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人類最強の敵=新型コロナウイルス(19)

 9月11日(金曜)午後、前稿(18)を掲載した後に、政府の分科会が歓楽街からの感染拡大を防ぐ具体的な対策を検討するワーキンググループを設置することを決めた。医師、歓楽街事業者の代表、保健所の関係者、合わせて20名が参加し、通常時と感染拡大時(早期対応が必要)に分け、具体的な対策を検討する。
 分科会の尾身会長は、「大都市の歓楽街で対策を行えば新型コロナウイルスのいわば<急所>を抑えられるが、今回の感染拡大では対応が少し遅れてしまった面がある。偏見や差別につながらないよう歓楽街の人たちと信頼関係を築きながら進める対策のあり方が望ましい」と話した。

 12日(土曜)、ワクチン開発を進めているアストロゼネカ社が、独立委員会の判断で安全性が確保できたとして、中断していた治験を英国で再開した。同社日本法人は再開を検討中という。

 同日の日経新聞1面の<チャートは語る>に「時代映す<総裁への道>」を掲げ、副題として「官房長官に重み」と「経済閣僚影薄く」を付している。1955年の自民党結党以来24人の歴代総裁の前職歴を分析し、官房長官・幹事長から総裁・総理になるケースが増え、逆に蔵相・財務相からは急落としている。

 高度成長期には富の再配分にかかわる経済官僚が力を持ったが、平成に入って様相が一変した。1996年からの小選挙区制の導入とともに総裁は<選挙の顔>の側面が強まり、テレビでの露出度が高い政治家が有利になる時代になると、官房長官ルートが浮上する。また、省庁再編や国家公務員の幹部人事の一元化により官邸に権限が集中するにつれ、さらに官房長官の力が強まった。

 これに加えて、菅氏の<無派閥>と<非世襲>が若手議員の共感を得て、<菅グループ>と言える議員が結集し、立候補を強く求めた。その数30~40人と言われる。菅氏支持を表明した5つの派閥に劣らぬ勢いである。

 この数日間、大規模火災がアメリカ西海岸のワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州に拡がり、収まらない。焼失面積は広く、これまでにオレゴン州だけで3500平方キロ(東京都の1.6倍)に及び、約50万人に避難準備の指示が出た。

 乾燥した熱波が太平洋岸からアメリカ西海岸へ東進したことに因るとされ、日本を襲った台風10号の影響との見方が強い。通常はまっすぐ東へ向かう偏西風が台風北上に伴い大きく蛇行、熱波を西海岸へ運びこんだとされる。広域火災はまた大気汚染の被害を招来している。

 冬には南半球のオーストラリア(こちらは夏)でも大規模火災が起きた。温暖化による気候変動の影響と言われるが、まだ科学的な因果関係は完全には解明されていない。しかし異常気象による自然災害は<凶悪化>し、かつ多発している。

 13日(日曜)、テレビや新聞各紙が自民党総裁選をめぐり立候補者の主張を報道した。まず総論とも言える政策方針に関する質問には、それぞれ色紙に石破茂氏が「納得と共感」、菅義偉氏が「自助・共助・公助」、岸田文夫氏が「分断から協調へ」と書いた。

 ついで各論にあたる質問に入る。消費増税、金融政策、外交政策、コロナ対策、格差是正等についての主張に大きな違いは見られず、もどかしさが残る。

 この日、テニスの大坂なおみ選手(日清食品)が全米オープン(ニューヨーク)で2年ぶり2度目の優勝を果たした。父親がハイチ出身で母親が北海道出身。「私はアスリートである前に黒人女性。私のテニスを見るより、もっと注意を向ける多くの重要なことがある」として、警官による射殺や暴行を受けた黒人の名前を書いた黒い<抗議マスク>を7枚(7回分)準備、決勝戦には2014年に警官に発砲されて死亡したタミル・ライス少年(当時12歳)の名入りマスクで登場した。

 第1セットはアザレンカ(ベラルーシュ)に1-6で敗れるが、その後6-3、6-3と連取して逆転優勝。スポーツに政治を持ち込むのはどうかとの批判に、大坂は「政治問題ではなく、人権問題です」と返した。悩み、考え抜いたであろう22歳の、揺るぎない答えである。

 同日の日経新聞の社会面に「コロナの記憶 100年残す マスクやチラシ<史料>に」と題する記事があった。全国に5000人と言われる博物館の学芸員(うち常勤の割合は減少して現在約65%)の活動の一例として、大阪府吹田市立博物館の五月女賢司さん(46歳)を取り上げる。
 
 この3月から手作りされたマスクや経営難を訴える紳士服店のチラシ等、約80の個人・団体からの2000余点を受け、7月中旬から約1か月間、展示した。「…コロナは市民活動にどんな影響を与えたのか、後の検証の手掛かりになる。貴重な文化財だ」と五月女さんは語る。大きな試みである。

 14日(月曜)、午後2時から自民党総裁選が行われ、実況放送を観た。衆議院議員283人、参議院議員111人の計394人のうち379人が出席。コロナ感染を避けるためホテルの大集会場を充てたとするが、びっしりと座る様子は、いささか<密>に見える。

 議員の投票は無記名、それに47都道府県連の各3票(計141名)が加算され、午後3時20分ころに開票結果が明らかになった。 菅氏 377票、岸田氏 89票、石破氏 68票。大方の予想どおり菅氏が圧勝、獲得票数は7割を超えた。

 21票差をつけて石破氏を破った岸田氏は、国会議員票79と地方票10を獲得、対する石破氏は同じく26と42である。地方票で劣る岸田氏が議員票で自己派閥の47人を30人以上も上回る票を得たのは、<施し票>と呼ばれる議員票の動きがあったとされる。今回の総裁任期は安倍前総裁の残任期間の来年9月30日までの1年間(衆議院議員の任期は来年10月まで)。岸田氏は次回の総裁選に可能性を残したと言われる。

 菅新総裁は、当選直後の記者会見で「…役所の縦割り、既得権益、悪しき前例を打破して規制改革を徹底してやりたい。…」と述べ、<改革派の顔>を前面に押し出した。具体策としては①コロナ対策ではデジタル化の推進、コロナ収束後に厚労省等の組織のあり方を検証、②中小企業・地銀の再編、③携帯電話料金の値下げ、④少子化対策として不妊治療の保険適用化、待機児童の完全解消等を掲げる。

 この日のうちに菅新総裁は、麻生財務相、二階幹事長の再任を決め、また党の総務会長に佐藤勉氏(元総務相)、政調会長に下村博文氏(選挙対策委員長)、その後任の選挙対策委員長に山口泰明氏(組織運動本部長)を充てた。

 翌15日(火曜)、野党の合流新党<立憲民主党>が結成大会を開き、枝野代表は代表代行兼選対委員長に平野博文氏、幹事長に福山哲郎氏、政調会長に泉健太氏、国対委員長に安住淳氏を充て、「政策で与党と競争を」と訴えた。

 同日夕方、官房長官に加藤勝信氏(厚生労働大臣)を充てるとのニュース速報が入った。官房副長官、内閣府人事局長を歴任、菅氏の近くで働いた人物である。ここが決まって、組閣の中心が定まる。

