人類最強の敵=新型コロナウィルス(49)
3月22日(火曜)は、最高気温が3℃に届かない真冬日となり、前日に開花したばかりの横浜の桜は身を縮めていた。<まん延防止>が全国で解除された初日であったが、東電管内では<電力ひっ迫警報>が出され、花見に出る余裕もない。翌23日(水曜)午前、政府は東電管内の<電力ひっ迫警報>を解除した。
ウクライナ南東部の港都マリウポリに対してロシア軍は軍事攻撃を激化させ、多数の死者が出ているという。(後述)
【ゼレンスキー大統領の国会演説】
23日(水曜)に朝日新聞デジタルの[夜ニュースレター]によれば、「日本がすぐ援助の手、心から感謝」とゼレンスキー氏の国会演説要旨(同時通訳によるもの)を次のように伝えた。
細田衆議院議長、山東参議院議長、岸田総理大臣、日本国会議員のみなさま、日本国民のみなさま、本日は、私がウクライナ大統領として史上初めて、直接みなさまに対しまして、お話しできることを光栄に存じます。
両国の間には8193キロメートルあります。経路によって飛行機で15時間もかかります。ただし、お互いの自由を感じる気持ちとの間の差はないです。生きる意欲の気持ちの差はないです。それは2月24日に実感しました。日本がすぐ援助の手を差し伸べてくださいました。心から感謝しております。
ロシアがウクライナの平和を破壊し始めたときには、世の中の本当の要素を見ることができました。本当の反戦の運動、本当の自由、平和への望み、本当の地球の安全への望み。日本はこのようなアジアのリーダーになりました。
みなさまがこの苦しい、大変な戦争の停止のために努力し始めました。日本がウクライナへの平和の復活に動き始め、それはウクライナだけではなくてヨーロッパ、世界にとって重要です。この戦争が終わらない限り、平和がない限り、安全に感じる人がいないでしょう。
チェルノブイリ原発の事故をご存じだと思います。1986年に大きな事故がありました。放射能の放出がありました。その周りの30キロゾーンというのがいまだに危険なものでありまして、その森の中には事故収束当時から多くのがれき、機械、資材などが埋められました。
2月24日にその土の上にロシア軍の装甲車両が通りました。放射性物質のダストを空気にあげました。チェルノブイリ原発が支配されました。事故があった原発を想像してみてください。核物質の処理場をロシアが戦場に変えました。また30キロメートルの閉鎖された区域を新しいウクライナに対する攻撃の準備のために使っています。
ウクライナでの戦争が終わってからどれだけ大きな環境被害があったかを調査するのに何年もかかるでしょう。どういう核物質が空気に上がったかということです。ウクライナには現役の原子力発電所4カ所、15の原子炉があり、すべて非常に危険な状況にあります。
すでにザポリージャ原発というヨーロッパ最大の原発が攻撃を受けています。公共施設の多くが、被害を受け、環境に対するリスクになっています。石油パイプライン、および炭鉱もそうです。またサリンなどの化学兵器を使った攻撃もロシアが今準備しているという報告を受けています。核兵器も使用された場合の世界の反応はどうなのかが、いま世界中の話題になっています。
将来への自信、確信というのが今誰にも、どこにもないはずです。ウクライナ軍が28日にわたって、この大規模の戦争、攻撃に対して国を守っています。最大の国が戦争を起こしたのですが、影響の面、能力の面では大きくないです。道徳の面では最小の国です。
1千発以上のミサイル、多くの空爆が落とされ、また数十の街が破壊され、全焼されています。多くの街では家族、隣の人が殺されたら、ちゃんと葬ることさえできません。埋葬が家の庭の中、道路沿いにせざるをえません。数千人が殺され、そのうち121人は子どもです。住み慣れた家を出て、身を隠すために避難しています。ウクライナの北方領土、東方領土、南方領土の人口が減り、人が避難しています。
ロシアは海も封鎖しています。海運を障害することによって他の国にも脅威を与えるためです。すべての民族、国民にとって、社会の多様化を守り、それぞれの国境、安全を守り、また子供、孫のための将来を守るための努力が必要です。
国際機関が機能してくれませんでした。国連の安保理も機能しませんでした。改革が必要です。ロシアによるウクライナ攻撃によって世界が不安定になっています。これからも多くの危機が待っています。世界市場における状況も不安であり、資材の輸入などの障害が出ています。
これからも戦争をやりたいという侵略者に対して、非常に強い注意をしなければならないです。平和を壊していけないという強いメッセージが必要です。責任のある国家が一緒になって平和を守るために努力しなければならないです。
日本国が建設的、原理的な立場をとっていただきましてありがとうございます。ウクライナに対する本当の具体的な支援に感謝しています。アジアで初めてロシアに対する圧力をかけはじめたのが日本です。引き続きその継続をお願いします。また制裁の発動の継続をお願いします。ロシアが平和を望む、探すための努力をしましょう。
ウクライナに対する侵略の津波を止めるためにロシアとの貿易禁止を導入し、各企業が撤退しなければならないです。
ウクライナの復興を考えなければならないです。人口が減った地域の復興を考えないといけないです。
それぞれの人たちが、避難した人たちがふるさとに戻れるようにしなければならないです。日本のみなさんもきっとそういう気持ちがお分かりだと思います。住み慣れたふるさとに戻りたい気持ち。
予防的に全世界が安全を保障するために動けるためのツールが必要です。既存の国際機関がそのために機能できないので、新しい予防的なツールをつくらなければならない。本当に侵略を止められるようなツールです。日本のリーダーシップがそういったツールの開発のために大きな役割を果たせると思います。
ウクライナのため、世界のため、世界が将来、明日に対して自信を持てるように。安定的で平和的な明日が来るという確信ができるように日本の国民のみなさま、一緒になって努力し、想像以上のことができます。
日本の発展の歴史は著しいです。調和をつくり、調和を維持する能力が素晴らしいです。環境を守って文化を守るというのが素晴らしいです。ウクライナ人は日本の文化が大好きです。それはただの言葉ではなくて本当にそうです。2019年私が大統領になって間もなく、私の妻が目がよく見えない子供のためのプロジェクトに参加しました。それはオーディオブックのプロジェクトでした。そして日本の昔話をウクライナ語でオーディオブックにしました。ウクライナ語で。
それは一つだけの例ですけれども、日本の文化が本当にウクライナ人にとって非常に興味深いです。距離があっても、価値観がとても共通しています。心が同じように温かいです。
ロシアに対するさらなる圧力をかけることによって平和を戻すことができます。また国際機関の改革を行うことができるようになります。将来の反戦連立が出来上がった際に、日本が今と同じようにウクライナと一緒にいらっしゃることを期待しています。ありがとうございます。
ウクライナに栄光あれ。日本に栄光あれ。
【ロシアのウクライナ侵攻から1カ月】
24日の日経新聞は【ブリュッセル=中村亮】発で次のように伝えた。「ロシアがウクライナ侵攻を始めてから24日で1カ月となり、戦況は膠着し始めている。首都キエフを数日で制圧する<短期圧勝シナリオ>は補給体制の不備やウクライナ軍の強い抵抗で崩壊し、制圧地域もほとんど広がっていない。戦闘の継続で、双方とも死傷者が拡大し、戦力の喪失も大きくなっている。人道危機も深刻さを増している。
国防総省高官は22日、記者団に対して侵攻停滞の理由について燃料や食料の補給が依然としてスムーズに進んでいないと指摘した。
スコット・ベリア米国防情報局長は8日、ロシア軍の死亡者を2000~4000人と推計した。20年間のアフガニスタン戦争で命を落とした米兵は2461人とされる。…軍事サイト「Oryx」によると、ロシア軍の戦車や装甲車の損失は22日時点で800台超とウクライナ軍の3.5倍にのぼり、対地・対空ミサイルも約140と同6割多い。
米政権の推定で、ロシアは侵攻までに15万~19万人の兵力を国境付近に集めた。弾丸や燃料、食料など兵士1人の維持にかかる費用を1日1000ドル(約12万円)と仮定すれば、1日に1.5億~2億ドルの支出が続く。世界銀行によると、ロシアの2020年の軍事支出は約617億ドルで戦費負担も軽くはない。
元米軍高官のベン・ホッジス氏は米欧の経済制裁が効力を発揮し、今後戦費調達が苦しくなることなどもあり、ロシア軍は激しい攻勢を長くは続けられないと分析する。…地上部隊の苦戦を受け、ロシア軍は都市部への多数の砲撃などでウクライナの抵抗力をそぐ方針に転換している。特に南東部の港湾都市マリウポリでは避難所や商業施設などへの無差別砲撃を繰り返し、深刻な人道危機が発生している。…」
【サッカーW杯の予選を突破】
24日、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会アジア最終予選第9戦がオーストラリアのシドニーで行われ、B組2位の日本は同3位のオーストラリアに2-0で勝利して、7大会連続7度目の本大会出場を決めた。日本は7勝2敗で勝ち点を21に伸ばし、ベトナムとの最終戦(29日、埼玉スタジアム)を残して同組2位以内が確定した。W杯予選のアウェーでオーストラリアに勝ったのは初めてである。
【岸田内閣の支持率が上昇】
日本経済新聞社とテレビ東京は25~27日に世論調査を実施、岸田内閣の支持率は61%で2月の前回調査から6ポイント上昇した。ロシアのウクライナ侵攻を巡る日本政府の取り組みについては67%が「評価する」と答え、「評価しない」は22%だった。
政府の新型コロナ対応を「評価する」は64%と2月から8ポイント上がり、同趣旨の質問を始めた20年2月以降で最も高くなった。首相に優先的に処理してほしい政策でトップは38%の「景気回復」と「年金・医療・介護」だった。新型コロナ対策は12ポイント低下の30%だった。「外交・安全保障」は29%で、ウクライナ侵攻が始まる前の1月と比べて7ポイント高くなった。
ウクライナ侵攻を受けた政府対応への評価は与党支持層で76%と全体を9ポイント上回った。野党支持層は62%だった。世代別にみると18~39歳が63%、40~50歳代が68%、60歳以上が71%で年齢が高いほど評価する割合が大きかった。内閣を支持する理由は「人柄が信頼できる」(33%)、支持しない理由は「指導力がない」(34%)がそれぞれ1位だった。「指導力がない」は2月から11ポイント低くなった。
【中国各地で対コロナ都市封鎖】
21日の日経新聞【深圳=川上尚志】発によれば、中国が感染を封じ込める「ゼロコロナ政策」と企業活動の両立に苦慮している。南部の広東省深圳市は21日、1週間続けた事実上のロックダウン(都市封鎖)を解除した。一方で東北部の吉林省長春市では自動車などの工場停止が続く。中国全土で新型コロナウイルスの感染者数は高止まりしており、経済への打撃が広がる恐れがある。
ついで27日の日経新聞【上海=土居倫之】発によれば、上海市は28日、金融機関などが集積する東部を対象に事実上のロックダウン(都市封鎖)を始めた。対象地域でバスやタクシーなど公共交通機関の運行を停止、市民の外出を原則禁じた。新型コロナウイルスの感染収束を目指す措置だが、企業活動への影響は避けられない見通しだ。中国メディアは28日、米テスラの操業一時停止を報じた。
今回の都市封鎖は市内を2地域に分けて実施する。東部は4月1日午前5時(現地時間)までとし、その後、日本人が多く住む西部を対象に4月1日同3時から5日同3時まで実施する。封鎖期間中に全市民にPCR検査を実施。感染者を隔離し、新規感染の拡大を阻止する。
封鎖期間中は、対象地域でのバス、タクシーなど公共交通機関の運行を停止、許可のない自家用車の通行も禁止する。地下鉄駅も封鎖する。電気、ガス、水道、食料など生活インフラ関連以外の全ての企業に在宅勤務などを求める。株式・為替などの取引は通常通り実施される。
【大相撲春場所で関脇・若隆景が初優勝】
27日(日曜)、大相撲春場所で関脇・若隆景(27)=荒汐部屋 福島県出身=が
高安との決定戦を制し、12勝3敗で初優勝した。高安に追い込まれ、絶体絶命に見えた土俵際での上手出し投げは圧巻。新関脇の優勝は双葉山以来86年である。四股名・若隆景(わかたかかげ)の発音はアナウンサーも苦労していた。インタビューに「東日本大震災から11年、場所中にも地震に見舞われ、苦労している郷里の方々の励みになれば嬉しい」と答える雄姿があった。
【イスタンブールでのウクライナ=ロシアの4回目の協議】
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日夜の声明で「交渉から前向きなシグナルを受け取った。しかしロシアの砲弾の爆発音が消えるわけではない」と述べ、ロシア軍が攻撃を続ける可能性はなお高く、防衛態勢は緩めないと表明した。
南部のミコライウでは協議を実施した29日朝に行政庁舎がミサイル攻撃を受け、地元当局によると少なくとも12人が死亡した。ゼレンスキー氏はロシア側の発言を「信じる理由はない」と不信感を示し、ロシア軍の撤退、ウクライナの主権と領土の保証について妥協しないと改めて明言した。
29日の日経新聞【ウィーン=細川倫太郎、イスタンブール=木寺もも子】によれば、ウクライナとロシアの交渉団は29日、トルコのイスタンブールで対面形式の停戦協議を行った。ウクライナ側は米欧を含めた安全保障体制の構築や領土問題棚上げなどを提案し、ロシア側は回答を留保した。同日、ロシア国防省は首都キエフなどで「軍事活動を縮小する」と発表した。緊張緩和を印象づけるとともに、キエフ近郊でロシア側が苦戦していることが背景にありそうだ。
ロシア側の代表団は協議終了後に記者団に対し、提案をプーチン大統領に報告した上で回答すると明らかにした。ウクライナ側代表団によると、今後はオンラインで協議を継続するという。
ウクライナ側は協議の中で、北大西洋条約機構(NATO)への加盟は断念する方針を示した。代わりに、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国にドイツ、トルコなどを加えた新たな安全保障条約や欧州連合(EU)への加盟をロシアが妨げないことなどを求めた。
領土問題は棚上げすることも提案した。ロシアが2014年に一方的に編入したクリミア半島などについては「合意の中には含まない」とし、今後15年以内に解決を目指すという。
ロシア側の交渉団に参加しているフォミン国防次官は協議後、記者団に「ウクライナ側から明確な提案がなされ、協議が建設的に行われた」などとコメントした。ロシア国防省は29日、侵攻しているウクライナの首都キエフと北部チェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表した。
【ウクライナの戦局変化についての諸見解】
29日の記者会見で米国防総省のカービー報道官はウクライナの首都キエフへ進軍していたロシア軍の一部が再配置を始めたと明らかにした。再配置先がウクライナ東部となる可能性に触れて「ロシアはキエフ制圧に失敗した」と断定した。
カービー氏は「戦争開始から数日間の迅速な進軍は明らかにキエフが(ロシアにとって)重要な目標だったことを示す」と強調した。侵攻当初からキエフ制圧が目標ではなかったとのロシアの主張に反論した発言だ。
またキエフ周辺からロシア軍の一部が撤退したとの報道について「真の撤退ではなく再配置だ。ウクライナの他の地域での大規模な攻撃に注意を払う必要がある」と語った。再配置を始めた部隊は「小規模だ」とも述べたうえで「ロシアは東部のドンバスを優先すると言っている」と指摘し、ドンバスでの戦闘に加わるシナリオに言及した。
英国防省も29日、ロシア軍がキエフの包囲に「失敗したのはほぼ確実」とする分析を公表した。「ロシアは北部(のキエフ周辺)での戦闘能力を東部のドネツクとルガンスク2州での攻撃に転用する可能性が高い」という。
30日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕、中村亮】によれば、バイデン米大統領は29日の記者会見で、ロシアがウクライナの首都キエフなどでの軍事活動を縮小すると表明したことについて「どういう行動を取るか見る必要がある」と述べ、ロシアの対応を見極める考えを示した。ロシアとウクライナはトルコのイスタンブールで29日に停戦協議を開いたが、交渉の行方は見通せない。
【円安悪循環に警戒強まる】
30日の日経新聞は「円安悪循環、警戒強まる 為替の「理論値」も急低下」の見出しで「円安が急加速し、円の下落と経常収支の悪化が共振作用を起こす「円安スパイラル」への警戒が強まっている。長い目でみた円の均衡水準も1ドル=120円台に下落している可能性があり、構造的な円安の側面が出てきた。円安効果は一部の輸出企業や富裕層に限られる半面、その痛みは資源高もあいまって個人や中小企業に広く及ぶ。円安を前提にした経済運営のあり方が問われる。
28日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=125円...」と述べた。
これに関連して神田真人財務官は29日、アンディ・ボーコル米財務次官(代行)と財務省内で会談後、記者団に「為替の問題に関し、日米の通貨当局で緊密に意思疎通を図っていくことを確認した」と述べた。
【プーチン氏、ストレス平時の4割増】
31日の日経新聞は、「プーチン氏、侵攻で声に「緊張」 ストレス平時の4割増」の見出しで次のように報じた。独裁者の孤独を知るには有効な方法となろう。
「ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月がたった。日本経済新聞は演説などの音声を解析しプーチン大統領の心理状態を探った。ストレスの値は軍事行動の数日前から高まり、侵攻後も緊張状態が続いた。米欧に追い詰められ対ロ制裁対策を協議する政府会議を開いた10日には、ストレス値が平時の4割以上に増えた。ただその後の18日の大勢の聴衆を前にした演説では高揚感が見られず、意欲のない様子が見て取れた。
心の揺らぎは声帯に影響し声の調子を変える。表情や言葉からは読み取りにくい胸の内を探る手がかりとなる。
侵攻が始まった2月24日を含む2月1日~3月18日までの配信の演説や会談の映像を調べ、1時間19分に及ぶプーチン氏の音声データを取得した。評価技術に詳しいリスク計測テクノロジーズ(横浜市)の協力を得てストレス度合いや心の乱れを分析した。」
【軍から誤った情報がプーチン氏へ】
31日の日経新聞は【ワシントン=坂口幸裕】を掲載して次のように報じた。
米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は30日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦況などについて軍から誤った情報が伝えられていると明らかにした。<プーチンがロシア軍に欺かれたと感じているとの情報があり、その結果、軍との間に緊張が生じている>と述べた。
ウクライナでの想定外の苦戦や米欧などによる対ロシア制裁に伴う経済的打撃に関し「誤った情報がもたらされている」と主張した。誤情報が伝えられる背景をめぐっては、プーチン氏の側近は「怖くて真実を話せないからだ」と語った。
バイデン政権は情報機関の調査に基づく今回の機密を解除してプーチン氏を取り巻く状況に関する情報公開に踏み切った。ベディングフィールド氏は「我々が公開した意図はロシアにとって(ウクライナ侵攻が)いかに戦略的失策だったかを理解してもらうことだ」と説明した。
またブリンケン米国務長官は同日、訪問先のアルジェリアの首都アルジェで記者会見し、プーチン氏に正確な情報が伝わっていない理由について「独裁国家のアキレスけんのひとつが権力者に真実を語る人物がいないことだ。それがロシアで表れている」と話した。
ウクライナの戦線に送られたロシア兵の多くは徴兵された若者が占める。米CNNは30日、米政府高官の話として「プーチン氏が徴兵を使っていると知らなかった。正確な情報の流れに明らかな断絶がある」と伝えた。
また米国防総省のカービー報道官は29日、ロシア国防省が同日にウクライナの首都キエフなどでの軍事活動を縮小すると発表したのを受け「キエフ制圧に失敗した」と断定した。
米欧の分析によると、当初ロシアは2月24日の侵攻から2~3日でウクライナを制圧できるともくろんでいたが、ウクライナ軍の激しい抵抗や現地での物資不足などで苦戦を強いられている。
【マリウポリの<人道回廊>は困難】
4月2日の日経新聞【ブカレスト=久門武史】によると、
「ロシア軍が包囲するウクライナ南東部の港湾都市マリウポリで1日に計画された住民の退避で、支援に向かっていた赤十字国際委員会(ICRC)が同日の現地入りを断念した。2日に再度試みるとしたが、焦点の住民の脱出が難航している模様。一方でウクライナのゼレンスキー大統領は1日、3000人強がマリウポリを脱出したと明らかにした。
ICRCの支援チームは50台以上のバスを先導しマリウポリから市民を退避させる運びと伝えられていた。ICRCは1日「民間人の安全な退避促進のためマリウポリに向かったチームが、引き返さざるを得なくなった」との声明を出し、前進が「不可能」とした。これに先立ち、人道支援物資の搬入が拒否されたと報じられ、ロシア側の妨害との見方が出ていた。ロシアは一時停戦して住民を逃す<人道回廊>を1日に設けるとしていた。マリウポリ市内にはなお約17万人が残されているとの見方がある。
