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地球環境とサイエンス

 シンポジウム「地球へのサイエンスの責任」(2014年9月26日)を聞きに行った。主催はWIDEプロジェクト、場所は東京大学本郷内の武田ホール。理系中心のシンポジウムで、案内をくださったのは藤原洋さんである。
 今春4月、日本記者クラブで「日清戦争120周年座談会」が行われた。歴史家の私がメンバーでも不思議はないが、そこに理系出身(京都大学理学部宇宙物理学科卒)で株式会社ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEOの藤原さんがおられた。
 藤原さんと私を結び付けたのは、中国人ジャーナリスト蒋豊さん(『人民日報海外版日本月刊』、『日本新華僑報』の編集長)、20年以上も昔、私が横浜市立大学時代に研究生として受け入れた秀才で、いまや押しも押されもせぬ知日派ジャーナリストである。上記の座談会の仕掛け・司会進行をつとめていた。
 今回のシンポジウムは、趣旨説明を江崎浩(東京大学大学院情報理工学系研究科教授、WIDEプロジェクト代表、以下敬称略)が行い、藤原洋の基調講演「地球環境とサイエンス~インターネットが拓く宇宙とエネルギーの未来~」がつづいた。テーマを宇宙/エネルギー産業に絞り、今後の社会の維持・発展にとって最重要テーマの1つと指摘。3.11以降の日本も世界もエネルギー産業は転換期を迎え、原発依存(世界に約450基)から発電方式の多様化と送配電の効率化が急務、また国産初の固体燃料ロケット・イプシロンの打上げ成功以来、日本の宇宙産業は大きな飛躍期を迎え、官需依存からの転換が必至と説く。
 ついでエネルギーと宇宙開発における技術トレンド、政策トレンド、およびビジネストレンドを概観し、ついで基幹エネルギー産業と新エネルギー、省エネ、スマートグリッド等によって生まれる構造変化、エネルギー技術とインターネットとの融合によるイノベーションを展望した。
 つづくパネルディスカッション「地球へのサイエンスの責任」は、所真理雄(株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所創始者、慶應義塾大学名誉教授)、江崎浩、藤原洋、村井純(慶應義塾大学環境情報学部教授、WIDEプロジェクト創始者)、司会が荻野司(株式会社ユビテック顧問)で進む。
 エネルギー技術とインターネットの融合を推進する方策等をテーマに議論が展開する一方、もう1つの論点として、サイエンスの果たすべき「真理の探究と地球の持続可能性への責任」をめぐる議論が交わされた。
 コンピュータは大量情報の処理能力で効率性、快適生活の向上等に貢献してきたが、一方でコンピュータが制御不能の領域に至る危機(核の危機に次ぐ)が迫っている。その危機にどう対処し、世界のどの組織(国連やWorld Economic Forum等)で議論、合意を得るべきか。その時期を今年とする人と2030年頃とする人の違いはあったが、課題の重大性と迫力の討論に強い感銘を受けた。
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プロフィール

Author:加藤 祐三
日本の歴史学者

横浜 市立大学名誉教授

国指定名勝・三渓園(横浜)
園長

・前都留文科大学長
(2010~2014)

・元横浜市立大学長
(1998~2002)

主な著書
「イギリスとアジア」
         (1980年)
「黒船前後の世界」(1985年)
「東アジアの近代」(1985年)
「地球文明の場へ」(1992年)
「幕末外交と開国」(2012年)
蒋豊訳「黒船異変」(2014年)
蒋豊訳「東亜近代史」
         (2015年)

 など

専門
・近代アジア史
・文明史

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