 同じ15日、三溪園の事務局から三溪園ボランティアさん219名に、8月に実施したアンケート結果等の資料を入れた厚めの書類を郵送した。添え状に「アンケート結果を受けて、庭園ボランティア、合掌造りボランティア活動の一部について再開することといたします。 しかし、新型コロナウイルスが収束するまでの間は、ボランティアの皆様ご自身の安全と安心を最優先に考えておりますので、不安を抱えている方は、決して無理をせず、活動休止を継続してください。…」と記した。

 具体的には、①来園者と対面しない活動の庭園、合掌造り、自然観察会を再開し、②来園者と対面するガイドボランティアは休止を継続する。ボランティアの多くが高齢者であることが方針決定の大きな要因である。これは2020 年 10 月 1 日~2021 年 1 月末日までの方針で、見直しは 2021 年 1 月頃を予定している。

 最後に「ガイドボランティア登録証(2021.3.31 期限)は有効ですので、受付で 登録証お見せいただければ、引き続き無料で入園できます。 家に籠る生活に疲れた方は、ぜひ遊びにきてください。」と付した。

 16日(水曜)午前の臨時閣議で安倍内閣が総辞職、同日午後、衆参両院で菅氏が第99代首相に選出された。ついで加藤官房長官が20名の閣僚名簿を発表、皇居で首相親任式と閣僚の認証式を経て新内閣が正式に発足、初の閣議が開かれた。

 その後、首相として初の記者会見があり、「<新型コロナウィルス対策と社会経済活動の両立>を最優先し、省庁の縦割り体質を打破して規制改革に取り組む」と改めて強調した。また質問に答えて、<桜を見る会>を来年以降は中止する意向を表明した。
 
 明けて17日(木曜)、各種メディアは新内閣の今後をめぐり、様々に報じる。7年半前に発足した第二次安倍内閣に比べ、菅新内閣は大きな政策課題(憲法改正等々)ではなく<具体的政策の連鎖>に特徴があると言う。例えば携帯電話料金の値下げに関して、菅氏は「公共の電波を3社が寡占し20%の利益を上げている」と批判してきたが、その値下げ分が消費者の支出に回ることにより、大きな経済効果があるのを期待していると言う。

 その他の規制改革についても国民の意見を聞く<縦割り110番>を設置し、そこから具体的政策を取り上げる<連鎖的展開>を考えているのではないか、これを行政改革・規制改革・沖縄北方領土担当の河野太郎行革相(前防衛相)に委任したと言われる。

 早くもこの日の午後3時半ごろ、河野大臣が<行政改革目安箱(縦割り110番)>を個人サイトに開設したことをツイッターで発表。投稿フォームを通じて誰でも河野氏にメールを送信できる仕組みを始動させた。設置から約2時間半後の会見で「もう700通くらい来て(メールボックスが)破裂しそうな状況。かなり具体的な問題が届いていて、正直やって良かった」と反響の大きさを口にした。

 なお翌日、河野大臣は「予想をはるかに超える数のご意見を頂き、整理のため、新規の受け付けを一時停止している」と説明、内閣府のホームページの<規制改革ホットライン>では引き続き意見を募集しているとして、活用を呼びかけた。

 次のようなエッセー(日経新聞17日の「春秋」欄)があった(抜粋)。「…空手の演武を見ると、素人目には奇妙に映る動きがある。右の拳で突く直前、左の手が体の前で弧を描く。これは架空の相手が仕掛けてきた攻撃を受ける動作である。…菅氏は学生時代、空手部に所属していた。…自らが掲げるセールスポイントもまた、空手のイメージにつながる。…お手並みを拝見しよう。…」

 18日(金曜)、前日と前々日の世論調査の結果が発表された。日経新聞の調査では支持率が74%(共同通信社の調査では64%)、前回8月の調査から19ポイントの上昇である。支持する要因として<人柄が信頼できる>が最多の46%、ついで<安定感がある>が来る。

 この日、約2400億円の負債を抱えて倒産した磁気治療器販売会社「ジャパンライフ」(東京都・破産手続き中)が、客に虚偽の説明をして現金をだまし取ったとして、警視庁などの合同捜査本部は元会長の山口隆祥容疑者(78)ら幹部14人を詐欺容疑で逮捕した。

 山口容疑者は、高額な磁気商品を同社が預かり、別の客に貸し出すレンタルオーナー制度を展開、<桜を見る会>で安倍前首相に招待されたことを宣伝に使い顧客を信用させたことで記憶に新しい。逮捕が菅首相の就任2日後のことであり、様々な憶測が飛び交う。加藤官房長官も名義と写真を使われ、記者の質問に「(その時すぐ)事務所から厳重抗議を行った」と釈明した。

 19日(土曜)、4連休(シルバーウィーク)の初日である。この日からイベントの人数等の規制緩和が行われた。プロ野球の横浜スタジアムは、前日の5000人から1万3000余人に。セリーグ首位の巨人との一戦が行われ、7:1でベイスターズが快勝した。神宮球場やサッカーJリーグも観客数1万人を超えた。

 映画館、劇場、寄席、音楽会もさまざまな工夫で開催。楽しむ観客の姿が見られた。鉄道も乗客が増え、新幹線の予約がほぼ満席に近い区間も出た。10月からは国交省所管の<Go To トラベル>の対象に東京発着も含まれる。農水省所管の<Go To イート>も始まり、秋の行楽シーズン到来が期待される。

 人が動けばウィルス感染の機会が増える。新政権の最大の課題である「新型コロナ対策と社会経済活動の両立」の正念場が日常の中にあり、その代表例が観光や娯楽等の文化活動である。楽しむ対象はこれまでと大差ないが、楽しむ方法は旧来の<日常>ではなく、新しい<日常>でなければならない。少なくとも有効で安全なワクチンや<コロナ抗体薬>の普及までは。
 
 この新しい<日常>とは、個々人が実践するものと、それを保障する社会的セーフティネット(安全網)からなる。前者には、マスク着用、手洗い、<3密>回避、それに混雑する車内等での会話を控えること…であろうか。これらを合わせて<コロナ・リテラシー>(新型コロナウィルスに関する科学的知識と防御のための技能)と言った人がいる。言いえて妙である。

 もともと読み書き・識字の能力という意味で使わる<リテラシー>が、「ある分野に関する知識と技能」へと拡がった。その代表例がコンピュータ・リテラシー(いま流行の用語を使えばデジタル・リテラシー)であり、ついで今回のパンデミックにより生まれた<コロナ・リテラシー>である。全員が実践するのは無理であっても、これこそ感染対策の基本である。

 このような個々人の<コロナ・リテラシー>向上を前提として、家族・地域・国家・世界の社会的セーフティーネットをどのように築き上げるか。まずは企業団体ごとの運営指針の確立と執行、ついで医療・保険・介護体制の構築と財政的・人的支援、そして失速する経済活動への財政的支援である。

 それらに関する予算措置はできたものの、執行段階で大幅な遅れが生じた一因が国・自治体等の組織内のデジタル化の遅れである。補助金や給付金の申請から交付までに要した長い時間は、先進国内で日本がもっとも遅れていることが判明、その失態ぶりに驚いた。たんなる一部の<目詰まり>ではなく、構造的な欠陥であろう。新政権が掲げる<デジタル庁>設置の成果が待たれる。

