人類最強の敵=新型コロナウィルス(35)
2月22日(月曜)に掲載した前稿(34)では、コロナの新規感染者が減りつつあるものの減少ペースが鈍いため、緊急事態宣言の解除日程が射程に入る段階ではないとし、目まぐるしく変わる内外の動きを中心として2月8日(月曜)からの2週間を描いた。
「人類最強の敵=新型コロナウィルス」の掲載間隔が2週間となったのは、これが最初である。それまではほぼ1週間ごとに更新してきた。今回からはさらに間隔を空け、粘り強く記録しつづけたいと思う。
「人類最強の敵=新型コロナウィルス」を初めて載せたのは、約1年前の2020年3月6日であり、その最後を次のように結んだ。「事態は刻々と変化しており、一日でまったく認識が変わることもある。そのわずかな一局面でも、同時代の<記録>として書き留める価値があると思い、いま本稿を書いている。…この続編を書くのはいつになるか。経済への大打撃もいっそう深刻さを増し、内外政治に及ぼす影響もさらに大きくなろう。国内の感染がピークアウトする一応の目安は3月16日(月曜)ころとされるが、予断を許さない。」
このころ「国内の感染がピークアウトする一応の目安は3月16日(月曜)ころ…」と言われていた。人間の予測がいかに危ういかを示す証拠と言えよう。ピークアウトどころではなく、通番を付して連載形式にした最初が3月18日掲載「人類最強の敵=新型コロナウィルス(2)」であり、この段階ですでにピークアウト予定日を2日も過ぎていた。
この連載(2)の冒頭に「この同じテーマで、これから何回つづけることになるのか。とりあえず通番を付して対応したい。…」と書いた。それから早や1年が過ぎた。今回が(35)であるが、これから先どこまで続くか分からない。
我ながら不思議に思うのが題名である。新型コロナウィルスをなぜ<人類最強の敵>と命名したのか。新型コロナという敵の正体が分からず、対処法が確立していないため、<人類最強の敵>なのは確かであるが、これほど長期にわたるとは誰も思っていなかった。約1年を経た今も確かな<終戦>を見通すことができない。
以下に述べるとおり、アメリカの新型コロナによる死者が50万人を超え、3つの戦争(第一次・第二次世界・ベトナム戦争)の死者を合わせた数を超えた。世界のコロナ死者は256万人を超えた(3月4日段階)。これだけでも<人類最強の敵>と言える。
しかし、見方を変えれば、新型コロナウィルスが世界に拡大し始めてすぐ日本では<3密>回避や人々の日常の振る舞いへの指針が示された。そしてわずか1年以内という短期間に世界はワクチンを作りだし、普及し始めた。これらは人類の知恵の勝利の予兆を示す証左の一つである。これからも行先不明の漂流になるやの思いは拭えないが、可能な限り正面から向き合い、書き続けていきたい。
【内外の動き】
2月22日(月曜)、厚労省から人口動態統計速報が発表され、2020年の出生数は前年比2.9%減の87万人で5年連続の過去最少を更新した。婚姻数は12.7%減の53万余組で、減少率は1950年以来70年ぶり。今後の出生率減少をさらに加速すると指摘される。なお出生数が前年を上回ったのは沖縄、福井の2県のみである。
同じ日、自民党(金融調査会 地域金融に関する小委員会)は、コロナの影響を受ける企業の資金繰り支援策を3月に政府に提言する。「1年以内」または「6ヵ月以内」と定める中小企業や個人事業主への返済猶予期間を継続し、「コロナ禍進行中の事業年度は少なくとも返済要求を一切行わない状況をつくること」を求める。また中小企業等に限定される信用保証協会の保証を中堅企業も受けられる制度づくりを要望する。なお日銀が8日に発表した1月の貸出・預金動向(速報)は、全国の銀行・信用金庫の貸出平均残高578兆円余と過去最大を更新、と伝える。
同じ日、米ジョンズ・ホプキンス大学は、アメリカの新型コロナの累計死者数が22日午後5時時点で50万人を超えたと発表した。これを受けて日経新聞は「米国で死者が膨らんだ歴史的な出来事」として多い順に、①スペイン風邪(68万人)、②南北戦争(60万人)、③新型コロナ(50万人)、④第二次世界大戦(40万人)、⑤第一次世界大戦(10万人)、⑥ベトナム戦争(6万人)事例を挙げる(カッコ内は概数)。新型コロナの死者50万人は、④~⑥の3つの戦争(第一次・第二次世界・ベトナム戦争)の死者を合わせた数を超える。「人類最強の敵=新型コロナウィルス」であることは間違いない。
23日(火曜、祝)、南関東では21日の最高気温21℃につづく高温で、最低気温が12℃、最高が15℃と4月下旬なみとなった。翌24日は急降下して最低気温が3℃、最高が11℃と冬に逆戻りした。体調管理が不可欠である。21日、高温・乾燥下で起きた栃木県の山火事は落ち葉や枯草に燃え移り、「赤城おろし」と呼ばれる北西の強風が延焼を広げた。緊急出動した自衛隊ヘリ4機による消火活動でも収まらず、乾燥注意報の中、出火から5日目の25日、鎮火まで最長2週間かかるとも言われる。
同じ23日、大阪府・兵庫県・京都府の3知事は西村大臣とオンラインで協議し、コロナ新規感染者数の減少等の独自基準を達成したことを踏まえ、(3月7日を待たず)2月末で緊急事態宣言の解除を要請、愛知県と福岡県も同様の解除要請を行った。一方、首都圏の1都3県の知事は早期の解除要請を行わない方向で一致した。
同じ日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は東京オリンピック(五輪)の観客数に関する判断は、4~5月ごろになるとの見通しを明かした。この日の理事会後にオンラインで開いた記者会見で「(決断は)ぎりぎりの瞬間まで待ちたいが、チケットの手続きや入国管理などから、それはできないことも承知している。テクニカルな要素から考えれば、4月か5月上旬ぐらいに判断することになるのではないか」と話した。これまでは3月末までに判断するとしていたが、バッハ会長は先送りの可能性を示したもの。
この日夜、菅首相は、新型コロナウイルスの高齢者向けのワクチン接種について、4月12日から始める方針を明らかにした。「4月5日(月曜)の週に、高齢者向けのワクチンを自治体に発送する。12日(月曜)から接種する予定」と述べた。
一方、新型コロナ対応の特別措置法に基づき3月7日を期限に10都府県に出している緊急事態宣言について、首相は「感染者が大きく減少している。(宣言解除を)繰り上げて、という(大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県の計6府県)知事からの要望があったことも事実」としたうえで、26日(金曜)に感染症や経済の専門家らでつくる諮問委員会を開く方針を表明。「先生方からさまざまな意見をうかがうなかで判断していきたい」と述べた。
25日(木曜)午前、総務省幹部らが菅首相の長男(菅正剛氏)が勤める放送関連会社「東北新社」から接待されていた問題で、1回7万4千円超の饗応を受けていた山田真貴子(60)(2019年当時は総務省審議官、現在は菅首相の抜擢により内閣広報官)が衆院予算委員会に出席、「公務員の信用を損なったことを深く反省する。申し訳なかった」と述べると同時に、前日の菅首相の発言を受け、「職務を続けていくなかで、できる限り自らを改善していきたい」として辞任を否定した。
同じ25日(日本時間26日)、バイデン大統領は重要部材4品目の供給網を100日以内に見直すとする大統領令に署名した。4品目とは①半導体、②電気自動車(EV)に使う高容量電池、③医薬品、④レアアースを含む重要鉱物を指し、この見直しには「同盟国やパートナーと緊密な連携」で取り組むと明記した。
26日(金曜)、昼からの基本的対処方針等諮問委員会、衆参両院への報告の所定手続きを経て、政府の対策本部は6府県(大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県)で3月1日(月曜)から緊急事態宣言を解除すると決めた。首相の記者発表はなく、前日の衆院予算委員会で陳謝したばかりの山田内閣広報官の姿もない。国民へ重要なメッセージを伝えるのに首相記者発表がないのはなぜかと、世論が訝った。
解除の前提となる基本的対処方針等諮問委員会は、予定時間を1時間過ぎてようやく終わった。政府が愛知、岐阜、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県の先行解除を諮ると、経済界を除いて医療の専門家ら多くのメンバーから懸念の声が噴き出したためだ。 「本当にいま、やっていいのか」、「変異株もある」、「休みが控えていてリバウンドする」等々。記者団の取材に応じた田村厚働相は、「非常に厳しい意見が多かった」と硬い表情を浮かべた。
専門家の危惧は、次のデータに基づく。宣言下の10都府県では、1月上旬をピークに感染者数が減少したが、首都圏4県とそれ以外の地域で大きく異なるのが人口10万人あたりの1週間の新規感染者数である。24日時点で東京がステージ3(感染急増)相当の15人、千葉14人、埼玉11人と高い水準で推移しているのに対し、大阪6人、愛知4人、福岡7人である。
一方、医療提供体制は10都府県ともまだ改善途上にある。24日時点の病床使用率は東京と兵庫が38%、大阪が36%、愛知と京都が30%で10都府県ともステージ3の指標である20%を上回り、埼玉と千葉はステージ4(感染爆発)の目安の50%を超えた。懸念されるリバウンドについて、政府の分科会は25日に提言を示し、外出はすいた時間と場所を選び、歓送迎会や謝恩会など恒例行事を控えることなどを求めている。いわば<条件付き解除>である。
今回の解除見送りとなった首都圏1都3県(東京都、神奈川・埼玉・千葉)の知事は、予定の3月7日(日曜)の解除に向けて感染防止に全力を尽くすと決意を述べた。しかし、1週間で期待通りの成果が出るかは誰にも分からない。衆院予算委員会で参考人の尾身分科会会長は、「3月7日に首都圏の解除ができるか、あるいは更なる延長となるか、その両者の可能性を想定し、直前の状況を見て判断したい」と答えた。科学的判断を優先すれば当然の見解である。
28日(日曜)の【AFP=時事】によれば、ミャンマー国営放送(MRTV)は27日、チョー・モー・トゥン(Kyaw Moe Tun)国連大使が「国家の命令と指示に従わず、国を裏切った」ため解任されたと報じた。26日に行われた国連の非公式会合で同大使は、「兄弟姉妹たち」に闘いを続けるようビルマ語で呼び掛け、「この革命に勝たねばならない」と述べて軍事政権への抵抗のシンボルとなっている3本指を掲げるポーズを取っていた。
