人類最強の敵=新型コロナウィルス(10)
14日(木曜)、朝8時半から、予定通り政府専門家会議が開かれた。緊急事態宣言を解除する基準をどう設定するか、また解除後に再流行した場合の再指定の基準をどう設定するか。
政府専門家会議は、多くの地域で感染拡大が始まった3月下旬以前の状況にまで感染者数が減少したことを踏まえ、①感染者が減少傾向にある、②感染経路不明者の割合が低い、③PCR検査を迅速にできる態勢が整っている、の3点を基に総合的に判断するとした。加えて、緊急事態宣言を解除する<目安>として「直近1週間の新規感染者数の合計が10万人当たり0.5人未満程度」を示す。人口約1400万人の東京都の場合、<10人以下>となる。
この<目安>は前々日あたりから徐々にリークされ、例えば14日の日経新聞朝刊は「8都道府県で未達」の見出しで詳細に伝える。この<目安>による試算では、8都道府県は解除できない。<特定警戒都道府県>13のうち茨城、千葉、岐阜、愛知、兵庫、福岡の6県は解除可能、となる。
この新しい基準「10万人当たり0.5人未満程度」を、正式決定の前に外部に出したことについては批判もあるが、広く理解を得られるよう、ある種の<予習効果>を狙ったものとも考えられる。
そのうえで、今後もしばらくは再流行のリスクがあるとして、緊急事態宣言の対象地域への再指定も含め、即座に対策できるよう感染状況で全国を3つに分け、以下のように、それぞれの対応を示した。
3つに区分される名称は長いうえに似た漢字を多く含むため、私なりの省略形を使い、以下のように表記する。①<特定警戒>(「特定警戒都道府県」の省略形)、②<拡大注意>(「感染拡大注意都道府県」の省略形)、③<感染観察>。
感染状況が厳しい東京都や大阪府など7つの都府県からなる①<特定警戒>地域においては、緊急事態宣言に基づく徹底した行動変容の要請により接触の8割減や都道府県をまたぐ移動の自粛などを求め、再指定には4月7日にへの緊急事態宣言発出時の感染状況や水準を踏まえる。
②<拡大注意>地域(新たな感染者の数等が①<特定警戒>の基準の半分程度)では、集団感染のリスクのあるイベントや不要不急の外出を自粛するよう、知事が協力要請を行う等。
③<感染観察>地域(新規の感染者数が一定程度確認されるものの、さらに少ない地域)については、感染状況を注視しながら、人との間隔を取ったり、いわゆる<3つの密>を徹底して避ける等の対策を継続して行う等。
専門家会議は、緊急事態宣言の解除後も対応は長丁場が見込まれるとして、「すべての都道府県で、これまでに<クラスター>(感染者の集団)が発生した場所や<3つの密>を徹底して避けること、買い物や食事のしかたなどを工夫する<新しい生活様式>を実践し、手洗いなどの基本的な感染対策は続けていく必要がある」と強調した。
ついで10時半から新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく諮問委員会が開かれた。冒頭、西村経済再生担当大臣(新型コロナウィルス感染症対策担当を兼務)は、「特定警戒都道府県以外の34県、及び特定警戒都道府県のうち茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県を合わせた39県については、3月中旬から感染拡大が始まる以前の状況にまで新規感染者数が低下しつつあることが確認された」と述べる。
また、医療提供体制や監視モニタリングの体制の状況からも、緊急事態宣言を解除することが妥当と判断されるのではないかと述べ、39県で解除する方針を諮問した。東京や大阪など8つの都道府県については21日(木曜)に改めて検討することとなった。
このあと西村大臣が記者団に対し、「39県で解除する政府の方針は妥当だとする見解が(諮問委員会で)示された」ことを明らかにした。また、前夜に新たな集団感染が判明した愛媛県については、感染経路の調査を行い、速やかに報告することを条件に解除することとなった。
これを受けて午後、衆参両院の議院運営委員会で報告と質疑が行われたあと、夕方、安倍首相が尾身諮問委員会会長とともに記者会見し、解除の理由などを説明、質問に答えた。首相が強く訴えたのは「県をまたぐ移動の自粛を!」である。解除の39県と継続の8都道府県が共存するなかで、生活圏が広域になっている現状を踏まえれば、きわめて重要な指摘である。
政治家(首相)が科学者(専門家)と並んで会見し質問に答える姿は、管見のかぎり世界でも例を見ない。人類最強の敵=新型コロナウィルスに対処するには科学者の力が不可欠である。両者の緊密な連携を示す好例とする評価があると同時に、両者が互いにもたれあい、判断の責任をなすりあっているとの批判もある。
