人類最強の敵=新型コロナウィルス(34)
2月8日(月曜)に掲載した前稿(33)では、8日時点で感染者が全国でも東京でも減少傾向にあり、東京都の陽性率も低下しているとし、次はいつ、どのように緊急事態宣言を解除するかをめぐり新たな模索が始まっていると述べた。それから2週間になろうとしているが、感染の減少ペースが鈍いため、解除の日程が射程に入る段階ではない。また目まぐるしく変わる内外の動きから目を離せない。
【内外の動き】
8日、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会・森会長の女性蔑視発言(3日)とその陳謝(4日)等を受けて、菅首相は国会での質問に「私自身が(森氏の)進退について問題にすべきではない。組織のなかで決めてもらう」と答えた。自身の5日の国会答弁「五輪の重要な理念である男女共同参画からも全く異なる」とした批判的見解はあくまで個人的なもので、森会長の辞任・後任については大会組織委員会の意向に任せると距離を置いた形である。
同じ8日夜、組織委員会は大会のスポンサー企業とのオンライン会議を開き、森会長の発言を謝罪した。そのさい一部の企業からは、「不買運動にもつながりかねない」「組織委員会として行動で示して欲しい」など厳しい意見があったという。
日本生命は「今般の森会長の発言は女性蔑視とも捉えられ、男女平等がうたわれているオリンピック・パラリンピック精神にも反する表現であり、大変遺憾」と、また東京海上日動は「<多様性と調和>という東京大会のビジョンに反する発言であり、大変遺憾」とコメントした。
遡って3日の森発言の日の夜から「#わきまえない女」のハッシュタグをつけた投稿がツイッターで瞬く間に広がり、1週間後の11日に14万人の署名が集まった。その背景には森発言が「黙らされてきた女性たち、とりわけコロナ禍で苦しむ女性たちの傷口に塩を塗った」、「コロナ禍が続くなか、多くの女性が失業し、自殺も増加。医療や介護、保育などの現場で身を削る女性たちは声をあげる余裕もない。いざ発言すれば『長い』と言われる。権力者が、女性をはじめ、さまざまな異論に耳を傾けず、排除を続けてきた末路の発言だった」等の声がある。
関係者によると、組織委員会は早急に対応を協議する必要があると判断、今週12日にも、理事と評議員を集めた臨時会合を開催する方向で検討しているという。ただ森会長の進退については、現時点では議論されない見通しである。
9日(火曜)、時事通信社によれば、森会長の発言を問題視するボランティアの辞退続出に自民党の二階幹事長が「瞬間的なもの」と述べたことについて、橋本聖子五輪担当相は衆院予算委員会における立憲民主党亀井亜紀子氏への答弁で、「真意は把握していないが不適切だった」との認識を示した。また麻生副総理兼財務相も立憲の山本和嘉子氏の質問に対し、「ボランティアに対する敬意を欠いている」と指摘した。
二階幹事長は8日の記者会見で「(事態が)落ち着けば、その人(辞退したボランティア)の考えも変わる。どうしても辞めるなら、新たなボランティアの追加ということになる」と強気に語ったが、翌9日の会見では「五輪相の発言に幹事長が論評を加える必要はない」と言及を避け、自身の見解については「特別深い意味はない」と曖昧に述べた。
9日(火曜)、森氏の謝罪と発言撤回を受けて「この問題は終了した」としていた国際オリンピック委員会(IOC)は、一転して「発言は極めて不適切で、IOCが取り組む改革や決意と矛盾する」との声明を発表。組織委関係者によれば最上位スポンサーからIOCに抗議が相次ぎ、ボランティア辞退の動きもあったためという。
五輪開幕まで半年を切り、17日は感染拡大防止の観点から観客制限について、IOCのトーマス・バッハ会長、橋本五輪担当相、森会長、小池都知事のトップ4者で調整をするはずであった。
10日(水曜)、小池都知事は、「今、ここで4者会議をしてもあまりポジティブな発信にはならないと思うので、私は出席することはないと思う」と述べる。小池知事の発言を追うと、森発言翌日の4日午前、「話が長いのは人によるんじゃないでしょうか」に留めたが、午後には「重要な時期にこの発言で困惑している」とし、5日には「私自身も絶句したし、あってはならない発言だった」と踏み込んだ。
背景にあるのは世論の批判の高まり。都には電話やメールで10日までに約1700件の意見が寄せられ、「森会長は責任を取るべき」等のものが多く、都独自に募集した都市ボランティアの辞退も計126件に上った。小池氏は4者会談欠席の意向を示した際、これらの批判にも言及した。
連立与党の山口公明党代表も「出処進退は森氏本人が判断すべきもの」、また自民党の野田聖子幹事長代行も記者会見で「自ら方向性を示していただきたい」と述べ、森会長の自発的な辞任を求める声が拡がった。
11日(木曜、祝日)昼、朝日新聞デジタル版が伝えた。「東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森会長が辞任の意向を固めたことがわかった。複数の関係者に同日、辞意を伝えた。後任は、日本サッカー協会や日本バスケットボール協会の会長を歴任し、東京五輪では選手村村長を務める川淵三郎氏(84)で調整している」。
同じ11日夕方、読売新聞が次のように伝えた。「大会組織委員会の森会長は11日、都内で組織委の評議員を務める川淵三郎・日本サッカー協会相談役と会談した。関係者によると森会長が後任の会長就任を要請し、川淵氏も受諾する意向を示した。森会長は12日、組織委が開く緊急会合で、自らの女性に対する不適切な発言の責任を取り、辞任を表明する見込み」。
12日(金曜)の新聞各紙は、森氏が辞任し後任を指名して影響力を残す<禅譲>方式(古代中国で皇帝が有徳者に譲ること)に、さしたる疑問を示さず、そのまま川淵氏へとバトンタッチされる方向の報道を行った。しかし森氏の思惑と川渕氏の軽率な発言は世論の納得を得られず、後任選出は<透明性>ある形式と内容が不可欠とする声にかき消され、振出しに戻った。
同じ日の午前、川淵氏が要請辞退の意向を固めた。川淵氏は11日には「もし選ばれれば、森さんの期待に沿うべく、ベストを尽くしたい」と受ける意向を示していたが、「密室で決まっている」などの批判の声が高まっていた。
同じ日の午後、組織委員会の理事会・評議員会の合同懇談会が開かれ、森氏の辞任を了承、理事のうちアスリートを中心とする10人ほどで次期会長候補者検討委員会を作ることとした。委員長には組織委員会の御手洗富士夫名誉会長(キャノン社長)が就任する。
懇談会後の記者発表を行ったのは組織委員会の武藤敏郎事務総長(前大蔵・財務事務次官、日本銀行副総裁)。同氏の主導で事態が動いており、官邸(菅首相)の意向(会長には女性、若い人、オリンピアンが好ましい)が背景にある印象を与えた。新たな会長候補として橋本五輪相らの名前が浮上。候補者検討委員会のメンバーや委員会の開催日程等は明らかにされず、透明性を疑う声がある。