ミャンマーでは、今月1日に起きた国軍によるクーデター軍に抗議するデモが続いている。当局はデモ隊の排除に放水銃やゴム弾を使用し、また実弾発砲もあり死者も出ている。人権監視団体、「ビルマ政治囚支援協会」によると、クーデター発生以降770人以上が逮捕・起訴され、有罪判決を受けた。この他に約680人が拘束されており、27日にはさらに400人以上が逮捕された。逮捕された全員の名前を確認できるわけではないため、同団体が毎日更新するリストに記載されているのは被逮捕者の一部にすぎないという。
3月1日(月曜)、6府県(大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県)の宣言解除の初日である。各地で、かなりの人出が見られた。同じ日、25日には辞任を否定していた山田内閣広報官が体調不良で入院、辞任を申し出たため、政府は閣議で承認手続きを進め、了承した。
2日(火曜)、新年度予算が衆院を通過し、参院へ送られた。
4日(木曜)朝の時事通信によれば、首相は3日夜、関係閣僚会合を終えた後、記者団に「2週間程度の延長が必要ではないかと考えている。最終的に私自身が判断したい」と表明した。「当初は期限の7日をもって全面解除する腹づもりだったが、小池百合子東京都知事らの延長要請の動きを受けて軌道修正を余儀なくされた。総務省幹部接待問題などで<後手>批判を浴びる中、かろうじて<先手>を演出した形だ。…首相には4都県知事の圧力に押され、1月7日の宣言再発令決定に追い込まれた苦い記憶がある。今回も小池知事らの要請を受ける形で方針転換すれば指導力が問われかねないとの懸念から、あえて要請を待たずに表明に踏み切ったとみられる。」
緊急宣言を2週間延長した場合、新たな期限は3月21日(日曜)となる。25日からは東京五輪の聖火リレーが控えている。同じ日の参院予算委員会で首相は、首都圏1都3県に発令中の新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について「国民の命と暮らしを守るために2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と述べ、7日までの期限を再延長する考えを重ねて表明した。同じ日、FNNプライムオンラインは、「東京五輪を中止すべき時がきた」とする英・タイムズ紙掲載のコラムを伝えた。
5日(金曜)夕方、菅首相は、所定の手順を踏み一都三県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)を対象として緊急事態宣言の実施期間を令和3(2021)年3月8日(月曜)から21日(日曜)まで2週間を再延長すると決定した。それで収まるのか。10日(水曜)、政府のコロナ対策分科会の尾身会長は、「“緊急宣言”の再々延長あり得る」と述べ、感染対策をしっかり行っている飲食店に対しては優遇措置を与えるべき、と政府に求めた。
11日(木曜)は、東日本大震災から10年に当たる日である。菅首相と米国のバイデン大統領は10年の節目にあわせて連名で共同声明を発表し、震災の犠牲者や遺族に哀悼の意を表明した。「東北地方の復興の完了と我々全員にとってより良い未来の実現のため、手を携えて前進する」と強調。震災が発生した2011年、バイデン氏はオバマ政権で副大統領を務めていた。震災から5カ月後には宮城県を訪問、在日米軍は被災地支援<トモダチ作戦>で復旧・復興を後押しした。声明は日米両政府が「緊密に連携し、震災被害の軽減や東京電力福島第1原子力発電所事故への対応に従事した」と振り返り、バイデン氏は被災地訪問で「救援活動と日本国民の驚くべき力と粘り強さを目の当たりにした」と評価した。両首脳は日米の協力が「日米同盟という特別な絆と揺るぎない友情の証しとして、日米両国民の心と記憶に特別に刻まれ続けるだろう」と指摘。「これからもかけがえのない<トモダチ>として被災者を支援し、亡くなられた方々を追悼する」と訴えた。
同じ日、中国全国人民代表大会(全人代)が、香港の選挙制度を見直す決定を採択して閉幕した。それにより、親中派が多数を占める行政長官の選挙委員会に香港立法会(議会)選挙の候補者を指名する権限を持たせ、候補者を審査する機関も設ける。民主派を排除する内容である。<一国二制度>の約束は反故にされた。全人代の閉会を受け、李国強首相が記者会見し、中国にとって<核心的利益>である香港等に対する米国の<内政干渉>を牽制する一方で、「協調できる分野がたくさんある」と米国に対話も呼びかけた。
12日(金曜)、菅首相は12日の政府・与党連絡会議で4月前半にもワシントンを訪問し、バイデン米大統領と会談すると表明した。バイデン氏が対面で会う初の外国首脳となる見通し。バイデン政権は対中政策を外交、安全保障分野の重点課題と位置づけており、インド太平洋地域の同盟国である日本を重視している。
同じ日、日本、米国、オーストラリア、インド(日米豪印)の4カ国は初の首脳によるオンライン協議を開き、新型コロナウイルス対策や経済分野などでの協調を示す共同文書をまとめ、脱炭素の実現に向けた連携も明記した。菅首相、バイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相が参加、最近では英語で4を意味する「Quad(クアッド)」という通称が定着してきた。中国の影響力拡大を強く意識した枠組みである。インド洋と太平洋を囲むように位置する4ヵ国は、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を共有する。
米国のトランプ前政権時に立ち上げ、1月に発足したバイデン政権が引き継いだ今回の首脳協議は米国が呼びかけた。これまで局長級、外相級で開いてきたのを格上げし、バイデン政権が重視する以下の4点を話し合った。(1)気候変動分野での協力を打ち出し、脱炭素の実現に向けた技術協力のあり方などを話し合う。(2)アジアなどの途上国でのワクチン普及に向けた枠組みの合意もめざし、インドで製造するワクチンを日米豪が財政支援し供給する案を検討する。(3)半導体や資源など、中国に依存するサプライチェーン(供給網)の見直しも主要議題として、高性能なモーターや蓄電池に欠かせないレアアース(希土類)の調達多様化の必要性を確かめる。(4)東シナ海や南シナ海で現状変更を続ける中国への警戒感も共有。菅首相は沖縄県尖閣諸島周辺への中国海警局の船による領海侵入への懸念を訴える構え。
同じ12日、菅首相の長男が関係する放送事業会社<東北新社>が申請時の2017年に外資規制違反があったとして、総務省は同社の認定を取り消した。
15日(月曜)、アメリカのバイデン政権初の閣僚による外遊として、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日。両長官は日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に臨む。
17日(水曜)、日米の2+2(外務・防衛閣僚会議)が、バイデン政権発足後、初めて行われ、中国を強くけん制した。茂木外相「中国による海警法に関する深刻な懸念を共有した」と述べ、米ブリンケン国務長官「中国が強圧的な行動に出た場合、われわれは必要に応じて対抗する」とした。4閣僚は、中国が海警局の船に武器の使用を認める「海警法」を施行したことに、深刻な懸念を共有した。
そして、沖縄県の尖閣諸島がアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の対象であることを確認し、「尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動にも反対する」ことを確認した。また、ブリンケン国務長官は、拉致被害者の家族から、拉致問題解決への支援を求める書簡を受け取ったと述べた。
この日、中国での少数民族ウイグル族への不当な扱いが人権侵害に当たるとして、EUの大使級会合で人権侵害にかかわった人物と団体に制裁を科す方針を決めた。22日(月曜)の外相理事会で正式に決める。1989年の天安門事件以来の措置である。
この日夜、菅首相は首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を21日の期限で全面解除する方針と、首相官邸で記者団の質問に答えた。その根拠として「感染者数、病床使用率が解除の方向に入っている」を挙げた。緊急事態宣言は2度の延長を経て、2カ月半で解除されることになる。政府は18日に開く基本的対処方針等諮問委員会に全面解除の方針を諮り、政府の対策本部で正式に決定する。
この日、利用者の多い無料通信・メールアプリLINE(ライン)利用者の個人情報が中国の関連会社で閲覧可能だった問題が発覚し波紋を拡げている。国内7,800万人の利用者(多くの自治体を含む)がいる。無料で、友だちや家族と、トーク(チャット)・音声通話・ビデオ通話を楽しめます。ユーザー同士であれば、国内・海外・通信キャリアを問わず、いつでも、どこでもリアルタイムのコミュニケーションができる。LINEは、LINE株式会社が運営・開発する、モバイルメッセンジャーアプリケーションで、韓国 NHN株式会社(現 ネイバー株式会社)の完全子会社である日本法人 NHN Japan株式会社(現LINE株式会社)が、2007年に社長に就任した森川亮の下で開発したサービス。 スマートフォン、iPad、PC、スマートウォッチ に17言語で対応している。
問題の発端は、LINEが利用者に示す運用指針に、データを第三国に移転することがあると
しながらも、委託先の「中国」や「韓国」など具体的な国名を記載していなかったことである。 利用者の同意なく個人情報を第三者に提供したり、海外に持ち出したりすることは法律で禁じられている。国は利用者の個人データを海外に持ち出す場合、具体的な国名を示すよう求めている。
自民党の部会では、LINEと親会社Zホールディングス(HD)の幹部が経緯を説明。出席議員からは「利用者が安心できる取り組みが必要」との指摘が上がった。LINEに対しては、総
務省や政府の個人情報保護委員会も法令に基づき報告を求めた。ZHDはデータの取り扱いを検証する第三者委員会を設置し、23日(火曜)に初会合を開く予定。