法律の規定に則り、その後の政府対策本部(本部長は安倍首相)で39県の宣言解除を正式に決定した。判断の根拠を科学に置き、判断の政治的責任を首相が果たすという形式である。
この記者発表では、法曹界等から反対意見の強い<検察庁法>改正案(検察官の定年延長問題)についての質問が出た。首相は「検察官も公務員…」と問題の焦点をそらす。当連載のテーマから外れるため深入りしないが、翌日15日に松尾邦弘元検事総長ほか10数名が<検察庁法>改正案に反対する意見書を法務省へ提出するとの報道があった。根の深い問題である。
もう1つ、内閣(政府)と都道府県知事との関係がある。緊急事態宣言の発令と解除(そして再発令)は政府の責任で行われ、それを根拠として休業要請・外出自粛要請を行い、かつそれらを解除するのが知事である。これは憲法の<地方自治>の原則に基づく。時おり誤解が生じたものの、徐々に相互の理解が深まりつつあると見て良い。
各知事がそれぞれの都道府県民に休業要請を行うだけでは実効性に欠ける。そこでスーパーマーケット協会、鉄道連絡会、日本旅館協会等の約80の業界団体(のち増加)が、それぞれの特性に応じた詳細なガイドラインを作成・発表した。業界・業態により、感染症予防方法や手順は異なるが、原則は<3密>を避け、人との間隔を取り、手指の消毒液を設置する等の<新しい生活様式>と呼ばれる基本を踏まえている。
夜になって、感染の状況が厳しい①<特定警戒>地域の1つである大阪府の吉村知事は、国の決めた<特定警戒>地域ではあるが、知事として示した従前の判断基準に適合したとして、休業要請を段階的に解除する具体案を示した。
長い一日であった。緊急事態宣言を解除する39県にとっては、期待と不安を抱えての新しい出発である。どのような具体策を立てて実行に移すか、知事の力量が問われる。
緊急事態宣言を解除できない(継続する)8都道府県は、解除に向けて基準達成の努力をつづけると同時に、知事権限で行った休業要請の緩和・解除に向けた独自の基準とその工程表の作成が急務となる。
15日(金曜)の共同通信によれば、米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまくいっているようだ」と伝える。また日本は中国からの観光客が多く、ソーシャル・ディスタンス(社会的間隔)の確保も中途半端と指摘。感染防止に有効とされるウイルス検査率も国際社会に比べ低いが「死者数が奇跡的に少ない」と評している。
さらに「結果は敬服すべきものだ」とする一方、「単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない」。数的に証明はできないが、日本人の衛生意識の高さや握手をしない習慣などが、死者数の低さにつながっているとの見方を示した。
16日(土曜)、ここまで書いたところで突然、画面が暗くなり、愛用のパソコンがダウンした。6年にわたり使いつづけ、キーボードの文字の幾つかが消えるほど酷使した。まず念頭に浮かんだのは、本稿のつづきをどうするか。大部分の草稿はそのつどUSBメモリに移してあり、消失したものは少ないはずと胸をなでおろす。
すぐに次機の手配をしなければならない。ネット通販で買うにしても、スマホでは細かい仕様が分からない。子どもたち家族が機種を決め、配送の手配をしてくれた。それが到着、配線等に苦闘し、使えるようできたのが23日(土曜)、1週間後であった。
次機が届くまでの間、ボールペンや鉛筆でメモを取りはしたが、強い筆圧のため右手がすぐに悲鳴をあげた。執筆、通信、検索の基本作業ができない。できなくなると妙にさっぱりした気分にもなった。
思えば、腱鞘炎になり、執筆かテニスのどちらかを諦めろと医者に言われ、ちょうど発売直後のポータブルワープロを買ったのが1984年夏、その後パソコンに移行して6代目の愛機である。実に36年間にわたり、右手にかかる筆圧を10本指に分散して原稿を書きつづけることができた。
新しい機種が動きだすまでの空白期間により、本稿の記述は確実に飛んでいると思う。そこで必要最低限の事実を補うにとどめ、すこし違う視点から書き進めたいと思う。
16日、東京都医師会が<これからのライフスタイル>17項目を提案した。すなわち、(1)「むんむん」「がやがや」「ぎゅうぎゅう」(三密)を避ける (2)三密空間に長時間いた自覚があったら人との接触は慎重に (3)三密空間にいた自覚があって発熱、倦怠感、無味無臭、咳、息苦しさなどの症状が出たらすぐかかりつけ医に相談し、PCR検査や抗原検査を行うなど早めに対応する (4)目・鼻・口には触らない。