戦っている」と主張した。一部地域の制圧など具体的な<戦果>については言及を避けた。
プーチン氏は「NATOは我々の話を聞こうとしなかった」と述べ、ロシアとの対話を拒否した米欧に責任があると強調した。NATOによるウクライナへの軍事支援も非難した。「ネオナチとの衝突は避けられなかった」と強弁し、ウクライナ政権とナチスを同一視する根拠のない持論を繰り返した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日のビデオ演説で、プーチン氏を念頭に「ナチスのしたことを全てまねている」と非難した。パレードにはウクライナに派遣されていた兵士も参加したという。
【岸田首相、G7首脳とのオンライン会議】
9日の日経新聞によれば、岸田首相は9日未明、主要7カ国(G7)首脳とのオンラインでの協議に参加し、ロシア産石油を原則禁輸にする措置をとると表明した。同日午前、首相官邸で記者団にロシアでの資源開発事業サハリン1、2に関し権益を維持すると強調した。オンライン協議ではウクライナへの2億ドル(約260億円)の人道支援が支払い済みだと明かし、G7が連携してウクライナへの支援を続けると訴えた。「ロシアの侵略こそが世界経済の混乱の原因だ」と主張した。
同日午前、記者団に「石油輸入はエネルギーの長期かつ安価な安定供給に貢献している」と述べた。「国民生活や事業活動への悪影響を最小化する方法で時間をかけてフェーズアウトのステップをとっていく」と説明した。「石油輸入の削減や停止時期などについては今後実態を踏まえ検討していく」と指摘した。
代替のエネルギーに関し「原子力発電所の再稼働は安全を最優先しながら進めていく」と力説した。日本の政府や企業がロシアで石油や天然ガスを採掘する資源開発事業サハリン1、2を巡り「権益は維持する方針は変わりはない」と言明した。ロシアが第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を9日に迎えたことについて「国際秩序の揺らぎが懸念されているなかで国際社会の結束が大事だ」とし、「結束し強い制裁措置を科すこと、ウクライナへの支援の重要性を改めて感じている」と話した。
【林外相、尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の就任式へ】
9日の毎日新聞によれば、林芳正外相は9日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の就任式に出席するため韓国を訪問した。同日夜、次期政権の外相候補、朴振(パク・チン)氏と会談する。日韓関係改善に向け対話を続けることを確認する見通しだ。林氏は10日の就任式に、岸田首相の特使として出席する。尹氏を表敬し、岸田首相の親書を手渡す予定。外相の韓国訪問は2018年6月の河野太郎氏以来。
岸田首相は9日、林氏を派遣した狙いについて、ウクライナ情勢などを念頭に「国際秩序の根幹が揺らぎかねない事態を前に、改めて日韓、日米韓の協力の重要性を強く感じている」と説明。「日韓の間には難しい問題が存在するが、このまま放置することはできない」と述べ、関係改善に意欲を示した。韓国側は4月下旬、日本に「政策協議代表団」を派遣。代表団は岸田首相と面会し、尹氏の親書を手渡していた。
【カナダのトルドー首相がキーウで語る】
9日の[キーウ ロイター] によれば、ウクライナの首都キーウを電撃訪問したカナダのトルドー首相は8日、ロイターとのインタビューに応じ、「ウクライナ戦争でロシアのプーチン大統領を敗北させるため、世界は全力を尽くすと発言、数年にわたってロシアを制裁下に置く」と述べた。
また首相は「西側がプーチンの行為に断固として反対する決意であることを彼は理解する必要がある」とし、「ウクライナにさらに侵攻するための違法な戦争、状況のエスカレート、一線を超えた行為は、われわれが世界として彼の敗北を確実にするため、全力を尽くすことを意味する」と発言。「彼は市民に対する残虐行為を行っている。勝てると考えていたからそのようなことをしているが、敗北するしかない」と述べた。」
【岸田首相、ロシア産石油を原則禁輸】
9日の日経新聞は、岸田首相が9日未明、主要7カ国(G7)首脳とのオンラインでの協議に参加し、ロシア産石油を原則禁輸にする措置をとると表明した。同日午前、首相官邸で記者団にロシアでの資源開発事業サハリン1、2に関し権益を維持すると強調した。
オンライン協議ではウクライナへの2億ドル(約260億円)の人道支援が支払い済みだと明かし、G7が連携してウクライナへの支援を続けると訴えた。「ロシアの侵略こそが世界経済の混乱の原因だ」と主張した。
同日午前、記者団に「石油輸入はエネルギーの長期かつ安価な安定供給に貢献している」と述べた。「国民生活や事業活動への悪影響を最小化する方法で時間をかけてフェーズアウトのステップをとっていく」と説明、また「石油輸入の削減や停止時期などについては今後実態を踏まえ検討していく」と指摘した。
代替のエネルギーに関し「原子力発電所の再稼働は安全を最優先しながら進めていく」と力説した。日本の政府や企業がロシアで石油や天然ガスを採掘する資源開発事業サハリン1、2を巡り「権益は維持する方針は変わりはない」と言明した。
ロシアが第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を9日に迎えたことについて「国際秩序の揺らぎが懸念されているなかで国際社会の結束が大事だ」と語った。「結束し強い制裁措置を科すこと、ウクライナへの支援の重要性を改めて感じている」と話した。
【バイデン大統領、<武器貸与法>に署名】
10日夕方のNHKによれば、アメリカで、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナなどに対して軍事物資を迅速に貸与することを可能にする法律<レンドリース法=武器貸与法>が成立した。バイデン大統領が9日、ホワイトハウスで署名し、法律が成立した。
バイデン大統領は「ウクライナへの支援は今が極めて重要なときだ」と述べて、支援を加速させていく考えを示した。
ウクライナを支援するための<レンドリース法=武器貸与法>は、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナや近隣の東欧諸国に対して、来年9月末までの間、軍事物資を貸与するための手続きを簡略化し、迅速に提供することを可能にするもの。
バイデン氏は署名前に「戦いの代償は安くはない。しかし攻撃に屈服することの代償はもっと大きい」と指摘し、ウクライナ支援の意義を語った。「民主主義や人権、不一致の平和的解決に根ざした将来への永続的な関与を再確認するため、この法律に署名する」と強調した。
【中国の元ウクライナ大使、ロシアの敗北は必至と発言】
11日のテレ朝は、次のように報じた。「2005年から2007年までウクライナで大使を務めた高玉生氏は、北京で開催された政府系シンクタンクのシンポジウムに出席、ウクライナ情勢に触れて「ロシアの敗北は時間の問題だ」と指摘、また、今後についても「プーチン大統領の下でのロシアの復興はあり得ない」との見方を示し「ロシアの衰退は各分野に現れている」と強調した。
ただ、ウクライナ侵攻を巡って習近平政権はロシア寄りの姿勢を取り続けていて、政府方針とは異なる高元大使の発言は中国のSNS上から次々と削除されている。」
【トヨタ自動車の営業利益が36%増で過去最高】
11日の日経新聞によれば、「トヨタ自動車が11日発表した2022年3月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前の期比36%増の2兆9956億円だった。16年3月期の2兆8539億円(当時は米国会計基準)を上回り、6年ぶりに最高を更新した。トヨタ自身の記録を塗り替え、国内企業で過去最高となった。」
【経済安保法が成立】
11日の日経新聞によれば、岸田政権が看板政策に掲げる経済安全保障推進法が11日の参院本会議で可決、成立した。半導体など戦略的に重要性が増す物資で供給網を強化し、基幹インフラの防護に取り組む体制を整える。2023年から段階的に施行する。…
経済安保法は①供給網の構築②基幹インフラの安全確保③先端技術の官民研究④特許の非公開――の4本柱で構成する。
戦略物資の調達を海外に依存するリスクを減らす。国が半導体、レアアース(希土類)などの重要鉱物、蓄電池、医薬品などを「特定重要物資」に指定する。対象物資はこれから政省令で定め関連産業向けの財政支援は厚くする。…供給の滞りを避けるため、企業の原材料の調達先や在庫を調査する権限を国が持つ。公的な支援を受けている場合、調査を拒めば罰則を科す。
基幹インフラに安保上の脅威となる外国製品が入らないための仕組みもつくる。電気や金融、鉄道など14業種を指定し、事業者は管理システムの概要や仕入れ先、部品の詳細について事前に国に報告する義務を負う。
サイバー攻撃によるシステム障害や情報流出のリスクを審査する。必要があれば設備の変更を勧告、命令する。米政府が使用を禁じる中国の華為技術(ファーウェイ)製品などを念頭に置く。
人工知能(AI)や量子といった各国が開発競争する先端技術を巡っては、官民で研究・開発する環境を整える。テーマごとの官民協議会の設置を促し、企業や大学への資金支援をする。高度な研究を進めるため、政府の機密情報を守秘義務を課して提供する。
核兵器の開発につながるウラン濃縮技術など軍事転用の恐れがある技術の特許は非公開にする。年間30万件ほどある特許出願のうち数件程度の認定を見込む。防衛省などの担当者が審査する。虚偽の届け出や情報漏えいには最大で「懲役2年以下」の罰則を科す。
公布後2年間で段階的に施行する。まず供給網強化と先端技術の官民協力を公布後9カ月以内に始める。施行は23年からになる。次に基幹インフラの安全確保、最後に特許の非公開を始める予定で24年を想定する。
【2021年度の国際収支統計、22.3%減少】
12日の日経新聞は、「財務省が12日発表した2021年度の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支の黒字は12兆6442億円と、20年度から22.3%減少した。黒字幅の縮小は4年連続。原油などエネルギー価格が高騰し、貿易収支が1兆6507億円の赤字となったことが響いた。貿易収支の赤字は14年度以来、7年ぶり。」
【スバルがEV工場を群馬に】
12日の日経新聞によれば、SUBARU(スバル)は12日、国内で電気自動車(EV)の工場を新設すると発表した。2027年以降の稼働を目指す。国内でEV工場の新設計画が明らかになるのは初めて。スバルは他社に比べてガソリン車の比率が高く、電動車シフトは遅れている。主力の米国市場ではEV化が急速に進む見通しで、工場新設でEVの生産能力を一気に引き上げる。世界的なEVシフトの波が中堅規模の日本車メーカーにも及んできた。
立地は群馬県の大泉工場(群馬県大泉町)を想定している。新工場建設と併せて、既存工場でもEV生産に向けた改修を進める。総投資額は2500億円を見込む。新工場では当初、年数万台規模で生産を始めるもようだ。
【フィンランドがNATO加盟を申請】
12日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄】によれば、「フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は12日、共同で声明を発表し「フィンランドは速やかに北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請しなければならない」と表明した。ウクライナ侵攻を受けて長年維持してきた軍事的な中立政策を転換する。ロシアは反発しており、新たな東西対立の構図も鮮明になる。深刻化する米中対立を含め、世界の安全保障体制は転換期を迎える。」
【北朝鮮が短距離弾道ミサイル3発を発射】
12日の日経新聞【ソウル=甲原潤之介】によれば、韓国軍合同参謀本部は12日、北朝鮮が同日午後6時29分ごろ平壌近郊の順安(スナン)から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射したと発表した。
岸防衛相も同日、防衛省で記者団に3発の弾道ミサイルが発射されたと公表した。最高高度は100キロメートル程度、通常の弾道軌道なら350キロメートルほど飛んだと分析した。日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したと推定されるとも説明した。
日本の防衛省によると北朝鮮によるミサイル発射は2022年に入って半年たたないうちに15回目になった。これまでの年間最多ペースと言える。岸氏は一度に3発以上を撃ったのは17年3月の4発以来だと話した。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が10日に就任してから初めて。5月は4日に弾道ミサイル、7日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射している。
【北朝鮮全域で発熱者が急増】
13日の日経新聞【ソウル=甲原潤之介】によると、北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、北朝鮮全域で発熱者が急増していると報じた。12日の1日間で1万8000人あまりの発熱者が発生し、現時点で18万7800人を隔離して治療中だと伝えた。新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がった可能性がある。