18日午前、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県に出している緊急事態宣言をめぐり、基本的対処方針の変更案について議論する政府の諮問委員会(尾身会長)は、期限の21日までで解除する政府方針を了承した。西村大臣は諮問委で、新規感染者数はピーク時から約8割減少し、2度目の延長の理由となった病床使用率の指標も、逼迫(ひっぱく)していた埼玉、千葉両県で、30%台まで低下したと説明。「指標(の改善)が確実になってきていること、再拡大防止に向けた取り組みを進めてきている」などとして、期限満了での宣言解除を諮問したもの。
政府は18日午後、対策本部を開き、3月21日(日曜)で緊急事態宣言を解除すると正式決定した。1月8日の対策開始から2度延長された宣言は、約2カ月半で終わった。菅首相は記者会見で、宣言を解除したあとの感染の再拡大を防ぐための総合的な対策として、①飲食の感染防止、②変異したウイルスの監視体制の強化、③感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施、④安全で迅速なワクチン接種、⑤次の感染拡大に備えた医療体制の強化の5つの柱を決定したと説明した。3月25日(木曜)から始まるオリンピックの聖火リレーの直前で宣言解除にこぎ着けた。だが感染者の増加の兆しが見え始め、再びリバウンドすれば、大会開催そのものが危ぶまれる。
同じ18日、東京都は飲食店などに対し営業時間を午後8時までに短縮するよう要請してきたが、応じない113の店には特別措置法の45条に基づいて緊急事態宣言下でのみ適用できるより強い<要請>を出していた。それでも短縮要請に応じない飲食店のうち、正当な理由がないと判断した27の店に対し、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく<命令>を出した。<命令>が出されるのは全国で初めて。これも21日の解除により失効する。
同じ18日、米韓両政府はソウルで約5年ぶりに外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)を開き、北朝鮮の脅威などに対応する日米韓の結束を演出した。トランプ前政権下で揺らいだ米韓関係を立て直す狙いもあるが、米国が重視する中国への対応では双方の温度差が浮き彫りとなった。共同声明は、米韓同盟を「朝鮮半島とインド太平洋地域の平和、安保、繁栄の核心軸」と定義した。トランプ政権下で縮小論が取り沙汰された在韓米軍は、必要な戦力と力量を維持するとうたった。北朝鮮の核・ミサイル問題を優先的な関心事として、日米韓3カ国協力の重要性も明記した。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官はその後、韓国の文在寅大統領とも会談。文氏は「韓日関係の復元に向けて努力していく」と述べ、ブリンケン氏は「進展に期待する」と応じた。
19日(金曜、現地時間18日午後)、米国アラスカ州に飛んだブリンケン米国務長官は、中国外交担当トップの楊潔篪共産党政治局員と会談、バイデン政権では初めての米中外交トップの対面式会談である。安全保障や経済、人権問題などを巡って冒頭から激しい応酬となった。2日間の予定。米国はサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、中国からは王毅国務委員兼外相が同席した。
ブリンケン氏は2分あまりの冒頭発言で「新疆ウイグルや香港、台湾、米国へのサイバー攻撃や同盟国への経済的威圧について深い懸念を議論する。これらの行動はルールに基づく秩序を脅かしている」と厳しく非難した。楊氏は「内政干渉には断固として反対する」と20分近くにわたり反論した。「米国は軍事力と金融覇権を用い、他国を抑圧している」と主張、黒人問題を取り上げて「米国こそ人権でより良い対応を取るよう希望する」などと指弾した。双方はこの後も応酬を繰り返し、報道陣を前に異例の1時間にも及んだ。
この19日、高校選抜野球大会が2年ぶりに甲子園球場で開幕、3試合が行われた。東日本大震災の被災地を代表する仙台育英は、強豪・明徳義塾(高知)を破り、震災10年の節目で全国制覇なるかと期待が寄せられる。
20日(土曜、春分の日)夕方6時過ぎ、宮城県で最大震度5強(マグニチュード6.9)の地震があり、最大1メートルの津波予報が出されたが30分後に解除、津波は来なかった。不安にかられつつも、10年前の経験を踏まえて即座の避難行動をとった地域もある。
この日の夜、東京オリンピック・パラリンピックでの外国人観客受入れはないと政府が正式に決定したことに伴い、政府(丸川五輪相)、東京都(小池知事)、大会組織委員会(橋本会長)は、国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長と国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長を交えて5者協議をオンラインで開き、海外からの一般観客の受け入れ見送りを正式に決めた。その後の記者会見で橋本会長は「本当に残念でならない。安全と安心を確保するためには致し方ない結論」と述べ、バッハ会長は声明を発表し「世界中の熱狂的なファン、選手の家族や友人と落胆の気持ちは一緒だが安全が第一。IOCの最優先は全ての人にとって安全な大会を開催することだ」と理解を求めた。
一般観客を国内に限定し、国内のイベント規制に準じて4月中に再び5者協議を開き観客数の上限の方向性を決定する。収容率は<50%以内>を軸に検討。最大7万人近くを収容する国立競技場(東京・新宿)をはじめ大規模会場もあり、実際にどれだけの入場を可能とするかを詰める。
また海外では五輪とパラリンピックあわせて約60万枚が販売済みで、払い戻し手続きを始める。組織委は国内外から制限なく観客を受け入れた場合、チケット収入を900億円と見込んでいた。100億~150億円規模の減収が生じる可能性がある。
21日(日曜)、この日が緊急事態宣言の最終日である。全国的に強い雨が降ったにもかかわらず、都内の盛り場は人出が増えた。東京都の新規感染者は256人、直近1週間平均の新規感染者は約301人で、前週(約279人)の107.9%と微増した。宮城、大阪、兵庫等でも増加しており、<リバウンド>が強く懸念される。
【地方のコロナ対応 現状と課題】
2月28日の産経新聞は、「【地方変動】第1部・溶ける自治体(1)コロナ時代、もう東京でなくてもいい」の掲載を始めた。次のように書きだす。「クラウド名刺データ管理サービス会社「Sansan」(東京)のエンジニア、辰濱健一さん(36)のもとにトラブル相談が寄せられた。相手はインドにある協力企業のスタッフ。…いつものことのように指示を出す辰濱さんの職場の前には、のどかな田園風景が広がる。……Sansan本社のある東京表参道ではなく、ましてや米シリコンバレーでもない。人口わずか5千人の町、徳島県神山(かみやま)町だ。…」
神山町はIT(情報技術)で躍進した地方の町として名高い。平成16年に全国に先駆けて町全域に光ファイバー網を敷設、都会と変わらぬ高速で大容量の通信を可能とすると、町はサテライトオフィス(遠隔地拠点)の誘致を本格化。これまで14社が拠点を開設した。Sansanもその一つ。“ITの町”が「ウィズコロナ」の時代、求心力を増している。町への移住や企業進出の支援を行うNPO法人「グリーンバレー」では今年度、こうした相談が前年度から倍増した。
もう一つ、古くから温泉地として知られる和歌山県白浜町も近年、急速に変貌を遂げている。そしてこちらも徳島県神山町と同様、新型コロナウイルス禍により注目度が増している。良質なリゾートタウンで、東京から飛行機で約1時間という強みを生かし、観光地で休暇を楽しみながらテレワークに励む「ワーケーション」の最適地とPR。平成29年度からの3年間で104社910人がワーケーションを実施。ビジネスルームを整備した宿泊施設「ホテルシーモア」を運営する白浜館の松平哲也・予約センター長(47)は「こうした動きはうちだけではない。共有キッチンやリビングがありワーケーションができる宿泊施設ができてきている」と言う。
コロナ禍で観光客を奪われたが、ワーケーションという新常態(ニューノーマル)に活路を見いだした。非接触はコロナとの共生に欠かせない。そこには白浜町のレジリエンス(回復力)も感じられる。徳島県神山町と和歌山県白浜町。2つの町は期せずしてデジタル化を進めていたことで人が集まり、未曽有のコロナ禍にもしなやかに対応できた。そこには、デジタル化こそ地方再生の処方箋、という確信めいた認識があったのだろう。ただ、和歌山県情報政策課の大谷信一朗主任(46)はこう指摘する。「単に観光と仕事ができる環境の整備だけでは、人を呼び込む理由としては弱い」。念頭にあるのは限られたパイをめぐる地方の競争激化である。例えばワーケーション。同県運営の「ワーケーション自治体協議会」に参加自治体数は令和元年の65から、今年1月21日現在、倍以上の166に増えている。
さらに、昨年は東京への人口集中が鈍ったとはいえ、転出先の上位は埼玉、千葉、神奈川といった近郊だ。地方への波及効果は限定的かもしれない。国の地方制度調査会は昨年まとめた地方行政のあり方についての答申で「組織や地域の枠を超えて連携し合う社会を構築するのが重要」とした。競争よりも旧態依然とした地方や自治体の枠組みを溶かし、連携していくことが地方や国の未来につながるという。野村総合研究所の神尾文彦・主席研究員も「コロナが収束しても東京一極集中に戻るべきではない。地方の衰退を防ぐためには本格的な人の分散が必要で、国も企業移転やデジタル化などで地方を支援すべき」と強調する。
地方がいま大きく変動しようとしているのは、人口減少や超高齢化、インフラの限界など迫りくる危機への対応を急ぐためだ。それにコロナ禍が拍車をかけた。地方を生かすことは、国を生かすことでもある。芽生え始めた地方変動の潮流をどう生かすかは国家的な課題である。
【ワクチン接種】
2月26日(金曜)、高齢者へのワクチン接種を4月1日に開始と述べた河野大臣は高齢者向けワクチンを6月中に配送完了すると述べた。
28日(日曜)の【AFP=時事】によれば、米食品医薬品局(FDA)は27日、米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した接種1回型の新型コロナウイルスワクチンに緊急使用許可を出した。米国で使用が認められた新型コロナウイルスワクチンは3例目。FDAは、J&Jのワクチンは変異株も含む新型コロナウイルスの感染予防に高い効果があるとした。
バイデン米大統領は声明を発表し、「これはすべての米国人にとって素晴らしいニュースであり、この危機を終わらせようと努力している上で励みになる出来事だ」とした一方、変異株は依然として脅威だとして、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)などの感染対策を続けるよう国民に呼びかけた。