同じ12日、政府は感染症の専門家で構成する基本的対処方針等諮問委員会を開き、10都府県を対象に発令している緊急事態宣言の解除を見送った。感染者は減ってはいるが、病床の逼迫がつづいているためである。
この日の午前、予定より早くファイザー製ワクチンが初めて日本に到着した。12日の<薬事・食品衛生審議会>の部会了承を受けて、菅首相は14日(日曜)にも特例承認を行い、「来週半ば(17日ころ)にも接種を開始」するとした。
13日(土曜)の日経新聞朝刊によれば、イオンが自社の商業施設290ヵ所をワクチン集団接種会場として有償で貸し出すと発表した。事務局業務を担う人材の不足には、業績不振の旅行業JTBや近畿日本ツーリスト、人材大手等が参入する。
同じ日の夜11時過ぎ、福島県沖で地震が発生、福島・宮城両県で最大震度6強を観測した。10年前の東日本大震災(3月11日)の<余震>とされ、М7.3。今後1週間ほどの間、震度6強の揺れが起きる可能性があるいう。被災状況は徐々に判明しつつあるが、東北新幹線は那須塩原=盛岡間が運行停止で全線の復旧には10日程度を要するという。
15日(月曜)、週明けの東京証券取引所は、日経平均で3万円を超える高値をつけた。バブル絶頂期(崩壊寸前)の1990年8月以来、30年半ぶりである。コロナ禍で倒産企業が増え、失業者も増えている実体経済との開きが大きく、この株価上昇がいつ退潮に転じるかが話題に上る。
この日、ファイザーが開発したワクチンの有効性・安全性などを確認したとして、厚労省が正式に承認。ワクチンの接種は17日(水曜)にも1万人から2万人程度の医療従事者に先行して開始し、順次、高齢者などへ接種を進めていく方針。これを前に、厚労省は専門家による審議会を開き、接種を勧める対象から妊婦を外すかどうか、また副反応の事例報告などについて議論し、実務を担う自治体に周知することにした。
16日(火曜)、衆議院予算委員会で武田良太総務相は次のように述べた。放送行政を所管する総務省の谷脇康彦総務審議官ら幹部4人が昨年10~12月、衛星放送や番組制作を手がける東北新社に勤める首相の長男(菅正剛氏)らから受けた接待は、国家公務員倫理規程に違反する可能性があるとして人事院の国家公務員倫理審査会とともに調査を始めていたが、総務省側の調査に次いで、首相の
長男からも調査を行った。
菅首相は小泉政権で総務副大臣、第1次安倍政権で総務相を歴任し、総務省に強い影響力を持つ。総務相時代は長男を大臣秘書官に起用した(2006年から7ヶ月間)。今は公的立場にない「一民間人」というが、総務官僚の側からみれば、その背後に首相の存在を見るのが当然である。
同じ16日午後、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、辞任した森会長の後任選定に向けた候補者検討委員会を開き、会長に求める資質として、以下の5点を掲げた。①五輪、パラリンピック、スポーツに深い造詣があること、②男女平等原則や多様性など五輪憲章や東京大会の理念を実現し、将来につなげられること、③国際的な活動経験があり、国際的な知名度、国際感覚があること、④東京大会のこれまでの経緯や準備状況を理解していること、⑤組織運営能力や多様な関係者との調整力を備えていること。
同じ16日、【AFP=時事】によれば、ミャンマーで起きた軍事クーデターとそれに続く混乱について、現地の中国大使が「決して中国が望むものではない」と述べ、中国が関与したとするソーシャルメディア上のうわさを一蹴した。ミャンマーでは今月1日のクーデターで国軍が政権を奪取して以来、数百人が逮捕されるなど、反発する市民への弾圧が強まっている。
中国の陳海(Chen Hai)駐ミャンマー大使は大使館の公式サイトに公開された談話の中で、「わが国は以前から選挙をめぐるミャンマーの内紛には気付いていたが、政変については事前に知らされていなかった」と述べた。中国やロシアのようなミャンマー国軍の昔からの同盟国は、これまでクーデターに対する国際的な反発には「内政干渉」として反論していた。中国国営メディアは、今回のクーデターとミャンマーの事実上の指導者であるアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏の拘束についても「大規模な内閣改造」と表現していた。
だが今回、陳氏は「ミャンマーで現在起きている展開は、決して中国が望むものではない」と述べた。さらに中国は、ミャンマーの全当事者が政治的・社会的安定を維持しながら、相違点について対処することを望んでいると付け加え、「政治情勢の変化」は「内政問題」だが、ミャンマーの近隣諸国との関係に波及効果をもたらすだろうとも述べた。ソーシャルメディア上でうわさされているクーデターへの中国の関与について、陳氏は「ナンセンスでばかげている」と一蹴。うわさの中には、ミャンマーの市街に中国兵が現れた、ミャンマーのファイアウオール構築を中国が支援しているといったものがある。
同じ16日、アメリカ中西部の南北一帯を大寒波が襲い、停電も発生、空調が使えず氷点下で、相当数の死者が出た。同時にワクチン接種に大幅な遅れが生じた。気候変動の影響と見られるが、因果関係は未解明。これが脱炭素化政策へ弾みをつけるかもしれない。昨年夏の猛暑を想起させる。
17日(水曜)、日経新聞によれば、ミャンマーにおける連日のデモに数十人の僧侶が濃い柿色の僧侶服で参加、「軍のクーデターを拒否せよ」、「軍事特栽を認めない」等の英語で書かれたプラカードや横断幕を持ち、拡声器を使い、読経しながら行進した。1日のクーデターで全権を掌握したミン・アウン・フライン総司令官は仏教を重視する姿勢を示しており、僧侶のデモ参加への対応に苦慮している。
ミャンマーへ進出している日本企業(昨年末段階で433社)にも軍政に否定的な動きが出ている。キリンホールディングス(磯崎功典社長)は、「軍事行動がキリンの人権尊重の考えに反する」として合弁先の国軍系企業MEHLと合弁解消に向けた交渉をクーデター直後の11日から開始、民間の候補を探っている(日経新聞19日朝刊)。
同じ17日、医療従事者に対するコロナワクチンの先行接種(筋肉注射)が、国立病院機構東京医療センター等、首都圏を中心に8施設、計125人に対して行われた。世界の先行例と比べて3か月遅れの出発であるが、開始が遅れたことへの不満は多くないが、医療従事者、高齢者、基礎疾患を持つ人等へと進める計画に、まだ確定的な見通しがないことに不安を抱く人が少なくない。