4月末から「原因不明の熱病」が急拡大し、発熱者の累計は35万人に達したという。北朝鮮の人口2500万人の1%を超す。16万2200人は完治した。6人が死亡し、うち1人は新型コロナの「オミクロン型」の派生型「BA.2」の感染者と確定した。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は12日、感染対策の司令部を訪れ「私たちが構築した防疫態勢にも弱点があった」と述べた。全域で都市を封鎖し、首都平壌を中心に感染を抑え込むよう指示した。「発熱者を隔離し、責任もって治療し、感染を遮断することが急務だ」と強調した。
北朝鮮は12日、新型コロナの感染者を確認したと初めて公表した。発熱者から8日に採取した検体を分析し、判明したとしている。金正恩氏は12日の朝鮮労働党の政治局会議にマスクを着用して登場した。
北朝鮮は2020年に新型コロナの流入を防ぐため中国との境界を封鎖した。12日の発表まで感染者は1人も出ていないとしていた。22年1月に中国との貨物列車の運行を再開したものの、4月に再び停止した。
【中国のロックダウンが米アップルを直撃】
13日の日経新聞【台北=中村裕、龍元秀明】によると、「中国が新型コロナウイルスの感染防止対策で講じた都市封鎖(ロックダウン)の影響が、米アップルの経営を直撃している。製品の大半が台湾企業の中国工場で生産されるためだ。4月からの工場停止で既に新製品の出荷が2カ月遅れる影響が出始めた。アップルは4~6月期に最大1兆円の減収影響を見込む。当局の規制は長引いており、中国経済を含めて影響が一段と広がる可能性がある。
世界で販売されるアップル製品は現在、9割以上が中国で生産されている。生産委託先も限られ、台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)企業が大半を請け負う。具体的には、鴻海(ホンハイ)精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)、仁宝電脳工業(コンパル)、広達電脳(クアンタ)、緯創資通(ウィストロン)の台湾企業5社だ。
このわずか5社が、全世界で販売されるアップルの主力製品のスマートフォンiPhone、タブレット端末のiPad(アイパッド)、ノートPCのMacBook(マックブック)を毎年ほぼ全量受注し、大半を中国工場で生産する。5社合計の中国での年間売上高は30兆円を超え、雇用は100万人規模になる。
5社が生産する中国の地域も限られている。最大拠点が中国内陸部、河南省の鄭州。次に生産が集中するのが沿岸部の上海・昆山と深圳。この3地域だけで、世界のアップル製品の約8割が生産されているのが現状だ。そのため、5社が工場を持つ中国3地域で問題が起きれば、アップル製品の世界出荷に直ちに影響が出る構図になっている。
今回、その3カ所全てで中国当局によるロックダウン措置が順次襲い、<アップルの生命線>が突かれた。特に深刻なのは上海・昆山地区。上海でのロックダウンは3月末から既に40日間以上が経過したが、いまだ全面解除の見通しは立たず、アップル製品の出荷を直撃している。
【米ロシア国防相が初の電話協議】
14日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕】は、「米ロシア国防相が電話協議 ウクライナ侵攻後初めて米高官「いい兆候」 これまでロシアが拒否」の見出しで次のように報じた。
「オースティン米国防長官は13日、ロシアのショイグ国防相と電話で1時間ほど協議した。米国防総省によると、オースティン氏はウクライナでの即時停戦を要求し、米ロの国防当局で意思疎通を維持する重要性を強調した。
両氏が話し合うのは2月18日以来で、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降初めてとなる。電話はオースティン氏が要請した。国防総省高官は13日、記者団に「ロシアがこのつながりを持ったことは良い兆候であり、オースティン氏はこれからも連絡を取り続けるよう望んでいる」と述べた。
ロシアの侵攻開始後、米国とロシア両政府の国防・軍トップの対話は途絶えていた。オースティン氏がショイグ氏に、ミリー米統合参謀本部議長がロシア軍のゲラシモフ参謀総長に何度も協議を呼びかけてきたものの、いずれもロシアが拒んできた経緯がある。
米ロは3月上旬、現場レベルでやりとりする<衝突回避(デコンフリクション)ライン>を設けた。両軍の日常の任務が偶発的な対立にならないよう避けるための措置で、米国はドイツに置く欧州司令部に設置した。」
【ロシア軍の戦争犯罪を裁く初の事例】
同じ14日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄、イスタンブール=木寺もも子】によると、ウクライナの首都キーウで13日、同国の民間人を殺害したとしてロシア兵、ワディム・シシマリン被告の初公判が開かれた。ウクライナに侵攻したロシア軍の戦争犯罪を裁く初の事例。有罪なら終身刑の可能性がある。
21歳のシシマリン被告は2月28日、ウクライナ北東部で車内から非武装の民間人男性に発砲し殺害した罪を問われている。自ら投降し罪を認めているという。次回の公判は18日に予定する。同国の検察当局はロシア軍による大規模な戦争犯罪について捜査しており、容疑者特定を進めている。
【<人的資本>の情報開示へ】
同じ14日の日経新聞は、「スキル、女性登用…「人的資本」の情報開示へ 政府指針」の見出しで次のように報じた。
「政府は今夏にも企業に対し、従業員の育成状況や多様性の確保といった人材への投資にかかわる19項目の経営情報を開示するよう求める。企業が従業員について価値を生み出す「人的資本」と捉えて適切に投資しているかを投資家が判断できるようにする。うち一部は2023年度にも有価証券報告書に記載することを義務付ける。開示を通じて人材への投資を促すことで無形資産を積み上げ、日本企業の成長力を高める。
従業員を投資の対象である人的資本と位置づける考え方は企業経営で広がっている。製造ラインでの作業などが多かった時代は、人件費をコストと捉える傾向があった。
今は経済のデジタル化が進み、従業員が生むアイデアが企業に利益をもたらす。企業が人材にどう投資しているかは、財務諸表の数値だけでは読み取れず開示機運が高まっている。政府の要請を受け、統合報告書などに人的資本に関わる記述を盛り込む企業が増えると見込まれる。
内閣官房は今夏にも、人的資本への投資を企業がどのように開示すべきかの指針を作る。6月中にまとめる骨子案では、投資家に伝えるべき情報を19項目に分けて整理する。主な項目は従業員のスキル向上などの人材育成や多様な背景を持つ人材の採用状況などである。」
【沖縄の本土復帰50年】
15日夕方のNHKは次のように報じた。
「沖縄が本土に復帰してから15日で50年を迎えました。沖縄では政府と沖縄県が共同で記念式典を開催し、岸田総理大臣が基地負担の軽減に全力で取り組むことを強調した一方、玉城知事は政府に対し、平和で豊かな沖縄の実現に向けて取り組むよう求めました。
沖縄の本土復帰50年を記念する式典は、政府と沖縄県が共同で沖縄県宜野湾市と東京 港区の2つの会場をオンラインで結んで同時に開催され、沖縄の会場には岸田総理大臣や玉城知事など合わせて781人が出席しました。
また、天皇皇后両陛下もお住まいの御所からオンラインで出席されました。
式典では、沖縄県の出身で、全盲のテノール歌手として知られる新垣勉さんが国歌を独唱しました。
このあと、岸田総理大臣は、沖縄が本土復帰50年を迎えたことについて「戦争によって失われた領土を外交交渉で回復したことは史上まれなことであり、日米両国の友好と信頼により可能となったものである。この50年、沖縄は着実に発展の歩みを進め、政府はその歩みを後押ししてきた。本日、沖縄の歩んだ歴史に改めて思いをいたし、沖縄県民のひたむきな努力に深甚なる敬意を表したい」と述べた。
一方、沖縄のアメリカ軍基地について「復帰から50年がたつ今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を担っていただいている。政府として、重く受け止め、引き続き基地負担の軽減に全力で取り組んでいく」と述べた。
再来年度以降に返還が予定されているアメリカ軍キャンプ瑞慶覧の「ロウワー・プラザ住宅地区」について返還に先立ち、緑地公園として利用できるよう、近く日米両政府で合意する見通しだとして、来年度中の利用開始に向けて必要な準備を進める考えを示し「これからも日米同盟の抑止力を維持しながら基地負担軽減の目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げていく」と述べた。
さらに「復帰から50年という大きな節目を迎えた今日、沖縄がアジア太平洋地域に、そして世界に力強く羽ばたいていく新たな時代の幕が開けたことを感じている。復帰から今日に至る沖縄県民のたゆまぬ努力と先人たちの尽力に改めて敬意を表するとともに世界の平和と沖縄のさらなる発展を祈念する」と述べた。
一方、玉城知事は、この50年の沖縄の歩みについて「1972年からの5次にわたる沖縄振興計画等により、社会基盤の整備等によって本土との格差は縮小され、社会経済は着実に進展した。しかしながら、1人当たり県民所得は全国平均の水準に達しておらず、自立型経済の構築はなお道半ばにあるとともに、子どもの貧困や離島における不利性、ぜい弱な産業構造など依然として克服すべき多くの課題が残されている」と述べた。
そして、沖縄のアメリカ軍基地をめぐり「復帰から50年たった現在も、わが国の国土面積の0.6%にすぎない沖縄県に全国の在日アメリカ軍専用施設面積の70.3%が集中し、アメリカ軍人・軍属による事件・事故、騒音、環境汚染等、県民は過重な基地負担を強いられ続けている」と指摘した。
そのうえで政府に対し、沖縄の本土復帰の意義と重要性について国民全体の認識の共有を図るとともにすべての県民が真に幸福を実感できる平和で豊かな沖縄の実現に向けて取り組むよう求めた。
天皇陛下は「先の大戦で悲惨な地上戦の舞台となり、戦後も約27年間にわたり日本国の施政下から外れた沖縄は、日米両国の友好と信頼に基づき、50年前の今日、本土への復帰を果たしました。大戦で多くの尊い命が失われた沖縄において、人々は『ぬちどぅたから』(命こそ宝)の思いを深められたと伺っていますが、その後も苦難の道を歩んできた沖縄の人々の歴史に思いを致しつつ、この式典に臨むことに深い感慨を覚えます」と、おことばを述べられた。
そのうえで「沖縄には、今なお、さまざまな課題が残されています。今後、若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解がさらに深まることを希望するとともに、今後とも、これまでの人々の思いと努力が確実に受け継がれ、豊かな未来が沖縄に築かれることを心から願っています」と述べられた。
【マリウポリの守備部隊は戦闘任務終了を表明】
17日の日経新聞【ロンドン=佐竹実】によれば、ウクライナ軍参謀本部は17日の声明で「南東部マリウポリの守備部隊は戦闘任務を果たした」と表明した。製鉄所に立てこもっていた負傷兵ら260人超が親ロシア派の支配地域に運ばれた。製鉄所の戦闘が終わったことでロシア側がマリウポリを完全に制圧する可能性があり、2カ月超に及んだ攻防は転機を迎えた。
港湾都市のマリウポリは戦略的な要衝で、アゾフスターリ製鉄所を除いてロシア軍がほぼ制圧している。製鉄所に避難していた民間人は国連と赤十字国際委員会(ICRC)の支援ですでに退避し、ウクライナ内務省系軍事組織「アゾフ連隊」が立てこもり徹底抗戦していた。ウクライナ軍参謀本部によると16日に重傷者53人を含む264人の兵士が退避し、ロシア軍や親ロシア派勢力が支配する地域の医療施設などへ運ばれた。退避した兵士はロシア軍の捕虜と交換する予定という。製鉄所には兵士が残っており、ロイター通信によると17日もバスで退避が続いた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日「ウクライナ軍、交渉団、国連やICRCのおかげで仲間の命が救える望みがある。ウクライナの英雄が生きている必要があることを強調したい」と述べた。ウクライナ側は敗北を認めていないが、ロシア国防省報道官は17日「アゾフスターリに立てこもっていたウクライナ兵265人が投降し、捕虜になった」と述べた。ロシアのペスコフ大統領報道官は17日「プーチン大統領は(投降するウクライナ兵に関し)国際法に従って取り扱うと保証している」と述べた。
【アゾフ大隊の副司令官は作戦継続中を表明】
20日の読売新聞【キーウ(キエフ)=笹子美奈子、ワシントン=蒔田一彦】によると、ウクライナ兵の退避が続く南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所で、ロシア軍への抗戦を続けてきたウクライナの武装組織アゾフ大隊の副司令官は19日夜、SNSでビデオ声明を配信し、「自身や他の司令官は製鉄所内にいる。作戦は継続中だが、詳細は明らかにしない」と述べた。籠城を続ける考えを示したとみられる。…また、ウクライナ軍参謀本部は19日、東部ハルキウ州で、反撃を表明した今月5日以降に奪還した集落は23か所に上ると説明した。
【米議会上院、ウクライナへ約400億ドルを可決】