一方、トルコのエルドアン大統領は1日、ロシアのプーチン大統領とウクライナ情勢を巡って電話で協議し、トルコでプーチン氏とゼレンスキー氏との首脳会談を開きたいとの意向を伝えた。両国の声明でプーチン氏の反応には言及がなく、前向きな回答はなかったとみられる。」
【強権中国から投資マネーが逃避開始】
4月3日の日経新聞は、「強権中国、戸惑うマネー 株・債券1~3月7400億円流出」の見出しで次のように報じた。
「中国から投資マネーが逃避し始めた。2022年1~3月の外国人投資家による株・債券の売越額は、4月1日時点の集計で384億元(約7400億円)となった。四半期ベースで過去最大の規模になる。ウクライナに侵攻したロシアの通貨や証券が暴落した連想から、強権的な政治・外交姿勢の中国への投資を見直す動きが広がりつつある。
「前例のない流出だ。外国人投資家が新たな視点で中国を見ている可能性がある」。国際金融協会(IIF)は3月24日、ウクライナ侵攻後に中国から大規模にマネーが逃避したと分析した。他の新興国からは流出がみられず<極めて異例の現象>という。
外国人による上海や深圳の上場株の売買は、香港を経由する相互取引(ストックコネクト)の動向で把握できる。3月は流入基調が止まり、451億元の売り越しとなった。債券も売られており、海外勢による保有残高は2月末に前月比803億元減と、減少幅が統計で遡れる15年1月以降で最大となった。株と債券を合計すると1~3月(債券は2月まで)の売越額は15年のチャイナ・ショックや20年の新型コロナウイルス禍の局面を上回った。
ここ数年、中国の市場開放や、世界の投資家が参照する投資指数への組み入れを背景に中国への証券投資が拡大してきた。主要な新興市場ファンドでは、08年の10%強から40%近くに高まっていた中国・香港株の組み入れ比率は29%に下がった。コロナやIT(情報技術)規制に、ウクライナ危機が重なった。資産運用会社DWSのショーン・テイラー氏は<過去3年間流入してきた資本が逆流し始めた可能性がある>とみる。
中国への投資を見直す傾向は長期に及ぶ可能性がある。投資家がこれまで軽視していた政治体制や価値観の違いに目を向けつつあるためである。中国投資を積極化してきたある日本の主要な年金基金は<中国による台湾侵攻の可能性を警戒する声もあるなかで、中国への投資を続けるかどうか議論している>と明かす。
投資資金の流れは変わっている。中国から流出する一方、政治や経済の自由度に応じて投資配分を決める<自由主義100新興市場指数>に連動するETF(上場投資信託)には3月、過去最大となる5300万ドル(約65億円)が流入した。世界最大の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金は3月、人権侵害に関与した疑いを理由に中国のスポーツウエア大手・李寧を投資対象から外すと表明。同社株は3月に1割強下げた。
マネーの<デカップリング(分断)>は16年ごろから顕著である。中国政府が対外投資を審査し、中国資本による不動産や娯楽などの米企業の買収が急減。米国は対内投資を審査する<対米外国投資委員会(CFIUS)>の権限を強化し、軍需関連など一部中国企業への投資も禁止した。」
【閑話休題】
この連載「人類最強の敵=新型コロナウィルス」は今回で49回目になる。妙な語呂合わせ<四苦八苦>(49+89)を思い出した。<四苦>とは仏教で<生老病死>を指すが、この49(四苦)回で当連載を終わりにしようかとの想いが念頭をかすめる。
この数週間、世界の中心的話題はコロナ禍よりロシア軍のウクライナ軍事侵攻に移っている。コロナ禍はすこし下火になりつつあり、それでも国際的な人の移動は大幅に制限されたままであり、第7波の可能性も排除できず、依然として<人類最強の敵>でありつづける。となれば、ここ49回で中止・終了とするわけにはいくまい。89回までの継続がないことを祈念しつつ、書き続けることとする。
【ウクライナとロシアの確執】
4月4日、ロシア軍のウクライナ侵攻が始まった2月24日から40日目となる。プーチン大統領の当初の目論見では、数日内に首都キーウ(新年度からロシア語のキエフに代え、ウクライナ語の発音表記を採用)を含め全土を掌握し、ゼレンスキー大統領に代わる人物を大統領につけること言われるが、それに失敗したロシア軍は首都キーウから撤退、兵力を南東部に集中させ、港都マリウポリの完全掌握のため今なお激戦中と言われる。市民の退避もままならず、<人道回廊>も機能せず、多数の死者・負傷者・餓死者が出ているという。
根の深い問題であることが分かる。理解を深めるには、2004年のオレンジ革命と2013~2014年のマイダン革命の2つの大事件を考える必要がある。その概要を見ておきたい。
【2004年のオレンジ革命】
ウクライナは開票の結果、大統領選挙におけるヤヌコーヴィチの当選が発表されると、その直後から野党ユシチェンコ大統領候補支持層の基盤であった西部勢力が、ヤヌコーヴィチ陣営において大統領選挙で不正があったと主張し始め、不正の解明と再選挙を求めて、首都キエフを中心に、ゼネラル・ストライキ、座り込み、デモンストレーション、大規模な政治集会を行い選挙結果に抗議した。
この抗議運動はマスメディアを通じて世界各国に報道され、大きな関心を呼んだ。特にヨーロッパやアメリカでは野党ユシチェンコに対して、ロシアでは与党ヤヌコーヴィチに対して肩入れする報道がなされた。この報道合戦ではナショナリズム的な報道に終始したロシア側に対して、一連の大統領選挙が民主的ではないというスタンスを取った欧米側の報道に世界世論がなびいたため、徐々にロシア側の行動が規制される結果となった。このことは、後のキルギスでの政変時(チューリップ革命)にロシア側として積極的な動きができないなどの足かせともなった。
ロシアの支持を受けたヤヌコーヴィチを中心とする与党勢力は選挙結果を既成事実化しようと試みたが、野党勢力を支持するEUやアメリカなどの後押しもあり、結局野党の提案を受け入れて再度投票が行われることとなり、再投票の結果、2004年12月、ヴィクトル・ユシチェンコ大統領が誕生した。ユシチェンコ政権は政権内部の抗争が相次ぎ、革命を支持した民衆も離反、最終的に支持率が一桁に落ち込む。
2013年12月の世論調査(異なる三箇所の会社)によると、ウクライナ人の45%から50%がマイダンを支持、42%から50%が反対している。最もデモ隊を支持している地域はキエフ(75%支持)と西部ウクライナ(80%支持)。12月7~8日間の世論調査では、73%のデモ隊が要求事項が行われるまでデモを続けると回答した。
【ゼレンスキー大統領の誕生】
ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキーは1978年1月25日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(当時)のクルイヴィーイ・リーフにユダヤ系ウクライナ人として生まれ、現在44歳。2019年5月20日にウクライナ第6代大統領に就任。ウクライナはイスラエル以外で唯一、大統領と首相が共にユダヤ人の国となった。Wikipedia、BS世界のドキュメンタリー「戦時下の大統領 ゼレンスキー」等により略歴と政治活動の特徴等を概括する。
祖父はソ連軍でナチス・ドイツと戦い、親戚の多くがホロコーストで命を落としたという。子供時代からゼレンスキーは話芸の才能を示し、旧ソ連時代からの伝統を持つロシアのバラエティー番組『KVN(ロシア語版)』(面白い奴らのクラブ)にウクライナ代表のアマチュア芸人として出演している。学業面ではキエフ国立経済大学のクルィヴィーイ・リーフ校で法学を専攻したが、大学卒業後は法曹ではなくコメディアンへの道を選んだ。ウクライナ東部出身のため母語はロシア語。元々ウクライナ語は苦手で俳優業やメディアではこれまでロシア語を使用してきた。大統領当選以降はウクライナ語の特訓を受け、会見等ではほぼウクライナ語のみでこなしている。
【コメディ芸人の才能発揮】
1997年、番組内でコメディ劇団「第95街区(ウクライナ語版)」を結成、台本の制作も手掛けるなど若くして番組の看板芸人に上り詰めた。2003年、「第95街区」をコメディ映画・番組・舞台の制作会社へと再編して、より幅広い活躍をするようになった。KVN視聴者が広がるCIS諸国での巡業やコメディ映画の制作・上映などを手掛け、ウクライナの大手テレビ局「1+1」などに番組を提供した[。2006年、イギリスのダンス番組『ストリクトリー・カム・ダンシング(英語版)』のウクライナ版で本格的なブレイクを果たし、ゼレンスキー出演回は最大瞬間視聴率が87.57%という記録的な数字を達成。2008年にはロシアのコメディ映画に出演。2012年、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが友情出演したことで話題になったウクライナ映画『ルジェフスキー対ナポレオン(ウクライナ語版)』でナポレオン役を演じている。
順調にキャリアを重ねる一方、不安定な状態が続くウクライナ社会への問題提起も行っていることで知られている。ゼレンスキーはオレンジ革命、マイダン革命などの自由主義革命に肯定的で、ロシア軍の軍事介入後は知名度を持つロシア語圏での反発を恐れず、ウクライナ軍に多額の寄付を行って支援した。
一方、ウクライナ政府が推進するロシア語文化の弾圧には強く反対し、文化大臣の辞任を求めている。ロシア民族主義とウクライナ民族主義のどちらにも賛同しない中立派として行動し、オリガルヒを筆頭に社会で蔓延する汚職や富の集中も強く批判している。これは、これまでゼレンスキーがウクライナ東部のロシア語圏で育ち、2014年までは主にウクライナの他にロシアを舞台に活躍し数々の作品に出演してきたことが大きい。1997年、番組内でコメディ劇団「第95街区(ウクライナ語版)」を結成、台本の制作も手掛けるなど若くして番組の看板芸人に上り詰めた。2003年、「第95街区」をコメディ映画・番組・舞台の制作会社へと再編して、より幅広い活躍をするようになった。KVN視聴者が広がるCIS諸国での巡業やコメディ映画の制作・上映などを手掛け、ウクライナの大手テレビ局「1+1」などに番組を提供した。2006年、イギリスのダンス番組『ストリクトリー・カム・ダンシング(英語版)』のウクライナ版で本格的なブレイクを果たし、ゼレンスキー出演回は最大瞬間視聴率が87.57%という記録的な数字を達成している。2008年にはロシアのコメディ映画に出演。2012年、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが友情出演したことで話題になったウクライナ映画『ルジェフスキー対ナポレオン(ウクライナ語版)』でナポレオン役を演じている。
【政治風刺ドラマ『国民の僕』】
2015年、ウクライナの「1+1」でゼレンスキーが主演する政治風刺ドラマ『国民の僕』(こくみんのしもべ)が全24話で放映された。一介の歴史教師がふとしたことから素人政治家として大統領に当選し、権謀術数が渦巻く政界と対決する姿をユーモアを交えながら描いた同作はウクライナで大流行した。物語は選挙で授業を妨害された主人公が怒りに任せて政府批判を行う様子を隠し撮りした映像が投稿され、インターネットでバズ化したことが導入部になっている。放送後にインターネット上でエピソードの無料公開が行われ、YouTubeに投稿された第1話の再生数は1200万に達している。
第1シーズンでは主人公を取り込もうとするベテラン政治家の手から徐々に離れ、閣僚を刷新して政権を確立するまでの3か月間を描いている。作品中で政治をゲームとして扱うオリガルヒ(新興財閥)、オリガルヒの駒として動く政治家、蔓延する縁故主義、浪費される税金、放置されたインフラ、脱税に奔走する資産家などウクライナ社会の腐敗と現状に怒りを覚える国民を描き出している。また歴史教師である主人公に啓示を与える存在として、リンカーン、チェ・ゲバラ、ユリウス・カエサル、イヴァン雷帝などの人物が登場する。
2016年、映画版として『国民の僕 第2部(ウクライナ語版)』が放送され、ウクライナ映画賞(金独楽賞)に主演男優賞でノミネートされている。2017年、テレビシリーズの第2シーズン全24話が放映された。IMFによる支援を受ける程に悪化したウクライナ経済を立て直すべく、汚職の一掃を目指す姿が物語の中心である。2019年、政敵の仕掛けた冤罪で政権を追われた主人公が大統領に復帰するまでを描いた第3シーズンの放送が開始された。
【ドラマから現実の政治家へ】
ドラマ『国民の僕』の流行により、国民の間では作中で描かれた主人公とゼレンスキーを重ね合わせ、現実の大統領選挙への出馬を期待する動きが起きた。2018年、ゼレンスキーは期待に応えて来年の大統領選出馬を声明。
2019年の大統領選には過去最大となる44名もの候補者が乱立しており、有力候補はオリガルヒ出身のペトロ・ポロシェンコ現大統領とユーリヤ・ティモシェンコ元首相という現在のウクライナ政界の混沌を現した状態となった。そうした中、ゼレンスキーは「第95街区」のメンバーらとドラマのタイトルを冠した政党「国民の僕」を立ち上げ、「作品の続き」をイメージした宣伝を開始した。選挙活動面では政治集会や討論会などは挑まず、原作の展開と同じくインターネット上での呼びかけを集中的に行っている。主人公が作中で国民に呼びかける際に口にする「親愛なるウクライナ国民へ」も多用されている。
ゼレンスキーの政治運動は全体として公正で自由主義的な社会を目指すことにあるといえる。内政面では最優先に「反汚職」を掲げ、税金の浪費を止めることを公約している。具体的には議員の免責特権廃止、選挙制度や裁判制度の改革、国民投票による直接民主主義の導入などを掲げている。経済政策でも企業の脱税や賄賂を取り締まり、社会正義を回復させることが経済成長や国外からの投資に繋がると主張。税制面ではフラット・タックスの導入を検討している。軍に関しては給与体系をNATOに準じた金額に改定する意向を示している。
外交面では東部分離主義勢力(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国)との戦闘について、軍事力での解決は非現実的であり、国内を疲弊させているとする。既に占領されたクリミア問題については「現実的に考えればロシア側での政権交代などを待つしかない」とする。こうした観点から分離主義勢力を支援するロシア連邦と協議し、戦争を終結させたいとしている。同時に欧州を席巻するポピュリズム運動が選択する欧州懐疑主義の立場には立たず、マイダン革命以降の親欧米派としてEUやNATOとの交流を深める親欧米外交を志向している。
オリガルヒの専横に関しては自身が出演するテレビ局を保有し、選挙活動の支援を行なったという報道のあるオリガルヒのイーホル・コロモイスキーとの関係をBBCに問われた際、「自分は誰かの傀儡ではない」とした上で「貴方は4000万名のウクライナ人が全て信念が無いと言いたいのですか?」と答えている。
細かい政策論争を挑まず、理念的な行動を取る事に批判の声もあるが、腐敗と閉塞した状況が続くウクライナ社会に強い不満を持つ青年層や労働者層を中心に絶大な支持を集めていた。
2018年の年末に行われた調査ではティモシェンコに次ぐ第2位候補として9%の支持を獲得して現職のポロシェンコを上回った。選挙戦本番でポロシェンコが巻き返しを図ったが、それを上回る勢いで草の根での支持が広がって最有力候補に躍り出た。2019年4月1日、第一回投票でポロシェンコ(17.8%)、ティモシェンコ(14.2%)の両名を大きく引き離してゼレンスキーが30.4%の得票を獲得、単独過半数には届かず決選投票で2位のポロシェンコと争う(ティモシェンコは不正選挙を主張しつつも敗北宣言)。
決選投票では「国民の僕 第三部」と題して、支持者に投票を呼び掛けるキャンペーンを行っている。決選投票を前にしてもゼレンスキー支持の勢いは留まらず、むしろ勢いを増して日を追うごとに現職のポロシェンコとの差を付け、世論調査での支持率は50%以上に達すると見られている。4月16日、焦りを深めるポロシェンコがゼレンスキーが拒否してきた討論会を挑むと、スタジオや会議場ではなく興行用のスタジアムでの開催という挑発的な条件を突き付けている。
4月20日、投票日前日にスタジアムでの討論会が行われた。ゼレンスキーは政治経験の不足を批判するポロシェンコの政治経歴を「失敗」と切り捨て、ポロシェンコが愛国心をアピールすると紛争で戦死した兵士達に祈りを捧げる仕草を見せた。堅実な政策論で支持を取り戻そうとするポロシェンコを得意のパフォーマンス合戦や口論に持ち込む事で終始翻弄し、ペースを握り続けた。
4月21日、出口調査の段階でゼレンスキーが決選投票で70%以上を得票、圧倒的な大差を付けて大統領に選出される事が確実となり、現職ポロシェンコが敗北を宣言した。ガリツィア地方の中心であるリヴィウ州のみでポロシェンコ氏に敗北したがそれ以外のすべての州で勝利。特にロシア語圏である東部や南部では得票率が8割を超える圧倒的な勝利であったことは、特にポロシェンコ政権によって国民の間で利用率の高かったロシアのSNSの禁止、映画やドラマ等のロシア文化の排除や両国間の直行便の就航の停止等の政策が行われる中、双方に親族も多くいる等関係の深い隣国ロシアとの関係の正常化に対する期待の大きさをうかがわせる。
高い支持率の勢いをもって迎えた2019年7月21日に行われた最高議会選挙では、自身の新党「国民の僕党」は、424議席中240議席以上を占める圧勝。ウクライナの議会選史上、初めて単独過半数を大きく上回る勝利で、現有議席ゼロから一気に第1党になった。
【2022年のロシアのウクライナ侵攻以後】
しかし、ウクライナが抱える経済、汚職、紛争といった難問を解決できず、当初7割台だった支持率は下落、とくに<ミンスク合意>で取り決められた親ロシア派の分離独立を認めずに<主戦論>を唱える民族派の猛反発に直面。この状況に対処するため、自らも失地回復を唱えるように方針転換をした。そのため、ロシアとの関係正常化はなくなった。その後はミンスク合意の反故やNATO加入に対する西側諸国の支持取り付けに動いたが、2021年9月の訪米でも法律主義や経済の未熟さを理由に回答は得られなかった。こちらでも成果をあげることはできず、2021年10月には支持率25%まで後退した。
2021年10月26日、東部の紛争地域で親ロシア派武装勢力への攻撃にトルコ製ドローン<バイラクタル TB2>を初めて使用。親ロ派の後ろ盾のロシアは27日、紛争をエスカレートさせる恐れがあると警告していたが、攻撃動画を公開、欧米がウクライナに苦言を呈する中、ゼレンスキーは29日、「領土と主権を守っている」と強気の声明を出した。年内に50機の購入計画に加え、翌年2022年2月3日にトルコ企業が開発した攻撃ドローンをウクライナで生産することでトルコ側と合意。記者会見でゼレンスキーは「新たな(ドローン)技術は、ウクライナの防衛能力強化を意味する」と述べた。
内外政の失敗による支持率の低さに苦しむ中、2022年2月にロシア軍がベラルーシとの合同軍事演習のためウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を集結。これに対し、米軍の増派部隊が東欧に到着し始めたことで、緊張が一層高まった。ミンスク合意を取り付けたフランスの仲介も虚しく、ロシアは2月21日にウクライナ親ロシア派実効支配地域の独立を承認。24日にはウクライナへの侵攻を開始した。同日、ゼレンスキーは「国民総動員令」に署名。18~60歳の男性の出国を禁止し、戦闘状態に突入。
【東証の市場再編の初日】
4月4日(月曜)、東京証券取引所の市場が再編され、新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場が始動した。東証の中核市場に及ぶ再編は2部を新設した1961年以来約60年ぶりとなる。
従来より厳しい上場基準で分けられ、実質最上位の「プライム」には1839社が上場。東証1部に比べて上場企業数が減り、1社あたりの平均時価総額は3843億円と17%増える。企業統治は強化されるが利益成長を欠き、海外マネーをひき付けるのに十分でない。東京市場の活性化に向けた改革はなお途上である。
最上位市場の位置づけとなるプライムは買いが先行し、終値で67%の企業が値上がりした。日経平均株価は4営業ぶりに反発、前週末比70円(0.3%)高の2万7736円で取引を終えた。
【米テスラCEOのマスク氏がTwitter株9%取得】
4日の日経新聞は【ニューヨーク=堀田隆文】発を通じ、「マスク氏がTwitter株9%取得 筆頭株主の可能性」の見出しで、米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏(フォーブス誌の世界長者番付の首位)が米ツイッターの株式9.2%を取得したことが分かったとし、次のように報じた。
マスク氏はツイッター株7348万6938株を取得し、筆頭株主になったとみられる。なおツイッターは世界最大規模の言論空間である。マスク氏が取得したツイッター株の価値は、1日の終値から試算すると28億ドル(約3400億円)超となる。ツイッター株は4日の米市場で1日終値と比べ、一時25%上がった。
これまでマスク氏はツイッター上で多くの情報を発信、消費者や投資家らと意思疎通してきた。4日時点で8000万人以上のフォロワーを抱える。2021年11月、自身が保有するテスラ株の売却への賛否を問う投票もツイッター上で実施した。
