人類最強の敵(54)=新型コロナウィルス
前回の(53)掲載は、8月30日の朝いちばんであった。そのころからウクライナでは南西部のヘルソン州での攻防が激しくなり、また2014年にロシアが併合したクリミヤ半島でも砲撃が激化している。
【オミクロン型対応ワクチン、9月にも接種へ 厚労省検討】
8月29日の日経新聞によれば、厚生労働省は新型コロナウイルスのオミクロン型に対応した改良ワクチンの接種を9月中に始める検討に入った。これまでは自治体などに対して、9月に順次ワクチンを輸入し、10月半ば以降に始める想定と説明していた。全国でオミクロン型感染が広がる中、できる限り前倒しでワクチンの接種体制を整える。
厚労省は米ファイザーと米モデルナから供給を受ける契約を結んでいる。両社とも8月上旬に厚労省への承認申請を済ませている。接種の前倒しには両社からの早期のワクチン調達が必要になる。
改良ワクチンは従来型とオミクロン型の2種類の成分を含む。現在まん延しているオミクロン型の派生型に対して、高齢者の重症化や若者の感染、発症を防ぐ効果が期待されている。英国が米モデルナ製を承認した実績がある。
厚労省は自治体に、2回目を打った全員を対象とする想定で準備を進めるよう求めている。予防接種法上の臨時接種として無料で受けられるようにする。接種間隔などの詳細は今後、薬事承認や予防接種法上の手続きを経て決める。4回目から5カ月空ける場合、60歳以上の対象者数のピークは12月以降になる見通し。
【ウクライナ、南部州で反撃 ロシア「IAEA調査に協力」】
30日の日経新聞【ドバイ=福冨隼太郎、ワシントン=中村亮】によると、ウクライナ軍は29日、ロシアが占領するウクライナ南部ヘルソン州の奪還に向けて大規模な攻勢を開始した。同国南部に位置するザポロジエ原子力発電所をめぐっては、ロシア側が国際原子力機関(IAEA)の調査に協力する姿勢を示した。
ウクライナメディアによると、同国軍はヘルソン州でロシア軍の最初の防衛線を突破した。ロシア軍は防衛拠点から撤退したり、後退を始めたりしているという。ヘルソン州はロシアが侵攻初期に占領を進めたが、その後、ウクライナが反攻を強めている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日のビデオ演説で「ロシアを国境まで追い出す」と述べ、ヘルソン州やルガンスク州などロシア占領下の地域を奪還すると強調した。「ウクライナに占領者の居場所はない。生き残りたければロシア軍は逃げるべきだ」とも語った。
米軍高官は29日、記者団に対してウクライナ軍が先週末にヘルソン州でロシア軍に対する砲撃を増やしたと説明した。ウクライナ東部ではロシア軍の兵士数がウクライナ軍を上回ったが、南部では同規模に近いという。高官はウクライナ軍の攻勢を「反撃」と表現しなかったが、24~36時間後に情勢がいまより把握できるとも話した。
ロシア国防省は同日、ウクライナ軍がヘルソンなどで大規模な攻勢をしかけ大きな損失を被ったと主張した。タス通信が報じた。ロシアのペスコフ大統領報道官は29日、ザポロジエ原発へのIAEAの調査団がウクライナ側からロシアが占領している同原発に入ると明らかにした。同氏は記者団に「ウクライナ側で安全を保証するのはウクライナだ」とする一方で「ロシア側では必要な安全が保証される」と語った。
調査をめぐってロシア側は、ロシア軍や親ロシア派が実効支配する地域から原発を訪れるよう求めていた。調査団は週内にも現地入りし損傷などを確認する。
ウクライナや欧米が求めている同原発一帯を非武装化することについては「話し合われない」と指摘。兵力を撤退させることについては改めて否定的な考えを示した。
原発周辺では砲撃が相次いでおり、調査団の安全確保が課題となっている。ロシアとウクライナの双方が、攻撃は相手によるものだと非難の応酬を続けている。ロシアメディアは29日、核燃料を保管している建物の屋根がウクライナの砲撃で破損したと一方的に伝えた。
【京セラ創業者の稲盛和夫さん死去、90歳 JALの経営再建にも貢献】
30日の朝日新聞デジタルは次にように伝えた。
「京セラとKDDIの創業者で、日本航空(JAL)の経営再建にも尽くした稲盛和夫(いなもり・かずお)さんが24日午前8時25分、老衰のため京都市内の自宅で死去した。90歳だった。葬儀は近親者を中心に執り行われた。後日、お別れの会を開く。喪主は長女金沢しのぶさん。
鹿児島市生まれ。鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子(がいし)メーカーに就職した。1959年、独立して京都セラミック(現京セラ)を設立した。97年から名誉会長。
70年ごろ、半導体の回路を保護する入れ物にあたるパッケージの開発量産に成功した。以来、主力のファインセラミックス部品から電子部品、太陽電池、携帯電話などの分野に事業を広げ、グローバル化も進めた。創業時、28人だった従業員は、グループで8万3千人、世界30以上の国や地域に広がる。
また、80年代に電気通信事業の自由化の論議が高まったとき、当時の電電公社による「独占はよくない」との思いから、84年に第二電電企画(後のDDI)を設立した。通信事業は畑違いだったが、毎晩「動機善なりや、私心なかりしか」と自問自答して参入を決めたという。
2000年にはDDI、KDD、日本移動通信(IDO)を合併に導き、今のKDDIを設立した。国内の長距離電話の料金引き下げを主導したほか、携帯電話の普及にも尽くした。01年より最高顧問を務めた。」
また30日の日経新聞によれば、「<日本をよくするには政権交代が可能な国にすることが必要>との思いで野党時代から民主党を支援。民主党が与党となった09年に行政刷新会議の議員に就任、10年からは日本航空の会長を務め、再建に奔走した。
経営破綻した日航の再建では会長に就いてアメーバ経営を導入。コスト管理の徹底などで業績を回復させ、再上場にこぎ着けた。内閣特別顧問も務めた。
著書は「アメーバ経営」「人を生かす」など多数。1984年紫綬褒章、97年に得度。」とある。
【ゴルバチョフ元大統領の逝去】
31日のNHKは、ゴルバチョフ元大統領の逝去について、次のように伝えた。
「旧ソビエトの最後の指導者で東西冷戦を終結に導いたミハイル・ゴルバチョフ氏が30日に亡くなった。91歳。国際社会からは、東西冷戦を終結に導き、核兵器の削減に取り組んだゴルバチョフ氏の死を悼む声が相次いでいる一方、その業績に対してはロシアの市民から批判の声が聞かれるほか、ロシアメディアも比較的冷ややかに伝えている。
ゴルバチョフ氏は1931年、ロシア南部のスタブロポリ地方に生まれ、共産党の要職を歴任したあと、1985年に54歳でソビエトの最高指導者にあたる書記長に就任。ペレストロイカと呼ばれた政治改革や、情報公開を意味するグラスノスチなど、閉鎖的な社会を民主化する政策を進めた。
外交政策でも、欧米諸国などとの対立の緩和を目指す「新思考外交」を掲げ、社会主義圏だった東ヨーロッパ諸国の民主化や東西ドイツの統一を容認したほか対立が続いていた中国との関係を正常化した。
アメリカとは核軍縮を進め、1987年にINF=中距離核ミサイルの全廃条約、1991年には、戦略核兵器の削減を定めたSTART=戦略兵器削減条約に調印、1989年12月、アメリカの当時のブッシュ大統領とともに、東西冷戦の終結を宣言した。こうした功績が評価され、翌年にはノーベル平和賞を受賞した。
日本との関係では、1988年、モスクワを訪問した当時の中曽根前首相に対して、北方領土問題の解決を模索する考えを示し、日本とロシアの平和条約交渉のきっかけを作った。そして1991年、ソビエトの最高指導者として初めて来日し、当時の海部総理大臣と会談し、「日ソ共同声明」で、国後島・択捉島を含む北方四島を領土問題の交渉対象とすることを初めて文書で確認した。
さらにこの時ソビエト側から、日本人と四島住民との交流を拡大するため、「ビザなし」の枠組みが提案され、翌1992年には、今につながるビザなし交流が始まった。ゴルバチョフ氏は北方四島の返還に関して譲歩は示さなかったが、それまでまったく動かなかった北方領土問題について日ソ、日ロ間で協議されるきっかけとなった。こうした北方領土問題の議論を継続することに前向きな姿勢は、日本では好意的に受け止められ、ゴルバチョフ氏は「ゴルビー」の愛称でも親しまれた。」
また9月1日のヤフーニュースによれば、
「ゴルバチョフの父はロシア人、母はウクライナ人、妻もウクライナ系。生まれ故郷はロシア人とウクライナ人が住む小さな農村だった。今日のロシアとウクライナのねじれた関係を体現したような人物だった。
ゴルバチョフ氏の父方の祖先は19世紀末に、ロシア内部から移住してきた。母方はウクライナ北部チェルニゴフからやってきた。祖父母はウクライナ人。したがってその娘で、後にゴルバチョフ氏を生むマリーヤさんもウクライナ人だった。ゴルバチョフ氏の母は、ロシア語の読み書きができなかった。母が独ソ戦で出征した夫に宛てて手紙を書く時は、まだ子どもだったゴルバチョフ氏が口述筆記していた。
現在のウクライナでは、国民の約2割がロシア系とされている。ロシア語が話せる人は国民の半数を超えるという。
旧ソ連は多民族国家だったが、現在のロシアにも182の民族が住む。ロシア人(民族)が全人口の77.71%を占めるが、同じ東スラブ人のウクライナ人の割合も1.35%。全体の3位となっている。ゴルバチョフ氏の家族史は、こうしたロシアとウクライナの強い結びつきが凝縮されている。」
9月4日のBBCによれば、「先月に死去したソヴィエト連邦最後の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏の葬儀が3日、ロシア・モスクワで営まれた。ゴルバチョフ氏は冷戦を平和的に終結へと導いた人物として知られる。
モスクワ中心部にある労働組合会館「円柱ホール」には多くの市民が集まり、ゴルバチョフ氏に敬意を表した。ゴルバチョフ氏の棺はその後、市内の墓地に眠る妻ライサ氏の隣に埋葬された。」
【日米「統合抑止」への変革 台湾有事想定し戦略・制度も】
4日の日経新聞は、次のように報じた。
【この記事のポイント】
・防衛省は概算要求で過去最大の防衛費を計上した
・新戦略は日米「統合抑止」。幅広い領域で深く連携
・ミサイルが重要。中国との戦力不均衡是正が急務
日本の防衛が歴史的な転換点を迎える。防衛省は8月末、2023年度予算の概算要求で過去最大の防衛費を計上した。国内総生産(GDP)比で1%の上限を撤廃し、2%も視野に入る。大幅に増やす防衛費は何が必要なのか。課題をみる。
「統合抑止(Integrated Deterrence)」。日米で進む外交・安全保障戦略擦り合わせのキーワードだ。5月、日米防衛相会談ではオースティン国防長官が促し、事務方の交渉でもこの言葉が軸になっている。
統合抑止は米国が新たに打ち出した安全保障の基本戦略で、これまでの軍事力だけではなく、同盟国の能力、サイバーや宇宙の領域を幅広く活用する。米軍単独では中国の脅威に対処できない危機感がある。過去最大となった防衛省の概算要求は、その第一歩だ。これまで日本の防衛費論議は国民総生産(GNP)比1%枠が象徴する「数字ありき」の議論や、どんな装備品を購入するのかの「買い物計画」に偏りがちだった。
米国とより連携を深めるなら米国と補完し合う形で装備品を調達し、戦略や制度も見直さなければならない。年末に国家安全保障戦略など3つの政府文書を改定するのもそのためだ。特に台湾有事の対応が問われる。
第1段階の統合抑止で最も重要なのはミサイルになる。