20日の日経新聞【ワシントン=鳳山太成】によると、米議会上院は19日、ウクライナを支援するため2022会計年度(21年10月~22年9月)に約400億ドル(約5兆2000億円)を投じる追加予算案を可決した。下院は可決済みで、バイデン大統領の署名で成立する。防衛に必要な軍事品や食糧などを提供する。…上院(定数100)が賛成86、反対11の超党派で可決した。3月に成立した22年度の本予算には136億ドルを計上しており、米国の支援予算は合計で500億ドルを超える。
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化している。バイデン政権は議会に割り当てられた予算の範囲内で武器などをウクライナに供与してきた。残りの予算が減っていたが、議会が追加で手当てしたことで、政権は今後も軍事支援を続けられるようになる。…60億ドルを投じてウクライナ軍に武器や設備などを供与する。同国に送る軍事品の在庫を補充する予算として87億ドルを計上した。
【バイデン米大統領、半導体供給網で韓国重視】
20日の朝日新聞デジタルは、「バイデン米大統領、半導体供給網で韓国重視 サムスン電子工場を視察」の見出しで、次のように報じた。
「バイデン氏は20日夕、(大統領就任後初の訪韓で到着後に)ソウル近郊の京畿道平沢にあるサムスン電子の半導体工場を、尹氏とともに視察した。敷地面積はサッカー場約400個分に匹敵する289万平方メートルあり、次世代メモリーなどを生産する。バイデン氏は「この工場は米韓両国が築く未来の協力と技術革新を象徴している」と指摘。世界的な半導体不足やロシアのウクライナ侵攻をうけ、半導体のサプライチェーン(供給網)を強化する重要性は増していると強調した。「我々の経済や安全保障は、価値観の異なる国に依存しない」とも述べ、同じ民主主義の価値観をもつ同盟国・友好国同士で協力する重要性を指摘した。
世界の半導体の受託生産は首位の台湾が66%のシェアを占める。ただ、中国と緊張関係にある台湾に半導体生産が集中しすぎているリスクもあり、2位の韓国の重要性は高まっている。」
【世界の地域別半導体生産能力】
2020年6月29日の半導体市場動向調査会社の米IC Insigts調べによれば、「世界の地域別半導体生産能力、1位は台湾、日本は3位」は次のように言う。
ここで語られる当該国・地域の半導体生産能力とは、本社の所在国ではなく、実際に、その国・地域に存在するファブの生産能力を示すもので、例えばSamsung Electronicsが米テキサス州オースチンに保有するファブの生産能力は米国分として集計されている。
2019年12月時点で、世界の半導体生産能力は1951万枚/月(200mmウェハ換算)である。もっとも半導体生産能力が高い国・地域はTSMC擁する台湾で、全世界の生産能力の約22%を占めている。2位は、シェア20.6%の韓国。台湾は、2011年に日本を追い抜いた後、2015年に韓国を抜いて世界一を維持してきた。3位はシェア16%で日本。4位はシェア14%の中国で、2010年に初めてヨーロッパを抜き、2016年にROW(Rest of the World:その他の国々)を抜き、そして2019年には北米を抜くなど、破竹の勢いで生産能力を伸ばしている。5位は中国に抜かれた北米で6位が欧州となっている。また、ROW(その他の国々)は、主にシンガポール、イスラエル、マレーシアであるが、ロシア、ベラルーシ、オーストラリアなどの国々も含まれる。
【バイデン大統領の来日】
22日午後、バイデン米大統領は就任後初めて来日、2021年1月に就任後、アジアを訪問するのは初めて。日本に先立ち20~22日に訪れていた韓国を離れ、米大統領専用機で米軍横田基地に到着した。出迎えた林芳正外務大臣やエマニュエル駐日米大使、在日米軍幹部らと10分ほど懇談した。その後、大統領専用ヘリコプターに乗り換えて都心に向かった。
ロシアによるウクライナ侵攻が続くさなかの日韓訪問で、米国がインド太平洋地域に関与する姿勢を明確にする。
23日午前に天皇陛下と会見、同日午後には北朝鮮による日本人拉致被害者の家族と面会し、米国が主導する新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」のイベントに臨む。
IPEFの立ち上げを踏まえ、地域で台頭する中国に安全保障面だけでなく経済面でも対抗する足場にする。
ついで24日、日米とオーストラリア、インドの4カ国でつくる「Quad(クアッド)」首脳会議に出席する。同会議の対面開催は21年9月の米国に続き2回目になる。バイデン氏は24日夕に帰国の途につく予定。
【日米首脳共同声明の要旨】
23日晩の日経新聞によれば、日米首脳共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化」は、政府が発表した日米首脳の共同声明の要旨によれば次の通り。新たに( )に通番を付した。
(1)国際秩序の当面の最大の脅威は、ロシアによるウクライナに対する残虐でいわれのない不当な侵略であるとの見解で一致した。ロシアの行動を非難し、ロシアがその残虐行為の責任を負うことを求めた。
(2)ウクライナの主権および領土一体性に対する支持を改めて確認。
(3)自由で開かれたインド太平洋地域という共通のビジョンを推進するために行動することにコミットした。バイデン米大統領はこの地域への米国の揺るぎないコミットメントを強調。
(4)中国に国際社会とともに、ウクライナにおけるロシアの行動を明確に非難するよう求めた。中国による核能力の増強に留意し、中国に核リスクを低減し、透明性を高め核軍縮を進展させるアレンジメントに貢献するよう要請。
(5)地域の懸念の声に応じることなく、不透明な形で締結された最近の中国とソロモン諸島との間の安全保障協定に懸念を表明。
(6)首脳レベルを含む中国との率直な意思疎通の重要性を強調し、共通の利益を有する分野において可能な場合に中国と協力する意思を表明。
(7)韓国の新政権発足を歓迎し、安全保障関係を含む日本、米国および韓国の間の緊密な関係および協力の決定的な重要性を強調。
(8)日本周辺におけるロシア軍の活動の活発化に懸念を表明する。軍事面における中ロ間の協力に引き続き注意を払っていくことにコミット。
(9)同盟の抑止力および対処力を強化することへのコミットメントを新たにした。
(10)バイデン氏は核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた、日米安全保障条約の下での日本の防衛への米国のコミットメントを改めて表明。
(11)米国の拡大抑止が信頼でき強靱(きょうじん)なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認。
(12)バイデン氏は日米安全保障条約第5条が(沖縄県の)尖閣諸島に適用されることを改めて確認し、両首脳は尖閣諸島に対する日本の長きにわたる施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを改めて表明。
(13)サイバーおよび宇宙領域並びに新興技術の分野における協力を加速させることを決定。
(14)日米両国が重要技術を保護・育成し、それぞれの競争優位を支援し、並びにサプライチェーンの強靱性を確保するために協力していくことを確認。
(15)次世代半導体の開発を検討するための共同タスクフォースを設立すること、経済安全保障を強化するためのさらなる協力を追求していくことで一致。
(16)主要7カ国(G7)および地域のパートナーと協力し世界のインフラ需要を満たすための取り組みをより一層推進していくことを確認。
(17)20カ国・地域(G20)の「共通枠組み」の下で、債務の持続可能性および透明性を促進することの重要性を改めて表明した。主要な債権国に対する国際的に認知されたルールおよびスタンダードの重要性を改めて表明。
(18)原子力の重要性を認識した。強靱な原子力サプライチェーンを構築するために協力することで一致。
(19)「核兵器のない世界」に向けて協働する意思を改めて確認した。国際的な核不拡散・軍縮体制の礎石として核拡散防止条約(NPT)を強化することへのコミットメントを確認。
【クアッド開催でインド・オーストラリア首相が来日】
24日の日経新聞によれば、日米豪印の4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」は24日午前、首相官邸で首脳会議を開いた。国際秩序に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指すと確認する。インドを引き込み、中国やロシアに関する安全保障上の脅威認識をすり合わせる狙いがある。
岸田首相、バイデン米大統領、インドのモディ首相、就任したばかりのオーストラリアのアルバニージー首相が参加した。会議後に成果をまとめた共同声明を発表する。2023年の主催国も決める。
クアッドは中国の覇権主義的な動きを念頭に、自由や民主主義、法の支配を重視する枠組みである。首脳の対面での会議は21年9月にワシントンで開いて以来、2度目となる。
岸田首相は会談の冒頭、ロシアのウクライナ侵攻に触れ「国際秩序を根底から揺るがす事態が起きた。国連憲章でうたわれている諸原則への挑戦だ。インド太平洋で同じことを起こしてはいけない」と述べた。
バイデン氏も「民主主義対権威主義の構図だ。米国はインド太平洋の大国として共通の価値観とビジョンのために立ち上がる」と強調し、中ロへの懸念の共有を訴えた。「ロシアが戦争を続ける限り米国は国際社会のパートナーとともに対応をする」とも言明した。
モディ氏は「クアッドの決意と相互の信頼に裏打ちされた活動は民主主義勢力の大きな力となっている」と指摘。アルバニージー氏は「力を合わせ安全保障を含む最大の挑戦に取り組む必要がある」とした。
首脳会議では中国の東・南シナ海での海洋進出を踏まえ、ルールに基づく海洋秩序の挑戦に対抗する姿勢を打ち出す。米政府高官は24日、インド太平洋地域で違法漁業監視のために情報を共有する仕組みを立ち上げると明らかにした。相次ぐ中国船による違法操業が背景にある。密貿易などを取り締まる沿岸警備の能力向上につなげるため、周辺国への支援策も話し合う。同高官は「東南アジアや南アジアなど多くの地域のニーズに対応する」と語った。南シナ海で中国と領有権を争うベトナムやフィリピンなどとの連携を想定し、実効支配を進める中国に対処する。
【クアッド首脳会議について岸田首相が記者発表】
24日午後の日経新聞によれば、岸田首相は24日午後、記者会見し、同日に開いた日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」の首脳会議を受け、議長国として成果などを説明した。「力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならないと確認した」と語った。
(自由で開かれたインド太平洋) とくにインド太平洋地域で力による一方的な現状変更を許してはならないことを世界に発信できたと強調した。「4カ国の首脳が一致して世界に発信できたことは大きな意義があった」と訴えた。
「東・南シナ海での一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念やミャンマー情勢への対応などインド太平洋地域の情勢についても議論、日米豪印は自由で開かれたインド太平洋に向けた幅広い実践的な協力を進める」と語った。
「インド太平洋地域で今後5年間で500億ドル以上のさらなる支援、投資をめざす」と表明した。
中国への対応を巡る連携の具体策を問われ「日米豪印は自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて様々な分野で実践的な協力を進めるための議論の場で、特定の国を対象としたものではない」と答えた。
(ウクライナ情勢) 日米豪印4カ国の首脳でウクライナ侵攻を巡り「懸念を表明する」と確認したと明かした。「法の支配や主権及び領土一体性などの諸原則はいかなる地域でも守らなければならないことを確認した」と強調した。
「基本的な認識としてウクライナ情勢を巡りインドを含む4カ国の首脳で法の支配や、主権や領土の一体性などの諸原則の重要性を確認できた」と訴えた。
「立場の違いがあっても一致することができた。世界に一致したメッセージを発することができた意味は大変大きい」と述べた。インドがロシアと伝統的な友好関係を保ってきたことを念頭においた。
(地域諸国との協力) 首相は「地域の自然災害を効果的に支援するための4カ国の連携を強化するパートナーシップに合意した」と語った。4カ国が保有する衛星情報を地域諸国と共有する取り組みを立ち上げたと明かした。防災や気候変動対策、海洋資源の持続的な開発などに活用できると説明した。海洋状況の把握に向け、地域の情報共有を促進する枠組みの設置を歓迎したと明らかにした。債務問題に直面する途上国を支援すると確かめたとも表明した。
(北朝鮮問題) 4首脳は北朝鮮の完全な非核化に向けた連携で一致した。首相は北朝鮮でのコロナの感染拡大について「地理的空白をつくらないことについても議論した」と語った。北朝鮮による拉致問題の即時解決の必要性でも足並みをそろえた。
(IPEFについて) インド太平洋経済枠組み(IPEF)の意義に関し「米国やインドが参加しているのが大きなポイントだ」と言及。IPEFにより「インド太平洋地域の持続可能で包摂的な経済成長を実現する道を探っていきたい」とも述べた。米国の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加は引き続き求める考えを示した。