 この日、台湾の民主化に尽力した李登輝元総統(97歳)の告別式が台湾北部の淡水にある真理大学で行われ、内外から約1500人が参加、アメリカからクラック国務次官、日本から森喜朗元首相が参列した。アメリカの高官が赴いたことに中国が抗議、戦闘機19機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入した。

 休日を利用して録画しておいた特集類を観る。(1)NHKBS1ワールドニュース特集「新型コロナに揺れた1週間 9月7日(月曜)~11日(金曜)」(12日)。(2)NHKBS1スペシャル「在宅クライシス~医療・介護 最前線の闘い~」(12日)。(3)NHKBS1スペシャル「世界同時ドキュメント 私たちの闘い 自撮り映像でつづる半年間」(13日)。(4)NHKETV特集「パンデミックが変える世界 紛争地からのSOS」(19日)。(5)NHKBS1ワールドニュース特集「新型コロナに揺れた1週間 9月14日(月曜)~18日(金曜)」(20日)。

 20日(日曜)、4連休の2日目、菅首相はオーストラリアのモリソン首相、ついでアメリカのトランプ大統領と、それぞれ20分と25分の初の電話協議を行った。菅首相は「日米同盟は地域の平和と安定のための基盤」と述べるとともに、新型コロナのワクチン・治療薬の開発・普及に向けた協力や、北朝鮮による日本人拉致問題の解決について協議した。

 9年半前の東日本大震災(3・11)に伴う東京電力福島第1原子力発電所事故の記憶や教訓を後世に伝える「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県立)が同県双葉町で開館、収蔵資料24万点のうち約170点を展示する。

 21日(月曜、敬老の日)、各種イベントが多数の参加者で溢れた。世界一の店舗数を誇る横浜中華街もすっかり活気を取り戻した。嬉しいことではあるが、「新型コロナ対策と社会経済活動の両立」という世界が直面する政策課題を考えると、「人の移動がコロナを運ぶ」という確たる事実から目を背けるわけには行かない。

 22日(火曜、秋分の日)、朝から全国的な秋晴れだったが、昼頃から曇り始めた。台風12号の進路予報図(5日先まで示せるシステムの初の適用)が東日本方面への進路と、24日(木曜)上陸の可能性を示した。

 この間の感染者数の推移は以下の通り。全国(カッコ内は重症者)と東京都(同左)の順である。
 11日(金曜)  643人(191人)と187人(24人)
 12日(土曜)  648人(190人)と226人(23人)
 13日(日曜)  439人(180人)と146人(24人)
 14日(月曜)  268人(185人)と80人(22人)
 15日(火曜)  531人(174人)と191人(21人)
 16日(水曜)  551人(178人)と163人(23人)
 17日(木曜)  491人(167人)と171人(27人)
 18日(金曜)  572人(170人)と220人(26人)
 19日(土曜)  601人(161人)と218人(25人)
 20日(日曜)  480人(159人)と162人(27人)
 21日(月曜、敬老の日)  312人(163人)と98人(27人)
 22日(火曜、秋分の日)  331人(164人)と88人(30人)

 東京の1週間あたりの感染状況は<微増>と言えるが、この4連休の大幅な人口移動から約2週間後の感染状況が気になる。欧州(とくに英国)では感染の再拡大(第2波)があり、再度の行動規制が強化された。

 感染再拡大を受けてロンドン市場で株価が下落、ついでニューヨーク株も急落した。連休明けの23日(水曜)、東京市場の値動きはどうなるか。社会経済活動の退化が懸念されるが、その先に次の一手があると考えたい。

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人類最強の敵=新型コロナウィルス(18)

 前稿(17)を掲載した9月4日(金曜)、野党の立憲民主党と国民民主党が合流して新党を立ち上げるため、新党代表を選ぶ選挙(代表選)の日程等が発表された。7日(月曜)告示、10日(木曜)に代表選と党名決定(代表名と党名を記入して投票する)、15日(火曜)に結党大会を開く。

 新党には149人が参加表明しており、野党第一党が100人を超すのは旧民進党いらい3年ぶりとなる。国民民主党の22名が不参加。新党の代表選には立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の泉健太政調会長の二人が立候補した。

 5日(土曜)、日経新聞のトップ記事は「電光石火の菅氏優勢 異例の無派閥 力学に変化」の横見出しで「自民党総裁選 本命交代の舞台裏」を取り上げる。顔写真は左から麻生氏、安倍氏、二階氏の3氏。

 私も前稿(17)において、8月30日(日曜)夕方、自民党の次期総裁をめぐり、早くも二階幹事長が菅官房長官の支持を表明とのニュースに触れ、この動きが菅氏優勢を加速すると理解した(2020年9月4日掲載の「人類最強の敵=新型コロナウィルス(17)」)が、その背景まで必ずしも理解していたわけではなかった。

 上掲の記事は、菅氏が1996年初当選の小選挙区制度の一期生であることに触れ、小選挙区制により自民党の派閥の持つ意味が一変したとする。すなわち派閥のトップを総裁にするため議員の数が問題であった時代が、小選挙区制度に移行してから党本部が人事と資金の両面で強大な権限を握る時代となった。

 党の要職にいなければ大派閥といえども「勝ち馬に乗れず、ポスト配分等で冷遇される」との恐怖感が強く、この政治力学の変化が、無派閥の菅氏を一気に総裁選の有力候補に押し上げた、と述べる。

 長らく安倍氏や麻生氏が首相の後継者としてきたのが岸田政調会長だが、新型コロナウイルス対策の立案等で指導力を発揮できるのは菅氏との理解が今年7月頃から徐々に拡がり、安倍氏が属する最大派閥の細田派(98人)では意見が割れかねない事態となったと言われる。

 安倍氏は、第2派閥の麻生派(54人)の動向を探りつつ、同派所属の河野防衛大臣を総裁候補とするか否か、幾度も尋ねた上で麻生氏の菅氏支持を確認し、<菅後継>を念頭に辞任表明に及んだ、とされる。

 こうした空気を読み、<勝ち馬は菅氏>と読んだ二階氏が、8月30日(日曜)夕方、早くも菅氏の支持を表明したが、さらにその前日、すなわち安倍首相の辞任表明の翌日、菅氏が二階氏の側近である林幹事長代理と3人で会談、方針は一致した、と記事は分析する。

 6日(日曜)昼、台風10号が猛烈な勢力を保ちつつ沖縄奄美に最接近、中心気圧は920hPa、中心付近の最大風速は50メートル(同瞬間風速70メートル)の最強クラスと予想され、厳重な警戒を呼びかけた。避難所はかなりの高密度となり、さらに収容しきれずに避難所を増設するが、コロナ対策の<3蜜回避>もままならない。この猛暑下に各所で停電が発生した。
 
 この日の日経新聞は、菅氏への単独インタビュー記事を1面で掲載、「菅氏、デジタル庁検討へ 黒田日銀総裁を評価」と報じた。新型コロナウイルスへの対応で遅れが明らかになったデジタル行政を加速するため、①省庁横断でデジタル化を進める権限を持つ行政組織の創設、②オンライン診療・教育の恒常化、③アベノミクスの継承、④中小企業の再編や競争力強化に重点を置き、中小企業基本法の見直し、⑤経済再生を最優先、⑥リスク軽減のため特定国に偏った供給網の見直しを支援、等の重要政策を語った。