触る前には手指を消毒 (5)高齢者が多い施設や病院にウイルスを持ち込まない (6)咳やくしゃみをする時はマスクやハンカチで押さえる (7)公共交通機関やスーパー、コンビニなどの店舗、職場に行く際はマスクを着用する (8)テレワーク、時差出勤、オンライン会議など自由に選べるのがこれからの働き方 (9)デパート、スーパー、小売店などは消毒液の常備や列の間隔を空ける、キャッシュレスなど感染対策をしている場所へ (10)飲食店では従業員もマスクを着用 (11)食事会は飛沫感染しないように工夫 (12)夜の街の接客スタイルにも注意 (13)公園、釣り、ゴルフ、ジョギング、ウォーキングなどのオープンスペースでも感染リスクのない新たなルール作りが必要 (14)ライブハウス、パチンコ、ジムなども新しい楽しみ方を考える (15)外出後や食事の前は丁寧な手洗いや手指の消毒を徹底 (16)普段からバランスの良い食事、十分な休養、適度な運動を心がける (17)禁煙
17日(日曜)、日経新聞が「唾液のPCR検査試薬」の見出しで、タカラバイオが月200万検体分の量産体制に入り、5月中にも厚労省が認可する公算と伝えた。
本連載で幾度が言及したが、唾液によるPCR検査は、①本人がキットに唾液を入れて試験機関に郵送する簡易な方法であり、②鼻腔に綿棒を入れられる苦痛がないこと、③採取する側に2次感染の危険が生じないこと、④採取の巧拙による検査精度の乱れがないこと、⑤検査結果が出るまで約1時間と短時間であること等々、利点が多い。
5月17日(日曜)から20日(水曜)までの間については、7点を列挙するに留めたい。
(1)<検察庁法>の改定問題。17日、元検事総長等14名の反対署名につづいて検察OB38名が反対署名を法務省に届けた。検察幹部の定年3年延長を首相等が決めるのは、三権分立の原則に反し、政治の司法への介入であるとしている。
(2)18日の各社世論調査によれば、内閣支持率が急落、各社の平均では、支持が37%前後、不支持が45%前後となった。その背景に、①上掲の<検察庁法>改定問題や、それに関連する黒川弘務東京地検検事長の定年を延長した問題、②新型コロナ感染症対策のうち経済支援等の失策等がある。
(3)18日、WHOの年次総会がビデオ会議形式で行われた。台湾をオブザーバーとする提案は認められなかった。新型コロナウィルスの発生と感染拡大について、19日、中国において独立した調査を行う決議が採択され、中国も「感染が収束した段階で」という条件付きで同意。
(4)21日、週刊文春誌(5月28日号)が「黒川検事長、賭けマージャン」と報じ、この緊急事態下、法案の検討中に「あるまじき行為」と非難轟轟となり、黒川検事長は法務大臣宛に辞表を提出。政府は22日の持ち回り閣議で辞職を正式に承認、その後任に名古屋高等検察庁の林眞琴検事長を充てた。25日、安倍首相が<検察庁法>改定法案の採決見送り(継続審議)を表明。
(5)この夏、富士山を閉山、4つの登山道を閉鎖し山小屋の営業も中止する、との報道。都留文科大学の学長時代、日々間近に霊峰を眺め、吉田口あたりや5合目までをバスで往き来した記憶が蘇る。東京、横浜からも遠望できる富士山の夏は、確かに<3密>の代表格ではある。
(6)東京都が緊急事態宣言の解除後に行う休業要請の解除の4つのステップの概要を公表した。具体的な内容は、22日に示された(後述)。
(7)22日、中国で全人代(全国人民代表大会、国会に相当)が約2カ月半遅れて開かれ、その<密集>ぶりに驚く。従来のような経済成長率の目標は公表されなかった。注目は香港をめぐる<国家安全法>案の上程であり、香港の「高度な自治」が脅かされること必至である。
21日(木曜)、専門家会議が開かれ、1週間前の14日(木曜)の<特定警戒都道府県>13のうち茨城、千葉、岐阜、愛知、兵庫、福岡の6県が解除された。残る8都道府県(東京、北海道、千葉、埼玉、神奈川、京都、大阪、兵庫)が最大の問題である。前回同様、専門家会議、政府諮問委員会、西村大臣の記者発表、衆参両院議運での質疑、安倍首相の記者発表の手順を踏み、政府政策会議で正式決定された。すなわち京都府・兵庫県・大阪府の2府1県の緊急事態宣言を解除する。残るは、関東の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)と北海道である。
22日(金曜)夜のNHK Webによれば、緊急事態宣言の解除について、「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり、0.5人程度以下」が目安の1つであるが、22日までの1週間、神奈川県の10万人当たりの新たな感染者数は0.77人で、この目安を上回っていた。
今月14日に変更された「基本的対処方針」(うち<緊急事態措置を実施すべき区域の判断にあたっての考え方>)では、この目安とは別に「1週間の新たな感染者数が10万人当たり1人程度以下」の場合は、感染者数の減少傾向を確認し、さらにクラスター(=感染者の集団)や院内感染、それに感染経路不明の症例の発生状況を考慮して、総合的に判断するとしている。