米国は過去の条約の制約で現在、中距離ミサイルを持たない。日本から中国に届く中距離ミサイルは日米ともに保有していない。条約の対象外だった中国は1250発以上を持つとされる。「0対1250」の圧倒的不均衡の修正が急務だ。
日本の防衛省は今回の概算要求で一つの策を示した。
相手の射程外から攻撃できる長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」だ。国産の「12式地対艦誘導弾」の射程を1000キロメートルに伸ばす改良費に272億円を計上した。1000発以上を量産する案が取り沙汰されている。
政府・自民党内では22年度に沖縄県・石垣島に陸上自衛隊の駐屯地を新設し、ミサイル部隊を置く構想がある。構想通りに配備すれば沖縄の在日米軍基地や台湾に近く、中国側に届く。米国の統合抑止への目に見える関与といえるが、中国の反発も必至だ。米中対立のはざまに入る覚悟もいる。
統合抑止は装備だけではない。インフラや制度、組織も日米がともに使えなければ機能しない。「本州にある航空自衛隊の基地を米軍の戦闘機に使わせてほしい」。今夏、米シンクタンク、ランド研究所が実施した机上演習でこんな場面があった。台湾有事の仮想シナリオで米軍幹部が自衛隊幹部に要請した。
台湾周辺の米戦闘機は沖縄の在日米軍基地に集中する。中国の攻撃前に分散しなければ、簡単に壊滅しかねない。日本が退避場所を提供できるかが米軍の生命線になる。
自衛隊組織の見直しも大事だ。米国が参加する北大西洋条約機構(NATO)や米韓同盟には「最高司令部」や「連合司令部」がある。トップは米軍の司令官だ。日米には統合司令部はなく指揮も別々だ。
米韓や日米には朝鮮半島有事にどう協力して対処するかを規定する「共同作戦計画」があるが、日米の間で台湾有事に向けた計画は完成していない。装備や人員の配置、輸送や補給手段などを具体的に定めなければ統合作戦は動かせない。
陸海空3自衛隊を束ねる統合幕僚長を務めた折木良一氏は「米国との窓口を担う統合司令官をつくるのが基本中の基本だ。危機になると統合幕僚長は防衛相や首相官邸など文官を補佐する仕事に追われる」と指摘する。
統幕長は有事に①3自衛隊の統括、②首相や防衛相への説明、③在日米軍やインド太平洋軍司令部との調整――をすべて担う。同時並行でこなすのは非現実的だ。
南西諸島には全長300メートル以上の米空母が寄港できる港湾設備はない。最新鋭戦闘機が発着できる堅固で長い滑走路も見当たらない。港や空港は国土交通省の所管だ。国・地方あわせて15兆円の公共投資予算で防衛向けは1900億円。従来の防衛費の概念に入らない他省庁の予算は多い。
日本は戦後、自らは一度も紛争に巻き込まれたことがない平和国家だった。防衛費増を危険視する向きもあるが、軍事に傾斜する中国や北朝鮮、ロシアが近くにあり安保環境は厳しさを増す。必要な備えがなければ、攻撃は抑止できない。平和を守るには有事をにらんだ備えがいる。
【英国、リズ・トラス氏、3人目の女性首相誕生】
5日の日経新聞【ロンドン=中島裕介】は、次のように報じた。
「英与党の保守党は5日、ジョンソン首相の後任を選ぶ党首選の結果、リズ・トラス外相(47)を新党首に選んだ。6日にエリザベス女王の任命を受けて、正式に首相に就任する。内政では物価高対策が最優先課題となる。ウクライナ危機への対応を巡っては対ロシア強硬姿勢を継続する見通しだ。
故サッチャー氏、メイ氏に続く同国史上3人目の女性首相となる。一般の保守党員による投票でトラス氏が約57%の8万1326票を獲得、対抗馬のスナク前財務相は6万399票だった。トラス氏は当選後の演説で「私は減税と経済成長のための大胆な計画を実現する」と党所属議員らに訴えた。
党首選で最大の争点だったのが、10%を超えるインフレの主因であるエネルギー価格対策だ。トラス氏はこれまでに国民保険料の引き下げなど国民の負担軽減策を掲げていた。党首選の最中に10月から光熱費が9月までと比べてさらに8割上昇するとの試算も出たことから、トラス氏は1週間以内に家計と企業への追加対策を表明する見通しだ。
ウクライナ危機を巡って英国は、ジョンソン氏がキーウ(キエフ)に電撃訪問し、英軍がウクライナ軍の兵士を訓練するなど西側諸国の中でも支援を鮮明にしてきた。トラス氏は党首選で「ウクライナが勝利し、プーチンが失敗するまで私はあきらめない」と訴えており、ジョンソン路線を継続する方針だ。
欧州連合(EU)離脱以降、関係が冷え込む対EU外交でも手腕が問われる。トラス氏は摩擦が続く英領北アイルランドでの通商ルールを巡る問題で、簡単に妥協しない方針で英国のEUへの強硬姿勢は続きそうだ。
党首選に敗れたスナク氏の両親はインド系で英国初のアジア系首相を目指していた。決選投票に進む2人を決める党所属国会議員による投票では首位を維持した。だが7月上旬に財務相を辞任してジョンソン氏退陣のきっかけをつくったことなどが嫌われ、党員の支持は伸び悩んだ。
党首選は7月上旬に、不祥事が相次いだジョンソン氏が辞意を表明したことで始まった。複数回の投票で、立候補した8人を下位候補から順番にふるい落とし、7月20日に決選投票に進む2人を決めた。」
【英エリザベス女王、逝去、96歳】
9日の毎日新聞によれば、英エリザベス女王死去 96歳 在位70年。1952年から70年と約7カ月に及んだ在任期間は、英国の歴代君主として最長。世界の君主としてはフランスのルイ14世(在位1643~1715年)の72年と110日に次ぎ、史上2番目の長さだった。
女王死去を受け、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)が新国王「チャールズ3世」として即位した。新国王は「慈しまれた君主であり、多くの人々に愛された母の死を深く悼む。英国民、そして世界の人々が喪失を感じるだろう」との声明を発表。
女王は6日、バルモラル城でトラス新首相を任命したばかりだった。7日には医師の勧告に従って休養を取り、オンライン会合などを欠席。8日には医師の診察を受けていたが、容体悪化が伝えられる中、王室メンバーが続々とバルモラル城に集まった。
「英国の顔」として外遊は約100カ国、260回超。71年の昭和天皇訪英の返礼として75年に訪日した。旧植民地諸国を中心とした緩やかな連合体・英連邦(コモンウェルス)の元首も務めた。
【安倍晋三元首相の国葬をめぐって】
16日の朝日新聞デジタルは、質疑応答形式で次のように報じた。
「世論が二つに割れたまま、安倍晋三元首相の国葬予定日が近づいています。小熊英二・慶応大学教授(歴史社会学)が、自民党政権が慣例化してきた「首相経験者の葬儀」の歴史から、問題の所在を明らかにします。
「世論調査をみると、時が経つにつれて反対が多数になりました。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題は大きいですが、この問題がなくても賛否は割れていたでしょう」
――なぜでしょうか。
「死去から2カ月も時間があいたからだと思います。安倍氏は評価が分かれる政治家でした。亡くなった直後はみんな悼む気持ちを強く持っていたとしても、時が経つとともに批判が出てくるのは自然なことです」
「諸外国にも国葬はありますが、たいてい死後10日前後で、遺体の棺を前に行われます。戦前の日本でも、天皇の大喪は別として、明治の元勲などの国葬は死去後10日前後でした。死後2カ月もあけて行うのは、葬儀というより『しのぶ会』に近いでしょう」
――なぜこうした形になったのですか。
「1980年代以降の前例を踏襲したからでしょう。首相経験者の『内閣・自民党合同葬』は死去から1~2カ月後に行われてきました。その歴史は『私物化の歴史』と呼ばれてもやむを得ない」
――どんな歴史でしょうか。
「合同葬が始まるのは1980年の大平正芳氏からですが、その前に吉田茂氏の国葬と佐藤栄作氏の国民葬がありました。1967年の吉田氏の国葬は死去後11日で実施されましたが、大きな反発はなかったようです」
――実施まで時間が短かったからですか。
「それもあると思いますが、終戦からわずか22年という時代状況が大きいでしょう。当時の30~40代以上は戦前・戦中に生まれ育った世代で、現在ほど『国葬』に違和感がなかったのではないでしょうか。当時の報道をみても、国葬が浮上した当初から反対している野党は見当たりませんでした」
「またこの時期は海外でも1965年に英国のチャーチル元首相、1967年に西独のアデナウアー元首相の国葬がありました。戦後の再建を担った政治家が亡くなれば国葬は当然という雰囲気もあったでしょう」
【上海協力機構が共同宣言 イラン23年加盟、10カ国に】
16日の日経新聞は、次のように伝えた。
「中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」は15~16日、ウズベキスタンのサマルカンドで首脳会議を開いた。16日には複数の大国や地域統合による「多極的世界秩序」の強化を盛り込んだ共同宣言を採択した。イランが正式に加盟し、10カ国体制に広がることが固まった。ただ緩やかな協力組織だけに、加盟国の協調には限界がある。
「内政干渉にはともに対抗しなければならない」。16日の首脳会議の全体会合で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は台湾問題などを念頭に呼びかけた。
SCOは2001年、ソ連崩壊後の国境地域の安定と信頼の醸成、加盟国間の協力促進を目的に設立し、合意履行の拘束力がない緩やかな協力を目指してきた。中ロのほか、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの中央アジア4カ国とインド、パキスタンが加盟する。
今回の首脳会議には加盟国とオブザーバー国(アフガニスタン、ベラルーシ、イラン、モンゴル)や対話パートナー国(アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール、トルコ、スリランカ)の一部など計14人の首脳が出席した。
【中ロ首脳会談】
16日の中日新聞【モスクワ=小柳悠志、北京=新貝憲弘】は次のように報じた。
「ロシアのプーチン大統領と中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席は十五日、上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて中央アジア・ウズベキスタンのサマルカンドで会談した。両国は欧米との対立や制裁に対し、経済面の連携を強化して対抗する構え。台湾情勢についても協議した。
プーチン氏は冒頭、「ウクライナ危機に対し中国はバランスの取れた立場を保っている」と評価。台湾情勢を巡る米国の対応を「挑発行為」と非難し、「ロシアは『一つの中国』の原則を支持する」と強調した。
習氏は「刻々と変化する世界を安定的に発展させるため、わが国はロシアとともに主導的な役割を果たす準備がある」と応じた。
習氏の外遊は新型コロナウイルスの世界的大流行が始まって以来初めて。ロシアとの共闘姿勢を欧米に誇示する狙いに加え、エネルギーや食糧の確保という思惑がある。欧州連合(EU)がロシアからの石炭や石油、天然ガスの輸入制限を打ち出す中、ロシアも中国市場を開拓することが喫緊の課題だ。」
【中ロ、共同声明出さず 首脳会談、かりそめの結束 習氏、侵攻巡り一線】
17日の日経新聞【北京=羽田野主】は次のように伝えた。