世界的にワクチン供給が少ない上に接種が遅れている。オーストラリアにファイザー製ワクチンが到着したのは16日、韓国や香港でワクチン接種が始まるのは26日の予定。品不足のためロシア製ワクチン<スプートニクⅤ>を輸入する国が増えている。
ワクチン接種で世界最速で先行するイスラエルでは<グリーンパス>と呼ばれる2回のワクチン接種証明書の発行が始まり、この提示でジム等のスポーツ施設や一部の宗教施設への入場が可能となる。3月にはレストランやホテル使用にも適用する予定という。また北欧の一部では<グリーンパス>で外国での隔離待機が不要になるという。これが<世界基準>になるかもしれない。
同じ日、組織委員会の御手洗名誉会長を座長とする会長候補者検討委員会(座長のほかアスリートを中心に8人の委員)の第2回会合(非公開)が都内のホテルで開かれ、候補者を橋本五輪相(56歳)に絞り、就任を要請することとした。この日は衆院予算委員会が開催中で、橋本氏には伝わっていなかった。
18日(木曜)、朝日新聞デジタル版は11時42分の号外で、「橋本五輪相が東京五輪組織委員会長に就任する意思を固めた」の記事を配信した。この日午前の第3回会合で候補に決まり、理事会で承認されれば、同日夕にも新会長になる見通しと言う。なお会長は定款上、理事になる必要があるため、橋本氏の就任が理事会で承認されれば評議員会を開いて理事に選任した上で、同日夕に再び理事会を開いて会長を決める。また大臣規範には「兼職」を禁止する規定があり、橋本氏が会長に就く場合、五輪相は退くことになる。
想定通りの手続きを経て、同じ18日午後、御手洗座長が、前日の委員会でアスリート出身の男女4人ずつで構成する8人のうち、6人が橋本氏を推したと理事会へ説明、これを受けて評議員会で橋本氏を理事に推薦、この新しい理事会で正式に橋本氏を会長に決めた。
東京五輪組織委員会会長に就任した橋本氏は、記者発表を行い「安全優先の大会であることを都民、国民に丁寧に説明したい。スピード感をもって信頼回復に努めていきたい」と抱負を述べた。また7年前の性的ハラスメント事件を問題視する声には、軽率な行為を反省しているとのみ述べた。後任の五輪相には丸川珠代氏(前五輪相)が就任。
19日(金曜)、日本時間19日午前6時前、火星の土から生命の痕跡を探す米航空宇宙局(NASA)の探査車「パーサビアランス(忍耐)」が火星着陸に成功した。朝日新聞デジタルの19日朝によれば、時速2万キロからの急減速は「恐怖の7分間」と言われ、過去の成功率は4割ほどしかない。目指すのは、かつて湖があったとされるクレーターの内側。生命の痕跡が土に含まれていないか、後継の探査機とともに地球に持ち帰る世界初の計画が始まった。
着陸したのは、数十億年前に湖があったと考えられている直径45キロのクレーター。川の流れで土砂が堆積(たいせき)した地形が残っており、バクテリアのような微生物の痕跡が土にあるかも知れない。岩に穴を掘ってサンプルを採取するほか、今後打ち上げる別の探査機を経由して土を地球へ持ち帰る計画。小型のヘリも搭載しており、地球以外の天体での初飛行も試す。開発に携わったNASAジェット推進研究所(JPL)の日本人技術者、大丸拓郎さん(31)は「めちゃくちゃ緊張しました。送られてきた写真を見て自分たちが作ったものが火星にあるとは信じられない」と言った。
同じ19日、フランスで病院に対するサイバー攻撃が頻発、コンピュータが使えなくなり手書きの紙ベースの作業に切り替えた。ハッカーとの<身代金>交渉でやっと現状回復したという。マクロン大統領はハッカーへの挑戦を宣言するとともに、被害を受ける病院への財政支援を表明した。
同じ19日、先進7カ国(G7)首脳はテレビ会議を開き、新型コロナウイルスワクチンの普及に向けた連携などについて協議した。菅首相は「途上国も含め公平なアクセスを確保することが不可欠だ」と述べ、途上国向け供給支援の国際的な枠組みに2億ドル(約210億円)を拠出する日本の貢献策を重ねて説明した。
また菅首相は今夏の東京五輪・パラリンピックを「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として開催する決意を改めて表明、他の首脳に支持を求めた。会談後、首相は記者団に、東京五輪の開催について、「G7首脳全員の支持を得た」と語った。
20日(土曜)、テニスの全豪オープンで大坂なおみ選手がジェニファー・ブレイディ(米)を6―4、6―3のストレートで下し、2019年以来2度目の優勝を果たした。4大大会優勝は20年の全米オープンに続いて4度目。世界ランキングは3位から2位に浮上した。
今年の大会は新型コロナウイルスの影響で1月から2月に延期。選手らは入国後、2週間の隔離生活を義務づけられた。大会中は変異株の市中感染が発生、開催地ビクトリア州はロックダウン(都市封鎖)を敷き、13日から5日間は無観客で開催。18日から再び観客を入れ、1試合ごとの観客数を収容能力の50%にあたる7477人に制限していた。5か月後に迫る東京五輪の運営方法の参考になると言われる。
21日(日曜)、ロイター通信は米フェイスブックが、ミャンマー国軍の公式ページを削除したと報じた。前日、第2の都市マンダレーの造船所の近くで抗議デモに参加していた大勢の市民らに治安部隊が発砲、男性2人が死亡、多数がけがをしたとの報道を受け、暴力の扇動などを禁じた同社の基準に繰り返し違反したためという。国軍はフェイスブックのページを通じて、ミン・アウン・フライン最高司令官をトップとする意思決定機関「連邦行政評議会」の声明や軍の広報資料などを発表していた。
22日(月曜)午前、菅首相の長男による総務省幹部4人の接待問題で、新たに別の7人が同様の接待を受けていたことが判明。複数の政府関係者が明らかにした。総務省は、利害関係者からの接待を禁止した国家公務員倫理規程に違反した疑いが強いとして、月内に処分するという。また総務省は、山田真貴子内閣広報官(総務審議官を務めていた)が2019年11月、首相の長男から招待を受けていたと明らかにし、「利害関係者に該当していた可能性が高い」とした。
同じ日、共同通信によれば、衆議院予算委員会で菅首相は、接待問題に関して「長男が関係し、結果として公務員が倫理規定に違反する行為を行ったことについては心からおわび申し上げ、大変申し訳なく思う」と陳謝した。この問題が初めて週刊誌で明らかになった折、首相は「…長男は別人格…」と表明していたが、この陳謝では「長男が関係し…大変申し訳なく思う」と読める。
【コロナ感染者の推移】
ここで新型コロナウィルスの新規感染者等を確認しよう。前者が全国の感染者(陽性者、カッコ内は重症者と死者)、後者が東京(カッコ内は重症者)である。
8日(月曜) 1217人(773人、83人)と276人(104人)
9日(火曜) 1568人(759人、94人)と412人(104人)
10日(水曜) 1885人(736人、121人)と491人(103人)
