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大型客船の旅客が来園

 台風24号についで25号が日本海を北東に進み北海道を横断するという2018年10月7日(日曜)、大型客船コーラル・プリンセス号(91,627トン)が横浜に入港、9日(火曜)と合わせ、数百名の旅客が三溪園を訪れた。7日は台風に引きずられた南風で季節外れの快晴真夏日。夕刻からライトアップし、開園時間を7時まで延長(通常は5時閉園)、<夕涼み>を兼ねる催しとなった。

 コーラル・プリンセス号(Coral Princess)は、2002年、プリンセス・クルーズ社によりフランスのアトランティーク造船所で竣工。船籍はバミューダ。パナマ運河を通れる最大の船で、旅客定員は1974名(最大2590名)。クイーン・エリザベス号(QE号)の90,400トンより大きい。冬期は主にパナマ運河クルーズ、夏期はアラスカクルーズに就く。

 今回のクルーズはロサンゼルスを出航、アラスカ(ジュノー、コディアク)を経て釧路に寄港する予定を台風のため横浜に直行した。その後、大阪、広島、仁川、北京(天津)、上海、台北(基隆)、香港、ハノイ、ダナン(フエ)、ホーチミン、マニラ、グアム、ホノルル、ロサンゼルスと周航する。

 三溪園の英語ガイドツアーは、10時半~、1時~、2時半~、の3回で、三溪園ボランティアガイド日曜班と横浜港振興協会が依頼した英語通訳がペアとなって行った。三溪園からは10時半に石井信行さんと永田幹彦さん、午後1時から西村博夫さんと倉田茂男さん、2時半から倉田茂男さんと石井信行さん。

 この催事は、横浜港振興協会(小此木歌蔵副会長)をはじめ、港湾空港部クルーズ振興・物流企画室等を所管する国土交通省関東地方整備局(松永康男副局長)、市営バス(ぶらり三溪園バス)等を所管する横浜市交通局(城博俊局長)、観光振興課等を所管する横浜市文化観光局(池戸淳子局長)の、民・国・公三者共同の初の取組みである。

 三溪園の案内パンフレット(英文でA4×4ページ)を船内に配布したのが奏功したか、貸し切りバスのほかに個人でバスを使い来園した方々もいた。開園時間の延長は事前に広報しなかったが、一般客にも喜んでいただいた。

 正門を入って約20メートル、視界が一挙に開け、息を飲む光景が拡がる。左に藤棚の休憩所と大池、右に蓮池、その間の谷底を園路がつづく。はるか左手の丘の上に三重塔(重要文化財)、右手の高台に鶴翔閣(1902年に原三溪が移り住んだ茅葺の家)を望む。谷戸(やと)という横浜(鎌倉、横須賀とつづく)の地形が見事に生かされている。

 ここで案内に立ったのが文化観光局観光振興課長の吉田雅彦さん、集客推進担当課長の鳥丸雅司さん、担当係長の南野ショナーさん、大内豊さん。そして和服姿の観光振興課担当係長の關佑也さんと廣瀬知理さんには、<サムライと姫>とばかりに記念撮影が殺到した。

 藤棚の向かいに伊藤園「お~いお茶 大茶会」(煎茶の試飲と販売)の屋台が出た。同社によれば、天正15年10月1日(1587年11月1日)に豊臣秀吉が主催した「北野大茶会」に因んだ命名という。これまで大阪城大茶会、京都御所大茶会、なんば駅前大茶会、鎌倉長谷寺大茶会を開催。この度、三溪園デビューとなった。

 鶴翔閣(横浜市指定有形文化財)を過ぎて内苑に入り、御門(横浜市指定有形文化財)をくぐり、石畳の右に白雲邸(横浜市指定有形文化財)、突き当りに臨春閣(重要文化財)の入口、左折して進むと、臨春閣と聴秋閣(重要文化財)、そして背後の丘の景色が一挙に拡がる。この別世界に旅客たちの喜々とした顔が見られた。

 夕方5時前、足元を照らす園路灯、正門と御門の三溪園と大書した大提灯、内苑入口の中提灯、そして正門券売機、休憩所、藤棚の小提灯が点灯を始める。三重塔や鶴翔閣、大池の対岸等もライトアップされた。

 三溪記念館の展示「秋の雅趣」も観覧してもらった。第1、第2展示室は9月28日~11月6日、第3展示室のフォトコンテスト入賞作は9月29日~12月12日である。第2展示室の「茶と工芸」コーナーには、三溪の「大師会会記」(印刷物)と三溪毛筆の「一搥庵茶会記」(大正6~昭和14年)がある。

 「秋の日は釣瓶落とし」。日の入りの5時16分(横浜)を境に急に暗くなり、5時半には明かりなしでは足元が覚束なくなった。観月会の9月24日(月曜)の十五夜から2週間、月齢は29日、新月の暗闇はひときわである。常に明かりのある街中では経験しがたい闇夜に感銘を受けたが、これも治安の良い日本ならではのことであろう。

 三溪園(公益財団法人三溪園保勝会)は年間362日開園(休みは年末の3日間)しており、少ない職員がシフト勤務でボランティアともども奮闘している。今回の試みは、横浜市文化観光局観光振興課と三溪園との「合同会議」で詰めた成果の一つである。

 今年2018年、三溪園は、世界最大級の旅行サイト「トリップアドバイザー」から2015年、2017年についで3度目の”Certificate of Excellence(エクセレンス認証)”を受けた。この旅行サイトは拠点をアメリカに置き、旅行者の口コミや評価を発信要素の中心に運営、年毎に5段階評価で4以上を維持し好意的な口コミを一貫して得ている施設に対して<認証>を贈っている。

 これらの相乗効果もあり、外国人の来園が増えている。今後さらに増えるであろう外国人観光客への広報や企画等に種々の工夫を加え、定款に定める「…日本の文化を世界へ発信する」を、いっそう進めていきたい。
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プロフィール

Author:加藤 祐三
日本の歴史学者

横浜 市立大学名誉教授

国指定名勝・三渓園(横浜)
園長

・前都留文科大学長
(2010~2014)

・元横浜市立大学長
(1998~2002)

主な著書
「イギリスとアジア」
         (1980年)
「黒船前後の世界」(1985年)
「東アジアの近代」(1985年)
「地球文明の場へ」(1992年)
「幕末外交と開国」(2012年)
蒋豊訳「黒船異変」(2014年)
蒋豊訳「東亜近代史」
         (2015年)

 など

専門
・近代アジア史
・文明史

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