(日本のAUKUS参加の可能性) 米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」への参加の可能性を問われ「入ることは考えていない」と否定した。「インド太平洋地域の平和と安定に資するものであり日本としては取り組みを支持する」と説いた。また「安全保障、防衛分野での重要なパートナーである豪州、米国、英国との間で様々な形で連携を強化していく取り組みはこれからもしっかり続けていきたい」と力説した。
(太平洋島しょ国) 「豪州との間では太平洋島しょ国との関係も議論になった」と明かした。太平洋島しょ国に関し「自由で開かれたインド太平洋を実現する上で大変重要なパートナーだ」と表現した。「豪州をはじめ、米国、ニュージーランドといった同盟国・同志国と連携し、安全保障の分野を含め、太平洋島しょ国との協力についても、力強く進めたい」と語った。
(日豪協力) 「日豪は基本的な価値と戦略的利益を共有する特別な戦略的なパートナーだ。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて日豪間の安全保障、防衛協力を進めていくことは極めて重要だ」と指摘した。…豪州のアルバニージー首相との2国間会談を予定していると明かした。岸田首相は「安保、防衛分野を含めて日豪関係の一層の深化を確認したい」と話した。
(2023年の首脳会議) アルバニージー氏から来年のクアッドの首脳会議を豪州で開催するという提案があったと説明した。
この間、下記の番組を視聴した。(1)NHK国際報道2022「国連事務総長 モスクワで停戦働きかけへ」4月27日。 (2)BS世界のドキュメンタリー(選)「ポストコロナ 働き方の未来」(2)27日。 (3)NHK国際報道2022「侵攻8割支持 ロシアでいま何が」28日。 (4)NHK国際報道2022「上海外出制限から1ヵ月で広がる影響」29日。 (5)BS朝日 日曜スクープ プーチン氏「反撃は稲妻のように」米欧介入なら核使用示唆」30日。 (6)TⅤ朝日 朝までテレビ! 1987年4月スタートで35周年目「激論35年! 戦争と平和 ドーする!日本の針路」30日。 (7)ETV特集「ウクライナ危機 市民たちの30年」30日。 (8)日テレ 所さんの目がテン「所さんと隈研吾さんが語る里山の未来」5月1日。 (9)BS1グローバルアジェンダ「ウクライナ侵攻~国際社会は戦火を止められるか」1日。 (10)BS1スペシャル「市民が見た世界のコロナショック 3~4月分」1日。 (11)NHK総合「ウクライナ 家族の戦場」2日。 (12)BS6報道1930「ロシアが”負ける”日 <古い戦術>がアダに? 欧米供与兵器が圧倒か」2日。 (13)NHK国際報道2022「マリウポリからの避難は」2日。 (14)BS世界のドキュメンタリー「ゴルバチョフ 老政治家の”遺言”」3日。 (15)BS世界のドキュメンタリー「プーチンの道」3日。 (16)BS6報道1930「ウクライナ「強さ」の裏側、米英で変貌した情報機関と軍」3日。 (17)BS6報道1930「゛終末の日”の飛行機 戦勝パレードで登場か」5日。 (18)BS6報道1930「迫る5・9記念日 戦争宣言? それともいいプーチンの氏の決断は?」6日。 (19)BS5日曜スクープ <戦勝記念日>前日のロシア」8日。 (20)BS6報道1930「血塗られた戦勝記念日、プーチン氏、次の狙い」9日。 (21)NHK国際報道2022「ウクライナ・クレバト外相に聞く」10日。 (22)BS6報道1930「日本の新安保戦略は ”反撃能力”どこまで」11日。 (23)NHK国際報道2022「ウクライナ ドニプロの今」12日。 (24)BS6報道1930「沖縄・自衛隊基地の島、対中国<南西シフト>ミサイル部隊最前線」16日。(25)BS世界のドキュメンタリー「権力と闘う あるテレビ局の軌跡」17. (26)NHK国際報道2022「ウクライナ侵攻めぐり揺れる中国に人々」17。 (27)NHK総合「マリウポリ製鉄所の兵士投降で大きな節目に」17日。 (28)BS6報道1930「反撃のウクライナ軍 クリミヤ橋破壊の意味」17日。 (29)NHK国際報道2022「混迷深まるスリランカで医療にも深刻な影響」17日。 (30)BS6報道1930「ロシア侵攻が止まる日」18日。 (31)BS6報道1930「ロシアを止める力は…繰り返した外交の失敗」19日。 (32)NHK国際報道2022「ウクライナ侵攻 捕虜となった兵士はどうなる」20日。 (33)NHK総合ブラタモリ セレクション「横浜~横浜の秘密は”ハマ”にあり」20日。 (34)BS6報道1930「日韓訪問でバイデン氏 狙う”対中”新戦略」20日。 (35)週刊ワールドニュース(5月16日~20日)21日。 (36)NHK国際報道2022「オーストラリア総選挙の行方は~中国との関係が焦点に」21日。 (37)BS6報道1930「防衛費増額を表明へ 岸田・バイデン会談で」23日。 (38)NHK国際報道2022「ゼレンスキー大統領 単独インタビュー」25日。
【オースティン国防長官の発言】
4月25日夕方のAFP通信によれば、米国のロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官はアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官とともに24日に首都キーウを訪れた後、ポーランドで25日、ロシアを二度と侵攻できないよう<弱体化>させる必要があると述べるとともに、ウクライナは適切な装備があれば勝利を収められるとの認識を示した。
【ロシアは欧米の軍事支援に反発】
同じころNHKWebは、「国連事務総長がモスクワ訪問 ロシアは欧米の軍事支援に反発」の見出しで、「ロシアは欧米によるウクライナへの軍事支援に反発を強め、厳しい話し合いになる見通し」とし、「プーチン政権は来月9日、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した記念日に合わせて、マリウポリでロシア側による軍事パレードも計画する等、支配の既成事実化を加速させている。… 一方、首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したアメリカのオースティン国防長官は25日「ロシアがウクライナに侵攻して行ったようなことができなくなる程度まで弱体化することを望んでいる」と述べ、ウクライナへの軍事支援の継続を強調」と報じた。
【欧米側はウクライナに新たな軍事支援】
27日未明のNHKWebは、「ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で26日開かれた会合には、NATO=北大西洋条約機構の加盟国など40か国以上の関係者がオンラインも含めて参加した。
会合後、アメリカのオースティン国防長官が記者会見し、ドイツが自走式の対空砲をウクライナへ提供すると明らかにするなど、各国が相次いで新たな兵器の供与を打ちだしたことを歓迎するとしたうえで、「われわれにはむだにしている時間はない」と述べ、そのうえで「今日、すべてのリーダーはロシアの侵略と残虐行為と戦うウクライナを支援することをさらに決意したと思う」と述べた。
欧米側はウクライナ東部での大規模な攻防戦を見据え、アメリカが大口径の砲弾を大量に撃ち込むりゅう弾砲を供与するなど、ウクライナ側が求める攻撃力の高い兵器の供与を始めているが、ロシア側はこれに強く反発している。
マリウポリの民間人退避、5月1日に100名。グテーレス国連事務総長の功績と見られる。
【ウクライナ高官<5月末にも反転攻勢>】
5月2日の日経新聞【ウィーン=細川倫太郎】発で、「ウクライナ高官<5月末にも反転攻勢> 米欧軍事支援で」と題し、アレストビッチ大統領府長官顧問の単独インタビューを掲載、次のように報じた。
「ロシアの軍事侵攻について、米欧からの武器供与により「ウクライナ軍は5月末から6月半ばには攻勢に転じることができる」と述べた。ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日に向け猛攻撃に出るとの見方もあり、戦闘が一段と激しくなる恐れがある。
2月24日にウクライナに侵攻してきたロシア軍とは、近く東部ドンバス地方をめぐる「決定的な戦闘」(ゼレンスキー大統領)が始まるとみられている。アレストビッチ氏は5月半ば以降に米欧から戦車や長距離砲などが前線に届くと説明、「攻勢に移るための攻撃部隊を整えることができる」と指摘した。
これまでウクライナ軍は防衛に軸を置いてきたが、反転攻勢に出れば戦局は大きな転機になりそうだ。数多くの市民殺害が確認された首都キーウ近郊ブチャの惨事を挙げ、「ロシア軍が領内に一日でも長くとどまれば、それだけ大量殺人の犯罪が増える」と訴え、欧米に侵攻を止めるため武器支援を急ぐよう求めた。
ロシア軍についてはキーウ占領作戦などに失敗し、「すでに戦略的に敗北した。何一つ目標を達成できていない」と述べた。予備役の補充がなく、ソ連時代の旧式武器が多いロシア軍は多大な損失を被って弱体化していると主張した。」
【最先端半導体で日米技術協力】
同じ2日の日経新聞は、「日米、最先端半導体で技術協力 2ナノなど開発・量産」の見出しで、次のように報じた。
「日米両政府は最先端の半導体の供給網(サプライチェーン)構築で協力する。回路線幅が2ナノ(ナノは10億分の1)メートルより進んだ先端分野での協力や、中国を念頭に置いた技術流出防止の枠組みづくりなどで近く合意する。米中対立を背景に半導体は経済安全保障上の重要性が高まっている。台湾勢などに調達を依存する危機感から日米連携を強化する。
日本は半導体メーカーそのものの競争力は下がったが、半導体製造装置に加え、シリコンウエハーや回路形成に使うレジスト(感光剤)、半導体表面の研磨剤といった要素技術ではなお強みを持つ。
台湾積体電路製造(TSMC)が開発や量産準備で先行する2ナノ品は、米IBMも2021年に試作に成功した。日本では産業技術総合研究所(茨城県つくば市)で東京エレクトロンやキヤノンといった装置メーカーが先端ライン向けの製造技術を開発し、IBMなども参加している。
日米の技術や素材を生かし、安定して最先端の半導体を生産、調達できる体制を整える。
萩生田経済産業相が2日から訪米してレモンド商務長官と会談、半導体分野の協力推進に向けた文書を公表する。先端分野の実用化や量産を視野に入れた協力が柱で、現在の最先端より2世代先の<2ナノ品>以降の技術や、米インテルが持つ<チップレット>の手法が候補になる。」
【欧米のウクライナ軍事支援】
欧米のウクライナ支援、その実態 ポーランドが戦車200台。
アメリカは最初が30億ドル、ついで200億ドルを軍事目標に支援。
ウクライナ軍はトルコ製ドローンでロシア黒海艦隊の艦船を撃沈したのか。
【危ないロシアの中国従属】
6日の日経新聞は、「危ないロシアの中国従属 北朝鮮に劣らぬ核脅迫も」の見出しで、コメンテータ秋田浩之による次のような論考を掲載した。すこし長いが引用する。
「ウクライナへの侵略後、ロシアは西側諸国から重い制裁を浴び、経済の傷は深まっている。経済封鎖が長引けば、国の力は衰えていき、名実ともに大国の座から転落するだろう。米欧はそこまで追い込み、世界秩序を脅かす体力までもロシアから奪おうとしている。必ずしも誤った戦略ではない。そうでもしなければ、プーチン政権による侵略は止まらないだろう。ただ、この路線には大きな盲点もある。ロシアを弱体化した末に待っている世界がバラ色とは限らないという点。
米欧、アジアの要人や識者が集まり、4月25~27日、地政学上の課題を話し合う<レイジナ対話>がニューデリーで開かれた。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長や米政府高官らがロシアへの圧力強化を呼びかけ、開催国のインド側などに重ねて同調を迫った。
(自活できず、不安抱える巨熊)
ところが米欧の参加者らと話すと、別の本音も聞かれた。ざっくりいえば、次のような憂いだ。制裁でロシアは半導体や工作機械の供給を絶たれ、多くの外国企業が去った。このままいけば、ロシアは弱体化していく。そのとき地政学上、大きな危険や混乱をもたらす恐れもある……。
ロシアが窮すれば、経済の対中依存をさらに深めるだろう。事実上、中国に従属する国家に陥っていく可能性がある。両国はすでに、対等とはほど遠い力関係にある。ロシアの国内総生産(GDP)は中国の約10分の1にすぎず、米調査機関のOECによれば、輸出の約15%、輸入の約23%を中国に頼る。
ロシアが中国に従属する筋書きは、世界にとって決して望ましくない。ロシアはさらに凶暴になり、西側諸国への挑発に出る恐れが高まるからだ。ロシアを大きな熊に見立ててみよう。自活できず、不安を抱える巨熊は危ない。いつも周囲を警戒し、いら立ち、ちょっとしたことで暴れかねない。
ロシアが凶暴になれば、当時のブッシュ(第43代)政権が<悪の枢軸>と呼んだ北朝鮮やイラン、イラク(当時のフセイン政権)の比ではない。ロシアは大量の核ミサイルを抱え、サイバーの攻撃力も強い。外交上の影響力も侮れない。4月7日、人権理事会からロシアを追放する国連総会決議では、賛成93カ国に対し、棄権・反対が82カ国にのぼった。
長年、対ロ政策に携わる欧州の政府高官は語る。「中国に従属すれば、ロシアは大国の誇りを傷つけられ、劣等感にさいなまれる。そして、西側への被害妄想も深めるはずだ。反動として西側により好戦的になり、予測できない行動に出るリスクが高まる。…ロシアの中国への従属は、米中の大国競争にも大きな変化をもたらす。中国はユーラシア大陸の東側を影響下に置くことになる。中ロに挟まれた中央アジアや、アフガニスタンも、たちまち中国色に染まるだろう。」
(アジア安保への影響大きく)