11日(木曜) 1691人(713人、78人)と434人(103人)
12日(金曜) 1301人(701人、63人)と307人(102人)
13日(土曜) 1362人(693人、65人)と369人(104人)
14日(日曜) 1364人(668人、38人)と371人(103人)
15日(月曜) 965人(658人、73人)と266人(97人)
16日(火曜) 1308人(644人、101人)と350人(92人)
17日(水曜) 1447人(607人、79人)と378人(87人)
18日(木曜) 1537人(564人、76人)と445人(84人)
19日(金曜) 1302人(547人、66人)と353人(84人)
20日(土曜) 1234人(526人、78人)と327人(82人)
21日(日曜) 1032人(511人、50人)と272人(82人)
22日(月曜)の3時、東京都の感染者数(速報値)が入った。178人(うち重症者76人)。これは3か月ぶりに少ない数字であり、明るい兆しだが、もうしばらく推移を見守る必要があろう。
上掲の表が示すとおり、全国・東京都とも確実に重症者が減少しているものの、減少の割合が前の1週間に比べて小さくならず、<下げどまり>状態。予期した通りには進んでいない。直近7日間を平均して1日当たりの感染者数の減少幅は前週比で1割止まり、都の目標3割以上を大きく下回る。そのため病床を圧迫する程度も軽減されたとは言い難い。
小池都知事は19日(金曜)、「…ここで緩めてはならない。もうひと踏ん張り、しっかり気を引き締めて」と発言。西村大臣は緊急事態宣言の解除について、専門家や知事たちの意見を聞いて来週にも判断したいと述べた。
22日(月曜)の日経新聞は「公立病院 コロナ病床3%」の記事で、不採算の政策的医療を主に担う公立病院の役割と現状について、全国約8000病院の約1割に過ぎない約700の公立病院が、約600ある感染症指定病院の半数を占め、512公立病院がコロナ対応をしているものの、1病院あたりのコロナ患者受け入れ数が極端に少ない。見出しにある「公立病院 コロナ病床3%」が実情であると論評。
この深刻なコロナ病床不足の解消策の一つとして、長野県松本市は臥雲義尚市長のトップ判断による<松本モデル>を掲載した。重症度別の受け入れ先やコロナ以外の患者を担当する病院を明確にし、地域全体(松本市を含む3市村で構成する松本医療圏)で通常診療への影響を減らす。この手法で昨年4月から公立病院のコロナ病床6床を37床に増やした経緯を紹介、<松本モデル>が全国にコロナ病床を増やすカギになるのではと述べている。
【バイデン政権の政策展開】
7日(日曜)、バイデン米大統領はラジオ番組に出演し、東京五輪・パラリンピックについて「安全に開催できるかどうか科学に基づいて判断されるべきだ」と語り、「開催できることを願っているが、まだ分からない」とも述べた。バイデン氏が就任後、東京五輪開催の判断をめぐり、公に発言したのは初めてである。最大の選手団を誇るアメリカの動向は大きな影響を与えるに違いない。
9日(火曜)、米連邦議会占拠事件を扇動したとして、下院で弾劾訴追されたトランプ前大統領の弾劾裁判の実質的審議が始まり、退任した大統領を裁判にかけることの合憲性を巡り採決し、賛成56、反対44の賛成多数で<合憲>との判断を示した。
10日(水曜)、バイデン大統領はホワイトハウスで演説し、ミャンマー政府の在米保有資産10億ドル(約1050億円)に軍関係者がアクセスすることに制限を課すと表明、さらに<強力な輸出規制>も導入するとした。
11日(木曜、米時間10日)、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が電話で協議した。米中首脳の協議は、1月のバイデン政権発足後初めて。バイデン氏が中国の不公正な経済慣行や香港への統制強化などに懸念を表明したのに対し、習氏は「米国は中国の核心的利益を尊重すべき」と述べ、対立が目立った。
一方、両氏は新型コロナウイルスの対応など、協力できる点も探る姿勢で一致。バイデン氏は「現実的で結果を重視した取り組みを進める」とし、習氏も「衝突せず、対抗せず」の精神での歩み寄りの必要性を訴えた。
米中双方の発表にも温度差が見られる。米ホワイトハウスの発表によると、バイデン氏は「中国の高圧的で不公正な経済慣行、香港での弾圧、新疆ウイグル自治区での人権侵害、台湾を含む地域での独断的な行動」に対し「根本的な懸念」を表明。「自由で開かれたインド太平洋を守る」とも述べ、同盟関係を軸に国際秩序を維持する考えを伝えた。
これに対し、中国外務省によると習氏は「中米はいくつかの問題で異なる見方を持っている。重要なのは互いを尊重し、建設的な方式でコントロールすることだ」と強調。香港や新疆ウイグル、台湾に関して「中国の内政」とし、「米国は中国の核心的利益を尊重し、慎重に行動すべきだ」と求めた。
両氏はまたトランプ政権下で米中対立の要因の一つ、新型コロナの対応について協議し、気候変動、兵器の拡散防止等の共通課題についても意見交換した。バイデン氏は「現実的で結果を重視した取り組みを進める」と述べ、習氏も「経済、金融、法執行、軍などの部門で交流できる」と返した。
中国側には対立関係を改善させたい思惑があるが、米国側は慎重である。バイデン氏は4日、国務省の演説で中国を「最も重大な競争相手」と位置づけた。10日も、習氏との協議を前に国防総省で「中国に対応する必要がある」と述べ、中国に関する新たな戦略を検討する考えを示した。
20日(土曜)、イランが未申告の核施設への抜き打ち査察受け入れを23日から中止すると宣言したことを受け、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長がイランを訪問、イラン原子力庁のサレヒ長官と会談した。イラン側はアメリカによる経済制裁の解除を要求している。今後のバイデン政権による対応が注目される。
この間、次の録画を観ることができた。(1)BS1スペシャル「謎の感染症~新型ウィルスの起源を追う 空白の3週間に何が」7日。(2)NHKこころの時代~宗教人生~「奇跡の森と真言密教」13日。(3)NHK週刊ワールドニュース「新型コロナに揺れる世界(8日~12日)」14日。(4)BS1スペシャル「国産ワクチンを開発せよ!~東大・河岡ラボ 300日の記録」14日。(5)NHK総合 ストーリーズ「だれも独りにさせへん~コロナ禍の冬 苦闘に記録」15日。(6)クローズアップ現代+「プラごみリサイクルどう実現? あなたは? 国内で循環させる」16日。(7)BS1スペシャル「密室の戦争~日本人捕虜の尋問録音~」16日。(8)EテレTⅤシンポジウム「地球の限界点まで10年 グローバル・コモンズ」20日。(9)NHK週刊ワールドニュース「新型コロナに揺れる世界(15日~19日)」20日。【特10】NHKBSプレミアム「解体キングダム「築400年の古刹を解体せよ[岐阜県 願興寺]」1月30日。