22日、東京都が「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」の全容を発表した。【緩和の目安とする7つのモニタリング指標】のうち特に重要視する3つの指標として①1週間の平均感染者数が20人未満(公表日ベース)、②感染経路の追えない感染者の割合の1週間平均が50%未満、③1週間単位の感染者の増加比が1を下回る(ただし、新規感染者の1週間平均が10人以下になった場合、感染経路不明者の割合や増加比については参考とする)を挙げ、また注視する4つの指標として、1)重症患者数、2)入院患者数、3)PCR検査の陽性率の1週間平均、4)受診相談窓口における相談件数の1週間平均を挙げた。
なお上掲の指標の一つでも緩和基準を上回った場合には、「東京アラート」を発令。レインボーブリッジを赤く点灯させる等で、都民に警戒を促すとした。
それらの指標を基に、4つのステップを踏んで段階的に休業要請を緩和する。<ステップ0>が現状で、<ステップ1>は、ア)文教施設(都立学校は登校日を変更して対応、オンライン学習などとの組み合わせ)、イ)大学、専修学校(分散登校など)、ウ)展示施設(博物館、美術館、図書館など)、エ)屋内の運動施設(体育館、水泳場、ボーリング場など。観客席部分は使用不可)、オ)屋外の運動施設(野球場やテニス場、陸上競技場など。観客席部分は使用不可)、カ)飲食店の営業時間拡張(午前5時〜午後10時まで:酒類の提供も午後10時まで)、キ)50人以下のイベント。(以下省略)
この日、神奈川県は緊急事態宣言の解除後の休業要請緩和について、東京都等のように対象を分けず、全業種で一斉に行う方針を示した。25日に宣言が解除されれば、短縮営業を求めたうえで、全業種で27日の午前0時(東京の1日後)から休業要請の緩和を2段階で行う方向で検討、とした。
黒岩神奈川県知事は「クラスターや感染が起きやすい業種にもさまざまな事業者がある。業種で要請する発想から切り替え、事業者が対策をアピールして利用者が判断していく流れを作っていきたい。県民や事業者を信じたプランだ」と述べた。
<ステップ1>では、各事業者がガイドラインを基に感染防止対策を講じることを前提に、遊興施設、大学や学習塾、劇場や商業施設などすべての業態や施設に午後10時までの短縮営業を求めたうえで、休業要請の措置を緩和する。合わせて午後8時までの営業を要請してきた飲食店も、午後10時まで営業可となる。イベントも小規模であれば開催可とする。東京都では第1段階の対象に含まれていない接待を伴う飲食店や、パチンコ店、ゲームセンター、それにライブハウスなども一斉に緩和の対象とする。<ステップ2>では、短縮営業も解除するほか、中規模のイベントから順次、開催可とする。
25日(月曜)、専門家会議(14日、21日に次ぐ3度目)により、残る1都3県と北海道の宣言指定解除が可能とされ、これまで同様、専門家会議、政府諮問委員会、西村大臣の記者発表、衆参両院議運での質疑、安倍首相の記者発表の手順を踏み、政府政策会議で緊急事態の解除宣言を行うことが正式決定された。
西村大臣は、全面解除の判断について「(第2波があっても)クラスター対策で抑えられる範囲に至った。適切な判断だ」と国会で説明。また「当然第2波はある。大きな波にすることなく抑えていくことが大事だ」と述べ、宣言解除後は約3週間ごとに地域の感染状況などを評価し、外出自粛やイベント開催制限要請などを段階的に解除していくとした。感染拡大の大きな波が起きた地域は、緊急事態宣言の対象に再指定するとの考えを示す。
安倍首相は「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した」とし、「次なるステージへ、国民とともに力強い一歩を踏み出す。…新しいやり方で日常の社会経済活動を取り戻していく」と訴えた。
国の言う約3週間ごとの評価と解除とは、<ステップ①>が5月25日(月曜)から、<ステップ②>が6月19日(金曜)から、<ステップ③>が7月10日(金曜)から。全国移動の解禁は6月19日からである。
4月7日の緊急事態宣言発出から約1カ月半ぶりの全面解除。国内初の感染例が確認された1月16日から数えて約4カ月半である。緊急事態宣言発出前から安全と健康を守る自粛要請等が出されており、私が勤める三溪園では、<3密>を避けられないとしてボランティア活動を休止したのが2月17日(月曜)、また29日(土曜)には三溪記念館と合掌造りを休館とした。これを起点とすれば、約3カ月半ぶりとなる。
年末の3日間のみ休園とし、年に362日の開園をつづけてきた三溪園にとって、これほどの長期閉園・休館の措置は初である。その間も庭園や古建築の維持管理には万全を期すべく力を注いできた。再開に向けて綿密な準備を進め、予告通り、6月1日(月曜)の9時開園を目ざす。来園者の笑顔を心待ちにしている。