一方、直近ではツイッターに対して批判的なツイートをしつつ、新しいソーシャルメディアの創設を「真剣に検討している」との考えを明らかにしていた。ツイッターでの発言が混乱を呼ぶことも多い。18年8月にはツイッター上でテスラの非公開化を表明したが、3週間足らずで撤回。SECが証券詐欺にあたるとして訴訟を起こした。テスラ株売却の投票でも、投稿前の株売却を巡ってマスク氏と弟で取締役のキンバル・マスク氏をインサイダー取引の疑いでSECが調査していると米メディアが報じている。
【国連安保理でロシア軍による民間人殺害をめぐる緊急会合】
5日の日経新聞【ニューヨーク=吉田圭織、白岩ひおな】発によれば、国連の安全保障理事会はロシア軍による民間人の虐殺が起きた疑いがあるウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどの状況について緊急会合を開く。4月の安保理議長国を務める英国のウッドワード国連大使がツイッターで明らかにした。
緊急会合では、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説する。ロシアによるウクライナ侵攻以来、安保理での演説は初めてとなる。ゼレンスキー氏はブチャで少なくとも300人の民間人が殺害され、ボロディアンカなど他の地域では犠牲者の数はさらに多い可能性があると指摘している。
ウッドワード氏はニューヨークの国連本部で開いた記者会見で、会合について「戦争犯罪やジェノサイド(大量虐殺)だと指摘されるブチャから出てきた画像について話し合う最初の機会となる」と話し、「ロシアに軍を撤退させ、違法な戦争を止めさせるための圧力にもなる」とも述べた。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は訪問先のルーマニアで「ロシアは戦争犯罪を行った責任を取らなければいけない」と強調。安保理会合では「ロシアに対抗し、孤立させる用意はできている」と訴えた。一方、ロシアのポリャンスキー国連次席大使はブチャで民間人の遺体が発見された状況について、ウクライナの過激派による挑発だと主張している。
6日の日経新聞【ニューヨーク=白岩ひおな】によれば、国連安全保障理事会は5日、ウクライナでのロシア軍による民間人殺害をめぐる緊急会合を開いた。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使はロシアの国連人権理事会の資格停止を求めた。各国からは首都キーウ(キエフ)郊外ブチャなどでの民間人殺害への非難が相次ぎ、米欧などは「戦争犯罪」や「人道に対する罪」にあたる可能性があると指摘した。
冒頭、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説し、「ロシア軍は市民を意図的に殺害した。ある者は拷問を受け、ある者は路上で撃たれた」と、ブチャの惨状を訴えた。ロシアによる民間人殺害を「第2次世界大戦後、最も恐ろしい戦争犯罪だ。ロシア軍と彼らに命令した者に直ちに法の裁きを下さなければならない」と糾弾。「国連の機能不全は明らかだ」と指摘したうえで「安保理の拒否権が死の権利にならないよう、国連を改革しなければならない」と訴えた。直ちに行動できない場合、国連は「解散」すべきだとも述べた。
ロシアによる民間人の殺害が戦争犯罪にあたるかどうかをめぐっては、各国に温度差もある。広義の戦争犯罪は、①集団殺害犯罪(ジェノサイド)、②人道に対する犯罪、③戦争犯罪、④侵略犯罪―に分かれる。米欧などは、民間人や民間施設への故意の攻撃といった戦争犯罪や、広範囲・組織的な住民の殺害や性的暴行など人道に対する罪にあたるとの考えを示した。インドは「民間人の殺害を明確に非難し、独立した調査を支持する」と述べた。
【EU各国がロシア外交官を追放】
【4月6日 AFP】によると、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる国際社会の反発が強まる中、ロシア軍による(キーウ近郊)ブチャにおける残虐行為に対して、欧州連合(EU)諸国は4日から5日にかけ計200人近くのロシア外交官の追放を発表した。
4日にはドイツ、フランス、スウェーデン、デンマークが追放措置を発表。翌5日には、イタリア、スペイン、スロベニアがこれに続いたほか、EUも関連機関で働く複数のロシア外交官を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定した。8日には日本も外務省が日本に駐在するロシアの外交官ら8人(大使館員と通商代表部職員)を国外追放すると発表した。
【バイデン政権が新たな追加制裁】
7日の日経新聞【ワシントン=鳳山太成】によれば、バイデン米政権は6日、ロシアへの新たな経済制裁を発表した。ロシア最大手銀行やプーチン大統領の娘2人の資産を凍結し、米国の企業や銀行との取引を禁じる。ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊でロシア軍による民間人殺害が見つかったのを受け、欧州や日本と協調してプーチン政権への圧力を強める。
バイデン大統領は同日ツイッターで「ロシアは(キーウ近郊)ブチャにおける残虐行為で厳正で速やかな代償を払うことになる」と述べた。米ホワイトハウスによると、最大手のズベルバンクと4位のアルファバンクの資産を凍結、米国の企業や銀行との取引を禁じる。ズベルバンクはロシアの銀行が持つ資産の3分の1を有し、アルファバンクは民間商業銀行としては最大手。なお米政府高官によると、ロシア産原油や天然ガスの取引に即座に悪影響を及ぼさないようにするため、金融機関への制裁ではエネルギー関連の取引は例外として認める。
また米国の企業や投資家によるロシアへの新規投資も禁じる。これまでは同国の主力産業であるエネルギー分野への新規投資を禁じてきたが、自動車や素材などあらゆる分野で米国の資金や技術が流れ込むのを食い止める。
さらにロシアの重要な国営企業にも資産凍結や取引禁止の措置を講じる。米財務省が具体的な対象を近く公表する。
【国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止】
8日の日経新聞【ニューヨーク=白岩ひおな】によれば、国連総会は7日に開いた緊急特別会合で、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議を日米欧など93カ国の賛成多数で可決した。中国やロシア、北朝鮮など24カ国は反対票を投じ、インドやブラジルなど58カ国は棄権した。ウクライナでの民間人殺害を受け「ロシアによる重大かつ組織的な人権侵害」があったとして「重大な懸念を表明する」と明記した。
ウクライナのクレバ外相はツイッターで「戦争犯罪者は人権を保護する国連の機関に居場所がない。歴史の正しい道を選んだすべての加盟国に感謝する」と歓迎した。一方、ロシアのポリャンスキー次席大使は採択後「今日の恥ずべき投票の後、ロシアは(23年までの)任期終了前に人権理を脱退した」と表明した。
【上海のロックダウン(都市封鎖)が長引く】
8日の朝日新聞デジタルによると、中国最大の経済都市である上海のロックダウン(都市封鎖)が長引き、経済への打撃が深まっている。<ゼロコロナ>を目指した外出禁止や移動制限により、生産・物流が滞っている。サプライチェーン(供給網)でつながる日本にも、影響は広がり始めた。
中国の日系企業の物流関係者は「先が読めないのがつらく、どうしたらよいものか」と嘆く。上海の浦東国際空港は従業員も出入りが制限され、空港職員や航空会社の社員らが泊まり込みで業務に当たる。ただ、職員の減少もあって、3月末から便数が2割減った。日本航空は1日2便ある上海と日本を結ぶ航空貨物便について、8日は欠航とした。9日以降も状況に応じて欠航の判断をするという。全日本空輸は、当面1日2便とする方針だが、通常時からはほぼ半減している。
海運も同様。上海港のコンテナ取扱量は12年連続で世界一を誇るなど、日本や世界にとって物流の一大拠点となっている。だがシンガポールメディアは、取扱量は平時の6割にまで下がっていると報じた。上海の港湾では今も24時間態勢で稼働している模様だ。ただ、新型コロナの陰性証明がなければトラックの運転手や作業員が港湾内に入れないことが影響している。
企業活動も停滞している。ロイター通信によると、米電気自動車大手テスラは上海工場での生産を3月28日から一時止めた。テスラは詳しく発表していないが、当初1日のみの予定だったが、生産停止を延長しているとみられる。中国メディアはドイツ自動車大手のフォルクスワーゲンの関係者の話として、地元の上海汽車との合弁の上海工場で生産を止めていると報じた。
【ロシアのデジタル鎖国】
ロシア軍のウクライナ侵攻以来、周知のとおり、ハードの軍事衝突とソフトの<情報戦>が並行して進められている。<情報戦>はテレビのほかに掌に入るスマフォのSNSを通じて映像等として伝わり、それがまた直ちに拡散されて多数に届けられる。情報を受け手は種々の情報を選別し、比較検討して真実が何かを判断する。ウクライナや西側諸国では、Twitter等のSNSが活躍する。その情報はロシア国民に届いているのか。
8日の日経新聞は「ロシア、デジタル鎖国で世論操作 ロシア政府側、1000万超SNS拡散 偽情報で世界と分断」の見出しで「ウクライナ侵攻を続けるロシアが、国内で偽情報を大量拡散し世論操作を進めている。現地SNS(交流サイト)上の主な偽情報の拡散経路を日本経済新聞が調べたところ、ロシアの拡散工作を担ったとみられる100以上のアカウントが確認できた。1カ月の閲覧数は1000万件を超え、ほとんどが国内とみられる。偽情報を飽和させ、国民を世界の情報から分断している」と報じた。
具体的には、「遺体なのに動いている」。ウクライナ首都近郊ブチャでロシア軍が民間人を虐殺した疑いが強まる中、旧ソ連圏で普及するSNSテレグラムで、虐殺の映像はウクライナ側の捏造(ねつぞう)だとする偽情報が3日、ロシア政府の工作用とみられるアカウント<ウォーフェイクス>から投稿された。すかさずロシア国防省や政権寄りのテレビ司会者らが転送し、大量に拡散された。ウォーフェイクスは<ウクライナ側の偽情報を暴く>とするアカウントで、ロシア側の偽情報を発信してきた。今回も、遺体が横たわる映像を画質が低い状態で貼り付け「ウクライナ側が被害を演出した」と主張したが、実際は遺体は長期間同じ場所にあったことが衛星画像で確認されている。
この投稿の拡散経路は、4割以上が侵攻前後から拡散工作に関わったとみられるアカウント群と重なった。ウォーフェイクスもここに含まれる。
日経新聞は、ウクライナ侵攻直前から1カ月間にロシア政府系アカウントがテレグラムに投稿した主な偽ニュース15件の拡散経路を調べた。偽情報は「ウクライナ軍の攻撃で住民の保護が必要」「被害報道は嘘」といった内容で、政府の息のかかった専門家や、連携して大量転送を繰り返すアカウント群が拡散を増幅していた。1カ月の閲覧数は1029万件に上った。
侵攻時、ロシアは西側SNSを容認していたが、戦況膠着後に遮断。偽情報を国内に飽和させていった。米シンクタンク大西洋評議会のアンディ・カービン上級フェローは「国民向けに侵略を正当化する<証拠>を圧倒的な量で提示」する狙いを指摘する。偽情報工作はロシアの常とう手段だ。2014年に「ウクライナの親米政権が弾圧している」との偽情報を口実に軍事介入し、クリミア併合に成功したことで自信を深めていた。2月24日の侵攻前後にも、同様の武力行使の口実とするための映像が多数確認できた。
侵攻直前に流れた「ウクライナ軍による親ロ派支配地域への砲撃」の映像を日経新聞が独自に分析したところ、砲弾の飛来音を捏造した可能性が高いことが分かった。音声を解析すると、編集された可能性が高い。日本音響研究所(東京・渋谷)によると「爆発音の直前に飛来音を足したと推定される」という。通常の爆弾の落下速度なら写るはずの飛来物体も確認できない。非営利団体ファースト・ドラフト・ニュース、拓殖大学の佐藤丙午教授ら専門家は、どちらの画像も爆発規模や炎の方向が不自然だと指摘する。西側メディアでは偽情報の検証が活発になっている。フェイク対策技術への投資も進み、偽情報の流通には一定の歯止めがかかっている。一方、ロシア国内であふれた偽情報は、中国、ギリシャなど関係の近い地域のニュースサイトなどへ転載されている。
【ウクライナのEU加盟を加速】
9日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄】によれば、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した。フォンデアライエン氏はウクライナのEU加盟について「プロセスをできるだけ加速していきたい」と述べた。フォンデアライエン氏はゼレンスキー氏にEU加盟の手続きの1つである調査書を手渡した。ロイター通信によると、ゼレンスキー氏は1週間以内に回答すると答えた。その上で「ロシアに対する制裁をさらに強化する必要がある」と訴えた。
フォンデアライエン氏は会談に先立ち、多数の民間人が殺害されたキーウ近郊のブチャを訪問した。フォンデアライエン氏は「この戦争は国際社会全体への挑戦だ」とロシアを非難した。その上でEUが決めた制裁に触れ、「ロシアは経済、財政、技術で衰退していくだろう。ウクライナは欧州の未来に向かって前進している」と語った。フォンデアライエン氏に同行したEUのボレル外交安全保障上級代表は駐ウクライナのEU代表部をキーウに戻し、外交業務を再開すると表明した。ロシアのウクライナ侵攻後、代表部は一時的にポーランドに移転していた。
EU機関のトップとしては、欧州議会のメツォラ議長が1日にキーウを訪れた。3月半ばにはポーランド、チェコ、スロベニアの3首相が鉄道でキーウを訪問し、ウクライナへの連帯を伝えている。
【スマフォ漬け】
東京や横浜で電車に乗ると、年齢を問わずスマフォを見ている人が多くなった気がする。ざっと数えて9割にも上るのではなかろうか。ゲームに熱中したり、碁や将棋に打ち込む人もいるらしい。スポーツ中継もあろう。よく目が疲れないなとうらやましく思うこともある。通りですれ違う人が、しきりに喋っているのに驚かされることも少なくない。
9日の日経新聞は「Z世代<つながり>が合言葉 音声SNSや仮想空間で交流」の見出しで次のように報じた。
「スマートフォンやネットを子どもの頃から身近に使うデジタルネーティブのZ世代(12~26歳)が、SNS(交流サイト)での<つながり>を深化させている。文字や画像、動画のやりとりにとどまらず、デジタル空間で常につながる状態になれる音声SNSや仮想空間アプリの利用が伸びる。新型コロナウイルス下でリアルでの交流に制限があるなか、オンラインの友人関係を重視する人もでてきた。
「1日4時間は使っている」。都内の大学に通う大学生の江原昂希さんは音声通話アプリ<パラレル>の利用状況をこう語る。利用は週に4回ほどでゲームや雑談だけではなく、「大学の課題を相談しながら一緒にやることもある」。新型コロナで大学に通えず、友人がつくりづらい中、心の支えになったのがアプリでつながる地元の友人である。
パラレルはオンライン上に部屋を作り、そこに入室して来た人たちと会話を楽しめる。コミュニケーションの中心となるのは音声だ。スマホは机に置いて、アプリを開いたまま音声会話できる。通話の安定性や音質にこだわっており、ボイスチェンジなどの音声ならではの機能もある。
江原さんのように音声通話アプリを通じて共通の趣味をもつ仲間とつながるZ世代が増えている。LINEなどのチャットアプリよりも3~10人のグループ内でゲームや動画など会話の<ネタ>となるコンテンツを共有しやすい。
パラレルは2019年夏の開始以来、1年半でダウンロード数は100万を超えた。利用者の7割がZ世代だ。人と直接会えない代わりに、SNSで友人を見つけたり遠方の友人とつながったりする。…
Z世代は<つながり>を求めてSNSを使っている。米コンサルティング会社のEYアメリカが実施したZ世代のSNS利用調査によると、回答者の8割が<家族や友人とのつながり>のために使っていた。情報収集のためは約4割、意見の拡散のためと答えたのは約2割にとどまった。…
また3Dアバターのソーシャルアプリ<ZEPETO(ゼペット)>で知り合った友人とバーチャル空間で待ち合わせる。自作アバターを使い、写真撮影や会話をして遊ぶ。ゼペットは18年のリリース以来、世界で約3億人が利用し、そのうち約8割がZ世代だ。観光地などをイメージしたバーチャル空間でアバターを使って交流する。外出自粛で海外旅行ができないなか、三浦さんは「旅行した気分を味わえて楽しい」と話す。…」
【ウクライナ東部作戦にロシアが新司令官】
10日の日経新聞【カイロ=久門武史】発によれば、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの作戦を統括する司令官を新たに任命したと複数の欧米メディアが9日、欧米当局者の話として報じた。ロシアが軍事介入したシリアでの作戦を指揮したとされる。ロシア軍はウクライナ東部での戦闘に向け、車両など部隊を南下させ、態勢の立て直しを図る方針とみられる。
任命されたのは南部軍管区のドボルニコフ司令官。2015年から内戦下のシリアでアサド政権の劣勢挽回を支援する作戦を率い、市街地への爆撃で市民の死傷者を多数出したと批判された。ウクライナの作戦でも民間人の犠牲が膨らむ懸念がある。
一方、ウクライナのベネディクトワ検事総長は10日、キーウ(キエフ)州でこれまでに1222人の死亡が確認されたと英スカイニューズ・テレビに明らかにした。同州では侵攻したロシア軍が撤退後、多数の民間人の遺体がみつかっている。
【ジョンソン英首相がキーウを電撃訪問、軍事支援強化を表明】
10日の産経新聞によれば、ジョンソン英首相が9日、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナの首都キーウ(キエフ)を予告なしに訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した。英首相官邸によると、ジョンソン氏は120台の装甲車や対艦ミサイルの新たな提供など軍事支援の強化を表明した。ロシアの侵攻後、国連安全保障理事会常任理事国や先進7カ国(G7)といった主要国の首脳によるキーウ訪問は初めて。
【フランス大統領選、24日に決選投票】
11日の日経新聞【パリ=白石透冴】によると、10日に実施したフランス大統領選挙の1回目投票は、即日開票の結果、現職で中道のマクロン大統領が得票率で首位、極右国民連合ルペン党首が2位となった。今回の投票では5割以上得票する候補がおらず、両氏が24日の決選投票に進むこととなった。ロシアのウクライナ侵攻で燃料価格などが上昇しており、決選投票では物価対策などが争点となりそうだ。仏内務省によると開票率96%の段階で、得票率はマクロン氏が得票率27.41%、ルペン氏が24.03%となっている。3位の急進左派「不服従のフランス」のメランション党首(21.57%)を上回っている。
マクロン氏は締め切り後の演説で「考えの異なる人も団結できるよう、私は新しいものを作り上げていく。1回目投票で他候補に投票した人も、我々に加わってほしい」と勝利宣言し、決選投票で自身に票を投じるよう呼びかけた。ルペン氏は「フランスが自分で判断できる力を取り戻し、移民を制限したい」などと語り、マクロン氏の政治を「不正義と混乱を引き起こす」と批判した。
24日の決選投票の結果いかんで欧州の政治地図は大きく変わり、ロシアと関係の深いルペン氏がもし勝利すれば、ウクライナ戦争の行方にも影響が大きい。
【ウクライナの対外発信に米巨大IT企業が支援】
11日の日経新聞は「ウクライナの対外発信、マスク氏衛星通信やZoomが支援」の見出しで、次のように報じた。
「ウクライナが世界へ対外発信を強めるなか、米巨大IT(情報技術)企業が情報通信インフラの確保を側面支援している。米テスラ最高経営責任者(CEO)でスペースXを率いるイーロン・マスク氏の衛星通信設備が続々到着し、ビデオ会議のZoom(ズーム)も活用する。米マイクロソフトがサイバー攻撃対策で助言し、米グーグルが政府のアプリを使いやすくするといった動きもある。「アジアで初めてロシアに対する圧力をかけ始めたのが日本だ」。ウクライナのゼレンスキー大統領は3月、日本の国会でオンライン演説し、熱弁をふるった。生中継で使われたのは、国際舞台では珍しい米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのオンライン会議システムだった。
サービス登場当初は簡易なビジネス用途が中心だったズームも、セキュリティー強化の要望に応え政治の舞台にも使われるようになった。衆院議院運営委員会の山口俊一委員長によると、ウクライナ側からの要望を踏まえてズームを使ったという。ロシア軍の攻撃で、光ファイバーや携帯電話網などウクライナのITインフラが厳しくなる中、ウクライナ政府は限られたIT資産と技術者でビデオ演説やSNS(交流サイト)を使った対外配信を続ける。ウクライナ政府とスペースXに通信手段についてコメントを求めたが得られなかった。
ウクライナに通信基地局を提供する欧州の通信会社幹部は、社員がウクライナ向けの保守サポート業務を継続していることを明らかにした。ウクライナのビデオ配信については「政府はマスク氏に供与された端末を人工衛星経由で活用しており、中継などにも使える」と分析する。