【内外の動き】
8日、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会・森会長の女性蔑視発言(3日)とその陳謝(4日)等を受けて、菅首相は国会での質問に「私自身が(森氏の)進退について問題にすべきではない。組織のなかで決めてもらう」と答えた。自身の5日の国会答弁「五輪の重要な理念である男女共同参画からも全く異なる」とした批判的見解はあくまで個人的なもので、森会長の辞任・後任については大会組織委員会の意向に任せると距離を置いた形である。
同じ8日夜、組織委員会は大会のスポンサー企業とのオンライン会議を開き、森会長の発言を謝罪した。そのさい一部の企業からは、「不買運動にもつながりかねない」「組織委員会として行動で示して欲しい」など厳しい意見があったという。
日本生命は「今般の森会長の発言は女性蔑視とも捉えられ、男女平等がうたわれているオリンピック・パラリンピック精神にも反する表現であり、大変遺憾」と、また東京海上日動は「<多様性と調和>という東京大会のビジョンに反する発言であり、大変遺憾」とコメントした。
遡って3日の森発言の日の夜から「#わきまえない女」のハッシュタグをつけた投稿がツイッターで瞬く間に広がり、1週間後の11日に14万人の署名が集まった。その背景には森発言が「黙らされてきた女性たち、とりわけコロナ禍で苦しむ女性たちの傷口に塩を塗った」、「コロナ禍が続くなか、多くの女性が失業し、自殺も増加。医療や介護、保育などの現場で身を削る女性たちは声をあげる余裕もない。いざ発言すれば『長い』と言われる。権力者が、女性をはじめ、さまざまな異論に耳を傾けず、排除を続けてきた末路の発言だった」等の声がある。
関係者によると、組織委員会は早急に対応を協議する必要があると判断、今週12日にも、理事と評議員を集めた臨時会合を開催する方向で検討しているという。ただ森会長の進退については、現時点では議論されない見通しである。
9日(火曜)、時事通信社によれば、森会長の発言を問題視するボランティアの辞退続出に自民党の二階幹事長が「瞬間的なもの」と述べたことについて、橋本聖子五輪担当相は衆院予算委員会における立憲民主党亀井亜紀子氏への答弁で、「真意は把握していないが不適切だった」との認識を示した。また麻生副総理兼財務相も立憲の山本和嘉子氏の質問に対し、「ボランティアに対する敬意を欠いている」と指摘した。
二階幹事長は8日の記者会見で「(事態が)落ち着けば、その人(辞退したボランティア)の考えも変わる。どうしても辞めるなら、新たなボランティアの追加ということになる」と強気に語ったが、翌9日の会見では「五輪相の発言に幹事長が論評を加える必要はない」と言及を避け、自身の見解については「特別深い意味はない」と曖昧に述べた。
9日(火曜)、森氏の謝罪と発言撤回を受けて「この問題は終了した」としていた国際オリンピック委員会(IOC)は、一転して「発言は極めて不適切で、IOCが取り組む改革や決意と矛盾する」との声明を発表。組織委関係者によれば最上位スポンサーからIOCに抗議が相次ぎ、ボランティア辞退の動きもあったためという。
五輪開幕まで半年を切り、17日は感染拡大防止の観点から観客制限について、IOCのトーマス・バッハ会長、橋本五輪担当相、森会長、小池都知事のトップ4者で調整をするはずであった。
10日(水曜)、小池都知事は、「今、ここで4者会議をしてもあまりポジティブな発信にはならないと思うので、私は出席することはないと思う」と述べる。小池知事の発言を追うと、森発言翌日の4日午前、「話が長いのは人によるんじゃないでしょうか」に留めたが、午後には「重要な時期にこの発言で困惑している」とし、5日には「私自身も絶句したし、あってはならない発言だった」と踏み込んだ。
背景にあるのは世論の批判の高まり。都には電話やメールで10日までに約1700件の意見が寄せられ、「森会長は責任を取るべき」等のものが多く、都独自に募集した都市ボランティアの辞退も計126件に上った。小池氏は4者会談欠席の意向を示した際、これらの批判にも言及した。
連立与党の山口公明党代表も「出処進退は森氏本人が判断すべきもの」、また自民党の野田聖子幹事長代行も記者会見で「自ら方向性を示していただきたい」と述べ、森会長の自発的な辞任を求める声が拡がった。
11日(木曜、祝日)昼、朝日新聞デジタル版が伝えた。「東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森会長が辞任の意向を固めたことがわかった。複数の関係者に同日、辞意を伝えた。後任は、日本サッカー協会や日本バスケットボール協会の会長を歴任し、東京五輪では選手村村長を務める川淵三郎氏(84)で調整している」。
同じ11日夕方、読売新聞が次のように伝えた。「大会組織委員会の森会長は11日、都内で組織委の評議員を務める川淵三郎・日本サッカー協会相談役と会談した。関係者によると森会長が後任の会長就任を要請し、川淵氏も受諾する意向を示した。森会長は12日、組織委が開く緊急会合で、自らの女性に対する不適切な発言の責任を取り、辞任を表明する見込み」。
12日(金曜)の新聞各紙は、森氏が辞任し後任を指名して影響力を残す<禅譲>方式(古代中国で皇帝が有徳者に譲ること)に、さしたる疑問を示さず、そのまま川淵氏へとバトンタッチされる方向の報道を行った。しかし森氏の思惑と川渕氏の軽率な発言は世論の納得を得られず、後任選出は<透明性>ある形式と内容が不可欠とする声にかき消され、振出しに戻った。
同じ日の午前、川淵氏が要請辞退の意向を固めた。川淵氏は11日には「もし選ばれれば、森さんの期待に沿うべく、ベストを尽くしたい」と受ける意向を示していたが、「密室で決まっている」などの批判の声が高まっていた。
同じ日の午後、組織委員会の理事会・評議員会の合同懇談会が開かれ、森氏の辞任を了承、理事のうちアスリートを中心とする10人ほどで次期会長候補者検討委員会を作ることとした。委員長には組織委員会の御手洗富士夫名誉会長(キャノン社長)が就任する。
懇談会後の記者発表を行ったのは組織委員会の武藤敏郎事務総長(前大蔵・財務事務次官、日本銀行副総裁)。同氏の主導で事態が動いており、官邸(菅首相)の意向(会長には女性、若い人、オリンピアンが好ましい)が背景にある印象を与えた。新たな会長候補として橋本五輪相らの名前が浮上。候補者検討委員会のメンバーや委員会の開催日程等は明らかにされず、透明性を疑う声がある。