 一方、自民党総裁選に立候補している岸田氏は5日、遊説先で「新型コロナウイルスで東京にいなくても教育を受けられ、仕事ができると実感できた」として、「地方生活と都市生活を両立できる個性ある都市を全国に展開する」と語り、<デジタル田園都市構想>への理解を求めた。
 
 同じく立候補した石破氏は、テレビ番組で「アベノミクスで所得は伸びていない」と指摘し、「消費を伸ばすため直接的な経済支援や納税の猶予もある」とした。
 
 7日(月曜)未明、台風10号は鹿児島から熊本、大分、長崎あたりを通過、強風のため47万戸(うち九州では43万戸)が停電した。照明、通信、空調、医療、交通等々、すべての面で電力に依存する現代生活である。インフラを支える電力とその維持管理、停電からの復旧を担う人々への思いを強くする。

 7月の九州豪雨の爪痕も癒えぬなか、台風襲来を予測して鉄道は運休し、多くのコンビニや工場は臨時休業、また広域避難の可能性に備えた。日本近海の水温上昇により、強力台風の接近は今後さらに増えるであろう。より周到な対策が求められる。

 気象庁は3日から870万人に避難指示・勧告を出し、また<特別警戒級>として「あなたの命をお守りください。あなたの大切な方々の命をお守りください。早めの備えをお願いします」と呼びかけた。

 台風は中心気圧が920hPa以下になると<特別警戒報>を発する等々の決まりがあるようだが、台風に直面する人々は、具体的にどう対処すべきか戸惑う。世界的に異常気象が進行し、豪雨、落雷、突風、高温等々の<過去にない最大級の異変>が頻発する。初めて襲来する危険に対して模範解答はあり得ず、代わりに「あなたの命をお守りください。…」と呼びかけ、被害を最小限に留める<基本的な心構え>を訴えたのではないか。

 自然災害に対する心構え、防備、具体的行動の徹底がしっかりしていれば、後につづく人災を防ぐ(ないし小さくする)大きな要因にはなるとは言え、災害回避の責任をすべて個々人に任せるのは政治の怠慢にほかならない。

 台風10号は速度を上げ、朝には中心が九州を抜けてまっすぐに北上、朝鮮半島へ向かった。この間、予報円の<暴風域>は九州全域と四国・中国地方に及び、その外側の<強風域>は紀伊半島まで拡がった。さらに台風の影響で海上の湿った空気が北上、東海から関東甲信にかけて局地的なゲリラ豪雨(あるいはゲリラ雷雨)や突風があった。

 10号台風はぎりぎりのところで勢力を弱め(海水温が想定より低かったため)、高気圧にブロックされて九州西側の海上を北上(すこし東であれば九州上陸)したため<最悪の事態>は避けられた。けが人と安否不明者が出ているが、死者の報道はまだない(7日正午現在)。

 なお台風予報は、これまで<1日先>までだったが、9日午後からは<2~5日先>までになるという。コンピュータの性能アップにより、先々までの予報が可能になれば、時間の余裕をもって各地・各人が備えを進めることができる。

 この日の新型コロナウイルス新規陽性者は、全国で292人(重症者209人)、東京都が77人(24人)といずれも低めで、東京は約2か月ぶりの低水準である。

 安倍総理の引退表明後、各種調査では政権支持率が反転して急上昇、35%から62%に上がる(不支持率は62%から36%へ)不思議な現象が起きている。党派別の支持率も自民党だけが11%も上昇した。

 高い支持率は解散総選挙の可能性を押し上げる。となると新総理が早期に解散する可能性は否定できない。菅氏はコロナ対策が最大課題であり、その収束が見られない時期の総選挙には否定的であった。

 しかし、解散権は総理の専権事項である。立場が変わったとたん、見解を豹変させるのは政治の常套手段である。与党野党を問わず、<常在戦場>の言葉が飛び交う。永田町に<解散風>が吹いているという。

 8日(火曜)午後、自民党総裁選の届け出順に石破氏、菅氏、岸田氏が並び、立候補の所見発表が行われた。それぞれの政権構想については、これまでの主張を超える新たな内容は見られなかったが、菅氏が組閣や党の人事について、派閥からの要望や意見は聞かないと述べたことに注目したい。

 マスコミの関心は以下の点に絞られつつある。①早期の解散・総選挙の可能性と時期、②第2位は石破氏か岸田氏か、③今後の政権運営を左右する<地方票>の行方、④党役員4役の人事、⑤組閣構想と支持派閥との関係。

 この日、二階氏の幹事長在任日数が1498日と歴代最長を記録、これまでの田中角栄氏の最長記録を更新した。二階氏は続投する気で、菅氏も二階氏を高く評価。続投と見てよかろう。

 残る政調会長、総務会長、選挙対策本部長の3役に関心が集まる。その後、あるいはこれと平行して、④組閣構想と支持派閥の関係が注目される。

 同じ8日、英アストロゼネカ社が副作用のため治験を中断とアメリカのメディアが報じた(実際には6日に中断)。またアストロゼネカ社、米ファイザー、仏サノフィー等の欧米製薬会社9社が、ワクチン開発に際して<安全最優先>とする共同声明を発表、政治的思惑から早期承認を進める動きを牽制した。

 9日(水曜)、ちょうど1年前のこの日、台風15号が襲来(本ブログ2019年9月20日掲載「台風被害と三溪園観月会」)した。このときの東日本は停電が64万戸に及び、今年の台風10号の停電戸数より多かったうえに、9日間も停電がつづいた地域があった。

 被害の大きかった千葉県南部では、未だに屋根の修復工事が終わっていない家屋がある。一方、発電・蓄電できる比較的安価(2万円程度)なソーラーパネルが売れているとのニュースがあった。強大化する台風襲への一つの装備となる。

 10日(木曜)、東京都は専門家らを交えたモニタリング会議で、4段階の警戒レベルのうち警戒レベル4(最も深刻な「感染が拡大している」)をレベル3(「感染の再拡大に警戒が必要」)に引き下げ、夜10時までとしていた飲食店の営業時短要請を解除する(今月16日以降は延長しない)と決めた。

 都内の感染者は、8月1日に過去最多の472人、同7日も462人に上ったが、その後は減少傾向に転じ、9月9日時点での週平均の1日あたりの感染者は148.6人となった。

 政府は、7月から始めた<Go to トラベル>で東京発着だけを除外していたが、来月10月1日に解除する方針を固め、感染状況を見つつ9月中に判断したいと述べた。イベントの入場者数制限も緩める意向を示す。

 ここで9月4日(金曜)以来の新型コロナウイルス新規陽性者と重症者数を一覧する。前が全国で後が東京都、また(カッコ内)は重症者(内数)。

  4日(金曜) 587人(214人)と136人(28人)
  5日(土曜) 599人(210人)と181人(27人)
  6日(日曜) 451人(211人)と116人(27人)
  7日(月曜) 292人(209人)と77人(24人)
  8日(火曜) 510人(202人)と170人(21人)
  9日(水曜) 508人(202人)と149人(24人)
 10日(木曜) 711人(198人)と276人(62人)