スペースXの衛星通信システム<スターリンク>は、高度3万6000キロメートル近い従来の通信用衛星と異なり、高度550キロメートル前後で周回する多数の小型衛星を活用する。地表に近い分、データ転送の遅延が少なく、ビデオ通話やライブ配信にも適している。スペースXはこれまで1400基超を稼働させており、ダウンロード速度は固定ブロードバンド通信並みという。「新しいスターリンクの基地設備が届いた! 悪を打ち負かすのに役立つ」。ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換相は3月、到着した通信設備とみられる箱が山積みになった写真や、建物の上に設置工事中の写真を複数回ツイッターに投稿した。」
【インターネットの役割】
12日の朝日新聞デジタルは、「1990年代、インターネットが民間でも利用できるようになった契機が、冷戦終結でした。組織内で閉じていたネットワークを、外部へつなぎ、ネットワーク同士を結びつける。軍事技術の民間転用として、学術の分野から普及していったのです。それからおよそ30年。侵攻された国が戦場の悲惨な映像を流せば、攻め込んだ国がそれはでっちあげだと主張する。インターネットは、人の血が流れる戦場の最前線となっています。世界が分断されることになれば、<インターネット>は世界全体をつなぐものでなく、「あなたとわたし、それぞれのインターネット」が存在する世界になってしまいます。かつて人類が夢見たインターネットは、幻となってしまうのでしょうか」と前置きし、著書「新しい軍隊」(内外出版)などで、情報戦を交えたハイブリッド戦争に詳しい松村五郎・元陸上自衛隊東北方面総監から聞いたウクライナ侵攻の現段階(第3のフェーズ)を次のように伝えた。
「ロシア軍は少なくとも、東・南部を中心にウクライナの3分の1程度を支配下に収めることを目標に作戦を続けるでしょう。そこで膠着状態に陥れば、これ以上非人道的な事態が広がらないよう、軍事的に停戦して政治交渉する局面に入らざるを得ません。朝鮮戦争も膠着してから、実際の休戦協定まで1年以上、時間がかかっています。
でも、そうなれば、ウクライナは分割された状態に陥ってしまいます。ウクライナの人々はそんな状態は受け入れられないでしょう。それを避けるためには、何としても押し返すしかありません。
押し返すために必要になるのが、チェコが最近ウクライナに供与したという戦車や歩兵戦闘車です。ロシアが防御する態勢に入れば、おそらく陣地を作るでしょう。そうなると携帯式対戦車ミサイル<ジャベリン>だけでは押し返せない。
一番効果的なのは航空戦力で陣地をたたく方法です。そのうえで、戦車や歩兵戦闘車が先導しながら、歩兵部隊が陣地を奪回するしかありません。米国が最近、自爆ドローン<スイッチブレード>の供与を決めたという報道は、航空攻撃の代わりに使う考えがあるのでしょう。うまくいけば、ウクライナに有利な状況で停戦に持ち込めます。ゼレンスキー大統領が最近、戦車などの支援を繰り返し求めているのは、こうした目的があるからです。今、ウクライナが東・南部で押し返せるかどうかの重要な局面にさしかかっている」。
【バイデン氏が<ジェノサイド(大量虐殺)>と非難】
13日の日経新聞【ワシントン=中村亮】によれば、バイデン米大統領は12日、中西部アイオワ州での演説で、ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が<ジェノサイド(大量虐殺)>を行っていると非難した。ジェノサイドという言葉を使うのは初めてで、ロシアに対する批判を一段と強めた。…
バイデン氏は演説後に記者団に対し、ジェノサイドと批判した理由について「プーチンがウクライナ人という概念を消し去ろうとしていることが一段と明確になってきたからだ」と説明した。法的にジェノサイドと認定するかどうかは専門家に委ねるとしつつ「私にはそのように思える」と話した。
これまでにバイデン氏は3月中旬、プーチン氏について「彼は戦争犯罪人だと思う」と明言したが、ロシア軍が大量虐殺をしているとの見方は示していなかった。ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウ(キエフ)近郊で一般市民が殺害されたとして「ジェノサイドだ」と主張していた。
【ロシア黒海艦隊の旗艦モスクワが沈没】
15日、ウクライナ政府はロシア黒海艦隊の旗艦モスクワをウクライナ製の対艦ミサイル<ネプチューン>が撃沈したと発表した。一方、ロシア国防省はモスクワ号が爆発により火災が発生して船体が損傷を認めたうえで「火災で船体が損傷し、港にえい航される途中に安定性を失い、海が荒れる中で、沈没した」と明らかにした。いずれにせよ、ロシア軍にとって大きな痛手とみられる。
【主戦場がウクライナ東部へ移ると兵器の質が変わる】
15日の朝日新聞デジタルによると、「軍事大国ロシアの侵攻にウクライナが善戦している。それを支えているのが外国からの武器支援。特に米国は毎週のように追加の支援を表明し、侵攻開始後だけで支援額は25億ドル(約3100億円)を突破した。今後、主戦場になるとみられるウクライナ東部での戦いに向け、供給する武器の種類に変化も出ている」として次のように報じた。
(首都防衛にはジャベリンが活躍)
米国からの軍事支援の代表格となったのが対戦車ミサイル「ジャベリン」と対空ミサイル「スティンガー」で、いずれも携行型と呼ばれ、兵士が肩に担いで発射できる。敵の戦車や航空機に照準を合わせて発射すると、誘導型のミサイルにより高い命中率を誇る。これまでの戦闘では、ウクライナ側に渡ったこれらの兵器が大きな役割を果たした。
大規模な車列を組んで首都キーウ(キエフ)など都市部に迫るロシア軍に対し、ウクライナ軍は「創造的で機敏」(米国防総省)な防衛を展開した。機動性の高い少数の兵士がジャベリンを手にゲリラ的に車列を狙い、効率的にロシア軍の前進を足止めした。
スティンガーを含む、ウクライナ軍の防空網も効果を発揮した。ロシア軍の航空機やヘリコプターが撃墜されるケースが散見され、ロシア空軍に本格的な空爆作戦を控えさせる展開に持ち込んでいる。
(東部に移る戦い、戦車が重要に)
今後の戦いではジャベリンばかりに頼ってはいられないとの見方が強い。キーウ周辺から撤退したロシア軍は、部隊の再配置を進める。今後は東部ドンバス地方が主戦場となるとみられ、必要となる兵器も変わってくる。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は7日、米上院軍事委員会の公聴会で「ウクライナは追加の戦車や大砲を求めている」と証言した。「南東部は北部と地形が異なる。より開けていて、(戦車などによる)機甲戦に適している」と述べた。
キーウ周辺で有効だったウクライナ軍によるゲリラ的な攻撃が、今後は通用しにくい可能性がある。逆にロシア軍は、平地で戦車を使った戦いを伝統的に得意としている。東部での戦闘パターンは、これまでとは様相が大きく異なりそうだ。
これを受け、米国もウクライナに提供する兵器を変化させている。13日には新たな8億ドル(約1千億円)分の軍事支援を表明。長距離砲の155ミリ榴弾(りゅうだん)砲(18門)や砲弾(4万発)を初めて提供するほか、敵の砲撃位置を特定する対砲兵レーダー、装甲兵員輸送車、ヘリコプターなど従来の支援より大型の兵器を充実させている。いずれも「東部での戦いに合わせたものだ」と国防総省高官は語る。
また高官は「あまり報じられないが、(小銃や機関銃などの)小火器の弾薬が特に重要だ」とも話す。ドンバス地方では8年前から戦闘が続いており、地形や市街地を熟知した両者の間では、接近戦も含む激しい戦いが予想されている。
(カギを握るのは旧ソ連製の兵器)
米国から提供することができない兵器もある。その代表例が戦闘機や戦車、対空ミサイルシステムなどの本格的な高性能兵器だ。高性能兵器を使いこなすためには訓練が必要だが、ウクライナ軍は米国製の兵器を使い慣れていない。従来、旧ソ連製の戦闘機や戦車などを主力にしてきたためである。
そこで、いまも旧ソ連製の兵器を保有する東欧諸国が重要となる。実際、チェコは旧ソ連製のT72型戦車をウクライナに提供したと報じられている。
スロバキアは今月8日、ウクライナに旧ソ連製の地対空ミサイル「S300」を提供すると発表した。代わりに米国が地対空ミサイル<パトリオット>をスロバキア国内に配備し、同国の防衛力を維持するかたちをとった。
米国は仲介役として欧州諸国に戦車の提供などを働きかけているという。スロバキアの例のように、米国が絡んだ<3カ国取引>による兵器提供がさらに増える可能性もある。
(輸送ルートの確保はできるか)
軍事支援にあたっては、輸送ルートの確保も焦点となる。
米国からは1日に数便の航空機が欧州に到着し、国境を越えて運び込まれた兵器はウクライナ軍のトラックで各地に陸路で輸送されているという。
今後は戦闘の中心がウクライナ東部に移ることで、輸送先も遠くなる。だが米国防総省の高官は「陸路には複数のルートがあり、効率的な輸送能力を持っている」として、今後も東部への兵器輸送には問題がないと自信をみせる。
ロシア軍はこれまで欧米からの輸送ルートを狙った攻撃を多くはみせてはいない。だがロシア国防省は今月9日、ウクライナ中部にある2カ所のウクライナ軍の弾薬庫を破壊したと発表した。米国防総省も「ロシアがウクライナ軍の補給路への攻撃に関心があるのは間違いない」と述べ、今後は輸送ルートが狙われる可能性がある。欧米からの軍事支援を順調にウクライナ軍に届け続けることができるかは予断を許さない。
(強まる欧米からの支援の流れ)
欧米がウクライナに兵器を提供するにあたり、常に神経を使うのがロシア側の反発だ。ロシアは、欧米側からの兵器提供について「非常に悪い結果を招く」と牽制しており、<レッドライン<を慎重に見極めながらの支援が続く。
象徴的だったのが、3月に断念した戦闘機の提供だ。ポーランドが保有する旧ソ連製のミグ29戦闘機を、米国を経由してウクライナに提供する計画があったが、「ロシアの反発を招きかねない」と計画は白紙となった経緯がある。
だがロシアとの直接交戦に巻き込まれることを恐れて慎重だった米国も、徐々に大胆な軍事支援を見せ始めている。
当初は提供する兵器の内容さえ明かさなかったが、最近は提供する兵器のリストを積極的に公開。自爆型ドローン(無人機)<スイッチブレード>や榴弾砲など新たな兵器も投入し、欧州の駐留米軍が近隣国でウクライナ兵を訓練する意向まで明かしている。
訓練の実施がロシアを刺激しないかと問われ、米国防総省のカービー報道官は「プーチン氏やクレムリンに聞いて欲しい。我々はウクライナの要望に応えるし、他の国もやっている」と動じない姿勢をみせた。
苦戦続きのロシア軍が反発をみせる恐れが低下していることに加え、米国が果たす役割を国内外にアピールする狙いもあるとみられる。
また、チェコやスロバキアなどウクライナに近い東欧諸国でもロシアへの危機感が強まり、軍事支援に前向きな姿勢が目立つようになっている。ウクライナのゼレンスキー大統領も各国への演説で効果的な武器支援の呼びかけを続け、欧米からの支援の流れは今後も強まる傾向が続きそうだ。(ワシントン=高野遼)
【アゾフ連隊】
アゾフ連隊(アゾフ特殊作戦分遣隊、アゾフ分遣隊、アゾフ連隊とも言われる)は、2014年3月に制定された国家親衛隊法によりウクライナ国内軍となり、現在はウクライナ国家親衛隊の東部作戦地域司令部第12特務旅団所属のアゾフ特殊作戦分遣隊(通称: アゾフ連隊)となっている。アゾフ海沿岸地域のマリウポリを拠点とする。
国家親衛隊の任務は「国民の生命と財産の保護、治安維持、対テロ、重要施設防護等を主な任務とし、ウクライナ軍と協力しての軍事作戦による武力侵略の撃退、領土防衛等も実施する事」である。
初代司令官は当時、以前、社会民族会議に参加し、当時「ウクライナの愛国者党」を率いていたアンドリー・ビレツキー(2014年5月から10月)。2022年3月現在の司令官はデニス・プロコペンコである。創設当初は極右、右翼、ネオナチ、ナショナリストとして報じられて、現在はロシア側がネオナチと呼んでいる。
【ウクライナ侵攻が新段階】
19日の日経新聞は、「ウクライナ侵攻が新段階 ロシア、戦果求め大規模攻撃」の見出しを掲げ、次のように報じた。
「ロシア国防省は19日、ロシアのミサイル・砲兵部隊が一晩でウクライナの1260カ所の標的を攻撃したと発表した。前日の標的数の4倍に増えた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、東部ドンバス地方にロシア軍が大規模な攻撃を始めたと表明した。タス通信によると、ロシアのラブロフ外相は19日「(東部で)作戦の新段階が始まりつつある」と述べた。
ロシアは第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝った5月9日を対独戦勝記念日として重視する。戦勝記念日までに一定の戦果を求められるロシア軍は、東部で反転攻勢をかける。
軍事情報サイト「Oryx」によると、ロシア軍は18日時点で戦車・装甲車1500台超や、火砲、対空ミサイルなど3000近い装備を失った。ウクライナ軍との損失の差は開き続け、3.5倍を超えた。補給面の課題や部隊の士気低下が苦戦の一因とみられる。
当面の焦点は南東部の要衝マリウポリの制圧である。ロシア通信によると親ロ派勢力は19日、製鉄所に立てこもるウクライナ部隊に砲撃を始めた。ロシア国防省は改めて投降を呼びかけた。市当局によると、製鉄所地下には民間人1千人以上が避難している。
18日、米政権は8億ドル(約1000億円)規模の武器供与の第1弾がウクライナに到着したと表明した。ドンバスの戦いに備え、18基の155ミリりゅう弾砲など長距離火砲をてこ入れする。自爆攻撃機能を持つ無人機「スイッチブレード」や対砲兵レーダーなども提供する。米軍はウクライナ軍に兵器の使い方などの訓練を数日以内に始めるという。」
【要衝マリオプリの攻防】
19日、ロシア軍がマリオプリの製鉄所にいるウクライナ兵(主にアゾフ連隊)に対し武装解除して降伏するよう伝えた。これに対してウクライナ側は徹底抗戦を伝えた。
19日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄】によれば、ロシア軍が戦力を集中させていたウクライナ東部のドンバス地方((ルガンスク州とドネツク州))で18日、大規模な攻撃を開始したと、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオ演説で明らかにした。AP通信などが伝え、「ロシアが長い間準備してきたドンバス地方での戦闘を開始したと言える」と述べた。ロシアの軍のかなりの部分が、この攻勢に加わっているとの見方を示した。
一方で「ロシア兵がどれだけ動員されようとも、我々は戦う。我々は自らを守る」と語り、徹底抗戦する考えを表明した。ロイター通信によると、ウクライナ大統領府の幹部は「戦争の第2段階が始まった」と述べた。米欧からの軍事支援でウクライナはロシアの攻撃を食い止めることができるとも主張した。
ロシア軍は南東部の要衝である港湾都市マリウポリの包囲を継続し、市街地の大半を制圧したと主張した。ウクライナ軍は製鉄所の地下施設にこもり抵抗を続けているが、市街地は激しい砲撃で荒廃した。
マリウポリが陥落すれば、2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島とドンバス地方、ロシア領をつなぐ「回廊」ができる。ロシア本土への編入観測もくすぶる。
【ロシアが新しいICBMの試験発射に成功】
21日の読売新聞は、インターファクス通信等により、ロシア国防省が20日、大型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマート」(別名サタン2)の初めての試験発射に成功したと発表したと報じた。プーチン大統領は「世界に類を見ない兵器だ」と強調し、「攻撃的な言動でロシアを脅かす人々に再考を迫るだろう」と述べ、ウクライナ侵攻を巡って対ロシア制裁を強化する米欧をけん制した。
サルマートは射程1万1000キロ・メートル以上で、10以上の核弾頭が搭載できるとされる。弾頭部分はマッハ20(時速約2万4500キロ・メートル)で滑空飛行し、既存の米ミサイル防衛網では迎撃できないとされている。ミサイルは20日午後、北部アルハンゲリスク州のプレセツク宇宙基地から発射され、試験用の弾頭が設定した通り、カムチャツカ半島に着弾したとしている。
【ドンバスでウクライナ軍の抵抗強力】
24日の【ロンドン共同】によれば、英国防省は24日、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部ドンバス地域の前線で、ウクライナ軍が多くの攻撃を退けているとの分析を発表した。ウクライナ軍の抵抗が強力で、ロシア軍に著しい犠牲を負わせているとした。ロシア軍が士気の低下に加え、再編の時間が限られたことで、戦力を弱めている可能性があると指摘した。
【マクロン仏大統領の再選】
25日の日経新聞【パリ=白石透冴】によれば、
「24日に投開票されたフランス大統領選の決選投票で、現職のマクロン氏が再選された。仏内務省によるとマクロン氏の得票率は約59%となり、約41%にとどまった極右国民連合のルペン氏を上回った。マクロン氏の再選により親欧州連合(EU)路線は継続し、対ロシア圧力で米国などとの協調も続くことになる。
マクロン氏はEUの統合深化に向け、欧州軍の創設や域内の財政ルールの一部緩和などをあらためて主張する見込みだ。ロシアとの停戦協議が停滞しているウクライナ危機に対しても、再び積極的な外交を展開するとみられる。
ルペン氏は移民排斥や反イスラム教といった極右色を前面に出さず、物価高対策を選挙戦の中心に据え、燃料や電気にかかる付加価値税(VAT)の引き下げなどを訴え、インフレに不満を持つ国民や反エリート感情が強い若年・低所得層をひき付けた。一定の存在感を示したことは、物価高が国民の関心の中心になっていることを映す。フランス以外の国でも同様の傾向が強まっている可能性がある。
マクロン氏は弱点だった左派票の取り込みを強化する必要に迫られ、16日にマルセイユで開いた大規模集会では1億4000万本の植樹など環境重視を強調。ルペン氏の猛追をかわすため、国内向けの公約は終盤戦で変更や追加を繰り返した。」
【マスク氏がツイッター社を買収】
26日朝の日経新聞【シリコンバレー=白石武志】発によれば、米ツイッターは25日、米テスラ最高経営責任者(CEO)で起業家のイーロン・マスク氏による買収提案を受け入れることで合意したと発表した。買収額は同氏の既存保有分を含め、約440億ドル(約5兆6000億円)にのぼる。1日2億人超が使うSNS(交流サイト)大手を揺らした買収戦は、同氏の思惑通りに決着する見通しとなった。
【グテーレス氏、モスクワ訪問に先立ちトルコ訪問】
26日朝のNHKによれば、国連のグテーレス事務総長は、モスクワ訪問に先立ちトルコを訪問、エルドアン大統領と会談し、ロシアとウクライナの停戦の実現に向けて仲介役を務めるトルコと連携していくことを確認した。グテーレス事務総長は26日にはロシアのプーチン大統領と会談する予定で、事態を打開するきっかけとなるか注目されている。
この間、以下の番組を視聴することができた。(1)BS世界のドキュメンタリー「プーチン政権と闘う女性たち(再)」3月21日。 (2)BS1国際報道2022「ウクライナ主要都市に爆撃 ▽リビウから中継」22日。 (3)BS6 1930「皇帝プーチン氏、焦りが禁断兵器の引き金に」23日。 (4)NHKスペシャル「新映像詩 里山(2)「阿蘇の大草原 火山と生きる」26日。 (5)週刊ワールドニュース(3月21日~25日」26日。 (6)BS6 1930「強制連行も? 焦土化したマリウポリで何が? <電子戦>攻防の実態」29日。 (7)BS6 1930「裏切者は粛清か ▽プーチン氏の暴走で蘇る恐怖政治」30日。 (8)BS1スペシャル「大谷翔平×17人の真実 大谷と出会い人生を変えた17人」30日。 (9)BS6 1930「ロシア化学兵器の実態、プーチン氏決断の兆候、軍事侵略の<出口>」30日。 (10)NHK国際報道2022「縮小か? 再配置か? ロシア軍の実態はいま ▽大半は未熟な徴収兵」31日。 (11)NHK国際報道2022「ロシア側の攻撃続く東部ルガンスク州の知事に聞く」31日。 (12)BS6 1930「▽ 止まらぬ砲撃、▽停戦交渉続くも見えぬ出口、▽中ロが狙う新世界秩序」4月1日。 (13)NHK国際報道2022「ウクライナ最新情勢 ▽苦境に陥る”避難弱者たち”」4日。 (14)BS1持論公論スペシャル「ウクライナ侵攻1カ月 世界はどう変わる」4日。 (15)BS6 国際報道1939「綱渡りのロシア経済 天然ガス供給停止でプーチン氏が狙う欧州の分断」4日。 (16)BS8プライムニュース「プーチン発言徹底検証 ”健康不安説”の真偽」5日。 (17)BS世界のドキュメンタリー「新型コロナワクチン開発競争の舞台裏(後編)」5日。 (18)NHK国際報道2022「ウクライナ 市民殺害の関与可能性のある兵士の名簿公開」6日。 (19)BSプレミアム「見たことのない文化財<戦う芸術 甲冑>」7日。 (20)BS8プライムニュース「対ロシアでNATOの強硬姿勢 カギ握る<敗戦国ドイツの>の覚悟」12日。 (21)BS1「わが祖国はくじけない~在日ウクライナ女性の闘い~」14日。 (22)NHK国際報道2022「”虐殺の街”ブチャを取材 見えてきた事実は(再)」14日。 (23)NHK国際報道2022「国際刑事裁判所の検事 現地訪問し戦争犯罪の捜査へ」14日。 (24)週刊ワールドニュース(4月11日~15日)16日。 (25)NHK国際報道2022「ウクライナに向かうシリアの戦闘員(再)」18日。 (26)NHK国際報道2022「中国経済の”誤算” 世界最大のリスクが現実にも?」20日。 (27)NHK国際報道2022「民主主義を守る情報戦~リトアニアの模索~」21日。 (28)BS世界のドキュメンタリー「戦時下の大統領 ゼレンスキー」24日。 (29)NHK映像の世紀「百年前の感染症スペインカゼ 犠牲者44万人 ワクチン開発への願い」25日。