同じ12日、政府は感染症の専門家で構成する基本的対処方針等諮問委員会を開き、10都府県を対象に発令している緊急事態宣言の解除を見送った。感染者は減ってはいるが、病床の逼迫がつづいているためである。
この日の午前、予定より早くファイザー製ワクチンが初めて日本に到着した。12日の<薬事・食品衛生審議会>の部会了承を受けて、菅首相は14日(日曜)にも特例承認を行い、「来週半ば(17日ころ)にも接種を開始」するとした。
13日(土曜)の日経新聞朝刊によれば、イオンが自社の商業施設290ヵ所をワクチン集団接種会場として有償で貸し出すと発表した。事務局業務を担う人材の不足には、業績不振の旅行業JTBや近畿日本ツーリスト、人材大手等が参入する。
同じ日の夜11時過ぎ、福島県沖で地震が発生、福島・宮城両県で最大震度6強を観測した。10年前の東日本大震災(3月11日)の<余震>とされ、М7.3。今後1週間ほどの間、震度6強の揺れが起きる可能性があるいう。被災状況は徐々に判明しつつあるが、東北新幹線は那須塩原=盛岡間が運行停止で全線の復旧には10日程度を要するという。
15日(月曜)、週明けの東京証券取引所は、日経平均で3万円を超える高値をつけた。バブル絶頂期(崩壊寸前)の1990年8月以来、30年半ぶりである。コロナ禍で倒産企業が増え、失業者も増えている実体経済との開きが大きく、この株価上昇がいつ退潮に転じるかが話題に上る。
この日、ファイザーが開発したワクチンの有効性・安全性などを確認したとして、厚労省が正式に承認。ワクチンの接種は17日(水曜)にも1万人から2万人程度の医療従事者に先行して開始し、順次、高齢者などへ接種を進めていく方針。これを前に、厚労省は専門家による審議会を開き、接種を勧める対象から妊婦を外すかどうか、また副反応の事例報告などについて議論し、実務を担う自治体に周知することにした。
16日(火曜)、衆議院予算委員会で武田良太総務相は次のように述べた。放送行政を所管する総務省の谷脇康彦総務審議官ら幹部4人が昨年10~12月、衛星放送や番組制作を手がける東北新社に勤める首相の長男(菅正剛氏)らから受けた接待は、国家公務員倫理規程に違反する可能性があるとして人事院の国家公務員倫理審査会とともに調査を始めていたが、総務省側の調査に次いで、首相の
長男からも調査を行った。
菅首相は小泉政権で総務副大臣、第1次安倍政権で総務相を歴任し、総務省に強い影響力を持つ。総務相時代は長男を大臣秘書官に起用した(2006年から7ヶ月間)。今は公的立場にない「一民間人」というが、総務官僚の側からみれば、その背後に首相の存在を見るのが当然である。
同じ16日午後、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、辞任した森会長の後任選定に向けた候補者検討委員会を開き、会長に求める資質として、以下の5点を掲げた。①五輪、パラリンピック、スポーツに深い造詣があること、②男女平等原則や多様性など五輪憲章や東京大会の理念を実現し、将来につなげられること、③国際的な活動経験があり、国際的な知名度、国際感覚があること、④東京大会のこれまでの経緯や準備状況を理解していること、⑤組織運営能力や多様な関係者との調整力を備えていること。
同じ16日、【AFP=時事】によれば、ミャンマーで起きた軍事クーデターとそれに続く混乱について、現地の中国大使が「決して中国が望むものではない」と述べ、中国が関与したとするソーシャルメディア上のうわさを一蹴した。ミャンマーでは今月1日のクーデターで国軍が政権を奪取して以来、数百人が逮捕されるなど、反発する市民への弾圧が強まっている。
中国の陳海(Chen Hai)駐ミャンマー大使は大使館の公式サイトに公開された談話の中で、「わが国は以前から選挙をめぐるミャンマーの内紛には気付いていたが、政変については事前に知らされていなかった」と述べた。中国やロシアのようなミャンマー国軍の昔からの同盟国は、これまでクーデターに対する国際的な反発には「内政干渉」として反論していた。中国国営メディアは、今回のクーデターとミャンマーの事実上の指導者であるアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏の拘束についても「大規模な内閣改造」と表現していた。
だが今回、陳氏は「ミャンマーで現在起きている展開は、決して中国が望むものではない」と述べた。さらに中国は、ミャンマーの全当事者が政治的・社会的安定を維持しながら、相違点について対処することを望んでいると付け加え、「政治情勢の変化」は「内政問題」だが、ミャンマーの近隣諸国との関係に波及効果をもたらすだろうとも述べた。ソーシャルメディア上でうわさされているクーデターへの中国の関与について、陳氏は「ナンセンスでばかげている」と一蹴。うわさの中には、ミャンマーの市街に中国兵が現れた、ミャンマーのファイアウオール構築を中国が支援しているといったものがある。
同じ16日、アメリカ中西部の南北一帯を大寒波が襲い、停電も発生、空調が使えず氷点下で、相当数の死者が出た。同時にワクチン接種に大幅な遅れが生じた。気候変動の影響と見られるが、因果関係は未解明。これが脱炭素化政策へ弾みをつけるかもしれない。昨年夏の猛暑を想起させる。
17日(水曜)、日経新聞によれば、ミャンマーにおける連日のデモに数十人の僧侶が濃い柿色の僧侶服で参加、「軍のクーデターを拒否せよ」、「軍事特栽を認めない」等の英語で書かれたプラカードや横断幕を持ち、拡声器を使い、読経しながら行進した。1日のクーデターで全権を掌握したミン・アウン・フライン総司令官は仏教を重視する姿勢を示しており、僧侶のデモ参加への対応に苦慮している。
ミャンマーへ進出している日本企業(昨年末段階で433社)にも軍政に否定的な動きが出ている。キリンホールディングス(磯崎功典社長)は、「軍事行動がキリンの人権尊重の考えに反する」として合弁先の国軍系企業MEHLと合弁解消に向けた交渉をクーデター直後の11日から開始、民間の候補を探っている(日経新聞19日朝刊)。
同じ17日、医療従事者に対するコロナワクチンの先行接種(筋肉注射)が、国立病院機構東京医療センター等、首都圏を中心に8施設、計125人に対して行われた。世界の先行例と比べて3か月遅れの出発であるが、開始が遅れたことへの不満は多くないが、医療従事者、高齢者、基礎疾患を持つ人等へと進める計画に、まだ確定的な見通しがないことに不安を抱く人が少なくない。
世界的にワクチン供給が少ない上に接種が遅れている。オーストラリアにファイザー製ワクチンが到着したのは16日、韓国や香港でワクチン接種が始まるのは26日の予定。品不足のためロシア製ワクチン<スプートニクⅤ>を輸入する国が増えている。