政府専門家会議は、多くの地域で感染拡大が始まった3月下旬以前の状況にまで感染者数が減少したことを踏まえ、①感染者が減少傾向にある、②感染経路不明者の割合が低い、③PCR検査を迅速にできる態勢が整っている、の3点を基に総合的に判断するとした。加えて、緊急事態宣言を解除する<目安>として「直近1週間の新規感染者数の合計が10万人当たり0.5人未満程度」を示す。人口約1400万人の東京都の場合、<10人以下>となる。
この<目安>は前々日あたりから徐々にリークされ、例えば14日の日経新聞朝刊は「8都道府県で未達」の見出しで詳細に伝える。この<目安>による試算では、8都道府県は解除できない。<特定警戒都道府県>13のうち茨城、千葉、岐阜、愛知、兵庫、福岡の6県は解除可能、となる。
この新しい基準「10万人当たり0.5人未満程度」を、正式決定の前に外部に出したことについては批判もあるが、広く理解を得られるよう、ある種の<予習効果>を狙ったものとも考えられる。
そのうえで、今後もしばらくは再流行のリスクがあるとして、緊急事態宣言の対象地域への再指定も含め、即座に対策できるよう感染状況で全国を3つに分け、以下のように、それぞれの対応を示した。
3つに区分される名称は長いうえに似た漢字を多く含むため、私なりの省略形を使い、以下のように表記する。①<特定警戒>(「特定警戒都道府県」の省略形)、②<拡大注意>(「感染拡大注意都道府県」の省略形)、③<感染観察>。
感染状況が厳しい東京都や大阪府など7つの都府県からなる①<特定警戒>地域においては、緊急事態宣言に基づく徹底した行動変容の要請により接触の8割減や都道府県をまたぐ移動の自粛などを求め、再指定には4月7日にへの緊急事態宣言発出時の感染状況や水準を踏まえる。
②<拡大注意>地域(新たな感染者の数等が①<特定警戒>の基準の半分程度)では、集団感染のリスクのあるイベントや不要不急の外出を自粛するよう、知事が協力要請を行う等。
③<感染観察>地域(新規の感染者数が一定程度確認されるものの、さらに少ない地域)については、感染状況を注視しながら、人との間隔を取ったり、いわゆる<3つの密>を徹底して避ける等の対策を継続して行う等。
専門家会議は、緊急事態宣言の解除後も対応は長丁場が見込まれるとして、「すべての都道府県で、これまでに<クラスター>(感染者の集団)が発生した場所や<3つの密>を徹底して避けること、買い物や食事のしかたなどを工夫する<新しい生活様式>を実践し、手洗いなどの基本的な感染対策は続けていく必要がある」と強調した。
ついで10時半から新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく諮問委員会が開かれた。冒頭、西村経済再生担当大臣(新型コロナウィルス感染症対策担当を兼務)は、「特定警戒都道府県以外の34県、及び特定警戒都道府県のうち茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県を合わせた39県については、3月中旬から感染拡大が始まる以前の状況にまで新規感染者数が低下しつつあることが確認された」と述べる。
また、医療提供体制や監視モニタリングの体制の状況からも、緊急事態宣言を解除することが妥当と判断されるのではないかと述べ、39県で解除する方針を諮問した。東京や大阪など8つの都道府県については21日(木曜)に改めて検討することとなった。
このあと西村大臣が記者団に対し、「39県で解除する政府の方針は妥当だとする見解が(諮問委員会で)示された」ことを明らかにした。また、前夜に新たな集団感染が判明した愛媛県については、感染経路の調査を行い、速やかに報告することを条件に解除することとなった。
これを受けて午後、衆参両院の議院運営委員会で報告と質疑が行われたあと、夕方、安倍首相が尾身諮問委員会会長とともに記者会見し、解除の理由などを説明、質問に答えた。首相が強く訴えたのは「県をまたぐ移動の自粛を!」である。解除の39県と継続の8都道府県が共存するなかで、生活圏が広域になっている現状を踏まえれば、きわめて重要な指摘である。
政治家(首相)が科学者(専門家)と並んで会見し質問に答える姿は、管見のかぎり世界でも例を見ない。人類最強の敵=新型コロナウィルスに対処するには科学者の力が不可欠である。両者の緊密な連携を示す好例とする評価があると同時に、両者が互いにもたれあい、判断の責任をなすりあっているとの批判もある。
法律の規定に則り、その後の政府対策本部(本部長は安倍首相)で39県の宣言解除を正式に決定した。判断の根拠を科学に置き、判断の政治的責任を首相が果たすという形式である。