「ロシアによるウクライナ侵攻後初めてとなる中国との首脳会談は15日、2月の前回会談とは異なり、共同声明を出さないまま終了した。対米での結束を演出したものの、ウクライナ侵攻を巡る温度差は明らかだ。中国は貿易では協力しつつも軍事支援には一貫して慎重で、かりそめの結束をあらわにした。
15日、ウズベキスタンのサマルカンドでの会談の冒頭で、ロシアのプーチン大統領は「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解している」と話した。ウクライナ情勢への中国の「懸念」に異例の言及をした。
プーチン氏は「ロシアは(中国大陸と台湾は1つの国に属するという)『一つの中国』の原則を断固として守っている」と表明し、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が重視する台湾問題にも配慮を示した。
ウクライナ侵攻直前の2月の対面会談では「両国の友情に限界はない」と蜜月ぶりを強調する共同声明を発表していた。現在はウクライナ軍が南部や東部で攻勢をかけ、米欧の経済制裁で経済減速も止まらない。プーチン氏の会談での発言はロシアの苦境を映す。
一方、中国側は両氏が会談する事実すら当日の外務省記者会見でも公表しなかった。習氏は会談中もうつむいて紙を読み上げる場面が目立った。ロイター通信によると、15日のプーチン氏らとの夕食会も欠席した。
中国共産党機関紙、人民日報の16日付の1面トップ記事は中国・ウズベキスタン首脳会談で、中ロ首脳会談はその下の位置だった。中ロ会談の記事は両首脳が握手していない写真を載せるなど、ロシア側の積極姿勢とは温度差がある。
なかでも輸入の伸びが目立つ。8月の輸入は6割増の112億ドル(約1兆6000億円)で過去最大を記録した。主要品目である原油の輸入量は5月以降、ロシアがサウジアラビアを上回っている。ロシア産原油は制裁の影響で割安になっており、低コストで資源を調達できているとみられる。
ただ中国は軍事支援には慎重だ。中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授は「ウクライナとの戦争に中国を巻き込もうとするロシアの試みを中国政府は断固拒否する」と指摘する。
習指導部はロシアに傾倒しすぎると米欧が対中圧力を強め、制裁を発動しかねないと警戒する。中国はエネルギーの購入でロシア経済を下支えしているが、ウクライナで戦況が悪化すれば支援を拡大するのは難しい。
【プーチン氏、早期停戦に言及=インド首相の侵攻批判に】
17日の時事通信は、AFP通信などを引いて、「ロシアのプーチン大統領とインドのモディ首相は16日、ウズベキスタンのサマルカンドで会談した。モディ氏は「今は戦争の時ではない」とプーチン氏に伝え、ロシアによるウクライナ侵攻を間接的に批判。プーチン氏は「懸念は理解する」と応じた上で、早期の停戦に努めると約束した。
プーチン氏がウクライナ側に条件を明示せず、停戦に言及するのは異例。ウクライナ侵攻を決断してから半年以上が経過し、今月に入ってからはロシア軍が北東部ハリコフ州で撤退を余儀なくされるなど、ロシア側に不利な戦況が続いている。プーチン氏は「敵側が停戦交渉を拒否し、目的を軍事的に達成しようとしている」と述べ、ゼレンスキー政権に長期化の原因があると持論を展開した。」
【岸田内閣支持、最低の43% 旧統一教会調査「不十分」79%】
18日の日経新聞はテレビ東京と一緒に16~18日の世論調査を行い、その結果を次のように報じた。岸田文雄内閣の支持率は43%で8月調査(57%)から14ポイント低下した。2021年10月の政権発足後で最低となった。内閣を「支持しない」と答えた割合は49%だった。
「支持しない」が「支持する」を上回ったのは岸田政権で初めて。内閣支持率は66%だった5月から4カ月連続で下がった。21年10月以降で一番低かったのは新型コロナウイルスの感染拡大「第6波」の最中だった今年2月の55%だった。
今回は自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係への懸念が影響した。党が公表した所属国会議員と旧統一教会の接点を巡る調査結果について「十分だとは思わない」との回答が79%にのぼり、「十分だと思う」は14%にとどまった。
安倍氏の国葬を巡っては「反対」が60%で、「賛成」の33%を上回った。同趣旨の質問をした7月の調査はそれぞれ47%、43%で拮抗していた。首相が国会で国葬の理由を説明したものの理解は広がっていない。
【英女王国葬、各国元首含む2000人参列 沿道に群衆 最後の別れ】
20日の[ロンドン 19日 ロイター] によると、エリザベス英女王の国葬が19日、ロンドンのウェストミンスター寺院で営まれた。バイデン米大統領を始めとする世界各国の首脳や王族ら500人を含む2000人が参列し、英歴代君主として最長の70年にわたる在位で生涯を通じ献身した女王に敬意を表した。国葬では聖書の朗読や聖歌の斉唱が行われ、全土での2分間の黙とうに続き、英国の国歌が斉唱された。
国葬終了後、王室の旗がかけられた女王のひつぎは砲車に乗せられ、バッキンガム宮殿周辺を行進。英国会議事堂の大時計「ビッグベン」の弔鐘が鳴り響く中、チャールズ国王らがひつぎと共に歩いた。ひつぎはその後、ウィンザー城に到着。19日夕には城内にある聖ジョージ礼拝堂で近親者による礼拝が執り行われた。女王のひつぎは昨年99歳で亡くなった夫のフィリップ殿下のひつぎとともに、女王の父親であるジョージ6世、母親のエリザベス王太后、妹のマーガレット王女が眠る礼拝堂に納められた。沿道には数万人の市民が集まり、女王のひつぎを見送った。
【バイデン大統領、中国が台湾侵攻なら米軍が防衛】
19日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕】は次のように伝えた。
「バイデン米大統領は18日放送の米CBSテレビのインタビューで、中国が台湾を攻撃すれば米軍が防衛すると明言した。中国が台湾へ武力行使した場合の対応を明確にしない歴代政権の「あいまい戦略」の修正と受け止められかねない発言だ。
番組の司会者から「米軍は台湾を守るのか」と問われ、バイデン氏は「はい(YES)、もし実際に前例のない攻撃があれば」と答えた。「(ロシアが侵攻しても派兵しなかった)ウクライナと違って、米軍は中国の侵攻があった場合に台湾を守るということか」と聞かれても「はい」と表明した。またバイデン氏は「一つの中国政策があり、台湾は自らの独立について自身で判断する。我々は独立を促していない。台湾が決めることだ」と述べた。」
【苦境のプーチン氏が予備兵招集、核の脅しも 緊張高めるロシアの戦術】
21日の朝日新聞デジタルは、次のように報じた。
「ウクライナ侵攻をめぐってロシアのプーチン大統領は21日、国民向けのビデオ演説で「部分的な動員令」の発動を宣言し、軍事訓練経験のある予備兵の市民を招集することを明らかにした。さらにウクライナ東部、南部の親ロシア派が「ロシアへの編入」を求めて実施する住民投票を支持すると表明。ウクライナ領土の一部併合を示唆した。苦境に立つ戦況の打開を図る考えだが、対立の激化と侵攻の長期化は必至だ。
ショイグ国防相は21日、ロシアの予備兵は2500万人に上るとし、新たに招集される予備兵はその1・1%にあたる約30万人だと述べた。2月の侵攻開始当時、ロシア軍はウクライナ国境付近に最大19万人を集結させたと米政府はみており、その後の死傷者は半数近くの7万~8万人にのぼると推定している。
プーチン氏はこれまで、ウクライナ侵攻は限定的な軍事作戦だと国内で説明してきた。そのため、徴兵の導入が可能な総動員令が出せず、長期化する侵攻での人員不足は明らかだった。「部分的」とはいえ、動員拡大を図ったことでロシアの戦略は転換点を迎える。」
【台湾外交部長「中国の野望、台湾にとどまらない」と発言】
22日の日経新聞【台北=中村裕、龍元秀明】によれば、「台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は21日、日本経済新聞の取材に「中国の野望はもはや台湾だけでなく他国にも向けられている」と述べた。8月初旬のペロシ米下院議長の訪台以降、「中国の軍事的脅威は一段と高まった」との認識を示し、対中国で国際連携の必要性を訴えた。」 ペロシ氏の訪台以降、台湾の外交トップが日本メディアの単独インタビューに応じるのは初めて。
中国については「権力基盤となってきた(高い)経済成長が鈍化している今が、台湾にとっては一番危ない」と述べた。習近平(シー・ジンピン)国家主席が国内での求心力を高めるため、台湾に対して一段と強硬姿勢に出る可能性に警戒感をにじませた。
「一方、中国に対抗するため、米国との連携の強化が今後も必要だとの認識を示した。特に経済面では、台湾は先端半導体の世界生産の9割を占め、世界のサプライチェーン(供給網)で欠かせない役割を果たす。呉氏は「民主主義陣営が今後、半導体のサプライチェーンで強固な関係を築ければ、それは権威主義国からの脅威の回避につながる」と述べた。「例えば、米国が(ある国に対し)半導体の供給を止めれば、台湾も半導体の供給を止めて連携する」と語り、米国などとの緊密な連携が重要になるとの認識を示した。」
【米国は金利引き上げ、日本は緩和を維持】
22日の日経新聞【ワシントン=高見浩輔】は、「FRB、3回連続の0.75%利上げ 年末4.4%で景気に試練」の見出しで次にように伝えた。「米連邦準備理事会(FRB)は21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決めた。通常の3倍の利上げ幅で、6月に約27年ぶりに実施してからは3会合連続となる。高インフレの長期化を回避するための急ピッチの金融引き締めにより、景気の悪化懸念は一段と強まりそうだ。
同じ22日、日経新聞は「日銀、大規模緩和を維持 コロナ対応の資金繰り支援延長」の見出しで次のように報じた。「日銀は21~22日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持する方針を決めた。円安や資源価格の高止まりで日本でもインフレ圧力が高まっているが、新型コロナウイルス禍からの景気回復を下支えするため緩和的な金融政策を据え置く。新型コロナの影響を受けた中小企業に融資する金融機関向けのオペは延長を決めた。大幅な利上げを続ける米国と、日本の金融政策の違いが鮮明となり、日銀の発表後、ドル円相場は一時1ドル=145円台と24年ぶりの安値水準まで下げた。」
【円買い・ドル売りの為替介入に踏み切る】
これらの状況を受けて、財務省の神田真人財務官は22日午後、外国為替市場で円相場が一時1ドル=145円台に下落したことを受け、「相場が乱高下している。過度な変動、無秩序な動きは容認できない」と記者団に述べた。為替介入の可能性を問われて「スタンバイの状態と考えていい。いつでもやる用意がある」と語った。
この日の夕方、政府・日銀は1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。145.84円が140.75円と一挙に円高となったものの、その後のロンドン市場では141.05とまた戻しているため、介入の効果は十分に測れないという。
22日夜、鈴木俊一財務相は介入の実施後に財務省内で記者会見し、為替介入に踏み切ったと表明した。為替は原則として市場で決まるものだと前置きしつつ、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」と理由を述べた。介入が日本単独かどうかや規模、タイミングなどについては明言しなかった。また鈴木氏は「引き続き為替市場の動向に高い緊張感を持って注視する」と語り、「過度な変動に対しては必要な対応をとりたい」と強調した。