ウクライナ南東部の港都マリウポリに対してロシア軍は軍事攻撃を激化させ、多数の死者が出ているという。(後述)
【ゼレンスキー大統領の国会演説】
23日(水曜)に朝日新聞デジタルの[夜ニュースレター]によれば、「日本がすぐ援助の手、心から感謝」とゼレンスキー氏の国会演説要旨(同時通訳によるもの)を次のように伝えた。
細田衆議院議長、山東参議院議長、岸田総理大臣、日本国会議員のみなさま、日本国民のみなさま、本日は、私がウクライナ大統領として史上初めて、直接みなさまに対しまして、お話しできることを光栄に存じます。
両国の間には8193キロメートルあります。経路によって飛行機で15時間もかかります。ただし、お互いの自由を感じる気持ちとの間の差はないです。生きる意欲の気持ちの差はないです。それは2月24日に実感しました。日本がすぐ援助の手を差し伸べてくださいました。心から感謝しております。
ロシアがウクライナの平和を破壊し始めたときには、世の中の本当の要素を見ることができました。本当の反戦の運動、本当の自由、平和への望み、本当の地球の安全への望み。日本はこのようなアジアのリーダーになりました。
みなさまがこの苦しい、大変な戦争の停止のために努力し始めました。日本がウクライナへの平和の復活に動き始め、それはウクライナだけではなくてヨーロッパ、世界にとって重要です。この戦争が終わらない限り、平和がない限り、安全に感じる人がいないでしょう。
チェルノブイリ原発の事故をご存じだと思います。1986年に大きな事故がありました。放射能の放出がありました。その周りの30キロゾーンというのがいまだに危険なものでありまして、その森の中には事故収束当時から多くのがれき、機械、資材などが埋められました。
2月24日にその土の上にロシア軍の装甲車両が通りました。放射性物質のダストを空気にあげました。チェルノブイリ原発が支配されました。事故があった原発を想像してみてください。核物質の処理場をロシアが戦場に変えました。また30キロメートルの閉鎖された区域を新しいウクライナに対する攻撃の準備のために使っています。
ウクライナでの戦争が終わってからどれだけ大きな環境被害があったかを調査するのに何年もかかるでしょう。どういう核物質が空気に上がったかということです。ウクライナには現役の原子力発電所4カ所、15の原子炉があり、すべて非常に危険な状況にあります。
すでにザポリージャ原発というヨーロッパ最大の原発が攻撃を受けています。公共施設の多くが、被害を受け、環境に対するリスクになっています。石油パイプライン、および炭鉱もそうです。またサリンなどの化学兵器を使った攻撃もロシアが今準備しているという報告を受けています。核兵器も使用された場合の世界の反応はどうなのかが、いま世界中の話題になっています。
将来への自信、確信というのが今誰にも、どこにもないはずです。ウクライナ軍が28日にわたって、この大規模の戦争、攻撃に対して国を守っています。最大の国が戦争を起こしたのですが、影響の面、能力の面では大きくないです。道徳の面では最小の国です。
1千発以上のミサイル、多くの空爆が落とされ、また数十の街が破壊され、全焼されています。多くの街では家族、隣の人が殺されたら、ちゃんと葬ることさえできません。埋葬が家の庭の中、道路沿いにせざるをえません。数千人が殺され、そのうち121人は子どもです。住み慣れた家を出て、身を隠すために避難しています。ウクライナの北方領土、東方領土、南方領土の人口が減り、人が避難しています。
ロシアは海も封鎖しています。海運を障害することによって他の国にも脅威を与えるためです。すべての民族、国民にとって、社会の多様化を守り、それぞれの国境、安全を守り、また子供、孫のための将来を守るための努力が必要です。
国際機関が機能してくれませんでした。国連の安保理も機能しませんでした。改革が必要です。ロシアによるウクライナ攻撃によって世界が不安定になっています。これからも多くの危機が待っています。世界市場における状況も不安であり、資材の輸入などの障害が出ています。
これからも戦争をやりたいという侵略者に対して、非常に強い注意をしなければならないです。平和を壊していけないという強いメッセージが必要です。責任のある国家が一緒になって平和を守るために努力しなければならないです。
日本国が建設的、原理的な立場をとっていただきましてありがとうございます。ウクライナに対する本当の具体的な支援に感謝しています。アジアで初めてロシアに対する圧力をかけはじめたのが日本です。引き続きその継続をお願いします。また制裁の発動の継続をお願いします。ロシアが平和を望む、探すための努力をしましょう。
ウクライナに対する侵略の津波を止めるためにロシアとの貿易禁止を導入し、各企業が撤退しなければならないです。
ウクライナの復興を考えなければならないです。人口が減った地域の復興を考えないといけないです。
それぞれの人たちが、避難した人たちがふるさとに戻れるようにしなければならないです。日本のみなさんもきっとそういう気持ちがお分かりだと思います。住み慣れたふるさとに戻りたい気持ち。
予防的に全世界が安全を保障するために動けるためのツールが必要です。既存の国際機関がそのために機能できないので、新しい予防的なツールをつくらなければならない。本当に侵略を止められるようなツールです。日本のリーダーシップがそういったツールの開発のために大きな役割を果たせると思います。
ウクライナのため、世界のため、世界が将来、明日に対して自信を持てるように。安定的で平和的な明日が来るという確信ができるように日本の国民のみなさま、一緒になって努力し、想像以上のことができます。
日本の発展の歴史は著しいです。調和をつくり、調和を維持する能力が素晴らしいです。環境を守って文化を守るというのが素晴らしいです。ウクライナ人は日本の文化が大好きです。それはただの言葉ではなくて本当にそうです。2019年私が大統領になって間もなく、私の妻が目がよく見えない子供のためのプロジェクトに参加しました。それはオーディオブックのプロジェクトでした。そして日本の昔話をウクライナ語でオーディオブックにしました。ウクライナ語で。
それは一つだけの例ですけれども、日本の文化が本当にウクライナ人にとって非常に興味深いです。距離があっても、価値観がとても共通しています。心が同じように温かいです。
ロシアに対するさらなる圧力をかけることによって平和を戻すことができます。また国際機関の改革を行うことができるようになります。将来の反戦連立が出来上がった際に、日本が今と同じようにウクライナと一緒にいらっしゃることを期待しています。ありがとうございます。
ウクライナに栄光あれ。日本に栄光あれ。
【ロシアのウクライナ侵攻から1カ月】
24日の日経新聞は【ブリュッセル=中村亮】発で次のように伝えた。「ロシアがウクライナ侵攻を始めてから24日で1カ月となり、戦況は膠着し始めている。首都キエフを数日で制圧する<短期圧勝シナリオ>は補給体制の不備やウクライナ軍の強い抵抗で崩壊し、制圧地域もほとんど広がっていない。戦闘の継続で、双方とも死傷者が拡大し、戦力の喪失も大きくなっている。人道危機も深刻さを増している。
国防総省高官は22日、記者団に対して侵攻停滞の理由について燃料や食料の補給が依然としてスムーズに進んでいないと指摘した。
スコット・ベリア米国防情報局長は8日、ロシア軍の死亡者を2000~4000人と推計した。20年間のアフガニスタン戦争で命を落とした米兵は2461人とされる。…軍事サイト「Oryx」によると、ロシア軍の戦車や装甲車の損失は22日時点で800台超とウクライナ軍の3.5倍にのぼり、対地・対空ミサイルも約140と同6割多い。
米政権の推定で、ロシアは侵攻までに15万~19万人の兵力を国境付近に集めた。弾丸や燃料、食料など兵士1人の維持にかかる費用を1日1000ドル(約12万円)と仮定すれば、1日に1.5億~2億ドルの支出が続く。世界銀行によると、ロシアの2020年の軍事支出は約617億ドルで戦費負担も軽くはない。
元米軍高官のベン・ホッジス氏は米欧の経済制裁が効力を発揮し、今後戦費調達が苦しくなることなどもあり、ロシア軍は激しい攻勢を長くは続けられないと分析する。…地上部隊の苦戦を受け、ロシア軍は都市部への多数の砲撃などでウクライナの抵抗力をそぐ方針に転換している。特に南東部の港湾都市マリウポリでは避難所や商業施設などへの無差別砲撃を繰り返し、深刻な人道危機が発生している。…」
【サッカーW杯の予選を突破】
24日、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会アジア最終予選第9戦がオーストラリアのシドニーで行われ、B組2位の日本は同3位のオーストラリアに2-0で勝利して、7大会連続7度目の本大会出場を決めた。日本は7勝2敗で勝ち点を21に伸ばし、ベトナムとの最終戦(29日、埼玉スタジアム)を残して同組2位以内が確定した。W杯予選のアウェーでオーストラリアに勝ったのは初めてである。
【岸田内閣の支持率が上昇】
日本経済新聞社とテレビ東京は25~27日に世論調査を実施、岸田内閣の支持率は61%で2月の前回調査から6ポイント上昇した。ロシアのウクライナ侵攻を巡る日本政府の取り組みについては67%が「評価する」と答え、「評価しない」は22%だった。
政府の新型コロナ対応を「評価する」は64%と2月から8ポイント上がり、同趣旨の質問を始めた20年2月以降で最も高くなった。首相に優先的に処理してほしい政策でトップは38%の「景気回復」と「年金・医療・介護」だった。新型コロナ対策は12ポイント低下の30%だった。「外交・安全保障」は29%で、ウクライナ侵攻が始まる前の1月と比べて7ポイント高くなった。
ウクライナ侵攻を受けた政府対応への評価は与党支持層で76%と全体を9ポイント上回った。野党支持層は62%だった。世代別にみると18~39歳が63%、40~50歳代が68%、60歳以上が71%で年齢が高いほど評価する割合が大きかった。内閣を支持する理由は「人柄が信頼できる」(33%)、支持しない理由は「指導力がない」(34%)がそれぞれ1位だった。「指導力がない」は2月から11ポイント低くなった。
【中国各地で対コロナ都市封鎖】
21日の日経新聞【深圳=川上尚志】発によれば、中国が感染を封じ込める「ゼロコロナ政策」と企業活動の両立に苦慮している。南部の広東省深圳市は21日、1週間続けた事実上のロックダウン(都市封鎖)を解除した。一方で東北部の吉林省長春市では自動車などの工場停止が続く。中国全土で新型コロナウイルスの感染者数は高止まりしており、経済への打撃が広がる恐れがある。
ついで27日の日経新聞【上海=土居倫之】発によれば、上海市は28日、金融機関などが集積する東部を対象に事実上のロックダウン(都市封鎖)を始めた。対象地域でバスやタクシーなど公共交通機関の運行を停止、市民の外出を原則禁じた。新型コロナウイルスの感染収束を目指す措置だが、企業活動への影響は避けられない見通しだ。中国メディアは28日、米テスラの操業一時停止を報じた。
今回の都市封鎖は市内を2地域に分けて実施する。東部は4月1日午前5時(現地時間)までとし、その後、日本人が多く住む西部を対象に4月1日同3時から5日同3時まで実施する。封鎖期間中に全市民にPCR検査を実施。感染者を隔離し、新規感染の拡大を阻止する。
封鎖期間中は、対象地域でのバス、タクシーなど公共交通機関の運行を停止、許可のない自家用車の通行も禁止する。地下鉄駅も封鎖する。電気、ガス、水道、食料など生活インフラ関連以外の全ての企業に在宅勤務などを求める。株式・為替などの取引は通常通り実施される。
【大相撲春場所で関脇・若隆景が初優勝】
27日(日曜)、大相撲春場所で関脇・若隆景(27)=荒汐部屋 福島県出身=が
高安との決定戦を制し、12勝3敗で初優勝した。高安に追い込まれ、絶体絶命に見えた土俵際での上手出し投げは圧巻。新関脇の優勝は双葉山以来86年である。四股名・若隆景(わかたかかげ)の発音はアナウンサーも苦労していた。インタビューに「東日本大震災から11年、場所中にも地震に見舞われ、苦労している郷里の方々の励みになれば嬉しい」と答える雄姿があった。
【イスタンブールでのウクライナ=ロシアの4回目の協議】
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日夜の声明で「交渉から前向きなシグナルを受け取った。しかしロシアの砲弾の爆発音が消えるわけではない」と述べ、ロシア軍が攻撃を続ける可能性はなお高く、防衛態勢は緩めないと表明した。
南部のミコライウでは協議を実施した29日朝に行政庁舎がミサイル攻撃を受け、地元当局によると少なくとも12人が死亡した。ゼレンスキー氏はロシア側の発言を「信じる理由はない」と不信感を示し、ロシア軍の撤退、ウクライナの主権と領土の保証について妥協しないと改めて明言した。
29日の日経新聞【ウィーン=細川倫太郎、イスタンブール=木寺もも子】によれば、ウクライナとロシアの交渉団は29日、トルコのイスタンブールで対面形式の停戦協議を行った。ウクライナ側は米欧を含めた安全保障体制の構築や領土問題棚上げなどを提案し、ロシア側は回答を留保した。同日、ロシア国防省は首都キエフなどで「軍事活動を縮小する」と発表した。緊張緩和を印象づけるとともに、キエフ近郊でロシア側が苦戦していることが背景にありそうだ。
ロシア側の代表団は協議終了後に記者団に対し、提案をプーチン大統領に報告した上で回答すると明らかにした。ウクライナ側代表団によると、今後はオンラインで協議を継続するという。
ウクライナ側は協議の中で、北大西洋条約機構(NATO)への加盟は断念する方針を示した。代わりに、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国にドイツ、トルコなどを加えた新たな安全保障条約や欧州連合(EU)への加盟をロシアが妨げないことなどを求めた。
領土問題は棚上げすることも提案した。ロシアが2014年に一方的に編入したクリミア半島などについては「合意の中には含まない」とし、今後15年以内に解決を目指すという。
ロシア側の交渉団に参加しているフォミン国防次官は協議後、記者団に「ウクライナ側から明確な提案がなされ、協議が建設的に行われた」などとコメントした。ロシア国防省は29日、侵攻しているウクライナの首都キエフと北部チェルニヒウでの軍事活動を縮小すると発表した。
【ウクライナの戦局変化についての諸見解】
29日の記者会見で米国防総省のカービー報道官はウクライナの首都キエフへ進軍していたロシア軍の一部が再配置を始めたと明らかにした。再配置先がウクライナ東部となる可能性に触れて「ロシアはキエフ制圧に失敗した」と断定した。
カービー氏は「戦争開始から数日間の迅速な進軍は明らかにキエフが(ロシアにとって)重要な目標だったことを示す」と強調した。侵攻当初からキエフ制圧が目標ではなかったとのロシアの主張に反論した発言だ。
またキエフ周辺からロシア軍の一部が撤退したとの報道について「真の撤退ではなく再配置だ。ウクライナの他の地域での大規模な攻撃に注意を払う必要がある」と語った。再配置を始めた部隊は「小規模だ」とも述べたうえで「ロシアは東部のドンバスを優先すると言っている」と指摘し、ドンバスでの戦闘に加わるシナリオに言及した。
英国防省も29日、ロシア軍がキエフの包囲に「失敗したのはほぼ確実」とする分析を公表した。「ロシアは北部(のキエフ周辺)での戦闘能力を東部のドネツクとルガンスク2州での攻撃に転用する可能性が高い」という。
30日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕、中村亮】によれば、バイデン米大統領は29日の記者会見で、ロシアがウクライナの首都キエフなどでの軍事活動を縮小すると表明したことについて「どういう行動を取るか見る必要がある」と述べ、ロシアの対応を見極める考えを示した。ロシアとウクライナはトルコのイスタンブールで29日に停戦協議を開いたが、交渉の行方は見通せない。
【円安悪循環に警戒強まる】
30日の日経新聞は「円安悪循環、警戒強まる 為替の「理論値」も急低下」の見出しで「円安が急加速し、円の下落と経常収支の悪化が共振作用を起こす「円安スパイラル」への警戒が強まっている。長い目でみた円の均衡水準も1ドル=120円台に下落している可能性があり、構造的な円安の側面が出てきた。円安効果は一部の輸出企業や富裕層に限られる半面、その痛みは資源高もあいまって個人や中小企業に広く及ぶ。円安を前提にした経済運営のあり方が問われる。
28日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=125円...」と述べた。
これに関連して神田真人財務官は29日、アンディ・ボーコル米財務次官(代行)と財務省内で会談後、記者団に「為替の問題に関し、日米の通貨当局で緊密に意思疎通を図っていくことを確認した」と述べた。
【プーチン氏、ストレス平時の4割増】
31日の日経新聞は、「プーチン氏、侵攻で声に「緊張」 ストレス平時の4割増」の見出しで次のように報じた。独裁者の孤独を知るには有効な方法となろう。
「ロシアによるウクライナ侵攻から1カ月がたった。日本経済新聞は演説などの音声を解析しプーチン大統領の心理状態を探った。ストレスの値は軍事行動の数日前から高まり、侵攻後も緊張状態が続いた。米欧に追い詰められ対ロ制裁対策を協議する政府会議を開いた10日には、ストレス値が平時の4割以上に増えた。ただその後の18日の大勢の聴衆を前にした演説では高揚感が見られず、意欲のない様子が見て取れた。
心の揺らぎは声帯に影響し声の調子を変える。表情や言葉からは読み取りにくい胸の内を探る手がかりとなる。
侵攻が始まった2月24日を含む2月1日~3月18日までの配信の演説や会談の映像を調べ、1時間19分に及ぶプーチン氏の音声データを取得した。評価技術に詳しいリスク計測テクノロジーズ(横浜市)の協力を得てストレス度合いや心の乱れを分析した。」
【軍から誤った情報がプーチン氏へ】
31日の日経新聞は【ワシントン=坂口幸裕】を掲載して次のように報じた。
米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は30日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦況などについて軍から誤った情報が伝えられていると明らかにした。<プーチンがロシア軍に欺かれたと感じているとの情報があり、その結果、軍との間に緊張が生じている>と述べた。
ウクライナでの想定外の苦戦や米欧などによる対ロシア制裁に伴う経済的打撃に関し「誤った情報がもたらされている」と主張した。誤情報が伝えられる背景をめぐっては、プーチン氏の側近は「怖くて真実を話せないからだ」と語った。
バイデン政権は情報機関の調査に基づく今回の機密を解除してプーチン氏を取り巻く状況に関する情報公開に踏み切った。ベディングフィールド氏は「我々が公開した意図はロシアにとって(ウクライナ侵攻が)いかに戦略的失策だったかを理解してもらうことだ」と説明した。
またブリンケン米国務長官は同日、訪問先のアルジェリアの首都アルジェで記者会見し、プーチン氏に正確な情報が伝わっていない理由について「独裁国家のアキレスけんのひとつが権力者に真実を語る人物がいないことだ。それがロシアで表れている」と話した。
ウクライナの戦線に送られたロシア兵の多くは徴兵された若者が占める。米CNNは30日、米政府高官の話として「プーチン氏が徴兵を使っていると知らなかった。正確な情報の流れに明らかな断絶がある」と伝えた。
また米国防総省のカービー報道官は29日、ロシア国防省が同日にウクライナの首都キエフなどでの軍事活動を縮小すると発表したのを受け「キエフ制圧に失敗した」と断定した。
米欧の分析によると、当初ロシアは2月24日の侵攻から2~3日でウクライナを制圧できるともくろんでいたが、ウクライナ軍の激しい抵抗や現地での物資不足などで苦戦を強いられている。
【マリウポリの<人道回廊>は困難】
4月2日の日経新聞【ブカレスト=久門武史】によると、
「ロシア軍が包囲するウクライナ南東部の港湾都市マリウポリで1日に計画された住民の退避で、支援に向かっていた赤十字国際委員会(ICRC)が同日の現地入りを断念した。2日に再度試みるとしたが、焦点の住民の脱出が難航している模様。一方でウクライナのゼレンスキー大統領は1日、3000人強がマリウポリを脱出したと明らかにした。
ICRCの支援チームは50台以上のバスを先導しマリウポリから市民を退避させる運びと伝えられていた。ICRCは1日「民間人の安全な退避促進のためマリウポリに向かったチームが、引き返さざるを得なくなった」との声明を出し、前進が「不可能」とした。これに先立ち、人道支援物資の搬入が拒否されたと報じられ、ロシア側の妨害との見方が出ていた。ロシアは一時停戦して住民を逃す<人道回廊>を1日に設けるとしていた。マリウポリ市内にはなお約17万人が残されているとの見方がある。
一方、トルコのエルドアン大統領は1日、ロシアのプーチン大統領とウクライナ情勢を巡って電話で協議し、トルコでプーチン氏とゼレンスキー氏との首脳会談を開きたいとの意向を伝えた。両国の声明でプーチン氏の反応には言及がなく、前向きな回答はなかったとみられる。」