この記者発表では、法曹界等から反対意見の強い<検察庁法>改正案(検察官の定年延長問題)についての質問が出た。首相は「検察官も公務員…」と問題の焦点をそらす。当連載のテーマから外れるため深入りしないが、翌日15日に松尾邦弘元検事総長ほか10数名が<検察庁法>改正案に反対する意見書を法務省へ提出するとの報道があった。根の深い問題である。
もう1つ、内閣(政府)と都道府県知事との関係がある。緊急事態宣言の発令と解除(そして再発令)は政府の責任で行われ、それを根拠として休業要請・外出自粛要請を行い、かつそれらを解除するのが知事である。これは憲法の<地方自治>の原則に基づく。時おり誤解が生じたものの、徐々に相互の理解が深まりつつあると見て良い。
各知事がそれぞれの都道府県民に休業要請を行うだけでは実効性に欠ける。そこでスーパーマーケット協会、鉄道連絡会、日本旅館協会等の約80の業界団体(のち増加)が、それぞれの特性に応じた詳細なガイドラインを作成・発表した。業界・業態により、感染症予防方法や手順は異なるが、原則は<3密>を避け、人との間隔を取り、手指の消毒液を設置する等の<新しい生活様式>と呼ばれる基本を踏まえている。
夜になって、感染の状況が厳しい①<特定警戒>地域の1つである大阪府の吉村知事は、国の決めた<特定警戒>地域ではあるが、知事として示した従前の判断基準に適合したとして、休業要請を段階的に解除する具体案を示した。
長い一日であった。緊急事態宣言を解除する39県にとっては、期待と不安を抱えての新しい出発である。どのような具体策を立てて実行に移すか、知事の力量が問われる。
緊急事態宣言を解除できない(継続する)8都道府県は、解除に向けて基準達成の努力をつづけると同時に、知事権限で行った休業要請の緩和・解除に向けた独自の基準とその工程表の作成が急務となる。
15日(金曜)の共同通信によれば、米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまくいっているようだ」と伝える。また日本は中国からの観光客が多く、ソーシャル・ディスタンス(社会的間隔)の確保も中途半端と指摘。感染防止に有効とされるウイルス検査率も国際社会に比べ低いが「死者数が奇跡的に少ない」と評している。
さらに「結果は敬服すべきものだ」とする一方、「単に幸運だったのか、政策が良かったのかは分からない」。数的に証明はできないが、日本人の衛生意識の高さや握手をしない習慣などが、死者数の低さにつながっているとの見方を示した。
16日(土曜)、ここまで書いたところで突然、画面が暗くなり、愛用のパソコンがダウンした。6年にわたり使いつづけ、キーボードの文字の幾つかが消えるほど酷使した。まず念頭に浮かんだのは、本稿のつづきをどうするか。大部分の草稿はそのつどUSBメモリに移してあり、消失したものは少ないはずと胸をなでおろす。
すぐに次機の手配をしなければならない。ネット通販で買うにしても、スマホでは細かい仕様が分からない。子どもたち家族が機種を決め、配送の手配をしてくれた。それが到着、配線等に苦闘し、使えるようできたのが23日(土曜)、1週間後であった。
次機が届くまでの間、ボールペンや鉛筆でメモを取りはしたが、強い筆圧のため右手がすぐに悲鳴をあげた。執筆、通信、検索の基本作業ができない。できなくなると妙にさっぱりした気分にもなった。
思えば、腱鞘炎になり、執筆かテニスのどちらかを諦めろと医者に言われ、ちょうど発売直後のポータブルワープロを買ったのが1984年夏、その後パソコンに移行して6代目の愛機である。実に36年間にわたり、右手にかかる筆圧を10本指に分散して原稿を書きつづけることができた。
新しい機種が動きだすまでの空白期間により、本稿の記述は確実に飛んでいると思う。そこで必要最低限の事実を補うにとどめ、すこし違う視点から書き進めたいと思う。
16日、東京都医師会が<これからのライフスタイル>17項目を提案した。すなわち、(1)「むんむん」「がやがや」「ぎゅうぎゅう」(三密)を避ける (2)三密空間に長時間いた自覚があったら人との接触は慎重に (3)三密空間にいた自覚があって発熱、倦怠感、無味無臭、咳、息苦しさなどの症状が出たらすぐかかりつけ医に相談し、PCR検査や抗原検査を行うなど早めに対応する (4)目・鼻・口には触らない。触る前には手指を消毒 (5)高齢者が多い施設や病院にウイルスを持ち込まない (6)咳やくしゃみをする時はマスクやハンカチで押さえる (7)公共交通機関やスーパー、コンビニなどの店舗、職場に行く際はマスクを着用する (8)テレワーク、時差出勤、オンライン会議など自由に選べるのがこれからの働き方 (9)デパート、スーパー、小売店などは消毒液の常備や列の間隔を空ける、キャッシュレスなど感染対策をしている場所へ (10)飲食店では従業員もマスクを着用 (11)食事会は飛沫感染しないように工夫 (12)夜の街の接客スタイルにも注意 (13)公園、釣り、ゴルフ、ジョギング、ウォーキングなどのオープンスペースでも感染リスクのない新たなルール作りが必要 (14)ライブハウス、パチンコ、ジムなども新しい楽しみ方を考える (15)外出後や食事の前は丁寧な手洗いや手指の消毒を徹底 (16)普段からバランスの良い食事、十分な休養、適度な運動を心がける (17)禁煙