3万9321人が参加した大規模な臨床試験でJ&J製ワクチンの重症を予防する効果は85.4%だったが、重症に加え中等症も予防する効果はそれよりも低く66.1%だった。年齢、人種、基礎疾患の有無による大きな違いはなかった。J&Jは、3月中に2000万回分、6月までに1億回分の配送を目指すとしているが、米政府は前倒しを求めている。
同じ28日の【パリ時事】によれば、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人が取得できる証明書の活用をめぐり、欧州内で温度差が生じている。欧州連合(EU)のミシェル大統領は25日、「ワクチン未接種者に対する差別を招く恐れがある」と懸念を表明。一方、国内経済を観光に依存するギリシャやスペインなど南欧諸国は、証明書の活用に前向きである。
EUは1月のテレビ首脳会議で、ワクチン証明書の標準化を進めることで合意。取得者への渡航制限の緩和など、医療目的以外での活用方法について議論を進めている。世界で最もワクチン接種が進むイスラエルは、接種者に「グリーンパス」を発行。AFP通信によれば、ホテルなど一部の施設で利用者にパスの提示が義務づけられている。
こうした事例を念頭にギリシャのミツォタキス首相は、EUでも同様の「ワクチンパスポート」を発行すべきだと主張している。今月8日にはイスラエルのネタニヤフ首相と会談。パスを保持するイスラエルからの観光客に対し、隔離なしでギリシャへの渡航を許可する2国間合意を締結した。スペインやイタリアもEU共通のワクチンパスポート導入に前向きな姿勢を示す。一方、フランスはマクロン大統領がワクチン接種を「義務化しない」と表明したことから、ワクチンパスポートの導入には慎重だ。ただ、地元メディアによれば、観光業界は「スペインやギリシャに外国人観光客を取られかねない」と懸念している。
28日の産経新聞のコラム「【女子の兵法】<臨機応変>に戦い勝つ」は、テニスの全豪オープン女子シングルスで2年ぶり2度目の優勝を飾った大坂なおみや、白血病を克服して復活した競泳女子の池江璃花子選手の活躍ぶりを称え、その終わりを次のように締めくくる。「約100年前、第一次世界大戦や世界各地で猛威をふるった<スペイン風邪>を乗り越えて開催されたベルギー・アントワープ五輪は「人類の団結と世界の平和」がテーマだった。わが国のみならず、世界中の人々による努力の先に、希望の火を灯(とも)し、<多様性と調和>を世界に向けて発信したい。」
同じ日、作家・ジャーナリストの青沼陽一郎氏は、菅首相が施政方針演説でも断言している「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として…」は誤りであり、実際には「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証」ではないかと記す。「打ち勝った結果」とするほど甘くはなく、「…コロナに打ち勝つ未来への結束の証」に他ならない。
3月12日(金曜、米東部時間午後8時)、米バイデン大統領はテレビの視聴者数が多い夜の「プライムタイム」に初めて演説、世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言して1年を迎えたのに合わせて実施した。独立記念日を「ウイルスからの独立を示し始める日にする」と述べ、少人数で家族や友人が集まれる状況を目指すと説明した。コロナをどこまで抑制できるかは米経済の回復ペースを左右する。前向きな公約を掲げて国民の支持を集める狙いだが、狙い通りに成果を上げられなければ批判を浴びるリスクもある。
バイデン大統領は十分な量のワクチンを確保できたとして、5月1日までに全成人希望者を対象にワクチンの接種対象とするよう州・地方政府に指示した。これまで供給量が限られるため、米疾病対策センター(CDC)が高齢者や持病がある人を優先するよう求めていた。CDCによると、所定回数のワクチン接種を完了した人は3386万人。バイデン政権は全成人の接種に必要な量を5月末までに確保できると説明してきた。実際は接種を断る人もいるため、7月にかけて何人が接種を終えるかは不透明だ。米国の18歳以上の人口は約2億5000万人を超え、全人口の78%を占める。
接種のペースを引き上げる体制も整える。ワクチン接種を受けられる薬局を全米2万カ所へと倍増させる。軍から4000人を新たに派遣し、計6000人超の兵士が支援する。歯科医や医学部の学生なども動員し、接種要員も増やす。新規感染者数が減少傾向にあり、過去1週間は1日平均5万7000人で推移する。ただ感染力の高い変異ウイルスが欧州などで猛威を振るっており、予断を許さない。ウイルスの広がりを迅速に把握するため、11日に成立した追加経済対策を活用して500億ドルを検査能力の増強にあてる。17億ドルを投じて変異ウイルスの分析件数も増やす。
17日(水曜)、日経新聞と英フィナンシャル・タイムズが集計したコロナワクチンの接種回数は131ヵ国・地域で3億9000万回を超えた。33ヵ国が100万回をうわまわる。日本は43万回に達した。これを人口100人当たりの接種回数に換算すると、イスラエル=105回、UAE=68.3、英国=40.5、チリ=30.1、米国=33.4、トルコ=14、シンガポール=13.9、スペイン=12.2、ドイツ=11.0、ブラジル=5.6、ロシア=5.3、中国=4.6、インド=2.6、韓国=1.2、そして日本は0.3と極端に少ない。実際の接種の進捗を見るには免疫獲得に必要な回数の接種を完了した人数も重要であり、それによれば、人口100人あたりではイスラエルが48.2人で、3人に1人以上が接種を終えた計算になる。
18日(木曜)、アストラゼネカなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンで接種後に血栓が確認された(1700万回の接種から14件)ため接種を中断していた問題に関連して、EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局は調査結果を公表し、「安全で効果的なワクチン」とする見解を示した。これに伴い一時中止してEUの13ヵ国が接種を再開した(北欧の2ヵ国を除く)。
この週、アメリカン航空やエールフランス航空で搭乗の際の保安検査のため、ワクチン証明書(グリーンパス)をスマホまたは紙ベースで用いる方式を活用し始めた。ワクチン接種をしたいない人を差別することにならないかと懸念する声があり、人権にかかわる憲法上の議論が各国及びEU議会で行われる見通しである。
この間、次のテレビ番組を観ることができた。(1)TBS情熱大陸「新型コロナ緊急企画 ウィルスに挑む“現場の声”[河岡義浩 坂本史衣 忽那賢志]」1月24日。 (2)TBS情熱大陸「サイバー技術開発集団統括 登大遊(36歳) ▽天才が挑む自治体テレワークシステム開発」2月7日。 (3)NHKEテレ地球ドラマチック「ネアンデルタール人 真の姿に迫る!」13日。 (4)BS1スペシャル「アマゾン 文明の果て~死と再生を見つめて~」26日。 (5)ETV特集(選)「誰が命を救えるのか 医者たちの原発事故」27日。 (6)NHK週刊ワールドニュース「新型コロナに揺れる世界(2月22日~26日)」27日。 (7)福島でずっと見ているTV「漁師としえ生きる 相馬で」27日。 (8)NHK BS1スペシャル「渡辺謙と東日本大震災 見つめ続けた10年(前編・後編)」28日。 (9)BS世界のドキュメンタリー(選)「粘菌 脳のない天才」3月1日。 (10)NHK総合「逆転人生 “加害者”になった私 東電社員たちの10年」1日。 (11)NHK明日へ つなげよう選「俺たちにバックギアーはない~三陸から描く 水産業の未来図」4日。 (12)NHKスペシャル(選)「果てなき苦闘 巨大津波 医師たちの記録」5日。 (13)NHK週刊ワールドニュース(3月1日~5日)6日。 (14)NHK総合 花は咲くスペシャル「歌が紡いだ10年の物語」6日。(14)TBS「つなぐ つなげる」6日。 (15)目撃!にっぽん「消えた窯元 10年の軌跡~福島県浪江町~」7日。 (16)明日へ つなげよう「“助かった命”を守るために~震災関連死10年の記録」7日。 (17)「街は生き続ける~“ふるさとの記憶”から見つめる被災地のいま~」7日。 (18)NHKスペシャル「原発メルトダウン 危機の88時間」(2016年初回放送)7日。 (19)NHK「証言記録 東日本大震災 暴走する原発に突入せよ~事故拡大を防いだ下請け企業~」(2018年初回放送)8日。 (20)<NHK明日へつなげよう(選)>の「証言記録 レールをつなげ~誕生 三陸鉄道リアス線~」(2019年初回放送)8日。 (21)BS1スペシャル「奇跡の里浜 震災9年 再生の日々」(2020年初回放送)8日。 (22)NHKスペシャル「被爆の森~原発事故 5年目の記録」(2016年初回放送)8日。 (23)NHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」(2012年初回放送)9日。 (24)NHKスペシャル「命と向きあう教室~被災地の15歳・1年の記録」(2015年制作)9日。 (25)NHK明日へつなげよう「北の鉄人 7年の夢~釜石の復興にかけたラガーマン」(2018年初回放送)9日。 (26)NHKスペシャル「無人の町の“じじい部隊”」(2014年初回放映)9日。 (27)NHKスペシャル「定点映像 10年の記録~100ヵ所のカメラが映した”復興“~」11日。 (28)「戦災遺児 1500人」(2011年初回放送)11日。 (29)NHKスペシャル「廃炉への道 2016 核燃料デブリ 迫られる決断」12日。 (30)NHK首都圏情報ネタドリ「私を変えた3.11 東日本大震災から10年」12日。 (31)NHK週刊ワールドニュース(3月8日~12日)13日。 (32)NHKスペシャル「大震災と子どもたちの10年 いま言葉にできること」13日。 (33)NHK総合 明日へつなげよう「証言記録 東日本大震災SP ▽格闘と挑戦の10年 その先に」14日。 (34)NHK週刊ワールドニュース(3月15日~19日)20日。 (35)はい!テレビ朝日です「メディアフォーラム2021 東日本大震災から10年 メディアは何を伝えてきたか(池上彰ほか)」21日。 (36)テレメンタリー2021 3.11を忘れない85「変わる古里-フクシマはいま~」(テレビ朝日)21日。 (37)NHK未来スイッチ「東日本大震災の10年~未来につなごう あのときのこと~」21日。