同じ日の深夜、日経新聞【ニューヨーク=秋山裕之】によると、ニューヨークにいた岸田首相は「今後の対応として「過度な変動に対しては断固として必要な応をとりたい」と強調し、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見逃すことができない」と介入の理由を述べた。「(対ドルの円相場が)1年で30円以上円安に動いたのは過去30年ない状況だ」と話した。
しかし為替介入には限界があると指摘する声もある。介入の原資の問題がある。政府は外貨準備としてドルや米国債を持っており、これを原資に円を買ってドルを売る介入を実施する。外貨準備が介入可能な金額の上限となる。外貨準備は8月末時点で約1.29兆ドル(185兆円)程度あり、一見潤沢にみえるが国際決済銀行(BIS)の2019年4月の調査によると、日本の外国為替市場の1営業日あたりの平均取引高は約3700億ドルだ。ドル以外の取引も含む金額だが、単純計算で外貨準備はその3日分ほどしかない。
野村総合研究所の木内登英氏は「外貨準備も現実的にはすべてを使うわけにはいかず、持続的な効果はない」とみる。投機筋との攻防は長引く恐れがある。投機筋は今回の円安が、世界のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿ったものという点を円売りのよりどころとしている。
【入国者数の上限撤廃、10月11日から 岸田首相表明】
22日深夜の日経新聞【ニューヨーク=秋山裕之】によると、岸田首相は22日、訪問中のニューヨークで記者会見し新型コロナウイルスの水際対策を巡り1日あたりの入国者数の上限を撤廃すると表明した。個人旅行も解禁し、査証(ビザ)取得は短期滞在なら免除する。いずれも10月11日に実施する。
円安効果を生かして秋冬の観光需要を取り込み、インバウンド(訪日観光客)拡充による経済浮揚につなげる。主要7カ国(G7)のうち新型コロナ対策で入国者数を制限しているのは現時点で日本だけだ。首相は国内の観光代金を補助する「全国旅行割」や、チケット料金を割り引く「イベント割」も同日に始めると言明した。「コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援する」と語った。
【トヨタがロシア撤退 侵攻長期化、日本の車大手で初】
23日の日経新聞によれば、トヨタ自動車は23日、ロシア事業から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け3月4日からサンクトペテルブルクにある工場を一時停止していた。日本の自動車メーカーが撤退方針を明らかにするのは初めて。ウクライナ侵攻の長期化と地政学リスクの高まりを受けて、事業の整理の決断を迫られる企業が増えそうだ。
トヨタはロシアで2021年、世界生産台数の約1%にあたる8万台を生産、11万台を販売していた。07年からロシア西部のサンクトペテルブルクで現地生産を始め、21年は多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」などを生産した。
トヨタ以外では日産自動車がロシア工場の稼働休止を12月末まで延長することを決定。三菱自動車も同様に生産を止めているが、事業の一時休止にとどまり撤退の判断には至っていない。
【ロシアで再び動員令に抗議デモ、750人拘束 反発拡大】
26日の日経新聞によれば、ロシアで24日、同国軍のウクライナ侵攻を巡ってプーチン大統領が21日に署名した部分動員令に反対する抗議行動が広がった。21日夜に続いて24日も各地で街頭デモがあり、治安当局により750人を超える市民や活動家が拘束された。ロシア社会に動員令への反発と不安が広がっている。
独立系の人権団体「OVDインフォ」によると、モスクワ時間24日午後7時(日本時間25日午前1時)の時点で、国内32都市で約750人が治安当局によって拘束された。特に首都モスクワでは拘束者が380人を超え、サンクトペテルブルクでも120人を超えた。
24日の抗議行動は、社会団体「ベスナ(春)」が21日に続いて呼びかけた。21日夜の抗議行動では各地で合計約1400人が拘束された。23日も各地で小規模な街頭デモがあったと伝えられた。
SNSのテレグラム上では、若者が拘束される映像だけでなく、モスクワで高齢の女性が警官隊に激しく抑えられる光景も投稿された。サンクトペテルブルクではこん棒だけでなく電気ショックを与えるスタンガンのような道具が使われたという。
ロシアではウクライナへの軍事侵攻が始まった2月24日直後から3月にかけて、各地で抗議行動が続いた。その後は治安当局の厳しい取り締まりや、新型コロナウイルスの感染拡大を理由にした大規模集会の禁止措置などで抑え込まれていた。
【イタリア総選挙、極右政党が第1党に】
26日の日経新聞【ローマ=佐竹実】によれば、イタリアの総選挙は25日、投開票された。伊公共放送RAIによると、メローニ党首率いる野党の極右「イタリアの同胞(FDI)」が第1党になる見通しだ。右派連合を組んでいる極右「同盟」や、ベルルスコーニ元首相率いる中道右派「フォルツァ・イタリア」と合わせると、上下両院で議席の過半を確保したもようだ。メローニ氏は同国初の女性首相となる可能性がある。
メローニ氏は26日未明にローマのホテルで「国民は選挙を通じて、我々が率いる政権への明確な支持を示した」と述べ、勝利宣言をした。極右の政治家が国のトップに選出されれば、第2次世界大戦後の欧州主要国では極めて異例となる。メローニ氏は保育所の無償化や子ども手当の増額などを掲げ、記録的なインフレに直面する国民の支持を集めた。主要政党として唯一、2021年2月に発足したドラギ政権に加わらずに同政権を批判してきたことも得票につながった。
【領事拘束、ロシアに抗議 外相「違法活動全くない」】
27日の日経新聞によれば、林芳正外相は27日、ロシア当局に一時拘束された在ウラジオストク日本総領事館の領事について「違法な活動をした事実は全くない」と述べた。森健良外務次官がガルージン駐日大使を呼んで抗議し、謝罪と再発防止を求めたと明らかにした。
林外相は、領事に関し「終始、目隠しをされたまま両手および頭を押さえつけて身動きがとれない状態で連行され、威圧的な取り調べを受けた」と説明した。「極めて遺憾だ」と非難した。
松野博一官房長官は同日の記者会見で、領事が28日までにロシアを出国する予定だと話した。外交官の追放で両国が応酬する事態になれば日本がロシアに置く大使館に影響する恐れもある。在留邦人や現地企業の保護といった業務に支障をきたし、情報収集の能力が低下する可能性がある。
【ロシアからのガスパイプライン損傷、「破壊工作」か】
同じ27日の日経新聞によれば、ロシア産天然ガスを欧州に輸出する海底パイプライン「ノルドストリーム」の運営会社は27日、パイプラインに「前例のない」損傷が生じ、復旧の見通しが立たないと明らかにした。デンマーク当局は、ガス漏れの発生した海域の航行を禁止する措置を講じた。運営会社はロシア国営ガスプロムの子会社。損傷はノルドストリーム「1」と「2」の両方で見つかった。
迫りくる冬に向かい、欧州各国は天然ガスの確保に神経質になっている矢先の出来事であり、一刻も早い原因究明と修理復旧が望まれる。
【安倍元首相の国葬】
27日午後2時から日本武道館で安倍元首相の国葬が行われ、約4200人が参列した。世論調査でANNは賛成30%、反対54%と伝え、NHKは32%、57%と反対が多いなかでの国葬であったが、献花する市民の長蛇の列に何時間も延長した。
開会の辞に続く1分間の黙とうの後、安倍氏が掲げた経済政策「アベノミクス」や外交・安全保障政策「自由で開かれたインド太平洋」、安全保障法制の制定などにかかわる映像が流れた。
葬儀委員長を務めた岸田首相は、「あなたが敷いた土台のうえに持続的ですべての人が輝く包摂的な日本、地域、世界をつくる」。首相は遺志を引き継いで政権運営にあたると述べた。
反対を叫ぶグループと参列する人たちが静かに並存する東京都心部の映像が世界の人たちの目にどう写ったのだろうか。ロシアによるウクライナ侵攻の映像を見慣れた人たちには、意見の違うグループの静かな並存は驚くべき光景であったに違いない。「国民の分断を招いた国葬」(朝日新聞夜ニュースレター)ではなく、多様性の表れと見る方が現実に近いのではないか。
この間、以下の番組を視聴することができた。(1)BS6報道1930「国力低下し地位転落も…日本外交の”武器“とは何か? 林芳正外相直撃」8月30日。 (2)BS世界のドキュメント「真実こそ私たちの武器 リトアニア フェイクとの闘い」9月1日。 (3)報道1930「極右思想家の娘暗殺の裏で何が…侵攻長期化とプーチン氏にかかる圧力」1日。 (4)BS世界のドキュメンタリー選「イラクの失われた世代 ISの子どもたちは今」1日。 (5)報道1930 2日。 (6)週刊ワールドニュース(8月29日~9月2日)3日。 (7)NHKスペシャル「玉鋼(たまはがね)に挑む 日本刀を生み出す奇跡の鉄」3日。 (8)BS1グローバルアジェンダ「核戦争 いま危機を乗り越えるために」4日。 (9)NHKドキュメント「休診日に会おうぜ!~毒舌院長「大丈夫みんなできない」~」5日。 (10)NHKスペシャル「日本を襲う三重苦、米中景気不安に物価高、円安加速で最悪シナリオ」5日。 (11)BS1映像の世紀「映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突」5日。 (12)報道1930「徹底的にロシアを叩け…カギ握る米供与の兵器」6日。 (13)報道1930「【旧統一教会】山上家の実情知るキーマン”元奈良教会長“が初証言」7日。 (14)報道1930「国葬問題、国会追及…」8日。 (15)NHK総合アナザーストーリーズ「東大安田講堂事件 あのとき学生は何と闘ったのか」9日。 (16)週刊ワールドニュース(9月5日~9日)10日。 (17)報道1930「中国人民解放軍のいま 40年間”実戦経験なし“ 人民解放軍の実力」12日。 (18)報道1930「謎のロ軍の精鋭<第3軍団> <ウクライナ反撃の主役・機甲部隊>」13日。 (19)報道1930「中ロで広がる国力格差 苦境のプーチン氏に習氏が差し伸べる手は?」15日。 (20)百年インタビュー「稲盛和夫」15日。 (21)報道1930「アメリカ中間選挙の行方 トランプ氏は大統領選挙に出馬せず?」16日。 (22)NHKスペシャル「”染紅“ 変貌する香港 <自由と民主>が消えるとき」15日。 (23)週刊ワールドニュース(9月12日~16日)」17日。 (24)NHKスペシャル「”中流危機”を超えて「第1回企業依存を抜け出せるか」18日。 (25)報道1930「エリザベス女王国葬に英国民<最後の別れ> 新国王を待つ課題は?」19日。 (26)NHKクローズアップ現代「築50年の空き家に入る入居者ぞくぞく 空き家の新たな活用法とは?」20日。 (27)報道1930「予備役動員プーチン氏 核は本気? 戦争新局面 変革兵器供与加速か?」23日。 (28)ETV特集「ゴルバチョフの警告」24日。 (29)日中2000年 戦火を越えて【前編 知られざる修復のシナリオ】24日。 (30)週刊ワールドニュース(9月19日~23日)」24日。 (31)「あなたと共に生きたい 細井恵美子さん91歳 介護現場への想い」25日。 (32)報道1930「【窮地のプーチン氏】ロシア正規軍崩壊か」26日。