【強権中国から投資マネーが逃避開始】
4月3日の日経新聞は、「強権中国、戸惑うマネー 株・債券1~3月7400億円流出」の見出しで次のように報じた。
「中国から投資マネーが逃避し始めた。2022年1~3月の外国人投資家による株・債券の売越額は、4月1日時点の集計で384億元(約7400億円)となった。四半期ベースで過去最大の規模になる。ウクライナに侵攻したロシアの通貨や証券が暴落した連想から、強権的な政治・外交姿勢の中国への投資を見直す動きが広がりつつある。
「前例のない流出だ。外国人投資家が新たな視点で中国を見ている可能性がある」。国際金融協会(IIF)は3月24日、ウクライナ侵攻後に中国から大規模にマネーが逃避したと分析した。他の新興国からは流出がみられず<極めて異例の現象>という。
外国人による上海や深圳の上場株の売買は、香港を経由する相互取引(ストックコネクト)の動向で把握できる。3月は流入基調が止まり、451億元の売り越しとなった。債券も売られており、海外勢による保有残高は2月末に前月比803億元減と、減少幅が統計で遡れる15年1月以降で最大となった。株と債券を合計すると1~3月(債券は2月まで)の売越額は15年のチャイナ・ショックや20年の新型コロナウイルス禍の局面を上回った。
ここ数年、中国の市場開放や、世界の投資家が参照する投資指数への組み入れを背景に中国への証券投資が拡大してきた。主要な新興市場ファンドでは、08年の10%強から40%近くに高まっていた中国・香港株の組み入れ比率は29%に下がった。コロナやIT(情報技術)規制に、ウクライナ危機が重なった。資産運用会社DWSのショーン・テイラー氏は<過去3年間流入してきた資本が逆流し始めた可能性がある>とみる。
中国への投資を見直す傾向は長期に及ぶ可能性がある。投資家がこれまで軽視していた政治体制や価値観の違いに目を向けつつあるためである。中国投資を積極化してきたある日本の主要な年金基金は<中国による台湾侵攻の可能性を警戒する声もあるなかで、中国への投資を続けるかどうか議論している>と明かす。
投資資金の流れは変わっている。中国から流出する一方、政治や経済の自由度に応じて投資配分を決める<自由主義100新興市場指数>に連動するETF(上場投資信託)には3月、過去最大となる5300万ドル(約65億円)が流入した。世界最大の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金は3月、人権侵害に関与した疑いを理由に中国のスポーツウエア大手・李寧を投資対象から外すと表明。同社株は3月に1割強下げた。
マネーの<デカップリング(分断)>は16年ごろから顕著である。中国政府が対外投資を審査し、中国資本による不動産や娯楽などの米企業の買収が急減。米国は対内投資を審査する<対米外国投資委員会(CFIUS)>の権限を強化し、軍需関連など一部中国企業への投資も禁止した。」
【閑話休題】
この連載「人類最強の敵=新型コロナウィルス」は今回で49回目になる。妙な語呂合わせ<四苦八苦>(49+89)を思い出した。<四苦>とは仏教で<生老病死>を指すが、この49(四苦)回で当連載を終わりにしようかとの想いが念頭をかすめる。
この数週間、世界の中心的話題はコロナ禍よりロシア軍のウクライナ軍事侵攻に移っている。コロナ禍はすこし下火になりつつあり、それでも国際的な人の移動は大幅に制限されたままであり、第7波の可能性も排除できず、依然として<人類最強の敵>でありつづける。となれば、ここ49回で中止・終了とするわけにはいくまい。89回までの継続がないことを祈念しつつ、書き続けることとする。
【ウクライナとロシアの確執】
4月4日、ロシア軍のウクライナ侵攻が始まった2月24日から40日目となる。プーチン大統領の当初の目論見では、数日内に首都キーウ(新年度からロシア語のキエフに代え、ウクライナ語の発音表記を採用)を含め全土を掌握し、ゼレンスキー大統領に代わる人物を大統領につけること言われるが、それに失敗したロシア軍は首都キーウから撤退、兵力を南東部に集中させ、港都マリウポリの完全掌握のため今なお激戦中と言われる。市民の退避もままならず、<人道回廊>も機能せず、多数の死者・負傷者・餓死者が出ているという。
根の深い問題であることが分かる。理解を深めるには、2004年のオレンジ革命と2013~2014年のマイダン革命の2つの大事件を考える必要がある。その概要を見ておきたい。
【2004年のオレンジ革命】
ウクライナは開票の結果、大統領選挙におけるヤヌコーヴィチの当選が発表されると、その直後から野党ユシチェンコ大統領候補支持層の基盤であった西部勢力が、ヤヌコーヴィチ陣営において大統領選挙で不正があったと主張し始め、不正の解明と再選挙を求めて、首都キエフを中心に、ゼネラル・ストライキ、座り込み、デモンストレーション、大規模な政治集会を行い選挙結果に抗議した。
この抗議運動はマスメディアを通じて世界各国に報道され、大きな関心を呼んだ。特にヨーロッパやアメリカでは野党ユシチェンコに対して、ロシアでは与党ヤヌコーヴィチに対して肩入れする報道がなされた。この報道合戦ではナショナリズム的な報道に終始したロシア側に対して、一連の大統領選挙が民主的ではないというスタンスを取った欧米側の報道に世界世論がなびいたため、徐々にロシア側の行動が規制される結果となった。このことは、後のキルギスでの政変時(チューリップ革命)にロシア側として積極的な動きができないなどの足かせともなった。
ロシアの支持を受けたヤヌコーヴィチを中心とする与党勢力は選挙結果を既成事実化しようと試みたが、野党勢力を支持するEUやアメリカなどの後押しもあり、結局野党の提案を受け入れて再度投票が行われることとなり、再投票の結果、2004年12月、ヴィクトル・ユシチェンコ大統領が誕生した。ユシチェンコ政権は政権内部の抗争が相次ぎ、革命を支持した民衆も離反、最終的に支持率が一桁に落ち込む。
2013年12月の世論調査(異なる三箇所の会社)によると、ウクライナ人の45%から50%がマイダンを支持、42%から50%が反対している。最もデモ隊を支持している地域はキエフ(75%支持)と西部ウクライナ(80%支持)。12月7~8日間の世論調査では、73%のデモ隊が要求事項が行われるまでデモを続けると回答した。
【ゼレンスキー大統領の誕生】
ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキーは1978年1月25日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(当時)のクルイヴィーイ・リーフにユダヤ系ウクライナ人として生まれ、現在44歳。2019年5月20日にウクライナ第6代大統領に就任。ウクライナはイスラエル以外で唯一、大統領と首相が共にユダヤ人の国となった。Wikipedia、BS世界のドキュメンタリー「戦時下の大統領 ゼレンスキー」等により略歴と政治活動の特徴等を概括する。
祖父はソ連軍でナチス・ドイツと戦い、親戚の多くがホロコーストで命を落としたという。子供時代からゼレンスキーは話芸の才能を示し、旧ソ連時代からの伝統を持つロシアのバラエティー番組『KVN(ロシア語版)』(面白い奴らのクラブ)にウクライナ代表のアマチュア芸人として出演している。学業面ではキエフ国立経済大学のクルィヴィーイ・リーフ校で法学を専攻したが、大学卒業後は法曹ではなくコメディアンへの道を選んだ。ウクライナ東部出身のため母語はロシア語。元々ウクライナ語は苦手で俳優業やメディアではこれまでロシア語を使用してきた。大統領当選以降はウクライナ語の特訓を受け、会見等ではほぼウクライナ語のみでこなしている。
【コメディ芸人の才能発揮】
1997年、番組内でコメディ劇団「第95街区(ウクライナ語版)」を結成、台本の制作も手掛けるなど若くして番組の看板芸人に上り詰めた。2003年、「第95街区」をコメディ映画・番組・舞台の制作会社へと再編して、より幅広い活躍をするようになった。KVN視聴者が広がるCIS諸国での巡業やコメディ映画の制作・上映などを手掛け、ウクライナの大手テレビ局「1+1」などに番組を提供した[。2006年、イギリスのダンス番組『ストリクトリー・カム・ダンシング(英語版)』のウクライナ版で本格的なブレイクを果たし、ゼレンスキー出演回は最大瞬間視聴率が87.57%という記録的な数字を達成。2008年にはロシアのコメディ映画に出演。2012年、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが友情出演したことで話題になったウクライナ映画『ルジェフスキー対ナポレオン(ウクライナ語版)』でナポレオン役を演じている。
順調にキャリアを重ねる一方、不安定な状態が続くウクライナ社会への問題提起も行っていることで知られている。ゼレンスキーはオレンジ革命、マイダン革命などの自由主義革命に肯定的で、ロシア軍の軍事介入後は知名度を持つロシア語圏での反発を恐れず、ウクライナ軍に多額の寄付を行って支援した。
一方、ウクライナ政府が推進するロシア語文化の弾圧には強く反対し、文化大臣の辞任を求めている。ロシア民族主義とウクライナ民族主義のどちらにも賛同しない中立派として行動し、オリガルヒを筆頭に社会で蔓延する汚職や富の集中も強く批判している。これは、これまでゼレンスキーがウクライナ東部のロシア語圏で育ち、2014年までは主にウクライナの他にロシアを舞台に活躍し数々の作品に出演してきたことが大きい。1997年、番組内でコメディ劇団「第95街区(ウクライナ語版)」を結成、台本の制作も手掛けるなど若くして番組の看板芸人に上り詰めた。2003年、「第95街区」をコメディ映画・番組・舞台の制作会社へと再編して、より幅広い活躍をするようになった。KVN視聴者が広がるCIS諸国での巡業やコメディ映画の制作・上映などを手掛け、ウクライナの大手テレビ局「1+1」などに番組を提供した。2006年、イギリスのダンス番組『ストリクトリー・カム・ダンシング(英語版)』のウクライナ版で本格的なブレイクを果たし、ゼレンスキー出演回は最大瞬間視聴率が87.57%という記録的な数字を達成している。2008年にはロシアのコメディ映画に出演。2012年、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが友情出演したことで話題になったウクライナ映画『ルジェフスキー対ナポレオン(ウクライナ語版)』でナポレオン役を演じている。
【政治風刺ドラマ『国民の僕』】
2015年、ウクライナの「1+1」でゼレンスキーが主演する政治風刺ドラマ『国民の僕』(こくみんのしもべ)が全24話で放映された。一介の歴史教師がふとしたことから素人政治家として大統領に当選し、権謀術数が渦巻く政界と対決する姿をユーモアを交えながら描いた同作はウクライナで大流行した。物語は選挙で授業を妨害された主人公が怒りに任せて政府批判を行う様子を隠し撮りした映像が投稿され、インターネットでバズ化したことが導入部になっている。放送後にインターネット上でエピソードの無料公開が行われ、YouTubeに投稿された第1話の再生数は1200万に達している。
第1シーズンでは主人公を取り込もうとするベテラン政治家の手から徐々に離れ、閣僚を刷新して政権を確立するまでの3か月間を描いている。作品中で政治をゲームとして扱うオリガルヒ(新興財閥)、オリガルヒの駒として動く政治家、蔓延する縁故主義、浪費される税金、放置されたインフラ、脱税に奔走する資産家などウクライナ社会の腐敗と現状に怒りを覚える国民を描き出している。また歴史教師である主人公に啓示を与える存在として、リンカーン、チェ・ゲバラ、ユリウス・カエサル、イヴァン雷帝などの人物が登場する。
2016年、映画版として『国民の僕 第2部(ウクライナ語版)』が放送され、ウクライナ映画賞(金独楽賞)に主演男優賞でノミネートされている。2017年、テレビシリーズの第2シーズン全24話が放映された。IMFによる支援を受ける程に悪化したウクライナ経済を立て直すべく、汚職の一掃を目指す姿が物語の中心である。2019年、政敵の仕掛けた冤罪で政権を追われた主人公が大統領に復帰するまでを描いた第3シーズンの放送が開始された。
【ドラマから現実の政治家へ】
ドラマ『国民の僕』の流行により、国民の間では作中で描かれた主人公とゼレンスキーを重ね合わせ、現実の大統領選挙への出馬を期待する動きが起きた。2018年、ゼレンスキーは期待に応えて来年の大統領選出馬を声明。
2019年の大統領選には過去最大となる44名もの候補者が乱立しており、有力候補はオリガルヒ出身のペトロ・ポロシェンコ現大統領とユーリヤ・ティモシェンコ元首相という現在のウクライナ政界の混沌を現した状態となった。そうした中、ゼレンスキーは「第95街区」のメンバーらとドラマのタイトルを冠した政党「国民の僕」を立ち上げ、「作品の続き」をイメージした宣伝を開始した。選挙活動面では政治集会や討論会などは挑まず、原作の展開と同じくインターネット上での呼びかけを集中的に行っている。主人公が作中で国民に呼びかける際に口にする「親愛なるウクライナ国民へ」も多用されている。
ゼレンスキーの政治運動は全体として公正で自由主義的な社会を目指すことにあるといえる。内政面では最優先に「反汚職」を掲げ、税金の浪費を止めることを公約している。具体的には議員の免責特権廃止、選挙制度や裁判制度の改革、国民投票による直接民主主義の導入などを掲げている。経済政策でも企業の脱税や賄賂を取り締まり、社会正義を回復させることが経済成長や国外からの投資に繋がると主張。税制面ではフラット・タックスの導入を検討している。軍に関しては給与体系をNATOに準じた金額に改定する意向を示している。
外交面では東部分離主義勢力(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国)との戦闘について、軍事力での解決は非現実的であり、国内を疲弊させているとする。既に占領されたクリミア問題については「現実的に考えればロシア側での政権交代などを待つしかない」とする。こうした観点から分離主義勢力を支援するロシア連邦と協議し、戦争を終結させたいとしている。同時に欧州を席巻するポピュリズム運動が選択する欧州懐疑主義の立場には立たず、マイダン革命以降の親欧米派としてEUやNATOとの交流を深める親欧米外交を志向している。
オリガルヒの専横に関しては自身が出演するテレビ局を保有し、選挙活動の支援を行なったという報道のあるオリガルヒのイーホル・コロモイスキーとの関係をBBCに問われた際、「自分は誰かの傀儡ではない」とした上で「貴方は4000万名のウクライナ人が全て信念が無いと言いたいのですか?」と答えている。
細かい政策論争を挑まず、理念的な行動を取る事に批判の声もあるが、腐敗と閉塞した状況が続くウクライナ社会に強い不満を持つ青年層や労働者層を中心に絶大な支持を集めていた。
2018年の年末に行われた調査ではティモシェンコに次ぐ第2位候補として9%の支持を獲得して現職のポロシェンコを上回った。選挙戦本番でポロシェンコが巻き返しを図ったが、それを上回る勢いで草の根での支持が広がって最有力候補に躍り出た。2019年4月1日、第一回投票でポロシェンコ(17.8%)、ティモシェンコ(14.2%)の両名を大きく引き離してゼレンスキーが30.4%の得票を獲得、単独過半数には届かず決選投票で2位のポロシェンコと争う(ティモシェンコは不正選挙を主張しつつも敗北宣言)。
決選投票では「国民の僕 第三部」と題して、支持者に投票を呼び掛けるキャンペーンを行っている。決選投票を前にしてもゼレンスキー支持の勢いは留まらず、むしろ勢いを増して日を追うごとに現職のポロシェンコとの差を付け、世論調査での支持率は50%以上に達すると見られている。4月16日、焦りを深めるポロシェンコがゼレンスキーが拒否してきた討論会を挑むと、スタジオや会議場ではなく興行用のスタジアムでの開催という挑発的な条件を突き付けている。
4月20日、投票日前日にスタジアムでの討論会が行われた。ゼレンスキーは政治経験の不足を批判するポロシェンコの政治経歴を「失敗」と切り捨て、ポロシェンコが愛国心をアピールすると紛争で戦死した兵士達に祈りを捧げる仕草を見せた。堅実な政策論で支持を取り戻そうとするポロシェンコを得意のパフォーマンス合戦や口論に持ち込む事で終始翻弄し、ペースを握り続けた。
4月21日、出口調査の段階でゼレンスキーが決選投票で70%以上を得票、圧倒的な大差を付けて大統領に選出される事が確実となり、現職ポロシェンコが敗北を宣言した。ガリツィア地方の中心であるリヴィウ州のみでポロシェンコ氏に敗北したがそれ以外のすべての州で勝利。特にロシア語圏である東部や南部では得票率が8割を超える圧倒的な勝利であったことは、特にポロシェンコ政権によって国民の間で利用率の高かったロシアのSNSの禁止、映画やドラマ等のロシア文化の排除や両国間の直行便の就航の停止等の政策が行われる中、双方に親族も多くいる等関係の深い隣国ロシアとの関係の正常化に対する期待の大きさをうかがわせる。
高い支持率の勢いをもって迎えた2019年7月21日に行われた最高議会選挙では、自身の新党「国民の僕党」は、424議席中240議席以上を占める圧勝。ウクライナの議会選史上、初めて単独過半数を大きく上回る勝利で、現有議席ゼロから一気に第1党になった。
【2022年のロシアのウクライナ侵攻以後】
しかし、ウクライナが抱える経済、汚職、紛争といった難問を解決できず、当初7割台だった支持率は下落、とくに<ミンスク合意>で取り決められた親ロシア派の分離独立を認めずに<主戦論>を唱える民族派の猛反発に直面。この状況に対処するため、自らも失地回復を唱えるように方針転換をした。そのため、ロシアとの関係正常化はなくなった。その後はミンスク合意の反故やNATO加入に対する西側諸国の支持取り付けに動いたが、2021年9月の訪米でも法律主義や経済の未熟さを理由に回答は得られなかった。こちらでも成果をあげることはできず、2021年10月には支持率25%まで後退した。
2021年10月26日、東部の紛争地域で親ロシア派武装勢力への攻撃にトルコ製ドローン<バイラクタル TB2>を初めて使用。親ロ派の後ろ盾のロシアは27日、紛争をエスカレートさせる恐れがあると警告していたが、攻撃動画を公開、欧米がウクライナに苦言を呈する中、ゼレンスキーは29日、「領土と主権を守っている」と強気の声明を出した。年内に50機の購入計画に加え、翌年2022年2月3日にトルコ企業が開発した攻撃ドローンをウクライナで生産することでトルコ側と合意。記者会見でゼレンスキーは「新たな(ドローン)技術は、ウクライナの防衛能力強化を意味する」と述べた。
内外政の失敗による支持率の低さに苦しむ中、2022年2月にロシア軍がベラルーシとの合同軍事演習のためウクライナ国境付近に10万人規模の部隊を集結。これに対し、米軍の増派部隊が東欧に到着し始めたことで、緊張が一層高まった。ミンスク合意を取り付けたフランスの仲介も虚しく、ロシアは2月21日にウクライナ親ロシア派実効支配地域の独立を承認。24日にはウクライナへの侵攻を開始した。同日、ゼレンスキーは「国民総動員令」に署名。18~60歳の男性の出国を禁止し、戦闘状態に突入。
【東証の市場再編の初日】
4月4日(月曜)、東京証券取引所の市場が再編され、新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場が始動した。東証の中核市場に及ぶ再編は2部を新設した1961年以来約60年ぶりとなる。
従来より厳しい上場基準で分けられ、実質最上位の「プライム」には1839社が上場。東証1部に比べて上場企業数が減り、1社あたりの平均時価総額は3843億円と17%増える。企業統治は強化されるが利益成長を欠き、海外マネーをひき付けるのに十分でない。東京市場の活性化に向けた改革はなお途上である。
最上位市場の位置づけとなるプライムは買いが先行し、終値で67%の企業が値上がりした。日経平均株価は4営業ぶりに反発、前週末比70円(0.3%)高の2万7736円で取引を終えた。
【米テスラCEOのマスク氏がTwitter株9%取得】
4日の日経新聞は【ニューヨーク=堀田隆文】発を通じ、「マスク氏がTwitter株9%取得 筆頭株主の可能性」の見出しで、米テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏(フォーブス誌の世界長者番付の首位)が米ツイッターの株式9.2%を取得したことが分かったとし、次のように報じた。
マスク氏はツイッター株7348万6938株を取得し、筆頭株主になったとみられる。なおツイッターは世界最大規模の言論空間である。マスク氏が取得したツイッター株の価値は、1日の終値から試算すると28億ドル(約3400億円)超となる。ツイッター株は4日の米市場で1日終値と比べ、一時25%上がった。
これまでマスク氏はツイッター上で多くの情報を発信、消費者や投資家らと意思疎通してきた。4日時点で8000万人以上のフォロワーを抱える。2021年11月、自身が保有するテスラ株の売却への賛否を問う投票もツイッター上で実施した。
一方、直近ではツイッターに対して批判的なツイートをしつつ、新しいソーシャルメディアの創設を「真剣に検討している」との考えを明らかにしていた。ツイッターでの発言が混乱を呼ぶことも多い。18年8月にはツイッター上でテスラの非公開化を表明したが、3週間足らずで撤回。SECが証券詐欺にあたるとして訴訟を起こした。テスラ株売却の投票でも、投稿前の株売却を巡ってマスク氏と弟で取締役のキンバル・マスク氏をインサイダー取引の疑いでSECが調査していると米メディアが報じている。