 この間に観たテレビ録画は次の4本。(1)NHKクローズアップ現代+「PCR検査は? 医療は? “第2波で見えた課題」(9月3日)。(2)BS1スペシャル「あのあと、タクシーに乗って~新型コロナ・緊急事態宣言の東京(再)」(5日)。(3)BS1ワールドニュース特集「新型コロナに揺れた1週間(8月31日~9月5日)」(6日)。(4)テレビ東京 ガイアの夜明け「コロナとの戦いを諦めるな」(8日)。

 10日(木曜)、野党の合流新党の代表選で立憲民主党の枝野氏が選出され、新党の名称も同じ<立憲民主党>となった。149名の議員のうち枝野氏が107票、泉氏が42票を獲得した。149人のうち衆議院議員は106人で、100人を超える野党第一党が8年ぶりに誕生する。

 11日(金曜)、ワクチン開発の有力候補の一つ、英アストロゼネカ社が安全性を確保するため治験を一時中止したが、CEOはワクチン開発には絶えず伴うものであり、年内に完成させる方針に変わりはないと追加発表した。これについてWHOは「治験中断は安全性などを再確認する<良い警告>になった」との見解を示した。

 同じく11日は、2011年の東日本大震災(3・11)から9年半にあたる。今後想定される①南海トラフ地震、②首都直下地震、③日本海溝・千島海溝沿い地震の発生に備え、大津波から身を守る<津波避難タワー>を全国48自治体に210基を建造することが2012年の中央防災会議で決まったが、いまなお約2割の39基が未完成であると日経新聞が報じた。整備が進む東海(100%)に比べ、近畿(93%)、四国(91%)、九州(81%)、関東(58%)、東北(39%)、北海道(38%)である。

 新型コロナウイルス感染症は少し落ち着きを見せてきた。徐々に社会経済活動を復活させるとともに、新しいビジョンと方向性を持たなければならない。それをめぐる国政レベルの問題も焦点が絞られてきた。

 自民党総裁選の投開票日は14日(月曜)、翌15日(火曜)が野党の合流新党<立憲民主党>の結党大会。そして16日(水曜)、臨時国会で首相(内閣総理大臣)が指名され、すぐ組閣に入る。 

人類最強の敵=新型コロナウィルス(18)

 9月4日(金曜)、前稿(17)を掲載した日、野党の立憲民主党と国民民主党が合流して新党を立ち上げるため、新党代表を選ぶ選挙(代表選)の日程等が発表された。7日(月曜)告示、10日(木曜)に代表選と党名決定(代表名と党名を記入して投票する)、15日(火曜)に結党大会を開く。

 新党には149人が参加表明しており、野党第一党が100人を超すのは旧民進党いらい3年ぶりとなる。国民民主党の22名が不参加。新党の代表選には立憲民主党の枝野幸男(代表)と国民民主党の泉健太(政調会長)の二人が立候補した。

 5日(土曜)、日経新聞のトップ記事は「電光石火の菅氏優勢 異例の無派閥 力学に変化」の横見出しで「自民党総裁選 本命交代の舞台裏」を取り上げる。掲げる顔写真は左から麻生氏、安倍氏、二階氏の3氏。

 私も前稿(17)において、8月30日(日曜)夕方、自民党の次期総裁をめぐり、早くも二階幹事長が菅官房長官の支持を表明とのニュースに触れ、この動きが菅氏優勢を加速すると理解した(2020年9月4日掲載の「人類最強の敵=新型コロナウィルス(17)所収」)が、その背景まで必ずしも理解していたわけではない。

 上掲の記事は、菅氏が1996年初当選の小選挙区制度の一期生であることに触れ、小選挙区制により自民党の派閥の持つ意味が一変したとする。すなわち派閥のトップを総裁にするため議員の数が問題であった時代が、小選挙区制度に移行して一変し、党本部が人事と資金の両面で強大な権限を握る時代となった。

 党の要職にいなければ、大派閥といえども「勝ち馬に乗らなければポスト配分等で冷遇される」との恐怖感が強く、この政治力学の変化が無派閥の菅氏を一気に総裁選の有力候補に押し上げた、と述べる。

 長らく安倍氏や麻生氏が首相の後継者としてきたのが岸田政調会長だが、彼には新型コロナウイルス対策の立案等で指導力を発揮できない、それが可能なのは菅氏しかないとの理解が今年7月頃から徐々に拡がり、安倍氏の属する最大派閥の細田派(98人)さえ放置すれば意見が割れかねない事態となった。

 安倍氏は、第2派閥の麻生派(54人)の動向を探りつつ、同派所属の河野太郎防衛大臣を総裁候補とするか否かを幾度も尋ねた上で麻生氏の菅氏支持を確認し、<菅後継>を念頭に辞任表明に及んだ、とする。

 こうした空気を読み、<勝ち馬は菅氏>と読んだ二階氏が、8月30日(日曜)夕方、早くも二階幹事長が菅官房長官の支持を表明したが、さらにその前日、すなわち安倍首相の辞任表明の翌日、菅氏が二階幹事長の側近である林幹雄幹事長代理と3人で会談、方針は一致した、と分析する。

 6日(日曜)昼、台風10号が猛烈な勢力を保ちつつ沖縄奄美に最接近、中心気圧は920hPa、中心付近の最大風速は50メートル(同瞬間風速は70メートル)と最強クラスと予想され、厳重な警戒を呼びかけた。接近前に避難するよう指示が出て、避難所がかなりの高密度となり、さらに収容しきれずに避難所を増設する。コロナ対策の<3蜜回避>もままならない。各所で停電となり、この猛暑下で冷房も使えない。
 
 この日の日経新聞は、菅氏との単独インタビュー記事を1面で掲載、「菅氏、デジタル庁検討へ 黒田日銀総裁を評価」と報じた。新型コロナウイルスへの対応で遅れが明らかになったデジタル行政を加速するため、①省庁横断でデジタル化を進める権限を持つ行政組織の創設、②オンライン診療・教育の恒常化、③アベノミクスの継承、④中小企業の再編や競争力強化に重点を置き、中小企業基本法の見直し、⑤経済再生を最優先、⑥リスク軽減のため特定国に偏った供給網の見直しを支援、等の重要政策を語った。

 一方、自民党総裁選に立候補している岸田氏は5日、遊説先で「新型コロナウイルスで東京にいなくても教育を受けられ、仕事ができると実感できた」として、「地方生活と都市生活を両立できる個性ある都市を全国に展開する」と語り、<デジタル田園都市構想>への理解を求めた。
 
 同じく立候補した石破氏は、テレビ番組で「アベノミクスで所得は伸びていない」と指摘し、「消費を伸ばすため直接的な経済支援や納税の猶予もある」としたが、具体論はまだ示していない。
 
 7日(月曜)未明、台風10号は鹿児島から熊本、大分、長崎あたりを通過、強風のため47万戸(うち九州では43万戸)が停電した。照明、通信、空調、医療、交通等々、すべて面で電力に依存する現代生活である。インフラを支える電力と電力の維持管理、停電からの復旧を担う人々の有難さを痛感する。