ワクチン接種で世界最速で先行するイスラエルでは<グリーンパス>と呼ばれる2回のワクチン接種証明書の発行が始まり、この提示でジム等のスポーツ施設や一部の宗教施設への入場が可能となる。3月にはレストランやホテル使用にも適用する予定という。また北欧の一部では<グリーンパス>で外国での隔離待機が不要になるという。これが<世界基準>になるかもしれない。
同じ日、組織委員会の御手洗名誉会長を座長とする会長候補者検討委員会(座長のほかアスリートを中心に8人の委員)の第2回会合(非公開)が都内のホテルで開かれ、候補者を橋本五輪相(56歳)に絞り、就任を要請することとした。この日は衆院予算委員会が開催中で、橋本氏には伝わっていなかった。
18日(木曜)、朝日新聞デジタル版は11時42分の号外で、「橋本五輪相が東京五輪組織委員会長に就任する意思を固めた」の記事を配信した。この日午前の第3回会合で候補に決まり、理事会で承認されれば、同日夕にも新会長になる見通しと言う。なお会長は定款上、理事になる必要があるため、橋本氏の就任が理事会で承認されれば評議員会を開いて理事に選任した上で、同日夕に再び理事会を開いて会長を決める。また大臣規範には「兼職」を禁止する規定があり、橋本氏が会長に就く場合、五輪相は退くことになる。
想定通りの手続きを経て、同じ18日午後、御手洗座長が、前日の委員会でアスリート出身の男女4人ずつで構成する8人のうち、6人が橋本氏を推したと理事会へ説明、これを受けて評議員会で橋本氏を理事に推薦、この新しい理事会で正式に橋本氏を会長に決めた。
東京五輪組織委員会会長に就任した橋本氏は、記者発表を行い「安全優先の大会であることを都民、国民に丁寧に説明したい。スピード感をもって信頼回復に努めていきたい」と抱負を述べた。また7年前の性的ハラスメント事件を問題視する声には、軽率な行為を反省しているとのみ述べた。後任の五輪相には丸川珠代氏(前五輪相)が就任。
19日(金曜)、日本時間19日午前6時前、火星の土から生命の痕跡を探す米航空宇宙局(NASA)の探査車「パーサビアランス(忍耐)」が火星着陸に成功した。朝日新聞デジタルの19日朝によれば、時速2万キロからの急減速は「恐怖の7分間」と言われ、過去の成功率は4割ほどしかない。目指すのは、かつて湖があったとされるクレーターの内側。生命の痕跡が土に含まれていないか、後継の探査機とともに地球に持ち帰る世界初の計画が始まった。
着陸したのは、数十億年前に湖があったと考えられている直径45キロのクレーター。川の流れで土砂が堆積(たいせき)した地形が残っており、バクテリアのような微生物の痕跡が土にあるかも知れない。岩に穴を掘ってサンプルを採取するほか、今後打ち上げる別の探査機を経由して土を地球へ持ち帰る計画。小型のヘリも搭載しており、地球以外の天体での初飛行も試す。開発に携わったNASAジェット推進研究所(JPL)の日本人技術者、大丸拓郎さん(31)は「めちゃくちゃ緊張しました。送られてきた写真を見て自分たちが作ったものが火星にあるとは信じられない」と言った。
同じ19日、フランスで病院に対するサイバー攻撃が頻発、コンピュータが使えなくなり手書きの紙ベースの作業に切り替えた。ハッカーとの<身代金>交渉でやっと現状回復したという。マクロン大統領はハッカーへの挑戦を宣言するとともに、被害を受ける病院への財政支援を表明した。
同じ19日、先進7カ国(G7)首脳はテレビ会議を開き、新型コロナウイルスワクチンの普及に向けた連携などについて協議した。菅首相は「途上国も含め公平なアクセスを確保することが不可欠だ」と述べ、途上国向け供給支援の国際的な枠組みに2億ドル(約210億円)を拠出する日本の貢献策を重ねて説明した。
また菅首相は今夏の東京五輪・パラリンピックを「人類が新型コロナに打ち勝った証し」として開催する決意を改めて表明、他の首脳に支持を求めた。会談後、首相は記者団に、東京五輪の開催について、「G7首脳全員の支持を得た」と語った。
20日(土曜)、テニスの全豪オープンで大坂なおみ選手がジェニファー・ブレイディ(米)を6―4、6―3のストレートで下し、2019年以来2度目の優勝を果たした。4大大会優勝は20年の全米オープンに続いて4度目。世界ランキングは3位から2位に浮上した。
今年の大会は新型コロナウイルスの影響で1月から2月に延期。選手らは入国後、2週間の隔離生活を義務づけられた。大会中は変異株の市中感染が発生、開催地ビクトリア州はロックダウン(都市封鎖)を敷き、13日から5日間は無観客で開催。18日から再び観客を入れ、1試合ごとの観客数を収容能力の50%にあたる7477人に制限していた。5か月後に迫る東京五輪の運営方法の参考になると言われる。
21日(日曜)、ロイター通信は米フェイスブックが、ミャンマー国軍の公式ページを削除したと報じた。前日、第2の都市マンダレーの造船所の近くで抗議デモに参加していた大勢の市民らに治安部隊が発砲、男性2人が死亡、多数がけがをしたとの報道を受け、暴力の扇動などを禁じた同社の基準に繰り返し違反したためという。国軍はフェイスブックのページを通じて、ミン・アウン・フライン最高司令官をトップとする意思決定機関「連邦行政評議会」の声明や軍の広報資料などを発表していた。
22日(月曜)午前、菅首相の長男による総務省幹部4人の接待問題で、新たに別の7人が同様の接待を受けていたことが判明。複数の政府関係者が明らかにした。総務省は、利害関係者からの接待を禁止した国家公務員倫理規程に違反した疑いが強いとして、月内に処分するという。また総務省は、山田真貴子内閣広報官(総務審議官を務めていた)が2019年11月、首相の長男から招待を受けていたと明らかにし、「利害関係者に該当していた可能性が高い」とした。
同じ日、共同通信によれば、衆議院予算委員会で菅首相は、接待問題に関して「長男が関係し、結果として公務員が倫理規定に違反する行為を行ったことについては心からおわび申し上げ、大変申し訳なく思う」と陳謝した。この問題が初めて週刊誌で明らかになった折、首相は「…長男は別人格…」と表明していたが、この陳謝では「長男が関係し…大変申し訳なく思う」と読める。
【コロナ感染者の推移】
ここで新型コロナウィルスの新規感染者等を確認しよう。前者が全国の感染者(陽性者、カッコ内は重症者と死者)、後者が東京(カッコ内は重症者)である。
8日(月曜) 1217人(773人、83人)と276人(104人)
9日(火曜) 1568人(759人、94人)と412人(104人)
10日(水曜) 1885人(736人、121人)と491人(103人)
11日(木曜) 1691人(713人、78人)と434人(103人)
12日(金曜) 1301人(701人、63人)と307人(102人)
13日(土曜) 1362人(693人、65人)と369人(104人)
14日(日曜) 1364人(668人、38人)と371人(103人)