【国連安保理でロシア軍による民間人殺害をめぐる緊急会合】
5日の日経新聞【ニューヨーク=吉田圭織、白岩ひおな】発によれば、国連の安全保障理事会はロシア軍による民間人の虐殺が起きた疑いがあるウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどの状況について緊急会合を開く。4月の安保理議長国を務める英国のウッドワード国連大使がツイッターで明らかにした。
緊急会合では、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説する。ロシアによるウクライナ侵攻以来、安保理での演説は初めてとなる。ゼレンスキー氏はブチャで少なくとも300人の民間人が殺害され、ボロディアンカなど他の地域では犠牲者の数はさらに多い可能性があると指摘している。
ウッドワード氏はニューヨークの国連本部で開いた記者会見で、会合について「戦争犯罪やジェノサイド(大量虐殺)だと指摘されるブチャから出てきた画像について話し合う最初の機会となる」と話し、「ロシアに軍を撤退させ、違法な戦争を止めさせるための圧力にもなる」とも述べた。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は訪問先のルーマニアで「ロシアは戦争犯罪を行った責任を取らなければいけない」と強調。安保理会合では「ロシアに対抗し、孤立させる用意はできている」と訴えた。一方、ロシアのポリャンスキー国連次席大使はブチャで民間人の遺体が発見された状況について、ウクライナの過激派による挑発だと主張している。
6日の日経新聞【ニューヨーク=白岩ひおな】によれば、国連安全保障理事会は5日、ウクライナでのロシア軍による民間人殺害をめぐる緊急会合を開いた。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使はロシアの国連人権理事会の資格停止を求めた。各国からは首都キーウ(キエフ)郊外ブチャなどでの民間人殺害への非難が相次ぎ、米欧などは「戦争犯罪」や「人道に対する罪」にあたる可能性があると指摘した。
冒頭、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説し、「ロシア軍は市民を意図的に殺害した。ある者は拷問を受け、ある者は路上で撃たれた」と、ブチャの惨状を訴えた。ロシアによる民間人殺害を「第2次世界大戦後、最も恐ろしい戦争犯罪だ。ロシア軍と彼らに命令した者に直ちに法の裁きを下さなければならない」と糾弾。「国連の機能不全は明らかだ」と指摘したうえで「安保理の拒否権が死の権利にならないよう、国連を改革しなければならない」と訴えた。直ちに行動できない場合、国連は「解散」すべきだとも述べた。
ロシアによる民間人の殺害が戦争犯罪にあたるかどうかをめぐっては、各国に温度差もある。広義の戦争犯罪は、①集団殺害犯罪(ジェノサイド)、②人道に対する犯罪、③戦争犯罪、④侵略犯罪―に分かれる。米欧などは、民間人や民間施設への故意の攻撃といった戦争犯罪や、広範囲・組織的な住民の殺害や性的暴行など人道に対する罪にあたるとの考えを示した。インドは「民間人の殺害を明確に非難し、独立した調査を支持する」と述べた。
【EU各国がロシア外交官を追放】
【4月6日 AFP】によると、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる国際社会の反発が強まる中、ロシア軍による(キーウ近郊)ブチャにおける残虐行為に対して、欧州連合(EU)諸国は4日から5日にかけ計200人近くのロシア外交官の追放を発表した。
4日にはドイツ、フランス、スウェーデン、デンマークが追放措置を発表。翌5日には、イタリア、スペイン、スロベニアがこれに続いたほか、EUも関連機関で働く複数のロシア外交官を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定した。8日には日本も外務省が日本に駐在するロシアの外交官ら8人(大使館員と通商代表部職員)を国外追放すると発表した。
【バイデン政権が新たな追加制裁】
7日の日経新聞【ワシントン=鳳山太成】によれば、バイデン米政権は6日、ロシアへの新たな経済制裁を発表した。ロシア最大手銀行やプーチン大統領の娘2人の資産を凍結し、米国の企業や銀行との取引を禁じる。ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊でロシア軍による民間人殺害が見つかったのを受け、欧州や日本と協調してプーチン政権への圧力を強める。
バイデン大統領は同日ツイッターで「ロシアは(キーウ近郊)ブチャにおける残虐行為で厳正で速やかな代償を払うことになる」と述べた。米ホワイトハウスによると、最大手のズベルバンクと4位のアルファバンクの資産を凍結、米国の企業や銀行との取引を禁じる。ズベルバンクはロシアの銀行が持つ資産の3分の1を有し、アルファバンクは民間商業銀行としては最大手。なお米政府高官によると、ロシア産原油や天然ガスの取引に即座に悪影響を及ぼさないようにするため、金融機関への制裁ではエネルギー関連の取引は例外として認める。
また米国の企業や投資家によるロシアへの新規投資も禁じる。これまでは同国の主力産業であるエネルギー分野への新規投資を禁じてきたが、自動車や素材などあらゆる分野で米国の資金や技術が流れ込むのを食い止める。
さらにロシアの重要な国営企業にも資産凍結や取引禁止の措置を講じる。米財務省が具体的な対象を近く公表する。
【国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止】
8日の日経新聞【ニューヨーク=白岩ひおな】によれば、国連総会は7日に開いた緊急特別会合で、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議を日米欧など93カ国の賛成多数で可決した。中国やロシア、北朝鮮など24カ国は反対票を投じ、インドやブラジルなど58カ国は棄権した。ウクライナでの民間人殺害を受け「ロシアによる重大かつ組織的な人権侵害」があったとして「重大な懸念を表明する」と明記した。
ウクライナのクレバ外相はツイッターで「戦争犯罪者は人権を保護する国連の機関に居場所がない。歴史の正しい道を選んだすべての加盟国に感謝する」と歓迎した。一方、ロシアのポリャンスキー次席大使は採択後「今日の恥ずべき投票の後、ロシアは(23年までの)任期終了前に人権理を脱退した」と表明した。
【上海のロックダウン(都市封鎖)が長引く】
8日の朝日新聞デジタルによると、中国最大の経済都市である上海のロックダウン(都市封鎖)が長引き、経済への打撃が深まっている。<ゼロコロナ>を目指した外出禁止や移動制限により、生産・物流が滞っている。サプライチェーン(供給網)でつながる日本にも、影響は広がり始めた。
中国の日系企業の物流関係者は「先が読めないのがつらく、どうしたらよいものか」と嘆く。上海の浦東国際空港は従業員も出入りが制限され、空港職員や航空会社の社員らが泊まり込みで業務に当たる。ただ、職員の減少もあって、3月末から便数が2割減った。日本航空は1日2便ある上海と日本を結ぶ航空貨物便について、8日は欠航とした。9日以降も状況に応じて欠航の判断をするという。全日本空輸は、当面1日2便とする方針だが、通常時からはほぼ半減している。
海運も同様。上海港のコンテナ取扱量は12年連続で世界一を誇るなど、日本や世界にとって物流の一大拠点となっている。だがシンガポールメディアは、取扱量は平時の6割にまで下がっていると報じた。上海の港湾では今も24時間態勢で稼働している模様だ。ただ、新型コロナの陰性証明がなければトラックの運転手や作業員が港湾内に入れないことが影響している。
企業活動も停滞している。ロイター通信によると、米電気自動車大手テスラは上海工場での生産を3月28日から一時止めた。テスラは詳しく発表していないが、当初1日のみの予定だったが、生産停止を延長しているとみられる。中国メディアはドイツ自動車大手のフォルクスワーゲンの関係者の話として、地元の上海汽車との合弁の上海工場で生産を止めていると報じた。
【ロシアのデジタル鎖国】
ロシア軍のウクライナ侵攻以来、周知のとおり、ハードの軍事衝突とソフトの<情報戦>が並行して進められている。<情報戦>はテレビのほかに掌に入るスマフォのSNSを通じて映像等として伝わり、それがまた直ちに拡散されて多数に届けられる。情報を受け手は種々の情報を選別し、比較検討して真実が何かを判断する。ウクライナや西側諸国では、Twitter等のSNSが活躍する。その情報はロシア国民に届いているのか。
8日の日経新聞は「ロシア、デジタル鎖国で世論操作 ロシア政府側、1000万超SNS拡散 偽情報で世界と分断」の見出しで「ウクライナ侵攻を続けるロシアが、国内で偽情報を大量拡散し世論操作を進めている。現地SNS(交流サイト)上の主な偽情報の拡散経路を日本経済新聞が調べたところ、ロシアの拡散工作を担ったとみられる100以上のアカウントが確認できた。1カ月の閲覧数は1000万件を超え、ほとんどが国内とみられる。偽情報を飽和させ、国民を世界の情報から分断している」と報じた。
具体的には、「遺体なのに動いている」。ウクライナ首都近郊ブチャでロシア軍が民間人を虐殺した疑いが強まる中、旧ソ連圏で普及するSNSテレグラムで、虐殺の映像はウクライナ側の捏造(ねつぞう)だとする偽情報が3日、ロシア政府の工作用とみられるアカウント<ウォーフェイクス>から投稿された。すかさずロシア国防省や政権寄りのテレビ司会者らが転送し、大量に拡散された。ウォーフェイクスは<ウクライナ側の偽情報を暴く>とするアカウントで、ロシア側の偽情報を発信してきた。今回も、遺体が横たわる映像を画質が低い状態で貼り付け「ウクライナ側が被害を演出した」と主張したが、実際は遺体は長期間同じ場所にあったことが衛星画像で確認されている。
この投稿の拡散経路は、4割以上が侵攻前後から拡散工作に関わったとみられるアカウント群と重なった。ウォーフェイクスもここに含まれる。
日経新聞は、ウクライナ侵攻直前から1カ月間にロシア政府系アカウントがテレグラムに投稿した主な偽ニュース15件の拡散経路を調べた。偽情報は「ウクライナ軍の攻撃で住民の保護が必要」「被害報道は嘘」といった内容で、政府の息のかかった専門家や、連携して大量転送を繰り返すアカウント群が拡散を増幅していた。1カ月の閲覧数は1029万件に上った。
侵攻時、ロシアは西側SNSを容認していたが、戦況膠着後に遮断。偽情報を国内に飽和させていった。米シンクタンク大西洋評議会のアンディ・カービン上級フェローは「国民向けに侵略を正当化する<証拠>を圧倒的な量で提示」する狙いを指摘する。偽情報工作はロシアの常とう手段だ。2014年に「ウクライナの親米政権が弾圧している」との偽情報を口実に軍事介入し、クリミア併合に成功したことで自信を深めていた。2月24日の侵攻前後にも、同様の武力行使の口実とするための映像が多数確認できた。
侵攻直前に流れた「ウクライナ軍による親ロ派支配地域への砲撃」の映像を日経新聞が独自に分析したところ、砲弾の飛来音を捏造した可能性が高いことが分かった。音声を解析すると、編集された可能性が高い。日本音響研究所(東京・渋谷)によると「爆発音の直前に飛来音を足したと推定される」という。通常の爆弾の落下速度なら写るはずの飛来物体も確認できない。非営利団体ファースト・ドラフト・ニュース、拓殖大学の佐藤丙午教授ら専門家は、どちらの画像も爆発規模や炎の方向が不自然だと指摘する。西側メディアでは偽情報の検証が活発になっている。フェイク対策技術への投資も進み、偽情報の流通には一定の歯止めがかかっている。一方、ロシア国内であふれた偽情報は、中国、ギリシャなど関係の近い地域のニュースサイトなどへ転載されている。
【ウクライナのEU加盟を加速】
9日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄】によれば、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した。フォンデアライエン氏はウクライナのEU加盟について「プロセスをできるだけ加速していきたい」と述べた。フォンデアライエン氏はゼレンスキー氏にEU加盟の手続きの1つである調査書を手渡した。ロイター通信によると、ゼレンスキー氏は1週間以内に回答すると答えた。その上で「ロシアに対する制裁をさらに強化する必要がある」と訴えた。
フォンデアライエン氏は会談に先立ち、多数の民間人が殺害されたキーウ近郊のブチャを訪問した。フォンデアライエン氏は「この戦争は国際社会全体への挑戦だ」とロシアを非難した。その上でEUが決めた制裁に触れ、「ロシアは経済、財政、技術で衰退していくだろう。ウクライナは欧州の未来に向かって前進している」と語った。フォンデアライエン氏に同行したEUのボレル外交安全保障上級代表は駐ウクライナのEU代表部をキーウに戻し、外交業務を再開すると表明した。ロシアのウクライナ侵攻後、代表部は一時的にポーランドに移転していた。
EU機関のトップとしては、欧州議会のメツォラ議長が1日にキーウを訪れた。3月半ばにはポーランド、チェコ、スロベニアの3首相が鉄道でキーウを訪問し、ウクライナへの連帯を伝えている。
【スマフォ漬け】
東京や横浜で電車に乗ると、年齢を問わずスマフォを見ている人が多くなった気がする。ざっと数えて9割にも上るのではなかろうか。ゲームに熱中したり、碁や将棋に打ち込む人もいるらしい。スポーツ中継もあろう。よく目が疲れないなとうらやましく思うこともある。通りですれ違う人が、しきりに喋っているのに驚かされることも少なくない。
9日の日経新聞は「Z世代<つながり>が合言葉 音声SNSや仮想空間で交流」の見出しで次のように報じた。
「スマートフォンやネットを子どもの頃から身近に使うデジタルネーティブのZ世代(12~26歳)が、SNS(交流サイト)での<つながり>を深化させている。文字や画像、動画のやりとりにとどまらず、デジタル空間で常につながる状態になれる音声SNSや仮想空間アプリの利用が伸びる。新型コロナウイルス下でリアルでの交流に制限があるなか、オンラインの友人関係を重視する人もでてきた。
「1日4時間は使っている」。都内の大学に通う大学生の江原昂希さんは音声通話アプリ<パラレル>の利用状況をこう語る。利用は週に4回ほどでゲームや雑談だけではなく、「大学の課題を相談しながら一緒にやることもある」。新型コロナで大学に通えず、友人がつくりづらい中、心の支えになったのがアプリでつながる地元の友人である。
パラレルはオンライン上に部屋を作り、そこに入室して来た人たちと会話を楽しめる。コミュニケーションの中心となるのは音声だ。スマホは机に置いて、アプリを開いたまま音声会話できる。通話の安定性や音質にこだわっており、ボイスチェンジなどの音声ならではの機能もある。
江原さんのように音声通話アプリを通じて共通の趣味をもつ仲間とつながるZ世代が増えている。LINEなどのチャットアプリよりも3~10人のグループ内でゲームや動画など会話の<ネタ>となるコンテンツを共有しやすい。
パラレルは2019年夏の開始以来、1年半でダウンロード数は100万を超えた。利用者の7割がZ世代だ。人と直接会えない代わりに、SNSで友人を見つけたり遠方の友人とつながったりする。…
Z世代は<つながり>を求めてSNSを使っている。米コンサルティング会社のEYアメリカが実施したZ世代のSNS利用調査によると、回答者の8割が<家族や友人とのつながり>のために使っていた。情報収集のためは約4割、意見の拡散のためと答えたのは約2割にとどまった。…
また3Dアバターのソーシャルアプリ<ZEPETO(ゼペット)>で知り合った友人とバーチャル空間で待ち合わせる。自作アバターを使い、写真撮影や会話をして遊ぶ。ゼペットは18年のリリース以来、世界で約3億人が利用し、そのうち約8割がZ世代だ。観光地などをイメージしたバーチャル空間でアバターを使って交流する。外出自粛で海外旅行ができないなか、三浦さんは「旅行した気分を味わえて楽しい」と話す。…」
【ウクライナ東部作戦にロシアが新司令官】
10日の日経新聞【カイロ=久門武史】発によれば、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの作戦を統括する司令官を新たに任命したと複数の欧米メディアが9日、欧米当局者の話として報じた。ロシアが軍事介入したシリアでの作戦を指揮したとされる。ロシア軍はウクライナ東部での戦闘に向け、車両など部隊を南下させ、態勢の立て直しを図る方針とみられる。
任命されたのは南部軍管区のドボルニコフ司令官。2015年から内戦下のシリアでアサド政権の劣勢挽回を支援する作戦を率い、市街地への爆撃で市民の死傷者を多数出したと批判された。ウクライナの作戦でも民間人の犠牲が膨らむ懸念がある。
一方、ウクライナのベネディクトワ検事総長は10日、キーウ(キエフ)州でこれまでに1222人の死亡が確認されたと英スカイニューズ・テレビに明らかにした。同州では侵攻したロシア軍が撤退後、多数の民間人の遺体がみつかっている。
【ジョンソン英首相がキーウを電撃訪問、軍事支援強化を表明】
10日の産経新聞によれば、ジョンソン英首相が9日、ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナの首都キーウ(キエフ)を予告なしに訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した。英首相官邸によると、ジョンソン氏は120台の装甲車や対艦ミサイルの新たな提供など軍事支援の強化を表明した。ロシアの侵攻後、国連安全保障理事会常任理事国や先進7カ国(G7)といった主要国の首脳によるキーウ訪問は初めて。
【フランス大統領選、24日に決選投票】
11日の日経新聞【パリ=白石透冴】によると、10日に実施したフランス大統領選挙の1回目投票は、即日開票の結果、現職で中道のマクロン大統領が得票率で首位、極右国民連合ルペン党首が2位となった。今回の投票では5割以上得票する候補がおらず、両氏が24日の決選投票に進むこととなった。ロシアのウクライナ侵攻で燃料価格などが上昇しており、決選投票では物価対策などが争点となりそうだ。仏内務省によると開票率96%の段階で、得票率はマクロン氏が得票率27.41%、ルペン氏が24.03%となっている。3位の急進左派「不服従のフランス」のメランション党首(21.57%)を上回っている。
マクロン氏は締め切り後の演説で「考えの異なる人も団結できるよう、私は新しいものを作り上げていく。1回目投票で他候補に投票した人も、我々に加わってほしい」と勝利宣言し、決選投票で自身に票を投じるよう呼びかけた。ルペン氏は「フランスが自分で判断できる力を取り戻し、移民を制限したい」などと語り、マクロン氏の政治を「不正義と混乱を引き起こす」と批判した。
24日の決選投票の結果いかんで欧州の政治地図は大きく変わり、ロシアと関係の深いルペン氏がもし勝利すれば、ウクライナ戦争の行方にも影響が大きい。
【ウクライナの対外発信に米巨大IT企業が支援】
11日の日経新聞は「ウクライナの対外発信、マスク氏衛星通信やZoomが支援」の見出しで、次のように報じた。
「ウクライナが世界へ対外発信を強めるなか、米巨大IT(情報技術)企業が情報通信インフラの確保を側面支援している。米テスラ最高経営責任者(CEO)でスペースXを率いるイーロン・マスク氏の衛星通信設備が続々到着し、ビデオ会議のZoom(ズーム)も活用する。米マイクロソフトがサイバー攻撃対策で助言し、米グーグルが政府のアプリを使いやすくするといった動きもある。「アジアで初めてロシアに対する圧力をかけ始めたのが日本だ」。ウクライナのゼレンスキー大統領は3月、日本の国会でオンライン演説し、熱弁をふるった。生中継で使われたのは、国際舞台では珍しい米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのオンライン会議システムだった。
サービス登場当初は簡易なビジネス用途が中心だったズームも、セキュリティー強化の要望に応え政治の舞台にも使われるようになった。衆院議院運営委員会の山口俊一委員長によると、ウクライナ側からの要望を踏まえてズームを使ったという。ロシア軍の攻撃で、光ファイバーや携帯電話網などウクライナのITインフラが厳しくなる中、ウクライナ政府は限られたIT資産と技術者でビデオ演説やSNS(交流サイト)を使った対外配信を続ける。ウクライナ政府とスペースXに通信手段についてコメントを求めたが得られなかった。
ウクライナに通信基地局を提供する欧州の通信会社幹部は、社員がウクライナ向けの保守サポート業務を継続していることを明らかにした。ウクライナのビデオ配信については「政府はマスク氏に供与された端末を人工衛星経由で活用しており、中継などにも使える」と分析する。
スペースXの衛星通信システム<スターリンク>は、高度3万6000キロメートル近い従来の通信用衛星と異なり、高度550キロメートル前後で周回する多数の小型衛星を活用する。地表に近い分、データ転送の遅延が少なく、ビデオ通話やライブ配信にも適している。スペースXはこれまで1400基超を稼働させており、ダウンロード速度は固定ブロードバンド通信並みという。「新しいスターリンクの基地設備が届いた! 悪を打ち負かすのに役立つ」。ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル転換相は3月、到着した通信設備とみられる箱が山積みになった写真や、建物の上に設置工事中の写真を複数回ツイッターに投稿した。」