【オミクロン型対応ワクチン、9月にも接種へ 厚労省検討】
8月29日の日経新聞によれば、厚生労働省は新型コロナウイルスのオミクロン型に対応した改良ワクチンの接種を9月中に始める検討に入った。これまでは自治体などに対して、9月に順次ワクチンを輸入し、10月半ば以降に始める想定と説明していた。全国でオミクロン型感染が広がる中、できる限り前倒しでワクチンの接種体制を整える。
厚労省は米ファイザーと米モデルナから供給を受ける契約を結んでいる。両社とも8月上旬に厚労省への承認申請を済ませている。接種の前倒しには両社からの早期のワクチン調達が必要になる。
改良ワクチンは従来型とオミクロン型の2種類の成分を含む。現在まん延しているオミクロン型の派生型に対して、高齢者の重症化や若者の感染、発症を防ぐ効果が期待されている。英国が米モデルナ製を承認した実績がある。
厚労省は自治体に、2回目を打った全員を対象とする想定で準備を進めるよう求めている。予防接種法上の臨時接種として無料で受けられるようにする。接種間隔などの詳細は今後、薬事承認や予防接種法上の手続きを経て決める。4回目から5カ月空ける場合、60歳以上の対象者数のピークは12月以降になる見通し。
【ウクライナ、南部州で反撃 ロシア「IAEA調査に協力」】
30日の日経新聞【ドバイ=福冨隼太郎、ワシントン=中村亮】によると、ウクライナ軍は29日、ロシアが占領するウクライナ南部ヘルソン州の奪還に向けて大規模な攻勢を開始した。同国南部に位置するザポロジエ原子力発電所をめぐっては、ロシア側が国際原子力機関(IAEA)の調査に協力する姿勢を示した。
ウクライナメディアによると、同国軍はヘルソン州でロシア軍の最初の防衛線を突破した。ロシア軍は防衛拠点から撤退したり、後退を始めたりしているという。ヘルソン州はロシアが侵攻初期に占領を進めたが、その後、ウクライナが反攻を強めている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は29日のビデオ演説で「ロシアを国境まで追い出す」と述べ、ヘルソン州やルガンスク州などロシア占領下の地域を奪還すると強調した。「ウクライナに占領者の居場所はない。生き残りたければロシア軍は逃げるべきだ」とも語った。
米軍高官は29日、記者団に対してウクライナ軍が先週末にヘルソン州でロシア軍に対する砲撃を増やしたと説明した。ウクライナ東部ではロシア軍の兵士数がウクライナ軍を上回ったが、南部では同規模に近いという。高官はウクライナ軍の攻勢を「反撃」と表現しなかったが、24~36時間後に情勢がいまより把握できるとも話した。
ロシア国防省は同日、ウクライナ軍がヘルソンなどで大規模な攻勢をしかけ大きな損失を被ったと主張した。タス通信が報じた。ロシアのペスコフ大統領報道官は29日、ザポロジエ原発へのIAEAの調査団がウクライナ側からロシアが占領している同原発に入ると明らかにした。同氏は記者団に「ウクライナ側で安全を保証するのはウクライナだ」とする一方で「ロシア側では必要な安全が保証される」と語った。
調査をめぐってロシア側は、ロシア軍や親ロシア派が実効支配する地域から原発を訪れるよう求めていた。調査団は週内にも現地入りし損傷などを確認する。
ウクライナや欧米が求めている同原発一帯を非武装化することについては「話し合われない」と指摘。兵力を撤退させることについては改めて否定的な考えを示した。
原発周辺では砲撃が相次いでおり、調査団の安全確保が課題となっている。ロシアとウクライナの双方が、攻撃は相手によるものだと非難の応酬を続けている。ロシアメディアは29日、核燃料を保管している建物の屋根がウクライナの砲撃で破損したと一方的に伝えた。
【京セラ創業者の稲盛和夫さん死去、90歳 JALの経営再建にも貢献】
30日の朝日新聞デジタルは次にように伝えた。
「京セラとKDDIの創業者で、日本航空(JAL)の経営再建にも尽くした稲盛和夫(いなもり・かずお)さんが24日午前8時25分、老衰のため京都市内の自宅で死去した。90歳だった。葬儀は近親者を中心に執り行われた。後日、お別れの会を開く。喪主は長女金沢しのぶさん。
鹿児島市生まれ。鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子(がいし)メーカーに就職した。1959年、独立して京都セラミック(現京セラ)を設立した。97年から名誉会長。
70年ごろ、半導体の回路を保護する入れ物にあたるパッケージの開発量産に成功した。以来、主力のファインセラミックス部品から電子部品、太陽電池、携帯電話などの分野に事業を広げ、グローバル化も進めた。創業時、28人だった従業員は、グループで8万3千人、世界30以上の国や地域に広がる。
また、80年代に電気通信事業の自由化の論議が高まったとき、当時の電電公社による「独占はよくない」との思いから、84年に第二電電企画(後のDDI)を設立した。通信事業は畑違いだったが、毎晩「動機善なりや、私心なかりしか」と自問自答して参入を決めたという。
2000年にはDDI、KDD、日本移動通信(IDO)を合併に導き、今のKDDIを設立した。国内の長距離電話の料金引き下げを主導したほか、携帯電話の普及にも尽くした。01年より最高顧問を務めた。」
また30日の日経新聞によれば、「<日本をよくするには政権交代が可能な国にすることが必要>との思いで野党時代から民主党を支援。民主党が与党となった09年に行政刷新会議の議員に就任、10年からは日本航空の会長を務め、再建に奔走した。
経営破綻した日航の再建では会長に就いてアメーバ経営を導入。コスト管理の徹底などで業績を回復させ、再上場にこぎ着けた。内閣特別顧問も務めた。
著書は「アメーバ経営」「人を生かす」など多数。1984年紫綬褒章、97年に得度。」とある。
【ゴルバチョフ元大統領の逝去】
31日のNHKは、ゴルバチョフ元大統領の逝去について、次のように伝えた。
「旧ソビエトの最後の指導者で東西冷戦を終結に導いたミハイル・ゴルバチョフ氏が30日に亡くなった。91歳。国際社会からは、東西冷戦を終結に導き、核兵器の削減に取り組んだゴルバチョフ氏の死を悼む声が相次いでいる一方、その業績に対してはロシアの市民から批判の声が聞かれるほか、ロシアメディアも比較的冷ややかに伝えている。
ゴルバチョフ氏は1931年、ロシア南部のスタブロポリ地方に生まれ、共産党の要職を歴任したあと、1985年に54歳でソビエトの最高指導者にあたる書記長に就任。ペレストロイカと呼ばれた政治改革や、情報公開を意味するグラスノスチなど、閉鎖的な社会を民主化する政策を進めた。
外交政策でも、欧米諸国などとの対立の緩和を目指す「新思考外交」を掲げ、社会主義圏だった東ヨーロッパ諸国の民主化や東西ドイツの統一を容認したほか対立が続いていた中国との関係を正常化した。
アメリカとは核軍縮を進め、1987年にINF=中距離核ミサイルの全廃条約、1991年には、戦略核兵器の削減を定めたSTART=戦略兵器削減条約に調印、1989年12月、アメリカの当時のブッシュ大統領とともに、東西冷戦の終結を宣言した。こうした功績が評価され、翌年にはノーベル平和賞を受賞した。
日本との関係では、1988年、モスクワを訪問した当時の中曽根前首相に対して、北方領土問題の解決を模索する考えを示し、日本とロシアの平和条約交渉のきっかけを作った。そして1991年、ソビエトの最高指導者として初めて来日し、当時の海部総理大臣と会談し、「日ソ共同声明」で、国後島・択捉島を含む北方四島を領土問題の交渉対象とすることを初めて文書で確認した。
さらにこの時ソビエト側から、日本人と四島住民との交流を拡大するため、「ビザなし」の枠組みが提案され、翌1992年には、今につながるビザなし交流が始まった。ゴルバチョフ氏は北方四島の返還に関して譲歩は示さなかったが、それまでまったく動かなかった北方領土問題について日ソ、日ロ間で協議されるきっかけとなった。こうした北方領土問題の議論を継続することに前向きな姿勢は、日本では好意的に受け止められ、ゴルバチョフ氏は「ゴルビー」の愛称でも親しまれた。」
また9月1日のヤフーニュースによれば、
「ゴルバチョフの父はロシア人、母はウクライナ人、妻もウクライナ系。生まれ故郷はロシア人とウクライナ人が住む小さな農村だった。今日のロシアとウクライナのねじれた関係を体現したような人物だった。
ゴルバチョフ氏の父方の祖先は19世紀末に、ロシア内部から移住してきた。母方はウクライナ北部チェルニゴフからやってきた。祖父母はウクライナ人。したがってその娘で、後にゴルバチョフ氏を生むマリーヤさんもウクライナ人だった。ゴルバチョフ氏の母は、ロシア語の読み書きができなかった。母が独ソ戦で出征した夫に宛てて手紙を書く時は、まだ子どもだったゴルバチョフ氏が口述筆記していた。
現在のウクライナでは、国民の約2割がロシア系とされている。ロシア語が話せる人は国民の半数を超えるという。
旧ソ連は多民族国家だったが、現在のロシアにも182の民族が住む。ロシア人(民族)が全人口の77.71%を占めるが、同じ東スラブ人のウクライナ人の割合も1.35%。全体の3位となっている。ゴルバチョフ氏の家族史は、こうしたロシアとウクライナの強い結びつきが凝縮されている。」
9月4日のBBCによれば、「先月に死去したソヴィエト連邦最後の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏の葬儀が3日、ロシア・モスクワで営まれた。ゴルバチョフ氏は冷戦を平和的に終結へと導いた人物として知られる。
モスクワ中心部にある労働組合会館「円柱ホール」には多くの市民が集まり、ゴルバチョフ氏に敬意を表した。ゴルバチョフ氏の棺はその後、市内の墓地に眠る妻ライサ氏の隣に埋葬された。」
【日米「統合抑止」への変革 台湾有事想定し戦略・制度も】
4日の日経新聞は、次のように報じた。
【この記事のポイント】
・防衛省は概算要求で過去最大の防衛費を計上した
・新戦略は日米「統合抑止」。幅広い領域で深く連携
・ミサイルが重要。中国との戦力不均衡是正が急務
日本の防衛が歴史的な転換点を迎える。防衛省は8月末、2023年度予算の概算要求で過去最大の防衛費を計上した。国内総生産(GDP)比で1%の上限を撤廃し、2%も視野に入る。大幅に増やす防衛費は何が必要なのか。課題をみる。
「統合抑止(Integrated Deterrence)」。日米で進む外交・安全保障戦略擦り合わせのキーワードだ。5月、日米防衛相会談ではオースティン国防長官が促し、事務方の交渉でもこの言葉が軸になっている。
統合抑止は米国が新たに打ち出した安全保障の基本戦略で、これまでの軍事力だけではなく、同盟国の能力、サイバーや宇宙の領域を幅広く活用する。米軍単独では中国の脅威に対処できない危機感がある。過去最大となった防衛省の概算要求は、その第一歩だ。これまで日本の防衛費論議は国民総生産(GNP)比1%枠が象徴する「数字ありき」の議論や、どんな装備品を購入するのかの「買い物計画」に偏りがちだった。
米国とより連携を深めるなら米国と補完し合う形で装備品を調達し、戦略や制度も見直さなければならない。年末に国家安全保障戦略など3つの政府文書を改定するのもそのためだ。特に台湾有事の対応が問われる。
第1段階の統合抑止で最も重要なのはミサイルになる。