地政学上の影響は軽視できない。英地政学の大家、マッキンダーは約1世紀前、中央アジア、アフガンをハートランドと呼んだ。ここを支配した国がユーラシア全体を押さえ、世界も支配すると予測した。…19~20世紀初頭、英国とロシアが覇を競ったのもこの地域である。米中に当てはめれば、世界の覇権争いで中国がさらに優位に立つということだ。
アジアだけとっても、安全保障への影響は大きい。例えば、中国は尖閣諸島や台湾などの問題で一層、ロシアに連帯を求めるようになるだろう。…プーチン政権はいままで尖閣諸島や台湾問題をめぐり、「中立な立場に努めてきた」(ロシア外交の専門家)。中国の紛争に巻き込まれ、米国や日本と戦う羽目になるのは嫌だからだ。…だが、中国に従属したロシアが、中立を保つ保証はない。尖閣や台湾海峡の紛争にロシア軍が直接介入することはないにしても、日米をかく乱するなど、中国を利する挙に出る危険が生まれる。日本の安保担当者は「アジア有事の際、ロシア軍の出方をより警戒せざるを得なくなった」と話す。
(個人独裁の色濃いプーチン氏)
ここまでは対外政策の話だが、国家のあり方に目を向けると、プーチン政権は北朝鮮に似てきている。むろん、金正恩(キム・ジョンウン)総書記ほどではないが、プーチン氏は個人独裁の色を濃くしている。…国家の安全保障を核戦力に頼る傾向も、北朝鮮と重なる。通常戦略では米国にかなわないため、核による脅しを連発する。北朝鮮と同じく、この傾向はさらに強まるだろう。
だからといって、侵略を続けるロシアに対し、西側諸国が手心を加えるべきだというわけでは全くない。短期的には最大限の制裁を科し、侵略を失敗に終わらせるべきなのは言うまでもない。
その一方でロシアの中国従属をできるだけ防ぐため、「プーチン後」に対ロ関係を再建できる余地を残しておくことも賢明だ。簡単ではないが、打てる手は皆無ではない。プーチン氏と距離を置く政治家とパイプを保つほか、放送やネットを通じ、ロシア国民に正しい情報を発信する努力を強めることも一案だろう。…プーチン政権を追い詰めることは必要だ。同時に将来、いまよりも暗い地政学図をもたらすことも防がなければならない。
【外国人観光客の入国再開】
同じ6日の日経新聞は、「外国人観光客、6月にも入国再開 まず団体客で政府検討 入国者数の上限引き上げ調整」の見出しで、次のように報じた。
「政府は6月をメドに外国人観光客の新規受け入れを再開する調整に入った。大型連休明け2週間ほどの新型コロナウイルスの感染状況を見極めて判断する。まずは旅行会社などが管理しやすい団体旅行から認める案がある。月内にも方針を決める。
入国者数の上限引き上げも調整する。一案として現在の1日1万人から当面2万人に枠を広げる方法などが浮上する。人数を限るなど一定の条件をつけながら米欧やアジアの観光客を受け入れ始め、新型コロナの感染対策と経済再生の両立を探る。新型コロナによる水際対策は段階的に緩和してきた。ビジネス目的などの外国人の新規入国は3月から受け入れ企業・団体の管理のもとで容認している。」
【<終末の日の飛行機>】
6日の[ロンドン ロイター]によれば、ロシアのプーチン大統領は、第2次世界大戦の対ナチス・ドイツ勝利を祝う5月9日の戦勝記念日に西側諸国に対し「終末の日」を示唆する警告を発すると見込まれている。
対独戦勝記念日では首都モスクワにある赤の広場でプーチン氏が演説する予定。その後、軍隊、戦車、ロケット、大陸間弾道ミサイルなどのパレードが実施される。
ロシア国防省によると、核搭載可能な戦略爆撃機「ツポレフ(TU)160」のほか、空中指揮機「イリューシン(IL)80」などが聖ワシリイ大聖堂の上空を飛行する見通し。IL80の飛行は2010年以降で初めて。IL80は核戦争勃発時に大統領らが乗り込むことから<終末の日の飛行機>と呼ばれる。
西側諸国はウクライナに侵攻したロシアに対し厳しい制裁措置を科しており、世界最大の核保有国であるロシアと米国の対立が激化する恐れが高まっている。
ロシアによるウクライナ侵攻では数千人が死亡、1000万人近くが避難を余儀なくされている。
【マリウポリから50人の民間人が避難】
7日晩のテレ朝ニュースによれば、「ロシア側の兵士たちが視線を送る中、赤十字のスタッフと共にバスに乗り込んでいくのは、マリウポリの市民たちです。6日、ロシア軍に包囲されているマリウポリの製鉄所から50人の民間人が避難したと発表されました。製鉄所内には、まだ、民間人およそ200人が残っているとみられ、避難は難航しています。一方、6日の避難者の半分が連れて来られたのは、製鉄所からロシア方面に約25km移動した街、ベジメンネ。ロシア軍が支配する地域で、現在は青いテントが張られています。そして、このベジメンネは、ロシア側が避難民を身体検査して“反ロシア派”を見つけ出す<選別キャンプ>がある、と指摘されている場所でもある。マリウポリの市長顧問は、この場所から約600m離れた学校が「選別キャンプ」になっているとして、内部映像を公開した。『これは洗面所です。350人が使える蛇口は1つしかありません』 衛生状態が悪いことに加え、ロシア側による「選別」をパスしても、施設を出られない人もいると言う。」
【バイデン氏が約200億円相当の追加軍事支援】
7日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕】によると、バイデン米政権は6日、ロシアが侵攻を続けるウクライナに1億5000万ドル(約200億円)相当の追加の軍事支援を決めたと発表した。長距離火砲の弾薬や対砲兵レーダー、電波妨害装置などを譲渡する。ロシア軍はウクライナ東部の制圧へ攻勢を強めており、同国の防衛態勢を拡充するための武器供与を継続する。
追加するのは4月中旬以降に提供するのを決めた長距離火砲である155ミリりゅう弾砲の弾薬。すでに18万発超の支援を決めており、新たに2万5000発を送って在庫切れを防ぐ。ロシア軍からの砲撃を探知するレーダーも加える。
ウクライナ東部地域は起伏が少ない開けた地形で、米欧は火砲や戦車による全面的な砲撃戦に備えた支援を急ぐ。ロシア軍の電波を妨害する装置もわたす。バイデン米大統領は6日の声明で「ウクライナがこの戦争の次の局面で成功するには米国を含む国際社会の仲間が団結し、絶え間なく武器供給する決意を示し続ける必要がある」と強調した。
バイデン氏は4月下旬、ウクライナを軍事・経済の面で支援するため、2022会計年度(21年10月~22年9月)に計330億ドルの追加予算を計上するよう議会に要請。軍事支援として204億ドルを求めている。6日の声明で安全保障支援について「大統領権限で使える予算はほぼ使い果たした」と訴え、速やかな承認を要請した。
2月24日にロシアが侵攻して以来、米国が決めたウクライナへの軍事支援は6日の発表分を含め38億ドルに達する。ウクライナの2020年国防費の6割超にあたる規模になる。
【5月9日の対独戦勝記念日式典】
7日、モスクワで5月9日の対独戦勝記念日式典のリハーサルが行われ、空の軍事パレードでイリューシン80(核戦争となったときに大統領が搭乗して指揮にあたる)がお目見えした。
9日10時(日本時間4時)からモスクワで対独戦勝記念日の式典が始まり、プーチン大統領の演説があった。この記念日に新たに何を言うかが注目されていた。現在のウクライナ侵攻を<特別軍事作戦>と呼び2か月半になるが、これを改めて<戦争宣言>を出すことにより兵員確保を要医にするのではないかとの憶測があった。
読売新聞によれば、「ロシアのプーチン大統領は9日、第2次世界大戦での旧ソ連による対独戦勝記念日にあわせ、モスクワ<赤の広場>で演説した。プーチン氏は、ロシアのウクライナ侵攻は「時宜にかなった正しい決断だった」と述べ、正当性を強調。演説ではウクライナ侵攻での<戦果>を誇示せず、軍事作戦の今後の見通しについて言及しなかった。露軍に想定以上の犠牲者が出ており、軍事作戦も思うように進んでいない戦況が関係している可能性がある。プーチン氏はウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)を<解放>する名目で派兵されている露軍兵士に関し「祖国のために戦っている」と奮闘をたたえ、軍事作戦を継続する意向を示した。
9日の日経新聞によれば、「ロシアのプーチン大統領は9日、第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日にあわせてモスクワで演説し、ウクライナ侵攻について「唯一の正しい決定だった」と述べた。北大西洋条約機構(NATO)がロシアに脅威を与えていたとの一方的な主張を改めて展開し、侵攻を正当化した。モスクワの「赤の広場」で開かれた軍事パレードに出席し演説した。第2次世界大戦でのソ連のナチス・ドイツへの勝利と、今回の侵攻を重ね合わせて語り、ウクライナ東部のロシア兵らが「祖国や未来のために戦っている」と主張した。一部地域の制圧など具体的な<戦果>については言及を避けた。
プーチン氏は「NATOは我々の話を聞こうとしなかった」と述べ、ロシアとの対話を拒否した米欧に責任があると強調した。NATOによるウクライナへの軍事支援も非難した。「ネオナチとの衝突は避けられなかった」と強弁し、ウクライナ政権とナチスを同一視する根拠のない持論を繰り返した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日のビデオ演説で、プーチン氏を念頭に「ナチスのしたことを全てまねている」と非難した。パレードにはウクライナに派遣されていた兵士も参加したという。
【岸田首相、G7首脳とのオンライン会議】
9日の日経新聞によれば、岸田首相は9日未明、主要7カ国(G7)首脳とのオンラインでの協議に参加し、ロシア産石油を原則禁輸にする措置をとると表明した。同日午前、首相官邸で記者団にロシアでの資源開発事業サハリン1、2に関し権益を維持すると強調した。オンライン協議ではウクライナへの2億ドル(約260億円)の人道支援が支払い済みだと明かし、G7が連携してウクライナへの支援を続けると訴えた。「ロシアの侵略こそが世界経済の混乱の原因だ」と主張した。
同日午前、記者団に「石油輸入はエネルギーの長期かつ安価な安定供給に貢献している」と述べた。「国民生活や事業活動への悪影響を最小化する方法で時間をかけてフェーズアウトのステップをとっていく」と説明した。「石油輸入の削減や停止時期などについては今後実態を踏まえ検討していく」と指摘した。
代替のエネルギーに関し「原子力発電所の再稼働は安全を最優先しながら進めていく」と力説した。日本の政府や企業がロシアで石油や天然ガスを採掘する資源開発事業サハリン1、2を巡り「権益は維持する方針は変わりはない」と言明した。ロシアが第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を9日に迎えたことについて「国際秩序の揺らぎが懸念されているなかで国際社会の結束が大事だ」とし、「結束し強い制裁措置を科すこと、ウクライナへの支援の重要性を改めて感じている」と話した。
【林外相、尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の就任式へ】
9日の毎日新聞によれば、林芳正外相は9日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の就任式に出席するため韓国を訪問した。同日夜、次期政権の外相候補、朴振(パク・チン)氏と会談する。日韓関係改善に向け対話を続けることを確認する見通しだ。林氏は10日の就任式に、岸田首相の特使として出席する。尹氏を表敬し、岸田首相の親書を手渡す予定。外相の韓国訪問は2018年6月の河野太郎氏以来。
岸田首相は9日、林氏を派遣した狙いについて、ウクライナ情勢などを念頭に「国際秩序の根幹が揺らぎかねない事態を前に、改めて日韓、日米韓の協力の重要性を強く感じている」と説明。「日韓の間には難しい問題が存在するが、このまま放置することはできない」と述べ、関係改善に意欲を示した。韓国側は4月下旬、日本に「政策協議代表団」を派遣。代表団は岸田首相と面会し、尹氏の親書を手渡していた。
【カナダのトルドー首相がキーウで語る】
9日の[キーウ ロイター] によれば、ウクライナの首都キーウを電撃訪問したカナダのトルドー首相は8日、ロイターとのインタビューに応じ、「ウクライナ戦争でロシアのプーチン大統領を敗北させるため、世界は全力を尽くすと発言、数年にわたってロシアを制裁下に置く」と述べた。
また首相は「西側がプーチンの行為に断固として反対する決意であることを彼は理解する必要がある」とし、「ウクライナにさらに侵攻するための違法な戦争、状況のエスカレート、一線を超えた行為は、われわれが世界として彼の敗北を確実にするため、全力を尽くすことを意味する」と発言。「彼は市民に対する残虐行為を行っている。勝てると考えていたからそのようなことをしているが、敗北するしかない」と述べた。」
【岸田首相、ロシア産石油を原則禁輸】
9日の日経新聞は、岸田首相が9日未明、主要7カ国(G7)首脳とのオンラインでの協議に参加し、ロシア産石油を原則禁輸にする措置をとると表明した。同日午前、首相官邸で記者団にロシアでの資源開発事業サハリン1、2に関し権益を維持すると強調した。
オンライン協議ではウクライナへの2億ドル(約260億円)の人道支援が支払い済みだと明かし、G7が連携してウクライナへの支援を続けると訴えた。「ロシアの侵略こそが世界経済の混乱の原因だ」と主張した。
同日午前、記者団に「石油輸入はエネルギーの長期かつ安価な安定供給に貢献している」と述べた。「国民生活や事業活動への悪影響を最小化する方法で時間をかけてフェーズアウトのステップをとっていく」と説明、また「石油輸入の削減や停止時期などについては今後実態を踏まえ検討していく」と指摘した。