「人類最強の敵=新型コロナウィルス」の掲載間隔が2週間となったのは、これが最初である。それまではほぼ1週間ごとに更新してきた。今回からはさらに間隔を空け、粘り強く記録しつづけたいと思う。
「人類最強の敵=新型コロナウィルス」を初めて載せたのは、約1年前の2020年3月6日であり、その最後を次のように結んだ。「事態は刻々と変化しており、一日でまったく認識が変わることもある。そのわずかな一局面でも、同時代の<記録>として書き留める価値があると思い、いま本稿を書いている。…この続編を書くのはいつになるか。経済への大打撃もいっそう深刻さを増し、内外政治に及ぼす影響もさらに大きくなろう。国内の感染がピークアウトする一応の目安は3月16日(月曜)ころとされるが、予断を許さない。」
このころ「国内の感染がピークアウトする一応の目安は3月16日(月曜)ころ…」と言われていた。人間の予測がいかに危ういかを示す証拠と言えよう。ピークアウトどころではなく、通番を付して連載形式にした最初が3月18日掲載「人類最強の敵=新型コロナウィルス(2)」であり、この段階ですでにピークアウト予定日を2日も過ぎていた。
この連載(2)の冒頭に「この同じテーマで、これから何回つづけることになるのか。とりあえず通番を付して対応したい。…」と書いた。それから早や1年が過ぎた。今回が(35)であるが、これから先どこまで続くか分からない。
我ながら不思議に思うのが題名である。新型コロナウィルスをなぜ<人類最強の敵>と命名したのか。新型コロナという敵の正体が分からず、対処法が確立していないため、<人類最強の敵>なのは確かであるが、これほど長期にわたるとは誰も思っていなかった。約1年を経た今も確かな<終戦>を見通すことができない。
以下に述べるとおり、アメリカの新型コロナによる死者が50万人を超え、3つの戦争(第一次・第二次世界・ベトナム戦争)の死者を合わせた数を超えた。世界のコロナ死者は256万人を超えた(3月4日段階)。これだけでも<人類最強の敵>と言える。
しかし、見方を変えれば、新型コロナウィルスが世界に拡大し始めてすぐ日本では<3密>回避や人々の日常の振る舞いへの指針が示された。そしてわずか1年以内という短期間に世界はワクチンを作りだし、普及し始めた。これらは人類の知恵の勝利の予兆を示す証左の一つである。これからも行先不明の漂流になるやの思いは拭えないが、可能な限り正面から向き合い、書き続けていきたい。
【内外の動き】
2月22日(月曜)、厚労省から人口動態統計速報が発表され、2020年の出生数は前年比2.9%減の87万人で5年連続の過去最少を更新した。婚姻数は12.7%減の53万余組で、減少率は1950年以来70年ぶり。今後の出生率減少をさらに加速すると指摘される。なお出生数が前年を上回ったのは沖縄、福井の2県のみである。
同じ日、自民党(金融調査会 地域金融に関する小委員会)は、コロナの影響を受ける企業の資金繰り支援策を3月に政府に提言する。「1年以内」または「6ヵ月以内」と定める中小企業や個人事業主への返済猶予期間を継続し、「コロナ禍進行中の事業年度は少なくとも返済要求を一切行わない状況をつくること」を求める。また中小企業等に限定される信用保証協会の保証を中堅企業も受けられる制度づくりを要望する。なお日銀が8日に発表した1月の貸出・預金動向(速報)は、全国の銀行・信用金庫の貸出平均残高578兆円余と過去最大を更新、と伝える。
同じ日、米ジョンズ・ホプキンス大学は、アメリカの新型コロナの累計死者数が22日午後5時時点で50万人を超えたと発表した。これを受けて日経新聞は「米国で死者が膨らんだ歴史的な出来事」として多い順に、①スペイン風邪(68万人)、②南北戦争(60万人)、③新型コロナ(50万人)、④第二次世界大戦(40万人)、⑤第一次世界大戦(10万人)、⑥ベトナム戦争(6万人)事例を挙げる(カッコ内は概数)。新型コロナの死者50万人は、④~⑥の3つの戦争(第一次・第二次世界・ベトナム戦争)の死者を合わせた数を超える。「人類最強の敵=新型コロナウィルス」であることは間違いない。
23日(火曜、祝)、南関東では21日の最高気温21℃につづく高温で、最低気温が12℃、最高が15℃と4月下旬なみとなった。翌24日は急降下して最低気温が3℃、最高が11℃と冬に逆戻りした。体調管理が不可欠である。21日、高温・乾燥下で起きた栃木県の山火事は落ち葉や枯草に燃え移り、「赤城おろし」と呼ばれる北西の強風が延焼を広げた。緊急出動した自衛隊ヘリ4機による消火活動でも収まらず、乾燥注意報の中、出火から5日目の25日、鎮火まで最長2週間かかるとも言われる。
同じ23日、大阪府・兵庫県・京都府の3知事は西村大臣とオンラインで協議し、コロナ新規感染者数の減少等の独自基準を達成したことを踏まえ、(3月7日を待たず)2月末で緊急事態宣言の解除を要請、愛知県と福岡県も同様の解除要請を行った。一方、首都圏の1都3県の知事は早期の解除要請を行わない方向で一致した。
同じ日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は東京オリンピック(五輪)の観客数に関する判断は、4~5月ごろになるとの見通しを明かした。この日の理事会後にオンラインで開いた記者会見で「(決断は)ぎりぎりの瞬間まで待ちたいが、チケットの手続きや入国管理などから、それはできないことも承知している。テクニカルな要素から考えれば、4月か5月上旬ぐらいに判断することになるのではないか」と話した。これまでは3月末までに判断するとしていたが、バッハ会長は先送りの可能性を示したもの。
この日夜、菅首相は、新型コロナウイルスの高齢者向けのワクチン接種について、4月12日から始める方針を明らかにした。「4月5日(月曜)の週に、高齢者向けのワクチンを自治体に発送する。12日(月曜)から接種する予定」と述べた。
一方、新型コロナ対応の特別措置法に基づき3月7日を期限に10都府県に出している緊急事態宣言について、首相は「感染者が大きく減少している。(宣言解除を)繰り上げて、という(大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県の計6府県)知事からの要望があったことも事実」としたうえで、26日(金曜)に感染症や経済の専門家らでつくる諮問委員会を開く方針を表明。「先生方からさまざまな意見をうかがうなかで判断していきたい」と述べた。
25日(木曜)午前、総務省幹部らが菅首相の長男(菅正剛氏)が勤める放送関連会社「東北新社」から接待されていた問題で、1回7万4千円超の饗応を受けていた山田真貴子(60)(2019年当時は総務省審議官、現在は菅首相の抜擢により内閣広報官)が衆院予算委員会に出席、「公務員の信用を損なったことを深く反省する。申し訳なかった」と述べると同時に、前日の菅首相の発言を受け、「職務を続けていくなかで、できる限り自らを改善していきたい」として辞任を否定した。
同じ25日(日本時間26日)、バイデン大統領は重要部材4品目の供給網を100日以内に見直すとする大統領令に署名した。4品目とは①半導体、②電気自動車(EV)に使う高容量電池、③医薬品、④レアアースを含む重要鉱物を指し、この見直しには「同盟国やパートナーと緊密な連携」で取り組むと明記した。
26日(金曜)、昼からの基本的対処方針等諮問委員会、衆参両院への報告の所定手続きを経て、政府の対策本部は6府県(大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県)で3月1日(月曜)から緊急事態宣言を解除すると決めた。首相の記者発表はなく、前日の衆院予算委員会で陳謝したばかりの山田内閣広報官の姿もない。国民へ重要なメッセージを伝えるのに首相記者発表がないのはなぜかと、世論が訝った。
解除の前提となる基本的対処方針等諮問委員会は、予定時間を1時間過ぎてようやく終わった。政府が愛知、岐阜、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県の先行解除を諮ると、経済界を除いて医療の専門家ら多くのメンバーから懸念の声が噴き出したためだ。 「本当にいま、やっていいのか」、「変異株もある」、「休みが控えていてリバウンドする」等々。記者団の取材に応じた田村厚働相は、「非常に厳しい意見が多かった」と硬い表情を浮かべた。
専門家の危惧は、次のデータに基づく。宣言下の10都府県では、1月上旬をピークに感染者数が減少したが、首都圏4県とそれ以外の地域で大きく異なるのが人口10万人あたりの1週間の新規感染者数である。24日時点で東京がステージ3(感染急増)相当の15人、千葉14人、埼玉11人と高い水準で推移しているのに対し、大阪6人、愛知4人、福岡7人である。
一方、医療提供体制は10都府県ともまだ改善途上にある。24日時点の病床使用率は東京と兵庫が38%、大阪が36%、愛知と京都が30%で10都府県ともステージ3の指標である20%を上回り、埼玉と千葉はステージ4(感染爆発)の目安の50%を超えた。懸念されるリバウンドについて、政府の分科会は25日に提言を示し、外出はすいた時間と場所を選び、歓送迎会や謝恩会など恒例行事を控えることなどを求めている。いわば<条件付き解除>である。
今回の解除見送りとなった首都圏1都3県(東京都、神奈川・埼玉・千葉)の知事は、予定の3月7日(日曜)の解除に向けて感染防止に全力を尽くすと決意を述べた。しかし、1週間で期待通りの成果が出るかは誰にも分からない。衆院予算委員会で参考人の尾身分科会会長は、「3月7日に首都圏の解除ができるか、あるいは更なる延長となるか、その両者の可能性を想定し、直前の状況を見て判断したい」と答えた。科学的判断を優先すれば当然の見解である。
28日(日曜)の【AFP=時事】によれば、ミャンマー国営放送(MRTV)は27日、チョー・モー・トゥン(Kyaw Moe Tun)国連大使が「国家の命令と指示に従わず、国を裏切った」ため解任されたと報じた。26日に行われた国連の非公式会合で同大使は、「兄弟姉妹たち」に闘いを続けるようビルマ語で呼び掛け、「この革命に勝たねばならない」と述べて軍事政権への抵抗のシンボルとなっている3本指を掲げるポーズを取っていた。