 7月の九州豪雨の爪痕と記憶が残るなか、鉄道は運休し、多くのコンビニや工場が臨時休業して早めに台風襲来に備え、広域避難の可能性も高めた。日本近海の水温上昇により、強力台風の接近が増えると予想されるなか、より確かな計画的な備えを進めなければならない。

 気象庁は3日から870万人に避難指示・勧告を出し、また<特別警戒級>として「あなたの命をお守りください。あなたの大切な方々の命をお守りください。早めの備えをお願いします」と呼びかけた。気象庁の担当官の言葉としては異例で、私は初めて聞いたように思う。

 台風が<過去最大級>と表現することはできる。中心気圧が920hPa以下になると<特別警戒報>を発する等々の決まりがあるようだが、台風の猛威を数字で<過去最大級>と言われても、台風被害に直面する人々は、恐れることはあっても、どう対処すべきか分からない。

 世界的に異常気象が進行し、豪雨、落雷、突風、高温等々の<過去にない最大級の異変>が頻発する。初めて襲来する危険に対して、平均的な模範解答はあり得ない。代わりに気象庁は「あなたの命をお守りください。…」と呼びかけ、被害を最小限に留めるための<基本的な心構え>を訴えたのではないか。

 自然災害に対する心構え、備えと具体的行動の徹底がしっかりしていれば、後につづく人災を防ぐ(ないし小さくさせる)大きな要因になる。災害回避の責任をすべて個々人に任せるのは政治の怠慢にほかならない。それを承知の上で、想定以上の猛烈な自然災害(なかでも台風、地震、噴火)が予想される段階では、今回のような気象庁の<警告>は人災を減らす貴重な第一歩になるかもしれない。

 台風10号は速度を上げ、朝には台風中心が九州を抜けてまっすぐに北上、朝鮮半島へ向かった。この間、<予報円>の<暴風域>は九州全域と四国・中国地方に及び、その外側の<強風域>は紀伊半島まで拡がった。さらに台風の影響で海上の湿った空気が北上、東海から関東甲信にかけて局地的なゲリラ豪雨(あるいはゲリラ雷雨)や突風があった。

 この台風はぎりぎりのところで勢力を弱め(海上水温が想定より低かったため)、また高気圧でブロックされて九州西側の海上を北上(すこし東であれば九州上陸)したことにより<最悪の事態>は避けられた。被害状況は、けが人と安否不明者が出ているものの、幸いにして死者の報道はまだない(7日正午現在)。

 なお台風予報がこれまで<1日先>までだったが、9日午後からは<2~5日先>までとなるという。コンピュータの性能アップにより、先々までの予報が可能となれば、時間の余裕をもって各地・各人が備えを進めることが可能となる。

 この7日の新型コロナウイルス新規陽性者は、全国が292人(重傷者209人)、東京都が77人(24人)といずれも低めで、東京は約2か月ぶりの低水準である。

 安倍総理引退表明を受けて、各種の調査政権支持率が反転して急上昇、35%から62%に上がる(不支持率は62%から36%へ)不思議な現象が起きている。党派別の支持率も自民党だけが11%も上昇した。

 支持率の高いときに解散総選挙の可能性が高い。となると新総理が早く解散する可能性は否定できない。菅官房長官はコロナ対策が最大課題であり、その収束が見られない時期の総選挙には否定的であった。

 しかし、新総理に菅氏が就任すれば、解散権は総理の専権事項であるから、新総理の腹一つにかかっている。前にああ言ったのに意見を急変させたというのは政治の世界では通用しない。与党野党を問わず、解散総選挙にそなえて<常在戦場>の言葉が飛び交う。永田町では<解散風>が吹いているという。

 8日(火曜)、自民党総裁選の届け出があり、届け出順に石破氏、菅氏、岸田氏と並び、午後から立候補の所見発表会があった。それぞれの政権構想については、これまで述べてきたことを超える新たな内容は見られなかったが、菅氏が組閣や党の人事について派閥から要望や意見は聞かないと述べたことに注目したい。

 マスコミの関心は、以下の点に絞られつつある。①早期の解散・総選挙の可能性と時期、②菅氏の圧倒的優位を前提として第2位は石破氏か岸田氏かにより今後の政権運営が変わるため<地方票>の行方いかん、③党役員4役の人事、④同じく組閣構想と支持派閥との関係。

 この日、二階氏の幹事長在任日数が1498日と歴代最長を記録、これまでの田中角栄氏の最長記録を更新した。二階氏はさらに続投する気でおり、菅氏も二階氏を高く評価しているので、続投と見てよかろう。

 残るは政調会長、総務会長、選挙対策本部長の3役であり、その行方に関心が集まっている。その後、ないしこれと平行して、④組閣構想と支持派閥の関係が大きな関心事となりそうである。

 9日(水曜)、昨年の台風15号襲来(本ブログ2019年9月20日掲載「台風被害と三溪園観月会」)から1年を迎えた。このときの東日本での停電は64万戸に及び、今年の台風10号に伴う停電戸数より多かったうえに、9日間も停電がつづいた地域もあった。

 被害の大きかった千葉県南部では屋根の修復工事が終わっていない家もある。一方、昨年の教訓から、電力確保のためソーラーパネルで発電、これを蓄電できる装置を比較的安価(2万円程度)で購入して次に備えているとのニュースがあった。改めて強大化する台風襲来に対する備えの大切さを思う。

 10日(木曜)、東京都は、専門家らを交えたモニタリング会議で、4段階の警戒レベルのうち警戒レベル4(最も深刻な「感染が拡大している」)から深刻度が一つ低いレベル3(「感染の再拡大に警戒が必要」)に引き下げることを決め、これに伴い飲食店の夜間営業を10時までとする現行方式を解除(今月16日以降は延長しない)すると決めた。

 都内の感染者数は、8月1日に過去最多の472人、同7日も462人に上ったが、その後は減少傾向に転じ、9月9日時点での週平均の1日あたりの感染者は148・6人となった。

 ここで9月4日(金曜)以来の新型コロナウイルス新規陽性者と重傷者数を一覧すると以下の通り。前が全国で(カッコ内)が重傷者(内数)、後が東京都。

  4日(金曜) 587人(214人)と136人(28人)
  5日(土曜) 599人(210人)と181人(27人)
  6日(日曜) 451人(211人)と116人(27人)
  7日(月曜) 292人(209人)と77人(24人)
  8日(火曜) 510人(202人)と170人(21人)
  9日(水曜) 508人(202人)と149人(24人)
 10日(木曜) 711人(198人)と276人(62人)

 10日(木曜)、野党の合流新党の代表選で枝野幸男氏が選出され、新党の名称も同じ<立憲民主党>となった。149名の議員のうち枝野氏(立憲民主党)が107票、泉氏(国民民主党)が42票を獲得した。149人のうち衆議院議員は106人で、100人を超える野党第一党が8年ぶりに誕生する。

 11日(金曜)、ワクチン開発の有力候補の一つアストロゼネカ社が安全性を確保するため治験を一時中止したことを受けて、この措置はワクチン開発には絶えず伴うものであり、年内に完成させる方針に変わりはないと社長が発表した。