代替のエネルギーに関し「原子力発電所の再稼働は安全を最優先しながら進めていく」と力説した。日本の政府や企業がロシアで石油や天然ガスを採掘する資源開発事業サハリン1、2を巡り「権益は維持する方針は変わりはない」と言明した。
ロシアが第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を9日に迎えたことについて「国際秩序の揺らぎが懸念されているなかで国際社会の結束が大事だ」と語った。「結束し強い制裁措置を科すこと、ウクライナへの支援の重要性を改めて感じている」と話した。
【バイデン大統領、<武器貸与法>に署名】
10日夕方のNHKによれば、アメリカで、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナなどに対して軍事物資を迅速に貸与することを可能にする法律<レンドリース法=武器貸与法>が成立した。バイデン大統領が9日、ホワイトハウスで署名し、法律が成立した。
バイデン大統領は「ウクライナへの支援は今が極めて重要なときだ」と述べて、支援を加速させていく考えを示した。
ウクライナを支援するための<レンドリース法=武器貸与法>は、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナや近隣の東欧諸国に対して、来年9月末までの間、軍事物資を貸与するための手続きを簡略化し、迅速に提供することを可能にするもの。
バイデン氏は署名前に「戦いの代償は安くはない。しかし攻撃に屈服することの代償はもっと大きい」と指摘し、ウクライナ支援の意義を語った。「民主主義や人権、不一致の平和的解決に根ざした将来への永続的な関与を再確認するため、この法律に署名する」と強調した。
【中国の元ウクライナ大使、ロシアの敗北は必至と発言】
11日のテレ朝は、次のように報じた。「2005年から2007年までウクライナで大使を務めた高玉生氏は、北京で開催された政府系シンクタンクのシンポジウムに出席、ウクライナ情勢に触れて「ロシアの敗北は時間の問題だ」と指摘、また、今後についても「プーチン大統領の下でのロシアの復興はあり得ない」との見方を示し「ロシアの衰退は各分野に現れている」と強調した。
ただ、ウクライナ侵攻を巡って習近平政権はロシア寄りの姿勢を取り続けていて、政府方針とは異なる高元大使の発言は中国のSNS上から次々と削除されている。」
【トヨタ自動車の営業利益が36%増で過去最高】
11日の日経新聞によれば、「トヨタ自動車が11日発表した2022年3月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前の期比36%増の2兆9956億円だった。16年3月期の2兆8539億円(当時は米国会計基準)を上回り、6年ぶりに最高を更新した。トヨタ自身の記録を塗り替え、国内企業で過去最高となった。」
【経済安保法が成立】
11日の日経新聞によれば、岸田政権が看板政策に掲げる経済安全保障推進法が11日の参院本会議で可決、成立した。半導体など戦略的に重要性が増す物資で供給網を強化し、基幹インフラの防護に取り組む体制を整える。2023年から段階的に施行する。…
経済安保法は①供給網の構築②基幹インフラの安全確保③先端技術の官民研究④特許の非公開――の4本柱で構成する。
戦略物資の調達を海外に依存するリスクを減らす。国が半導体、レアアース(希土類)などの重要鉱物、蓄電池、医薬品などを「特定重要物資」に指定する。対象物資はこれから政省令で定め関連産業向けの財政支援は厚くする。…供給の滞りを避けるため、企業の原材料の調達先や在庫を調査する権限を国が持つ。公的な支援を受けている場合、調査を拒めば罰則を科す。
基幹インフラに安保上の脅威となる外国製品が入らないための仕組みもつくる。電気や金融、鉄道など14業種を指定し、事業者は管理システムの概要や仕入れ先、部品の詳細について事前に国に報告する義務を負う。
サイバー攻撃によるシステム障害や情報流出のリスクを審査する。必要があれば設備の変更を勧告、命令する。米政府が使用を禁じる中国の華為技術(ファーウェイ)製品などを念頭に置く。
人工知能(AI)や量子といった各国が開発競争する先端技術を巡っては、官民で研究・開発する環境を整える。テーマごとの官民協議会の設置を促し、企業や大学への資金支援をする。高度な研究を進めるため、政府の機密情報を守秘義務を課して提供する。
核兵器の開発につながるウラン濃縮技術など軍事転用の恐れがある技術の特許は非公開にする。年間30万件ほどある特許出願のうち数件程度の認定を見込む。防衛省などの担当者が審査する。虚偽の届け出や情報漏えいには最大で「懲役2年以下」の罰則を科す。
公布後2年間で段階的に施行する。まず供給網強化と先端技術の官民協力を公布後9カ月以内に始める。施行は23年からになる。次に基幹インフラの安全確保、最後に特許の非公開を始める予定で24年を想定する。
【2021年度の国際収支統計、22.3%減少】
12日の日経新聞は、「財務省が12日発表した2021年度の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支の黒字は12兆6442億円と、20年度から22.3%減少した。黒字幅の縮小は4年連続。原油などエネルギー価格が高騰し、貿易収支が1兆6507億円の赤字となったことが響いた。貿易収支の赤字は14年度以来、7年ぶり。」
【スバルがEV工場を群馬に】
12日の日経新聞によれば、SUBARU(スバル)は12日、国内で電気自動車(EV)の工場を新設すると発表した。2027年以降の稼働を目指す。国内でEV工場の新設計画が明らかになるのは初めて。スバルは他社に比べてガソリン車の比率が高く、電動車シフトは遅れている。主力の米国市場ではEV化が急速に進む見通しで、工場新設でEVの生産能力を一気に引き上げる。世界的なEVシフトの波が中堅規模の日本車メーカーにも及んできた。
立地は群馬県の大泉工場(群馬県大泉町)を想定している。新工場建設と併せて、既存工場でもEV生産に向けた改修を進める。総投資額は2500億円を見込む。新工場では当初、年数万台規模で生産を始めるもようだ。
【フィンランドがNATO加盟を申請】
12日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄】によれば、「フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は12日、共同で声明を発表し「フィンランドは速やかに北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請しなければならない」と表明した。ウクライナ侵攻を受けて長年維持してきた軍事的な中立政策を転換する。ロシアは反発しており、新たな東西対立の構図も鮮明になる。深刻化する米中対立を含め、世界の安全保障体制は転換期を迎える。」
【北朝鮮が短距離弾道ミサイル3発を発射】
12日の日経新聞【ソウル=甲原潤之介】によれば、韓国軍合同参謀本部は12日、北朝鮮が同日午後6時29分ごろ平壌近郊の順安(スナン)から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射したと発表した。
岸防衛相も同日、防衛省で記者団に3発の弾道ミサイルが発射されたと公表した。最高高度は100キロメートル程度、通常の弾道軌道なら350キロメートルほど飛んだと分析した。日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したと推定されるとも説明した。
日本の防衛省によると北朝鮮によるミサイル発射は2022年に入って半年たたないうちに15回目になった。これまでの年間最多ペースと言える。岸氏は一度に3発以上を撃ったのは17年3月の4発以来だと話した。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が10日に就任してから初めて。5月は4日に弾道ミサイル、7日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射している。
【北朝鮮全域で発熱者が急増】
13日の日経新聞【ソウル=甲原潤之介】によると、北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、北朝鮮全域で発熱者が急増していると報じた。12日の1日間で1万8000人あまりの発熱者が発生し、現時点で18万7800人を隔離して治療中だと伝えた。新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がった可能性がある。
4月末から「原因不明の熱病」が急拡大し、発熱者の累計は35万人に達したという。北朝鮮の人口2500万人の1%を超す。16万2200人は完治した。6人が死亡し、うち1人は新型コロナの「オミクロン型」の派生型「BA.2」の感染者と確定した。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記は12日、感染対策の司令部を訪れ「私たちが構築した防疫態勢にも弱点があった」と述べた。全域で都市を封鎖し、首都平壌を中心に感染を抑え込むよう指示した。「発熱者を隔離し、責任もって治療し、感染を遮断することが急務だ」と強調した。
北朝鮮は12日、新型コロナの感染者を確認したと初めて公表した。発熱者から8日に採取した検体を分析し、判明したとしている。金正恩氏は12日の朝鮮労働党の政治局会議にマスクを着用して登場した。
北朝鮮は2020年に新型コロナの流入を防ぐため中国との境界を封鎖した。12日の発表まで感染者は1人も出ていないとしていた。22年1月に中国との貨物列車の運行を再開したものの、4月に再び停止した。
【中国のロックダウンが米アップルを直撃】
13日の日経新聞【台北=中村裕、龍元秀明】によると、「中国が新型コロナウイルスの感染防止対策で講じた都市封鎖(ロックダウン)の影響が、米アップルの経営を直撃している。製品の大半が台湾企業の中国工場で生産されるためだ。4月からの工場停止で既に新製品の出荷が2カ月遅れる影響が出始めた。アップルは4~6月期に最大1兆円の減収影響を見込む。当局の規制は長引いており、中国経済を含めて影響が一段と広がる可能性がある。
世界で販売されるアップル製品は現在、9割以上が中国で生産されている。生産委託先も限られ、台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)企業が大半を請け負う。具体的には、鴻海(ホンハイ)精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)、仁宝電脳工業(コンパル)、広達電脳(クアンタ)、緯創資通(ウィストロン)の台湾企業5社だ。
このわずか5社が、全世界で販売されるアップルの主力製品のスマートフォンiPhone、タブレット端末のiPad(アイパッド)、ノートPCのMacBook(マックブック)を毎年ほぼ全量受注し、大半を中国工場で生産する。5社合計の中国での年間売上高は30兆円を超え、雇用は100万人規模になる。
5社が生産する中国の地域も限られている。最大拠点が中国内陸部、河南省の鄭州。次に生産が集中するのが沿岸部の上海・昆山と深圳。この3地域だけで、世界のアップル製品の約8割が生産されているのが現状だ。そのため、5社が工場を持つ中国3地域で問題が起きれば、アップル製品の世界出荷に直ちに影響が出る構図になっている。
今回、その3カ所全てで中国当局によるロックダウン措置が順次襲い、<アップルの生命線>が突かれた。特に深刻なのは上海・昆山地区。上海でのロックダウンは3月末から既に40日間以上が経過したが、いまだ全面解除の見通しは立たず、アップル製品の出荷を直撃している。
【米ロシア国防相が初の電話協議】
14日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕】は、「米ロシア国防相が電話協議 ウクライナ侵攻後初めて米高官「いい兆候」 これまでロシアが拒否」の見出しで次のように報じた。
「オースティン米国防長官は13日、ロシアのショイグ国防相と電話で1時間ほど協議した。米国防総省によると、オースティン氏はウクライナでの即時停戦を要求し、米ロの国防当局で意思疎通を維持する重要性を強調した。
両氏が話し合うのは2月18日以来で、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降初めてとなる。電話はオースティン氏が要請した。国防総省高官は13日、記者団に「ロシアがこのつながりを持ったことは良い兆候であり、オースティン氏はこれからも連絡を取り続けるよう望んでいる」と述べた。
ロシアの侵攻開始後、米国とロシア両政府の国防・軍トップの対話は途絶えていた。オースティン氏がショイグ氏に、ミリー米統合参謀本部議長がロシア軍のゲラシモフ参謀総長に何度も協議を呼びかけてきたものの、いずれもロシアが拒んできた経緯がある。
米ロは3月上旬、現場レベルでやりとりする<衝突回避(デコンフリクション)ライン>を設けた。両軍の日常の任務が偶発的な対立にならないよう避けるための措置で、米国はドイツに置く欧州司令部に設置した。」
【ロシア軍の戦争犯罪を裁く初の事例】
同じ14日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄、イスタンブール=木寺もも子】によると、ウクライナの首都キーウで13日、同国の民間人を殺害したとしてロシア兵、ワディム・シシマリン被告の初公判が開かれた。ウクライナに侵攻したロシア軍の戦争犯罪を裁く初の事例。有罪なら終身刑の可能性がある。