ミャンマーでは、今月1日に起きた国軍によるクーデター軍に抗議するデモが続いている。当局はデモ隊の排除に放水銃やゴム弾を使用し、また実弾発砲もあり死者も出ている。人権監視団体、「ビルマ政治囚支援協会」によると、クーデター発生以降770人以上が逮捕・起訴され、有罪判決を受けた。この他に約680人が拘束されており、27日にはさらに400人以上が逮捕された。逮捕された全員の名前を確認できるわけではないため、同団体が毎日更新するリストに記載されているのは被逮捕者の一部にすぎないという。
3月1日(月曜)、6府県(大阪・兵庫・京都の関西3府県、愛知・岐阜の東海2県と福岡県)の宣言解除の初日である。各地で、かなりの人出が見られた。同じ日、25日には辞任を否定していた山田内閣広報官が体調不良で入院、辞任を申し出たため、政府は閣議で承認手続きを進め、了承した。
2日(火曜)、新年度予算が衆院を通過し、参院へ送られた。
4日(木曜)朝の時事通信によれば、首相は3日夜、関係閣僚会合を終えた後、記者団に「2週間程度の延長が必要ではないかと考えている。最終的に私自身が判断したい」と表明した。「当初は期限の7日をもって全面解除する腹づもりだったが、小池百合子東京都知事らの延長要請の動きを受けて軌道修正を余儀なくされた。総務省幹部接待問題などで<後手>批判を浴びる中、かろうじて<先手>を演出した形だ。…首相には4都県知事の圧力に押され、1月7日の宣言再発令決定に追い込まれた苦い記憶がある。今回も小池知事らの要請を受ける形で方針転換すれば指導力が問われかねないとの懸念から、あえて要請を待たずに表明に踏み切ったとみられる。」
緊急宣言を2週間延長した場合、新たな期限は3月21日(日曜)となる。25日からは東京五輪の聖火リレーが控えている。同じ日の参院予算委員会で首相は、首都圏1都3県に発令中の新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について「国民の命と暮らしを守るために2週間程度の延長が必要ではないかと考えている」と述べ、7日までの期限を再延長する考えを重ねて表明した。同じ日、FNNプライムオンラインは、「東京五輪を中止すべき時がきた」とする英・タイムズ紙掲載のコラムを伝えた。
5日(金曜)夕方、菅首相は、所定の手順を踏み一都三県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)を対象として緊急事態宣言の実施期間を令和3(2021)年3月8日(月曜)から21日(日曜)まで2週間を再延長すると決定した。それで収まるのか。10日(水曜)、政府のコロナ対策分科会の尾身会長は、「“緊急宣言”の再々延長あり得る」と述べ、感染対策をしっかり行っている飲食店に対しては優遇措置を与えるべき、と政府に求めた。
11日(木曜)は、東日本大震災から10年に当たる日である。菅首相と米国のバイデン大統領は10年の節目にあわせて連名で共同声明を発表し、震災の犠牲者や遺族に哀悼の意を表明した。「東北地方の復興の完了と我々全員にとってより良い未来の実現のため、手を携えて前進する」と強調。震災が発生した2011年、バイデン氏はオバマ政権で副大統領を務めていた。震災から5カ月後には宮城県を訪問、在日米軍は被災地支援<トモダチ作戦>で復旧・復興を後押しした。声明は日米両政府が「緊密に連携し、震災被害の軽減や東京電力福島第1原子力発電所事故への対応に従事した」と振り返り、バイデン氏は被災地訪問で「救援活動と日本国民の驚くべき力と粘り強さを目の当たりにした」と評価した。両首脳は日米の協力が「日米同盟という特別な絆と揺るぎない友情の証しとして、日米両国民の心と記憶に特別に刻まれ続けるだろう」と指摘。「これからもかけがえのない<トモダチ>として被災者を支援し、亡くなられた方々を追悼する」と訴えた。
同じ日、中国全国人民代表大会(全人代)が、香港の選挙制度を見直す決定を採択して閉幕した。それにより、親中派が多数を占める行政長官の選挙委員会に香港立法会(議会)選挙の候補者を指名する権限を持たせ、候補者を審査する機関も設ける。民主派を排除する内容である。<一国二制度>の約束は反故にされた。全人代の閉会を受け、李国強首相が記者会見し、中国にとって<核心的利益>である香港等に対する米国の<内政干渉>を牽制する一方で、「協調できる分野がたくさんある」と米国に対話も呼びかけた。
12日(金曜)、菅首相は12日の政府・与党連絡会議で4月前半にもワシントンを訪問し、バイデン米大統領と会談すると表明した。バイデン氏が対面で会う初の外国首脳となる見通し。バイデン政権は対中政策を外交、安全保障分野の重点課題と位置づけており、インド太平洋地域の同盟国である日本を重視している。
同じ日、日本、米国、オーストラリア、インド(日米豪印)の4カ国は初の首脳によるオンライン協議を開き、新型コロナウイルス対策や経済分野などでの協調を示す共同文書をまとめ、脱炭素の実現に向けた連携も明記した。菅首相、バイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相が参加、最近では英語で4を意味する「Quad(クアッド)」という通称が定着してきた。中国の影響力拡大を強く意識した枠組みである。インド洋と太平洋を囲むように位置する4ヵ国は、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を共有する。
米国のトランプ前政権時に立ち上げ、1月に発足したバイデン政権が引き継いだ今回の首脳協議は米国が呼びかけた。これまで局長級、外相級で開いてきたのを格上げし、バイデン政権が重視する以下の4点を話し合った。(1)気候変動分野での協力を打ち出し、脱炭素の実現に向けた技術協力のあり方などを話し合う。(2)アジアなどの途上国でのワクチン普及に向けた枠組みの合意もめざし、インドで製造するワクチンを日米豪が財政支援し供給する案を検討する。(3)半導体や資源など、中国に依存するサプライチェーン(供給網)の見直しも主要議題として、高性能なモーターや蓄電池に欠かせないレアアース(希土類)の調達多様化の必要性を確かめる。(4)東シナ海や南シナ海で現状変更を続ける中国への警戒感も共有。菅首相は沖縄県尖閣諸島周辺への中国海警局の船による領海侵入への懸念を訴える構え。
同じ12日、菅首相の長男が関係する放送事業会社<東北新社>が申請時の2017年に外資規制違反があったとして、総務省は同社の認定を取り消した。
15日(月曜)、アメリカのバイデン政権初の閣僚による外遊として、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日。両長官は日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)に臨む。
17日(水曜)、日米の2+2(外務・防衛閣僚会議)が、バイデン政権発足後、初めて行われ、中国を強くけん制した。茂木外相「中国による海警法に関する深刻な懸念を共有した」と述べ、米ブリンケン国務長官「中国が強圧的な行動に出た場合、われわれは必要に応じて対抗する」とした。4閣僚は、中国が海警局の船に武器の使用を認める「海警法」を施行したことに、深刻な懸念を共有した。
そして、沖縄県の尖閣諸島がアメリカによる防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の対象であることを確認し、「尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動にも反対する」ことを確認した。また、ブリンケン国務長官は、拉致被害者の家族から、拉致問題解決への支援を求める書簡を受け取ったと述べた。
この日、中国での少数民族ウイグル族への不当な扱いが人権侵害に当たるとして、EUの大使級会合で人権侵害にかかわった人物と団体に制裁を科す方針を決めた。22日(月曜)の外相理事会で正式に決める。1989年の天安門事件以来の措置である。
この日夜、菅首相は首都圏1都3県に発令している新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を21日の期限で全面解除する方針と、首相官邸で記者団の質問に答えた。その根拠として「感染者数、病床使用率が解除の方向に入っている」を挙げた。緊急事態宣言は2度の延長を経て、2カ月半で解除されることになる。政府は18日に開く基本的対処方針等諮問委員会に全面解除の方針を諮り、政府の対策本部で正式に決定する。
この日、利用者の多い無料通信・メールアプリLINE(ライン)利用者の個人情報が中国の関連会社で閲覧可能だった問題が発覚し波紋を拡げている。国内7,800万人の利用者(多くの自治体を含む)がいる。無料で、友だちや家族と、トーク(チャット)・音声通話・ビデオ通話を楽しめます。ユーザー同士であれば、国内・海外・通信キャリアを問わず、いつでも、どこでもリアルタイムのコミュニケーションができる。LINEは、LINE株式会社が運営・開発する、モバイルメッセンジャーアプリケーションで、韓国 NHN株式会社(現 ネイバー株式会社)の完全子会社である日本法人 NHN Japan株式会社(現LINE株式会社)が、2007年に社長に就任した森川亮の下で開発したサービス。 スマートフォン、iPad、PC、スマートウォッチ に17言語で対応している。
問題の発端は、LINEが利用者に示す運用指針に、データを第三国に移転することがあると
しながらも、委託先の「中国」や「韓国」など具体的な国名を記載していなかったことである。 利用者の同意なく個人情報を第三者に提供したり、海外に持ち出したりすることは法律で禁じられている。国は利用者の個人データを海外に持ち出す場合、具体的な国名を示すよう求めている。
自民党の部会では、LINEと親会社Zホールディングス(HD)の幹部が経緯を説明。出席議員からは「利用者が安心できる取り組みが必要」との指摘が上がった。LINEに対しては、総
務省や政府の個人情報保護委員会も法令に基づき報告を求めた。ZHDはデータの取り扱いを検証する第三者委員会を設置し、23日(火曜)に初会合を開く予定。
18日午前、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県に出している緊急事態宣言をめぐり、基本的対処方針の変更案について議論する政府の諮問委員会(尾身会長)は、期限の21日までで解除する政府方針を了承した。西村大臣は諮問委で、新規感染者数はピーク時から約8割減少し、2度目の延長の理由となった病床使用率の指標も、逼迫(ひっぱく)していた埼玉、千葉両県で、30%台まで低下したと説明。「指標(の改善)が確実になってきていること、再拡大防止に向けた取り組みを進めてきている」などとして、期限満了での宣言解除を諮問したもの。