15日(月曜) 965人(658人、73人)と266人(97人)
16日(火曜) 1308人(644人、101人)と350人(92人)
17日(水曜) 1447人(607人、79人)と378人(87人)
18日(木曜) 1537人(564人、76人)と445人(84人)
19日(金曜) 1302人(547人、66人)と353人(84人)
20日(土曜) 1234人(526人、78人)と327人(82人)
21日(日曜) 1032人(511人、50人)と272人(82人)
22日(月曜)の3時、東京都の感染者数(速報値)が入った。178人(うち重症者76人)。これは3か月ぶりに少ない数字であり、明るい兆しだが、もうしばらく推移を見守る必要があろう。
上掲の表が示すとおり、全国・東京都とも確実に重症者が減少しているものの、減少の割合が前の1週間に比べて小さくならず、<下げどまり>状態。予期した通りには進んでいない。直近7日間を平均して1日当たりの感染者数の減少幅は前週比で1割止まり、都の目標3割以上を大きく下回る。そのため病床を圧迫する程度も軽減されたとは言い難い。
小池都知事は19日(金曜)、「…ここで緩めてはならない。もうひと踏ん張り、しっかり気を引き締めて」と発言。西村大臣は緊急事態宣言の解除について、専門家や知事たちの意見を聞いて来週にも判断したいと述べた。
22日(月曜)の日経新聞は「公立病院 コロナ病床3%」の記事で、不採算の政策的医療を主に担う公立病院の役割と現状について、全国約8000病院の約1割に過ぎない約700の公立病院が、約600ある感染症指定病院の半数を占め、512公立病院がコロナ対応をしているものの、1病院あたりのコロナ患者受け入れ数が極端に少ない。見出しにある「公立病院 コロナ病床3%」が実情であると論評。
この深刻なコロナ病床不足の解消策の一つとして、長野県松本市は臥雲義尚市長のトップ判断による<松本モデル>を掲載した。重症度別の受け入れ先やコロナ以外の患者を担当する病院を明確にし、地域全体(松本市を含む3市村で構成する松本医療圏)で通常診療への影響を減らす。この手法で昨年4月から公立病院のコロナ病床6床を37床に増やした経緯を紹介、<松本モデル>が全国にコロナ病床を増やすカギになるのではと述べている。
【バイデン政権の政策展開】
7日(日曜)、バイデン米大統領はラジオ番組に出演し、東京五輪・パラリンピックについて「安全に開催できるかどうか科学に基づいて判断されるべきだ」と語り、「開催できることを願っているが、まだ分からない」とも述べた。バイデン氏が就任後、東京五輪開催の判断をめぐり、公に発言したのは初めてである。最大の選手団を誇るアメリカの動向は大きな影響を与えるに違いない。
9日(火曜)、米連邦議会占拠事件を扇動したとして、下院で弾劾訴追されたトランプ前大統領の弾劾裁判の実質的審議が始まり、退任した大統領を裁判にかけることの合憲性を巡り採決し、賛成56、反対44の賛成多数で<合憲>との判断を示した。
10日(水曜)、バイデン大統領はホワイトハウスで演説し、ミャンマー政府の在米保有資産10億ドル(約1050億円)に軍関係者がアクセスすることに制限を課すと表明、さらに<強力な輸出規制>も導入するとした。
11日(木曜、米時間10日)、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が電話で協議した。米中首脳の協議は、1月のバイデン政権発足後初めて。バイデン氏が中国の不公正な経済慣行や香港への統制強化などに懸念を表明したのに対し、習氏は「米国は中国の核心的利益を尊重すべき」と述べ、対立が目立った。
一方、両氏は新型コロナウイルスの対応など、協力できる点も探る姿勢で一致。バイデン氏は「現実的で結果を重視した取り組みを進める」とし、習氏も「衝突せず、対抗せず」の精神での歩み寄りの必要性を訴えた。
米中双方の発表にも温度差が見られる。米ホワイトハウスの発表によると、バイデン氏は「中国の高圧的で不公正な経済慣行、香港での弾圧、新疆ウイグル自治区での人権侵害、台湾を含む地域での独断的な行動」に対し「根本的な懸念」を表明。「自由で開かれたインド太平洋を守る」とも述べ、同盟関係を軸に国際秩序を維持する考えを伝えた。
これに対し、中国外務省によると習氏は「中米はいくつかの問題で異なる見方を持っている。重要なのは互いを尊重し、建設的な方式でコントロールすることだ」と強調。香港や新疆ウイグル、台湾に関して「中国の内政」とし、「米国は中国の核心的利益を尊重し、慎重に行動すべきだ」と求めた。
両氏はまたトランプ政権下で米中対立の要因の一つ、新型コロナの対応について協議し、気候変動、兵器の拡散防止等の共通課題についても意見交換した。バイデン氏は「現実的で結果を重視した取り組みを進める」と述べ、習氏も「経済、金融、法執行、軍などの部門で交流できる」と返した。
中国側には対立関係を改善させたい思惑があるが、米国側は慎重である。バイデン氏は4日、国務省の演説で中国を「最も重大な競争相手」と位置づけた。10日も、習氏との協議を前に国防総省で「中国に対応する必要がある」と述べ、中国に関する新たな戦略を検討する考えを示した。
20日(土曜)、イランが未申告の核施設への抜き打ち査察受け入れを23日から中止すると宣言したことを受け、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長がイランを訪問、イラン原子力庁のサレヒ長官と会談した。イラン側はアメリカによる経済制裁の解除を要求している。今後のバイデン政権による対応が注目される。
この間、次の録画を観ることができた。(1)BS1スペシャル「謎の感染症~新型ウィルスの起源を追う 空白の3週間に何が」7日。(2)NHKこころの時代~宗教人生~「奇跡の森と真言密教」13日。(3)NHK週刊ワールドニュース「新型コロナに揺れる世界(8日~12日)」14日。(4)BS1スペシャル「国産ワクチンを開発せよ!~東大・河岡ラボ 300日の記録」14日。(5)NHK総合 ストーリーズ「だれも独りにさせへん~コロナ禍の冬 苦闘に記録」15日。(6)クローズアップ現代+「プラごみリサイクルどう実現? あなたは? 国内で循環させる」16日。(7)BS1スペシャル「密室の戦争~日本人捕虜の尋問録音~」16日。(8)EテレTⅤシンポジウム「地球の限界点まで10年 グローバル・コモンズ」20日。(9)NHK週刊ワールドニュース「新型コロナに揺れる世界(15日~19日)」20日。【特10】NHKBSプレミアム「解体キングダム「築400年の古刹を解体せよ[岐阜県 願興寺]」1月30日。
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