21歳のシシマリン被告は2月28日、ウクライナ北東部で車内から非武装の民間人男性に発砲し殺害した罪を問われている。自ら投降し罪を認めているという。次回の公判は18日に予定する。同国の検察当局はロシア軍による大規模な戦争犯罪について捜査しており、容疑者特定を進めている。
【<人的資本>の情報開示へ】
同じ14日の日経新聞は、「スキル、女性登用…「人的資本」の情報開示へ 政府指針」の見出しで次のように報じた。
「政府は今夏にも企業に対し、従業員の育成状況や多様性の確保といった人材への投資にかかわる19項目の経営情報を開示するよう求める。企業が従業員について価値を生み出す「人的資本」と捉えて適切に投資しているかを投資家が判断できるようにする。うち一部は2023年度にも有価証券報告書に記載することを義務付ける。開示を通じて人材への投資を促すことで無形資産を積み上げ、日本企業の成長力を高める。
従業員を投資の対象である人的資本と位置づける考え方は企業経営で広がっている。製造ラインでの作業などが多かった時代は、人件費をコストと捉える傾向があった。
今は経済のデジタル化が進み、従業員が生むアイデアが企業に利益をもたらす。企業が人材にどう投資しているかは、財務諸表の数値だけでは読み取れず開示機運が高まっている。政府の要請を受け、統合報告書などに人的資本に関わる記述を盛り込む企業が増えると見込まれる。
内閣官房は今夏にも、人的資本への投資を企業がどのように開示すべきかの指針を作る。6月中にまとめる骨子案では、投資家に伝えるべき情報を19項目に分けて整理する。主な項目は従業員のスキル向上などの人材育成や多様な背景を持つ人材の採用状況などである。」
【沖縄の本土復帰50年】
15日夕方のNHKは次のように報じた。
「沖縄が本土に復帰してから15日で50年を迎えました。沖縄では政府と沖縄県が共同で記念式典を開催し、岸田総理大臣が基地負担の軽減に全力で取り組むことを強調した一方、玉城知事は政府に対し、平和で豊かな沖縄の実現に向けて取り組むよう求めました。
沖縄の本土復帰50年を記念する式典は、政府と沖縄県が共同で沖縄県宜野湾市と東京 港区の2つの会場をオンラインで結んで同時に開催され、沖縄の会場には岸田総理大臣や玉城知事など合わせて781人が出席しました。
また、天皇皇后両陛下もお住まいの御所からオンラインで出席されました。
式典では、沖縄県の出身で、全盲のテノール歌手として知られる新垣勉さんが国歌を独唱しました。
このあと、岸田総理大臣は、沖縄が本土復帰50年を迎えたことについて「戦争によって失われた領土を外交交渉で回復したことは史上まれなことであり、日米両国の友好と信頼により可能となったものである。この50年、沖縄は着実に発展の歩みを進め、政府はその歩みを後押ししてきた。本日、沖縄の歩んだ歴史に改めて思いをいたし、沖縄県民のひたむきな努力に深甚なる敬意を表したい」と述べた。
一方、沖縄のアメリカ軍基地について「復帰から50年がたつ今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を担っていただいている。政府として、重く受け止め、引き続き基地負担の軽減に全力で取り組んでいく」と述べた。
再来年度以降に返還が予定されているアメリカ軍キャンプ瑞慶覧の「ロウワー・プラザ住宅地区」について返還に先立ち、緑地公園として利用できるよう、近く日米両政府で合意する見通しだとして、来年度中の利用開始に向けて必要な準備を進める考えを示し「これからも日米同盟の抑止力を維持しながら基地負担軽減の目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げていく」と述べた。
さらに「復帰から50年という大きな節目を迎えた今日、沖縄がアジア太平洋地域に、そして世界に力強く羽ばたいていく新たな時代の幕が開けたことを感じている。復帰から今日に至る沖縄県民のたゆまぬ努力と先人たちの尽力に改めて敬意を表するとともに世界の平和と沖縄のさらなる発展を祈念する」と述べた。
一方、玉城知事は、この50年の沖縄の歩みについて「1972年からの5次にわたる沖縄振興計画等により、社会基盤の整備等によって本土との格差は縮小され、社会経済は着実に進展した。しかしながら、1人当たり県民所得は全国平均の水準に達しておらず、自立型経済の構築はなお道半ばにあるとともに、子どもの貧困や離島における不利性、ぜい弱な産業構造など依然として克服すべき多くの課題が残されている」と述べた。
そして、沖縄のアメリカ軍基地をめぐり「復帰から50年たった現在も、わが国の国土面積の0.6%にすぎない沖縄県に全国の在日アメリカ軍専用施設面積の70.3%が集中し、アメリカ軍人・軍属による事件・事故、騒音、環境汚染等、県民は過重な基地負担を強いられ続けている」と指摘した。
そのうえで政府に対し、沖縄の本土復帰の意義と重要性について国民全体の認識の共有を図るとともにすべての県民が真に幸福を実感できる平和で豊かな沖縄の実現に向けて取り組むよう求めた。
天皇陛下は「先の大戦で悲惨な地上戦の舞台となり、戦後も約27年間にわたり日本国の施政下から外れた沖縄は、日米両国の友好と信頼に基づき、50年前の今日、本土への復帰を果たしました。大戦で多くの尊い命が失われた沖縄において、人々は『ぬちどぅたから』(命こそ宝)の思いを深められたと伺っていますが、その後も苦難の道を歩んできた沖縄の人々の歴史に思いを致しつつ、この式典に臨むことに深い感慨を覚えます」と、おことばを述べられた。
そのうえで「沖縄には、今なお、さまざまな課題が残されています。今後、若い世代を含め、広く国民の沖縄に対する理解がさらに深まることを希望するとともに、今後とも、これまでの人々の思いと努力が確実に受け継がれ、豊かな未来が沖縄に築かれることを心から願っています」と述べられた。
【マリウポリの守備部隊は戦闘任務終了を表明】
17日の日経新聞【ロンドン=佐竹実】によれば、ウクライナ軍参謀本部は17日の声明で「南東部マリウポリの守備部隊は戦闘任務を果たした」と表明した。製鉄所に立てこもっていた負傷兵ら260人超が親ロシア派の支配地域に運ばれた。製鉄所の戦闘が終わったことでロシア側がマリウポリを完全に制圧する可能性があり、2カ月超に及んだ攻防は転機を迎えた。
港湾都市のマリウポリは戦略的な要衝で、アゾフスターリ製鉄所を除いてロシア軍がほぼ制圧している。製鉄所に避難していた民間人は国連と赤十字国際委員会(ICRC)の支援ですでに退避し、ウクライナ内務省系軍事組織「アゾフ連隊」が立てこもり徹底抗戦していた。ウクライナ軍参謀本部によると16日に重傷者53人を含む264人の兵士が退避し、ロシア軍や親ロシア派勢力が支配する地域の医療施設などへ運ばれた。退避した兵士はロシア軍の捕虜と交換する予定という。製鉄所には兵士が残っており、ロイター通信によると17日もバスで退避が続いた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日「ウクライナ軍、交渉団、国連やICRCのおかげで仲間の命が救える望みがある。ウクライナの英雄が生きている必要があることを強調したい」と述べた。ウクライナ側は敗北を認めていないが、ロシア国防省報道官は17日「アゾフスターリに立てこもっていたウクライナ兵265人が投降し、捕虜になった」と述べた。ロシアのペスコフ大統領報道官は17日「プーチン大統領は(投降するウクライナ兵に関し)国際法に従って取り扱うと保証している」と述べた。
【アゾフ大隊の副司令官は作戦継続中を表明】
20日の読売新聞【キーウ(キエフ)=笹子美奈子、ワシントン=蒔田一彦】によると、ウクライナ兵の退避が続く南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所で、ロシア軍への抗戦を続けてきたウクライナの武装組織アゾフ大隊の副司令官は19日夜、SNSでビデオ声明を配信し、「自身や他の司令官は製鉄所内にいる。作戦は継続中だが、詳細は明らかにしない」と述べた。籠城を続ける考えを示したとみられる。…また、ウクライナ軍参謀本部は19日、東部ハルキウ州で、反撃を表明した今月5日以降に奪還した集落は23か所に上ると説明した。
【米議会上院、ウクライナへ約400億ドルを可決】
20日の日経新聞【ワシントン=鳳山太成】によると、米議会上院は19日、ウクライナを支援するため2022会計年度(21年10月~22年9月)に約400億ドル(約5兆2000億円)を投じる追加予算案を可決した。下院は可決済みで、バイデン大統領の署名で成立する。防衛に必要な軍事品や食糧などを提供する。…上院(定数100)が賛成86、反対11の超党派で可決した。3月に成立した22年度の本予算には136億ドルを計上しており、米国の支援予算は合計で500億ドルを超える。
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化している。バイデン政権は議会に割り当てられた予算の範囲内で武器などをウクライナに供与してきた。残りの予算が減っていたが、議会が追加で手当てしたことで、政権は今後も軍事支援を続けられるようになる。…60億ドルを投じてウクライナ軍に武器や設備などを供与する。同国に送る軍事品の在庫を補充する予算として87億ドルを計上した。
【バイデン米大統領、半導体供給網で韓国重視】
20日の朝日新聞デジタルは、「バイデン米大統領、半導体供給網で韓国重視 サムスン電子工場を視察」の見出しで、次のように報じた。
「バイデン氏は20日夕、(大統領就任後初の訪韓で到着後に)ソウル近郊の京畿道平沢にあるサムスン電子の半導体工場を、尹氏とともに視察した。敷地面積はサッカー場約400個分に匹敵する289万平方メートルあり、次世代メモリーなどを生産する。バイデン氏は「この工場は米韓両国が築く未来の協力と技術革新を象徴している」と指摘。世界的な半導体不足やロシアのウクライナ侵攻をうけ、半導体のサプライチェーン(供給網)を強化する重要性は増していると強調した。「我々の経済や安全保障は、価値観の異なる国に依存しない」とも述べ、同じ民主主義の価値観をもつ同盟国・友好国同士で協力する重要性を指摘した。
世界の半導体の受託生産は首位の台湾が66%のシェアを占める。ただ、中国と緊張関係にある台湾に半導体生産が集中しすぎているリスクもあり、2位の韓国の重要性は高まっている。」
【世界の地域別半導体生産能力】
2020年6月29日の半導体市場動向調査会社の米IC Insigts調べによれば、「世界の地域別半導体生産能力、1位は台湾、日本は3位」は次のように言う。
ここで語られる当該国・地域の半導体生産能力とは、本社の所在国ではなく、実際に、その国・地域に存在するファブの生産能力を示すもので、例えばSamsung Electronicsが米テキサス州オースチンに保有するファブの生産能力は米国分として集計されている。
2019年12月時点で、世界の半導体生産能力は1951万枚/月(200mmウェハ換算)である。もっとも半導体生産能力が高い国・地域はTSMC擁する台湾で、全世界の生産能力の約22%を占めている。2位は、シェア20.6%の韓国。台湾は、2011年に日本を追い抜いた後、2015年に韓国を抜いて世界一を維持してきた。3位はシェア16%で日本。4位はシェア14%の中国で、2010年に初めてヨーロッパを抜き、2016年にROW(Rest of the World:その他の国々)を抜き、そして2019年には北米を抜くなど、破竹の勢いで生産能力を伸ばしている。5位は中国に抜かれた北米で6位が欧州となっている。また、ROW(その他の国々)は、主にシンガポール、イスラエル、マレーシアであるが、ロシア、ベラルーシ、オーストラリアなどの国々も含まれる。
【バイデン大統領の来日】
22日午後、バイデン米大統領は就任後初めて来日、2021年1月に就任後、アジアを訪問するのは初めて。日本に先立ち20~22日に訪れていた韓国を離れ、米大統領専用機で米軍横田基地に到着した。出迎えた林芳正外務大臣やエマニュエル駐日米大使、在日米軍幹部らと10分ほど懇談した。その後、大統領専用ヘリコプターに乗り換えて都心に向かった。
ロシアによるウクライナ侵攻が続くさなかの日韓訪問で、米国がインド太平洋地域に関与する姿勢を明確にする。
23日午前に天皇陛下と会見、同日午後には北朝鮮による日本人拉致被害者の家族と面会し、米国が主導する新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」のイベントに臨む。
IPEFの立ち上げを踏まえ、地域で台頭する中国に安全保障面だけでなく経済面でも対抗する足場にする。
ついで24日、日米とオーストラリア、インドの4カ国でつくる「Quad(クアッド)」首脳会議に出席する。同会議の対面開催は21年9月の米国に続き2回目になる。バイデン氏は24日夕に帰国の途につく予定。
【日米首脳共同声明の要旨】
23日晩の日経新聞によれば、日米首脳共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化」は、政府が発表した日米首脳の共同声明の要旨によれば次の通り。新たに( )に通番を付した。
(1)国際秩序の当面の最大の脅威は、ロシアによるウクライナに対する残虐でいわれのない不当な侵略であるとの見解で一致した。ロシアの行動を非難し、ロシアがその残虐行為の責任を負うことを求めた。
(2)ウクライナの主権および領土一体性に対する支持を改めて確認。