米国は過去の条約の制約で現在、中距離ミサイルを持たない。日本から中国に届く中距離ミサイルは日米ともに保有していない。条約の対象外だった中国は1250発以上を持つとされる。「0対1250」の圧倒的不均衡の修正が急務だ。
日本の防衛省は今回の概算要求で一つの策を示した。
相手の射程外から攻撃できる長射程の「スタンド・オフ・ミサイル」だ。国産の「12式地対艦誘導弾」の射程を1000キロメートルに伸ばす改良費に272億円を計上した。1000発以上を量産する案が取り沙汰されている。
政府・自民党内では22年度に沖縄県・石垣島に陸上自衛隊の駐屯地を新設し、ミサイル部隊を置く構想がある。構想通りに配備すれば沖縄の在日米軍基地や台湾に近く、中国側に届く。米国の統合抑止への目に見える関与といえるが、中国の反発も必至だ。米中対立のはざまに入る覚悟もいる。
統合抑止は装備だけではない。インフラや制度、組織も日米がともに使えなければ機能しない。「本州にある航空自衛隊の基地を米軍の戦闘機に使わせてほしい」。今夏、米シンクタンク、ランド研究所が実施した机上演習でこんな場面があった。台湾有事の仮想シナリオで米軍幹部が自衛隊幹部に要請した。
台湾周辺の米戦闘機は沖縄の在日米軍基地に集中する。中国の攻撃前に分散しなければ、簡単に壊滅しかねない。日本が退避場所を提供できるかが米軍の生命線になる。
自衛隊組織の見直しも大事だ。米国が参加する北大西洋条約機構(NATO)や米韓同盟には「最高司令部」や「連合司令部」がある。トップは米軍の司令官だ。日米には統合司令部はなく指揮も別々だ。
米韓や日米には朝鮮半島有事にどう協力して対処するかを規定する「共同作戦計画」があるが、日米の間で台湾有事に向けた計画は完成していない。装備や人員の配置、輸送や補給手段などを具体的に定めなければ統合作戦は動かせない。
陸海空3自衛隊を束ねる統合幕僚長を務めた折木良一氏は「米国との窓口を担う統合司令官をつくるのが基本中の基本だ。危機になると統合幕僚長は防衛相や首相官邸など文官を補佐する仕事に追われる」と指摘する。
統幕長は有事に①3自衛隊の統括、②首相や防衛相への説明、③在日米軍やインド太平洋軍司令部との調整――をすべて担う。同時並行でこなすのは非現実的だ。
南西諸島には全長300メートル以上の米空母が寄港できる港湾設備はない。最新鋭戦闘機が発着できる堅固で長い滑走路も見当たらない。港や空港は国土交通省の所管だ。国・地方あわせて15兆円の公共投資予算で防衛向けは1900億円。従来の防衛費の概念に入らない他省庁の予算は多い。
日本は戦後、自らは一度も紛争に巻き込まれたことがない平和国家だった。防衛費増を危険視する向きもあるが、軍事に傾斜する中国や北朝鮮、ロシアが近くにあり安保環境は厳しさを増す。必要な備えがなければ、攻撃は抑止できない。平和を守るには有事をにらんだ備えがいる。
【英国、リズ・トラス氏、3人目の女性首相誕生】
5日の日経新聞【ロンドン=中島裕介】は、次のように報じた。
「英与党の保守党は5日、ジョンソン首相の後任を選ぶ党首選の結果、リズ・トラス外相(47)を新党首に選んだ。6日にエリザベス女王の任命を受けて、正式に首相に就任する。内政では物価高対策が最優先課題となる。ウクライナ危機への対応を巡っては対ロシア強硬姿勢を継続する見通しだ。
故サッチャー氏、メイ氏に続く同国史上3人目の女性首相となる。一般の保守党員による投票でトラス氏が約57%の8万1326票を獲得、対抗馬のスナク前財務相は6万399票だった。トラス氏は当選後の演説で「私は減税と経済成長のための大胆な計画を実現する」と党所属議員らに訴えた。
党首選で最大の争点だったのが、10%を超えるインフレの主因であるエネルギー価格対策だ。トラス氏はこれまでに国民保険料の引き下げなど国民の負担軽減策を掲げていた。党首選の最中に10月から光熱費が9月までと比べてさらに8割上昇するとの試算も出たことから、トラス氏は1週間以内に家計と企業への追加対策を表明する見通しだ。
ウクライナ危機を巡って英国は、ジョンソン氏がキーウ(キエフ)に電撃訪問し、英軍がウクライナ軍の兵士を訓練するなど西側諸国の中でも支援を鮮明にしてきた。トラス氏は党首選で「ウクライナが勝利し、プーチンが失敗するまで私はあきらめない」と訴えており、ジョンソン路線を継続する方針だ。
欧州連合(EU)離脱以降、関係が冷え込む対EU外交でも手腕が問われる。トラス氏は摩擦が続く英領北アイルランドでの通商ルールを巡る問題で、簡単に妥協しない方針で英国のEUへの強硬姿勢は続きそうだ。
党首選に敗れたスナク氏の両親はインド系で英国初のアジア系首相を目指していた。決選投票に進む2人を決める党所属国会議員による投票では首位を維持した。だが7月上旬に財務相を辞任してジョンソン氏退陣のきっかけをつくったことなどが嫌われ、党員の支持は伸び悩んだ。
党首選は7月上旬に、不祥事が相次いだジョンソン氏が辞意を表明したことで始まった。複数回の投票で、立候補した8人を下位候補から順番にふるい落とし、7月20日に決選投票に進む2人を決めた。」
【英エリザベス女王、逝去、96歳】
9日の毎日新聞によれば、英エリザベス女王死去 96歳 在位70年。1952年から70年と約7カ月に及んだ在任期間は、英国の歴代君主として最長。世界の君主としてはフランスのルイ14世(在位1643~1715年)の72年と110日に次ぎ、史上2番目の長さだった。
女王死去を受け、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)が新国王「チャールズ3世」として即位した。新国王は「慈しまれた君主であり、多くの人々に愛された母の死を深く悼む。英国民、そして世界の人々が喪失を感じるだろう」との声明を発表。
女王は6日、バルモラル城でトラス新首相を任命したばかりだった。7日には医師の勧告に従って休養を取り、オンライン会合などを欠席。8日には医師の診察を受けていたが、容体悪化が伝えられる中、王室メンバーが続々とバルモラル城に集まった。
「英国の顔」として外遊は約100カ国、260回超。71年の昭和天皇訪英の返礼として75年に訪日した。旧植民地諸国を中心とした緩やかな連合体・英連邦(コモンウェルス)の元首も務めた。
【安倍晋三元首相の国葬をめぐって】
16日の朝日新聞デジタルは、質疑応答形式で次のように報じた。
「世論が二つに割れたまま、安倍晋三元首相の国葬予定日が近づいています。小熊英二・慶応大学教授(歴史社会学)が、自民党政権が慣例化してきた「首相経験者の葬儀」の歴史から、問題の所在を明らかにします。
「世論調査をみると、時が経つにつれて反対が多数になりました。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題は大きいですが、この問題がなくても賛否は割れていたでしょう」
――なぜでしょうか。
「死去から2カ月も時間があいたからだと思います。安倍氏は評価が分かれる政治家でした。亡くなった直後はみんな悼む気持ちを強く持っていたとしても、時が経つとともに批判が出てくるのは自然なことです」
「諸外国にも国葬はありますが、たいてい死後10日前後で、遺体の棺を前に行われます。戦前の日本でも、天皇の大喪は別として、明治の元勲などの国葬は死去後10日前後でした。死後2カ月もあけて行うのは、葬儀というより『しのぶ会』に近いでしょう」
――なぜこうした形になったのですか。
「1980年代以降の前例を踏襲したからでしょう。首相経験者の『内閣・自民党合同葬』は死去から1~2カ月後に行われてきました。その歴史は『私物化の歴史』と呼ばれてもやむを得ない」
――どんな歴史でしょうか。
「合同葬が始まるのは1980年の大平正芳氏からですが、その前に吉田茂氏の国葬と佐藤栄作氏の国民葬がありました。1967年の吉田氏の国葬は死去後11日で実施されましたが、大きな反発はなかったようです」
――実施まで時間が短かったからですか。
「それもあると思いますが、終戦からわずか22年という時代状況が大きいでしょう。当時の30~40代以上は戦前・戦中に生まれ育った世代で、現在ほど『国葬』に違和感がなかったのではないでしょうか。当時の報道をみても、国葬が浮上した当初から反対している野党は見当たりませんでした」
「またこの時期は海外でも1965年に英国のチャーチル元首相、1967年に西独のアデナウアー元首相の国葬がありました。戦後の再建を担った政治家が亡くなれば国葬は当然という雰囲気もあったでしょう」
【上海協力機構が共同宣言 イラン23年加盟、10カ国に】
16日の日経新聞は、次のように伝えた。
「中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」は15~16日、ウズベキスタンのサマルカンドで首脳会議を開いた。16日には複数の大国や地域統合による「多極的世界秩序」の強化を盛り込んだ共同宣言を採択した。イランが正式に加盟し、10カ国体制に広がることが固まった。ただ緩やかな協力組織だけに、加盟国の協調には限界がある。
「内政干渉にはともに対抗しなければならない」。16日の首脳会議の全体会合で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は台湾問題などを念頭に呼びかけた。
SCOは2001年、ソ連崩壊後の国境地域の安定と信頼の醸成、加盟国間の協力促進を目的に設立し、合意履行の拘束力がない緩やかな協力を目指してきた。中ロのほか、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの中央アジア4カ国とインド、パキスタンが加盟する。
今回の首脳会議には加盟国とオブザーバー国(アフガニスタン、ベラルーシ、イラン、モンゴル)や対話パートナー国(アゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール、トルコ、スリランカ)の一部など計14人の首脳が出席した。
【中ロ首脳会談】
16日の中日新聞【モスクワ=小柳悠志、北京=新貝憲弘】は次のように報じた。
「ロシアのプーチン大統領と中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席は十五日、上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて中央アジア・ウズベキスタンのサマルカンドで会談した。両国は欧米との対立や制裁に対し、経済面の連携を強化して対抗する構え。台湾情勢についても協議した。
プーチン氏は冒頭、「ウクライナ危機に対し中国はバランスの取れた立場を保っている」と評価。台湾情勢を巡る米国の対応を「挑発行為」と非難し、「ロシアは『一つの中国』の原則を支持する」と強調した。
習氏は「刻々と変化する世界を安定的に発展させるため、わが国はロシアとともに主導的な役割を果たす準備がある」と応じた。
習氏の外遊は新型コロナウイルスの世界的大流行が始まって以来初めて。ロシアとの共闘姿勢を欧米に誇示する狙いに加え、エネルギーや食糧の確保という思惑がある。欧州連合(EU)がロシアからの石炭や石油、天然ガスの輸入制限を打ち出す中、ロシアも中国市場を開拓することが喫緊の課題だ。」
【中ロ、共同声明出さず 首脳会談、かりそめの結束 習氏、侵攻巡り一線】
17日の日経新聞【北京=羽田野主】は次のように伝えた。
「ロシアによるウクライナ侵攻後初めてとなる中国との首脳会談は15日、2月の前回会談とは異なり、共同声明を出さないまま終了した。対米での結束を演出したものの、ウクライナ侵攻を巡る温度差は明らかだ。中国は貿易では協力しつつも軍事支援には一貫して慎重で、かりそめの結束をあらわにした。