17日(日曜)、日経新聞が「唾液のPCR検査試薬」の見出しで、タカラバイオが月200万検体分の量産体制に入り、5月中にも厚労省が認可する公算と伝えた。
本連載で幾度が言及したが、唾液によるPCR検査は、①本人がキットに唾液を入れて試験機関に郵送する簡易な方法であり、②鼻腔に綿棒を入れられる苦痛がないこと、③採取する側に2次感染の危険が生じないこと、④採取の巧拙による検査精度の乱れがないこと、⑤検査結果が出るまで約1時間と短時間であること等々、利点が多い。
5月17日(日曜)から20日(水曜)までの間については、7点を列挙するに留めたい。
(1)<検察庁法>の改定問題。17日、元検事総長等14名の反対署名につづいて検察OB38名が反対署名を法務省に届けた。検察幹部の定年3年延長を首相等が決めるのは、三権分立の原則に反し、政治の司法への介入であるとしている。
(2)18日の各社世論調査によれば、内閣支持率が急落、各社の平均では、支持が37%前後、不支持が45%前後となった。その背景に、①上掲の<検察庁法>改定問題や、それに関連する黒川弘務東京地検検事長の定年を延長した問題、②新型コロナ感染症対策のうち経済支援等の失策等がある。
(3)18日、WHOの年次総会がビデオ会議形式で行われた。台湾をオブザーバーとする提案は認められなかった。新型コロナウィルスの発生と感染拡大について、19日、中国において独立した調査を行う決議が採択され、中国も「感染が収束した段階で」という条件付きで同意。
(4)21日、週刊文春誌(5月28日号)が「黒川検事長、賭けマージャン」と報じ、この緊急事態下、法案の検討中に「あるまじき行為」と非難轟轟となり、黒川検事長は法務大臣宛に辞表を提出。政府は22日の持ち回り閣議で辞職を正式に承認、その後任に名古屋高等検察庁の林眞琴検事長を充てた。25日、安倍首相が<検察庁法>改定法案の採決見送り(継続審議)を表明。
(5)この夏、富士山を閉山、4つの登山道を閉鎖し山小屋の営業も中止する、との報道。都留文科大学の学長時代、日々間近に霊峰を眺め、吉田口あたりや5合目までをバスで往き来した記憶が蘇る。東京、横浜からも遠望できる富士山の夏は、確かに<3密>の代表格ではある。
(6)東京都が緊急事態宣言の解除後に行う休業要請の解除の4つのステップの概要を公表した。具体的な内容は、22日に示された(後述)。
(7)22日、中国で全人代(全国人民代表大会、国会に相当)が約2カ月半遅れて開かれ、その<密集>ぶりに驚く。従来のような経済成長率の目標は公表されなかった。注目は香港をめぐる<国家安全法>案の上程であり、香港の「高度な自治」が脅かされること必至である。
21日(木曜)、専門家会議が開かれ、1週間前の14日(木曜)の<特定警戒都道府県>13のうち茨城、千葉、岐阜、愛知、兵庫、福岡の6県が解除された。残る8都道府県(東京、北海道、千葉、埼玉、神奈川、京都、大阪、兵庫)が最大の問題である。前回同様、専門家会議、政府諮問委員会、西村大臣の記者発表、衆参両院議運での質疑、安倍首相の記者発表の手順を踏み、政府政策会議で正式決定された。すなわち京都府・兵庫県・大阪府の2府1県の緊急事態宣言を解除する。残るは、関東の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)と北海道である。
22日(金曜)夜のNHK Webによれば、緊急事態宣言の解除について、「直近1週間の新たな感染者数が10万人当たり、0.5人程度以下」が目安の1つであるが、22日までの1週間、神奈川県の10万人当たりの新たな感染者数は0.77人で、この目安を上回っていた。
今月14日に変更された「基本的対処方針」(うち<緊急事態措置を実施すべき区域の判断にあたっての考え方>)では、この目安とは別に「1週間の新たな感染者数が10万人当たり1人程度以下」の場合は、感染者数の減少傾向を確認し、さらにクラスター(=感染者の集団)や院内感染、それに感染経路不明の症例の発生状況を考慮して、総合的に判断するとしている。