(3)自由で開かれたインド太平洋地域という共通のビジョンを推進するために行動することにコミットした。バイデン米大統領はこの地域への米国の揺るぎないコミットメントを強調。
(4)中国に国際社会とともに、ウクライナにおけるロシアの行動を明確に非難するよう求めた。中国による核能力の増強に留意し、中国に核リスクを低減し、透明性を高め核軍縮を進展させるアレンジメントに貢献するよう要請。
(5)地域の懸念の声に応じることなく、不透明な形で締結された最近の中国とソロモン諸島との間の安全保障協定に懸念を表明。
(6)首脳レベルを含む中国との率直な意思疎通の重要性を強調し、共通の利益を有する分野において可能な場合に中国と協力する意思を表明。
(7)韓国の新政権発足を歓迎し、安全保障関係を含む日本、米国および韓国の間の緊密な関係および協力の決定的な重要性を強調。
(8)日本周辺におけるロシア軍の活動の活発化に懸念を表明する。軍事面における中ロ間の協力に引き続き注意を払っていくことにコミット。
(9)同盟の抑止力および対処力を強化することへのコミットメントを新たにした。
(10)バイデン氏は核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた、日米安全保障条約の下での日本の防衛への米国のコミットメントを改めて表明。
(11)米国の拡大抑止が信頼でき強靱(きょうじん)なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認。
(12)バイデン氏は日米安全保障条約第5条が(沖縄県の)尖閣諸島に適用されることを改めて確認し、両首脳は尖閣諸島に対する日本の長きにわたる施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを改めて表明。
(13)サイバーおよび宇宙領域並びに新興技術の分野における協力を加速させることを決定。
(14)日米両国が重要技術を保護・育成し、それぞれの競争優位を支援し、並びにサプライチェーンの強靱性を確保するために協力していくことを確認。
(15)次世代半導体の開発を検討するための共同タスクフォースを設立すること、経済安全保障を強化するためのさらなる協力を追求していくことで一致。
(16)主要7カ国(G7)および地域のパートナーと協力し世界のインフラ需要を満たすための取り組みをより一層推進していくことを確認。
(17)20カ国・地域(G20)の「共通枠組み」の下で、債務の持続可能性および透明性を促進することの重要性を改めて表明した。主要な債権国に対する国際的に認知されたルールおよびスタンダードの重要性を改めて表明。
(18)原子力の重要性を認識した。強靱な原子力サプライチェーンを構築するために協力することで一致。
(19)「核兵器のない世界」に向けて協働する意思を改めて確認した。国際的な核不拡散・軍縮体制の礎石として核拡散防止条約(NPT)を強化することへのコミットメントを確認。
【クアッド開催でインド・オーストラリア首相が来日】
24日の日経新聞によれば、日米豪印の4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」は24日午前、首相官邸で首脳会議を開いた。国際秩序に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指すと確認する。インドを引き込み、中国やロシアに関する安全保障上の脅威認識をすり合わせる狙いがある。
岸田首相、バイデン米大統領、インドのモディ首相、就任したばかりのオーストラリアのアルバニージー首相が参加した。会議後に成果をまとめた共同声明を発表する。2023年の主催国も決める。
クアッドは中国の覇権主義的な動きを念頭に、自由や民主主義、法の支配を重視する枠組みである。首脳の対面での会議は21年9月にワシントンで開いて以来、2度目となる。
岸田首相は会談の冒頭、ロシアのウクライナ侵攻に触れ「国際秩序を根底から揺るがす事態が起きた。国連憲章でうたわれている諸原則への挑戦だ。インド太平洋で同じことを起こしてはいけない」と述べた。
バイデン氏も「民主主義対権威主義の構図だ。米国はインド太平洋の大国として共通の価値観とビジョンのために立ち上がる」と強調し、中ロへの懸念の共有を訴えた。「ロシアが戦争を続ける限り米国は国際社会のパートナーとともに対応をする」とも言明した。
モディ氏は「クアッドの決意と相互の信頼に裏打ちされた活動は民主主義勢力の大きな力となっている」と指摘。アルバニージー氏は「力を合わせ安全保障を含む最大の挑戦に取り組む必要がある」とした。
首脳会議では中国の東・南シナ海での海洋進出を踏まえ、ルールに基づく海洋秩序の挑戦に対抗する姿勢を打ち出す。米政府高官は24日、インド太平洋地域で違法漁業監視のために情報を共有する仕組みを立ち上げると明らかにした。相次ぐ中国船による違法操業が背景にある。密貿易などを取り締まる沿岸警備の能力向上につなげるため、周辺国への支援策も話し合う。同高官は「東南アジアや南アジアなど多くの地域のニーズに対応する」と語った。南シナ海で中国と領有権を争うベトナムやフィリピンなどとの連携を想定し、実効支配を進める中国に対処する。
【クアッド首脳会議について岸田首相が記者発表】
24日午後の日経新聞によれば、岸田首相は24日午後、記者会見し、同日に開いた日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」の首脳会議を受け、議長国として成果などを説明した。「力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならないと確認した」と語った。
(自由で開かれたインド太平洋) とくにインド太平洋地域で力による一方的な現状変更を許してはならないことを世界に発信できたと強調した。「4カ国の首脳が一致して世界に発信できたことは大きな意義があった」と訴えた。
「東・南シナ海での一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念やミャンマー情勢への対応などインド太平洋地域の情勢についても議論、日米豪印は自由で開かれたインド太平洋に向けた幅広い実践的な協力を進める」と語った。
「インド太平洋地域で今後5年間で500億ドル以上のさらなる支援、投資をめざす」と表明した。
中国への対応を巡る連携の具体策を問われ「日米豪印は自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて様々な分野で実践的な協力を進めるための議論の場で、特定の国を対象としたものではない」と答えた。
(ウクライナ情勢) 日米豪印4カ国の首脳でウクライナ侵攻を巡り「懸念を表明する」と確認したと明かした。「法の支配や主権及び領土一体性などの諸原則はいかなる地域でも守らなければならないことを確認した」と強調した。
「基本的な認識としてウクライナ情勢を巡りインドを含む4カ国の首脳で法の支配や、主権や領土の一体性などの諸原則の重要性を確認できた」と訴えた。
「立場の違いがあっても一致することができた。世界に一致したメッセージを発することができた意味は大変大きい」と述べた。インドがロシアと伝統的な友好関係を保ってきたことを念頭においた。
(地域諸国との協力) 首相は「地域の自然災害を効果的に支援するための4カ国の連携を強化するパートナーシップに合意した」と語った。4カ国が保有する衛星情報を地域諸国と共有する取り組みを立ち上げたと明かした。防災や気候変動対策、海洋資源の持続的な開発などに活用できると説明した。海洋状況の把握に向け、地域の情報共有を促進する枠組みの設置を歓迎したと明らかにした。債務問題に直面する途上国を支援すると確かめたとも表明した。
(北朝鮮問題) 4首脳は北朝鮮の完全な非核化に向けた連携で一致した。首相は北朝鮮でのコロナの感染拡大について「地理的空白をつくらないことについても議論した」と語った。北朝鮮による拉致問題の即時解決の必要性でも足並みをそろえた。
(IPEFについて) インド太平洋経済枠組み(IPEF)の意義に関し「米国やインドが参加しているのが大きなポイントだ」と言及。IPEFにより「インド太平洋地域の持続可能で包摂的な経済成長を実現する道を探っていきたい」とも述べた。米国の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加は引き続き求める考えを示した。
(日本のAUKUS参加の可能性) 米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」への参加の可能性を問われ「入ることは考えていない」と否定した。「インド太平洋地域の平和と安定に資するものであり日本としては取り組みを支持する」と説いた。また「安全保障、防衛分野での重要なパートナーである豪州、米国、英国との間で様々な形で連携を強化していく取り組みはこれからもしっかり続けていきたい」と力説した。
(太平洋島しょ国) 「豪州との間では太平洋島しょ国との関係も議論になった」と明かした。太平洋島しょ国に関し「自由で開かれたインド太平洋を実現する上で大変重要なパートナーだ」と表現した。「豪州をはじめ、米国、ニュージーランドといった同盟国・同志国と連携し、安全保障の分野を含め、太平洋島しょ国との協力についても、力強く進めたい」と語った。
(日豪協力) 「日豪は基本的な価値と戦略的利益を共有する特別な戦略的なパートナーだ。自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて日豪間の安全保障、防衛協力を進めていくことは極めて重要だ」と指摘した。…豪州のアルバニージー首相との2国間会談を予定していると明かした。岸田首相は「安保、防衛分野を含めて日豪関係の一層の深化を確認したい」と話した。
(2023年の首脳会議) アルバニージー氏から来年のクアッドの首脳会議を豪州で開催するという提案があったと説明した。
この間、下記の番組を視聴した。(1)NHK国際報道2022「国連事務総長 モスクワで停戦働きかけへ」4月27日。 (2)BS世界のドキュメンタリー(選)「ポストコロナ 働き方の未来」(2)27日。 (3)NHK国際報道2022「侵攻8割支持 ロシアでいま何が」28日。 (4)NHK国際報道2022「上海外出制限から1ヵ月で広がる影響」29日。 (5)BS朝日 日曜スクープ プーチン氏「反撃は稲妻のように」米欧介入なら核使用示唆」30日。 (6)TⅤ朝日 朝までテレビ! 1987年4月スタートで35周年目「激論35年! 戦争と平和 ドーする!日本の針路」30日。 (7)ETV特集「ウクライナ危機 市民たちの30年」30日。 (8)日テレ 所さんの目がテン「所さんと隈研吾さんが語る里山の未来」5月1日。 (9)BS1グローバルアジェンダ「ウクライナ侵攻~国際社会は戦火を止められるか」1日。 (10)BS1スペシャル「市民が見た世界のコロナショック 3~4月分」1日。 (11)NHK総合「ウクライナ 家族の戦場」2日。 (12)BS6報道1930「ロシアが”負ける”日 <古い戦術>がアダに? 欧米供与兵器が圧倒か」2日。 (13)NHK国際報道2022「マリウポリからの避難は」2日。 (14)BS世界のドキュメンタリー「ゴルバチョフ 老政治家の”遺言”」3日。 (15)BS世界のドキュメンタリー「プーチンの道」3日。 (16)BS6報道1930「ウクライナ「強さ」の裏側、米英で変貌した情報機関と軍」3日。 (17)BS6報道1930「゛終末の日”の飛行機 戦勝パレードで登場か」5日。 (18)BS6報道1930「迫る5・9記念日 戦争宣言? それともいいプーチンの氏の決断は?」6日。 (19)BS5日曜スクープ <戦勝記念日>前日のロシア」8日。 (20)BS6報道1930「血塗られた戦勝記念日、プーチン氏、次の狙い」9日。 (21)NHK国際報道2022「ウクライナ・クレバト外相に聞く」10日。 (22)BS6報道1930「日本の新安保戦略は ”反撃能力”どこまで」11日。 (23)NHK国際報道2022「ウクライナ ドニプロの今」12日。 (24)BS6報道1930「沖縄・自衛隊基地の島、対中国<南西シフト>ミサイル部隊最前線」16日。(25)BS世界のドキュメンタリー「権力と闘う あるテレビ局の軌跡」17. (26)NHK国際報道2022「ウクライナ侵攻めぐり揺れる中国に人々」17。 (27)NHK総合「マリウポリ製鉄所の兵士投降で大きな節目に」17日。 (28)BS6報道1930「反撃のウクライナ軍 クリミヤ橋破壊の意味」17日。 (29)NHK国際報道2022「混迷深まるスリランカで医療にも深刻な影響」17日。 (30)BS6報道1930「ロシア侵攻が止まる日」18日。 (31)BS6報道1930「ロシアを止める力は…繰り返した外交の失敗」19日。 (32)NHK国際報道2022「ウクライナ侵攻 捕虜となった兵士はどうなる」20日。 (33)NHK総合ブラタモリ セレクション「横浜~横浜の秘密は”ハマ”にあり」20日。 (34)BS6報道1930「日韓訪問でバイデン氏 狙う”対中”新戦略」20日。 (35)週刊ワールドニュース(5月16日~20日)21日。 (36)NHK国際報道2022「オーストラリア総選挙の行方は~中国との関係が焦点に」21日。 (37)BS6報道1930「防衛費増額を表明へ 岸田・バイデン会談で」23日。 (38)NHK国際報道2022「ゼレンスキー大統領 単独インタビュー」25日。
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