政府は18日午後、対策本部を開き、3月21日(日曜)で緊急事態宣言を解除すると正式決定した。1月8日の対策開始から2度延長された宣言は、約2カ月半で終わった。菅首相は記者会見で、宣言を解除したあとの感染の再拡大を防ぐための総合的な対策として、①飲食の感染防止、②変異したウイルスの監視体制の強化、③感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査の実施、④安全で迅速なワクチン接種、⑤次の感染拡大に備えた医療体制の強化の5つの柱を決定したと説明した。3月25日(木曜)から始まるオリンピックの聖火リレーの直前で宣言解除にこぎ着けた。だが感染者の増加の兆しが見え始め、再びリバウンドすれば、大会開催そのものが危ぶまれる。
同じ18日、東京都は飲食店などに対し営業時間を午後8時までに短縮するよう要請してきたが、応じない113の店には特別措置法の45条に基づいて緊急事態宣言下でのみ適用できるより強い<要請>を出していた。それでも短縮要請に応じない飲食店のうち、正当な理由がないと判断した27の店に対し、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく<命令>を出した。<命令>が出されるのは全国で初めて。これも21日の解除により失効する。
同じ18日、米韓両政府はソウルで約5年ぶりに外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)を開き、北朝鮮の脅威などに対応する日米韓の結束を演出した。トランプ前政権下で揺らいだ米韓関係を立て直す狙いもあるが、米国が重視する中国への対応では双方の温度差が浮き彫りとなった。共同声明は、米韓同盟を「朝鮮半島とインド太平洋地域の平和、安保、繁栄の核心軸」と定義した。トランプ政権下で縮小論が取り沙汰された在韓米軍は、必要な戦力と力量を維持するとうたった。北朝鮮の核・ミサイル問題を優先的な関心事として、日米韓3カ国協力の重要性も明記した。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官はその後、韓国の文在寅大統領とも会談。文氏は「韓日関係の復元に向けて努力していく」と述べ、ブリンケン氏は「進展に期待する」と応じた。
19日(金曜、現地時間18日午後)、米国アラスカ州に飛んだブリンケン米国務長官は、中国外交担当トップの楊潔篪共産党政治局員と会談、バイデン政権では初めての米中外交トップの対面式会談である。安全保障や経済、人権問題などを巡って冒頭から激しい応酬となった。2日間の予定。米国はサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、中国からは王毅国務委員兼外相が同席した。
ブリンケン氏は2分あまりの冒頭発言で「新疆ウイグルや香港、台湾、米国へのサイバー攻撃や同盟国への経済的威圧について深い懸念を議論する。これらの行動はルールに基づく秩序を脅かしている」と厳しく非難した。楊氏は「内政干渉には断固として反対する」と20分近くにわたり反論した。「米国は軍事力と金融覇権を用い、他国を抑圧している」と主張、黒人問題を取り上げて「米国こそ人権でより良い対応を取るよう希望する」などと指弾した。双方はこの後も応酬を繰り返し、報道陣を前に異例の1時間にも及んだ。
この19日、高校選抜野球大会が2年ぶりに甲子園球場で開幕、3試合が行われた。東日本大震災の被災地を代表する仙台育英は、強豪・明徳義塾(高知)を破り、震災10年の節目で全国制覇なるかと期待が寄せられる。
20日(土曜、春分の日)夕方6時過ぎ、宮城県で最大震度5強(マグニチュード6.9)の地震があり、最大1メートルの津波予報が出されたが30分後に解除、津波は来なかった。不安にかられつつも、10年前の経験を踏まえて即座の避難行動をとった地域もある。
この日の夜、東京オリンピック・パラリンピックでの外国人観客受入れはないと政府が正式に決定したことに伴い、政府(丸川五輪相)、東京都(小池知事)、大会組織委員会(橋本会長)は、国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長と国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長を交えて5者協議をオンラインで開き、海外からの一般観客の受け入れ見送りを正式に決めた。その後の記者会見で橋本会長は「本当に残念でならない。安全と安心を確保するためには致し方ない結論」と述べ、バッハ会長は声明を発表し「世界中の熱狂的なファン、選手の家族や友人と落胆の気持ちは一緒だが安全が第一。IOCの最優先は全ての人にとって安全な大会を開催することだ」と理解を求めた。
一般観客を国内に限定し、国内のイベント規制に準じて4月中に再び5者協議を開き観客数の上限の方向性を決定する。収容率は<50%以内>を軸に検討。最大7万人近くを収容する国立競技場(東京・新宿)をはじめ大規模会場もあり、実際にどれだけの入場を可能とするかを詰める。
また海外では五輪とパラリンピックあわせて約60万枚が販売済みで、払い戻し手続きを始める。組織委は国内外から制限なく観客を受け入れた場合、チケット収入を900億円と見込んでいた。100億~150億円規模の減収が生じる可能性がある。
21日(日曜)、この日が緊急事態宣言の最終日である。全国的に強い雨が降ったにもかかわらず、都内の盛り場は人出が増えた。東京都の新規感染者は256人、直近1週間平均の新規感染者は約301人で、前週(約279人)の107.9%と微増した。宮城、大阪、兵庫等でも増加しており、<リバウンド>が強く懸念される。
【地方のコロナ対応 現状と課題】
2月28日の産経新聞は、「【地方変動】第1部・溶ける自治体(1)コロナ時代、もう東京でなくてもいい」の掲載を始めた。次のように書きだす。「クラウド名刺データ管理サービス会社「Sansan」(東京)のエンジニア、辰濱健一さん(36)のもとにトラブル相談が寄せられた。相手はインドにある協力企業のスタッフ。…いつものことのように指示を出す辰濱さんの職場の前には、のどかな田園風景が広がる。……Sansan本社のある東京表参道ではなく、ましてや米シリコンバレーでもない。人口わずか5千人の町、徳島県神山(かみやま)町だ。…」
神山町はIT(情報技術)で躍進した地方の町として名高い。平成16年に全国に先駆けて町全域に光ファイバー網を敷設、都会と変わらぬ高速で大容量の通信を可能とすると、町はサテライトオフィス(遠隔地拠点)の誘致を本格化。これまで14社が拠点を開設した。Sansanもその一つ。“ITの町”が「ウィズコロナ」の時代、求心力を増している。町への移住や企業進出の支援を行うNPO法人「グリーンバレー」では今年度、こうした相談が前年度から倍増した。
もう一つ、古くから温泉地として知られる和歌山県白浜町も近年、急速に変貌を遂げている。そしてこちらも徳島県神山町と同様、新型コロナウイルス禍により注目度が増している。良質なリゾートタウンで、東京から飛行機で約1時間という強みを生かし、観光地で休暇を楽しみながらテレワークに励む「ワーケーション」の最適地とPR。平成29年度からの3年間で104社910人がワーケーションを実施。ビジネスルームを整備した宿泊施設「ホテルシーモア」を運営する白浜館の松平哲也・予約センター長(47)は「こうした動きはうちだけではない。共有キッチンやリビングがありワーケーションができる宿泊施設ができてきている」と言う。
コロナ禍で観光客を奪われたが、ワーケーションという新常態(ニューノーマル)に活路を見いだした。非接触はコロナとの共生に欠かせない。そこには白浜町のレジリエンス(回復力)も感じられる。徳島県神山町と和歌山県白浜町。2つの町は期せずしてデジタル化を進めていたことで人が集まり、未曽有のコロナ禍にもしなやかに対応できた。そこには、デジタル化こそ地方再生の処方箋、という確信めいた認識があったのだろう。ただ、和歌山県情報政策課の大谷信一朗主任(46)はこう指摘する。「単に観光と仕事ができる環境の整備だけでは、人を呼び込む理由としては弱い」。念頭にあるのは限られたパイをめぐる地方の競争激化である。例えばワーケーション。同県運営の「ワーケーション自治体協議会」に参加自治体数は令和元年の65から、今年1月21日現在、倍以上の166に増えている。
さらに、昨年は東京への人口集中が鈍ったとはいえ、転出先の上位は埼玉、千葉、神奈川といった近郊だ。地方への波及効果は限定的かもしれない。国の地方制度調査会は昨年まとめた地方行政のあり方についての答申で「組織や地域の枠を超えて連携し合う社会を構築するのが重要」とした。競争よりも旧態依然とした地方や自治体の枠組みを溶かし、連携していくことが地方や国の未来につながるという。野村総合研究所の神尾文彦・主席研究員も「コロナが収束しても東京一極集中に戻るべきではない。地方の衰退を防ぐためには本格的な人の分散が必要で、国も企業移転やデジタル化などで地方を支援すべき」と強調する。
地方がいま大きく変動しようとしているのは、人口減少や超高齢化、インフラの限界など迫りくる危機への対応を急ぐためだ。それにコロナ禍が拍車をかけた。地方を生かすことは、国を生かすことでもある。芽生え始めた地方変動の潮流をどう生かすかは国家的な課題である。
【ワクチン接種】
2月26日(金曜)、高齢者へのワクチン接種を4月1日に開始と述べた河野大臣は高齢者向けワクチンを6月中に配送完了すると述べた。
28日(日曜)の【AFP=時事】によれば、米食品医薬品局(FDA)は27日、米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が開発した接種1回型の新型コロナウイルスワクチンに緊急使用許可を出した。米国で使用が認められた新型コロナウイルスワクチンは3例目。FDAは、J&Jのワクチンは変異株も含む新型コロナウイルスの感染予防に高い効果があるとした。
バイデン米大統領は声明を発表し、「これはすべての米国人にとって素晴らしいニュースであり、この危機を終わらせようと努力している上で励みになる出来事だ」とした一方、変異株は依然として脅威だとして、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)などの感染対策を続けるよう国民に呼びかけた。