 幸い新型コロナウイルス感染症は少し落ち着きを見せてきた。その分、社会経済活動を徐々に復活させるとともに、新しいビジョンと方向性を持たなければならない。それをめぐる国政レベルの問題も焦点が絞られてきた。

 自民党総裁選の投開票日は14日(月曜)で、その翌15日(火曜)が野党の合流新党<立憲民主党>の結党大会である。そして16日(水曜)、臨時国会が召集され、首相(内閣総理大臣)の指名となる。

人類最強の敵=新型コロナウィルス(17)

 前回の(16)は8月19日掲載で、その前日の18日までの記録を綴った。それ以来の経緯を記したい。

 8月19日(水曜)の感染者は全国で1070人(うち重症者239人)、東京都は186人(32人)、ついで20日(木曜)は1184人(237人)と339人(36人)である。横ばいのままと見て良かろう。

 21日(金曜)、尾身政府分科会会長が全国感染症学会の場で「新型コロナウィルス感染症は、全国的にはピークに達した」と述べて議論が沸き起こった。グラフを見るかぎり、どちらとも言えそうな感じがするが、この約半年間を通して言えば、その通りかもしれない。素人には何とも判断が付かない。22日(土曜)の感染者もほぼ横ばいと言ってよかろう。

 23日(日曜)、身辺で思わぬ事故が起きた。6年間にわたる酷使に耐えて、よく頑張ってくれた愛用のパソコンが突然ダウンし、書いたものが消失してしまった。これまでも、時折、疲労のサインを出していたので、毎晩寝る前には書いた原稿を外部記憶装置に移していた。

 ところが前日の土曜は雑事に紛れ、うっかり失念してしまった。魔物は、こうした隙を狙って来る。書き続けて酷使してきた右手が悲鳴をあげたのを機に、1984年に登場したポータブル・ワープロを買い、それをパソコンへと継承して書き続けてきた。その8代(台)目の相棒を失い、途方に暮れる。

 嘆いていている暇はない。買い置きしておいたデスクトップ型のタワー部分を交換、苦労して配線し、ようやくソフト類を注入する段階まできて頓挫してしまった。新型コロナウィルスを考えると人を呼んでの作業は懸念される。パソコンなしでは執筆も、最新データの収集も、論点のメモさえもママならない。

 すぐ使えるノート型パソコンを入手しようと、子どもたちに調べてもらい、知人にも推薦の機種を聞いた。

 27日(木曜)、日経新聞のトップ記事に「世界の大学 <封鎖>解けず」が掲載された。パソコンが使えない分だけ新聞・雑誌や本を読むことが多くなる。副題には「秋も遠隔中心 質低下に懸念」、「世代の不利益 長期化も」があり、国際労働機関はその報告書で<ロックダウン世代>という新語を使っている。

 秋からの授業に向けて、非接触型のオンライン授業と対面型の授業・実験・ゼミをいかに有効に組み合わせるか、世界の大学が苦闘している。大学教育には、教員が学生に<教える>ことと、学生が自ら<学ぶ>ことの両面が欠かせない。

 前者の<教える>方法としての非接触型と対面型の併用は、感染防止には欠かせない。一方、後者の<学ぶ>機会を大学側はどう提供するか、これは<教える>機会の提供に劣らず、ある意味ではそれ以上に重要ではないだろうか。

 学生自らの<学ぶ>ことに関しては、種々の課外活動や部活がきわめて大きな位置を占める。思春期における<自分探し>もある。そこでは文化系・スポーツ系を問わず接触型が多く、また不可欠となることも避けられない。

 とくに新入生は同学年の友人と対面する機会がまだない。画面を通じて顔は知っていても、実感が湧かないのも当然であろう。また学生アルバイトの代表例である家庭教師・塾の講師や居酒屋は、いずれも<接触型>であり、その機会が一挙に減少、生活が成り立たなくなった学生もいる。

 大学4年生の就職活動も従来とは違う。雇用する側も就活する側も、かつてない状況に追いやられ、最大限の知恵を絞らなければならない。学生にとどまらず、社会人一年生も似たような状況下にある。入社以来ほとんどリモート・ワークで、ひざ突き合わせた接触の機会が極端に少ない。最悪の場合、企業そのものが立ち行かなくなり<解雇>となる。<解雇>と<雇止め>がすでに5万人を超えた。

 読む時間が取れずに放置してあった小冊子に目を通した。『ちくま』誌9月号の池田清彦「恐るべき強欲と信じがたい愚行」は、山岡淳一郎『ドキュメント 感染症利権』(ちくま新書 2020年)を紹介しつつ、厚労省と文科省の縄張りに伴うPCR検査の<目詰まり>や製薬会社の<利権>に触れる。

 また『学士會会報』誌の第944号(令和2年9月)には「再掲載論考」として、いま大活躍の感染症学者の旧稿(講演録)を再掲している。1つが押谷仁「グローバル化する感染症の脅威」(第916号、平成28年1月)。SARS(2003年に流行)やエボラ出血熱(2014年に流行)に対応した経験をもとに警鐘を鳴らしたもの。

 もう1つの賀来満夫「感染制御のネットワーク作りー感染症クライシスへの対応ー」(第931号、平成30年7月)は、東北地方を中心とする感染症危機管理ネットワーク構築の必要性や、急がれる人材育成を論じている。

 4年前と2年前の論考であるが、こうした学術的な基盤があったからこそ、昨年末に中国で発生し、世界を席巻しつつある新型コロナウィルス感染症にかろうじて対応することができた。科学への先行投資の重要性を改めて痛感する。

 ここで前掲の8月20日(木曜)に次ぐ新規感染者の推移を見ておきたい。前が全国、後が東京都の数字で、(カッコ)内は重症者である。
 21日(金曜) 1034人(243人)と258人(33人)
 22日(土曜) 984人(243人)と256人(37人)
 23日(日曜) 744人(254人)と212人(39人)
 24日(月曜) 493人(259人)と96人(38人)
 25日(火曜) 717人(252人)と182人(34人)
 26日(水曜) 903人(246人)と236人(31人)
 27日(木曜) 863人(238人)と250人(31人)

 28日(金曜)、パソコンなしの生活に耐えられず行動開始。ネット注文する手もあるが、ノートパソコンを使うのはほぼ20年ぶり。手触りを知り、操作してみなければ始まらない。<非接触型>の作業が推奨されるご時世で、今こそ<接触型>の現物主義が最良の武器であることに気づいた。

 すぐに家電量販店へ行き、推薦を受けていた機種を幾つか点検、キーボードの使いやすさを試す。候補は絞られた。ところが「お届けできるまで2週間ほどかかります」。私は「今日にも使いたい」と勢いよく言ったようである。

 店員さんが「それなら…」と提示したのは、今までのデスクトップ型と同じメーカーのノート型である。キーボードにどこか馴染みがある。不思議な縁を感じて即決、2時間後に受け取った。

 この日は朝から、官邸に慌ただしい動きが見られた。10時から閣議、1時から政府対策本部、4時から臨時閣議、そして5時から安倍総理の記者発表と予定。

 安倍総理は4日前の24日に憲政史上最長の首相連続在職2799日を達成した(大叔父の佐藤栄作が持つ2798日を抜く)。国政選挙で6連勝して長期政権を確立、<官邸主導>の体制を作りあげた。一方、慶応大学病院での検査に体調不安が取りざたされていた。