22日、東京都が「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」の全容を発表した。【緩和の目安とする7つのモニタリング指標】のうち特に重要視する3つの指標として①1週間の平均感染者数が20人未満(公表日ベース)、②感染経路の追えない感染者の割合の1週間平均が50%未満、③1週間単位の感染者の増加比が1を下回る(ただし、新規感染者の1週間平均が10人以下になった場合、感染経路不明者の割合や増加比については参考とする)を挙げ、また注視する4つの指標として、1)重症患者数、2)入院患者数、3)PCR検査の陽性率の1週間平均、4)受診相談窓口における相談件数の1週間平均を挙げた。
なお上掲の指標の一つでも緩和基準を上回った場合には、「東京アラート」を発令。レインボーブリッジを赤く点灯させる等で、都民に警戒を促すとした。
それらの指標を基に、4つのステップを踏んで段階的に休業要請を緩和する。<ステップ0>が現状で、<ステップ1>は、ア)文教施設(都立学校は登校日を変更して対応、オンライン学習などとの組み合わせ)、イ)大学、専修学校(分散登校など)、ウ)展示施設(博物館、美術館、図書館など)、エ)屋内の運動施設(体育館、水泳場、ボーリング場など。観客席部分は使用不可)、オ)屋外の運動施設(野球場やテニス場、陸上競技場など。観客席部分は使用不可)、カ)飲食店の営業時間拡張(午前5時〜午後10時まで:酒類の提供も午後10時まで)、キ)50人以下のイベント。(以下省略)
この日、神奈川県は緊急事態宣言の解除後の休業要請緩和について、東京都等のように対象を分けず、全業種で一斉に行う方針を示した。25日に宣言が解除されれば、短縮営業を求めたうえで、全業種で27日の午前0時(東京の1日後)から休業要請の緩和を2段階で行う方向で検討、とした。
黒岩神奈川県知事は「クラスターや感染が起きやすい業種にもさまざまな事業者がある。業種で要請する発想から切り替え、事業者が対策をアピールして利用者が判断していく流れを作っていきたい。県民や事業者を信じたプランだ」と述べた。
<ステップ1>では、各事業者がガイドラインを基に感染防止対策を講じることを前提に、遊興施設、大学や学習塾、劇場や商業施設などすべての業態や施設に午後10時までの短縮営業を求めたうえで、休業要請の措置を緩和する。合わせて午後8時までの営業を要請してきた飲食店も、午後10時まで営業可となる。イベントも小規模であれば開催可とする。東京都では第1段階の対象に含まれていない接待を伴う飲食店や、パチンコ店、ゲームセンター、それにライブハウスなども一斉に緩和の対象とする。<ステップ2>では、短縮営業も解除するほか、中規模のイベントから順次、開催可とする。
25日(月曜)、専門家会議(14日、21日に次ぐ3度目)により、残る1都3県と北海道の宣言指定解除が可能とされ、これまで同様、専門家会議、政府諮問委員会、西村大臣の記者発表、衆参両院議運での質疑、安倍首相の記者発表の手順を踏み、政府政策会議で緊急事態の解除宣言を行うことが正式決定された。
西村大臣は、全面解除の判断について「(第2波があっても)クラスター対策で抑えられる範囲に至った。適切な判断だ」と国会で説明。また「当然第2波はある。大きな波にすることなく抑えていくことが大事だ」と述べ、宣言解除後は約3週間ごとに地域の感染状況などを評価し、外出自粛やイベント開催制限要請などを段階的に解除していくとした。感染拡大の大きな波が起きた地域は、緊急事態宣言の対象に再指定するとの考えを示す。
安倍首相は「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で流行をほぼ収束させることができた。日本モデルの力を示した」とし、「次なるステージへ、国民とともに力強い一歩を踏み出す。…新しいやり方で日常の社会経済活動を取り戻していく」と訴えた。
国の言う約3週間ごとの評価と解除とは、<ステップ①>が5月25日(月曜)から、<ステップ②>が6月19日(金曜)から、<ステップ③>が7月10日(金曜)から。全国移動の解禁は6月19日からである。
4月7日の緊急事態宣言発出から約1カ月半ぶりの全面解除。国内初の感染例が確認された1月16日から数えて約4カ月半である。緊急事態宣言発出前から安全と健康を守る自粛要請等が出されており、私が勤める三溪園では、<3密>を避けられないとしてボランティア活動を休止したのが2月17日(月曜)、また29日(土曜)には三溪記念館と合掌造りを休館とした。これを起点とすれば、約3カ月半ぶりとなる。
年末の3日間のみ休園とし、年に362日の開園をつづけてきた三溪園にとって、これほどの長期閉園・休館の措置は初である。その間も庭園や古建築の維持管理には万全を期すべく力を注いできた。再開に向けて綿密な準備を進め、予告通り、6月1日(月曜)の9時開園を目ざす。来園者の笑顔を心待ちにしている。
スポンサーサイト