15日、ウズベキスタンのサマルカンドでの会談の冒頭で、ロシアのプーチン大統領は「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解している」と話した。ウクライナ情勢への中国の「懸念」に異例の言及をした。
プーチン氏は「ロシアは(中国大陸と台湾は1つの国に属するという)『一つの中国』の原則を断固として守っている」と表明し、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が重視する台湾問題にも配慮を示した。
ウクライナ侵攻直前の2月の対面会談では「両国の友情に限界はない」と蜜月ぶりを強調する共同声明を発表していた。現在はウクライナ軍が南部や東部で攻勢をかけ、米欧の経済制裁で経済減速も止まらない。プーチン氏の会談での発言はロシアの苦境を映す。
一方、中国側は両氏が会談する事実すら当日の外務省記者会見でも公表しなかった。習氏は会談中もうつむいて紙を読み上げる場面が目立った。ロイター通信によると、15日のプーチン氏らとの夕食会も欠席した。
中国共産党機関紙、人民日報の16日付の1面トップ記事は中国・ウズベキスタン首脳会談で、中ロ首脳会談はその下の位置だった。中ロ会談の記事は両首脳が握手していない写真を載せるなど、ロシア側の積極姿勢とは温度差がある。
なかでも輸入の伸びが目立つ。8月の輸入は6割増の112億ドル(約1兆6000億円)で過去最大を記録した。主要品目である原油の輸入量は5月以降、ロシアがサウジアラビアを上回っている。ロシア産原油は制裁の影響で割安になっており、低コストで資源を調達できているとみられる。
ただ中国は軍事支援には慎重だ。中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授は「ウクライナとの戦争に中国を巻き込もうとするロシアの試みを中国政府は断固拒否する」と指摘する。
習指導部はロシアに傾倒しすぎると米欧が対中圧力を強め、制裁を発動しかねないと警戒する。中国はエネルギーの購入でロシア経済を下支えしているが、ウクライナで戦況が悪化すれば支援を拡大するのは難しい。
【プーチン氏、早期停戦に言及=インド首相の侵攻批判に】
17日の時事通信は、AFP通信などを引いて、「ロシアのプーチン大統領とインドのモディ首相は16日、ウズベキスタンのサマルカンドで会談した。モディ氏は「今は戦争の時ではない」とプーチン氏に伝え、ロシアによるウクライナ侵攻を間接的に批判。プーチン氏は「懸念は理解する」と応じた上で、早期の停戦に努めると約束した。
プーチン氏がウクライナ側に条件を明示せず、停戦に言及するのは異例。ウクライナ侵攻を決断してから半年以上が経過し、今月に入ってからはロシア軍が北東部ハリコフ州で撤退を余儀なくされるなど、ロシア側に不利な戦況が続いている。プーチン氏は「敵側が停戦交渉を拒否し、目的を軍事的に達成しようとしている」と述べ、ゼレンスキー政権に長期化の原因があると持論を展開した。」
【岸田内閣支持、最低の43% 旧統一教会調査「不十分」79%】
18日の日経新聞はテレビ東京と一緒に16~18日の世論調査を行い、その結果を次のように報じた。岸田文雄内閣の支持率は43%で8月調査(57%)から14ポイント低下した。2021年10月の政権発足後で最低となった。内閣を「支持しない」と答えた割合は49%だった。
「支持しない」が「支持する」を上回ったのは岸田政権で初めて。内閣支持率は66%だった5月から4カ月連続で下がった。21年10月以降で一番低かったのは新型コロナウイルスの感染拡大「第6波」の最中だった今年2月の55%だった。
今回は自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係への懸念が影響した。党が公表した所属国会議員と旧統一教会の接点を巡る調査結果について「十分だとは思わない」との回答が79%にのぼり、「十分だと思う」は14%にとどまった。
安倍氏の国葬を巡っては「反対」が60%で、「賛成」の33%を上回った。同趣旨の質問をした7月の調査はそれぞれ47%、43%で拮抗していた。首相が国会で国葬の理由を説明したものの理解は広がっていない。
【英女王国葬、各国元首含む2000人参列 沿道に群衆 最後の別れ】
20日の[ロンドン 19日 ロイター] によると、エリザベス英女王の国葬が19日、ロンドンのウェストミンスター寺院で営まれた。バイデン米大統領を始めとする世界各国の首脳や王族ら500人を含む2000人が参列し、英歴代君主として最長の70年にわたる在位で生涯を通じ献身した女王に敬意を表した。国葬では聖書の朗読や聖歌の斉唱が行われ、全土での2分間の黙とうに続き、英国の国歌が斉唱された。
国葬終了後、王室の旗がかけられた女王のひつぎは砲車に乗せられ、バッキンガム宮殿周辺を行進。英国会議事堂の大時計「ビッグベン」の弔鐘が鳴り響く中、チャールズ国王らがひつぎと共に歩いた。ひつぎはその後、ウィンザー城に到着。19日夕には城内にある聖ジョージ礼拝堂で近親者による礼拝が執り行われた。女王のひつぎは昨年99歳で亡くなった夫のフィリップ殿下のひつぎとともに、女王の父親であるジョージ6世、母親のエリザベス王太后、妹のマーガレット王女が眠る礼拝堂に納められた。沿道には数万人の市民が集まり、女王のひつぎを見送った。
【バイデン大統領、中国が台湾侵攻なら米軍が防衛】
19日の日経新聞【ワシントン=坂口幸裕】は次のように伝えた。
「バイデン米大統領は18日放送の米CBSテレビのインタビューで、中国が台湾を攻撃すれば米軍が防衛すると明言した。中国が台湾へ武力行使した場合の対応を明確にしない歴代政権の「あいまい戦略」の修正と受け止められかねない発言だ。
番組の司会者から「米軍は台湾を守るのか」と問われ、バイデン氏は「はい(YES)、もし実際に前例のない攻撃があれば」と答えた。「(ロシアが侵攻しても派兵しなかった)ウクライナと違って、米軍は中国の侵攻があった場合に台湾を守るということか」と聞かれても「はい」と表明した。またバイデン氏は「一つの中国政策があり、台湾は自らの独立について自身で判断する。我々は独立を促していない。台湾が決めることだ」と述べた。」
【苦境のプーチン氏が予備兵招集、核の脅しも 緊張高めるロシアの戦術】
21日の朝日新聞デジタルは、次のように報じた。
「ウクライナ侵攻をめぐってロシアのプーチン大統領は21日、国民向けのビデオ演説で「部分的な動員令」の発動を宣言し、軍事訓練経験のある予備兵の市民を招集することを明らかにした。さらにウクライナ東部、南部の親ロシア派が「ロシアへの編入」を求めて実施する住民投票を支持すると表明。ウクライナ領土の一部併合を示唆した。苦境に立つ戦況の打開を図る考えだが、対立の激化と侵攻の長期化は必至だ。
ショイグ国防相は21日、ロシアの予備兵は2500万人に上るとし、新たに招集される予備兵はその1・1%にあたる約30万人だと述べた。2月の侵攻開始当時、ロシア軍はウクライナ国境付近に最大19万人を集結させたと米政府はみており、その後の死傷者は半数近くの7万~8万人にのぼると推定している。
プーチン氏はこれまで、ウクライナ侵攻は限定的な軍事作戦だと国内で説明してきた。そのため、徴兵の導入が可能な総動員令が出せず、長期化する侵攻での人員不足は明らかだった。「部分的」とはいえ、動員拡大を図ったことでロシアの戦略は転換点を迎える。」
【台湾外交部長「中国の野望、台湾にとどまらない」と発言】
22日の日経新聞【台北=中村裕、龍元秀明】によれば、「台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は21日、日本経済新聞の取材に「中国の野望はもはや台湾だけでなく他国にも向けられている」と述べた。8月初旬のペロシ米下院議長の訪台以降、「中国の軍事的脅威は一段と高まった」との認識を示し、対中国で国際連携の必要性を訴えた。」 ペロシ氏の訪台以降、台湾の外交トップが日本メディアの単独インタビューに応じるのは初めて。
中国については「権力基盤となってきた(高い)経済成長が鈍化している今が、台湾にとっては一番危ない」と述べた。習近平(シー・ジンピン)国家主席が国内での求心力を高めるため、台湾に対して一段と強硬姿勢に出る可能性に警戒感をにじませた。
「一方、中国に対抗するため、米国との連携の強化が今後も必要だとの認識を示した。特に経済面では、台湾は先端半導体の世界生産の9割を占め、世界のサプライチェーン(供給網)で欠かせない役割を果たす。呉氏は「民主主義陣営が今後、半導体のサプライチェーンで強固な関係を築ければ、それは権威主義国からの脅威の回避につながる」と述べた。「例えば、米国が(ある国に対し)半導体の供給を止めれば、台湾も半導体の供給を止めて連携する」と語り、米国などとの緊密な連携が重要になるとの認識を示した。」
【米国は金利引き上げ、日本は緩和を維持】
22日の日経新聞【ワシントン=高見浩輔】は、「FRB、3回連続の0.75%利上げ 年末4.4%で景気に試練」の見出しで次にように伝えた。「米連邦準備理事会(FRB)は21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決めた。通常の3倍の利上げ幅で、6月に約27年ぶりに実施してからは3会合連続となる。高インフレの長期化を回避するための急ピッチの金融引き締めにより、景気の悪化懸念は一段と強まりそうだ。
同じ22日、日経新聞は「日銀、大規模緩和を維持 コロナ対応の資金繰り支援延長」の見出しで次のように報じた。「日銀は21~22日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を維持する方針を決めた。円安や資源価格の高止まりで日本でもインフレ圧力が高まっているが、新型コロナウイルス禍からの景気回復を下支えするため緩和的な金融政策を据え置く。新型コロナの影響を受けた中小企業に融資する金融機関向けのオペは延長を決めた。大幅な利上げを続ける米国と、日本の金融政策の違いが鮮明となり、日銀の発表後、ドル円相場は一時1ドル=145円台と24年ぶりの安値水準まで下げた。」
【円買い・ドル売りの為替介入に踏み切る】
これらの状況を受けて、財務省の神田真人財務官は22日午後、外国為替市場で円相場が一時1ドル=145円台に下落したことを受け、「相場が乱高下している。過度な変動、無秩序な動きは容認できない」と記者団に述べた。為替介入の可能性を問われて「スタンバイの状態と考えていい。いつでもやる用意がある」と語った。
この日の夕方、政府・日銀は1998年6月以来、約24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った。145.84円が140.75円と一挙に円高となったものの、その後のロンドン市場では141.05とまた戻しているため、介入の効果は十分に測れないという。
22日夜、鈴木俊一財務相は介入の実施後に財務省内で記者会見し、為替介入に踏み切ったと表明した。為替は原則として市場で決まるものだと前置きしつつ、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見過ごすことができない」と理由を述べた。介入が日本単独かどうかや規模、タイミングなどについては明言しなかった。また鈴木氏は「引き続き為替市場の動向に高い緊張感を持って注視する」と語り、「過度な変動に対しては必要な対応をとりたい」と強調した。