 安倍総理の記者発表は71日ぶりである。今日午後の政府対策本部において、①新型コロナウィルスのワクチンを来年前半までに国民全員分を確保する、②PCR検査を飛躍的に拡充する、③<指定感染症>とする法改正を行う、と述べた。

 ついで自らの健康問題に触れる。今年7月中旬ころから体調に異変が生じ、体力を消耗する状況となった、8月上旬に持病の潰瘍性大腸炎(指定の難病)の再発が確認され投薬を開始、持続的な処方が必要で予断を許さない、としたうえで次のように正式に辞意を表明した。

 「新型コロナウィルスの感染が減少傾向に転じ、実施すべき対応策をまとめたことから、新体制に移行するにはこのタイミングしかないと判断した」。

 29日(土曜)。日本と世界のメディアは一斉に「安倍首相 辞任」を大きく報じる。いかにも唐突と映ったのであろう。安倍氏自身の決断は24日であったが、初めて明らかにしたのは会見の場であり、周辺には側近を含めて洩らさなかったと言う。9月中旬までに総裁選を行い、政権を引き継ぐまではしっかり職責を全うしたいと述べた。

 この間、録画7本を観る。(1)NHKクロースアップ現代「第2波? ピークは過ぎたのか?」(8月25日)。(2)NHKクロースアップ現代+「若者が熱狂 “瀧本さんの宿題”~天才投資家が遺した人生論」(26日)。(3)NHKトライアングル特別編「コロナの中でナニ考えた?~尾崎世界観と26人の高校生」(27日)。(4)NHKクロースアップ現代+「“コロナ政局”の行方は?~密着・議員たちの夏~」(27)。(5)NHKスペシャル「パンデミック 激動の世界1 ウィルス襲来 瀬戸際の132日(29日 前編)。(6)NHKスペシャル「パンデミック 激動の世界1 ウィルス襲来 瀬戸際の132日(30日 後編)。(7)NHKスペシャル「江戸の知恵に学べ~コロナ危機を生きる術~」(30日)。

 政局は一挙に次の自民党総裁選へ向けて動き出した。多数与党の自民党総裁がそのまま内閣総理大臣になるため、28日(金曜)夕方の安倍総理の退陣表明後、すぐ総裁選レースが始まった。立候補が取りざたされている人たちは、石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長などである。

 30日(日曜)夕方、自民党の次期総裁をめぐり、早くも二階幹事長が菅義偉官房長官の支持を表明とのニュースが流れた。これまで菅氏は立候補の意思ありやと問われるたびに、総理大臣を支える官房長官として立候補の意思なし、と発言しつづけてきた。安倍総理の退陣表明により、状況は一転して新局面に入る。

 菅氏は無派閥であり、また自民党総裁選に立候補したことがない。その点で石破氏、岸田氏たちとは違う。しかし安倍長期政権を支えた官房長官として在職最長記録を持ち、メディアへの露出頻度は高い。

 現在の最大の政策課題は、言うまでもなく新型コロナウィルス感染症対策にほかならない。この半年余の政策を担ってきた総理と官房長官のうち、総理(首相)が退陣すれば、残るのは官房長官だけである。政策の継承を担えるのは菅氏という判断が背景にあった模様で、政局は一挙に菅総裁の選出へと傾いた。

 31日(月曜)、自民党の二階派(47人)に次いで麻生派(54人)、そして最大派閥の細田派(98人)も菅支持を表明した。一方、立候補が取りざたされている(正式には9月1日に表明予定)石破氏の石破派(19名)と岸田氏の岸田派(47名)が、どれだけ他派から支持を取り付けられるか。竹下派(54人)、谷垣派(17人)、石原派(11人)の動きも固まりつつある。

 総裁選には<通常時>のものと<緊急時>のものとがある。どちらを採るかを9月1日の自民党総務会で討議し、緊急時の<両院議員総会>方式と決めた。すなわち自民党の国会議員394票と47都道府県連に各3票=141票の計535票のうち有効票の過半数を得たものが選出される。1位候補が過半数に達しないときは上位2人の決戦投票で決める。

 投開票日は14日(月曜)。16日(水曜)の臨時国会で首相(内閣総理大臣)が指名される。

 9月1日(火曜)は関東大震災(1923年=大正12年)から97年目の<防災の日>である。防災訓練の場に、予定通り安倍総理が顔を出した。この日の午後、石破氏と岸田氏が立候補を正式に表明した。

 翌2日(水曜)の朝刊は、自民党の7つの派閥のうち5派が菅支持を表明、衆参両院の自民党議員の3分の2を超えたと伝える。夕方、菅氏が立候補を表明した。

 28日(金曜)からの新規感染者の推移である。全国と東京都の数字で、(カッコ)内は重症者。
 28日(金曜) 876人(227人)と226人(30人)
 29日(土曜) 845人(230人)と247人(32人)
 30日(日曜) 600人(234人)と148人(34人)
 31日(月曜) 437人(236人)と100人(32人)
 9月1日(火曜) 633人(234人)と170人(29人)
 2日(水曜) 592人(295人)と141人(29人)

 2日の夕方、仕事から戻るとすぐテレビをつける。菅氏の総裁選立候補の意図は、安倍政権の政策を継承し、コロナ防止対策と経済活動を両立させること、と改めて表明した。ここまでは大方の予想通りである。

 ついで記者の質問に対する応答で印象に残ったのは次の2点。(1)秋田県の農家に生まれた自分は地方の実情を痛いほど知っており、<地方創生>をいっそう進めたい、(2)役所(中央官庁)の縦割りの弊害を断ちたい。

 3日(木曜)、昨年末に新型コロナウイルスが最初に確認された中国の武漢で1日、すべての学校や幼稚園などが7か月ぶりに再開したとのニュースが入った。7か月間の休校とは、いささか遅い印象。マスクを着用した児童らは校舎の入り口に敷かれた消毒マットの上を通って、登校後すぐに手洗いをしていた。

 3日の全国の感染者は642人(重症者218人)、東京都が211人(27人)。感染は落ちついてきたように見える。

 一方、台風9号の影響でフェーン現象が起きた新潟県三条で40.4℃を記録、9月では国内観測史上初という。つづいて九州に接近している台風10号が猛烈な勢力を持つ大型であるとして、気象庁が<特別警戒>を発表、4日までに備えを完了するよう呼びかけた。
プロフィール

Author:加藤 祐三
日本の歴史学者

横浜 市立大学名誉教授

国指定名勝・三渓園(横浜)
前園長(2012年8月~2023年3月)

・前都留文科大学長
(2010~2014)

・元横浜市立大学長
(1998~2002)

主な著書
「イギリスとアジア」
         (1980年)
「黒船前後の世界」(1985年)
「東アジアの近代」(1985年)
「地球文明の場へ」(1992年)
「幕末外交と開国」(2012年)
蒋豊訳「黒船異変」(2014年)
蒋豊訳「東亜近代史」
         (2015年)

 など

専門
・近代アジア史
・文明史

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