【インターネットの役割】
12日の朝日新聞デジタルは、「1990年代、インターネットが民間でも利用できるようになった契機が、冷戦終結でした。組織内で閉じていたネットワークを、外部へつなぎ、ネットワーク同士を結びつける。軍事技術の民間転用として、学術の分野から普及していったのです。それからおよそ30年。侵攻された国が戦場の悲惨な映像を流せば、攻め込んだ国がそれはでっちあげだと主張する。インターネットは、人の血が流れる戦場の最前線となっています。世界が分断されることになれば、<インターネット>は世界全体をつなぐものでなく、「あなたとわたし、それぞれのインターネット」が存在する世界になってしまいます。かつて人類が夢見たインターネットは、幻となってしまうのでしょうか」と前置きし、著書「新しい軍隊」(内外出版)などで、情報戦を交えたハイブリッド戦争に詳しい松村五郎・元陸上自衛隊東北方面総監から聞いたウクライナ侵攻の現段階(第3のフェーズ)を次のように伝えた。
「ロシア軍は少なくとも、東・南部を中心にウクライナの3分の1程度を支配下に収めることを目標に作戦を続けるでしょう。そこで膠着状態に陥れば、これ以上非人道的な事態が広がらないよう、軍事的に停戦して政治交渉する局面に入らざるを得ません。朝鮮戦争も膠着してから、実際の休戦協定まで1年以上、時間がかかっています。
でも、そうなれば、ウクライナは分割された状態に陥ってしまいます。ウクライナの人々はそんな状態は受け入れられないでしょう。それを避けるためには、何としても押し返すしかありません。
押し返すために必要になるのが、チェコが最近ウクライナに供与したという戦車や歩兵戦闘車です。ロシアが防御する態勢に入れば、おそらく陣地を作るでしょう。そうなると携帯式対戦車ミサイル<ジャベリン>だけでは押し返せない。
一番効果的なのは航空戦力で陣地をたたく方法です。そのうえで、戦車や歩兵戦闘車が先導しながら、歩兵部隊が陣地を奪回するしかありません。米国が最近、自爆ドローン<スイッチブレード>の供与を決めたという報道は、航空攻撃の代わりに使う考えがあるのでしょう。うまくいけば、ウクライナに有利な状況で停戦に持ち込めます。ゼレンスキー大統領が最近、戦車などの支援を繰り返し求めているのは、こうした目的があるからです。今、ウクライナが東・南部で押し返せるかどうかの重要な局面にさしかかっている」。
【バイデン氏が<ジェノサイド(大量虐殺)>と非難】
13日の日経新聞【ワシントン=中村亮】によれば、バイデン米大統領は12日、中西部アイオワ州での演説で、ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が<ジェノサイド(大量虐殺)>を行っていると非難した。ジェノサイドという言葉を使うのは初めてで、ロシアに対する批判を一段と強めた。…
バイデン氏は演説後に記者団に対し、ジェノサイドと批判した理由について「プーチンがウクライナ人という概念を消し去ろうとしていることが一段と明確になってきたからだ」と説明した。法的にジェノサイドと認定するかどうかは専門家に委ねるとしつつ「私にはそのように思える」と話した。
これまでにバイデン氏は3月中旬、プーチン氏について「彼は戦争犯罪人だと思う」と明言したが、ロシア軍が大量虐殺をしているとの見方は示していなかった。ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウ(キエフ)近郊で一般市民が殺害されたとして「ジェノサイドだ」と主張していた。
【ロシア黒海艦隊の旗艦モスクワが沈没】
15日、ウクライナ政府はロシア黒海艦隊の旗艦モスクワをウクライナ製の対艦ミサイル<ネプチューン>が撃沈したと発表した。一方、ロシア国防省はモスクワ号が爆発により火災が発生して船体が損傷を認めたうえで「火災で船体が損傷し、港にえい航される途中に安定性を失い、海が荒れる中で、沈没した」と明らかにした。いずれにせよ、ロシア軍にとって大きな痛手とみられる。
【主戦場がウクライナ東部へ移ると兵器の質が変わる】
15日の朝日新聞デジタルによると、「軍事大国ロシアの侵攻にウクライナが善戦している。それを支えているのが外国からの武器支援。特に米国は毎週のように追加の支援を表明し、侵攻開始後だけで支援額は25億ドル(約3100億円)を突破した。今後、主戦場になるとみられるウクライナ東部での戦いに向け、供給する武器の種類に変化も出ている」として次のように報じた。
(首都防衛にはジャベリンが活躍)
米国からの軍事支援の代表格となったのが対戦車ミサイル「ジャベリン」と対空ミサイル「スティンガー」で、いずれも携行型と呼ばれ、兵士が肩に担いで発射できる。敵の戦車や航空機に照準を合わせて発射すると、誘導型のミサイルにより高い命中率を誇る。これまでの戦闘では、ウクライナ側に渡ったこれらの兵器が大きな役割を果たした。
大規模な車列を組んで首都キーウ(キエフ)など都市部に迫るロシア軍に対し、ウクライナ軍は「創造的で機敏」(米国防総省)な防衛を展開した。機動性の高い少数の兵士がジャベリンを手にゲリラ的に車列を狙い、効率的にロシア軍の前進を足止めした。
スティンガーを含む、ウクライナ軍の防空網も効果を発揮した。ロシア軍の航空機やヘリコプターが撃墜されるケースが散見され、ロシア空軍に本格的な空爆作戦を控えさせる展開に持ち込んでいる。
(東部に移る戦い、戦車が重要に)
今後の戦いではジャベリンばかりに頼ってはいられないとの見方が強い。キーウ周辺から撤退したロシア軍は、部隊の再配置を進める。今後は東部ドンバス地方が主戦場となるとみられ、必要となる兵器も変わってくる。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は7日、米上院軍事委員会の公聴会で「ウクライナは追加の戦車や大砲を求めている」と証言した。「南東部は北部と地形が異なる。より開けていて、(戦車などによる)機甲戦に適している」と述べた。
キーウ周辺で有効だったウクライナ軍によるゲリラ的な攻撃が、今後は通用しにくい可能性がある。逆にロシア軍は、平地で戦車を使った戦いを伝統的に得意としている。東部での戦闘パターンは、これまでとは様相が大きく異なりそうだ。
これを受け、米国もウクライナに提供する兵器を変化させている。13日には新たな8億ドル(約1千億円)分の軍事支援を表明。長距離砲の155ミリ榴弾(りゅうだん)砲(18門)や砲弾(4万発)を初めて提供するほか、敵の砲撃位置を特定する対砲兵レーダー、装甲兵員輸送車、ヘリコプターなど従来の支援より大型の兵器を充実させている。いずれも「東部での戦いに合わせたものだ」と国防総省高官は語る。
また高官は「あまり報じられないが、(小銃や機関銃などの)小火器の弾薬が特に重要だ」とも話す。ドンバス地方では8年前から戦闘が続いており、地形や市街地を熟知した両者の間では、接近戦も含む激しい戦いが予想されている。
(カギを握るのは旧ソ連製の兵器)
米国から提供することができない兵器もある。その代表例が戦闘機や戦車、対空ミサイルシステムなどの本格的な高性能兵器だ。高性能兵器を使いこなすためには訓練が必要だが、ウクライナ軍は米国製の兵器を使い慣れていない。従来、旧ソ連製の戦闘機や戦車などを主力にしてきたためである。
そこで、いまも旧ソ連製の兵器を保有する東欧諸国が重要となる。実際、チェコは旧ソ連製のT72型戦車をウクライナに提供したと報じられている。
スロバキアは今月8日、ウクライナに旧ソ連製の地対空ミサイル「S300」を提供すると発表した。代わりに米国が地対空ミサイル<パトリオット>をスロバキア国内に配備し、同国の防衛力を維持するかたちをとった。
米国は仲介役として欧州諸国に戦車の提供などを働きかけているという。スロバキアの例のように、米国が絡んだ<3カ国取引>による兵器提供がさらに増える可能性もある。
(輸送ルートの確保はできるか)
軍事支援にあたっては、輸送ルートの確保も焦点となる。
米国からは1日に数便の航空機が欧州に到着し、国境を越えて運び込まれた兵器はウクライナ軍のトラックで各地に陸路で輸送されているという。
今後は戦闘の中心がウクライナ東部に移ることで、輸送先も遠くなる。だが米国防総省の高官は「陸路には複数のルートがあり、効率的な輸送能力を持っている」として、今後も東部への兵器輸送には問題がないと自信をみせる。
ロシア軍はこれまで欧米からの輸送ルートを狙った攻撃を多くはみせてはいない。だがロシア国防省は今月9日、ウクライナ中部にある2カ所のウクライナ軍の弾薬庫を破壊したと発表した。米国防総省も「ロシアがウクライナ軍の補給路への攻撃に関心があるのは間違いない」と述べ、今後は輸送ルートが狙われる可能性がある。欧米からの軍事支援を順調にウクライナ軍に届け続けることができるかは予断を許さない。
(強まる欧米からの支援の流れ)
欧米がウクライナに兵器を提供するにあたり、常に神経を使うのがロシア側の反発だ。ロシアは、欧米側からの兵器提供について「非常に悪い結果を招く」と牽制しており、<レッドライン<を慎重に見極めながらの支援が続く。
象徴的だったのが、3月に断念した戦闘機の提供だ。ポーランドが保有する旧ソ連製のミグ29戦闘機を、米国を経由してウクライナに提供する計画があったが、「ロシアの反発を招きかねない」と計画は白紙となった経緯がある。
だがロシアとの直接交戦に巻き込まれることを恐れて慎重だった米国も、徐々に大胆な軍事支援を見せ始めている。
当初は提供する兵器の内容さえ明かさなかったが、最近は提供する兵器のリストを積極的に公開。自爆型ドローン(無人機)<スイッチブレード>や榴弾砲など新たな兵器も投入し、欧州の駐留米軍が近隣国でウクライナ兵を訓練する意向まで明かしている。
訓練の実施がロシアを刺激しないかと問われ、米国防総省のカービー報道官は「プーチン氏やクレムリンに聞いて欲しい。我々はウクライナの要望に応えるし、他の国もやっている」と動じない姿勢をみせた。
苦戦続きのロシア軍が反発をみせる恐れが低下していることに加え、米国が果たす役割を国内外にアピールする狙いもあるとみられる。
また、チェコやスロバキアなどウクライナに近い東欧諸国でもロシアへの危機感が強まり、軍事支援に前向きな姿勢が目立つようになっている。ウクライナのゼレンスキー大統領も各国への演説で効果的な武器支援の呼びかけを続け、欧米からの支援の流れは今後も強まる傾向が続きそうだ。(ワシントン=高野遼)
【アゾフ連隊】
アゾフ連隊(アゾフ特殊作戦分遣隊、アゾフ分遣隊、アゾフ連隊とも言われる)は、2014年3月に制定された国家親衛隊法によりウクライナ国内軍となり、現在はウクライナ国家親衛隊の東部作戦地域司令部第12特務旅団所属のアゾフ特殊作戦分遣隊(通称: アゾフ連隊)となっている。アゾフ海沿岸地域のマリウポリを拠点とする。
国家親衛隊の任務は「国民の生命と財産の保護、治安維持、対テロ、重要施設防護等を主な任務とし、ウクライナ軍と協力しての軍事作戦による武力侵略の撃退、領土防衛等も実施する事」である。
初代司令官は当時、以前、社会民族会議に参加し、当時「ウクライナの愛国者党」を率いていたアンドリー・ビレツキー(2014年5月から10月)。2022年3月現在の司令官はデニス・プロコペンコである。創設当初は極右、右翼、ネオナチ、ナショナリストとして報じられて、現在はロシア側がネオナチと呼んでいる。
【ウクライナ侵攻が新段階】
19日の日経新聞は、「ウクライナ侵攻が新段階 ロシア、戦果求め大規模攻撃」の見出しを掲げ、次のように報じた。
「ロシア国防省は19日、ロシアのミサイル・砲兵部隊が一晩でウクライナの1260カ所の標的を攻撃したと発表した。前日の標的数の4倍に増えた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、東部ドンバス地方にロシア軍が大規模な攻撃を始めたと表明した。タス通信によると、ロシアのラブロフ外相は19日「(東部で)作戦の新段階が始まりつつある」と述べた。
ロシアは第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝った5月9日を対独戦勝記念日として重視する。戦勝記念日までに一定の戦果を求められるロシア軍は、東部で反転攻勢をかける。
軍事情報サイト「Oryx」によると、ロシア軍は18日時点で戦車・装甲車1500台超や、火砲、対空ミサイルなど3000近い装備を失った。ウクライナ軍との損失の差は開き続け、3.5倍を超えた。補給面の課題や部隊の士気低下が苦戦の一因とみられる。
当面の焦点は南東部の要衝マリウポリの制圧である。ロシア通信によると親ロ派勢力は19日、製鉄所に立てこもるウクライナ部隊に砲撃を始めた。ロシア国防省は改めて投降を呼びかけた。市当局によると、製鉄所地下には民間人1千人以上が避難している。
18日、米政権は8億ドル(約1000億円)規模の武器供与の第1弾がウクライナに到着したと表明した。ドンバスの戦いに備え、18基の155ミリりゅう弾砲など長距離火砲をてこ入れする。自爆攻撃機能を持つ無人機「スイッチブレード」や対砲兵レーダーなども提供する。米軍はウクライナ軍に兵器の使い方などの訓練を数日以内に始めるという。」
【要衝マリオプリの攻防】
19日、ロシア軍がマリオプリの製鉄所にいるウクライナ兵(主にアゾフ連隊)に対し武装解除して降伏するよう伝えた。これに対してウクライナ側は徹底抗戦を伝えた。
19日の日経新聞【ブリュッセル=竹内康雄】によれば、ロシア軍が戦力を集中させていたウクライナ東部のドンバス地方((ルガンスク州とドネツク州))で18日、大規模な攻撃を開始したと、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオ演説で明らかにした。AP通信などが伝え、「ロシアが長い間準備してきたドンバス地方での戦闘を開始したと言える」と述べた。ロシアの軍のかなりの部分が、この攻勢に加わっているとの見方を示した。
一方で「ロシア兵がどれだけ動員されようとも、我々は戦う。我々は自らを守る」と語り、徹底抗戦する考えを表明した。ロイター通信によると、ウクライナ大統領府の幹部は「戦争の第2段階が始まった」と述べた。米欧からの軍事支援でウクライナはロシアの攻撃を食い止めることができるとも主張した。
ロシア軍は南東部の要衝である港湾都市マリウポリの包囲を継続し、市街地の大半を制圧したと主張した。ウクライナ軍は製鉄所の地下施設にこもり抵抗を続けているが、市街地は激しい砲撃で荒廃した。
マリウポリが陥落すれば、2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島とドンバス地方、ロシア領をつなぐ「回廊」ができる。ロシア本土への編入観測もくすぶる。
【ロシアが新しいICBMの試験発射に成功】
21日の読売新聞は、インターファクス通信等により、ロシア国防省が20日、大型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマート」(別名サタン2)の初めての試験発射に成功したと発表したと報じた。プーチン大統領は「世界に類を見ない兵器だ」と強調し、「攻撃的な言動でロシアを脅かす人々に再考を迫るだろう」と述べ、ウクライナ侵攻を巡って対ロシア制裁を強化する米欧をけん制した。
サルマートは射程1万1000キロ・メートル以上で、10以上の核弾頭が搭載できるとされる。弾頭部分はマッハ20(時速約2万4500キロ・メートル)で滑空飛行し、既存の米ミサイル防衛網では迎撃できないとされている。ミサイルは20日午後、北部アルハンゲリスク州のプレセツク宇宙基地から発射され、試験用の弾頭が設定した通り、カムチャツカ半島に着弾したとしている。
【ドンバスでウクライナ軍の抵抗強力】
24日の【ロンドン共同】によれば、英国防省は24日、ロシア軍が攻勢を強めるウクライナ東部ドンバス地域の前線で、ウクライナ軍が多くの攻撃を退けているとの分析を発表した。ウクライナ軍の抵抗が強力で、ロシア軍に著しい犠牲を負わせているとした。ロシア軍が士気の低下に加え、再編の時間が限られたことで、戦力を弱めている可能性があると指摘した。
【マクロン仏大統領の再選】
25日の日経新聞【パリ=白石透冴】によれば、
「24日に投開票されたフランス大統領選の決選投票で、現職のマクロン氏が再選された。仏内務省によるとマクロン氏の得票率は約59%となり、約41%にとどまった極右国民連合のルペン氏を上回った。マクロン氏の再選により親欧州連合(EU)路線は継続し、対ロシア圧力で米国などとの協調も続くことになる。
マクロン氏はEUの統合深化に向け、欧州軍の創設や域内の財政ルールの一部緩和などをあらためて主張する見込みだ。ロシアとの停戦協議が停滞しているウクライナ危機に対しても、再び積極的な外交を展開するとみられる。
ルペン氏は移民排斥や反イスラム教といった極右色を前面に出さず、物価高対策を選挙戦の中心に据え、燃料や電気にかかる付加価値税(VAT)の引き下げなどを訴え、インフレに不満を持つ国民や反エリート感情が強い若年・低所得層をひき付けた。一定の存在感を示したことは、物価高が国民の関心の中心になっていることを映す。フランス以外の国でも同様の傾向が強まっている可能性がある。
マクロン氏は弱点だった左派票の取り込みを強化する必要に迫られ、16日にマルセイユで開いた大規模集会では1億4000万本の植樹など環境重視を強調。ルペン氏の猛追をかわすため、国内向けの公約は終盤戦で変更や追加を繰り返した。」
【マスク氏がツイッター社を買収】
26日朝の日経新聞【シリコンバレー=白石武志】発によれば、米ツイッターは25日、米テスラ最高経営責任者(CEO)で起業家のイーロン・マスク氏による買収提案を受け入れることで合意したと発表した。買収額は同氏の既存保有分を含め、約440億ドル(約5兆6000億円)にのぼる。1日2億人超が使うSNS(交流サイト)大手を揺らした買収戦は、同氏の思惑通りに決着する見通しとなった。
【グテーレス氏、モスクワ訪問に先立ちトルコ訪問】
26日朝のNHKによれば、国連のグテーレス事務総長は、モスクワ訪問に先立ちトルコを訪問、エルドアン大統領と会談し、ロシアとウクライナの停戦の実現に向けて仲介役を務めるトルコと連携していくことを確認した。グテーレス事務総長は26日にはロシアのプーチン大統領と会談する予定で、事態を打開するきっかけとなるか注目されている。
この間、以下の番組を視聴することができた。(1)BS世界のドキュメンタリー「プーチン政権と闘う女性たち(再)」3月21日。 (2)BS1国際報道2022「ウクライナ主要都市に爆撃 ▽リビウから中継」22日。 (3)BS6 1930「皇帝プーチン氏、焦りが禁断兵器の引き金に」23日。 (4)NHKスペシャル「新映像詩 里山(2)「阿蘇の大草原 火山と生きる」26日。 (5)週刊ワールドニュース(3月21日~25日」26日。 (6)BS6 1930「強制連行も? 焦土化したマリウポリで何が? <電子戦>攻防の実態」29日。 (7)BS6 1930「裏切者は粛清か ▽プーチン氏の暴走で蘇る恐怖政治」30日。 (8)BS1スペシャル「大谷翔平×17人の真実 大谷と出会い人生を変えた17人」30日。 (9)BS6 1930「ロシア化学兵器の実態、プーチン氏決断の兆候、軍事侵略の<出口>」30日。 (10)NHK国際報道2022「縮小か? 再配置か? ロシア軍の実態はいま ▽大半は未熟な徴収兵」31日。 (11)NHK国際報道2022「ロシア側の攻撃続く東部ルガンスク州の知事に聞く」31日。 (12)BS6 1930「▽ 止まらぬ砲撃、▽停戦交渉続くも見えぬ出口、▽中ロが狙う新世界秩序」4月1日。 (13)NHK国際報道2022「ウクライナ最新情勢 ▽苦境に陥る”避難弱者たち”」4日。 (14)BS1持論公論スペシャル「ウクライナ侵攻1カ月 世界はどう変わる」4日。 (15)BS6 国際報道1939「綱渡りのロシア経済 天然ガス供給停止でプーチン氏が狙う欧州の分断」4日。 (16)BS8プライムニュース「プーチン発言徹底検証 ”健康不安説”の真偽」5日。 (17)BS世界のドキュメンタリー「新型コロナワクチン開発競争の舞台裏(後編)」5日。 (18)NHK国際報道2022「ウクライナ 市民殺害の関与可能性のある兵士の名簿公開」6日。 (19)BSプレミアム「見たことのない文化財<戦う芸術 甲冑>」7日。 (20)BS8プライムニュース「対ロシアでNATOの強硬姿勢 カギ握る<敗戦国ドイツの>の覚悟」12日。 (21)BS1「わが祖国はくじけない~在日ウクライナ女性の闘い~」14日。 (22)NHK国際報道2022「”虐殺の街”ブチャを取材 見えてきた事実は(再)」14日。 (23)NHK国際報道2022「国際刑事裁判所の検事 現地訪問し戦争犯罪の捜査へ」14日。 (24)週刊ワールドニュース(4月11日~15日)16日。 (25)NHK国際報道2022「ウクライナに向かうシリアの戦闘員(再)」18日。 (26)NHK国際報道2022「中国経済の”誤算” 世界最大のリスクが現実にも?」20日。 (27)NHK国際報道2022「民主主義を守る情報戦~リトアニアの模索~」21日。 (28)BS世界のドキュメンタリー「戦時下の大統領 ゼレンスキー」24日。 (29)NHK映像の世紀「百年前の感染症スペインカゼ 犠牲者44万人 ワクチン開発への願い」25日。
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