同じ日の深夜、日経新聞【ニューヨーク=秋山裕之】によると、ニューヨークにいた岸田首相は「今後の対応として「過度な変動に対しては断固として必要な応をとりたい」と強調し、「投機による過度な変動が繰り返されることは決して見逃すことができない」と介入の理由を述べた。「(対ドルの円相場が)1年で30円以上円安に動いたのは過去30年ない状況だ」と話した。
しかし為替介入には限界があると指摘する声もある。介入の原資の問題がある。政府は外貨準備としてドルや米国債を持っており、これを原資に円を買ってドルを売る介入を実施する。外貨準備が介入可能な金額の上限となる。外貨準備は8月末時点で約1.29兆ドル(185兆円)程度あり、一見潤沢にみえるが国際決済銀行(BIS)の2019年4月の調査によると、日本の外国為替市場の1営業日あたりの平均取引高は約3700億ドルだ。ドル以外の取引も含む金額だが、単純計算で外貨準備はその3日分ほどしかない。
野村総合研究所の木内登英氏は「外貨準備も現実的にはすべてを使うわけにはいかず、持続的な効果はない」とみる。投機筋との攻防は長引く恐れがある。投機筋は今回の円安が、世界のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿ったものという点を円売りのよりどころとしている。
【入国者数の上限撤廃、10月11日から 岸田首相表明】
22日深夜の日経新聞【ニューヨーク=秋山裕之】によると、岸田首相は22日、訪問中のニューヨークで記者会見し新型コロナウイルスの水際対策を巡り1日あたりの入国者数の上限を撤廃すると表明した。個人旅行も解禁し、査証(ビザ)取得は短期滞在なら免除する。いずれも10月11日に実施する。
円安効果を生かして秋冬の観光需要を取り込み、インバウンド(訪日観光客)拡充による経済浮揚につなげる。主要7カ国(G7)のうち新型コロナ対策で入国者数を制限しているのは現時点で日本だけだ。首相は国内の観光代金を補助する「全国旅行割」や、チケット料金を割り引く「イベント割」も同日に始めると言明した。「コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援する」と語った。
【トヨタがロシア撤退 侵攻長期化、日本の車大手で初】
23日の日経新聞によれば、トヨタ自動車は23日、ロシア事業から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け3月4日からサンクトペテルブルクにある工場を一時停止していた。日本の自動車メーカーが撤退方針を明らかにするのは初めて。ウクライナ侵攻の長期化と地政学リスクの高まりを受けて、事業の整理の決断を迫られる企業が増えそうだ。
トヨタはロシアで2021年、世界生産台数の約1%にあたる8万台を生産、11万台を販売していた。07年からロシア西部のサンクトペテルブルクで現地生産を始め、21年は多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」などを生産した。
トヨタ以外では日産自動車がロシア工場の稼働休止を12月末まで延長することを決定。三菱自動車も同様に生産を止めているが、事業の一時休止にとどまり撤退の判断には至っていない。
【ロシアで再び動員令に抗議デモ、750人拘束 反発拡大】
26日の日経新聞によれば、ロシアで24日、同国軍のウクライナ侵攻を巡ってプーチン大統領が21日に署名した部分動員令に反対する抗議行動が広がった。21日夜に続いて24日も各地で街頭デモがあり、治安当局により750人を超える市民や活動家が拘束された。ロシア社会に動員令への反発と不安が広がっている。
独立系の人権団体「OVDインフォ」によると、モスクワ時間24日午後7時(日本時間25日午前1時)の時点で、国内32都市で約750人が治安当局によって拘束された。特に首都モスクワでは拘束者が380人を超え、サンクトペテルブルクでも120人を超えた。
24日の抗議行動は、社会団体「ベスナ(春)」が21日に続いて呼びかけた。21日夜の抗議行動では各地で合計約1400人が拘束された。23日も各地で小規模な街頭デモがあったと伝えられた。
SNSのテレグラム上では、若者が拘束される映像だけでなく、モスクワで高齢の女性が警官隊に激しく抑えられる光景も投稿された。サンクトペテルブルクではこん棒だけでなく電気ショックを与えるスタンガンのような道具が使われたという。
ロシアではウクライナへの軍事侵攻が始まった2月24日直後から3月にかけて、各地で抗議行動が続いた。その後は治安当局の厳しい取り締まりや、新型コロナウイルスの感染拡大を理由にした大規模集会の禁止措置などで抑え込まれていた。
【イタリア総選挙、極右政党が第1党に】
26日の日経新聞【ローマ=佐竹実】によれば、イタリアの総選挙は25日、投開票された。伊公共放送RAIによると、メローニ党首率いる野党の極右「イタリアの同胞(FDI)」が第1党になる見通しだ。右派連合を組んでいる極右「同盟」や、ベルルスコーニ元首相率いる中道右派「フォルツァ・イタリア」と合わせると、上下両院で議席の過半を確保したもようだ。メローニ氏は同国初の女性首相となる可能性がある。
メローニ氏は26日未明にローマのホテルで「国民は選挙を通じて、我々が率いる政権への明確な支持を示した」と述べ、勝利宣言をした。極右の政治家が国のトップに選出されれば、第2次世界大戦後の欧州主要国では極めて異例となる。メローニ氏は保育所の無償化や子ども手当の増額などを掲げ、記録的なインフレに直面する国民の支持を集めた。主要政党として唯一、2021年2月に発足したドラギ政権に加わらずに同政権を批判してきたことも得票につながった。
【領事拘束、ロシアに抗議 外相「違法活動全くない」】
27日の日経新聞によれば、林芳正外相は27日、ロシア当局に一時拘束された在ウラジオストク日本総領事館の領事について「違法な活動をした事実は全くない」と述べた。森健良外務次官がガルージン駐日大使を呼んで抗議し、謝罪と再発防止を求めたと明らかにした。
林外相は、領事に関し「終始、目隠しをされたまま両手および頭を押さえつけて身動きがとれない状態で連行され、威圧的な取り調べを受けた」と説明した。「極めて遺憾だ」と非難した。
松野博一官房長官は同日の記者会見で、領事が28日までにロシアを出国する予定だと話した。外交官の追放で両国が応酬する事態になれば日本がロシアに置く大使館に影響する恐れもある。在留邦人や現地企業の保護といった業務に支障をきたし、情報収集の能力が低下する可能性がある。
【ロシアからのガスパイプライン損傷、「破壊工作」か】
同じ27日の日経新聞によれば、ロシア産天然ガスを欧州に輸出する海底パイプライン「ノルドストリーム」の運営会社は27日、パイプラインに「前例のない」損傷が生じ、復旧の見通しが立たないと明らかにした。デンマーク当局は、ガス漏れの発生した海域の航行を禁止する措置を講じた。運営会社はロシア国営ガスプロムの子会社。損傷はノルドストリーム「1」と「2」の両方で見つかった。
迫りくる冬に向かい、欧州各国は天然ガスの確保に神経質になっている矢先の出来事であり、一刻も早い原因究明と修理復旧が望まれる。
【安倍元首相の国葬】
27日午後2時から日本武道館で安倍元首相の国葬が行われ、約4200人が参列した。世論調査でANNは賛成30%、反対54%と伝え、NHKは32%、57%と反対が多いなかでの国葬であったが、献花する市民の長蛇の列に何時間も延長した。
開会の辞に続く1分間の黙とうの後、安倍氏が掲げた経済政策「アベノミクス」や外交・安全保障政策「自由で開かれたインド太平洋」、安全保障法制の制定などにかかわる映像が流れた。
葬儀委員長を務めた岸田首相は、「あなたが敷いた土台のうえに持続的ですべての人が輝く包摂的な日本、地域、世界をつくる」。首相は遺志を引き継いで政権運営にあたると述べた。
反対を叫ぶグループと参列する人たちが静かに並存する東京都心部の映像が世界の人たちの目にどう写ったのだろうか。ロシアによるウクライナ侵攻の映像を見慣れた人たちには、意見の違うグループの静かな並存は驚くべき光景であったに違いない。「国民の分断を招いた国葬」(朝日新聞夜ニュースレター)ではなく、多様性の表れと見る方が現実に近いのではないか。
この間、以下の番組を視聴することができた。(1)BS6報道1930「国力低下し地位転落も…日本外交の”武器“とは何か? 林芳正外相直撃」8月30日。 (2)BS世界のドキュメント「真実こそ私たちの武器 リトアニア フェイクとの闘い」9月1日。 (3)報道1930「極右思想家の娘暗殺の裏で何が…侵攻長期化とプーチン氏にかかる圧力」1日。 (4)BS世界のドキュメンタリー選「イラクの失われた世代 ISの子どもたちは今」1日。 (5)報道1930 2日。 (6)週刊ワールドニュース(8月29日~9月2日)3日。 (7)NHKスペシャル「玉鋼(たまはがね)に挑む 日本刀を生み出す奇跡の鉄」3日。 (8)BS1グローバルアジェンダ「核戦争 いま危機を乗り越えるために」4日。 (9)NHKドキュメント「休診日に会おうぜ!~毒舌院長「大丈夫みんなできない」~」5日。 (10)NHKスペシャル「日本を襲う三重苦、米中景気不安に物価高、円安加速で最悪シナリオ」5日。 (11)BS1映像の世紀「映像プロパガンダ戦 嘘と嘘の激突」5日。 (12)報道1930「徹底的にロシアを叩け…カギ握る米供与の兵器」6日。 (13)報道1930「【旧統一教会】山上家の実情知るキーマン”元奈良教会長“が初証言」7日。 (14)報道1930「国葬問題、国会追及…」8日。 (15)NHK総合アナザーストーリーズ「東大安田講堂事件 あのとき学生は何と闘ったのか」9日。 (16)週刊ワールドニュース(9月5日~9日)10日。 (17)報道1930「中国人民解放軍のいま 40年間”実戦経験なし“ 人民解放軍の実力」12日。 (18)報道1930「謎のロ軍の精鋭<第3軍団> <ウクライナ反撃の主役・機甲部隊>」13日。 (19)報道1930「中ロで広がる国力格差 苦境のプーチン氏に習氏が差し伸べる手は?」15日。 (20)百年インタビュー「稲盛和夫」15日。 (21)報道1930「アメリカ中間選挙の行方 トランプ氏は大統領選挙に出馬せず?」16日。 (22)NHKスペシャル「”染紅“ 変貌する香港 <自由と民主>が消えるとき」15日。 (23)週刊ワールドニュース(9月12日~16日)」17日。 (24)NHKスペシャル「”中流危機”を超えて「第1回企業依存を抜け出せるか」18日。 (25)報道1930「エリザベス女王国葬に英国民<最後の別れ> 新国王を待つ課題は?」19日。 (26)NHKクローズアップ現代「築50年の空き家に入る入居者ぞくぞく 空き家の新たな活用法とは?」20日。 (27)報道1930「予備役動員プーチン氏 核は本気? 戦争新局面 変革兵器供与加速か?」23日。 (28)ETV特集「ゴルバチョフの警告」24日。 (29)日中2000年 戦火を越えて【前編 知られざる修復のシナリオ】24日。 (30)週刊ワールドニュース(9月19日~23日)」24日。 (31)「あなたと共に生きたい 細井恵美子さん91歳 介護現場への想い」25日。 (32)報道1930「【窮地のプーチン氏】ロシア正規軍崩壊か」26日。
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