3万9321人が参加した大規模な臨床試験でJ&J製ワクチンの重症を予防する効果は85.4%だったが、重症に加え中等症も予防する効果はそれよりも低く66.1%だった。年齢、人種、基礎疾患の有無による大きな違いはなかった。J&Jは、3月中に2000万回分、6月までに1億回分の配送を目指すとしているが、米政府は前倒しを求めている。
同じ28日の【パリ時事】によれば、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人が取得できる証明書の活用をめぐり、欧州内で温度差が生じている。欧州連合(EU)のミシェル大統領は25日、「ワクチン未接種者に対する差別を招く恐れがある」と懸念を表明。一方、国内経済を観光に依存するギリシャやスペインなど南欧諸国は、証明書の活用に前向きである。
EUは1月のテレビ首脳会議で、ワクチン証明書の標準化を進めることで合意。取得者への渡航制限の緩和など、医療目的以外での活用方法について議論を進めている。世界で最もワクチン接種が進むイスラエルは、接種者に「グリーンパス」を発行。AFP通信によれば、ホテルなど一部の施設で利用者にパスの提示が義務づけられている。
こうした事例を念頭にギリシャのミツォタキス首相は、EUでも同様の「ワクチンパスポート」を発行すべきだと主張している。今月8日にはイスラエルのネタニヤフ首相と会談。パスを保持するイスラエルからの観光客に対し、隔離なしでギリシャへの渡航を許可する2国間合意を締結した。スペインやイタリアもEU共通のワクチンパスポート導入に前向きな姿勢を示す。一方、フランスはマクロン大統領がワクチン接種を「義務化しない」と表明したことから、ワクチンパスポートの導入には慎重だ。ただ、地元メディアによれば、観光業界は「スペインやギリシャに外国人観光客を取られかねない」と懸念している。
28日の産経新聞のコラム「【女子の兵法】<臨機応変>に戦い勝つ」は、テニスの全豪オープン女子シングルスで2年ぶり2度目の優勝を飾った大坂なおみや、白血病を克服して復活した競泳女子の池江璃花子選手の活躍ぶりを称え、その終わりを次のように締めくくる。「約100年前、第一次世界大戦や世界各地で猛威をふるった<スペイン風邪>を乗り越えて開催されたベルギー・アントワープ五輪は「人類の団結と世界の平和」がテーマだった。わが国のみならず、世界中の人々による努力の先に、希望の火を灯(とも)し、<多様性と調和>を世界に向けて発信したい。」
同じ日、作家・ジャーナリストの青沼陽一郎氏は、菅首相が施政方針演説でも断言している「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として…」は誤りであり、実際には「新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の結束の証」ではないかと記す。「打ち勝った結果」とするほど甘くはなく、「…コロナに打ち勝つ未来への結束の証」に他ならない。
3月12日(金曜、米東部時間午後8時)、米バイデン大統領はテレビの視聴者数が多い夜の「プライムタイム」に初めて演説、世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言して1年を迎えたのに合わせて実施した。独立記念日を「ウイルスからの独立を示し始める日にする」と述べ、少人数で家族や友人が集まれる状況を目指すと説明した。コロナをどこまで抑制できるかは米経済の回復ペースを左右する。前向きな公約を掲げて国民の支持を集める狙いだが、狙い通りに成果を上げられなければ批判を浴びるリスクもある。
バイデン大統領は十分な量のワクチンを確保できたとして、5月1日までに全成人希望者を対象にワクチンの接種対象とするよう州・地方政府に指示した。これまで供給量が限られるため、米疾病対策センター(CDC)が高齢者や持病がある人を優先するよう求めていた。CDCによると、所定回数のワクチン接種を完了した人は3386万人。バイデン政権は全成人の接種に必要な量を5月末までに確保できると説明してきた。実際は接種を断る人もいるため、7月にかけて何人が接種を終えるかは不透明だ。米国の18歳以上の人口は約2億5000万人を超え、全人口の78%を占める。
接種のペースを引き上げる体制も整える。ワクチン接種を受けられる薬局を全米2万カ所へと倍増させる。軍から4000人を新たに派遣し、計6000人超の兵士が支援する。歯科医や医学部の学生なども動員し、接種要員も増やす。新規感染者数が減少傾向にあり、過去1週間は1日平均5万7000人で推移する。ただ感染力の高い変異ウイルスが欧州などで猛威を振るっており、予断を許さない。ウイルスの広がりを迅速に把握するため、11日に成立した追加経済対策を活用して500億ドルを検査能力の増強にあてる。17億ドルを投じて変異ウイルスの分析件数も増やす。
17日(水曜)、日経新聞と英フィナンシャル・タイムズが集計したコロナワクチンの接種回数は131ヵ国・地域で3億9000万回を超えた。33ヵ国が100万回をうわまわる。日本は43万回に達した。これを人口100人当たりの接種回数に換算すると、イスラエル=105回、UAE=68.3、英国=40.5、チリ=30.1、米国=33.4、トルコ=14、シンガポール=13.9、スペイン=12.2、ドイツ=11.0、ブラジル=5.6、ロシア=5.3、中国=4.6、インド=2.6、韓国=1.2、そして日本は0.3と極端に少ない。実際の接種の進捗を見るには免疫獲得に必要な回数の接種を完了した人数も重要であり、それによれば、人口100人あたりではイスラエルが48.2人で、3人に1人以上が接種を終えた計算になる。
18日(木曜)、アストラゼネカなどが開発した新型コロナウイルスのワクチンで接種後に血栓が確認された(1700万回の接種から14件)ため接種を中断していた問題に関連して、EU=ヨーロッパ連合の医薬品規制当局は調査結果を公表し、「安全で効果的なワクチン」とする見解を示した。これに伴い一時中止してEUの13ヵ国が接種を再開した(北欧の2ヵ国を除く)。
この週、アメリカン航空やエールフランス航空で搭乗の際の保安検査のため、ワクチン証明書(グリーンパス)をスマホまたは紙ベースで用いる方式を活用し始めた。ワクチン接種をしたいない人を差別することにならないかと懸念する声があり、人権にかかわる憲法上の議論が各国及びEU議会で行われる見通しである。
この間、次のテレビ番組を観ることができた。(1)TBS情熱大陸「新型コロナ緊急企画 ウィルスに挑む“現場の声”[河岡義浩 坂本史衣 忽那賢志]」1月24日。 (2)TBS情熱大陸「サイバー技術開発集団統括 登大遊(36歳) ▽天才が挑む自治体テレワークシステム開発」2月7日。 (3)NHKEテレ地球ドラマチック「ネアンデルタール人 真の姿に迫る!」13日。 (4)BS1スペシャル「アマゾン 文明の果て~死と再生を見つめて~」26日。 (5)ETV特集(選)「誰が命を救えるのか 医者たちの原発事故」27日。 (6)NHK週刊ワールドニュース「新型コロナに揺れる世界(2月22日~26日)」27日。 (7)福島でずっと見ているTV「漁師としえ生きる 相馬で」27日。 (8)NHK BS1スペシャル「渡辺謙と東日本大震災 見つめ続けた10年(前編・後編)」28日。 (9)BS世界のドキュメンタリー(選)「粘菌 脳のない天才」3月1日。 (10)NHK総合「逆転人生 “加害者”になった私 東電社員たちの10年」1日。 (11)NHK明日へ つなげよう選「俺たちにバックギアーはない~三陸から描く 水産業の未来図」4日。 (12)NHKスペシャル(選)「果てなき苦闘 巨大津波 医師たちの記録」5日。 (13)NHK週刊ワールドニュース(3月1日~5日)6日。 (14)NHK総合 花は咲くスペシャル「歌が紡いだ10年の物語」6日。(14)TBS「つなぐ つなげる」6日。 (15)目撃!にっぽん「消えた窯元 10年の軌跡~福島県浪江町~」7日。 (16)明日へ つなげよう「“助かった命”を守るために~震災関連死10年の記録」7日。 (17)「街は生き続ける~“ふるさとの記憶”から見つめる被災地のいま~」7日。 (18)NHKスペシャル「原発メルトダウン 危機の88時間」(2016年初回放送)7日。 (19)NHK「証言記録 東日本大震災 暴走する原発に突入せよ~事故拡大を防いだ下請け企業~」(2018年初回放送)8日。 (20)<NHK明日へつなげよう(選)>の「証言記録 レールをつなげ~誕生 三陸鉄道リアス線~」(2019年初回放送)8日。 (21)BS1スペシャル「奇跡の里浜 震災9年 再生の日々」(2020年初回放送)8日。 (22)NHKスペシャル「被爆の森~原発事故 5年目の記録」(2016年初回放送)8日。 (23)NHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」(2012年初回放送)9日。 (24)NHKスペシャル「命と向きあう教室~被災地の15歳・1年の記録」(2015年制作)9日。 (25)NHK明日へつなげよう「北の鉄人 7年の夢~釜石の復興にかけたラガーマン」(2018年初回放送)9日。 (26)NHKスペシャル「無人の町の“じじい部隊”」(2014年初回放映)9日。 (27)NHKスペシャル「定点映像 10年の記録~100ヵ所のカメラが映した”復興“~」11日。 (28)「戦災遺児 1500人」(2011年初回放送)11日。 (29)NHKスペシャル「廃炉への道 2016 核燃料デブリ 迫られる決断」12日。 (30)NHK首都圏情報ネタドリ「私を変えた3.11 東日本大震災から10年」12日。 (31)NHK週刊ワールドニュース(3月8日~12日)13日。 (32)NHKスペシャル「大震災と子どもたちの10年 いま言葉にできること」13日。 (33)NHK総合 明日へつなげよう「証言記録 東日本大震災SP ▽格闘と挑戦の10年 その先に」14日。 (34)NHK週刊ワールドニュース(3月15日~19日)20日。 (35)はい!テレビ朝日です「メディアフォーラム2021 東日本大震災から10年 メディアは何を伝えてきたか(池上彰ほか)」21日。 (36)テレメンタリー2021 3.11を忘れない85「変わる古里-フクシマはいま~」(テレビ朝日)21日。 (37)NHK未来スイッチ「東日本大震災の10年~未来につなごう あのときのこと~」21日。
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